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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01F
管理番号 1254251
審判番号 不服2010-5590  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-15 
確定日 2012-03-21 
事件の表示 特願2004-160698「寸法精度に優れた積層コア」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月 8日出願公開、特開2005-340709〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成16年5月31日を出願日とする特許出願であって,平成21年9月1日付けで拒絶の理由が通知され,同年11月9日に意見書が提出されたが,同年12月4日付けで拒絶査定されたものである。その後,平成22年3月15日に前記拒絶査定に対する不服審判が請求されると共に手続補正がなされ,平成23年8月24日付けで審尋がおこなわれ,同年10月26日に回答書が提出されたものである。

第2 平成22年3月15日付けの手続補正についての却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成22年3月15日に提出された手続補正書でした補正を却下する。

[理 由]
1 本件手続補正の内容
平成22年3月15日に提出された手続補正書でした補正(以下「本件補正」という。)は,特許請求の範囲についてする補正を含むものであって,その特許請求の範囲についてする補正は,補正前に,
「【請求項1】コア構成部材が板厚0.2mm以下の薄板からなり,前記コア構成部材どうしが接着剤で接着され,前記薄板を積層してなる積層コアであって,前記薄板のカエリ高さの最大値が30μm以下でかつカエリ高さの板面内バラツキが10μm以下であることを特徴とする寸法精度に優れた積層コア。
【請求項2】前記薄板はSiを2.5?7.0mass%含むことを特徴とする請求項1に記載の接着強度に優れた積層コア。」
とあったものを,補正後に,
「【請求項1】コア構成部材が板厚0.2mm以下の打ち抜き加工により加工された薄板からなり,前記コア構成部材どうしが接着剤で接着され,前記薄板を積層してなる積層コアであって,前記薄板のカエリ高さの最大値が30μm以下でかつカエリ高さの板面内バラツキが10μm以下であることを特徴とする寸法精度に優れた積層コア。
【請求項2】前記薄板はSiを2.5?7.0mass%含むことを特徴とする請求項1に記載の接着強度に優れた積層コア。」
とするものである。

2 補正目的の適否について
上記補正の内,補正後の請求項1についてした補正は,補正前の請求項1に係る発明における「板厚0.2mm以下の薄板」を「板厚0.2mm以下の打ち抜き加工により加工された薄板」と補正することで,補正前の請求項1の「薄板」が「打ち抜き加工により加工された」ものであることを具体的に限定したものであるから,特許法第17条の2第4項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項をいう。以下同じ。)第2号に掲げる,特許請求の範囲の減縮を目的とした補正といえる。

3 独立特許要件について
上記のとおり,請求項1についてした補正は,特許請求の範囲の減縮を目的としたものであるから,この補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明1」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて更に検討する。

(1)引用例とその記載事項,及び,引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である下記の引用例1-4には,次の事項が記載されている。(なお,下線は,当合議体において付したものである。以下同じ。)

ア 引用例1:特開2001-284116号公報
(1a)「【請求項1】金属合金薄板を打抜いて得られる磁性薄板であって,
前記磁性薄板の主面外周縁部内側に形成された凸部の高さが,5μm以下であることを特徴とする磁性薄板。」(【特許請求の範囲】)

(1b)「【請求項4】前記磁性薄板は,厚さが1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の磁性薄板。」(【特許請求の範囲】)

(1c)「【請求項7】請求項1乃至6のいずれか1項記載の磁性薄板を積層してなることを特徴とする積層磁心。」(【特許請求の範囲】)

(1d)「【従来の技術】従来,積層磁心を製造する場合には,例えば帯状薄板材を順送り金型装置等で間欠移送させながら,この帯状薄板材の磁性薄板となる部分をプレス装置でプレスすることにより行っていた。従来の装置では,このプレスは,一方向からのパンチのみであったため,図9に示されるように,得られる磁性薄板16には主面外周縁部内側17にバリなどと呼ばれる凸部18が形成されることが避けられなかった。」(【0002】)

(1e)「・・・さらに,主面外周縁部内側にバリ等の凸部が存在すると,図10に示されるように,磁性薄板16を積層した際に,磁性薄板16間に空間19が形成されてしまい,占積率低下をもたらし,磁気特性の低下につながってしまうことがあった。
特に,E型形状をはじめとする,角部分の多い磁性薄板では,このようなバリが各角部分で発生するため,積層磁心の特性低下が顕著になっていた。」(【0003】-【0004】)

(1f)「図1は本発明の磁性薄板を示した外観図である。本発明の磁性薄板1においては,磁性薄板の主面外周縁部内側2に,従来の磁性薄板のような高い凸部がなく,主として磁性薄板の側面部3に凸部4が存在するものである。ここでいう凸部とは,磁性薄板の加工の際に発生する,例えばバリなどと呼ばれる部分のことである。
本発明の磁性薄板では主面に高い凸部が存在しないため,熱処理において,台または他の磁性薄板との溶着を抑制することができる。また,主面に高い凸部が存在しないため,熱処理中に磁性薄板の湾曲,反り等の変形が発生するのを抑制することが可能となる。
図2は本発明の磁性薄板の一部を示した断面図である。主面外周縁部内側2に存在する凸部5は,高さをHとし幅をLとすると,
H≦5μm
L≦20μm
である。」(【0027】-【0029】)

(1g)「さらに,本発明の磁性薄板では,厚さをZとした場合,
Z≦1mm
のものに用いることが好ましい。磁性薄板の厚さZが1mmを超える場合には,これらを積層しても,凸部5による占積率の低下はあまり問題とならない。また,磁性薄板の厚さZが1mmを超える場合には,熱処理による変形等も発生しにくい。このような占積率や変形が問題となるのは,磁性薄板の厚さが薄いとき,つまり厚さZが1mm以下の場合である。よって,本発明を,厚さ1mm以下の磁性薄板に適用することによって,より一層占積率を向上させ,磁気特性を向上させることができる。なお,本発明の厚さZは両球マイクロメーターにより求めた数値とする。」(【0032】)

(1h)「【実施例】実施例1,2,比較例1,2
磁性薄板を作製する際のプレス方法及び磁性薄板のバリ高さが,熱処理の際の溶着に及ぼす影響について調査を行った。また,これらの磁性薄板を用いて積層磁心を作製した場合の磁気特性等についても調査を行った。
磁性薄板としては,厚さ(Z)が0.6mmのパーマロイ磁性合金薄板を図7に示されるように,まず上方よりパーマロイ磁性合金薄板をプレスし,次に図8に示すようにパーマロイ磁性合金薄板と磁性薄板となる部分が同じ高さになるように下方よりプレスを行い,さらに下方よりプレスし打抜くことにより作製した(プッシュバック方式)。この際,磁性薄板の主面上に発生するバリ高さの調整は,最初のプレス加工の際のプレス幅を変化させることにより行った,これらを本発明の実施例1,2とした。
一方,本発明に対する比較として,一方向のみからプレスを行い磁性薄板を作製した(抜き落とし方式)。これらのうち,プレス加工の後にバレル研磨を行い,バリを研磨したものを比較例1,またバリ研磨を行わなかったものを比較例2とした。
これら実施例1,2,比較例1,2の磁性薄板の主面上のバリ高さ,平面度を表1に示す。」(【0046】-【0049】)

(1i)【0050】の【表1】には,実施例1のバリ高さHが1μm,平面度が0.006mm,比較例2のバリ高さが16μm,平面度が0.025mmであることが示されている。

(1j)「さらに,これら熱処理後の磁性薄板を積層して積層磁心を作製し,それらの占積率及び磁気特性(1kHzにおけるトランスインダクタンス特性)を調べた。これらの結果を表2に示す。」(【0051】)

(1k)【0052】の表2には,実施例1の占積率が97%,トランスインダクタンス特性が2.4?2.6Hであり,比較例2の占積率が85%,トランスインダクタンス特性の1.7?2.1Hよりも優れていることが示されている。

(1l)「また,これらを積層した積層磁心においては,本発明の実施例では占積率に優れているため,トランスインダクタンス特性が高い値となった。これに対して,比較例では,研磨によりバリ高さを低くしたものでも占積率が若干低くなりトランスインダクタンス特性が低くなった。また,バリを研磨しなかったものでは,さらに占積率が低くなりトランスインダクタンス特性も低い値となった。
以上のことより,本発明の磁性薄板はプレス後に研磨等の特別な処理を行わなくても,熱処理の際の溶着を抑制し,十分に剥離力を低減させることが可能となることがわかった。また,本発明の磁性薄板はバリ高さが低くかつ平面度に優れるため,これらを積層した本発明の積層磁心は占積率が高く,磁気特性に優れるものであることがわかった。次に,実施例1,2の積層磁心をモデムに組み込んだときの1kHzにおける高周波歪み率(dB)を測定した結果を表3に示す。この高周波歪み率とは,モデムの性能を示すために使われるパラメータのことで,波形をどれだけ正確に伝えることができるかを示すものであり,マイナスが大きいほど優れたモデムであることを示すものである。」(【0053】-【0054】)

(1m)【0055】の表3には,実施例1の高周波歪み率が-82?-84dBであり,比較例2の高周波歪み率の-76?-79dBよりも優れていることが示されている。

(1n)「表3から分かる通り,本発明の実施例の積層磁心を用いたものはいずれも高周波歪み率が-80以下と優れた特性を示すことがわかった。
このことから分かる通り,本発明の積層磁心はモデム等の波形信号(パルス信号)を取り扱う分野の機器において優れた効果を発揮するものであることがわかる。」(【0055】-【0056】)

(1o)「【発明の効果】本発明の磁性薄板は主面上に形成される凸部の高さが低いため,熱処理の際に溶着や反り等が発生するのを抑制することが可能となる。従って,溶着や反り等による不良品発生を抑制するとともに,作業性等も向上させることができる。また,本発明の磁性薄板は主面上に形成される凸部の高さが低いため,これらを効率的に積層することが可能となる。本発明の磁性薄板を用いて作製される積層磁心は,占積率に優れ,磁気特性に優れるものである。特に,本発明の積層磁心はモデム用磁心として優れた効果を発揮するものである。」(【0057】)

(1p)図2は,引用例1に記載された発明の磁性薄板の一実施例を表す断面図であって,上記摘記(1f)の記載を参照すれば,同図から,厚さZの磁性薄板の主面外周縁部内側2に,例えばバリなどと呼ばれる部分である,高さHの主面上の凸部5が存在することを読み取ることができる。

イ 引用発明
引用例1の上記摘記(1a)-(1p)を総合勘案すれば,引用例1には,
「厚さが0.6mmのパーマロイ磁性合金薄板を,まず上方よりプレスし,次にパーマロイ磁性合金薄板と磁性薄板となる部分が同じ高さになるように下方よりプレスを行い,さらに下方よりプレスし打抜くこと(プッシュバック方式)により作製した,パーマロイ金属合金薄板を打抜いて得られる磁性薄板であって,前記磁性薄板の主面上のバリ高さが1μmであり,平面度が0.006mmである,磁性薄板を積層して作製した,占積率が97%と優れ,磁気特性に優れた積層磁心。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

ウ 引用例2:特開平7-201551号公報
(2a)「【請求項1】無方向性電磁鋼板を接着絶縁層を介して積層し一体化した積層型電磁鋼板であって,鋼板面の平均結晶粒径d(μm)がd≧20×n(n:積層数=積層型電磁鋼板に含まれる無方向性電磁鋼板の枚数)であることを特徴とする積層型電磁鋼板。
【請求項2】表面に絶縁皮膜を有し,無方向性電磁鋼板の板厚t_(S) が0.08mm以上0.25mm以下であり,かつ鋼板中のSiとAl量の和が重量%で1%以上4%以下であり,積層絶縁層の厚みt_(R) (μm)が1≦t_(R) ≦100×t_(O) /mであり(t_(O) :積層型電磁鋼板の全体の厚み(mm),m:積層型電磁鋼板に含まれる接着絶縁層の層の数),積層数nが2枚以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層型電磁鋼板。」(【特許請求の範囲】)

(2b)「【従来の技術】近年,電気自動車用モーターを始めとする小型高速回転モーターや,インテリジェントビルの蛍光燈安定器等の小型高効率トランス,更にはロボット制御用モーター等が急速に注目され始めている。これら電気機器に用いられる鉄芯は,機器の小型化,高効率化,あるいは制御精度向上の観点から数百Hz乃至は数kHzの高周波域で使用されるため,高周波特性に優れることが不可欠となる。具体的には,周波数の増加に伴なう鉄損の急激な増加が問題となり,鉄芯材料としては高周波域での鉄損特性に優れることが第一に重要となる。
こうした背景のもと,無方向性電磁鋼板の板厚を薄くし渦流損を低減することで高周波鉄損に優れた材料を提供せんとする技術が,例えば,特開平3-223445号公報に開示されている。」(【0002】-【0003】)

(2c)「まず,無方向性電磁鋼板層の板厚については,これを0.08mm以上0.25mm以下とすることが好ましい。後にもう一度述べるが,積層型電磁鋼板の製造方法としては,所定厚あるいは所定厚近くとした無方向性電磁鋼板を用意し,これを接着絶縁層を介して積層一体化することが一般的であると考えられるが,その場合,無方向性電磁鋼板層の板厚が0.08mm未満では,素材となる無方向性電磁鋼板を製造する際,冷間圧延でのミル負荷の著しい増大や鋼板が破断する恐れ等を生じるため適当でない。一方,板厚が0.25mmを超えると,渦流損の増大に起因して,無方向性電磁鋼板層の高周波鉄損が急増し,その結果,積層型電磁鋼板全体としての鉄損も急増してしまい,好ましくない。」(【0022】)

エ 引用例3:特開昭59-22749号公報
(3a)「近年珪素鋼,低炭素鋼,パーマロイ,非晶質合金など厚さ0.1mm以下の金属磁性材料が製造されるようになり,従来の商用周波数域での使用に限らず高周波域でも使用可能となり,例えば電縫管製造用インピーダのコアのように高周波強磁界下でも使用されるようになった。
珪素鋼箔帯(あらかじめ箔帯表面には絶縁被膜を施してある場合もある)をインピーダのコアとして用いる場合は,第2図に示すように所定の幅にスリットされた細幅珪素鋼箔帯1’をエポキシ樹脂系の絶縁接着剤8で接着積層し角柱状積層体1’bとなしこの角柱状積層体1’b,1’b・・・を組合せて用いている。」(第2頁左下欄第14行-同頁右下欄第6行)

(3b)「電縫管製造用のインピーダのコアのように高周波の強磁界下に曝される場合には積層体にも高周波の電圧が誘起されるので絶縁接着剤層が絶縁破壊され易い。絶縁接着剤層の絶縁破壊は誘起される電圧が高いほど又絶縁接着剤層が薄いほど生じ易い。更に互いに隣合う細幅珪素鋼箔帯の金属同志の接触個所あるいは絶縁性の悪い個所には渦電流が流れ,金属同志の接触部分あるいは絶縁性の悪い部分が急激に加熱され,細幅珪素鋼箔帯の発熱が大きくなる。このように細幅珪素鋼箔帯の金属同志の接触個所あるいは絶縁性の悪い個所が多ければ多いほど積層体の温度上昇は大きくなる。
細幅珪素鋼箔帯の金属同志の接触個所あるいは絶縁性の悪い個所が増す原因としては各積層箔間の絶縁接着剤の厚さが薄く均一でないこととは別に第3図に示すような細幅珪素鋼箔帯のエッジ部のバリがある。このバリは細幅珪素鋼箔帯のスリット時に生成するもので,積層体中で互いに隣合う細幅珪素鋼箔帯が接触する原因となる。
・・・
従って高周波の強磁界下で用いられる積層体は絶縁接着剤を厚く均一にすることおよび金属磁性材料箔帯の金属同志の接触あるいは絶縁性の悪い個所をできる限り少なくして層間抵抗を大きくすることが必要である。」(第2頁右下欄第14行-第3頁右上欄第4行)

オ 引用例4:特開平11-307349号公報
(4a)「本発明は,この知見に基づいてなされたもので,その目的とするところは,高周波鉄損が優れ,しかも加工性や飽和磁束密度も優れている低鉄損高周波リアクトルを提供することである。」(【0004】)

(4b)「【実施例】(実施例1)表2に示されるような各鉄心材料によりそれぞれ500μH,30A,3kVAの直流リアクトルを試作し直流20Aに16kHzで磁束密度に換算して0.05Tに相当するリップル電流を量畳させて損失ならびに騒音(dB)を測定した。ちなみに,ギャップはインダクタンス値を同じにするようにトータルで3.5mm?4mmとし,巻き線は丸線で巻き数は全て同一60ターンとした。このように,本願のリアクトルは鉄損ならびに低騒音であることがわかる。」(【0014】)

(4c)【0015】の表2には,従来例として,板厚が0.1mm,0.025mm,0.05mmの鉄心材料が,また,本発明として,板厚が0.1mm,0.05mmの鉄心材料が示されている。

(2)対比
引用発明の「磁性薄板」,「積層磁心」は,それぞれ,本願補正発明1の「薄板」,「積層コア」に相当する。

そうすると,本願補正発明1と,引用発明との一致点と相違点は,次のとおりである。

<一致点>
「コア構成部材が薄板からなり,前記薄板を積層してなる積層コア。」

<相違点>
・相違点1:本願補正発明1のコア構成部材である薄板の板厚が「0.2mm以下」であるのに対して,引用発明の磁性薄板の厚さが「0.6mm」である点。

・相違点2:本願補正発明1の薄板が「打ち抜き加工により加工された」ものであるのに対して,引用発明の磁性薄板が「パーマロイ磁性合金薄板を,まず上方よりプレスし,次にパーマロイ磁性合金薄板と磁性薄板となる部分が同じ高さになるように下方よりプレスを行い,さらに下方よりプレスし打抜くこと(プッシュバック方式)により作製した」ものである点。

・相違点3:本願補正発明1では,薄板が「接着剤で接着され」たものであるに対して,引用発明では,磁性薄板の積層の態様が明らかでない点。

・相違点4:本願補正発明1が「薄板のカエリ高さの最大値が30μm以下でかつカエリ高さの板面内バラツキが10μm以下である」のに対して,引用発明は「磁性薄板の主面上のバリ高さが1μmであり,平面度が0.006mm」である点。

・相違点5:本願補正発明1が「寸法精度に優れた」積層コアであるのに対して,引用発明はこの点が明示されていないこと。

(3)相違点についての判断
・相違点1について
引用例2の上記摘記(2b)の「数百Hz乃至は数kHzの高周波域で使用されるため,高周波特性に優れることが不可欠となる。具体的には,周波数の増加に伴なう鉄損の急激な増加が問題となり,鉄芯材料としては高周波域での鉄損特性に優れることが第一に重要となる」,「板厚を薄くし渦流損を低減することで高周波鉄損に優れた材料を提供」との記載,及び,上記摘記(2c)の「板厚が0.25mmを超えると,渦流損の増大に起因して,無方向性電磁鋼板層の高周波鉄損が急増し,その結果,積層型電磁鋼板全体としての鉄損も急増してしまい,好ましくない」との記載に照らして,引用例2には,数百Hz乃至は数kHzの高周波域で使用される鉄芯材料においては,高周波域での鉄損特性に優れることが第一に重要であり,板厚が0.25mmを超えると,渦流損の増大に起因して,高周波鉄損が急増し,その結果,積層型電磁鋼板全体としての鉄損も急増してしまい,好ましくないこと,すなわち,板厚を薄くし渦流損を低減することが,高周波鉄損に優れた材料を提供するにあたり必要であるという技術的な知見が開示されているといえる。
一方,引用発明は,磁気特性に優れた積層磁心に係る発明であり,より具体的には,引用例1の上記摘記(1j)-(1n)に記載されるように,「1kHzにおけるトランスインダクタンス特性」及び「1kHzにおける高周波歪み率」における特性の測定値が良好な場合に,前記「磁気特性」が優れた積層磁心であるとした発明といえる。
そうすると,引用例2に,数百Hz乃至は数kHzの高周波域で使用される鉄芯材料の板厚が0.25mmを超えると高周波鉄損が急増するので板厚を薄くする必要があるとする技術的な知見が示されており,他方,引用発明が1kHzにおける測定値をもって磁気特性の優劣を判定する発明であることに照らして,引用発明と引用例2に接した当業者であれば,引用発明の磁気特性を更に優れたものとするために,引用例2に示される前記技術的な知見を適用して,引用発明の磁性薄板の厚さを,0.25mm以下の厚さとすることは容易に想到し得たことである。
ところで,引用例3の上記摘記(3a)の「近年珪素鋼,低炭素鋼,パーマロイ,非晶質合金など厚さ0.1mm以下の金属磁性材料が製造されるようになり,従来の商用周波数域での使用に限らず高周波域でも使用可能となり,例えば電縫管製造用インピーダのコアのように高周波強磁界下でも使用されるようになった」との記載,及び,引用例4の上記摘記(4c)に示されている,板厚が0.1mm,0.025mm,0.05mmの鉄心材料に照らして,本願出願時において,板厚が「0.2mm以下」の磁性薄板は周知であったといえる。
そして,一定の課題を解決するために数値範囲を最適化又は好適化することは,当業者の通常の創作能力の発揮である。
そうすると,引用発明に引用例2に記載された技術的な知見を適用するにあたり,その板厚の数値範囲の上限を0.25mmではなく,0.2mmとすることは当業者が適宜なし得たことである。
また,引用例1には上記摘記(1b)に「前記磁性薄板は,厚さが1mm以下である」等と記載されているだけであって,引用発明の磁性薄板の厚さを0.2mm以下とすることを妨げる特段の事情も認められない。
してみれば,引用発明において,磁性薄板の厚さを「0.2mm以下」とすること,すなわち,引用発明において,上記相違点1について,本願補正発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。また,このような構成としたことによる効果も,当業者が予測する範囲内のものといえる。

・相違点2について
引用発明の磁性薄板は,最終的には「下方よりプレスし打抜く」ことにより作製されるのであるから,「打ち抜き」加工により加工されたものということができる。したがって,引用発明の磁性薄板は,「打ち抜き加工により加工された」ものである点で,本願補正発明1と相違しないから,相違点2は実質的なものではない。

審判請求人は,審判請求書の請求の理由において「引用例2の磁性薄板は,積層コアを構成する本願発明の薄板とは,打ち抜き加工の方式が異なり,従って,物としても異なる。」,「プッシュバックのプレス方式という特殊な打ち抜き方法をとることで,バリの発生を抑制している。一方,本願発明は,通常の打ち抜き方法により加工された薄板を積層した積層コアに係る技術である。通常の打ち抜き方法による加工とは,引用例2明細書段落番号[0048]に比較例として記載のように,一方向のみからプレスを行う,いわゆる抜き落とし方式であり,単に「打ち抜き方法により加工」という場合は,一方向のみからの打ち抜き加工を意味することは,当業者であれば明らかである。したがって,引用例2に平面度(mm)が0.006である磁性薄板の実施例が開示されているからといって,通常の打ち抜き方法により加工された薄板を積層した積層コアにおいて本願発明のような「かえり高さ」とすることが開示されているものではない。」と主張するので,この点について検討する。

本願明細書には,以下の記載がある。
(本a)「打ち抜き加工により加工された薄板」(平成22年3月15日の補正書により補正された明細書の【0009】)

(本b)「薄板を加工する際の金型の研磨を調整することにより,薄板のカエリ高さを変化させ,薄板板面内でカエリ高さにバラツキをもたせた。」(【0016】)

(本c)「カエリの変化は金型の摩耗によるクリアランス変化に伴い生じ」(【0018】)

(本d)「また,薄板のカエリ高さは,例えば薄板を加工する金型を研磨する事により本発明範囲内とすることができる。」(【0021】)

(本e)「本発明の寸法精度に優れた積層コアの製造方法は上記に規定する薄板のカエリ高さとその板面内のバラツキが本発明範囲内であれば良く,それ以外は特に限定しない。例えば,ア)打ち抜き加工等により所定の形状のコア構成部材である薄板を得,次いで前記薄板を接着剤に浸漬した状態で積層し,成型用治具等で拘束することにより成型し,その後乾燥焼付をする方法や,イ)ア)において,薄板を接着剤に浸漬する前にまず積層し,次いで接着剤に浸漬し,成型し,その後乾燥焼付をする方法などが挙げられる。そして,ア)イ)いずれも,打ち抜き加工等により所定の形状のコア構成部材である薄板を得る場合に,薄板のカエリ高さとその板面内のバラツキを本発明範囲内とすることが好ましい。」(【0022】)

(本f)「この時,積層用薄板のカエリのばらつきを5μm間隔で30μmと変化させた。」(【0024】)

上記摘記(本a)-(本f)の記載からも明らかなように,本願明細書には,「打ち抜き加工」について定義されておらず,本願補正発明1の「打ち抜き加工」を,「一方向のみからの打ち抜き加工」,すなわち,審判請求人がいう「通常」の打ち抜き方法であると限定して解すべき特段の事情は認められない。
むしろ,本願明細書の上記摘記(本e)の「本発明の寸法精度に優れた積層コアの製造方法は上記に規定する薄板のカエリ高さとその板面内のバラツキが本発明範囲内であれば良く,それ以外は特に限定しない。」との記載を前提とすれば,本願補正発明1の「打ち抜き加工」は,「打ち抜き方法」が「通常」であるか「特殊」であるかを問わず,「薄板のカエリ高さとその板面内のバラツキ」のみを問題としているものと解されるから,本願補正発明1の「打ち抜き加工」は,「通常の打ち抜き方法」と「特殊な打ち抜き方法」の両者を含むものと認められる。
また,「単に「打ち抜き方法により加工」という場合は,一方向のみからの打ち抜き加工を意味することは,当業者であれば明らかである。」ことが技術的な常識であると認めることもできない。
したがって,審判請求人の前記主張は採用することはできない。

・相違点3について
薄板を積層して積層磁心を作製するにあたり,前記薄板どうしを接着剤で接着して積層磁心とする積層の態様は,引用例3の上記摘記(3a)の「細幅珪素鋼箔帯1’をエポキシ樹脂系の絶縁接着剤8で接着積層し角柱状積層体1’bとなし」との記載,下記の周知例1-2の記載,及び,本願の明細書の【0002】-【0005】の「【背景技術】薄板をコア構成部材とし,積層,接着したものは,モータ,リアクトル,トランスなどのコアとして従来より使用されてきた。薄板の中でも珪素鋼板は優れた軟磁気特性を持つため,トランスやモ-タのコア材として広く用いられている。この種の鋼板はSi含有量が増すほど鉄損が低減され,Siが6.5wt%では磁歪が0となり,最大透磁率もピ-クとなるなど優れた磁気特性を呈することが知られている。積層コアを製造するに際し,コア構成部材どうしの接着方法としては,カシメ,接着皮膜などがあげられる。しかし,薄板が板厚0.2mm以下の場合は,上記方法により接着し積層コアを製造しようとするとカシメ部の強度不足や接着皮膜膜厚大に起因し所望の占積率を確保できない等の問題があり,一般的に工業レベルの量産は困難であった。これに対し,積層コアの接着として樹脂系接着剤を用いることで工業レベルのコア量産を可能とした。
【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】しかしながら,工業レベルのコア量産は可能となったものの,積層方向のタオレなど寸法精度を確保することが難しく,積層コアを用いたリアクトル,トランス,モータなどを製作する場合に量産を困難としているのが現状である。」との記載からも明らかなように,本願の出願時に既に周知なものであったと認められられる。
したがって,薄板を積層して積層磁心を作製する際の積層の態様が具体的に開示されていない引用発明において,当業者であれば,周知技術に基づいて,引用発明の薄板を接着剤で接着すること,すなわち,上記相違点3について,本願補正発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。また,このような構成としたことによる効果も,当業者が予測する範囲内のものといえる。

・周知例1:特開平11-187626号公報
(周1a)「【従来の技術】一般に電磁鋼板を用いてモーターやトランス等の積層鉄芯を製造する場合には,電磁鋼板を剪断加工あるいは打抜きによって単位鉄芯とした後積層し,さらにボルト締め,カシメ,溶接あるいは接着等により固着するものである。積層鉄芯は固着後,巻線コイルの組込み工程などを経て,最終的にトランスが組み立てられるものである。」(【0002】)

・周知例2:特開平6-6960号公報
(周2a)「そこで近年,半硬化状態の接着剤をコーティングした電磁鋼帯が開発されたことに着目し,図7に示すように,そのコーティング電磁鋼帯を所定形状に打抜いて形成した電磁鋼板11を積層し,それを,ヒータを内蔵した熱板12,13を設けたプレス装置14により加圧し,同時に加熱することで,上記半硬化状態の接着剤を硬化させ,もって電磁鋼板11を結束させる方法が採られている。この方法によると,電磁鋼板11には結束用の溝を形成する必要がなく,鉄心15の磁気特性を悪化させることがない。」(【0004】)

(周2b)「なお,上記各実施例では本発明を電動機用の積層鉄心の結束方法に適用して述べたが,それに限られず,いわゆるEI鉄心など変圧器用の積層鉄心の結束方法にも同様に適用して実施することができる。」(【0019】)

・相違点4について
本願明細書の【0020】には,「なお,本発明において,カエリ高さとは,JIS C 2550「電磁鋼帯試験方法」規定されている方法により測定される値である。また,バラツキは薄板板面内でカエリ高さの最大値-薄板板面内でカエリ高さの最小値である。」と記載されている。
そして,JIS C 2550 には,「6.2 切断かえり測定 切断かえりは,JIS B 7502で規定する外側マイクロメータを切断部に当て,ラチェットが1回音をたてたときの読み(t_(1))と,外側マイクロメータを切断部から外し,近接した部分に当てたときの読み(t_(2))との差(t)をとる(図3参照)。・・・備考 かえり高さの測定にコンパレータを使用してもよい。」と記載されている。
一方,引用例1の上記摘記(1f),(1p)の記載に照らして,引用発明のバリ高さは,厚さ「Z」の磁性薄板の,切断部である主面外周縁部内側に存在する,主面上の凸部の高さ「H」といえるから,引用発明の「Z+H」,「Z」,「H」の値は,それぞれ上記JIS C 2550 の「t_(1)」,「t_(2)」,「t」に相当する。
そして,磁性薄板と電磁鋼帯とは,互いに密接に関連した技術分野に属するといえるから,電磁鋼帯の寸法・形状測定に係る試験方法を,磁性薄板の寸法・形状測定に係る試験方法の手段として転用することは格別のこととはいえない。
そうすると,引用発明の主面上のバリ高さの測定方法は引用例1には開示されていないものの,引用発明の「主面上のバリ高さ」が,本願補正発明1の「薄板のカエリ高さの最大値」に相当する値であると認めることができる。

ところで,「カエリ高さの板面内バラツキ」の最大値が「カエリ高さの最大値」を超えることができないことは,その定義から明らかである。
そうすると,主面上のバリ高さが1μmである引用発明の前記バリ高さの板面内バラツキ,すなわち「カエリ高さの板面内バラツキ」は1μm以下であるといえる。

してみれば,引用発明は,「薄板のカエリ高さの最大値が1μm以下でかつカエリ高さの板面内バラツキが1μm以下である」ということができるから,上記相違点4は実質的なものではない。

なお,仮に引用発明の「主面上のバリ高さ」と本願補正発明1の「薄板のカエリ高さの最大値」の定義が厳密には一致しなかったとしても,上記相違点4は容易に想到し得たことである。
すなわち,引用発明は,磁性薄板の主面上に存在する凸部の高さを小さくし,これにより,前記磁性薄板を積層して積層磁心を作製した際の各磁性薄板間の空間を小さくして,積層磁心の占積率と磁気特性を優れたものとなした発明である。
そして,「薄板のカエリ高さの最大値」の大きさをできるだけ小さくすることが,磁性薄板を積層して積層磁心を作製した際の各磁性薄板間の空間を小さくして,積層磁心の占積率と磁気特性を優れたものとなすために必要なことは,引用例1に接した当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして,引用発明において「主面上のバリ高さ」を1μmと規定していることに照らして,「薄板のカエリ高さの最大値」の大きさを同程度の大きさに設定することに格別の困難はなく,また,「薄板のカエリ高さの最大値」が1μmの場合,「カエリ高さの板面内バラツキ」もまた1μm以下となることから,相違点4について本願補正発明1の構成を採用することは当業者にとって容易である。

・相違点5について
引用例1の上記摘記(1i)の記載から明らかなように,引用発明の磁性薄板のバリ高さである1μmは,比較例2の16μmに比べて小さく,平面度も,引用発明の0.006mmは,比較例2の0.025mmに比べて小さい。
さらに,上記摘記(1k)に記載されるように,この磁性薄板を積層して作製した引用発明の積層磁心の占積率である97%は,比較例2の85%に比べて大きな値を有している。
そして,占積率とは,積層磁心の積層方向の断面積において磁性薄板全体が占める面積比率のことである。
してみれば,バリ高さと平面度の値が小さいこのような個々の磁性薄板を積層して作製した積層磁心は,各磁性薄板間に空間が少なく,比較例2に比べて,寸法精度に優れた積層磁心であるということができる。
したがって,引用発明の積層磁心は,寸法精度に優れた積層磁心であるということができるから,相違点5は実質的なものとはいえない。

なお,仮に,本願補正発明1の「寸法精度」を,本願明細書【0017】の「寸法精度の評価としては積層方向のタオレを用いた。」との記載に基づいて,「積層方向のタオレ」の小ささであると限定して解釈したとしても,引用発明に係る積層磁心の占積率は97%であり,また,各磁性薄板のバリ高さ,平面度が,それぞれ,1μm,0.006mmであることを前提とすれば,引用発明の磁性磁心の「積層方向のタオレ」が小さなものとなることは明らかである。したがって,引用発明の積層磁心は,寸法精度に優れた積層磁心であるということができるから,いずれにせよ,相違点5は実質的なものとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおり,本願補正発明1は,上記引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 補正却下についてのむすび
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成22年3月15日に提出された手続補正書でした補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1-2に係る発明は,平成16年5月31日に提出された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1-2に記載されている事項により特定されるとおりのものであるところ,その内,請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は,次のとおりである。

「コア構成部材が板厚0.2mm以下の薄板からなり,前記コア構成部材どうしが接着剤で接着され,前記薄板を積層してなる積層コアであって,前記薄板のカエリ高さの最大値が30μm以下でかつカエリ高さの板面内バラツキが10μm以下であることを特徴とする寸法精度に優れた積層コア。」

2 進歩性について
(1)引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である引用例1-4に記載されている事項は,上記「第2 3 (1)引用例とその記載事項,及び,引用発明」の項で指摘したとおりである。

(2)当審の判断
本願発明1を特定するに必要な事項を全て含み,さらに具体的に限定したものに相当する本願補正発明1が,前記「第2 3 (3)相違点についての判断」に記載したとおり,引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明1も同様の理由で,引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって,本願の他の請求項に係る発明については検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-10 
結審通知日 2012-01-17 
審決日 2012-01-30 
出願番号 特願2004-160698(P2004-160698)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 正文  
特許庁審判長 齋藤 恭一
特許庁審判官 加藤 浩一
酒井 英夫
発明の名称 寸法精度に優れた積層コア  
代理人 落合 憲一郎  

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