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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1254517 |
審判番号 | 不服2010-22265 |
総通号数 | 149 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-10-04 |
確定日 | 2012-03-29 |
事件の表示 | 特願2006-329178「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月 8日出願公開、特開2007- 54671〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年8月6日に出願した特願2004-230005号の一部を、平成18年12月6日に特許出願したものであって、平成22年7月5日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成22年10月4日に拒絶査定不服審判が請求された。 2.本願発明 本願の請求項1?4に記載された発明は、平成22年1月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものと認める。 そして、請求項1に係る発明を、以下「本願発明」という。 「【請求項1】 遊技領域内に設けられた始動手段に遊技球が検出されることに起因して抽出される抽出値により、遊技者に有利な状態である特別遊技を実行するか否かを抽選する特別遊技抽選手段と、 前記特別遊技を実行するか否かの抽選確率が通常確率である通常確率状態時に所定条件が成立した場合、前記特別遊技を実行するか否かの抽選確率が高確率である高確率状態に変更させる確率変更手段と、 電源が遮断される際に電源遮断直前の遊技状態を記憶し、電源復帰後に電源遮断直前の遊技状態から遊技が再開できるようにするためのバックアップ手段と、 遊技機からホールコンピュータに信号を出力するための外部接続端子と、 を備える遊技機において、 通常確率状態時に所定条件が成立して高確率状態になった場合と電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき高確率状態になった場合とで高確率状態時における報知手段の報知パターンを異ならせるようにするが、通常確率状態時に所定条件が成立して高確率状態になった場合でも電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき高確率状態になった場合でも前記外部接続端子からホールコンピュータに高確率状態であることを示す信号を出力するように設定したことを特徴とする遊技機。 【請求項2】 遊技領域内に設けられた始動手段に遊技球が検出されることに起因して抽出される抽出値により、遊技者に有利な状態である特別遊技を実行するか否かを抽選する特別遊技抽選手段と、 前記特別遊技を実行するか否かの抽選確率が通常確率である通常確率状態時に所定条件が成立した場合、前記特別遊技を実行するか否かの抽選確率が高確率である高確率状態に変更させる確率変更手段と、 電源が遮断される際に電源遮断直前の遊技状態を記憶し、電源復帰後に電源遮断直前の遊技状態から遊技が再開できるようにするためのバックアップ手段と、 遊技機からホールコンピュータに信号を出力するための外部接続端子と、 を備える遊技機において、 通常確率状態時に所定条件が成立して高確率状態になった場合には、報知手段により特別な報知を行わず、電源復帰後にバックアップ手段の記憶に基づき高確率状態になった場合には報知手段により特別な報知を行うようにするが、通常確率状態時に所定条件が成立して高確率状態になった場合でも電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき高確率状態になった場合でも前記外部接続端子からホールコンピュータに高確率状態であることを示す信号を出力するように設定したことを特徴とする遊技機。 【請求項3】 遊技領域内に配置された始動口に設けられた始動手段に遊技球が検出されることに起因して抽出される抽出値により、遊技者に有利な状態である特別遊技を実行するか否かを抽選する特別遊技抽選手段と、 該特別遊技抽選手段の抽選結果を報知する特別図柄と、 前記始動口に設けられた羽を開放させるか否かの抽選結果を報知する普通図柄と、 電源が遮断される際に電源遮断直前の遊技状態を記憶し、電源復帰後に電源遮断直前の遊技状態から遊技が再開できるようにするためのバックアップ手段と、 遊技機からホールコンピュータに信号を出力するための外部接続端子と、 を備え、 前記普通図柄の変動時間が通常状態時よりも短く、前記始動口に設けられた羽の開放時間が通常状態時よりも長い、時短状態が存在する遊技機において、 通常確率状態時に所定条件が成立して時短状態になった場合と電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき時短状態になった場合とで時短状態における報知手段の報知パターンを異ならせるようにするが、通常確率状態時に所定条件が成立して時短状態になった場合でも電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき時短状態になった場合でも前記外部接続端子からホールコンピュータに時短状態であることを示す信号を出力するように設定したことを特徴とする遊技機。 【請求項4】 遊技領域内に配置された始動口に設けられた始動手段に遊技球が検出されることに起因して抽出される抽出値により、遊技者に有利な状態である特別遊技を実行するか否かを抽選する特別遊技抽選手段と、 該特別遊技抽選手段の抽選結果を報知する特別図柄と、 前記始動口に設けられた羽を開放させるか否かの抽選結果を報知する普通図柄と、 電源が遮断される際に電源遮断直前の遊技状態を記憶し、電源復帰後に電源遮断直前の遊技状態から遊技が再開できるようにするためのバックアップ手段と、 遊技機からホールコンピュータに信号を出力するための外部接続端子と、 を備え、 前記普通図柄の変動時間が通常状態時よりも短く、前記始動口に設けられた羽の開放時間が通常状態時よりも長い、時短状態が存在する遊技機において、 通常確率状態時に所定条件が成立して時短状態になった場合には、報知手段により特別な報知を行わず、電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき時短状態になった場合には報知手段により特別な報知を行うようにするが、通常確率状態時に所定条件が成立して時短状態になった場合でも電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき時短状態になった場合でも前記外部接続端子からホールコンピュータに時短状態であることを示す信号を出力するように設定したことを特徴とする遊技機。」 3.先願刊行物記載事項 原査定の拒絶の理由(平成22年4月1日付け拒絶理由通知)で提示した本件出願の日前の特許出願である特願2004-228801号(特開2006-43159号公報として本件出願後に出願公開された。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲(以下「先願明細書等」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 所定の契機に基づき所定の抽選を行い、その抽選結果において特別条件を満たす場合には、遊技者に有利な特別遊技状態を導出可能に構成するとともに、前記抽選結果に応じて前記特別遊技状態終了後の遊技における遊技モードを、少なくとも通常モードと、それよりも価値の高い特別モードとの間で切換可能に構成するとともに、初期化時における遊技モードが通常モードとなるよう構成してなる遊技機であって、 電源の供給が遮断された場合に、少なくともそのときの遊技モードを記憶維持しておく記憶維持手段と、 電源の供給が再開された場合に、前記記憶維持された遊技モードにて遊技を開始させる復帰手段と、 所定のクリヤ操作が行われた場合、前記記憶維持された遊技モードに関わらず、少なくとも遊技モードを初期化するリセット手段と、 少なくとも遊技モードに関する情報を視覚態様及び聴覚態様のうち少なくとも一方の態様で教示可能な視聴覚教示手段と を備え、 遊技モードが前記通常モードのとき、前記視聴覚教示手段が第1の態様をとり、 遊技モードが前記特別モードのとき、前記視聴覚教示手段が第2の態様をとるよう構成するとともに、 電源の供給が再開されたとき、前記記憶維持された遊技モードが特別モードである場合には、前記視聴覚教示手段が前記第1及び第2の態様とは異なる第3の態様をとるよう構成し、 電源の供給が継続され、かつ、遊技モードが特別モードであり、かつ、遊技が行われない状態が所定時間経過した場合には、 前記視聴覚教示手段が前記第1及び第2の態様とは異なる第4の態様をとるよう構成し、前記第3の態様と第4の態様とが同一であることを特徴とする遊技機。」 (イ)「【0016】 さらに、「特別モード」としては、「通常モード」よりも特別遊技状態の導出確率(特別条件を満たす確率)の高められた「確率変動(確変)モード」、「通常モード」よりも前記所定の抽選の頻度(例えば単位時間あたりの可変表示装置における識別情報の変動表示の機会(回数))が高められた「時間短縮(時短)モード」等が挙げられる。」 (ウ)「【0059】 以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11と内枠12とに対して、前面枠セット14を開放し、下皿ユニット13を取り外した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、後述する遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。」 (エ)「【0068】 次に、遊技盤30の構成を、図4を用いて説明する。遊技盤30には、入球手段としての一般入賞口31、入球手段としての可変入賞装置32、入球手段としての第1契機対応口(始動口)33、入球手段としての第2契機対応口(スルーゲート)34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球し、後述する検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(入賞装置、入賞口、第1契機対応口33等)に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車27等の各種部材(役物)が配設されている。」 (オ)「【0196】 その後、ステップS604では、第1契機対応口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する。この始動入賞処理を図31のフローチャートにより説明すると、ステップS701では、遊技球が第1契機対応口33(始動口)に入賞したか否かを第1契機対応口(始動口)スイッチ224の検出情報により判別する。遊技球が第1契機対応口33に入賞したと判別されると、続くステップS702では、第1図柄表示装置42の始動保留球数Nが上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判別する。第1契機対応口33への入賞があり、且つ始動保留球数N<4であることを条件にステップS703に進み、始動保留球数Nを1インクリメントする。 【0197】 また、続くステップS704では、第1図柄の当落に関わる乱数を取得する。具体的には、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。」 (カ)「【0268】 (a)上記実施形態では、特別モードとして、確変モードと時短モードとを用意することとしているが、いずれか一方のモードのみが設定されてなる遊技機に具体化することもできる。また、確変モード終了後に時短モードに移行するのではなく、各モードがそれぞれ独立して付与されるような構成であってもよい。例えば、特別モードとして確変モードのみが設定されてなる遊技機にあっては、特別図柄ではない図柄で大当たりする際に、通常モードへと切り換えられるため、教示を確実に終了させることができる。」 (キ)「【0281】 (i)また、上記教示は、第1図柄表示装置42、特別報知電飾部401、スピーカを介して遊技者(取締まり関係者)側に行われる構成となっている。この場合において、ホールコンピュータ等に対し、当該情報(教示の旨)を外部信号として出力することが考えられる。このように構成した場合、例えば連続的に大当たり状態が発生した場合、それが不正行為に基づくものであるのか、確変モード中であることに基づくものであるのかを判断しなければならないところ、確変モード中の情報が得られれば、判断を容易に行うことができるという点でメリットが大きいからである。すなわち、上記点を鑑みると、本来、遊技者(取締まり関係者)側に教示される情報と、ホール側に教示される情報とは一致しているべきであるところではある。しかしながら一方で、上記対策を施すことに関してはホール側の不誠実な営業形態を取締まることも目的の1つとしていることを鑑みると、当該情報(教示の旨)を外部信号としてホールコンピュータ等に出力しない構成とするのが望ましい。」 摘記した上記(ア)?(キ)の記載や図面等によれば、先願明細書等及び図面には以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。 「遊技盤30面上の遊技領域内に入球手段としての第1契機対応口33が配設され、遊技球が前記第1契機対応口33に入賞したか否かを第1契機対応口スイッチ224の検出情報により判別し、遊技球が前記第1契機対応口33に入賞したと判別されると、第1図柄表示装置42の始動保留球数Nが上限値未満であるか否かを判別し、前記第1契機対応口33への入賞があり、且つ始動保留球数N<上限値であることを条件に始動保留球数Nを1インクリメントし、第1図柄の当落に関わる乱数を取得することにより抽選を行い、その抽選結果において特別条件を満たす場合には、遊技者に有利な特別遊技状態を導出可能に構成するとともに、前記抽選結果に応じて前記特別遊技状態終了後の遊技における遊技モードを、少なくとも通常モードと、通常モードよりも特別遊技状態の導出確率(特別条件を満たす確率)の高められた確率変動(確変)モードで切換可能に構成するとともに、初期化時における遊技モードが通常モードとなるよう構成してなる遊技機であって、 電源の供給が遮断された場合に、少なくともそのときの遊技モードを記憶維持しておく記憶維持手段と、 電源の供給が再開された場合に、前記記憶維持された遊技モードにて遊技を開始させる復帰手段と、 遊技モードが前記通常モードのとき、視聴覚教示手段が第1の態様をとり、 遊技モードが前記確率変動(確変)モードのとき、前記視聴覚教示手段が第2の態様をとるよう構成するとともに、 電源の供給が再開されたとき、前記記憶維持された遊技モードが確率変動(確変)モードである場合には、前記視聴覚教示手段が前記第1及び第2の態様とは異なる第3の態様をとるよう構成する遊技機。」 4.先願発明と本願発明との対比 先願発明の「第1契機対応口33」は本願発明の「始動手段」に相当し、以下同様に、 「配設され」は「設けられ」に、 「検出情報により判別」は「検出されること」に、 「判別されると」は「起因して」に、 「取得」は「抽出」に、 「第1図柄の当落に関わる乱数」は「抽出値」に、 「遊技者に有利な特別遊技状態」は「遊技者に有利な状態である特別遊技」に、 「電源の供給が遮断された場合に」は「電源が遮断される際に」に、 「少なくともそのときの遊技モードを記憶維持しておく記憶維持手段と、電源の供給が再開された場合に、前記記憶維持された遊技モードにて遊技を開始させる復帰手段」は「電源遮断直前の遊技状態を記憶し、電源復帰後に電源遮断直前の遊技状態から遊技が再開できるようにするためのバックアップ手段」に、 それぞれ相当する。 さらに、先願明細書等及び図面の記載から次のことがいえる。 先願発明では、第1図柄の当落に関わる乱数を取得することにより抽選を行い、その抽選結果において特別条件を満たす場合には、遊技者に有利な特別遊技状態を導出可能に構成していることから、先願発明は本願発明の「遊技者に有利な状態である特別遊技を実行するか否かを抽選する特別遊技抽選手段」に相当する構成を備えていることは明らかである。 先願発明では、確率変動(確変)モードは通常モードよりも特別遊技状態の導出確率(特別条件を満たす確率)の高められたモードであることから、通常モードは特別遊技状態の導出確率(特別条件を満たす確率)が通常の確率であるといえ、具体的な条件は明らかではないが何らかの条件で通常モードと確率変動(確変)モードとを切換可能であるため、先願発明は本願発明の「前記特別遊技を実行するか否かの抽選確率が通常確率である通常確率状態時に所定条件が成立した場合、前記特別遊技を実行するか否かの抽選確率が高確率である高確率状態に変更させる確率変更手段」に相当する構成を備えているといえる。 先願発明では、遊技モードが前記確率変動(確変)モードのとき、前記視聴覚教示手段が第2の態様をとるよう構成するとともに、電源の供給が再開されたとき、前記記憶維持された遊技モードが確率変動(確変)モードである場合には、前記視聴覚教示手段が前記第1及び第2の態様とは異なる第3の態様をとるよう構成しており、第2の態様をとるときは、先願明細書等の段落【0204】、【0206】、【0208】、【0268】及び図25の記載から、電源投入時にRAM消去スイッチがONとなってRAMの初期化処理が行われた後に確率変動(確変)モードとなったときか、電源断前に確率変動(確変)モードでなく、その後、確率変動(確変)モードになったときであることから、第2の態様をとるときは、通常モード時に何らかの条件が成立して確率変動(確変)モードとなったときであるといえるため、先願発明は本願発明の「通常確率状態時に所定条件が成立して高確率状態になった場合と電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき高確率状態になった場合とで高確率状態時における報知手段の報知パターンを異ならせるようにする」に相当する構成を備えているといえる。 先願明細書等の段落【0281】には「(i)また、上記教示は、第1図柄表示装置42、特別報知電飾部401、スピーカを介して遊技者(取締まり関係者)側に行われる構成となっている。この場合において、ホールコンピュータ等に対し、当該情報(教示の旨)を外部信号として出力することが考えられる。このように構成した場合、例えば連続的に大当たり状態が発生した場合、それが不正行為に基づくものであるのか、確変モード中であることに基づくものであるのかを判断しなければならないところ、確変モード中の情報が得られれば、判断を容易に行うことができるという点でメリットが大きいからである。すなわち、上記点を鑑みると、本来、遊技者(取締まり関係者)側に教示される情報と、ホール側に教示される情報とは一致しているべきであるところではある。しかしながら一方で、上記対策を施すことに関してはホール側の不誠実な営業形態を取締まることも目的の1つとしていることを鑑みると、当該情報(教示の旨)を外部信号としてホールコンピュータ等に出力しない構成とするのが望ましい。」と記載されており、ここでいう「教示」とは、段落【0024】の「・・・この点、手段4によれば、前記第1から第4の態様による教示が、・・・」、段落【0209】の「ここで、本実施形態における特別教示フラグFHKは、第1図柄表示装置42、特別報知電飾部401(ランプ)、スピーカを介して、通常時とは異なる特別な教示を行うか否かを決定づけるためのフラグである。当該フラグFHKが「0」の場合には特別な教示が行われず(第1の態様又は第2の態様をとることに相当し)、「1」の場合には、後述する特別な教示が行われる(第3の態様又は第4の態様をとることに相当する)ようになっている。」等の先願明細書等全体の記載から第1?第4の態様のいずれかの教示であると認められる。そして、段落【0281】には「ホールコンピュータ等に対し、当該情報(教示の旨)を外部信号として出力することが考えられる。・・・確変モード中の情報が得られれば、判断を容易に行うことができるという点でメリットが大きいからである。」と記載されており、教示の旨の情報をホールコンピュータに対して外部信号として出力すること(以下「当該技術事項」という。)によるメリットについても言及していることから、同段落の「しかしながら一方で、上記対策を施すことに関してはホール側の不誠実な営業形態を取締まることも目的の1つとしていることを鑑みると、当該情報(教示の旨)を外部信号としてホールコンピュータ等に出力しない構成とするのが望ましい。」という当該技術事項を採用しない構成とすることが望ましいと記載されていることを根拠として、メリットについても言及している当該技術事項を採用する構成が記載されていないとはいえない。よって、先願発明には当該技術事項を採用して外部信号の出力を行うことが記載されているといえる。 したがって、先願発明は本願発明の「通常確率状態時に所定条件が成立して高確率状態になった場合でも電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき高確率状態になった場合でも前記外部接続端子からホールコンピュータに高確率状態であることを示す信号を出力するように設定した」ことに相当する構成を備えているといえる。 以上を総合すると、両者は、 「遊技領域内に設けられた始動手段に遊技球が検出されることに起因して抽出される抽出値により、遊技者に有利な状態である特別遊技を実行するか否かを抽選する特別遊技抽選手段と、 前記特別遊技を実行するか否かの抽選確率が通常確率である通常確率状態時に所定条件が成立した場合、前記特別遊技を実行するか否かの抽選確率が高確率である高確率状態に変更させる確率変更手段と、 電源が遮断される際に電源遮断直前の遊技状態を記憶し、電源復帰後に電源遮断直前の遊技状態から遊技が再開できるようにするためのバックアップ手段と、 遊技機からホールコンピュータに信号を出力するための外部接続端子と、 を備える遊技機において、 通常確率状態時に所定条件が成立して高確率状態になった場合と電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき高確率状態になった場合とで高確率状態時における報知手段の報知パターンを異ならせるようにするが、通常確率状態時に所定条件が成立して高確率状態になった場合でも電源復帰後に前記バックアップ手段の記憶に基づき高確率状態になった場合でも前記外部接続端子からホールコンピュータに高確率状態であることを示す信号を出力するように設定した遊技機。」 である点で一致し、相違点はない。 以上のように、本願発明は、先願発明と同一である。 5.むすび したがって、本願発明は、その出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開された特願2004-228801号(特開2006-43159号)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、両発明の発明者が同一ではなく、また両出願の出願人がその出願の時において同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 |
審理終結日 | 2012-01-24 |
結審通知日 | 2012-01-31 |
審決日 | 2012-02-13 |
出願番号 | 特願2006-329178(P2006-329178) |
審決分類 |
P
1
8・
161-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柴田 和雄 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
澤田 真治 吉村 尚 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 伊藤 求馬 |