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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1254823
審判番号 不服2009-8971  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-24 
確定日 2012-04-05 
事件の表示 平成11年特許願第197769号「情報受信装置及び情報受信装置の情報受信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月26日出願公開、特開2001- 22785〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年7月12日の出願であって、平成20年12月26日付けで拒絶理由が通知され、平成21年3月4日付けで手続補正がなされたが、同年3月23日付けで拒絶査定がされ、これに対し同年4月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年5月19日付けで手続補正がなされたものである。
そしてその後、平成23年8月3日付けで拒絶理由が通知され、同年10月11日付けで手続補正がなされたが、同年11月2日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成24年1月10日付けで手続補正書が提出されたものである。

第2 平成24年1月10日付けの手続補正についての補正却下の決定
[結論]
平成24年1月10日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正内容
平成24年1月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1のとおりに補正する補正事項を含むものである。

<本件補正前の特許請求の範囲の請求項1>
「【請求項1】
番組の内容を示す電子番組ガイド情報の検索条件の設定種類を示す登録パターン毎にユーザにより当該登録パターンに応じて所望の番組の内容を示す上記電子番組ガイド情報を検索するために設定された出演者、キーワード、曜日、時刻、アイコン及びチャンネルを検索条件として格納した上記登録パターン毎の検索条件テーブルを予め登録する検索条件テーブル記憶手段と、
複数の上記電子番組ガイド情報が配信される毎に、当該配信された複数の上記電子番組ガイド情報を受信する受信手段と、
上記受信手段により複数の上記電子番組ガイド情報が受信される毎に、当該受信された複数の上記電子番組ガイド情報を記憶するようにして、当該記憶する上記電子番組ガイド情報を更新する電子番組ガイド情報記憶手段と、
上記電子番組ガイド情報記憶手段に記憶される上記電子番組ガイド情報が更新される毎に、当該電子番組ガイド情報記憶手段に記憶されている複数の上記電子番組ガイド情報の中から上記登録パターン毎に、当該登録パターンの上記検索条件テーブルに格納されている上記検索条件に合致する上記電子番組ガイド情報を検索する電子番組ガイド情報検索手段と、
上記電子番組ガイド情報検索手段により上記登録パターン毎に検索された上記電子番組ガイド情報を、上記登録パターン毎に上記ユーザの嗜好に合致した上記番組の内容を示す番組表として表示する番組表示手段と
を具える情報受信装置。」

<本件補正後の特許請求の範囲の請求項1>
「【請求項1】
番組の内容を示す電子番組ガイド情報の検索条件の設定種類を示す登録パターン毎にユーザにより当該登録パターンに応じて所望の番組の内容を示す上記電子番組ガイド情報を検索するために設定された出演者、キーワード、曜日、時刻、アイコン及びチャンネルを検索条件として格納した上記登録パターン毎の検索条件テーブルを予め登録する検索条件テーブル記憶手段と、
複数の上記電子番組ガイド情報が配信される毎に、当該配信された複数の上記電子番組ガイド情報を受信する受信手段と、
上記受信手段により複数の上記電子番組ガイド情報が受信される毎に、当該受信された複数の上記電子番組ガイド情報を記憶するようにして、当該記憶する上記電子番組ガイド情報を更新する電子番組ガイド情報記憶手段と、
上記電子番組ガイド情報記憶手段に記憶される上記電子番組ガイド情報が更新される毎に、当該電子番組ガイド情報記憶手段に記憶されている複数の上記電子番組ガイド情報の中から上記登録パターン毎に、当該登録パターンの上記検索条件テーブルに格納されている上記検索条件に合致する上記電子番組ガイド情報を検索する電子番組ガイド情報検索手段と、
ユーザにより所望の上記番組の内容を示す番組表の表示が指示されると共に、当該番組表の表示用に所望の上記登録パターンが指定されると、上記電子番組ガイド情報検索手段により上記登録パターン毎に検索された上記電子番組ガイド情報のうち、上記指定された上記登録パターンに応じて検索された上記電子番組ガイド情報を、上記ユーザの嗜好に合致した上記番組の内容を示す上記番組表として表示する番組表示手段と
を具える情報受信装置。」

2.本件補正に対する判断
本件補正のうちの上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「番組表示手段」が「番組表」を表示するタイミングを、「ユーザにより所望の上記番組の内容を示す番組表の表示が指示されると共に、当該番組表の表示用に所望の上記登録パターンが指定され」たときとし、該表示する「番組表」を、「指定された上記登録パターンに応じて検索された上記電子番組ガイド情報」に限定したものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(上記改正前の特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討するに、当審は、上記本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものとはいえないと判断する。
理由は以下のとおりである。

2-1.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の<本件補正後の特許請求の範囲の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。

2-2.引用例
(1)平成23年11月2日付けの拒絶理由通知に引用された「矢川雄一,個人の嗜好にあったテレビ番組を自動編成するエージェントの検討,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,1998年12月1日,Vol.98 No.437,pp.9?16」(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

あ.「ディジタル放送の有望なサービスの一つとして現在注目されているものに,先に述べたEPGサービスがある.これは放送局側が番組のタイトルや放送時間,内容などの番組に関する情報をデータ放送するサービスである.このデータを家庭にあるテレビやIRDなどが受信・再生することにより,ユーザはテレビ画面上で番組案内をみることができる.
・・・中略・・・
多チャンネル放送では,番組情報も大量になるため,ユーザが所望する番組を選択することが難しくなってしまう.EPGサービスでは,番組情報をデータ処理することによって,大量の番組情報からユーザが見たい番組に関する情報をフィルタリングすることができる[1][2].
・・・中略・・・また,番組を編成する際には,ユーザプロファイルとEPGサービスの番組情報を用いて,現在放送されている番組やこれから放送される番組のなかからユーザが好むと思われる番組をフィルタリングする.」(第10頁右欄第10行?第11頁右欄第1行)

い.「■マイ録画
「マイ録画」は,ユーザが番組を明示的に指定して録画する方法である.画面上に番組表を表示し,これをユーザが直接指定して番組予約する方法と,ジャンルや出演者及びキーワードを指定するなど,番組を間接的に予約する方法がある.ともにEPGサービスを活用する.図2で画像の中の“A”や“K”印はユーザが指定した出演者やキーワードがヒットして録画されたことを表す.無印は直接指定による.」(第11頁右欄第32行?第第40行)

う.「図3に開発システムの構成を示す.放送局側の送出システムから放送されるテレビ番組を家庭にある新映像情報機器で受けるという構成になっている.新映像情報機器は,ホームサーバを含み,ディスプレイとリモコンを備えており,複数のディジタル情報家電を組み合わせたシステム的な位置づけにある.・・・中略・・・
番組紹介エージェントでは,ガイドエージェントから,随時、番組・シーンインデックスを入手する.また,嗜好分析エージェントに問い合わせを行い,ユーザの嗜好に関する情報(ユーザプロファイル)を受け取る.そして,番組・シーンインデックスとユーザプロファイルをもとに各番組がユーザの嗜好に合うかどうかを評価し,その結果をもとに番組の編成を決定する.
インタフェースエージェントでは,その番組編成の結果を受け取り,それをユーザに提示する.」(第12頁右欄第19行?第13頁左欄第5行)

ここで、上記各記載事項を関連図面及び各種常識に照らせば、以下のことがいえる。

(ア)上記記載事項中の「フィルタリング」を行う装置は、上記記載事項「い.」で「マイ録画」として例が示されるように、ユーザがジャンルや出演者及びキーワードなどを検索条件としてあらかじめ指定しておくことで、所望の番組の内容を示す番組情報を検索(フィルタリング)する機能を有しているから、該装置は当然に、ユーザにより所望の番組の内容を示す番組情報を検索するために設定されたジャンルや出演者及びキーワードなどを検索条件として格納した、検索条件テーブルとも呼び得るテーブルを予め登録する手段、および、該検索条件テーブルとも呼び得るテーブルに登録されている検索条件に合致する番組情報を検索する手段を、有している。
(イ)上記「フィルタリング」を行う装置は、所望の番組の内容を示す番組情報を検索するために必要な情報(番組情報)である、番組に関する情報を「放送局側」から随時受け取るから、該装置は当然に、情報(番組情報)が配信される毎に受信する手段、および、受信する毎に情報(番組情報)を記憶更新する手段を有している。
(ウ)上記「フィルタリング」を行う装置は、図1や図3に示されるように録画蓄積を中心機能とする機器のみならずテレビ機器への適用ができる装置であり、装置が検索した番組情報をユーザに提示する機能を有しているから、該装置は、検索された番組情報を「ユーザの嗜好に合致した番組の内容を示す番組表」として表示する手段を有している。

したがって、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1記載発明」という。)が記載されているといえる。

「ユーザにより所望の番組の内容を示す番組情報を検索するために設定された、ジャンルや出演者及びキーワードを検索条件として格納した検索条件テーブルを予め登録する手段と、
放送局側から複数の番組情報が配信される毎に、当該配信された複数の番組情報を受信する手段と、
上記番組情報を受信する毎に、当該受信した番組情報を記憶し更新する手段と、
当該検索条件テーブルに登録されている上記検索条件に合致する番組情報を検索する手段と、
検索された番組情報を、ユーザの嗜好に合致した番組の内容を示す番組表として表示する手段とを具えるフィルタリング装置。」

(2)平成23年11月2日付けの拒絶理由通知に引用された特開平11-8810号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

え.「【0061】EPGのUI170はまた、予め定めた質問ボタン202-210を与える。これらの質問ボタンを作動すると、EPGデータベース72の質問をトリガして、予め定めた質問パラメータを満足するプログラムを識別する。EPG106は、視聴者が自分自身の質問を作成し、またEPGのUI170上に使用頻度の高い質問からの迅速な検索のためのソフト・ボタンを作ることを可能にする。例えば、EPGのUI170は、お気に入りのプログラム、スタートレック・プログラム、コメディ、オプラ・ショー(Oprah Show)、古い映画に対する質問を示している。“お気に入り”の質問ボタン202は、視聴者が“お気に入りに追加”のボタン200を用いてお気に入りとして識別した、又は、EPGによって自動的にお気に入りと定めたプログラムのリストを呼び出す。“スタートレック”の質問ボタン204と“オプラ”の質問ボタン208とは、特定の時間フレーム内で放映されている全てのスタートレックとオプラ番組に対するEPGデータベース72の質問を開始させる。チャンネルの数が増大し、プログラムが劇的に増えるにしたがって、複数の異なったチャンネルが、スタートレック又はオプラを、同時に又は異なった時刻に放映している可能性がある。“コメディ”の質問ボタン206は、全てのコメディ・プログラムに対するEPGデータベース72の質問を開始させる。“古い映画”の質問ボタン210は、放映されている全ての古い映画を探し出す。
【0062】予め定めた質問ボタンのいくつかは、“コメディ”や“古い映画”などの予め設定したカテゴリであり、他方で、“スタートレック”や“オプラ”のボタンのように視聴者が定めるその他の質問ボタンもある。予め設定したカテゴリのボタンは、それによって視聴者が利用可能なカテゴリのリストにカテゴリを新たに加えたりそこから削除したりすることを可能にする別個のウィンドウを介して、EPGのUIに対して、追加及び削除ができる。」

お.「【0066】EPGのUI170はまた、視聴者が自分自身の質問を作成するのに用いる“ファインド(Find)”ボタン212を提供している。“ファインド”ボタン212を作動すると、視聴者が質問を作成するのを助ける別のUIウィンドウを開く。図7には、ファインド・ウィンドウ220の例を示している。ファインド・ウィンドウ220は、視聴者がサーチをするための様々なサーチ・パラメータを有する。この例では、視聴者は、プログラムのジャンルをジャンル・ボックス222から、プログラムのサブジャンルをサブジャンル・ボックス224から、評価(rating)を評価ボックス226から、ネットワーク名をネットワーク・ボックス228から、プログラム名をプログラム・ボックス230から、選択することができる。これらのパラメータに基づき、EPGは、質問を作成し、EPGデータベース72をサーチして、その質問を満足するプログラムを探し出す。ファインド・ウィンドウは、2つの相互に排他的なタイプの質問の作成をサポートする。すなわち、サーチ・パラメータを満足する全てのプログラムを探し出す“見つける(Find)”の質問と、パラメータを満足しない全てのプログラムを探し出す“逆を全て見つける(find all except)”の質問と、である。この例では、EPGは、PGの評価付きのアクション映画というパラメータを満足する3つのプログラムを探し出した“見つける”の質問を作成している。
【0067】更に進んだ質問を作成するには、視聴者は、アドバンスト(Advanced)質問ボタン232を選択することができる。図8には、アドバンスト・ファインド(Advanced Find)ウィンドウ240の例を示している。これを用いると、視聴者は、特定化した質問を作成し、その質問をタブ・フォルダ(tabbed folder)構成に編成することができる。この例では、視聴者は、“G評価”プログラム、“アクション”プログラム、“非SF”プログラムに関する3つのアドバンスト質問を定めている。アドバンスト・ファインド・ウィンドウ240は、ジャンル、サブジャンル、評価、ネットワーク名、チャンネル、プログラム名、時間帯などのパラメータを含む。新たなパラメータがEPGデータベースに追加されると、アドバンスト・ファインド・ウィンドウ240における新たなコントロールも同様に追加する。これによると、視聴者はキーワードを定めることもできる。この例では、視聴者は、午後5時から午後8時の間にHBOで放映されるジェームズ・ボンドのアクション映画を全て見つけたいと思っている。したがって、視聴者は、キーワードに“ボンド”と入力して、質問を実行する。視聴者が、ショーン・コネリーが出演している特定のボンド映画を見つけたいと思っている場合には、“ボンドANDコネリー”というブール代数的なサーチを、アドバンスト・ファインド・ウィンドウのキーワード・コントロールに入力すればよい。
・・・中略・・・
【0069】“タブ追加(Add Tab)”ボタン242と“タブ削除(Remove Tab)”ボタン244とを用いると、視聴者は、質問を管理することができる。視聴者はまた、“セーブ(Save)”ボタン246をクリックすることによって、質問をセーブできる。好ましくは、質問は、EPGデータベースの階層的な質問構造内にセーブする。これにより、視聴者は、質問のディレクトリやサブディレクトリを定めることができる。質問を階層構造に編成することは効果的であるが、その理由は、階層構造はビューア・コンピューティングユニットのコンピュータ・サイドに一致し、コンピュータ上で動いているメモリ管理アプリケーションやツールにそれ自体を役立てることができるからである。セーブされた質問の数が増大したら、質問ディレクトリは、パーソナル・コンピュータにおいて一般的であるように、他のデータ・ファイル・ディレクトリと同じようにサーチし、特定の質問を探し出すことができる。また、質問構造を、ディレクトリ、サブディレクトリ、質問という階層を示した編成チャートとして、UIにおいて視聴者に提供することもできる。個々の質問は、アイコンとしてセーブすることができる。質問を呼び出すには、ユーザは、そのアイコンを作動する。」

上記記載によれば、引用例2には、「検索条件(質問)の設定種類を示す登録パターン毎に、異なる検索条件(質問)をあらかじめ登録可能にする」とともに、「登録パターン毎の検索」を可能とし、「指定された登録パターンに応じた検索結果(個々の質問を呼び出して検索した、質問を満足するプログラム)をユーザの嗜好に合致した番組の内容を示す表として表示する」技術(以下、「引用例2記載技術」という。)が記載されているといえる。

2-3.対比
本願補正発明と引用例1記載発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(1)引用例1記載発明の「番組情報」、「受信する手段」、「記憶し更新する手段」、および「フィルタリング装置」はそれぞれ、本願補正発明の「電子番組ガイド情報」、「受信手段」、「電子番組ガイド情報記憶手段」、および「情報受信装置」に相当する。
(2)引用例1記載発明の「検索条件テーブル」に格納される検索条件と本願補正発明の「検索条件テーブル」に格納される検索条件とは、「所望の番組を検索するための条件」である点で共通し、また引用例1記載発明の「検索条件テーブルを予め登録する手段」と本願補正発明の「検索条件テーブル記憶手段」とは、当該「検索条件テーブル」を予め登録する「テーブル記憶手段」である点で共通する。
(3)引用例1記載発明の「検索する手段」と本願補正発明の「電子番組ガイド情報検索手段」とは、電子番組ガイド情報記憶手段(記憶し更新する手段)に記憶されている複数の電子番組ガイド情報(番組情報)の中から、検索条件テーブルに格納されている検索条件に合致する電子番組ガイド情報(番組情報)を検索する「検索手段」である点で共通する。
(4)引用例1記載発明の「表示する手段」と本願補正発明の「番組表示手段」とは、「電子番組ガイド情報検索手段」(検索する手段)により検索された電子番組ガイド情報(番組情報)をユーザの嗜好に合致した番組の内容を示す番組表として表示する「表示手段」である点で共通する。

したがって、本願補正発明と引用例1記載発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「ユーザにより所望の番組の内容を示す電子番組ガイド情報を検索するために設定された、所望の番組を検索するための条件を検索条件として格納した検索条件テーブルを予め登録するテーブル記憶手段と、
複数の上記電子番組ガイド情報が配信される毎に、当該配信された複数の上記電子番組ガイド情報を受信する受信手段と、
上記受信手段により複数の電子番組ガイド情報が受信される毎に、当該受信された複数の上記電子番組ガイド情報を記憶するようにして、当該記憶する上記電子番組ガイド情報を更新する電子番組ガイド情報記憶手段と、
当該電子番組ガイド情報記憶手段に記憶されている複数の上記電子番組ガイド情報の中から上記検索条件テーブルに格納されている上記検索条件に合致する上記電子番組ガイド情報を検索する検索手段と、
上記検索手段により検索された上記電子番組ガイド情報を、上記ユーザの嗜好に合致した上記番組の内容を示す上記番組表として表示する表示手段と
を具える情報受信装置。」

(相違点1)
本願補正発明の「テーブル記憶手段」(検索条件テーブル記憶手段)は、「検索条件の設定種類を示す登録パターン毎に」ユーザにより設定される「登録パターンに応じて」設定された「登録パターン毎の」検索条件テーブルを登録するものであり、それに伴い、本願補正発明の「検索手段」(電子番組ガイド情報検索手段)は、「登録パターン毎に」検索を行うものであるのに対し、引用例1記載発明の「テーブル記憶手段」(検索条件テーブルを予め登録する手段)は、「検索条件の設定種類を示す登録パターン毎に」ユーザにより設定される「登録パターンに応じて」設定された「登録パターン毎の」検索条件テーブルを登録するものではなく、それに伴い、「検索手段」(検索する手段)も、「登録パターン毎に」検索を行うものではない点。

(相違点2)
本願補正発明の「検索手段」(電子番組ガイド情報検索手段)は、「電子番組ガイド情報記憶手段に記憶される電子番組ガイド情報が更新される毎」に検索を行うのに対し、引用例1記載発明の「検索手段」(検索する手段)は、「電子番組ガイド情報記憶手段に記憶される電子番組ガイド情報が更新される毎」に検索を行うものではない点。

(相違点3)
本願補正発明のユーザにより設定される「所望の番組を検索するための条件」は、「出演者、キーワード、曜日、時刻、アイコン及びチャンネル」であるのに対し、引用例1記載発明のユーザにより設定される「所望の番組を検索するための条件」は、「出演者、キーワード、曜日、時刻、アイコン及びチャンネル」ではない点。

(相違点4)
本願補正発明の「表示手段」(番組表示手段)が番組表を表示するタイミングは、「ユーザにより所望の上記番組の内容を示す番組表の表示が指示されると共に、当該番組表の表示用に所望の上記登録パターンが指定され」たときであり、それに伴い、「表示手段」(番組表示手段)は、「登録パターン毎に」検索された電子番組ガイド情報のうち「指定された登録パターンに応じて検索された電子番組ガイド情報」を番組表として表示するものであるのに対し、引用例1記載発明の「表示手段」(表示する手段)が番組表を表示するタイミングは、「ユーザにより所望の上記番組の内容を示す番組表の表示が指示されると共に、当該番組表の表示用に所望の上記登録パターンが指定され」たときではなく、「表示手段」(表示する手段)も、「登録パターン毎に」検索された電子番組ガイド情報のうち「指定された登録パターンに応じて検索された電子番組ガイド情報」を番組表として表示するものではない点。

2-4.判断
上記相違点について検討する。

(相違点1)について
以下の事情を勘案すると、引用例1記載発明の「テーブル記憶手段」(検索条件テーブルを予め登録する手段)を、「検索条件の設定種類を示す登録パターン毎に」ユーザにより設定される「登録パターンに応じて」設定された「登録パターン毎の」検索条件テーブルを登録するものとし、それに伴い、「検索手段」(検索する手段)を、「登録パターン毎に」検索を行うものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(あ)ユーザが検索条件を設定登録可能な装置において、「検索条件の設定種類を示す登録パターン毎に、異なる検索条件をあらかじめ登録可能にする」こと、および「登録パターン毎の検索を行う」ことは、いずれも、上記「2-2.」の「(2)」において引用例2記載技術として摘記されるように公知の技術である。
(い)引用例1記載発明もユーザが検索条件を設定登録可能な装置であり、そこにおいても上記(あ)に示した公知の技術を用いて、検索条件の設定種類を示す登録パターン毎に、異なる検索条件をあらかじめ登録可能にすること、および、該登録パターン毎の独立した検索を可能とすることが有用な場合があることは当業者に自明であるし、またそのようにできない理由もない。
(う)上記(あ)?(い)のことは、取りも直さず、引用例1記載発明の「テーブル記憶手段」(検索条件テーブルを予め登録する手段)を、「検索条件の設定種類を示す登録パターン毎に」ユーザにより設定される「登録パターンに応じて」設定された「登録パターン毎の」検索条件テーブルを登録するものとし、それに伴い、「検索手段」(検索する手段)を、「登録パターン毎に」検索を行うものとすることが当業者にとって容易であったことを意味している。

(相違点2)について
以下の事情を勘案すると、引用例1記載発明の「検索手段」(検索する手段)を、「電子番組ガイド情報記憶手段に記憶される電子番組ガイド情報が更新される毎」に検索を行うものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(あ)情報処理一般において、あらかじめ設定登録された処理をユーザの指定を受けて実行し、処理結果が得られてから表示するようにするか、あらかじめ設定登録された処理を自動的に行うとともに得られた結果を保存しておき、該保存しておいた結果をユーザの指定を受けて迅速に表示できるようにするかは、当業者が設計事項として適宜実施すべき事項にすぎない。
(い)検索装置において、あらかじめ設定登録された検索条件による検索処理を自動的に行うようにした場合においては、検索対象となる情報に変更がない時には検索処理を繰り返す必要がないことは当業者に自明であるし、検索対象となる情報に変更があった時には速やかに検索処理を行って最新の検索結果を得ておく必要があることも当業者に自明である。
(う)上記(あ)?(い)のことは、取りも直さず、引用例1記載発明の「検索手段」(検索する手段)を、「電子番組ガイド情報記憶手段に記憶される電子番組ガイド情報が更新される毎」に検索を行うものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(相違点3)について
一般に「電子番組ガイド情報」から「所望の番組を検索するための条件」として設定可能な項目に何を選択するかは、当業者が設計事項として適宜実施すべき事項にすぎないことを鑑みれば、引用例1記載発明のユーザにより設定される「所望の番組を検索するための条件」を、「出演者、キーワード、曜日、時刻、アイコン及びチャンネル」とすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。

(相違点4)について
以下の事情を勘案すると、引用例1記載発明の「表示手段」(表示する手段)が番組表を表示するタイミングを、「ユーザにより所望の上記番組の内容を示す番組表の表示が指示されると共に、当該番組表の表示用に所望の上記登録パターンが指定され」たときとし、それに伴い、「表示手段」(表示する手段)を、「登録パターン毎に」検索された電子番組ガイド情報のうち「指定された登録パターンに応じて検索された電子番組ガイド情報」を番組表として表示するものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(あ)テレビ等の表示機器において、ユーザから番組表を表示させるための指示を受けた時に番組表を表示するよう制御することは、ごく一般に行われていることである。
(い)また、複数種類の検索条件をユーザが設定登録可能な検索装置において、ユーザが登録している複数の検索条件のうち、指定された検索条件に対する検索結果を表示するよう制御することは、例えば上記「2-2.」の「(2)」において引用例2記載技術として摘記されるように、公知の技術である。
(う)上記「(相違点1)について」で検討したところにしたがって、引用例1記載発明の「テーブル記憶手段」(検索条件テーブルを予め登録する手段)を、「検索条件の設定種類を示す登録パターン毎に」ユーザにより設定される「登録パターンに応じて」設定された「登録パターン毎の」検索条件テーブルを登録するものとした場合においては、上記(あ)のようなユーザからの番組表を表示させるための指示に加え、上記(い)のような「どの登録パターンに対応する番組表を表示させるか」という指定をユーザから受けて、当該「指定された登録パターンに応じた検索結果をユーザの嗜好に合致した番組表として表示」するように制御することが自然であるし、またそのようにできない理由はない。
(え)上記(あ)?(う)のことは、取りも直さず、引用例1記載発明の「表示手段」(表示する手段)が番組表を表示するタイミングを、「ユーザにより所望の上記番組の内容を示す番組表の表示が指示されると共に、当該番組表の表示用に所望の上記登録パターンが指定され」たときとし、それに伴い、「表示手段」(表示する手段)を、「登録パターン毎に」検索された電子番組ガイド情報のうち「指定された登録パターンに応じて検索された電子番組ガイド情報」を番組表として表示するものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(本願補正発明の効果について)
本願補正発明の奏する効果は、引用例1記載発明及び上述した公知の技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用例1記載発明及び上述した公知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年10月11日付け手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものである。
そして、その平成23年10月11日付け手続補正書の請求項1に記載された事項は、前記「第2」の「1.」の<本件補正前の特許請求の範囲の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2」の「2.」の「2-2.」の項に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」の「2.」の項に記載したとおり、引用例1記載発明及び公知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1記載発明及び公知の技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載発明及び公知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-03 
結審通知日 2012-02-07 
審決日 2012-02-20 
出願番号 特願平11-197769
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
P 1 8・ 575- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀田 馨  
特許庁審判長 岩崎 伸二
特許庁審判官 小曳 満昭
加内 慎也
発明の名称 情報受信装置及び情報受信装置の情報受信方法  
代理人 田辺 恵基  

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