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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41F |
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管理番号 | 1255717 |
審判番号 | 不服2011-616 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-01-11 |
確定日 | 2012-04-20 |
事件の表示 | 特願2001- 40396「スクリーン印刷機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月28日出願公開、特開2002-240237〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成13年2月16日の出願であって、平成22年5月25日付け拒絶理由通知に対して、同年8月10日に意見書が提出されたが、同年9月16日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、平成23年1月11日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。 その後、当審において、平成23年9月28日付けで拒絶の理由を通知したところ、同年11月28日に手続補正がなされ、さらに、同年12月9日付けで拒絶の理由(最後)を通知したところ、平成24年2月13日に意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成23年11月28日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3記載された事項により特定されるとおりものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 スクリーン印刷用のスクリーンを支持し、スクリーン印刷機本体に前記スクリーンの印刷面と平行な方向に往復動自在に取り付けられたスクリーン支持枠と、このスクリーン支持枠に支持されたスクリーンの上方に配され、前記スクリーンの上面に沿って前記スクリーン支持枠と同一方向に往復動するスキージヘッドとを備えたスクリーン印刷機であって、前記スキージヘッドが前記スクリーン支持枠に該スクリーン支持枠の移動方向と同一方向に往復動自在に取り付けられ、前記スキージヘッドを往復動させる駆動源が前記スクリーン支持枠に固定され、且つ前記スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラが前記スキージヘッド上に設けられたことを特徴とするスクリーン印刷機。」(下線は審決で付した。以下同じ。) 第3 引用文献に記載の事項 当審の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である実願昭60-10768号(実開昭61-128029号)のマイクロフィルム(以下「引用文献1」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。 1 「〔産業上の利用分野〕 本考案は位置合わせ機構付印刷機、特に印刷スクリーンにより転写される印刷パターンと被印刷物との間に精密な位置合わせが要求される位置合わせ機構付印刷機に関する。」(第2頁第2ないし6行) 2 「「第1図に示す位置決め機構付印刷機は、印刷スクリーン保持枠1と、XYθテーブル2及びその上に設置されたワークテーブル3とスキージ4とスクリーン保持枠移動機構5とXYステージ9と、スケール10・11と、顕微鏡12と、マイクロコンピュータ13とを含んで構成されている。 ここで、印刷スクリーン保持枠1は印刷スクリーン6を固定・保持してスクリーン保持枠移動機構5により第2図に示す通りワークテーブル3上方へ移動可能であり、ワークテーブル3は被印刷物7を固定して保持し、XYθテーブル2により位置調整可能であり、またスキージ4は左右に移動する事により印刷スクリーン6上のペースト8を伸ばして被印刷物7に印刷パターンを転写するものである。 顕微鏡12はXYステージ9の先端に固定されており、XYステージ9を手動操作によって移動する事により、位置合わせ用マークを顕微鏡視野内の定点に位置決めする事が可能であり、この時のXYステージ9移動量はXY方向各々スケール10・11によって測定可能である。」(第5頁第16行ないし第6頁第16行) 3 「以下本考案の位置合わせ機構付印刷機の動作を順を追って説明する。まず、第1図の状態で位置合わせ用マーク14、15をもつ印刷スクリーン6を印刷スクリーン保持枠1に、位置合わせ用マーク16、17をもつ被印刷部7をワークテーブル3に固定・保持し、印刷スクリーン6上にペースト8を塗った後に印刷スクリーン保持枠1を移動して第4図の状態にする。ここで、第2図に示す通り顕微鏡12を覗きつつ手動操作でXYステージ9を移動する事によりスクリーン6上の位置合わせ用マーク14を顕微鏡視野内の定点に位置決めし、その時のスケール10・11の値をマイクロコンピュータ13に記憶させる。同様の操作を位置合わせマーク15に関しても行う。 次に印刷スクリーン保持枠1を移動して第3図の状態にし、再び顕微鏡12を覗きつつ手動操作でXYステージ9を移動することにより被印刷物上の位置合わせマーク16を顕微鏡視野内の定点に位置決めし、その時のスケール10・11の値をマイクロコンピュータ13に記憶させる。同様の操作を位置合わせマーク17に関しても行う。 ・・・(略)・・・ 次に、スクリーン保持枠1を移動して図4の状態にし、スキージ4を移動してスクリーン上のペースト8を伸ばす事により印刷される。」(第7頁第1行ないし第8頁第11行) 4 上記2の「スキージ4は左右に移動する事により印刷スクリーン6上のペースト8を伸ばして被印刷物7に印刷パターンを転写するものである。」との記載から、「スキージ4」は印刷スクリーン6上を左右に移動することになる。 5 第1ないし4図から、以下の事項が読み取れる。 (1)「印刷スクリーン保持枠1」は、 スクリーン保持枠移動機構5に案内されて、スクリーン保持枠移動機構5上を往復移動すること。 (2)「スキージ4」は、 印刷スクリーン保持枠1上に左右に移動可能に支持された「印刷スクリーン6の上方にオーバーハングする構造物」と、その構造物の下面に配置された印刷スクリーン6上のペースト8を伸ばすための「板状部材」とを含み、印刷スクリーン保持枠1の移動方向と同一方向に印刷スクリーン6上を左右に移動すること。 6 上記記載から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「印刷スクリーン保持枠移動機構に案内されて、往復移動する印刷スクリーン保持枠と、 印刷スクリーン保持枠上に左右に移動可能に支持され、印刷スクリーン保持枠の移動方向と同一方向に印刷スクリーン上を左右に移動するスキージと、 印刷スクリーン上の位置合わせ用マークに基づいて位置合わせを行うための顕微鏡と、を含む、 位置決め機構付印刷機。」 第4 対比・判断 1 対比 (1)引用発明の「印刷スクリーン」は本願発明の「スクリーン」に相当し、同様に、 「印刷スクリーン保持枠」は「スクリーン支持枠」に、 「往復移動する」は「往復動」に、 「スキージ」は「スキージヘッド」に、 「同一方向」は「同一方向」に、 「印刷スクリーン上の位置合わせ用マーク」は「スクリーンの位置認識用マーク」に、それぞれ、相当する。 (2)引用発明の「位置決め機構付印刷機」は、 「印刷スクリーン」と「スキージ」とを含むことから「スクリーン印刷機」といえる。 (3)引用発明の「印刷スクリーン保持枠」は、 「印刷スクリーン保持枠移動機構に案内されて、スクリーン保持枠移動機構上を往復移動する」から、本体である「位置決め機構付印刷機」に取り付けられていることは、当業者にとって明らかである。 また、「印刷スクリーン保持枠」の往復移動する方向が「スクリーンの印刷面と平行な方向」であることも、当業者にとって明らかである。 してみれば、引用発明と本願発明とは「スクリーン印刷用のスクリーンを支持し、スクリーン印刷機本体にスクリーンの印刷面と平行な方向に往復動自在に取り付けられたスクリーン支持枠」で一致する。 (4)引用発明の「スキージ」は、 「印刷スクリーン保持枠上に左右に移動可能に支持され、印刷スクリーン保持枠の移動方向と同一方向に印刷スクリーン上を左右に移動する」ものであるから、 引用発明と本願発明とは「スクリーン支持枠に支持されたスクリーンの上方に配され、前記スクリーンの上面に沿って前記スクリーン支持枠と同一方向に往復動するスキージヘッド」で一致する。 (5)また、引用発明の「印刷スクリーン上の位置合わせ用マークに基づいて位置合わせを行うための顕微鏡」と本願発明の「スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラ」とは、 「スクリーンの位置認識用マークを光学的に捕らえるための装置」で共通する。 (6)してみると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「スクリーン印刷用のスクリーンを支持し、スクリーン印刷機本体にスクリーンの印刷面と平行な方向に往復動自在に取り付けられたスクリーン支持枠と、 このスクリーン支持枠に支持されたスクリーンの上方に配され、スクリーンの上面に沿ってスクリーン支持枠と同一方向に往復動するスキージヘッドとを備えたスクリーン印刷機であって、 スキージヘッドがスクリーン支持枠にスクリーン支持枠の移動方向と同一方向に往復動自在に取り付けられ、 且つスクリーンの位置認識用マークを光学的に捕らえるための装置を備えた、 スクリーン印刷機。」 (7)一方で、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。 <相違点1> 「スキージヘッド」の駆動手段及びその固定位置に関し 本願発明が「駆動源がスクリーン支持枠に固定され」ているのに対して、 引用発明では、駆動手段及びその固定位置が不明である点。 <相違点2> 位置認識用マークを光学的に捕らえるための装置に関し 本願発明が「カメラ」であり、かつ「スキージヘッド上に設けられた」ものであるのに対して、 引用発明では、カメラではなく顕微鏡であり、かつスキージヘッド上に設けらていない点。 2 判断 (1)上記<相違点1>について検討する。 ア スキージヘッドを往復動させるモータ等をスクリーン支持枠に固定することは、本願出願前に周知である(例えば、 (ア)特開平6-262750号公報の図1を参照。 「モータ13」が「駆動源」に相当する。 (イ)特開平5-293948号公報の図1を参照。 「モータ13」が「駆動源」に相当する。 (ウ)特開平4-286646号公報の図1を参照。 「モータ13」が「駆動源」に相当する。 (エ)特開平4-199779号公報の第1図を参照。 「モータ11」が「駆動源」に相当する。 (オ)特開平2-143860号公報の第2図を参照。 「シリンダ12」が「駆動源」に相当する。 以下「周知技術1」という。)。 イ してみれば、引用発明の「スキージヘッド(スキージ)」を往復動させるためのモータ等をスクリーン支持枠(印刷スクリーン保持枠)に固定することは、当業者が上記周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。 ウ 上記イのようにした引用発明の「スキージヘッドの駆動手段及びその固定位置」は「駆動源がスクリーン支持枠に固定され」たものとなる。 エ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点1>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が上記周知技術1に基づいて容易になし得たことである。 (2)上記<相違点2>について検討する。 ア スキージヘッド上に「スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラ」を設けることは、本願出願前に周知である(例えば、 (ア)特開2000-211108号公報の【0013】ないし【0015】及び図1を参照。 「第2撮像手段5」の「カメラ21」が「スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラ」に相当する。 (イ)特開平10-58649号公報の【0016】ないし【0018】及び図1を参照。 「第2撮像手段5」の「カメラ21」が「スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラ」に相当する。 (ウ)特開平10-44370号公報の【0023】ないし【0025】及び図1を参照。 「第2撮像手段5」の「カメラ19」が「スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラ」に相当する。 (エ)特開平6-134967号公報の【0044】及び図2を参照。 「TVカメラ40」が「スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラ」に相当し、スキージ11の移動機構とTVカメラ40の移動機構を共用化する旨記載されている。 (オ)特開平5-131610号公報の【0015】、【0024】及び図2を参照。 「TVカメラ40」が「スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラ」に相当し、撮像手段に専用のX-Yテーブルを設ける必要がない旨記載されている。 以下「周知技術2」という。)。 イ 引用発明の「顕微鏡」と上記周知技術2の「カメラ」は、ともに「スクリーンの位置認識用マークを光学的に捕らえるための装置」であることから、引用発明の「顕微鏡」に代えて、引用発明の「スキージヘッド(スキージ)」上に「スクリーンの位置認識用マークを撮像するカメラ」を設けることは、当業者が上記周知技術2に基づいて適宜なし得たことである。 ウ 上記イのようにした引用発明の「位置認識用マークを光学的に捕らえるための装置」は「カメラ」となり、かつ「スキージヘッド上に設けられた」ものとなる。 エ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点2>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が上記周知技術2に基づいて容易になし得たことである。 (3)また、本願発明の奏する効果も、当業者が引用発明の奏する効果、周知技術1の奏する効果及び周知技術2の奏する効果から予測し得る範囲内のものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献1に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-20 |
結審通知日 | 2012-02-21 |
審決日 | 2012-03-05 |
出願番号 | 特願2001-40396(P2001-40396) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B41F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 國田 正久 |
特許庁審判長 |
長島 和子 |
特許庁審判官 |
星野 浩一 東 治企 |
発明の名称 | スクリーン印刷機 |
代理人 | 相澤 清隆 |