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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61K |
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管理番号 | 1255889 |
審判番号 | 不服2010-963 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-01-15 |
確定日 | 2012-05-15 |
事件の表示 | 特願2003-515195「亜塩素酸塩および過酸化水素を含有する相乗的抗菌性眼科用および皮膚科用製剤」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月 6日国際公開、WO03/09802、平成16年12月 2日国内公表、特表2004-536137、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、2002年6月24日(パリ条約による優先権主張 2001年7月23日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1?5に係る発明は、平成21年4月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものであると認める。 「 【請求項1】 約0.02重量%?約0.20重量%の亜塩素酸ナトリウムおよび約0.005重量%?約0.01重量%の過酸化水素を含有し、pHが約7.4?約7.8であって、細菌性角膜炎の治療のために生物の目に直接適用する抗菌性液体眼科用組成物において、保存時に二酸化塩素が発生しない、抗菌性液体眼科用組成物。 【請求項2】 非イオン性ポリマー潤滑剤、陰イオン性ポリマー潤滑剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される潤滑剤を更に含む、請求項1に記載の抗菌性液体眼科用組成物。 【請求項3】 ブロック重合体を基剤とする界面活性剤を更に含む、請求項2に記載の抗菌性液体眼科用組成物。 【請求項4】 亜塩素酸ナトリウムを0.005重量%?0.10重量%と、 過酸化水素を0.005重量%?0.01重量%と、 潤滑剤を0.05重量%?0.2重量%と、 ホウ酸を0.15重量%と、 塩化ナトリウムを0.75重量%と、 界面活性剤を0.05重量%?0.2重量%と、 HClまたはNaOHをpH調整用の分量と、 精製水を容積を合わせるのに十分な量とで含有する、請求項3に記載の抗菌性液体眼科用組成物。 【請求項5】 約0.001重量%?約0.50重量%のヒアルロン酸を更に含む、請求項4に記載の抗菌性液体眼科用組成物。」 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、 ・本願請求項1?5に係る発明は、その優先権主張の日前に頒布された刊行物である、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない ・本願請求項1?5に係る発明は、その優先権主張の日前に頒布された刊行物である、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない ・本願請求項1?5に係る発明は、その優先権主張の日前に頒布された刊行物である、引用文献1?2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない というものである。 3.当審の判断 (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開第00/19981号)には、約0.02重量%?約0.20重量%の亜塩素酸ナトリウムおよび約0.005重量%?約0.01重量%の過酸化水素を含有し、pHが7.4である組成物(16頁FORMULA 1、クレーム1及び5など)が記載されており、当該組成物が眼科用として用いられること(21頁28行?23頁12行のEXAMPLE 6)、貯蔵中に二酸化塩素を生成しないこと(14頁30?32行)、本発明の広いスペクトルの抗菌剤が角膜表面を細菌感染から守ること(12頁34?36行)が記載されている。 しかしながら、当該組成物を細菌性角膜炎の治療のために目に直接適用した場合、殺菌作用だけでなく、炎症、充血及び角膜浮腫を抑制する作用があること(本願明細書の【0071】段落、【表4】参照)は、引用文献1には記載されておらず、また、引用文献1の記載事項から当業者がこれを予測できたものということはできない。 したがって、本願請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に該当せず、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2)同じく引用文献2(特表昭60-500572号公報)には、過酸化水素の水溶液に、亜塩素酸ナトリウムの水溶液を加えて調整された組成物(請求項1、6頁右上欄実施例)が記載されているが、この組成物を眼科用に用いることは記載されていない。 したがって、本願請求項1に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)上記のとおりであるから、請求項1に係る発明について、更に発明特定事項を加えたものである請求項2?5に係る発明も、引用文献1に記載された発明に該当せず、また、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2012-04-19 |
出願番号 | 特願2003-515195(P2003-515195) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A61K)
P 1 8・ 113- WY (A61K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 澤田 浩平 |
特許庁審判長 |
横尾 俊一 |
特許庁審判官 |
田名部 拓也 穴吹 智子 |
発明の名称 | 亜塩素酸塩および過酸化水素を含有する相乗的抗菌性眼科用および皮膚科用製剤 |
代理人 | 本田 淳 |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 博宣 |