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審決分類 審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1255944
審判番号 不服2010-27096  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-30 
確定日 2012-04-26 
事件の表示 特願2010- 93366「演出制御基板、遊技機およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月15日出願公開、特開2010-155150〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成19年4月5日に特許出願した特願2007-99787号(以下「原出願」という。)の一部を平成22年4月14日に新たな特許出願として出願した特願2010-93366号(以下「本願」という。)であって、平成22年9月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成22年11月30日付けで審判請求がなされたものである。

第2.本願の請求項1?5に係る発明
本願の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ、順に「本願発明1」?「本願発明5」という。)は、平成22年7月21日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
主制御基板から出力されるコマンドに応じた所定の演出制御をおこなう演出制御基板であって、
エラーコマンドを受信するエラーコマンド受信手段と、
前記エラーコマンド受信手段によって前記エラーコマンドが受信されるごとに、あらかじめ定められた所定時間が経過するまで、または前記エラーコマンドの終了コマンドが受信されるまで(以下「報知時間中」という)、前記エラーコマンドに基づく音声およびランプの点灯によるエラー報知を継続しておこなうエラー報知制御手段と、
前記エラーコマンド受信手段によってエラーコマンド(以下「受信エラーコマンド」という)を受信した際、前記エラー報知制御手段がすでに他のエラーコマンド(以下「実行中エラーコマンド」という)に基づくエラー報知をおこなっている場合に、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドとのあらかじめ定められた優先順位を比較する比較手段と、を備え、
前記エラー報知制御手段は、前記比較手段によって比較された結果、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドとが同じ優先順位である場合または前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が低い場合に、前記実行中エラーコマンドに基づく報知が終了した時点で前記受信エラーコマンドの前記報知時間中であれば、当該受信エラーコマンドに基づく報知を開始し、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を継続しておこなうことを特徴とする演出制御基板。
【請求項2】
前記エラー報知制御手段は、前記比較手段によって比較された結果、前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が高い場合にのみ、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を前記実行中エラーコマンドに基づく報知に代えておこなうことを特徴とする請求項1に記載の演出制御基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の演出制御基板を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
主制御基板から出力されるコマンドに応じた所定の演出制御をおこなう演出制御基板に実行させるプログラムであって、
エラーコマンドを受信するエラーコマンド受信工程と、
前記エラーコマンド受信工程によって前記エラーコマンドが受信されるごとに、あらかじめ定められた所定時間が経過するまで、または前記エラーコマンドの終了コマンドが受信されるまで(以下「報知時間中」という)、前記エラーコマンドに基づく音声およびランプの点灯によるエラー報知を継続しておこなうエラー報知制御工程と、
前記エラーコマンド受信工程によってエラーコマンド(以下「受信エラーコマンド」という)を受信した際、前記エラー報知制御工程がすでに他のエラーコマンド(以下「実行中エラーコマンド」という)に基づくエラー報知をおこなっている場合に、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドとのあらかじめ定められた優先順位を比較する比較工程と、
前記比較工程によって比較された結果、前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドと同じ優先順位である場合または前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が低い場合に、前記実行中エラーコマンドに基づく報知が終了した時点で前記受信エラーコマンドの前記報知時間中であれば、当該受信エラーコマンドに基づく報知を開始し、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を継続しておこなう工程と、
を前記演出制御基板に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記比較工程によって比較された結果、前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が高い場合にのみ、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を前記実行中エラーコマンドに基づく報知に代えておこなう工程を前記演出制御基板に実行させることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。」

第3.原出願の請求項1?5に係る発明
原出願の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ、順に「原出願発明1」?「原出願発明5」という。)は、原出願の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項(特許第4499129号公報参照)により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
主制御基板から出力されるコマンドに応じた所定の演出制御をおこなう演出制御基板であって、
エラーコマンドを受信するエラーコマンド受信手段と、
前記エラーコマンド受信手段によって前記エラーコマンドが受信されるごとに、あらかじめ定められた所定時間が経過するまで、または前記エラーコマンドの終了コマンドが受信されるまで(以下「報知時間中」という)、音声出力手段を制御して、前記エラーコマンドに基づく音声によるエラー報知を継続しておこなうエラー報知制御手段と、
前記エラーコマンド受信手段によってエラーコマンド(以下「受信エラーコマンド」という)を受信した際、前記エラー報知制御手段がすでに他のエラーコマンド(以下「実行中エラーコマンド」という)に基づくエラー報知をおこなっている場合に、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドとのあらかじめ定められた優先順位を比較する比較手段と、を備え、
前記エラー報知制御手段は、前記比較手段によって比較された結果、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドとが同じ優先順位である場合または前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が低い場合に、前記実行中エラーコマンドに基づく報知が終了した時点で前記受信エラーコマンドの前記報知時間中であれば、当該受信エラーコマンドに基づく報知を開始し、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を継続しておこなうことを特徴とする演出制御基板。
【請求項2】
前記エラー報知制御手段は、前記比較手段によって比較された結果、前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が高い場合にのみ、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を前記実行中エラーコマンドに基づく報知に代えておこなうことを特徴とする請求項1に記載の演出制御基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の演出制御基板を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
主制御基板から出力されるコマンドに応じた所定の演出制御をおこなう演出制御基板に実行させるプログラムであって、
エラーコマンドを受信するエラーコマンド受信工程と、
前記エラーコマンド受信工程によって前記エラーコマンドが受信されるごとに、あらかじめ定められた所定時間が経過するまで、または前記エラーコマンドの終了コマンドが受信されるまで(以下「報知時間中」という)、音声出力工程を制御して、前記エラーコマンドに基づく音声によるエラー報知を継続しておこなうエラー報知制御工程と、
前記エラーコマンド受信工程によってエラーコマンド(以下「受信エラーコマンド」という)を受信した際、前記エラー報知制御工程がすでに他のエラーコマンド(以下「実行中エラーコマンド」という)に基づくエラー報知をおこなっている場合に、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドとのあらかじめ定められた優先順位を比較する比較工程と、
前記比較工程によって比較された結果、前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドと同じ優先順位である場合または前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が低い場合に、前記実行中エラーコマンドに基づく報知が終了した時点で前記受信エラーコマンドの前記報知時間中であれば、当該受信エラーコマンドに基づく報知を開始し、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を継続しておこなう工程と、
を前記演出制御基板に実行させる特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記比較工程によって比較された結果、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が高い場合にのみ、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を前記実行中エラーコマンドに基づく報知に代えておこなう工程を前記演出制御基板に実行させることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。」

第4.本願発明1と原出願発明1の対比・判断
1.はじめに
原査定の拒絶の理由1は、本願発明1?5は、それぞれ、特許された原出願発明1?5と同一であるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないというものであるので、以下において、本願発明1と原出願発明1が同一の発明であるかについて検討する。

2.本願発明1と原出願発明1の対比
本願発明1と原出願発明1を対比すると、
「主制御基板から出力されるコマンドに応じた所定の演出制御をおこなう演出制御基板であって、
エラーコマンドを受信するエラーコマンド受信手段と、
前記エラーコマンド受信手段によって前記エラーコマンドが受信されるごとに、あらかじめ定められた所定時間が経過するまで、または前記エラーコマンドの終了コマンドが受信されるまで(以下「報知時間中」という)、前記エラーコマンドに基づくエラー報知を継続しておこなうエラー報知制御手段と、
前記エラーコマンド受信手段によってエラーコマンド(以下「受信エラーコマンド」という)を受信した際、前記エラー報知制御手段がすでに他のエラーコマンド(以下「実行中エラーコマンド」という)に基づくエラー報知をおこなっている場合に、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドとのあらかじめ定められた優先順位を比較する比較手段と、を備え、
前記エラー報知制御手段は、前記比較手段によって比較された結果、前記受信エラーコマンドと前記実行中エラーコマンドとが同じ優先順位である場合または前記受信エラーコマンドが前記実行中エラーコマンドよりも優先順位が低い場合に、前記実行中エラーコマンドに基づく報知が終了した時点で前記受信エラーコマンドの前記報知時間中であれば、当該受信エラーコマンドに基づく報知を開始し、前記報知時間中、前記受信エラーコマンドに基づく報知を継続しておこなうことを特徴とする演出制御基板。」
である点で一致し、次の点で一応相違する。

<相違点>
本願発明1では、音声およびランプの点灯によるエラー報知を継続しておこなうのに対して、原出願発明1では、音声出力手段を制御して、音声によるエラー報知を継続しておこなう点。

3.当審の判断
<相違点>について
エラー報知を音声、表示、ランプの点灯のそれぞれ、又は、それらの組み合わせにより行うことは、例えば、特開2005-65824号公報(特に、段落【0064】参照)、特開2005-143649号公報(特に、段落【0170】参照)、特開2006-218053号公報(特に、【0160】参照)、特開2007-14659号公報(特に、段落【0248】参照)等にみられるようにそれぞれ慣用技術である。

ここで、本願発明1と原出願発明1とは同日出願であるため、まず本願発明1を先願とし、原出願発明1を後願と仮定して同一か否かを検討すると、
原出願発明1における音声出力手段を制御して、音声によるエラー報知を行うこと及び本願発明1における音声およびランプの点灯によるエラー報知を行うことは、ともに上記したとおり慣用技術であるため、原出願発明1の発明特定事項が、本願発明1の発明特定事項に対して慣用技術の転換を施したものに相当し、かつ、上記慣用技術が有する効果を超える新たな効果を奏するものではないので、両者は実質同一である。
次に、本願発明1を後願とし、原出願発明1を先願と仮定して同一か否かを検討すると、上記と同様に、本願発明1の発明特定事項が、原出願発明1の発明特定事項に対して慣用技術の転換を施したものに相当し、かつ、上記慣用技術が有する効果を超える新たな効果を奏するものではないので、両者は実質同一である。
したがって、本願発明1と原出願発明1とは、同一出願人により同日になされた同一の発明であり、原出願発明1は既に特許されているために協議をすることができないことから、本願発明1は,特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。

なお、審判請求人は審判請求書において「審査官殿は、エラー報知を行う媒体としての「音声」、「表示部における表示」および「ランプの点灯」は慣用技術であると認定しています。しかしながら、平成22年7月21日に提出の意見書においても記載したとおり、それぞれの媒体ではそれぞれ異なる特有の効果を奏します。すなわち、出願1(特許第4499129号)にかかる発明では、音声による報知であるため、エラーを報知する際、エラーが報知されたことおよびエラーの内容が周囲の者に知られてしまいます。・・・これに対して、本願発明のように、一般的にランプが遊技機周辺設けられているため、エラーが報知されたことおよびエラーの内容が周囲の者に知らせることができ、かつ音声によってエラーの内容を容易に知ることができるという、出願1、出願2、出願3のいずれの発明であっても奏し得ない特有の効果を奏します。特に、本願発明のように、複数のエラー報知を切り替えて継続しておこなう際に、「音声」のみでは、エラーが報知されているということのみならず、エラー報知の内容が別の内容に切り替わったことが周囲の者に容易に認識されてしまいます。しかも、どのようなエラー報知からどのようなエラー報知へ切り替わったかが容易に知られてしまいます。・・・これに対し、「音声およびランプの点灯」であれば、同じ内容の「音声」による報知であっても、ランプの点灯パターンを変えることによって、エラーの重要度や、エラー対処の緊急度を変えることができるという、音声のみ、表示部による表示、ランプの点灯のみによるエラー報知によっては奏し得ない特有の効果を奏します。 ・・・このように、エラーの内容やエラー報知の際の状況に応じて、どの媒体を選択して報知するかによっては、当然、適切な被報知者に対して適切にエラー報知を達成するという効果に差が生じることは明かです。
以上説明したように、「表示部における表示による報知」を「音声によるエラー報知」、「ランプの点灯によるエラー報知」、「音声およびランプの点灯によるエラー報知」のいずれかに置換することが、慣用技術であってかつ特有の作用効果を奏しないものとはいえないものと思量します。したがって、本願発明は、出願1にかかる発明、出願2にかかる発明、出願3にかかる発明とは、いずれも同一ではないものと思量します。」と主張している。
しかしながら、審判請求人が主張している上記効果は「音声」、「表示部における表示」及び「ランプの点灯」によりエラー報知を行うという慣用技術自体が有している効果であり、慣用技術を転換したことにより生ずる新たな効果ではないから上記主張は妥当ではなく採用することがでない。

第5.本願発明2?5と原出願発明2?5の対比・判断
1.本願発明4と原出願発明4の対比・判断
本願発明4と原出願発明4を対比すると、上記第4.2.と同様の相違点を有しており、上記第4.3.と同様の理由により、両者は実質同一である。

2.本願発明2、3、5と原出願発明2、3、5の対比・判断
本願発明2、3、5と原出願発明2、3、5を対比すると上記第4.2.及び第5.1.における相違点を除き同一であるため、上記第4.3.と同様の理由により、それぞれ実質同一である。

したがって、本願発明2?5と原出願発明2?5とは、同一出願人により同日になされた同一の発明であり、原出願発明1は既に特許されているために協議をすることができないことから、本願発明2?5は,特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1?5に係る発明は、いずれも、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の理由については検討するまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-15 
結審通知日 2012-02-21 
審決日 2012-03-05 
出願番号 特願2010-93366(P2010-93366)
審決分類 P 1 8・ 4- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 貴理  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 澤田 真治
瀬津 太朗
発明の名称 演出制御基板、遊技機およびプログラム  
代理人 酒井 昭徳  

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