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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1255973
審判番号 不服2011-8889  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-26 
確定日 2012-04-26 
事件の表示 特願2001-225416「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月 4日出願公開、特開2003- 33514〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年7月26日の出願であって、平成23年1月26日付け(発送:2月1日)で拒絶査定され、これに対し、同年4月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされ、当審において、同年8月3日付け(発送:8月9日)で審査官の前置報告書に基づく審尋がなされ、同年9月26日付けで回答書が提出され、当審において、同年12月19日付けで、同年4月26日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶の理由が通知され、これに対し平成24年2月8日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成24年2月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年2月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、補正前の請求項1?2に記載された
「【請求項1】 遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段から受信したコマンドに応じて所定の動作を行う第1のプロセッサと、該第1のプロセッサから受信したコマンドに応じて前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行する抽選手段と、
該抽選手段により前記抽選が実行された場合に、該抽選の結果を表示するための図柄の変動表示の開始を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第一のコマンドには、前記変動表示の変動時間を指定する情報が含まれ、
前記第1のプロセッサは、
前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドにより指定される前記変動時間に基づいて、前記変動表示の変動パターンを抽選により決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により前記変動パターンが決定された場合に、決定された変動パターンに係る前記変動表示中に表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示するコマンドと、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第2のプロセッサは、
前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記変動表示を実行するとともに、前記付加演出の表示を実行することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記付加演出は、
該付加演出が表示された前記変動表示について、前記特別遊技状態が生起される可能性及びリーチ状態が生起される可能性のうち一方を示す予告演出であることを特徴とする遊技機。」
という発明を、
「【請求項1】 遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段から受信したコマンドに応じて所定の動作を行う第1のプロセッサと、該第1のプロセッサから受信したコマンドに応じて前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行する抽選手段と、
該抽選手段により前記抽選が実行された場合に、該抽選の結果を表示するための図柄の変動表示の開始を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第一のコマンドには、前記変動表示の変動時間を指定する情報が含まれ、
前記第1のプロセッサは、
前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドにより指定される前記変動時間に基づいて、前記変動表示の変動パターンを抽選により決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により前記変動パターンが決定された場合に、決定された変動パターンに係る前記変動表示中に表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示するコマンドと、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第2のプロセッサは、
前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記変動表示を実行するとともに、前記付加演出の表示を実行し、
前記第二のコマンドに含まれる前記変動パターンを指示するコマンド及び前記付加演出の表示を指示するコマンドは、それぞれ、コマンドの分類を識別するための情報と、コマンドの内容を示す情報と、からなるとともに、前記コマンドの分類を識別するための情報が互いに異なっており、
前記変動パターンを指示するコマンドは、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示する情報を含まず、
前記付加演出の表示を指示するコマンドは、前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示する情報を含まず、
前記付加演出の表示を指示するコマンドとして、複数種類の前記付加演出の表示を一のコマンドにより指示する所定コマンドを含み、
前記コマンド送信手段は、前記付加演出決定手段により前記複数種類の付加演出の表示が決定された場合に、該複数種類の付加演出の表示を指示する前記所定コマンドと、前記変動パターンを指示するコマンドと、を含む前記第二のコマンドを前記第2のプロセッサに対して送信することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記付加演出の表示を指示するコマンドとして、前記付加演出の表示がないことを指示するコマンドを含み、
前記コマンド送信手段は、前記付加演出決定手段により前記付加演出を表示しないことが決定された場合に、前記変動パターンを指示するコマンドと、前記付加演出の表示がないことを指示するコマンドと、を含む前記第二のコマンドを前記第2のプロセッサに対して送信することを特徴とする遊技機。」という発明に変更することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。

(2)補正の適否
本件補正は、特許請求の範囲について、以下に挙げる補正事項を含むものである。

(a)補正前の請求項1における「前記第2のプロセッサは、前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記変動表示を実行するとともに、前記付加演出の表示を実行すること」という事項を、
「前記第2のプロセッサは、前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記変動表示を実行するとともに、前記付加演出の表示を実行し、前記第二のコマンドに含まれる前記変動パターンを指示するコマンド及び前記付加演出の表示を指示するコマンドは、それぞれ、コマンドの分類を識別するための情報と、コマンドの内容を示す情報と、からなるとともに、前記コマンドの分類を識別するための情報が互いに異なっており、前記変動パターンを指示するコマンドは、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示する情報を含まず、前記付加演出の表示を指示するコマンドは、前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示する情報を含まず、前記付加演出の表示を指示するコマンドとして、複数種類の前記付加演出の表示を一のコマンドにより指示する所定コマンドを含み、前記コマンド送信手段は、前記付加演出決定手段により前記複数種類の付加演出の表示が決定された場合に、該複数種類の付加演出の表示を指示する前記所定コマンドと、前記変動パターンを指示するコマンドと、を含む前記第二のコマンドを前記第2のプロセッサに対して送信すること」とする補正。

(b)補正前の請求項2における「前記付加演出は、該付加演出が表示された前記変動表示について、前記特別遊技状態が生起される可能性及びリーチ状態が生起される可能性のうち一方を示す予告演出であること」という事項を、
「前記付加演出の表示を指示するコマンドとして、前記付加演出の表示がないことを指示するコマンドを含み、前記コマンド送信手段は、前記付加演出決定手段により前記付加演出を表示しないことが決定された場合に、前記変動パターンを指示するコマンドと、前記付加演出の表示がないことを指示するコマンドと、を含む前記第二のコマンドを前記第2のプロセッサに対して送信すること」とする補正。

上記補正事項についてそれぞれ検討する。
補正事項(a)については、第二のコマンドの内容を具体的に特定するとともに、コマンド送信手段の第二のコマンドの送信方法を具体的に特定するものであるから、限定的減縮を目的とするものに該当する。

補正事項(b)については、付加演出の表示がない場合のコマンド送信方法を具体的に限定するものであるが、付加演出の内容が、変動表示についての特別遊技状態が生起される可能性及びリーチ状態が生起される可能性のうち一方を示す予告演出であるという構成を削除するものであるから、限定的限縮を目的とするものに該当するとはいえない。

また、上記補正事項(b)は、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。

よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

しかしながら、事案に鑑み、本件補正が特許法第17条の2第4項の規定に違反しないものと仮定して、本件補正により補正された請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討を続けることとする。

(3)引用文献に記載された事項
当審において通知した拒絶の理由(平成23年12月19日付け拒絶理由通知)において引用文献1として引用された特開2001-70590号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。また、画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。」
(イ)「【0034】図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球基板37、ランプ制御基板(発光体制御基板)35、音制御基板70、表示制御基板80および総合演出制御基板90も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞球検出スイッチ99からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とを含む。」
(ウ)「【0039】図5は、主基板31における演出制御コマンド送出部分と総合演出基板における演出制御コマンド受信部分および制御コマンド送出部分の一例を示すブロック図である。図5に示された例では、主基板31のCPU56は、出力ポート571および出力バッファ回路63を介して遊技演出を指示するための演出制御コマンドデータを総合演出基板90に送出する。なお、図4に示されたように、主基板31のCPU56は、演出制御コマンドとは別に、賞球制御基板37に対して賞球個数を指示するための賞球制御コマンドを送出する。
【0040】総合演出基板90において、主基板31からの演出制御コマンドは、入力バッファ88および入力ポート98を介して演出制御用CPU89(総合演出制御手段)に入力される。入力バッファ88は、信号を主基板31の側から総合演出制御基板90の側にしか伝えない不可逆性信号伝達手段である。従って、総合演出制御基板90側から主基板31側に信号が伝わる余地はなく、総合演出制御基板90内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。また、主基板31と総合演出制御基板90との間の配線に不正基板等が接続されても、片方向にしか信号を伝えない出力バッファ回路63によって不正基板等からの不正信号が主基板31側に伝わることはない。
【0041】演出制御コマンドは、主基板31のCPU56が実行する遊技進行に応じて送出される。演出制御用CPU89は、受信した演出制御コマンドにもとづいて、表示制御手段に対する表示制御コマンド、音制御手段に対する音制御コマンドおよびランプ制御手段に対するランプ制御コマンドを作成する。
【0042】表示制御コマンドは、演出制御用CPU89から出力ポート91(出力ポートA)および出力バッファ回路94を介して送出される。また、音制御コマンドは、演出制御用CPU89から出力ポート92(出力ポートE)および出力バッファ回路95を介して送出される。そして、ランプ制御コマンドは、演出制御用CPU89から出力ポート93(出力ポートC)および出力バッファ回路96を介して送出される。」
(エ)「【0045】そして、表示制御用CPU101は、総合演出基板90から受信した表示制御コマンドに従って、CRT82に表示される画面の表示制御を行う。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、R,G,B信号に変換され、D-A変換回路104でアナログ信号に変換されてCRT82に出力される。」
(オ)「【0063】図10(A)は、図9に示された制御コマンド(演出制御コマンド)のコード割り当ての一例を示す説明図である。この実施の形態では、主基板31から総合演出制御基板90に送出される各演出制御コマンドは2バイト構成であるが、演出制御コマンドの長さは2バイト以外であってもよい。
【0064】1バイト目が80Hである演出制御コマンドは変動開始を示すコマンドであるが、その2バイト目は、可変表示部9における図柄の変動時間を特定可能な情報を示す。図10(B)に示すように、この例では、変動時間を特定可能な情報として、はずれ変動期間、確変時に行われる変動の変動期間、短期間のリーチ変動の変動期間、中期間のリーチ変動の変動期間および長期間のリーチ変動の変動期間がある。1バイト目が81Hであって2バイト目が00Hである演出制御コマンドは、可変表示部9における図柄の確定を指定する確定コマンドである。主基板31のCPU56は、変動開始の演出制御コマンドで指定した変動時間が経過すると、総合演出制御基板90に対して確定コマンドを送出する。」
(カ)「【0071】次に、遊技制御に用いられる大当り決定用の乱数等の各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS10)。図12は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り決定用=特別図柄決定用)
(2)ランダム2-1?2-3:左右中のはずれ図柄決定用
(3)ランダム3:大当り時の図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用=特別図柄判定用)
(4)ランダム4:はずれ時にリーチするか否か決定する(リーチ判定用)
(5)ランダム5:リーチ期間を決定する(リーチ期間決定用)」
(キ)「【0084】そして、CPU56は、ステップS51で読み出した値、すなわち抽出されている大当り決定用乱数の値にもとづいて当たり/はずれを決定する(ステップS53)。ここでは、大当り決定用乱数は0?249の範囲の値をとることにする。図15に示すように、低確率時には例えばその値が「3」である場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。高確率時には例えばその値が「3」,「7」,「79」,「103」,「107」のいずれかである場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。
【0085】大当りと判定されたときには、大当り図柄決定用乱数(ランダム3)を抽出しその値にもとづいて大当り図柄を決定する(ステップS62)。そして、大当り図柄が、高確率状態を生じさせるための確変図柄であれば(ステップS64)、確変フラグをセットする(ステップS65)。また、リーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定する(ステップS57)。
【0086】はずれと判定された場合には、CPU56は、リーチとするか否か判定する(ステップS58)。例えば、リーチ判定用の乱数であるランダム4の値が「105」?「1530」のいずれかである場合には、リーチとしないと決定する。そして、リーチ判定用乱数の値が「0」?「104」のいずれかである場合にはリーチとすることを決定する。リーチとすることを決定したときには、CPU56は、リーチ図柄の決定を行う。
【0087】この実施の形態では、ランダム2-1の値に従って左右図柄を決定する(ステップS59)。また、ランダム2-2の値に従って中図柄を決定する(ステップS60)。すなわち、ランダム2-1およびランダム2-2の値の0?15の値に対応したいずれかの図柄が停止図柄として決定される。ここで、決定された中図柄が左右図柄と一致した場合には、中図柄に対応した乱数の値に1加算した値に対応する図柄を中図柄の確定図柄として、大当り図柄と一致しないようにする。さらに、CPU56は、また、リーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定する(ステップS57)。
【0088】ステップS58において、リーチしないことに決定された場合には、ランダム2-1?2-3の値に応じて左右中図柄を決定する(ステップS61)。以上のようにして、始動入賞にもとづく図柄変動の表示態様が大当りとするか、リーチ態様とするか、はずれとするか決定され、それぞれの停止図柄の組合せが決定される。
【0089】なお、高確率状態において、次に大当りとなる確率が上昇するとともに、7セグメントLEDによる可変表示器10の可変表示の確定までの時間が短縮され、かつ、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められるようにパチンコ遊技機1が構成されていてもよいし、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たりの確率が高くなるように構成されていてもよい。また、それらのうちのいずれか一つまたは複数の状態のみが生ずるパチンコ遊技機1においても本発明は適用可能である。」
(ク)「【0091】上述したように、始動入賞口14に打球が入賞すると、CPU56は、ステップS11(図11参照)の特別図柄プロセス処理において、大当りとするかはずれとするかと、停止図柄とを決定するが、その決定に応じた演出制御コマンドを総合演出制御基板90に与える。
【0092】図16はCPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図16に示す特別図柄プロセス処理は、図11のフローチャートにおけるステップS11の具体的な処理である。基本回路53のCPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、その内部状態に応じて、図16に示すステップS300?S309のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
【0093】特別図柄変動待ち処理(ステップS300):始動入賞口14(この実施の形態では可変入賞球装置15の入賞口)に打球入賞して始動口センサ17がオンするのを待つ。始動口センサ17がオンすると、始動入賞記憶数が満タンでなければ、始動入賞記憶数が+1される。そして、大当り判定用乱数を抽出する。
【0094】特別図柄判定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、抽出されている大当り決定用乱数の値に応じて大当りとするかはずれとするか決定する。すなわち、図14に示された処理の前半が実行される。
【0095】停止図柄設定処理(ステップS302):左右中図柄の停止図柄を決定する。すなわち、図14に示された処理の中半が実行される。
【0096】リーチ動作設定処理(ステップS303):リーチ判定用乱数の値に応じてリーチ動作するか否か決定するとともに、リーチ期間決定用乱数の値に応じてリーチ動作の変動時間を決定する。すなわち、図14に示された処理の後半が実行される。ただし、ここで決定されるリーチ期間は、変動時間のみを示す大まかなものである。
【0097】全図柄変動開始処理(ステップS304):可変表示部9において全図柄が変動開始されるように制御する。このとき、総合演出制御基板90に対して、左右中最終停止図柄を指令する演出制御コマンド(コマンド90H,XXH、91H,XXHおよび92H,XXH)と変動態様を指令する演出制御コマンド(コマンド80H,XXH)とが送信される。なお、「X」は任意の数であることを示す。総合演出制御基板90の演出制御用CPU89は、受信した演出制御コマンドに応じた表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する。
【0098】全図柄停止待ち処理(ステップS305):所定時間が経過すると、可変表示部9において表示される全図柄が停止されるように制御する。また、全図柄停止のタイミングまで、所定のタイミングで左右図柄が停止されるように制御する。すなわち、総合演出制御基板90に、確定コマンド(81H,00H)が送出される。総合演出制御基板90の演出制御用CPU89は、受信した確定コマンド(演出制御コマンド)に応じた表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する。
【0099】大当り表示処理(ステップS306):停止図柄が大当り図柄の組み合わせである場合には、大当り発生の制御コマンド(81H,01H)が総合演出制御基板90に送出されるように制御するとともに内部状態(プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS309に移行するように更新する。なお、大当り図柄の組み合わせは、左右中図柄が揃った組み合わせである。総合演出制御基板90の演出制御用CPU89は、受信した大当り発生の制御コマンド(演出制御コマンド)に応じた表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する。」
(ケ)「【0104】図柄変動制御に関して、主基板31のCPU56は、変動開始に関連した時期(この例では変動開始時)に変動時間を特定可能な情報(変動態様を特定可能な制御コマンド)と確定図柄を特定可能な情報とを送出するだけであり、具体的な図柄変動制御は演出制御用CPU89および表示制御用CPU101の制御によって実現される。また、主基板31のCPU56は、変動時間が経過したら、総合演出制御基板90に対して確定コマンドを送出する。総合演出制御基板90の演出制御用CPU89は、受信した確定コマンドに応じた表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する。」
(コ)「【0114】図18は、主基板31から総合演出制御基板90に送信される演出制御コマンドを示す説明図である。図22に示すように、この実施の形態では、演出制御コマンドは、制御データCD0?CD7の8本のデータ線で主基板31から総合演出制御基板90に送信される。また、主基板31と総合演出制御基板90との間には、INT信号を送信するためのINT信号の信号線も配線されている。
【0115】図19は、主基板31から総合演出制御基板90に与えられる制御コマンドの送出タイミングを示すタイミング図である。図19に示すように、この実施の形態では、定期リセット信号の発生間隔(2ms)において1つの演出制御コマンドが送出される。演出制御コマンドの各バイトが出力されてから800μs間INT信号がオン状態(ローレベル)になる。総合演出制御基板90の演出制御用CPU89は、INT信号がオンしたことを検出すると、演出制御コマンドを取り込む処理を行う。
【0116】この実施の形態では、演出制御コマンドは2バイト構成であるから、1つの演出制御コマンドが出力される際に、2回INT信号が出力される。なお、演出制御コマンドは2バイト構成に限られず、情報量に応じて2バイト以上であってもよい。
【0117】また、この実施の形態では、主基板31のCPU56は、所定の制御変化点において、1回だけ総合演出制御基板90が受信可能に演出制御コマンドを送出する。従って、遊技制御手段の制御コマンド送出に関する負荷が低減される。」
(サ)「【0134】図25は、総合演出制御基板90から変動時間として19.5秒(リーチ短期間)が通知されたときに表示される変動態様の例を示す。図25には、複数の変動態様として(A)?(C)の3パターンが例示されている。」
(シ)「【0143】図26は、総合演出制御基板90から変動時間として24.5秒(リーチ中期間)が通知されたときに表示される変動態様の例を示す。図26には、複数の変動態様として(A)?(C)の3パターンが例示されている。」
(ス)「【0150】さらに、表示制御用CPU101は、総合演出制御基板90から表示制御コマンドによってリーチ予告を行うことが通知されている場合には、キャラクタAがリーチ予告1またはリーチ予告2の態様で可変表示部9に表示されるようにVDP103を制御し、大当り予告を行うことが通知されている場合には、リーチ動作中に、そのときに表示されているキャラクタが大当り予告1または大当り予告2の態様で可変表示部9に表示されるようにVDP103を制御する。なお、大当り予告2の態様は、大当り予告1の発展形である。また、リーチ予告および大当り予告を行うか否かと予告の種類とは、総合演出制御基板90の演出制御用CPU89によって決定され、表示制御コマンドによって表示制御用CPU101に通知される。
【0151】図27および図28は、総合演出制御基板90から変動時間として29.5秒(リーチ長期間)が通知されたときに表示される変動態様の例を示す。図27および図28には、複数の変動態様として3パターンが例示されている。なお、(C1)および(C2)の変動態様は1つの変動態様の異なる局面を示す例である。よって、以下、図28(C1)および(C2)に例示された変動態様を図28(C)に示された変動態様と呼ぶことがある。」
(セ)「【0161】以上のように、この実施の形態では、表示制御用CPU101は、(A)の変動態様を用いることに決定した場合には、左右図柄が停止してリーチ状態になると背景画面を「閃光」に切り替えることに決定する。また、(B)の変動態様を用いることに決定した場合には、左右図柄が停止してリーチ状態になると背景画面を「オーラ」に切り替えることに決定する。(C)の変動態様を用いることに決定した場合には、リーチ状態になると背景画面を「煙」に切り替えることに決定する。
【0162】以下、上述した表示例を実現するための遊技制御手段、総合演出制御手段および表示制御手段の制御について説明する。図29は、図16に示された特別図柄プロセス処理における全図柄変動開始待ち(ステップS304)の処理を示すフローチャートである。ステップS302,S303の停止図柄設定処理およびリーチ動作設定処理において変動時間と停止図柄が決定されると、それらを指示するための演出制御コマンドの総合演出基板90に対する送出制御が行われるのであるが、ステップS304では、主基板31のCPU56は、まず、コマンドの送出完了を待つ(ステップS304a)。なお、コマンド送出完了は、メイン処理(図11参照)中の制御データ出力処理(ステップS5)から通知される。
【0163】この実施の形態では、CPU56は、図柄の変動を開始させるときに、図10に示された変動時間を特定可能な演出制御コマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれかを総合演出基板90に送出する。また、続けて、既に決定されている左右中の停止図柄を示す演出制御コマンドを総合演出基板90に送出する。よって、ステップS304aのコマンド送信完了処理では、それら全てのコマンドの送出が完了したか否か確認される。なお、CPU56は、左右中の停止図柄を示す演出制御コマンドを送出してからコマンドA0,A2,B1,B2,B3のいずれかを送出してもよい。
【0164】演出制御コマンドの送出が完了すると、CPU56は、総合演出基板90に通知した変動時間を測定するための変動時間タイマをスタートする(ステップS304b)。そして、ステップS305(全図柄停止待ち処理)に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS304c)。
【0165】図30は、図16に示された特別図柄プロセス処理における全図柄停止待ち処理(ステップS305)を示すフローチャートである。ステップS305では、CPU56は、変動時間タイマがタイムアップしたか否か確認する(ステップS305a)。タイムアップしたら、全図柄停止を指示する演出制御コマンドを設定する(ステップS305b)。そして、制御コマンドデータ送出要求をセットし(ステップS305c)、ステップS306(大当り表示処理)に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS305d)。なお、制御コマンドデータ送出要求は、メイン処理(図11参照)中の制御データ設定処理(ステップS4)で参照される。また、大当りとなっていない場合には、ステップS305dにおいて、ステップS300に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する。
【0166】以上のように、特別図柄プロセス処理において、CPU56は、変動の開始時に変動時間を特定可能な情報と停止図柄を指示する情報とを、総合演出基板90に送出し、変動時間タイマがタイムアップしたら、すなわち指示した変動時間が終了したら、全図柄停止を指示する情報(確定コマンド)を、総合演出基板90に送出する。その間、CPU56は、演出制御コマンドを送出しない。従って、主基板31のCPU56のコマンド送出制御に要する負荷は大きく低減されている。」
(ソ)「【0175】以上に説明したように、この実施の形態では、遊技制御手段すなわち主基板31のCPU56は、特別遊技装置(この例では可変表示部9)の作動に関する大まかな情報と、大当り遊技中における遊技状態を示す情報を総合演出制御基板90に演出制御コマンドとして送出する。この実施の形態では、特別遊技装置の作動に関する情報とは、可変表示の変動時間を特定可能な情報と作動結果(この例では確定図柄)を示す情報である。また、大当り遊技中における遊技状態を示す情報は、大当り発生、大当り終了、ラウンド開始、ラウンド終了、V入賞、大入賞口入賞、確変開始および確変終了等の演出制御コマンドである。
【0176】総合演出制御基板90における演出制御用CPU89は、主基板31から受信した特別遊技装置の作動に関する情報にもとづいて、複数種類用意されている所定の演出制御のうちから1つの演出制御を独自に決定する。そして、決定した演出制御を示す表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する。以下に説明するように、この実施の形態では、所定の演出制御として、リーチ種類や予告がある。すなわち、演出制御用CPU89は、変動時間を特定可能な演出制御コマンドを受信したら、具体的なリーチ種類を決定する。例えば、リーチ短期間の演出制御コマンドを受信したら、図25に示されたパターンA?Cのいずれの変動態様を用いるのかを決定する。また、受信した演出制御コマンドにもとづいてリーチとすることを認識したら、リーチ予告を行うのかと大当り予告を行うのかを決定する。リーチとしないことを認識したら、リーチ予告を行うのかを決定する。
【0177】表示制御基板80の表示制御用CPU101は、総合演出制御基板90から受信した表示制御コマンドに応じて図柄の可変表示を実行する。その際、変動態様に応じた背景およびキャラクタを使用することに決定する。」
(タ)「【0181】図36は、演出制御用CPU89が扱う表示用乱数を示す説明図である。図36に示すように、この実施の形態では、表示用乱数として、リーチ種類決定用乱数、リーチ予告用乱数および大当り予告用乱数がある。リーチ種類決定用乱数は変動態様(リーチ種類)を決定するためのものである。リーチ予告用乱数はリーチ予告を行うか否か決定するためのものであり、大当り予告用乱数は大当り予告を行うか否か決定するためのものである。
【0182】図37は、抽出されたリーチ種類決定用乱数値とリーチ種類との関係を示す説明図である。図37において、A,B,Cは、図25?図28における(A),(B),(C)に対応している。すなわち、抽出されたリーチ種類決定用乱数の値が上段に示される値であれば、演出制御用CPU89は、下段に示された変動態様で図柄の変動を行うことに決定する。例えば、主基板31から変動時間として29.5秒(リーチ長期間)が通知され、抽出したリーチ種類決定用乱数の値が21であり、大当りとする場合には、図28(C)に示された変動態様で変動を行うことに決定する。なお、大当りとするか否かは、変動時間を指定する表示制御コマンドともに送出された左右中図柄の停止図柄を示す演出制御コマンドにもとづいて判定される。
【0183】図38は、抽出されたリーチ予告用乱数とリーチ予告との関係(図38(A))、抽出された大当り予告用乱数と大当り予告との関係(図38(B))を示す説明図である。この実施の形態では、リーチとすることを示す演出制御コマンドを受信した場合には、演出制御用CPU89は、リーチ予告用乱数を抽出し、その値が0?3のいずれかであればリーチ予告を行わないことに決定し、抽出値が4または5であればリーチ予告1の態様でリーチ予告を行うことに決定し、抽出値が6または7であればリーチ予告2の態様でリーチ予告を行うことに決定する。
【0184】また、はずれとすることを示す演出制御コマンドを受信した場合に、演出制御用CPU89は、リーチを成立させる左右図柄が1図柄ずれているときには、リーチ予告用乱数の抽出値が0?5のいずれかであればリーチ予告を行わないことに決定し、抽出値が6であればリーチ予告1の態様でリーチ予告を行うことに決定し、抽出値が7であればリーチ予告2の態様でリーチ予告を行うことに決定する。図柄のずれ数が2図柄以上であるときには、リーチ予告用乱数の抽出値が0?6のいずれかであればリーチ予告を行わないことに決定し、抽出値が7であればリーチ予告1の態様でリーチ予告を行うことに決定する。
【0185】さらに、リーチとすることを示す演出制御コマンドを受信した場合には、演出制御用CPU89は、大当り予告用乱数を抽出し、大当りとする場合には、その値が0であれば大当り予告を行わないことに決定し、抽出値が1であれば大当り予告1の態様で大当り予告を行うことに決定し、抽出値が2であれば大当り予告2の態様で大当り予告を行うことに決定する。
【0186】また、大当りとしない場合に、左右図柄と中図柄とが1図柄ずれているときには、大当り予告用乱数値が0であれば大当り予告を行わないことに決定し、抽出値が1であれば大当り予告1の態様で大当り予告を行うことに決定し、抽出値が2であれば大当り予告2の態様で大当り予告を行うことに決定する。左右図柄と中図柄とのずれ数が2図柄以上であるときには、大当り予告用乱数の抽出値が0または1であれば大当り予告を行わないことに決定し、抽出値が2であれば大当り予告1の態様で大当り予告を行うことに決定する。
【0187】なお、1図柄ずれているか否かは、主基板31から受信した停止図柄(確定図柄)を示す演出示制御コマンドによって判定可能である。このように、この実施の形態では、総合演出制御手段は、表示演出として「予告」の実行も決定する。そして、「予告」の表示演出の実行を決定する際に、確定図柄を示す演出制御コマンドにもとづいて「予告」を行うか否か決定するので、可変表示部9において最終的に確定する図柄に応じた予告実行判断を行うことができる。例えば、図38に示されているように、確定図柄の組み合わせが1図柄ずれている場合には、「予告」が生じやすくなっている。」
(チ)「【0190】そして、演出制御用CPU89は、ポインタの値を+1する(ステップS606)。そして、ポインタの値が2になった場合には(ステップS607)、2バイトで構成される演出制御コマンドデータの受信が完了したことになるので、データ受信完了フラグをセットするとともに、データ受信中フラグをリセットする(ステップS608,S609)。以上のような処理によって、演出制御データCMD1,CMD2が、総合演出制御基板90において受信される。
【0191】上述したように、演出制御用CPU89は、主基板31から変動時間を特定可能な演出制御コマンドを受信したら具体的な変動態様を決定する。また、リーチ予告を行うか否かと大当り予告を行うか否かとを決定する。図40は、演出制御用CPU89が、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する制御コマンドのうち、演出制御用CPU89が決定した遊技演出に関わるものを示す説明図である。なお、この実施の形態では、はずれ変動は1種類であり、確変時のはずれ変動も1種類であるので、それらについては演出制御用CPU89が複数種類のうちから選択することはないが、それらに関する制御コマンドも演出制御用CPU89が決定した遊技演出に関わるものに含める。
【0192】また、図40に示されたもの以外の制御コマンドについては、主基板31から受信した演出制御コマンドを、そのまま表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に送出する制御コマンドとして用いるとする。すなわち、演出制御用CPU89は、図10に示された[80H,00H]以外の演出制御コマンドを受信すると、それらのコマンドを、それらに対応する表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対する制御コマンドとして送出する。もちろん、演出制御コマンドと、それに対応する表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対する制御コマンドとを、異なるビット構成としてもよい。
【0193】変動態様に関する情報と予告ありなしを示す情報とが1つの制御コマンドに含まれていてもよいが、その場合には、例えば、図41に示すように、変動態様、リーチ予告の有無および大当り予告の有無が1制御コマンドで指定される。ただし、図41には、変動態様および予告に関する制御コマンドのうちの一部のみが例示されている。
【0194】この実施の形態では、演出制御用CPU89は、タイマ割込処理で、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対する制御コマンドを送出する。タイマ割込は、例えば、2ms毎に繰り返しかかるように設定される。図42は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理では、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対する制御コマンドをRAMに形成されたバッファ領域に格納する制御コマンド設定処理(ステップS711)と、バッファ領域に格納された制御コマンドを送出する制御コマンド出力処理(ステップS712)とが実行される。
【0195】図43は、総合演出制御基板90から表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に送信される制御コマンドを示す説明図である。図43に示すように、この実施の形態では、制御コマンドは、制御データCD0?CD7の8本のデータ線で総合演出制御基板90から表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に送信される。また、総合演出制御基板90と表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35との間には、INT信号を送信するためのINT信号の信号線も配線されている。
【0196】図44は、総合演出制御基板90から表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に与えられる制御コマンドの送出タイミングを示すタイミング図である。図44に示すように、タイマ割込の発生間隔が2msであるとすると、2msにおいて1つの制御コマンドが送出される。制御コマンドの各バイトが出力されてから800μs間INT信号がオン状態(ローレベル)になる。表示制御用CPU101、音声制御用CPU701およびランプ制御用CPU351は、INT信号がオンしたことを検出すると、制御コマンドを取り込む処理を行う。
【0197】この実施の形態では、制御コマンドは2バイト構成であるから、1つの制御コマンドが出力される際に、2回INT信号が出力される。なお、制御コマンドは2バイト構成に限られず、情報量に応じて2バイト以上であってもよい。」
(ツ)「【0219】図49は、表示制御基板80におけるROM等に格納されているコマンドデータテーブルの構成例を示す説明図である。コマンドデータテーブルとは、表示制御手段が総合演出制御手段から受信するコマンド定義が記載されたテーブルである。ただし、コマンドデータテーブルには、そのコマンドを受信しても制御に影響を与えないコマンドについては「変化なし」を示すデータが記載されている。この例では、普図始動入賞コマンド(A0H,XXH)、普図変動開始コマンド(A1,XXH)および特図始動入賞コマンド(C0H,XXH)が「変化なし」に対応する。なお、コマンドデータテーブルにおける80XX等は、80H,XXHの意味である。
【0220】表示制御用CPU101は、総合演出基板90から受信した表示制御コマンドの1バイト目がA0HまたはC0Hである場合には、そのときに行っていた表示制御を続行する。また、受信した表示制御コマンドの1バイト目が90H、91Hまたは92Hであれば、受信コマンドに対応した図柄を特定する情報を保存する。その他の表示制御コマンドを受信した場合には、各コマンドに応じて決められている表示制御を開始する。」
(テ)図10には、段落【0063】?【0064】に記載されている主基板31から総合演出基板90に送信される変動時間が特定可能なコマンドとして、
1バイト目の「CMD1」が「80H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「05H」で、2バイト目の「01H」?「05H」が「表示内容」である「はずれ(A0)」「確変時全図柄変動(A2)」「リーチ短期間(B1)」「リーチ中期間(B2)」「リーチ長期間(B3)」に対応している変動開始時の変動の種類を決める演出制御コマンドが記載されている。
(ト)図37には、段落【0182】に記載されているリーチ種類決定用乱数(図37の「リーチ用乱数」は「リーチ種類決定用乱数」の誤記であると認められる)とリーチの種類である変動時間の対応関係により、変動態様のパターンA?Cが決定される点が記載されている。
(ナ)図40には、段落【0191】に記載されている総合演出基板90の演出制御用CPU89から表示制御基板80に送信されるコマンドであり、演出制御用CPU89が主基板31から変動時間を特定可能な演出制御コマンドを受信して決定した遊技演出に関するコマンドとして、
1バイト目の「CMD1」が「D0H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「0BH」で、2バイト目の「01H」?「0BH」が「表示内容」である「はずれ(A0)」「確変時全図柄変動(A2)」「リーチ短期間パターンA」「リーチ短期間パターンB」「リーチ短期間パターンC」「リーチ中期間パターンA」「リーチ中期間パターンB」「リーチ中期間パターンC」「リーチ長期間パターンA」「リーチ長期間パターンB」「リーチ長期間パターンC」に対応している変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドと、
1バイト目の「CMD1」が「E0H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「04H」で、2バイト目の「01H」?「04H」が「表示内容」である「大当り予告1」「大当り予告2」「リーチ予告1」「リーチ予告2」に対応している予告に関する表示制御コマンドが記載されている。
また、1バイト目の「CMD1」は、変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドでは「D0H」、予告に関する表示制御コマンドでは「E0H」と、互いに異なるようにするとともに、
1バイト目の「CMD1」が「D0H」である変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドは予告に関する表示内容を含まず、1バイト目の「CMD1」が「E0H」である予告に関する表示制御コマンドは変動開始時の変動の種類に関する表示内容を含まない点が記載されている。
(ニ)図49には、表示制御基板80の表示制御用CPU101が総合演出制御手段から表示制御コマンドを受信したときに対応する動作を行う表示制御手段のコマンドデータテーブルが記載されており、
1バイト目の「CMD1」が「D0H」で、2バイト目の「CMD2」は任意である「D0××」を受信すると、「通知された変動態様で図柄の変動制御を行う」点、
1バイト目の「CMD1」が「E0H」で、2バイト目の「CMD2」は任意である「E0××」を受信すると、「指定された大当り予告およびリーチ予告演出を行う」点が記載されている。

以上、(ア)乃至(ニ)の記載、及び図面を総合すると、引用例1には、
「プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53を備えた主基板31と、主基板31からの演出制御コマンドを受信する演出制御用CPU89を備えた総合演出制御基板90と、受信した演出制御コマンドにもとづいて、表示制御用CPU101を備えた表示制御基板80に対する表示制御コマンドを作成して送出し、表示制御用CPU101は受信した表示制御コマンドに従って、可変表示部9に表示される画面の表示制御を行うパチンコ遊技機1において、
主基板31は、始動入賞口14に打球が入賞すると、始動口センサ17がオンし、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると、大当り決定用乱数の値を抽出し、抽出されている大当り決定用乱数の値に応じて大当りとするかはずれとするか決定し、
大当りと判定されたときには、大当り図柄決定用乱数(ランダム3)を抽出しその値にもとづいて大当り図柄を決定し、大当り図柄が高確率状態を生じさせるための確変図柄であれば、確変フラグをセットし、リーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定し、
はずれと判定された場合には、リーチとするか否か判定し、リーチとすることを決定したときには、リーチ図柄の決定をするとともにリーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定し、リーチしないことに決定された場合には、ランダム2-1?2-3の値に応じて左右中図柄を決定するとともに変動時間をはずれ変動期間とし、
高確率状態において、可変表示の確定までの時間を短縮し、
変動時間と停止図柄が決定されると、主基板31のCPU56は、出力ポート571および出力バッファ回路63を介して、変動時間を特定可能な1バイト目の「CMD1」が「80H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「05H」で、2バイト目の「01H」?「05H」が「表示内容」である「はずれ(A0)」「確変時全図柄変動(A2)」「リーチ短期間(B1)」「リーチ中期間(B2)」「リーチ長期間(B3)」に対応している変動開始時の変動の種類を決める演出制御コマンドのいずれかと、既に決定されている左右中の停止図柄を示す演出制御コマンドを総合演出制御基板90に送出し、
演出制御用CPU89は、主基板31から上記変動時間を特定可能な1バイト目の「CMD1」が「80H」である演出制御コマンドを受信し、演出制御コマンドの「表示内容」が「リーチ短期間(B1)」「リーチ中期間(B2)」「リーチ長期間(B3)」である場合、リーチ種類決定用乱数とリーチの種類である変動時間により変動態様のパターンA?Cを決定し、
リーチ予告乱数および大当り予告乱数によりリーチ予告を行うか否かおよび大当り予告を行うか否かと予告の種類を決定し、
上記演出制御用CPU89がリーチ種類決定用乱数とリーチの種類である変動時間により決定した、1バイト目の「CMD1」が「D0H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「0BH」で、2バイト目の「01H」?「0BH」が「表示内容」である「はずれ(A0)」「確変時全図柄変動(A2)」「リーチ短期間パターンA」「リーチ短期間パターンB」「リーチ短期間パターンC」「リーチ中期間パターンA」「リーチ中期間パターンB」「リーチ中期間パターンC」「リーチ長期間パターンA」「リーチ長期間パターンB」「リーチ長期間パターンC」に対応している変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドと、上記演出制御用CPU89がリーチ予告乱数および大当り予告乱数により決定した、1バイト目の「CMD1」が「E0H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「04H」で、2バイト目の「01H」?「0BH」が「表示内容」である「大当り予告1」「大当り予告2」「リーチ予告1」「リーチ予告2」に対応している予告に関する表示制御コマンドを、演出制御用CPU89から出力ポート91(出力ポートA)および出力バッファ回路94を介して表示制御基板80に送出し、
表示制御基板80の表示制御用CPU101が総合演出制御手段から表示制御コマンドを受信したとき、1バイト目の「CMD1」が「D0H」である変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドであると、通知された変動態様で図柄の変動制御を行い、1バイト目の「CMD1」が「E0H」である予告に関する表示制御コマンドであると、指定された大当り予告およびリーチ予告演出を行い、
1バイト目の「CMD1」は、変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドでは「D0H」、予告に関する表示制御コマンドでは「E0H」と、互いに異なるようにするとともに、
1バイト目の「CMD1」が「D0H」である変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドは予告に関する表示内容を含まず、1バイト目の「CMD1」が「E0H」である予告に関する表示制御コマンドは変動開始時の変動の種類に関する表示内容を含まないパチンコ遊技機1。」
の発明が開示されていると認めることができる(以下、この発明を「引用発明」という。)。

(4)対比
引用発明の「プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する」は、本願補正発明の「遊技動作制御を統括する」に相当する。以下同様に、
「主基板31」は「主制御手段」に、
「パチンコ遊技機1」は「遊技機」に、
「演出制御用CPU89」は「第1のプロセッサ」に、
「表示制御用CPU101」は「第2のプロセッサ」に、
「1バイト目の「CMD1」が「80H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「05H」で、2バイト目の「01H」?「05H」が「表示内容」である「はずれ(A0)」「確変時全図柄変動(A2)」「リーチ短期間(B1)」「リーチ中期間(B2)」「リーチ長期間(B3)」に対応している変動開始時の変動の種類を決める演出制御コマンド」は「第一のコマンド」に、
「主基板31のCPU56」、「出力ポート571および出力バッファ回路63」は「コマンド送信手段」に、
「1バイト目の「CMD1」が「D0H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「0BH」で、2バイト目の「01H」?「0BH」が「表示内容」である「はずれ(A0)」「確変時全図柄変動(A2)」「リーチ短期間パターンA」「リーチ短期間パターンB」「リーチ短期間パターンC」「リーチ中期間パターンA」「リーチ中期間パターンB」「リーチ中期間パターンC」「リーチ長期間パターンA」「リーチ長期間パターンB」「リーチ長期間パターンC」に対応している変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンド」は「変動パターンを指示するコマンド」に、
「1バイト目の「CMD1」が「E0H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「04H」で、2バイト目の「01H」?「0BH」が「表示内容」である「大当り予告1」「大当り予告2」「リーチ予告1」「リーチ予告2」に対応している予告に関する表示制御コマンド」は「付加演出の表示を指示するコマンド」に、
「演出制御用CPU89」、「出力ポート91(出力ポートA)および出力バッファ回路94」は「コマンド送信手段」に、
「予告に関する表示内容」は「付加演出の表示を指示する情報」に、
「変動開始時の変動の種類に関する表示内容」は「変動パターンを指示する情報」に、それぞれ相当する。

さらに、引用例1の記載等からみて、以下のことがいえる。

a.引用発明では、主基板31からの演出制御コマンドを受信する演出制御用CPU89を備えた総合演出制御基板90と、受信した演出制御コマンドにもとづいて、表示制御用CPU101を備えた表示制御基板80に対する表示制御コマンドを作成して送出し、表示制御用CPU101は受信した表示制御コマンドに従って、可変表示部9に表示される画面の表示制御を行っていることから、
引用発明は本願補正発明の「主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置」を備えているといえるとともに、「前記主制御手段から受信したコマンドに応じて所定の動作を行う第1のプロセッサと、該第1のプロセッサから受信したコマンドに応じて前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサ」についても備えているといえる。

b.また、引用発明では、始動入賞口14に打球が入賞すると、始動口センサ17がオンし、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると、大当り決定用乱数の値を抽出し、抽出されている大当り決定用乱数の値に応じて大当りとするかはずれとするか決定していることから、
引用発明は本願補正発明の「特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行する抽選手段」を有しているといえる。

c.また、引用発明では、大当りと判定されたときには、大当り図柄決定用乱数(ランダム3)を抽出しその値にもとづいて大当り図柄を決定し、大当り図柄が高確率状態を生じさせるための確変図柄であれば、確変フラグをセットし、リーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定し、
はずれと判定された場合には、リーチとするか否か判定し、リーチとすることを決定したときには、リーチ図柄の決定をするとともにリーチ期間決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ期間を決定し、リーチしないことに決定された場合には、ランダム2-1?2-3の値に応じて左右中図柄を決定するとともに変動時間をはずれ変動期間とし、
変動時間と停止図柄が決定されると、主基板31のCPU56は、出力ポート571および出力バッファ回路63を介して、変動時間を特定可能な1バイト目の「CMD1」が「80H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「05H」で、2バイト目の「01H」?「05H」が「表示内容」である「はずれ(A0)」「確変時全図柄変動(A2)」「リーチ短期間(B1)」「リーチ中期間(B2)」「リーチ長期間(B3)」に対応している変動開始時の変動の種類を決める演出制御コマンドのいずれかと、既に決定されている左右中の停止図柄を示す演出制御コマンドを総合演出制御基板90に送出しているから、
引用発明は本願補正発明の「該抽選手段により前記抽選が実行された場合に、該抽選の結果を表示するための図柄の変動表示の開始を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、前記第一のコマンドには、前記変動表示の変動時間を指定する情報が含まれ」ている構成を有しているといえる。

d.また、引用発明では、演出制御用CPU89は、主基板31から上記変動時間を特定可能な1バイト目の「CMD1」が「80H」である演出制御コマンドを受信し、演出制御コマンドの「表示内容」が「リーチ短期間(B1)」「リーチ中期間(B2)」「リーチ長期間(B3)」である場合、リーチ種類決定用乱数とリーチの種類である変動時間により変動態様のパターンA?Cを決定し、リーチ予告乱数および大当り予告乱数によりリーチ予告を行うか否かおよび大当り予告を行うか否かと予告の種類を決定しているから、
引用発明は本願補正発明の「前記第1のプロセッサは、前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドにより指定される前記変動時間に基づいて、前記変動表示の変動パターンを抽選により決定する変動パターン決定手段と、前記変動パターン決定手段により前記変動パターンが決定された場合に、決定された変動パターンに係る前記変動表示中に表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段」を有しているといえる。

e.また、引用発明では、上記演出制御用CPU89がリーチ種類決定用乱数とリーチの種類である変動時間により決定した、1バイト目の「CMD1」が「D0H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「0BH」で、2バイト目の「01H」?「0BH」が「表示内容」である「はずれ(A0)」「確変時全図柄変動(A2)」「リーチ短期間パターンA」「リーチ短期間パターンB」「リーチ短期間パターンC」「リーチ中期間パターンA」「リーチ中期間パターンB」「リーチ中期間パターンC」「リーチ長期間パターンA」「リーチ長期間パターンB」「リーチ長期間パターンC」に対応している変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドと、上記演出制御用CPU89がリーチ予告乱数および大当り予告乱数により決定した、1バイト目の「CMD1」が「E0H」、2バイト目の「CMD2」が「01H」?「04H」で、2バイト目の「01H」?「0BH」が「表示内容」である「大当り予告1」「大当り予告2」「リーチ予告1」「リーチ予告2」に対応している予告に関する表示制御コマンドを、演出制御用CPU89から出力ポート91(出力ポートA)および出力バッファ回路94を介して表示制御基板80に送出しているとともに、
1バイト目の「CMD1」は、変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドでは「D0H」、予告に関する表示制御コマンドでは「E0H」となっているので、1バイト目の「CMD1」である「D0H」と「E0H」により、コマンドの分類を識別するとともに、コマンドの分類を識別するための情報が互いに異なっているといえるから、
引用発明は本願補正発明の「前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示するコマンドと、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し」ているとともに、
「前記第二のコマンドに含まれる前記変動パターンを指示するコマンド及び前記付加演出の表示を指示するコマンドは、それぞれ、コマンドの分類を識別するための情報と、コマンドの内容を示す情報と、からなるとともに、前記コマンドの分類を識別するための情報が互いに異なって」いる構成を有しているといえるとともに、
「前記コマンド送信手段は、前記付加演出決定手段により」「付加演出の表示が決定された場合に、」「付加演出の表示を指示する」「コマンドと、前記変動パターンを指示するコマンドと、を含む前記第二のコマンドを前記第2のプロセッサに対して送信する」構成を有している点で共通しているといえる。

f.また、引用発明では、表示制御基板80の表示制御用CPU101が総合演出制御手段から表示制御コマンドを受信したとき、1バイト目の「CMD1」が「D0H」である変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドであると、通知された変動態様で図柄の変動制御を行い、1バイト目の「CMD1」が「E0H」である予告に関する表示制御コマンドであると、指定された大当り予告およびリーチ予告演出を行うから、
引用発明は本願補正発明の「前記第2のプロセッサは、前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記変動表示を実行するとともに、前記付加演出の表示を実行」する構成を有しているといえる。

g.また、引用発明では、1バイト目の「CMD1」が「D0H」である変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドは予告に関する表示内容を含まず、1バイト目の「CMD1」が「E0H」である予告に関する表示制御コマンドは変動開始時の変動の種類に関する表示内容を含まないものであり、
予告に関する表示内容は前記2.(3)(タ)の段落【0183】にも記載されているように演出制御用CPU89がリーチ予告乱数および大当り予告乱数により決定するものであり、変動開始時の変動の種類に関する表示内容は前記2.(3)(タ)の段落【0182】にも記載されているように演出制御用CPU89がリーチ種類決定用乱数とリーチの種類である変動時間により決定するものであるから、
引用発明は本願補正発明の「前記変動パターンを指示するコマンドは、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示する情報を含まず、前記付加演出の表示を指示するコマンドは、前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示する情報を含ま」ない構成を有しているといえる。

以上のことから、両者は、
<一致点>
「遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段から受信したコマンドに応じて所定の動作を行う第1のプロセッサと、該第1のプロセッサから受信したコマンドに応じて前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行する抽選手段と、
該抽選手段により前記抽選が実行された場合に、該抽選の結果を表示するための図柄の変動表示の開始を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第一のコマンドには、前記変動表示の変動時間を指定する情報が含まれ、
前記第1のプロセッサは、
前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドにより指定される前記変動時間に基づいて、前記変動表示の変動パターンを抽選により決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により前記変動パターンが決定された場合に、決定された変動パターンに係る前記変動表示中に表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示するコマンドと、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第2のプロセッサは、
前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記変動表示を実行するとともに、前記付加演出の表示を実行し、
前記第二のコマンドに含まれる前記変動パターンを指示するコマンド及び前記付加演出の表示を指示するコマンドは、それぞれ、コマンドの分類を識別するための情報と、コマンドの内容を示す情報と、からなるとともに、前記コマンドの分類を識別するための情報が互いに異なっており、
前記変動パターンを指示するコマンドは、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示する情報を含まず、
前記付加演出の表示を指示するコマンドは、前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示する情報を含まず、
前記コマンド送信手段は、前記付加演出決定手段により付加演出の表示が決定された場合に、付加演出の表示を指示するコマンドと、前記変動パターンを指示するコマンドと、を含む前記第二のコマンドを前記第2のプロセッサに対して送信する遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本願補正発明は、「前記付加演出の表示を指示するコマンドとして、複数種類の前記付加演出の表示を一のコマンドにより指示する所定コマンドを含」むのに対して、
引用発明は、このような所定コマンドを含まない点。

<相違点2>
「付加演出決定手段により」「付加演出の表示が決定された場合に、」「付加演出の表示を指示する」「コマンドと、前記変動パターンを指示するコマンドと、を含む前記第二のコマンドを前記第2のプロセッサに対して送信する」「コマンド送信手段」が、
本願補正発明は、「付加演出決定手段により前記複数種類の付加演出の表示が決定された場合に、該複数種類の付加演出の表示を指示する」コマンドとして「所定コマンド」を送信するのに対して、
引用発明は、所定コマンドを含まないため、このような構成でない点。

(5)判断
<相違点1>及び<相違点2>について
相違点1と相違点2は関連するので、まとめて検討する。
引用例1の段落【0193】には、「変動態様に関する情報と予告ありなしを示す情報とが1つの制御コマンドに含まれていてもよいが、その場合には、例えば、図41に示すように、変動態様、リーチ予告の有無および大当り予告の有無が1制御コマンドで指定される。ただし、図41には、変動態様および予告に関する制御コマンドのうちの一部のみが例示されている。」と記載されているから、リーチ予告の有無および大当り予告の有無を1制御コマンドで指示する技術(以下、「引用例1に記載された技術」という。)が記載されているといえる。
複数の情報を別々のコマンドで指示することは引用例1の図40にも見られるように普通に行われることであり、複数の情報を1つのコマンドで指示することは引用例1の図41にも見られるように普通に行われることであるとともに、複数の情報を1つのコマンドで指示する場合、複数の情報をどのような情報にするかは設計的事項程度のことにすぎないから、
変動開始時の変動の種類を決める表示制御コマンドと予告に関する表示制御コマンドを別のコマンドとして送信する引用発明の予告に関する表示制御コマンドにおいて、上記引用例1に記載された技術を適用して、リーチ予告と大当たり予告を1制御コマンドで指示する所定コマンドを含むようにして、相違点1及び相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に成し得たことである。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明及び引用例1に記載された技術から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のように、本願補正発明は、引用発明及び引用例1に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(6)本件補正についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反し、また仮に当該規定に違反しないとしても、上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成24年2月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1に係る発明は、平成22年6月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。

そして、その請求項1により特定される発明は次のとおりである。
「【請求項1】 遊技動作制御を統括する主制御手段と、この主制御手段からのコマンドに応じた動作を行う表示装置とを備えた遊技機において、
前記主制御手段から受信したコマンドに応じて所定の動作を行う第1のプロセッサと、該第1のプロセッサから受信したコマンドに応じて前記表示装置の表示制御のための動作を行う第2のプロセッサと、を備え、
前記主制御手段は、
特別遊技状態を生起させるか否かを決定するための抽選を実行する抽選手段と、
該抽選手段により前記抽選が実行された場合に、該抽選の結果を表示するための図柄の変動表示の開始を指示する第一のコマンドを、前記第1のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第一のコマンドには、前記変動表示の変動時間を指定する情報が含まれ、
前記第1のプロセッサは、
前記第一のコマンドを受信した場合に、該第一のコマンドにより指定される前記変動時間に基づいて、前記変動表示の変動パターンを抽選により決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により前記変動パターンが決定された場合に、決定された変動パターンに係る前記変動表示中に表示する付加演出を抽選により決定する付加演出決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示するコマンドと、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示するコマンドと、を含む第二のコマンドを、前記第2のプロセッサに対して送信するコマンド送信手段と、を有し、
前記第2のプロセッサは、
前記第二のコマンドを受信した場合に、該第二のコマンドに基づいて、前記変動表示を実行するとともに、前記付加演出の表示を実行することを特徴とする遊技機。」(以下、この発明を「本願発明」という。)

一方、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-70590号公報(引用例1)に記載された発明は、前記2.(3)に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.(2)で検討した本願補正発明から、実質的な変更とならない特定事項を除き、第二のコマンドの内容及びコマンド送信手段の第二のコマンドの送信方法について、「前記第二のコマンドに含まれる前記変動パターンを指示するコマンド及び前記付加演出の表示を指示するコマンドは、それぞれ、コマンドの分類を識別するための情報と、コマンドの内容を示す情報と、からなるとともに、前記コマンドの分類を識別するための情報が互いに異なっており、前記変動パターンを指示するコマンドは、前記付加演出決定手段により決定された前記付加演出の表示を指示する情報を含まず、前記付加演出の表示を指示するコマンドは、前記変動パターン決定手段により決定された前記変動パターンを指示する情報を含まず、前記付加演出の表示を指示するコマンドとして、複数種類の前記付加演出の表示を一のコマンドにより指示する所定コマンドを含み、前記コマンド送信手段は、前記付加演出決定手段により前記複数種類の付加演出の表示が決定された場合に、該複数種類の付加演出の表示を指示する前記所定コマンドと、前記変動パターンを指示するコマンドと、を含む前記第二のコマンドを前記第2のプロセッサに対して送信すること」との限定を付加した部分を削除したものである。

そうすると、本願発明は、前記2.(4)に記載した<相違点1>及び<相違点2>となる発明特定事項が本願補正発明から除かれたものであり、本願発明と引用発明との相違点はなくなるから、
本願発明は、引用発明と同一の発明である。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と同一の発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-27 
結審通知日 2012-02-28 
審決日 2012-03-12 
出願番号 特願2001-225416(P2001-225416)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 575- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 明彦  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 瀬津 太朗
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 小西 恵  
代理人 森 哲也  
代理人 田中 秀▲てつ▼  

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