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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) IPCコード:なし |
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管理番号 | 1255974 |
審判番号 | 不服2011-11393 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-05-31 |
確定日 | 2012-04-26 |
事件の表示 | 特願2007-534229号「洗浄布」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月15日国際公開、WO2007/029335〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2005年9月9日を国際出願日とする出願であって、平成23年2月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月31日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされた。そして、当審において平成23年12月2日付けで拒絶の理由が通知されたのに対し、平成24年2月6日付けで意見書が提出されるとともに手続補正(平成24年2月15日方式補正)がなされたものである。 2.本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成24年2月6日付けの手続補正(平成24年2月15日方式補正)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである(以下「本願発明」という。)。 「【請求項1】 細径の合成樹脂繊維の延伸モノフィラメントからなる不織布に、2列のラインL1,L2を対とするニードル打ち込みラインLに沿って、所定の間隔幅W2とした溝部3を隔てて、2列一対のループ状の多数の平行な所定幅W1の畝部2が、ニードルパンチ手段により多数の繊維aをループ状に飛び出させて形成されていて、この2列一対のループ状とした畝部2と畝部2との中間に、前記溝部3よりも間隔の小さく細長い中間溝部4が畝方向に沿って形成されている洗浄布。」 3.引用刊行物 (1)当審における平成23年12月2日付けの拒絶の理由に引用した実願昭57-120050号(実開昭59-27065号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 ア.「裏面より線状にニードルパンチを施すことによつて表面に、多数の平行凸条2を、相互に一定間隔をおいて突設させ、該裏面に接着糊を塗布して成る合成繊維のマルチフイラメント又はモノフイラメント製不織布2を、把柄3を附した合成樹脂発泡体又は不織布製たわし本体1の表面全体に貼着したことを特徴とする柄附たわし」(実用新案登録請求の範囲) イ.「目的 合成樹脂発泡体や不織布より成るたわし本体を把柄の先端に取付けて成る柄附たわしは既に従来周知されているものである。本願はこのようなたわしに於て、たわし本体の表面に貼着する不織布として、裏面よりニードルパンチを施すことにより表面に多数の凸条を形成させたものを用いることを特徴とし、摩擦力が強く洗浄効果が上り然も耐久力があつて長期使用に堪える柄附たわしを得ることを目的とするものである。 構成 本願は、合成樹脂発泡体又は不織布より成るたわし本体1を二つに折り曲げて把柄3を取付けて成る柄附たわしに於て、合成繊維より成るマルチフイラメント又はモノフイラメント製の不織布2の裏面より線状にニードルパンチを施すことにより表面に多数の平行凸条2を相互に一定間隔をおいて突設させ、該裏面に接着糊4を塗布したものを、たわし本体1の表面全体に貼着したことを特徴とするものである。 作用効果 本案は、普通の柄附たわしと同様たわし本体に水や洗剤をつけて浴槽,床面,便所などを摺り洗うに用いるものであるが本案には従来のものには見られない次のような作用効果がある。 本体に貼り合せた不織布1は、第5図の矢印が示すように裏面よりニードルパンチを施すとその部分の繊維が彎曲して凹むと共に反対側の表面に突出しループが形成される。このニードルパンチが線状に互に一定間隔をおいて施されるから布の表面に平行線状の凸条2が多数並列し高い処と低い処が交互に並ぶことになる。然もこの凸条は合成繊維を彎曲させた頂部でできているから剛く且つ弾力性がある。依て摩擦力が頗る強く、物の摺り洗いが強力に行はれ洗浄効果が上る。そのうえ不織布2の裏面に接着糊4を塗布したから凹凸の型が長く保持され型崩れが避け得られ長期間使用するも摩擦力が衰えることがなく耐久力がある。」(明細書1頁12行?4頁2行) そして、「第5図の矢印が示すように裏面よりニードルパンチを施す」(明細書3頁5?6行)及び第5図の記載からみて、引用例には、「2列のラインを対とするニードル打ち込みラインに沿って、ニードルパンチを行う」ことが記載されている。また、第1?5図には、所定幅の2列一対の平行凸条2(図面では符号は2′である。)は隣り合う2列一対の平行凸条2との間に所定間隔幅とした溝部を隔てて形成されていること、及び、2列一対のループ状とした凸条2と凸条2との中間に、前記溝部よりも間隔の小さく細長い中間溝部が凸条方向に沿って形成されていることが記載されている。 また、引用例の「該裏面に接着糊を塗布して成る合成繊維のマルチフイラメント又はモノフイラメント製不織布2を、把柄3を附した合成樹脂発泡体又は不織布製たわし本体1の表面全体に貼着した」(実用新案登録請求の範囲)の記載及び「本案は…(中略)… 水や洗剤をつけて浴槽,床面,便所などを摺り洗うに用いるのであるが・・・。」(明細書3頁1?4行)の記載からみて、引用例に記載のループが形成された不織布2は、合成樹脂発泡体又は不織布製たわし本体1の表面に貼着して浴槽等を洗うための布であることから、「洗浄布」といえる。 上記記載事項及び図面の記載を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「合成繊維のモノフィラメントからなる不織布2に、2列のラインを対とするニードル打ち込みラインに沿って、所定の間隔幅とした溝部を隔てて、2列一対のループ状の多数の平行な所定幅の凸条2が、ニードルパンチにより多数の繊維をループ状に突出させて形成されていて、この2列一対のループ状とした凸条2と凸条2との中間に、前記溝部よりも間隔の小さく細長い中間溝部が凸条方向に沿って形成されている洗浄布。」 3.判断 本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「合成繊維」は、本願発明の「合成樹脂繊維」に相当し、以下同様に、「ループ」は「ループ状」に、「ニードルパンチ」は「ニードルパンチ手段」に、「突出させて」は「飛び出させて」に、「凸条2」は「畝部」に、「凸条方向」は「畝方向」に、それぞれ相当する。 また、本願発明の「延伸モノフィラメント」は引用発明の「モノフィラメント」に包含されるものである。 よって、両発明の一致点及び相違点は次のとおりである。 〔一致点〕 「合成樹脂繊維のモノフィラメントからなる不織布に、2列のラインL1,L2を対とするニードル打ち込みラインLに沿って、所定の間隔幅W2とした溝部3を隔てて、2列一対のループ状の多数の平行な所定幅W1の畝部2が、ニードルパンチ手段により多数の繊維aをループ状に飛び出させて形成されていて、この2列一対のループ状とした畝部2と畝部2との中間に、前記溝部3よりも間隔の小さく細長い中間溝部4が畝方向に沿って形成されている洗浄布。」 〔相違点〕 合成樹脂繊維のモノフィラメントが、本願発明では、細径の延伸されたものであるのに対し、引用発明では細径の延伸されたものかどうか不明である点。 上記相違点について検討する。 合成樹脂繊維の製造工程において延伸することは、従来からの周知慣用手段であって格別な事項ではなく、加えて、延伸モノフィラメントも従来周知〔例えば、特公平3-21648号公報(7頁13欄8?10行)参照。〕の事項であるから、引用発明において、モノフィラメントを延伸モノフィラメントとすることは当業者が容易になし得たことである。 また、引用発明のモノフィラメントの太さを細径とすることは当業者が適宜行う設計事項にすぎない。 そして、本願発明による効果も、引用発明、及び周知事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用発明、及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-21 |
結審通知日 | 2012-02-28 |
審決日 | 2012-03-13 |
出願番号 | 特願2007-534229(P2007-534229) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
()
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 木戸 優華 |
特許庁審判長 |
岡本 昌直 |
特許庁審判官 |
佐野 遵 長浜 義憲 |
発明の名称 | 洗浄布 |
代理人 | 鹿島 義雄 |