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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B44F
管理番号 1256206
審判番号 不服2008-5235  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-03 
確定日 2012-04-11 
事件の表示 平成10年特許願第501532号「画像を表示する表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年12月18日国際公開、WO97/47481、平成12年11月28日国内公表、特表2000-515819〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、1998年6月14日を国際出願日とする出願であって、平成18年6月30日付けで拒絶の理由が通知され、同19年1月11日に意見書に代わる手続補正書が提出され、同19年3月13日付けで最後の拒絶理由が通知され、同19年9月20日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同19年11月21日付けで同19年9月20日付けの手続補正書が却下され、また、同日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し、同20年3月3日に本件審判の請求がされ、また、同日付けで手続補正書が提出されたものである。
その後、当審において、平成21年11月18日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し、同22年3月31日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、当審において、同22年7月23日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し、同23年1月26日に意見書及び手続補正書が提出された。
本件出願の請求項1ないし5に係る発明は、平成23年1月26日付け手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】 表示用画像を準備し表示するためのグラフィックスコンピュータ装置であって、
前記画像が少なくとも2つの層を備えていて、
該表示を複数の分離した光制限領域及び/又は複数の分離した透明又は半透明領域に細分化する光制限領域の配列を備えている光制限シルエット層と、
該表示を複数の分離した色領域及び/又は複数の分離した透明又は半透明領域に細分化する少なくとも1つの色を有する少なくとも1つの構造層と、
を含んでおり、
前記色領域が、光制限シルエット層の複数の分離した透明又は半透明領域を実質的に侵すことがなく、
前記少なくとも1つの構造層が、前記表示の1方の側から見ることができ、かつ他方の側からは実質的に見えにくくなっていて、
全体として前記表示が実質的に透明又は半透明であるところの該装置が、
少なくとも前記構造の定義を入力するための入力手段と、前記構造のコンピュータ化バージョンを貯蔵する貯蔵部とを有するコンピュータと、
前記構造のコンピュータ化バージョンを前記複数の分離した色領域及び/又は複数の分離した透明又は半透明領域に細分化することによって、前記構造のコンピュータ化バージョンから前記構造層を定義するデータをコンピュータで生成する手段と、
1つの層を前記複数の光制限領域及び/又は前記複数の分離した透明又は半透明領域に細分化することによって、前記シルエット層を定義するデータをコンピュータで生成する手段と、
該シルエット層データと該構造層データとを含んでいる表示ファイルを形成するための手段と、
該構造層データと該シルエット層データを用いて、該画像を表示するための表示ユニットと、
を備えているグラフィックスコンピュータ装置。」

2 引用刊行物記載の発明
当審における平成22年7月23日付けの拒絶の理由に引用された、本願の出願前である昭和61年5月12日に頒布された刊行物である「特開昭61-93503号公報」(以下、「刊行物1」という。)、本願の出願前である平成1年9月12日に頒布された刊行物である「特開平1-228376号公報」(以下、「刊行物2」という。)には、それぞれ、次の事項が記載されている。
(1)刊行物1
ア 第5ページ右上欄第12行-第13行
「本発明は、パネル、特に透明又は半透明なパネルに関する。」
イ 第6ページ左上欄第15行-左下欄第3行
「本発明の一実施態様によれば、無色又は明るい色のシート材料、及び一方の側からは見ることができ他方の側からは見ることができない模様を備え、該模様はシルエットパターン(以下に説明する)の上に又は一部として付与されるパネルが提供される。
このような範囲内の種々のパネルにより、数々の異なつたビジヨン効果が得られる。即ち、パネル全体において他方の側から一方の側への明瞭な透視を可能にしつつ、デザインにより覆われた部分を除き、パネルの一方の側から他方の側への明瞭な透視を維持することができる。また、他方の側から一方の側へのパネル全体における透視を可能にしながら、一方の側から他方の側への透視を全体的にさえぎることができる。言いかえれば、一方向の透視効果(一方向ビジヨン効果)を得ることができる。他方の側から一方の側への透視を全体的に又は部分的にさえぎりながら、デザインされた部分を除き、一方の側から他方の側への明瞭な透視を可能にすることができる。両側からの透視を全体的にさえぎることができる。パネルの向こう側からパネルを通して知覚される照明光の強さが、パネルのこちら側において反射される照明光より十分に強いときは、いずれの場合においても、パネルの各々の側からの透視が可能となる。」
ウ 第20ページ左下欄第8行-右下欄第12行
「第1図に示すパネルは、片面に不透明インクの規則パターン(14)がある透明無色材料シート(10)を本体としている。
第2図のパネルは、シート(10)の片面にダークインクの規則パターン(26)があり、ライトカラー(光反射性)のインク(25)が重ねられている。正面から見れば(即ち第2図に示す通り右から見れば)、ライトカラーのパターン(25)は、パネルの透視をさえぎる作用をなす。しかし反対側から見た場合は、反射性の低いダークカラーのパターン(26)がパネルの透視を妨げない。パネルの前面の照明の強さが後面のそれよりも強い場合は、この視覚における一方向効果は更に強化される。
第3図は、ライトカラーのインクのパターン(25)が別の色(28)のインクになつていること以外は第2図と同じである。インク(25)及びインク(28)の相対的な配置は、なんらかの伝達情報を含むデザインを創出するような配置になつている。そのため、パネルを正面から見た場合は不透明に見え、前記情報が容易にデイスプレイされる。これに対して背後から見た場合はデザインは見えず、パネルは透明に見える。」
エ ここで、図面のFig.3には、透明無色材料シート10の片面に、部分的に反射性の低いダークインクの規則パターン26が設けられ、該規則パターン26上に、光反射性のあるライトカラーのインク25と別の色のライトカラーのインク28が設けられているのが見て取れる。
以上、アないしウの記載事項、及びエの認定事項を、本願発明にしたがって整理すると、刊行物1には、
「透明無色材料シート10の片面に、部分的に反射性の低いダークインクの規則パターン26が設けられ、
該規則パターン26上に、光反射性のあるライトカラーのインク25と、別の色のライトカラーのインク28とが設けられたパネルであって、
一方の側からは見ることができ他方の側からは見ることができない模様を備え、他方の側から一方の側への明瞭な透視を可能にしつつ、デザインにより覆われた部分を除き、パネルの一方の側から他方の側への明瞭な透視を維持することができるパネル。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(2)刊行物2
オ 第1ページ左下欄第15行-右下欄第4行
「産業上の利用分野
本発明は、シアン、マゼンダ、イエロなどの有彩色インクと、黒などの無彩色インクとを組合せて混色することにより、所望の階調を表現する階調表現方法に係り、特に、例えばインクジェット記録装置などのカラー画像生成装置において階調を表現する際に使用され、混色時における色ずれの発生が抑制され、かつ、充分に広い濃度幅をもった階調が表現可能な階調表現方法に関するものである。」
カ 第3ページ右上欄第16行-右下欄第6行
「第1図は、本発明に係る階調表現方法をインクジェット記録装置に適用した際における一実施例を表す概略構成図である。
同図に示すように、インクジェット記録装置1には、画像信号及び制御信号等を転送するための接続ケーブル2、及び図示しない適当なインターフェースを介して、ホストコンピュータ3より出力されたRGB信号形態の画像データが入力されている。この画像データを処理するために、インクジェット記録装置1は、内部に次のような処理回路を備えている。
すなわち、ホストコンピュータ3より転送されたRGB信号形態の画像データは、インクジェット記録装置1内に設けられたフレームメモリ4に入力されて、このメモリ4の所定のアドレスに格納される。なおここで、RGB信号とは、加法混色における三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を搬送するための信号を言う。フレームメモリ4に格納された画像データは、RGB信号形態の画像データを転送するためのRGBバス5を介してルックアップテーブル6に入力され、後述するあらかじめ用意されたルックアップテーブルを参照しつつ、インクジェット記録装置1に適合するCMYK信号形態の画像データであって、色ずれが抑制され、かつ充分に広い濃度幅をもって表現されたカラー画像が形成可能な画像データに変換される。なお、CMYK信号とは、減法混色における三原色であるイエロ(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の3色に、黒(K)を加えた4色を搬送するための信号を言う。」
キ 第3ページ右下欄第7行-第4ページ左上欄第2行
「ルックアップテーブル6において変換された画像データは、CMYK信号形態のドット変調データを転送するためのCMYKバス7を介して、ラインバッファメモリ8に入力され、入力されたドット変調データは各色毎に1ライン分のデータ単位で順次ラインバッファメモリ8の所定のアドレスに格納される。そして、ラインバッファメモリ8に格納されたドット変調データは、プリントメカニズム9より出力される画像読出しクロックREAD CLKと同期して読出され、この読出されたドット変調データはデータケーブル10を介してプリントメカニズム9に入力される。この入力されたドット変調データに基づいてインクジェットが変調されて記録紙上にプリントドット11が形成され、これにより全体としてカラー画像が生成されるようになっている。」
以上、オないしキの記載事項から、刊行物2には、以下の事項が記載されていると認められる。
「ホストコンピュータ3より転送されたRGB信号形態の画像データを、インクジェット記録装置1内に設けられたフレームメモリ4の所定のアドレスに格納し、当該画像データを、CMYK信号形態の画像データに変換し、記録紙上にプリントドット11が形成され、これによりカラー画像が生成される装置。」(以下、「刊行物2記載の事項」という。)

3 対比及び当審の判断
(1)対比
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「部分的に反射性の低いダークインクの規則パターン26」は、複数の分離したものであって、透視をさえぎるものであるので、本願発明の「表示を複数の分離した光制限領域に細分化する光制限領域の配列を備えている光制限シルエット層」に相当する。
引用発明の「光反射性のあるライトカラーのインク25と、別の色のライトカラーのインク28」は、本願発明の「表示を複数の分離した色領域に細分化する少なくとも1つの色を有する1つの構造層」に相当する。
引用発明の「一方の側からは見ることができ他方の側からは見ることができない模様を備え」ることは、本願発明の「1つの構造層が、表示の1方の側から見ることができ、かつ他方の側からは実質的に見えにくくなってい」ることに相当する。
引用発明の「パネル」が表示されるものであることは明らかであるので、本願発明の「表示用画像」に相当する。したがって、引用発明の「パネル」は、「表示装置」である限りにおいて、本願発明の「表示ユニット」と共通する。
引用発明のパネルは透視できるものであることから、「全体として実質的に半透明である」と言えることは明らかである。
引用発明のパネルが部分的に反射性の低いダークインクの規則パターン26、及び、光反射性のあるライトカラーのインク25、28を備えているのであるから、パネルが2つの層を備えていることは明らかである。
したがって、両者は、
「画像が2つの層を備えていて、
表示を複数の分離した光制限領域に細分化する光制限領域の配列を備えている光制限シルエット層と、
該表示を複数の分離した色領域に細分化する少なくとも1つの色を有する1つの構造層と、
を含んでおり、
前記少なくとも1つの構造層が、前記表示の一方の側から見ることができ、かつ他方の側からは実質的に見えにくくなっていて、
全体として前記表示が実質的に半透明である、表示装置。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
表示装置に関して、本願発明では、「表示用画像を準備し表示するためのグラフィックスコンピュータ装置であって、
該装置が、
少なくとも構造の定義を入力するための入力手段と、前記構造のコンピュータ化バージョンを貯蔵する貯蔵部とを有するコンピュータと、
前記構造のコンピュータ化バージョンを複数の分離した色領域及び/又は複数の分離した透明又は半透明領域に細分化することによって、前記構造のコンピュータ化バージョンから前記構造層を定義するデータをコンピュータで生成する手段と、
1つの層を前記複数の光制限領域及び/又は前記複数の分離した透明又は半透明領域に細分化することによって、シルエット層を定義するデータをコンピュータで生成する手段と、
該シルエット層データと該構造層データとを含んでいる表示ファイルを形成するための手段と、
該構造層データと該シルエット層データを用いて、該画像を表示するための表示ユニットと、
を備えているグラフィックスコンピュータ装置。」であるのに対して、引用発明では、表示装置が単なる「パネル」である点。
<相違点2>
色領域と光制限シルエット層との関係に関して、本願発明では、「色領域が、光制限シルエット層の複数の分離した透明又は半透明領域を実質的に侵すことがなく」と特定しているのに対して、引用発明では、部分的に反射性の低いダークインクの規則パターン26と、光反射性のあるライトカラーのインク25、28との関係について不明な点。
(2)当審の判断
上記相違点について検討する。
ア <相違点1>について
刊行物2記載の事項は、「ホストコンピュータ3より転送されたRGB信号形態の画像データを、インクジェット記録装置1内に設けられたフレームメモリ4の所定のアドレスに格納し、当該画像データを、CMYK信号形態の画像データに変換し、記録紙上にプリントドット11が形成され、これによりカラー画像が生成される装置。」である。このように、記録紙上にコンピュータにより生成された画像データをインクを用いて表示する装置、すなわち、いわゆるグラフィックスコンピュータは、刊行物2を引用するまでもなく、従来周知の事項である。そして、表示装置をコンピュータで作成することは通常試みられていることであることからすれば、引用発明におけるパネルをグラフィックスコンピュータで作成することを試みることに格別の困難性を有するものではない。
ここで、引用発明におけるパネルは、「一方の側からは見ることができ他方の側からは見ることができない模様を備え、他方の側から一方の側への明瞭な透視を可能にしつつ、デザインにより覆われた部分を除き、パネルの一方の側から他方の側への明瞭な透視を維持することができる」ものであることから、そのようなパネルを作成するためには、まず、透明無色材料シート10の片面に、部分的に反射性の低いダークインクの規則パターン26を形成し、その後、光反射性のあるライトカラーのインク25、28を設けるようにしなければならないことは明らかである。
また、コンピュータに貯蔵格納されたデータでカラー表示をするためには、当該カラー表示を複数の分離した色領域に細分化することによって、インクによりカラー表示するためのコンピュータデータを作成しなければならないことも明らかである。
以上の2つの点を合わせてみると、引用発明におけるパネルを周知のグラフィックスコンピュータ装置を用いて作成するためには、まず部分的に反射性の低いダークインクの規則パターン26を形成するためのデータを用いてインクにより表示すること、すなわち、1つの層を複数の光制限領域に細分化することによって、光制限シルエット層を定義するデータをコンピュータで生成し、次に、ライトカラーのインク25、28を形成するためのデータを用いてインクにより表示すること、すなわち、構造のコンピュータ化バージョンを複数の分離した色領域に細分化することによって、構造のコンピュータ化バージョンから構造層を定義するデータをコンピュータで生成するようにすること、そして、その結果として、シルエット層データと構造層データとを含んでいる表示ファイルを形成し、該シルエット層データと構造層データとを用いて画像を表示するための表示ユニットを備えたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。
なお、構造層データを用いてコンピュータにより表示するために、何らかの入力手段、及びデータを貯蔵する貯蔵部が必要なことは明らかであるので、構造の定義を入力するための入力手段と構造のコンピュータ化バージョンを貯蔵するための貯蔵部を有することは当然のことである。
イ <相違点2>について
引用発明も、摘記事項ウに「パネルを正面から見た場合は不透明に見え、前記情報が容易にデイスプレイされる。これに対して背後から見た場合はデザインは見えず、パネルは透明に見える。」と記載されているように、パネルの一方側からは不透明に見え、背後から見た場合透明に見えるようにするために、反射性の低いダークインクの規則パターン26と、ライトカラーのインク25、28とが、正確に重ね合わさっていることが望まれることは自明のことであることから、色領域が、光制限シルエット層の複数の分離した領域を実質的に侵すことがないようにすること、すなわち、請求人が平成23年1月26日付け意見書における(3-2)において主張している「見当合わせを行った」ものとすることは、当業者にとって格別の困難性を有するものではない。
ウ <作用・効果>について
作用・効果についても、刊行物1記載された発明、及び刊行物2記載の事項から予測可能なものでしかない。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明、及び刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2ないし5に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-09 
結審通知日 2011-11-15 
審決日 2011-11-30 
出願番号 特願平10-501532
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B44F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀川 一郎  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 長屋 陽二郎
豊原 邦雄
発明の名称 画像を表示する表示装置  
代理人 篠崎 正海  
代理人 鶴田 準一  
代理人 武林 茂  
代理人 青木 篤  
代理人 谷光 正晴  
代理人 島田 哲郎  
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