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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1256666 |
審判番号 | 不服2010-10494 |
総通号数 | 151 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-05-17 |
確定日 | 2012-05-10 |
事件の表示 | 特願2000-256424「選局操作装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月15日出願公開、特開2002- 77748〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 1 手続 本願は、平成12年 8月25日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 平成21年11月18日(起案日) 手続補正 平成22年 1月18日 拒絶査定 平成22年 2月10日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 平成22年 5月17日 手続補正 平成22年 5月17日 2 査定 原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。 <理由1> 本願の請求項1-3,5,6-8,10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1または刊行物2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 <理由2> 本願の請求項1-10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 刊行物1:特開2000-184227号公報 刊行物2:特開平02-288497号公報 刊行物3:特開平10-215441号公報(周知技術) 刊行物4:特開平06-245266号公報(周知技術) 刊行物5:特開平06-292095号公報(周知技術) 刊行物6:特開平07-038822号公報(周知技術) 第2 補正却下の決定 平成22年 5月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について次のとおり決定する。 《結論》 平成22年 5月17日付けの手続補正を却下する。 《理由》 1 本件補正の内容 本件補正は、平成22年1月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲についてする補正であり、補正前の請求項1ないし10を、補正後の請求項1ないし8とするものである。 特許請求の範囲(補正前) 【請求項1】 複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択手段と、 上記カテゴリ選択手段により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択手段とを有し、 上記チャンネル選択手段が最大チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を増加する操作が行われた時、カテゴリ内の最小チャンネル番号に遷移し、最小チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を減少する操作が行われた時、カテゴリ内の最大チャンネル番号に遷移する 選局操作装置。 【請求項2】 上記チャンネル選択手段は、上記放送チャンネルのチャンネル番号をアップダウンさせるアップダウンキーである請求項1記載の選局操作装置。 【請求項3】 上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送を含む 請求項1記載の選局操作装置。 【請求項4】 上記カテゴリ選択手段は、地上テレビジョン放送を選択する地上放送選択キーと、衛星ディジタル放送を選択する衛星ディジタル放送選択キーと、衛星ディジタル放送が選択された状態で衛星ディジタルテレビジョン放送を選択するテレビジョン放送選択キーと、衛星ディジタル放送が選択された状態で衛星ディジタルラジオ放送を選択するラジオ放送選択キーと、衛星ディジタル放送が選択された状態で衛星ディジタルデータ放送を選択するデータ放送選択キーとを有する請求項3記載の選局操作装置。 【請求項5】 上記カテゴリ選択手段及びチャンネル選択手段による操作の内容を示す情報を外部に送出する送出手段を有する請求項1記載の選局操作装置。 【請求項6】 複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択工程と、 上記カテゴリ選択工程により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択工程とを有し、 上記チャンネル選択工程では、最大チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を増加する操作が行われた時、カテゴリ内の最小チャンネル番号に遷移し、最小チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を減少する操作が行われた時、カテゴリ内の最大チャンネル番号に遷移する 選局操作方法。 【請求項7】 上記チャンネル選択操作は、上記放送チャンネルのチャンネル番号のアップダウンにより行われる請求項6記載の選局操作方法。 【請求項8】 上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送を含む 請求項6記載の選局操作方法。 【請求項9】 上記カテゴリ選択は、地上テレビジョン放送の選択、衛星ディジタル放送の選択、衛星ディジタル放送が選択された状態でのテレビジョン放送の選択、衛星ディジタル放送が選択された状態でのラジオ放送の選択、及び衛星ディジタル放送が選択された状態でのデータ放送の選択のいずれかにより行われる請求項8記載の選局操作方法。 【請求項10】 上記カテゴリ選択操作及びチャンネル選択操作による操作内容を示す情報を外部に送出する送出工程を有する請求項6記載の選局操作方法。 特許請求の範囲(補正後) 【請求項1】 複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択手段と、 上記カテゴリ選択手段により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択手段とを有し、 上記チャンネル選択手段が最大チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を増加する操作が行われた時、カテゴリ内の最小チャンネル番号に遷移し、最小チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を減少する操作が行われた時、カテゴリ内の最大チャンネル番号に遷移し、 上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む 選局操作装置。 【請求項2】 上記チャンネル選択手段は、上記放送チャンネルのチャンネル番号をアップダウンさせるアップダウンキーである請求項1記載の選局操作装置。 【請求項3】 上記カテゴリ選択手段は、地上テレビジョン放送を選択する地上放送選択キーと、衛星ディジタル放送を選択する衛星ディジタル放送選択キーと、衛星ディジタル放送が選択された状態で衛星ディジタルテレビジョン放送を選択するテレビジョン放送選択キーと、衛星ディジタル放送が選択された状態で衛星ディジタルラジオ放送を選択するラジオ放送選択キーと、衛星ディジタル放送が選択された状態で衛星ディジタルデータ放送を選択するデータ放送選択キーとを有する請求項1記載の選局操作装置。 【請求項4】 上記カテゴリ選択手段及びチャンネル選択手段による操作の内容を示す情報を外部に送出する送出手段を有する請求項1記載の選局操作装置。 【請求項5】 複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択工程と、 上記カテゴリ選択工程により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択工程とを有し、 上記チャンネル選択工程では、最大チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を増加する操作が行われた時、カテゴリ内の最小チャンネル番号に遷移し、最小チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を減少する操作が行われた時、カテゴリ内の最大チャンネル番号に遷移し、 上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む 選局操作方法。 【請求項6】 上記チャンネル選択操作は、上記放送チャンネルのチャンネル番号のアップダウンにより行われる請求項5記載の選局操作方法。 【請求項7】 上記カテゴリ選択は、地上テレビジョン放送の選択、衛星ディジタル放送の選択、衛星ディジタル放送が選択された状態でのテレビジョン放送の選択、衛星ディジタル放送が選択された状態でのラジオ放送の選択、及び衛星ディジタル放送が選択された状態でのデータ放送の選択のいずれかにより行われる請求項5記載の選局操作方法。 【請求項8】 上記カテゴリ選択操作及びチャンネル選択操作による操作内容を示す情報を外部に送出する送出工程を有する請求項5記載の選局操作方法。 2 補正の適合性 (1)補正の範囲(第17条の2第3項) 本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の記載に基づくものであるから、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする補正である。 (2)補正の目的(第17条の2第4項第1号?第4号) 本件補正は、補正前の請求項1および6に、「上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む」なる記載を追加して、補正後の請求項1および5とする補正と、 補正前の請求項3および8を削除する補正とを含むものであり、 前者の補正は、補正前の請求項1および6の「複数の放送カテゴリ」を、「上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む」ものに限定する補正であるということができるから、 補正後の請求項1および5に対する補正は特許請求の範囲の減縮に該当する補正事項であると認められる。 また、後者の補正前の請求項3および8を削除する補正は、請求項の削除に該当する補正事項であると認められる。 (3)独立特許要件(第17条の2第5項) 本件補正は、上記のとおり、請求項の削除および特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そこで、特許請求の範囲の減縮を目的とする本件補正後の請求項1に係る発明が、独立して特許を受けることができる発明であるか検討する。 ア 補正後の本願発明 本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という)は、以下のとおりのものである。 【請求項1】 複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択手段と、 上記カテゴリ選択手段により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択手段とを有し、 上記チャンネル選択手段が最大チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を増加する操作が行われた時、カテゴリ内の最小チャンネル番号に遷移し、最小チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を減少する操作が行われた時、カテゴリ内の最大チャンネル番号に遷移し、 上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む 選局操作装置。 イ 刊行物1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された特開2000-184227号公報(以下「刊行物1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (刊行物1の記載) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、衛星放送やケーブルテレビ等で用いられる多チャネル放送受信装置に係り、詳しくは選局が極めて容易な多チャネル放送受信装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、衛星放送やケーブルテレビの普及に伴い多チャネル放送受信装置が増加してきた。このような多チャネル放送受信装置には操作を容易にするためリモートコントローラーが付属しており、このリモートコントローラーを操作して赤外線や無線等で指令信号であるコマンドを発信し、多チャネル放送受信機のコマンド受信部でコマンドを受信し、選局等をし、映像・音声信号をテレビジョン受像機等に出力するようになっている。 【0003】図6は従来の多チャネル放送受信装置のリモートコントローラーを示す正面図である。多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー(リモコン)31の長手方向の上部には電源スイッチ32、サービスXを選択するためのサービスX選択釦33、サービスYを選択するためのサービスY選択釦34、画面表示を切り替えるための画面表示切換釦35、0から9までの1桁の数字をそれぞれ表記したテンキー37、テンキー37で入力されたチャネル番号を確定するための選局釦39が設けられている。サービスは、例えばデジタル衛星放送では、サービスXを「パーフェクTVサービス」、サービスYを「スカイサービス」とする。なお、画面表示切換釦35を押すと、現在のチャネル番号が画面表示され、再度、画面表示切換釦35を押すと、チャネル番号に加えて番組名も画面表示され、更に押すと、チャネル番号も番組名も画面表示されないようになっている。 【0004】リモコン31の長手方向の中間部には好みのチャネルを画面に一覧表示するための好み一覧釦43、番組ガイドを画面表示させるための番組ガイド釦44、メニューを画面表示させるためのメニュー釦45、好みチャネル上下釦47、チャネルをチャネル番号順に順次選局するチャネル上下釦48が設けられている。更に、リモコン31の長手方向の下部には直前の各種釦の入力を取り消す取消し釦49、所望の方向にカーソルを移動させるカーソル方向釦50、カーソル方向釦50で選択された例えばチャネル番号を確定し選局する決定釦51が設けられている。 【0005】オペレータがチャネル番号を直接選ぶ選局方法では、サービスX選択釦33又はサービスY選択釦34を押してサービスを選択し、テンキー37によりチャネル番号(例えば、3桁の数字)を入力し、表示されたチャネル番号を確認して選局釦39を押すことにより選局している。 【0006】チャネル番号順に画面表示させて選局する選局方法では、サービスX選択釦33又はサービスY選択釦34を押してサービスを選択し、表示されたチャネル番号からチャネル上下釦48を押してチャネルをチャネル番号順に順次選局している。」 (刊行物1の記載、以上) ウ 刊行物1に記載された発明 (ア)「多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー」について 上記刊行物1の段落【0001】によれば、「本発明は、衛星放送やケーブルテレビ等で用いられる多チャネル放送受信装置に係り」とあり、 その【従来の技術】として、段落【0002】に、「このような多チャネル放送受信装置には操作を容易にするためリモートコントローラーが付属しており、このリモートコントローラーを操作して赤外線や無線等で指令信号であるコマンドを発信し、多チャネル放送受信機のコマンド受信部でコマンドを受信し、選局等をし、映像・音声信号をテレビジョン受像機等に出力する」ことが記載されていて、 そして、段落【0003】に、図6を参照して従来の「多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー(リモコン)31」が示されており、この「多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー(リモコン)31」を、刊行物1に記載された発明として認定する。 すなわち、刊行物1には、 衛星放送やケーブルテレビ等で用いられる多チャネル放送受信装置に附属しているリモートコントローラーであって、該リモートコントローラーを操作して赤外線や無線等で指令信号であるコマンドを発信し、前記多チャネル放送受信機のコマンド受信部でコマンドを受信し、選局等をし、映像・音声信号をテレビジョン受像機等に出力するための、前記多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー(リモコン)31が記載されている。 (イ)「サービスを選択するための選択釦」について 上記刊行物1の段落【0003】によれば、「多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー(リモコン)31の長手方向の上部には」、「サービスXを選択するためのサービスX選択釦33、サービスYを選択するためのサービスY選択釦34」「が設けられている」。 (ウ)「チャネル上下釦」について 上記刊行物1の段落【0004】によれば、前記「リモコン31の長手方向の中間部には」、「チャネルをチャネル番号順に順次選局するチャネル上下釦48が設けられて」おり、図6には、前記「チャネル上下釦48」として、「CH」の表示の下に、上方向の矢印の付された釦と下方向の矢印の付された釦を含むものが記載されている。 (エ)「サービス」について 上記刊行物1の段落【0003】によれば、「サービスは、例えばデジタル衛星放送では、サービスXを「パーフェクTVサービス」、サービスYを「スカイサービス」とする。」から、刊行物1において、「サービスX」は「デジタル衛星放送」の「パーフェクTVサービス」、「サービスY」は「デジタル衛星放送」の「スカイサービス」である。 (オ)「チャネル番号順に画面表示させて選局する選局方法」 上記刊行物1の段落【0006】によれば、「チャネル番号順に画面表示させて選局する選局方法では、サービスX選択釦33又はサービスY選択釦34を押してサービスを選択し、表示されたチャネル番号からチャネル上下釦48を押してチャネルをチャネル番号順に順次選局している。」 (カ)まとめ 上記(ア)?(オ)によれば、刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)として、以下のとおりのものを認定することができる。 「衛星放送やケーブルテレビ等で用いられる多チャネル放送受信装置に附属しているリモートコントローラーであって、該リモートコントローラーを操作して赤外線や無線等で指令信号であるコマンドを発信し、前記多チャネル放送受信機のコマンド受信部でコマンドを受信し、選局等をし、映像・音声信号をテレビジョン受像機等に出力するための、前記多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー(リモコン)31であって、 前記多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー31の長手方向の上部には、サービスXを選択するためのサービスX選択釦33、サービスYを選択するためのサービスY選択釦34が設けられ、 前記リモコン31の長手方向の中間部には、チャネルをチャネル番号順に順次選局するチャネル上下釦48が設けられており、 前記チャネル上下釦48は、上方向の矢印の付された釦と下方向の矢印の付された釦を含み、 前記サービスXはデジタル衛星放送のパーフェクTVサービス、前記サービスYはデジタル衛星放送のスカイサービスであり、 チャネル番号順に画面表示させて選局する選局方法では、サービスX選択釦33又はサービスY選択釦34を押してサービスを選択し、表示されたチャネル番号からチャネル上下釦48を押してチャネルをチャネル番号順に順次選局している 多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー31。」 エ 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)「選局操作装置」について 引用発明の多チャネル放送受信装置のリモートコントローラー31は、 「操作して赤外線や無線等で指令信号であるコマンドを発信し、前記多チャネル放送受信機のコマンド受信部でコマンドを受信し、選局等を」するものであって、選局操作をするリモートコントローラーといえるから、本件補正発明の選局操作装置と一致する。 (イ)「複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択手段」について 引用発明の「リモートコントローラー31の長手方向の上部」には、 「サービスXを選択するためのサービスX選択釦33」と、「サービスYを選択するためのサービスY選択釦34」とが設けられ、 「前記サービスXはデジタル衛星放送のパーフェクTVサービス、前記サービスYはデジタル衛星放送のスカイサービス」であって、 「チャネル番号順に画面表示させて選局する選局方法では、サービスX選択釦33又はサービスY選択釦34を押してサービスを選択」する。 本件補正発明の「複数の放送カテゴリ」は、該放送カテゴリとして、「地上波による地上テレビジョン放送」、「衛星ディジタルテレビジョン放送」、「衛星ディジタルラジオ放送」、及び「衛星ディジタルデータ放送」を含む(段落【0009】)ものであるところ、 引用発明の前記「サービスX」である「デジタル衛星放送のパーフェクTVサービス」、および、前記「サービスY」である「デジタル衛星放送のスカイサービス」は、それぞれ異なるデジタル衛星のデジタルテレビ放送であるから、 前記「サービスX」および前記「サービスY」は、それぞれ、本件補正発明の放送カテゴリに対応し、異なる(デジタル衛星のデジタルテレビ放送である)放送カテゴリといえる。 そして、引用発明の前記「サービスX選択釦33」および前記「サービスY選択釦34」は、「チャネル番号順に画面表示させて選局する選局方法」において「サービスを選択」する選択釦であるから、複数の放送カテゴリ(前記「サービスX」および前記「サービスY」)の一つを選択するカテゴリ選択手段といえ、この点で本件補正発明と一致する。 (ウ)「上記カテゴリ選択手段により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択手段」について 引用発明の「リモートコントローラー(リモコン)31」は、「チャネル番号順に画面表示させて選局する選局方法では、サービスX選択釦33又はサービスY選択釦34を押してサービスを選択し、表示されたチャネル番号からチャネル上下釦48を押してチャネルをチャネル番号順に順次選局している」ものであって、 「サービスX選択釦33又はサービスY選択釦34を押して」「選択」された「サービス」(放送カテゴリ)内の「チャネルを」、「チャネル上下釦48を押して」「チャネル番号順に順次選局」する。 よって、引用発明の前記「チャネル上下釦48」は、カテゴリ選択手段(「サービスX選択釦33」,「サービスY選択釦34」)により選択されたカテゴリ(サービス)内にある複数の「チャネル」の1つを「チャネル番号順に順次」選択するための釦といえ、 本件補正発明の「上記カテゴリ選択手段により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択手段」と一致する。 (エ)「上記チャンネル選択手段が最大チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を増加する操作が行われた時、カテゴリ内の最小チャンネル番号に遷移し、最小チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を減少する操作が行われた時、カテゴリ内の最大チャンネル番号に遷移し」について 引用発明の前記「チャネル上下釦48」(チャンネル選択手段)は、「上方向の矢印の付された釦と下方向の矢印の付された釦を含み」、「表示されたチャネル番号からチャネル上下釦48を押してチャネルをチャネル番号順に順次選局」するためのものである。 そして、引用発明においては、サービス(放送カテゴリ)を選択した後、選択されたサービス(放送カテゴリ)内の複数のチャネルを選択するために、「表示されたチャネル番号から」、前記「上方向の矢印の付された釦」を押すことで次の(1つ大きい)チャネル番号を選択し(次のチャネルを選局し)、また、前記「下方向の矢印の付された釦」を押すことで前の(1つ小さい)チャネル番号を選択する(前のチャネルを選局する)。 よって、引用発明は、「表示されたチャネル番号から」(該チャネル番号のチャネルを選局している状態で)、前記「チャネル上下釦48」に含まれる前記「上方向の矢印の付された釦」を押したときに、チャネル番号が1つ増加したチャネル番号に(選局が)遷移し、また、前記「下方向の矢印の付された釦」を押したときに、チャネル番号が1つ減少したチャネル番号に(選局が)遷移するものといえ、 上記チャンネル選択手段が放送チャンネルを選局している状態で、チャンネル番号を増加する操作が行われた時、および、チャンネル番号を減少する操作が行われた時に、チャネル番号が遷移する点で本件補正発明と一致するといえるが、 上記チャンネル選択手段が選択するチャンネルのチャネル番号の遷移が、 本件補正発明においては、最大チャンネル番号から更にチャンネル番号を増加する操作が行われた時、および、最小チャンネル番号から更にチャンネル番号を減少する操作が行われた時に、カテゴリ内の最小チャンネル番号、および、最大チャンネル番号に遷移するのに対し、 引用発明においては、最大チャンネル番号から更にチャンネル番号を増加する操作が行われた時、および、最小チャンネル番号から更にチャンネル番号を減少する操作が行われた時に、カテゴリ内の最小チャンネル番号、および、最大チャンネル番号に遷移する、とはしていない点で相違する。 (オ)「上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む」について 引用発明の複数のサービス(放送カテゴリ)はデジタル衛星放送のデジタルテレビ放送を含むから、複数の放送カテゴリが衛星ディジタルテレビジョン放送を含む点で本件補正発明と一致する。 しかしながら、「上記複数の放送カテゴリ」が、 本件補正発明では、「地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む」のに対し、 引用発明では、異なるデジタル衛星放送のデジタルテレビ放送である点で相違する。 オ 一致点、相違点 以上の対比によれば、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。 《一致点》 複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択手段と、 上記カテゴリ選択手段により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択手段とを有し、 上記チャンネル選択手段が放送チャンネルを選局している状態で、チャンネル番号を増加する操作が行われた時、および、チャンネル番号を減少する操作が行われた時に、チャネル番号が遷移し、 上記複数の放送カテゴリは衛星ディジタルテレビジョン放送を含む 選局操作装置。 《相違点》 相違点1 上記チャンネル選択手段が選択するチャンネルのチャネル番号の遷移が、 本件補正発明においては、最大チャンネル番号から更にチャンネル番号を増加する操作が行われた時、および、最小チャンネル番号から更にチャンネル番号を減少する操作が行われた時に、カテゴリ内の最小チャンネル番号、および、最大チャンネル番号に遷移するのに対し、 引用発明においては、最大チャンネル番号から更にチャンネル番号を増加する操作が行われた時、および、最小チャンネル番号から更にチャンネル番号を減少する操作が行われた時に、カテゴリ内の最小チャンネル番号、および、最大チャンネル番号に遷移する、とはしていない点。 相違点2 「上記複数の放送カテゴリ」が、 本件補正発明では、「地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む」のに対し、 引用発明では、異なるデジタル衛星放送のデジタルテレビ放送である点。 カ 判断 上記各相違点について検討する。 (ア)相違点1について 複数の放送チャンネルの1つを、アップキーによるチャンネル番号を増加する操作およびダウンキーによるチャンネル番号を減少する操作により、チャンネルを順次選局(選択)し得る選局操作装置の技術分野において、 選択し得る複数のチャンネルのうち、最大のチャンネル番号の放送チャンネルが選局された状態でアップキーが押されたときに、前記選択し得る複数のチャンネルのうちの最小チャンネル番号に遷移し、 最小のチャンネル番号の放送チャンネルが選局された状態でダウンキーが押されたときに、前記選択し得る複数のチャンネルのうちの最大チャンネル番号に遷移することで、所望のチャンネルを選局しやすくする技術は、本件出願前において既に広く知られており、 例えば、拒絶査定時において既に示されている、特開平10-215441号公報(段落【0024】?【0025】,【0039】,【0041】、図11)、特開平6-245266号公報(段落【0033】,【0036】)、特開平6-292095号公報(段落【0019】、図4)に記載されているように、周知の技術といえる。 引用発明は、カテゴリを選択して、チャネルの上下(順次選局)を行うのであるから、当業者であれば、選択されたカテゴリの範囲内でチャネルを上下させていると思うことが普通であり、 チャネル上下釦の操作でチャネル選択を行えば、最終的に最大番号ないしは最小番号のチャネルに至ることは、当然予測可能であって、 そのように予測ができたときに、前記周知の技術を適用して、最大チャネル番号から(アップキーが押されたときに)最小チャネル番号へ、また、最小チャネル番号から(ダウンキーが押されたときに)最大チャネル番号へ遷移するものとすれば、 上述のとおり、引用発明は、選択された同じカテゴリの範囲内でチャネルを上下させていると思うことが普通であるから、 同じカテゴリの最大チャネル番号から(アップキーが押されたときに)最小チャネル番号へ、また、最小チャネル番号から(ダウンキーが押されたときに)最大チャネル番号へ遷移するようにすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 (イ)相違点2について 複数の放送カテゴリの放送を受信できる多チャネル放送受信装置およびその選局操作装置(リモコン)において、受信できる複数の放送カテゴリとして、例えば、 地上波による地上テレビジョン放送と衛星ディジタルテレビジョン放送とを含むものや、衛星テレビジョン放送と衛星ラジオ放送とを含むものが、本件出願前において既に広く知られており、 例えば、特開平11-32267号公報(段落【0046】-【0048】,【0050】-【0051】、図3)、特開平11-164214号公報(段落【0002】)、特開平2000-165769号公報(段落【0014】,【0017】、図2)に記載されているように、周知の技術といえる。 引用発明の多チャネル放送受信装置が受信できる複数の放送カテゴリは、異なるデジタル衛星放送のデジタルテレビ放送であるが、複数の異なるデジタル衛星放送のデジタルテレビ放送のみならず、それ以外の放送を受信し得る多チャネル放送受信装置としてもよいことが、刊行物1に示唆されており(「ケーブルテレビ等他の多チャネル放送用チューナーとしてもよいことは勿論である。」段落【0030】)、 また、前記周知技術にあるように、地上波による地上テレビジョン放送と衛星ディジタルテレビジョン放送を受信できる多チャンネル放送受信装置や、衛星テレビジョン放送と衛星ラジオ放送を受信できる多チャンネル放送受信装置が、本件出願前において既に周知の技術であることから、 引用発明の多チャネル放送受信装置が受信できる複数の放送カテゴリとして、前記周知の技術である、地上波による地上テレビジョン放送と衛星ディジタルテレビジョン放送、もしくは、衛星テレビジョン放送と衛星ラジオ放送を採用しようとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 キ 効果 以上のように、上記各相違点は、刊行物1に記載された発明および本件出願前周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 ク まとめ(独立特許要件) 以上によれば、本件補正発明は、刊行物1に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 平成22年 5月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成22年 1月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に係る発明のとおりであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、平成22年 1月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 【請求項1】 複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択手段と、 上記カテゴリ選択手段により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択手段とを有し、 上記チャンネル選択手段が最大チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を増加する操作が行われた時、カテゴリ内の最小チャンネル番号に遷移し、最小チャンネル番号の放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を減少する操作が行われた時、カテゴリ内の最大チャンネル番号に遷移する 選局操作装置。 第4 検討 1 刊行物に記載された発明 刊行物1には、上記第2の2(3)イの事項が記載されており、刊行物1に記載された発明として、上記第2の2(3)ウ(カ)の「引用発明」を認定することができる。 2 対比(本件補正発明においてした対比の援用) 本願発明は、本件補正発明の「上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む」とする限定事項を削除したものである。 したがって、本願発明と引用発明との対比は、該「上記複数の放送カテゴリは、地上波による地上テレビジョン放送、衛星ディジタルテレビジョン放送、衛星ディジタルラジオ放送、及び衛星ディジタルデータ放送の内の少なくとも2つを含む」の部分を除き、上記第2の2(3)エの対比を援用する。 3 一致点、相違点 以上の対比によれば、本願発明と刊行物発明とは、 《一致点》 複数の放送カテゴリの1つを選択するカテゴリ選択手段と、 上記カテゴリ選択手段により選択されたカテゴリ内の複数の放送チャンネルの1つを選択するチャンネル選択手段とを有し、 上記チャンネル選択手段が放送チャンネルを選局している状態でチャンネル番号を増加する操作が行われた時、チャンネル番号を減少する操作が行われた時に、チャネル番号が遷移し、 選局操作装置。 《相違点》(上記第2の2(3)オの相違点1に対応する) 上記チャンネル選択手段が選択するチャンネルのチャネル番号の遷移が、 本件補正発明においては、最大チャンネル番号から更にチャンネル番号を増加する操作が行われた時、および、最小チャンネル番号から更にチャンネル番号を減少する操作が行われた時に、カテゴリ内の最小チャンネル番号、および、最大チャンネル番号に遷移するのに対し、 引用発明においては、最大チャンネル番号から更にチャンネル番号を増加する操作が行われた時、および、最小チャンネル番号から更にチャンネル番号を減少する操作が行われた時に、カテゴリ内の最小チャンネル番号、および、最大チャンネル番号に遷移する、とはしていない点。 4 判断 上記相違点についての判断は、上記第2の2(3)カ(ア)と同様である。 5 効果 本願発明の作用効果は、刊行物1に記載された発明および周知の技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものであるとは認められない。 6 まとめ(査定の検討) したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、残る請求項2ないし10に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-03-07 |
結審通知日 | 2012-03-13 |
審決日 | 2012-03-26 |
出願番号 | 特願2000-256424(P2000-256424) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
P 1 8・ 113- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 脇岡 剛 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 ▲徳▼田 賢二 |
発明の名称 | 選局操作装置及び方法 |
代理人 | 野口 信博 |
代理人 | 祐成 篤哉 |
代理人 | 藤井 稔也 |
代理人 | 伊賀 誠司 |
代理人 | 小池 晃 |