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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1256672
審判番号 不服2010-20905  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-16 
確定日 2012-05-10 
事件の表示 特願2004- 65696「画像表示装置及び画像表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月22日出願公開、特開2005-257761〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年3月9日の出願であって、特許請求の範囲について平成22年3月4日付けで補正がなされ(以下、「補正1」という。)、平成22年5月31日付けで補正がなされ(以下、「補正2」という。)、平成22年6月17日付け(送達:同年6月22日)で拒絶査定がされ、これに対し、同年9月16日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を次のとおり補正するものである。
(補正前)
「照明光の調光処理と画像信号の階調数の伸張処理とによって表示画像が調整される画像表示装置であって、
前記表示画像の明るさを特徴付ける画像パラメータを画像信号から単位時間毎に抽出する画像パラメータ抽出手段と、
前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記調光処理に係る調光制御パラメータを決定し、該調光制御パラメータに基づいて前記調光処理を行わせる調光制御手段と、
前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定し、該伸張制御パラメータに基づいて前記伸張処理を行う伸張処理手段とを備えてなり、
前記伸張処理手段は、入力可能な最大階調より小さい階調を、出力可能な最大階調まで伸張させるような階調特性に基づいて、入力した画像信号の最大階調が伸張処理後、前記出力可能な最大階調より低い階調となるように前記伸張制御パラメータを決定し、伸張処理をなすものであることを特徴とする画像表示装置。」
(補正後)
「照明光の調光処理と画像信号の階調数の伸張処理とによって表示画像が調整される画像表示装置であって、
前記表示画像の明るさを特徴付ける画像パラメータを画像信号から単位時間毎に抽出する画像パラメータ抽出手段と、
前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記調光処理に係る調光制御パラメータを決定し、該調光制御パラメータに基づいて前記調光処理を行わせる調光制御手段と、
前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定し、該伸張制御パラメータに基づいて前記伸張処理を行う伸張処理手段とを備えてなり、
前記伸張処理手段は、入力可能な最大階調より小さい階調を、出力可能な最大階調まで伸張させるような階調特性に基づいて、入力した画像信号の最大階調が伸張処理後、前記出力可能な最大階調より低い階調となるように前記伸張制御パラメータを決定し、伸張処理をなすものであり、且つ、 前記伸張処理手段は、入力した画像信号の最小階調から該画像信号の最大階調までの全ての階調を一定の伸張係数を用いて伸張処理することを特徴とする画像表示装置。」(下線は、補正箇所。)

この補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「伸張処理手段」について「入力した画像信号の最小階調から該画像信号の最大階調までの全ての階調を一定の伸張係数を用いて伸張処理する」との限定を付加するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2002?366121号公報(以下「引用例」という。)には、「映像表示装置および映像表示方法」(発明の名称)に関し、次の事項(a)ないし(e)が図面とともに記載されている。
(a)「【発明の属する技術分野】本発明は映像表示装置および映像表示方法に関し、より特定的には、映像信号の階調性の補正制御、および光変調表示素子と光源からなる表示装置における光源輝度の制御により、高画質化を実現する映像表示装置および映像表示方法に関する。」(段落【0001】)
(b)「この第2の従来装置では、入力映像信号の最大値を検出し、最大値が高い場合は光源輝度を上げ、最大値が低い場合は光源輝度を下げる。この第2の従来装置以外にも、入力映像信号の平均輝度(APL)を検出し、光源輝度を制御するものも考案されている。」(段落【0010】)
(c)「図37、図38を用いて、入力映像信号の特徴検出結果と光源制御レベルの関係の一例について説明する。入力映像信号1は、LPF21に入力され、LPF21において孤立点情報の除去が行われる。APL検出部24は、LPF21の出力信号に基づいて、フィールド毎あるいはフレーム毎にAPLを検出する。APL検出部24で検出されたAPL信号は、光源制御データ作成部105に入力され、APLレベルに応じた光源制御データが生成される。この光源制御データは、光源駆動回路102に入力される。
図38に、APL信号と光源制御レベルの関係を示す。APLレベルが最も高い場合(APL=100%)、すなわち最も明るい映像の場合は、光源制御レベルを最大レベルL2(max)とし、APLレベルが最も低い場合(APL=0%)、すなわち最も暗い映像の場合は、光源制御レベルを最低レベルL1(min)とする。APLレベルが0%?100%の間のレベルの場合は、APLレベルに応じて光源制御レベルをL1(min)からL2(max)まで変化させる。なお、光源は、一般に、安定に点灯する条件範囲が限定される。よって、光源103のレベル制御は、図38に示すように光源103の安定点灯領域で行う。このような構成、光源制御方法により、相対的なコントラスト比を上げることができる。」(段落【0012】?【0013】)
(d)「【発明の実施の形態】以下、本発明の種々の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)図1、図2に、本発明の第1の実施形態に係る映像表示装置の構成を示す。図1に示す映像表示装置は、自発光表示素子を用いた場合の構成であり、映像信号特徴検出部2と、階調補正制御データ作成部3と、映像信号処理回路4と、表示素子駆動部5と、表示素子6と、マイコン7と、タイマー8とを備える。図2に示す映像表示装置は、単一あるいは複数枚の透過型あるいは反射型の光変調作用を有する表示素子に対して光源からの光を照射することによって映像を表示する映像表示装置、いわゆる直視型液晶表示装置やプロジェクタの場合の構成であり、図1に示す自発光表示素子を用いた場合の構成に加えて、光源駆動回路102と、光源103と、光学系104とをさらに備える。なお、光学系104については、表示装置によって個別のものが用いられる。また、光学系104を備えない表示装置もある。以下、第1の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、映像表示装置には、入力映像信号1が供給される。入力映像信号1は、映像信号処理部4および映像信号特徴検出部2に入力される。映像信号特徴検出部2は、入力映像信号1の輝度信号成分から単位フィールド期間毎、あるいは単位フレーム毎に映像信号の特徴を示す信号レベル(最小値、最大値、APLなど)を検出し、検出結果を階調補正制御データ作成部3へ出力する。階調補正制御データ作成部3は、映像信号の特徴検出結果に応じた階調補正制御データを作成する。作成された階調補正制御データは、映像信号処理回路4に入力される。映像信号処理回路4は、入力映像信号1および階調補正制御データ作成部3からの階調補正制御データに基づいて、乗算およびその他の演算処理、コントラスト制御、ブライト制御等の基本的な信号処理を行う。表示素子駆動部5は、映像信号処理回路4の処理結果に基づいて表示素子6に映像を表示する。なお、映像信号処理回路4および表示素子駆動部5での信号処理については周知のため、詳しい説明を省略する。マイコン7およびタイマー8は、映像信号の特徴検出における時間軸制御を行うために、映像信号特徴検出部2に対して制御を行う。
図2に示す映像表示装置の場合には、上記の動作に加えて、映像表示装置内で生成される光源駆動制御信号101が、光源駆動回路102に入力される。光源駆動回路102は、光源駆動制御信号101に応じた駆動条件で光源103を駆動する。光源103から発光された光は、光学系104により収束され、表示素子6の表示範囲に対応した照明光として表示素子6に照射される。
以下、映像信号特徴検出部2および階調補正制御データ作成部3における階調補正処理について、より具体的に説明する。
図3に示すように、映像信号特徴検出部2は、LPF21と、最大値検出部22と、最小値検出部23とを含む。入力映像信号1の輝度信号成分は、LPF21に入力される。LPF21は、輝度信号成分の水平方向、垂直方向の少なくとも一方向の孤立点情報を除去する。最大値検出部22と最小値検出部23では、LPF21の出力から、単位フィールド期間毎、あるいは単位フレーム毎に入力映像信号の輝度成分の最大値、最小値を検出する。検出結果は、階調補正制御データ作成部3に入力される。階調補正制御データ作成部3は、映像信号の特徴検出結果に応じた階調補正制御データを作成し、映像信号処理回路4に出力する。
図4に示すように、階調補正制御データ作成部3は、階調補正開始点制御回路32と、階調補正ゲイン制御回路33と、補正後最大値検出部34とを含む。階調補正制御データ作成部3に入力された映像信号特徴検出部2の検出結果は、階調補正ゲイン制御回路33に入力される。一方、図5に示す予め規定された階調補正開始点に対応した階調補正開始点信号31が、階調補正開始点制御回路32に入力され、補正開始制御信号として、階調補正ゲイン制御回路33に入力される。階調補正ゲイン制御回路33は、映像信号特徴検出部2からの出力である最大値検出部22の検出結果ISmax、および階調補正開始点制御回路32からの出力である補正開始点制御信号に基づいて、入力信号レベルISx?ISmaxに対する階調補正ゲインを算出し、図5の点線で示す入力信号レベル(補正前特性Kin)に応じて、図5の実線で示す補正後特性K0outとなるような補正データを生成する。補正後最大値検出部34は、補正データの最大値を検出し、検出結果と出力信号ダイナミックレンジ(出力Dレンジ)の最大値MAXとの最大値比較を行い、階調補正後の最大値が出力信号ダイナミックレンジ(出力Dレンジ)の最大値MAXと一致するように、階調補正ゲイン制御回路33に対して制御を行う。一方、映像信号特徴検出部2からの出力である最小値検出部23の検出結果ISminも階調補正ゲイン制御回路33に入力され、階調補正ゲイン制御回路33は、入力された最小値ISminが入力信号に対する階調補正開始レベルISxより大きい場合には、階調補正開始レベルがISminとなるような補正データを生成する。
以上の動作により、第1の実施形態によれば、入力映像信号の比較的暗い信号レベルにおいては原画信号に対して階調の伸張補正や圧縮補正を行わず、入力映像信号レベルの中間階調付近から明るい信号レベルについてのみ限定して入力映像信号の最大値レベルに応じて階調の伸張補正を行うことにより、映像のシーンに応じて、暗いシーンでの黒浮きの発生や原信号のもつ暗部のノイズ感を顕在化させるような不具合を発生させることなく、明るいシーンでの明るさ感の不足を改善することができ、コントラスト感を高めることができる。」(段落【0061】?【0067】)
(e)「次に、第1の実施形態の変形例について説明する。
(第1の実施形態に対する第1の変形例)図6?図7を参照して、第1の実施形態に対する第1の変形例について説明する。なお、第1の変形例が第1の実施形態と異なる点は、階調補正制御データ作成部3の代わりに階調補正制御データ作成部11を備える点のみである。したがって、映像表示装置の全体構成の図示を省略するとともに、図1に示す構成と同一の構成については同一の参照符号を付して説明する。以下、第1の変形例について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する」(段落【0068】)
(f)「本変形例において、階調補正制御データ作成部11は、図6に示すように、階調補正開始点制御回路32と、階調補正ゲイン制御回路33と、補正後最大値検出部34と、最大値リミット回路35とを含む。映像信号特徴検出部2の検出結果は、階調補正制御データ作成部11において、階調補正ゲイン制御回路33に入力される。一方、図7に示す予め規定された階調補正開始点に対応した階調補正開始点信号31が、階調補正開始点制御回路32に入力され、補正開始点制御信号として、階調補正ゲイン制御回路33に入力される。階調補正ゲイン制御回路33は、映像信号特徴検出部2からの出力である最大値検出部22の検出結果ISmax、および階調補正開始点制御回路32からの出力である補正開始点制御信号に基づいて、入力信号レベルISx?ISmaxに対する階調補正ゲインを算出し、図7の点線で示す入力信号レベル(補正前特性Kin)に応じて、図7の実線で示す補正後特性K1outとなるような補正データを生成する。補正後最大値検出部34は、補正データの最大値を検出し、検出結果と最大値リミット回路35で予め規定した図7に示す最大リミット値P1maxとの最大値比較を行い、階調補正後の最大値が最大リミット値P1maxと一致するように、階調補正ゲイン制御回路33に対して制御を行う。一方、第1の実施形態と同様に、映像信号特徴検出部2からの出力である最小値検出部23の検出結果ISminも階調補正ゲイン制御回路33に入力され、階調補正ゲイン制御回路33は、入力された最小値ISminが入力信号に対する階調補正開始レベルISxより大きい場合には、階調補正開始レベルがISminとなるような補正データを生成する。」(段落【0069】)

・前記記載(a)より、
(ア)「光源輝度の制御と入力映像信号の階調性の補正制御とによって高画質化を実現する映像表示装置」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(b)、(c)及び図37より、
(イ)「入力映像信号の平均輝度を特徴付けるAPLを入力映像信号からフレーム毎に検出する映像信号特徴検出部202」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(c)及び図37より、
(ウ)「映像信号特徴検出部202で検出されたAPLに基づいて光源制御データを生成し、該光源制御データに基づいて光源103のレベルを制御する光源制御データ作成部105」との技術事項が読み取れる。
前記記載(f)に依れば、階調補正ゲイン制御回路(すなわち階調補正データ作成部11)は「入力された最小値ISminが入力信号に対する階調補正開始レベルISxより大きい場合には、階調補正開始レベルがISminとなるような補正データを生成する」ことから、階調補正データ作成部11がISmaxとISminとに基づいて補正データを生成する場合を含むことになる。
・このことを考慮すると、前記記載(d)、(e)及び(f)より、
(エ)「映像信号特徴検出部202からの出力であるISmax、ISminに基づいて階調補正ゲインを算出し、該階調補正ゲインに基づいて伸張補正を行う階調補正制御データ作成部11」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(d)、(f)及び図7より、
(オ)「階調補正制御データ作成部11は、入力信号の最大値ISmaxを、出力信号の最大リミット値P1maxまで伸張させるような補正後特性K1outに基づいて、入力信号の最大値ISmaxが伸張処理後、出力信号の最大リミット値P1maxになるように階調補正ゲインを決定し、伸張処理をなす」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(d)、(e)(f)、図7及び前記(ウ)で既述した「階調補正データ作成部11がISmaxとISminとに基づいて補正ゲインを生成する場合を含むこと」より、
(カ)「階調補正制御データ作成部11は、ISminからISmaxまでの全ての階調を一定の階調補正ゲインを用いて伸張補正を行う」との技術事項が読み取れる。

以上の技術事項(ア)ないし(カ)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「光源輝度の制御と入力映像信号の階調性の補正制御とによって高画質化を実現する映像表示装置であって、
入力映像信号の平均輝度を特徴付けるAPLを入力映像信号からフレーム毎に検出する映像信号特徴検出部202と、
前記映像信号特徴検出部202で検出されたAPLに基づいて光源制御データを生成し、該光源制御データに基づいて光源103のレベルを制御する光源制御データ作成部105と、
前記映像信号特徴検出部202からの出力であるISmax、ISminに基づいて階調補正ゲインを算出し、該階調補正ゲインに基づいて伸張補正を行う階調補正制御データ作成部11とを備えてなり、
前記階調補正制御データ作成部11は、入力信号の最大値ISmaxを、出力信号の最大リミット値P1maxまで伸張させるような補正後特性K1outに基づいて、入力信号の最大値ISmaxが伸張処理後、出力信号の最大リミット値P1maxになるように前記階調補正ゲインを決定し、伸張処理をなすものであり、且つ、
前記階調補正制御データ作成部11は、ISminからISmaxまでの全ての階調を一定の階調補正ゲインを用いて伸張補正を行う映像表示装置。」(以下、「引用発明1」という。)

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
ア まず、引用発明1における「光源輝度の制御」、「入力映像信号」、「階調性の補正制御」、「高画質化を実現する」、「映像表示装置」、「入力映像信号の平均輝度」、「APL」、「フレーム毎」、「検出する」、「映像信号特徴検出部202」、「光源制御データ」、「生成」、「光源103のレベルを制御する」、「光源制御データ作成部105」、「ISmax,ISmin」、「階調補正ゲイン」、「算出」、「伸張補正」、「階調補正制御データ作成部11」、「補正後特性K1out」、「入力信号の最大値ISmax」、「出力信号の最大リミット値P1max」、「ISmin」及び「一定の階調補正ゲイン」は、本願補正発明の「照明光の調光処理」、「画像信号」、「階調数の伸張処理」、「表示画像が調整される」、「画像表示装置」、「表示画像の明るさ」、「画像パラメータ」、「単位時間毎」、「抽出する」、「画像パラメータ抽出手段」、「調光処理に係る調光制御パラメータ」、「決定」、「調光処理を行わせる」、「調光制御手段」、「画像パラメータ」、「伸張処理に係る伸張制御パラメータ」、「決定」、「伸張処理」、「伸張処理手段」、「階調特性」、「入力した画像信号の最大階調」、「出力可能な最大階調より低い階調」、「入力した画像信号の最小階調」及び「一定の伸張係数」にそれぞれ相当する。
イ また、引用発明1の「映像信号特徴検出部202からの出力であるISmax、ISminに基づいて階調補正ゲインを算出」することも、本願補正発明の「前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定」することも、共に、「画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定」する点で共通している。
ウ また、引用発明1の「入力信号の最大値ISmaxを、出力信号の最大リミット値P1maxまで伸張させるような補正後特性K1out」も、本願補正発明の「入力可能な最大階調より小さい階調を、出力可能な最大階調まで伸張させるような階調特性」も、共に、「伸張させるような階調特性」である点で共通している。

エ してみると、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「照明光の調光処理と画像信号の階調数の伸張処理とによって表示画像が調整される画像表示装置であって、
前記表示画像の明るさを特徴付ける画像パラメータを画像信号から単位時間毎に抽出する画像パラメータ抽出手段と、
前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記調光処理に係る調光制御パラメータを決定し、該調光制御パラメータに基づいて前記調光処理を行わせる調光制御手段と、
画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定し、該伸張制御パラメータに基づいて前記伸張処理を行う伸張処理手段とを備えてなり、
前記伸張処理手段は、階調特性に基づいて、入力した画像信号の最大階調が伸張処理後、前記出力可能な最大階調より低い階調となるように前記伸張制御パラメータを決定し、伸張処理をなすものであり、且つ、
前記伸張処理手段は、入力した画像信号の最小階調から該画像信号の最大階調までの全ての階調を一定の伸張係数を用いて伸張処理する画像表示装置。」
(相違点)
・相違点1:伸張させるような階調特性について、
本願補正発明では、「入力可能な最大階調より小さい階調を、出力可能な最大階調まで伸張させるような」階調特性としているのに対し、引用発明1では「入力信号の最大値ISmaxを、出力信号の最大リミット値P1maxまで伸張させるような」階調特性としている点。
・相違点2:画像パラメータについて、
本願補正発明では、「前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定し、」とあるように、調光処理と伸張処理とで同じ画像パラメータを使うと解されるのに対し、引用発明1では、「映像信号特徴検出部202からの出力であるISmax、ISminに基づいて階調補正ゲインを算出し、」とあるように、調光処理と伸張処理とで異なる画像パラメータを使う点。

(4)判断
前記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明1における「入力信号の最大値ISmax」は、フレーム毎に異なる値を取るものである。この点については、引用例に、「映像信号特徴検出部2は、入力映像信号1の輝度信号成分から単位フィールド期間毎、あるいは単位フレーム毎に映像信号の特徴を示す信号レベル(最小値、最大値、APLなど)を検出し」(段落【0062】)、「映像信号特徴検出部2からの出力である最大値検出部22の検出結果ISmax」(段落【0066】)と記載されており(「(2)(d)」)、また、引用例の図7に表示された入力信号レベルISmaxはある1フレームにおける入力信号の最大値を示すものと解されることからも把握できる。
また、出力信号レベルは、引用例の図7における出力信号レベルのMAXを上限とする。
これらのことを考慮すると、全フレームに亘っての入力信号レベルは、引用例の図7において、補正特性K1outのグラフを上方に延長してMAXレベル(すなわち最大出力信号レベル)を表す水平線との交点を示す横軸座標値(以下、「IS0」という。)を上限値とするものと解され、全フレームに亘っての補正特性K1out(階調特性)は該交点まで延長されたものとして解するのが自然である。
このことを踏まえて前記相違点1を検討すると、引用発明1における(全フレームに亘っての)階調特性は「IS0をMAXレベルまで伸張させるような」階調特性といえることになるが、ここで、「IS0」、「MAXレベル」は、それぞれ、 本願補正発明における「入力可能な最大階調より小さい階調」、「出力可能な最大階調」に相当するものである。
したがって、引用発明1における(全フレームに亘っての)階調特性と、本願補正発明における階調特性とは、結局、同じ内容を表現していることになり、両者の間に実質的な差異はない。

イ 相違点2について
画像表示装置において、調光処理と伸張処理とを同じ画像パラメータに基づいて行うことは周知な技術事項である。この点については、例えば、原審で引用された特開2003?121926号公報(発明の名称:投写型表示装置とその駆動方法、出願人:セイコーエプソン株式会社)の、特に、「【0037】・・・ヒストグラムに含まれる最も明るい階調数が190であるので、この階調数190を照度の制御信号とする」との記載や、「【0047】・・・照度の制御信号が階調数190の場合、階調数0?190までの映像信号を・・・階調数0?255まで伸張する。」との記載を参照のこと。
したがって、引用発明1で伸張処理を行う際に、上記周知技術を適用し、調光処理における画像パラメータと同じ画像パラメータを伸張処理においても使うようにすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明1及び周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、補正1及び補正2によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。
「照明光の調光処理と画像信号の階調数の伸張処理とによって表示画像が調整される画像表示装置であって、
前記表示画像の明るさを特徴付ける画像パラメータを画像信号から単位時間毎に抽出する画像パラメータ抽出手段と、
前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記調光処理に係る調光制御パラメータを決定し、該調光制御パラメータに基づいて前記調光処理を行わせる調光制御手段と、
前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定し、該伸張制御パラメータに基づいて前記伸張処理を行う伸張処理手段とを備えてなり、
前記伸張処理手段は、入力可能な最大階調より小さい階調を、出力可能な最大階調まで伸張させるような階調特性に基づいて、入力した画像信号の最大階調が伸張処理後、前記出力可能な最大階調より低い階調となるように前記伸張制御パラメータを決定し、伸張処理をなすものであることを特徴とする画像表示装置。」(以下、「本願発明」という。)

(2)引用例記載の事項・引用発明1
原査定の拒絶の理由に引用された発明・事項は、前記「2.(2)引用例記載の事項・引用発明」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)補正の内容」で検討した本願補正発明から「伸張処理手段」についての限定事項である「入力した画像信号の最小階調から該画像信号の最大階調までの全ての階調を一定の伸張係数を用いて伸張処理する」との発明特定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)対比」、「2.(4)判断」に記載したとおり、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)予備的検討
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるが、引用発明1とは別の該引用例に記載された発明(以下、「引用発明2」という。)に基づく容易想到性についても検討しておく。
ア 引用例の記載事項・引用発明
引用例には既述した記載事項「2.(2)(a)ないし(d)」に加え、下記の事項(g)、(h)が記載されている。
(g)「(第2の実施形態に対する第3の変形例)図20?図21を参照して、本実施形態に対する第3の変形例について説明する。なお、第1の変形例が第2の実施形態と異なる点は、階調補正制御データ作成部53の代わりに階調補正制御データ作成部57を備える点のみである。したがって、映像表示装置の全体構成の図示を省略するとともに、第2の実施形態と同一の構成については同一の参照符号を付して説明する。以下、第3の変形例について、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。」(段落【0097】)
(h)「本変形例において、階調補正制御データ作成部57は、図20に示すように、階調補正開始点制御回路132と、階調補正ゲイン制御回路153と、補正後最大値検出部34と、最大値リミット回路37とを含む。映像信号特徴検出部52の検出結果は、階調補正制御データ作成部57において、階調補正開始点制御回路132、階調補正ゲイン制御回路153、およびゲイン切替え点制御回路136に入力される。階調補正開始点制御回路132は、映像信号特徴検出部52から出力される最小値、最大値、APL、およびヒストグラム分布情報に基づいて演算処理を行い、入力映像信号のシーンに応じて、図21に示す階調補正開始点に対応した階調補正開始点信号を算出し、算出された階調補正開始点信号が、補正開始点制御信号として、階調補正ゲイン制御回路153に入力される。また、ゲイン切替え点制御回路136は、映像信号特徴検出部52から出力される最小値、最大値、APL、およびヒストグラム分布情報に基づいて演算処理を行い、入力映像信号のシーンに応じて、図21に示すゲイン切替え点に対応したゲイン切替え点信号を算出し、算出されたゲイン切替え点信号が、ゲイン切替え点制御信号として、階調補正ゲイン制御回路153に入力される。
階調補正ゲイン制御回路153は、映像信号特徴検出部52における最大値検出部22の検出結果ISmax、階調補正開始点制御回路132からの出力である補正開始点制御信号、およびゲイン切替え点制御回路136からの出力であるゲイン切替え点制御信号に基づいて、入力信号レベルISx?ISy、および入力信号レベルISy?ISmaxに対する各々の階調補正ゲインを算出し、図21の点線で示す入力信号レベル(補正前特性Kin)に応じて、図21の実線で示す補正後特性K3outとなるような補正データを生成する。補正後最大値検出部34は、補正データの最大値を検出し、検出結果と最大値リミット回路35で予め規定した図21に示す最大リミット値P2maxとの最大値比較を行い、階調補正後の最大値が最大リミット値P2maxと一致するよう、階調補正ゲイン制御回路153に対して制御を行う。また、入力信号レベルの最大値ISmaxが入力信号レベルのゲイン切替え点ISyより小さい場合には、階調補正後の最大値が最大リミット値P2maxと一致するように、階調補正ゲイン制御回路143に対して制御を行う。一方、第2の実施形態と同様に、映像信号特徴検出部52における最小値検出部23の検出結果ISminも階調補正ゲイン制御回路153に入力され、階調補正制御回路133は、入力された最小値ISminが入力信号に対する階調補正開始レベルISxより大きい場合には、階調補正開始レベルがISminとなるような補正データを生成する。」(段落【0098】?【0099】)
前記記載(h)及び図20によれば、階調補正制御データ作成部57中の補正後最大値検出部34は、入力信号レベルの最大値ISmaxが入力信号レベルのゲイン切替え点ISyより小さい場合には、階調補正後の最大値が最大リミット値P2maxと一致するように、階調補正ゲイン制御回路143に対して制御を行う。
また、「入力された最小値ISminが入力信号に対する階調補正開始レベルISxより大きい場合には、階調補正開始レベルがISminとなるような補正データを生成する」ことから、階調補正制御データ作成部57がISmaxとISminとに基づいて補正データを生成する場合を含むことになる。
この場合の階調特性は、図7において階調補正制御データ作成部11(階調補正制御データ作成部57に対応)がISmaxとISminとに基づいて補正データを生成する場合と同様のグラフになる。
・このことを考慮すると、前記記載(g)(h)及び図20より、
(エ´)「映像信号特徴検出部52からの出力であるISmax、ISminに基づいて階調補正ゲインを算出し、該階調補正ゲインに基づいて伸張補正を行う階調補正制御データ作成部57」との技術事項が読み取れる。
・前記記載(h)及び図20、図21より、
(オ´)「階調補正制御データ作成部57は、入力信号の最大値ISmaxを、出力信号の最大リミット値P2maxまで伸張させるような補正後特性K3outに基づいて、入力信号の最大値ISmaxが伸張処理後、出力信号の最大リミット値P2maxになるように階調補正ゲインを決定し、伸張処理をなす」との技術事項が読み取れる。
前記技術事項「2.(ア)ないし(ウ)」及び上記技術事項(エ´)、(オ´)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。ここで、映像信号特徴検出部202は対応する映像信号特徴検出部52で置き換えている。
(引用発明2)
「光源輝度の制御と入力映像信号の階調性の補正制御とによって高画質化を実現する映像表示装置であって、
入力映像信号の平均輝度を特徴付けるAPLを入力映像信号からフレーム毎に検出する映像信号特徴検出部52と、
前記映像信号特徴検出部52で検出されたAPLに基づいて光源制御データを生成し、該光源制御データに基づいて光源103のレベルを制御する光源制御データ作成部105と、
映像信号特徴検出部52からの出力であるISmax、ISminに基づいて階調補正ゲインを算出し、該階調補正ゲインに基づいて伸張補正を行う階調補正制御データ作成部57とを備えてなり、
前記階調補正制御データ作成部57は、入力信号の最大値ISmaxを、出力信号の最大リミット値P2maxまで伸張させるような補正後特性K3outに基づいて、入力信号の最大値ISmaxが伸張処理後、出力信号の最大リミット値P2maxになるように階調補正ゲインを決定し、伸張処理をなすものである映像表示装置。」

イ 対比
本願発明と引用発明2とを対比する。
(ア) 前記「2.(3)ア」で説示した相当関係に加え、引用発明2における「映像信号特徴検出部52」、「階調補正制御データ作成部57」、「補正後特性K3out」及び「出力信号の最大リミットP2max」は、本願発明における「画像パラメータ抽出手段」、「伸張処理手段」、「階調特性」及び「出力可能な最大階調より低い階調」に、それぞれ相当する。
(イ)また、引用発明2の「映像信号特徴検出部52からの出力であるISmax、ISminに基づいて階調補正ゲインを算出」することも、本願補正発明の「前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定」することも、共に、「画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定」する点で共通している。
(ウ)また、引用発明2の「入力信号の最大値ISmaxを、出力信号の最大リミット値P2maxまで伸張させるような補正後特性K3out」も、本願発明の「入力可能な最大階調より小さい階調を、出力可能な最大階調まで伸張させるような階調特性」も、共に、「伸張させるような階調特性」である点で共通している。

(エ)してみると、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。(一致点)
「照明光の調光処理と画像信号の階調数の伸張処理とによって表示画像が調整される画像表示装置であって、
前記表示画像の明るさを特徴付ける画像パラメータを画像信号から単位時間毎に抽出する画像パラメータ抽出手段と、
前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記調光処理に係る調光制御パラメータを決定し、該調光制御パラメータに基づいて前記調光処理を行わせる調光制御手段と、
画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定し、該伸張制御パラメータに基づいて前記伸張処理を行う伸張処理手段とを備えてなり、
前記伸張処理手段は、階調特性に基づいて、入力した画像信号の最大階調が伸張処理後、前記出力可能な最大階調より低い階調となるように前記伸張制御パラメータを決定し、伸張処理をなすものである画像表示装置。」
(相違点)
・相違点3:伸張させるような階調特性について、
本願発明では、「入力可能な最大階調より小さい階調を、出力可能な最大階調まで伸張させるような」階調特性としているのに対し、引用発明2では「入力信号の最大値ISmaxを、出力信号の最大リミット値P2maxまで伸張させるような」階調特性としている点。
・相違点4:画像パラメータについて、
本願発明では、「前記画像パラメータ抽出手段で抽出された画像パラメータに基づいて前記伸張処理に係る伸張制御パラメータを決定し、」とあるように、調光処理と伸張処理とで同じ画像パラメータを使うと解されるのに対し、引用発明2では、「映像信号特徴検出部52からの出力であるISmax、ISminに基づいて階調補正ゲインを算出し、」とあるように、調光処理と伸張処理とで異なる画像パラメータを使う点。

ウ 判断
前記相違点について検討する。
(ア)相違点3について
引用発明2における階調特性を表すグラフ(図21)について検討する。
・入力信号レベルの最大値ISmaxが入力信号レベルのゲイン切替え点ISyより小さい場合(この場合、階調補正後の最大値が最大リミット値P2maxと一致する。)、及び
・入力された最小値ISminが入力信号に対する階調補正開始レベルISxより大きい場合(この場合、階調補正開始レベルがISminとなる。)を考える。
引用発明2における「入力信号の最大値ISmax」は、フレーム毎に異なる値を取るものであり、また、出力信号レベルは引用例の図21における出力信号レベルのMAXを上限とするものである。(この点については、前記「2.(4)ア」を参照のこと。)
これらのことを考慮すると、全フレームに亘っての入力信号レベルは、引用例の図21において、補正後特性K3outのグラフ(を上方に延長してMAXレベル(すなわち最大出力信号レベル)を表す水平線との交点を示す横軸座標値(以下、「IS1」という。)を上限値とするものと解され、全フレームに亘っての補正特性K3out(階調特性)は該交点まで延長されたものとして解するのが自然である。
このことを踏まえた上で前記相違点3を検討すると、引用発明2における(全フレームに亘っての)階調特性は「IS1をMAXレベルまで伸張させるような」階調特性といえることになるが、ここで、「IS1」、「MAXレベル」は、それぞれ、本願発明における「入力可能な最大階調より小さい階調」、「出力可能な最大階調」に相当する。
したがって、引用発明2における(全フレームに亘っての)階調特性と、本願発明における階調特性とは、結局、同じ内容を表現していることになり、両者の間に実質的な差異はない。
(イ)相違点4について、
前記「2.(4)イ 相違点2について」に記載したと同様である。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもあるから、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-07 
結審通知日 2012-03-13 
審決日 2012-03-26 
出願番号 特願2004-65696(P2004-65696)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 575- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 直行  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 越川 康弘
森 雅之
発明の名称 画像表示装置及び画像表示方法  
代理人 志賀 正武  
代理人 大浪 一徳  

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