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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E05F |
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管理番号 | 1256685 |
審判番号 | 不服2011-4108 |
総通号数 | 151 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-02-24 |
確定日 | 2012-05-10 |
事件の表示 | 特願2007- 17475「車両用スライドドアの窓部開閉装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月21日出願公開、特開2007-154656〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯・本願発明 本願は,平成10年11月6日に出願した特願平10-315498号の一部を平成19年1月29日に新たな特許出願としたものであって,平成22年11月19日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成23年2月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同時に手続補正がなされたものである。 その後,当審より,平成23年11月22日付けで拒絶の理由を通知したところ,平成24年1月27日付けで審判請求人から意見書及び手続補正書(平成24年2月15日付けの手続補正書により補正)が提出された。 本願の請求項2に係る発明は,平成24年1月27日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。 「【請求項2】 一端がウインドガラスに連結されかつ他端がベースプレートに支持された駆動源に連係される駆動部を有し,前記ベースプレートに回動自在に支持されるリフトアームと, 該リフトアームを前記ベースプレートに回動自在に支持する回転シャフトと, 前記リフトアームに交差し回動軸を介して回動自在に支持され,前記ウインドガラスを昇降させるイコライザアームと, 前記リフトアームに連係され前記リフトアームの回動動作と一体に可動可能な可動体と, 該可動体の可動動作に応じて作動する検知部材とを有し, 前記リフトアームの回動動作による前記リフトアームの回動角に応じた前記可動体の可動動作による検知部材の作動によって前記ウインドガラスの昇降により開閉される窓部の開放状態を検知する車両用スライドドアの窓部開閉装置において, 前記可動体を,その基端で前記リフトアームと同軸上に配設して前記回転シャフトに支持すると共に前記検知部材を前記可動体の先端に固定した,ことを特徴とする車両用スライドドアの窓部開閉装置。」(以下,「本願発明」という。) 2 刊行物及びその記載内容 刊行物1 特開平10-246062号公報 刊行物2 特開平10-58980号公報 (1)平成23年11月22日付け拒絶理由通知書にて通知され,本願出願前に頒布された上記刊行物1には,図面とともに,以下の記載がある(下線は合議体が付与)。 (1a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,自動車のウインドガラスを昇降するXアーム式あるいはワイヤ式のウインドレギュレータ装置に関するものである。」 (1b)「【0011】図1は本発明の第1の実施の形態のXアーム式のウインドレギュレータ装置の正面図を示し,ウインドレギュレータ装置は,ウインドガラス1の昇降用部材となるリフトアーム2と,ウインドガラス1を自動的に昇降する駆動手段であるモータMとを備え,ウインドガラス1の上昇による閉鎖時に押圧部材3によって作動され異物挟み込み防止の安全制御の解除位置を検知する検知手段としてのリミットスイッチLSを有している。 【0012】図1に示すように,リミットスイッチLSが支持部材となるベースプレート4に固設され,リフトアーム2のアームブラケット5には押圧部材3がリミットスイッチLSに対する作動位置の調整を可能となるように移動・固定自在に設けられ,押圧部材3は車室内側よりリフトアーム2のアームブラケット5に取付けられている(後述)。 【0013】リフトアーム2には,図1に示すように,長手方向中央付近にイコライザアーム6が交差して回動自在に設けられると共に,リフトアーム2の長手方向中央付近には嵌合孔7が設けられ,リフトアーム2の先端部がウインドガラス1を移送する水平方向に沿って長尺なローラガイド8に移動自在に設けられ,リフトアーム2の基端部の内側には,図2に示すように,扇形のセクタギア9が溶接により固着され,ローラガイド8は車体のドアアウタパネル(図示せず)とドアインナパネル(図示せず)との間に配置されている。 【0014】ローラガイド8の上部には,図1に示すように,ウインドガラス1が配設され,ローラガイド8の両端寄りにはガラスホルダ(図示せず)を介してウインドガラス1が取付けられている。 【0015】リフトアーム2の基端寄りの内側には,図1に示すように,ベースプレート4が配設され,ベースプレート4の上縁寄りには,図2に示すように,セクタギア9と噛合うピニオン10が回転自在に設けられ,リフトアーム2の基端寄りには,図3に示すように,内方に向って突出した支軸11がカシメ止めにより固定され,ベースプレート4にはリフトアーム2の基端寄りが支軸11を介して揺動自在に支持されている。」 (1c)「【0017】リフトアーム2の先端部の外側にはローラ(図示せず)を介してローラガイド8の長手方向中央付近が支持され,イコライザアーム6の一端部の外側にはローラ(図示せず)を介してローラガイド8の一端寄りが支持され,サブローラガイド12の一端寄りの外側にはイコライザアーム6の他端部がローラ(図示せず)を介して移動自在に支持されている。 【0018】イコライザアーム6の長手方向中央付近には,図1に示すように,プロジェクション溶接により支軸部13が形成され,リフトアーム2の嵌合孔7にはイコライザアーム6の長手方向中央付近が支軸部13を介して回動自在に支持されている。 ・・・ 【0020】ベースプレート4の上縁寄りの側部には,図1及び図2に示すように,ウインドガラス1を自動的に開閉するためのモータMが配設され,ピニオン10はモータMの駆動に伴いながら回転され,モータMは車体のサイドドアのスイッチ(図示せず)により操作されるようになっている。」 (1d)「【0022】リフトアーム2の基端寄りの外側には,図1及び図2に示すように,斜め下方に向って垂下したアームブラケット5が配設され,アームブラケット5の先端部の中央には,図3に示すように,ねじ孔19が設けられると共に,アームブラケット5の先端寄りには支持孔20が設けられ,アームブラケット5の基端部がリフトアーム2の基端寄りの外側に溶接により固着されている。【0023】アームブラケット5の先端寄りの内側には,図2に示すように,押圧部材3が配設され,押圧部材3の基端部の一面には,図3及び図4に示すように,外方に向って突出した突起21が形成され,押圧部材3にはスイッチ取付板17の窓孔18に臨んで突起21を中心とした円弧状の溝孔22が設けられ,押圧部材3の先端にはリフトアーム2の支軸11を中心とした円弧状の当接面23が形成されている。 ・・・ 【0026】アームブラケット5の支持孔20には,図3に示すように,車室内側より押圧部材3の突起21が嵌入され,アームブラケット5の先端寄りの内側面には押圧部材3及び調整板24の外側面が当接され,調整板24の長孔25には,図4に示すように,スイッチ取付板17の窓孔18を利用して車室内側よりねじ26が挿通され,アームブラケット5のねじ孔19にはねじ26の先端寄りが螺合され,押圧部材3の溝孔22にはねじ26の頭部26aが収納され,調整板24とねじ26の頭部26aとの間にはワッシャ27が介在され,押圧部材3が調整板24と共にねじ26によりアームブラケット5の先端寄りの内側に固定され,押圧部材3はアームブラケット5に対して車室内側より取付けることができる。」 (1e)「【0029】まず,ウインドガラス1が図1に示す上昇した閉鎖状態の位置から,モータMを車体のサイドドアのスイッチにより駆動すると,ピニオン10がモータMの駆動に伴いながら図2の反時計方向に回転し,セクタギア9がピニオン10と噛合いながら図2の時計方向に移動する。 【0030】セクタギア9のピニオン10の回転に伴う移動により,リフトアーム2がセクタギア9の移動に伴いながら支軸11を支点としてベースプレート4に対して図1の時計方向に揺動すると同時に,イコライザアーム6が支軸部13を支点としてリフトアーム2の嵌合孔7に対して図1の反時計方向に揺動する。 【0031】リフトアーム2及びイコライザアーム6の揺動により,リフトアーム2の先端部のローラ及びイコライザアーム6の一端部のローラがローラガイド8の長手方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ摺動すると同時に,イコライザアーム6の他端部のローラがサブローラガイド12の長手方向に沿ってリフトアーム2のローラと同方向に摺動し,リフトアーム2の先端部及びイコライザアーム6の一端部がローラを介してローラガイド8を下方に向って移動し,リフトアーム2とイコライザアーム6とのなす角度を変えることにより,ローラガイド8がリフトアーム2及びイコライザアーム6の揺動に伴いながら水平状態のまま下方に向って移動し,図5に示すように,ウインドガラス1がローラガイド8の移動に伴いながら下降し,ウインドガラス1は開放状態となる。 【0032】リフトアーム2のセクタギア9の移動に伴う支軸11を支点としたベースプレート4に対する揺動により,アームブラケット5がリフトアーム2の揺動に伴いながら図2の時計方向に移動すると同時に,押圧部材3がアームブラケット5と共に図2の時計方向に移動し,図5に示すように,押圧部材3の先端の当接面23がリミットスイッチLSの弾性片31より離脱する。 【0033】また,ウインドガラス1が図5に示す下降した開放状態の位置から,モータMを車体のサイドドアのスイッチにより逆転するように駆動すると,ピニオン10がモータMの駆動に伴いながら図5の時計方向に回転し,セクタギア9がピニオン10と噛合いながら図5の反時計方向に移動する。 【0034】セクタギア9のピニオン10の回転に伴う移動により,リフトアーム2がセクタギア9の移動に伴いながら支軸11を支点としてベースプレート4に対して図5の反時計方向に揺動すると同時に,イコライザアーム6が支軸部13を支点としてリフトアーム2の嵌合孔7に対して図5の時計方向に揺動する。 【0035】リフトアーム2及びイコライザアーム6の揺動により,リフトアーム2の先端部のローラ及びイコライザアーム6の一端部のローラがローラガイド8の長手方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ摺動すると同時に,イコライザアーム6の他端部のローラがサブローラガイド12の長手方向に沿ってリフトアーム2のローラと同方向に摺動し,リフトアーム2の先端部及びイコライザアーム6の一端部がローラを介してローラガイド8を上方に向って移動し,リフトアーム2とイコライザアーム6とのなす角度を変えることにより,ローラガイド8がリフトアーム2及びイコライザアーム6の揺動に伴いながら水平状態のまま上方に向って移動し,図1に示すように,ウインドガラス1がローラガイド8の移動に伴いながら上昇する。 【0036】リフトアーム2のセクタギア9の移動に伴う支軸11を支点としたベースプレート4に対する揺動により,アームブラケット5がリフトアーム2の揺動に伴いながら図5の反時計方向に移動すると同時に,押圧部材3がアームブラケット5と共にリミットスイッチLSの弾性片31に向って図5の反時計方向に移動し,図2に示すように,押圧部材3の先端の当接面23がリミットスイッチLSの弾性片31を押圧し,リミットスイッチLSがウインドガラス1の閉鎖時における異物挟み込み防止の安全制御の解除位置を検知し,異物挟み込み防止の安全制御をリミットスイッチLSの検知信号により解除し,モータMの回転方向を異物挟み込み防止の安全制御の解除により反転しないようにし,ウインドガラス1は閉鎖状態となる。」 (1f)【図1】には,以下の図が示され,アームブラケット5は,その基端でリフトアームの支軸11と同軸上に配設して支持されていることが示されている。 上述の記載事項(1a)?(1f)及び図面の記載から見て,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる(以下,「刊行物1記載の発明」という。)。 「先端部がウインドガラス1が取付けられたローラガイド8を支持し,基端部にベースプレート4に配設されたモータMによって駆動されるピニオン10と噛合うセクタギア9が設けられ,ベースプレート4に揺動自在に支持されてウインドガラスを昇降するリフトアーム2と, リフトアーム2に固定され,リフトアーム2をベースプレート4に揺動自在に支持する支軸11と, リフトアーム2に交差し,支軸部13を介して回動自在に支持され,ウインドガラス1を昇降させるイコライザアーム6と, リフトアーム2に固定されて設けられたアームブラケット5と, アームブラケット5に配設された押圧部材3とを有し, アームブラケット5がリフトアーム2の揺動に伴いながら移動すると,押圧部材3がアームブラケット5と共にリミットスイッチLSの弾性片31に向って移動し,押圧部材3の先端の当接面23がリミットスイッチLSの弾性片31を押圧し,リミットスイッチLSがウインドガラス1の閉鎖時における異物挟み込み防止の安全制御の解除位置を検知する自動車用のドアのウインドレギュレータ装置において, アームブラケット5は,その基端でリフトアームと同軸上に配設してリフトアーム2に溶接により支持されており,押圧部材3はアームブラケット5の先端に固定される,自動車用のウインドレギュレータ装置。」 (2)同じく上記刊行物2には,図面とともに,以下の記載がある。 (2a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 車両前後方向に移動可能なスライドドアに,ウインドガラスによって開閉自在な窓部が設けられている車両用スライドドア装置であって, 上記窓部が開いた状態を検出する検出手段と,この検出手段によって上記窓部の開状態が検出されたときに上記スライドドアの全開動作を規制するように車両に当接するストッパ手段とを有し,かつ, 上記ストッパ手段および検出手段は,上記スライドドアに設けられていることを特徴とする,車両用スライドドア装置。」 (2b)「【0016】本願発明の他の好ましい実施の形態では、上記検出手段は、上記ウインドガラスまたは上記ウインドガラスに連動して移動する部材に当接することによって上記窓部が開いた状態を検出するように構成されており、かつこの検出手段は、上記スライドドア内に設けられているインパクトビームまたはロアフレームに取付けられている構成とすることができる。」 3 対比 本願発明と刊行物1記載の発明とを対比する。 刊行物1記載の発明の「ウインドガラス1」は本願発明の「ウインドガラス1」に相当し,以下同様に,「モータM,ピニオン10」は「駆動源」に,「セクタギア9」は「駆動部」に,「ベースプレート4」は「ベースプレート」に,「揺動自在」は「回動自在」に,「支軸11」は「回転シャフト」に,「支軸部13」は「回動軸」に,「イコライザアーム6」は「イコライザアーム」に,「アームブラケット5」は「可動体」に,「自動車用」は「車両用」に,「ウインドレギュレータ装置」は「窓部開閉装置」に,それぞれ相当する。 刊行物1記載の発明の「リフトアーム2」は,本願発明の「リフトアーム」に相当し,刊行物1記載の発明のリフトアーム2も,先端部がローラを介してウインドガラス1が取付けられたローラガイド8を支持しているから,「一端がウインドガラスに連結され」たものと言える。 刊行物1記載の発明の「押圧部材3」は,可動体(アームブラケット5)の先端に固定したものであり,可動体(アームブラケット5)の可動動作に応じて作動し,リミットスイッチLSを押圧することによって窓部の開放状態を検知するものであるから,本願発明の「検知部材」に相当する。 すなわち,本願発明の基礎となる本願明細書の実施例4によれば,本願発明の「検知部材」に相当する「検知カム303」も検知カム単独で窓部の開放状態を検知するものではなく,接続ケーブル7を牽引することで窓部の開放状態を検知するものであって,本願発明と刊行物1記載の発明とは,ともに「リフトアームの回動動作によるリフトアームの回動角に応じた可動体の可動動作による検知部材(押圧部材3,検知カム303)の作動によってウインドガラスの昇降により開閉される窓部の開放状態を検知する」ものであるから,刊行物1記載の発明の「押圧部材3」と本願発明の「可動体」には何らの相違が存するものではなく,刊行物1記載の「押圧部材3」は,本願発明の「可動体」に相当する。 刊行物1記載の発明の「ウインドガラス1の閉鎖時における異物挟み込み防止の安全制御の解除位置を検知する」と本願発明の「ウインドガラスの昇降により開閉される窓部の開放状態を検知する」とは,「ウインドガラスの昇降により開閉される窓部のウインドウの位置を検知する」点で共通する。 よって,両者は,以下の一致点,相違点を有する。 一致点 「一端がウインドガラスに連結されかつ他端がベースプレートに支持された駆動源に連係される駆動部を有し,ベースプレートに回動自在に支持されるリフトアームと, 該リフトアームをベースプレートに回動自在に支持する回転シャフトと, リフトアームに交差し回動軸を介して回動自在に支持され,ウインドガラスを昇降させるイコライザアームと, リフトアームに連係されリフトアームの回動動作と一体に可動可能な可動体と, 該可動体の可動動作に応じて作動する検知部材とを有し, リフトアームの回動動作によるリフトアームの回動角に応じた可動体の可動動作による検知部材の作動によってウインドガラスの昇降により開閉される窓部のウインドウの位置を検知する車両用スライドドアの窓部開閉装置において, 可動体を,その基端でリフトアームと同軸上に配設して支持すると共に検知部材を可動体の先端に固定した車両用の窓部開閉装置。」 相違点1 本願発明は,可動体を「回転シャフトに支持する」のに対し,刊行物1記載の発明は,リフトアーム2に溶接により支持されるものであって回転シャフトに支持されるものではない点。 相違点2 本願発明は,窓部開閉装置が,ウインドウガラスの昇降により開閉される窓部の開放状態を検知する車両用スライドドアの窓部開閉装置であるのに対し,刊行物1記載の発明は,車両用の窓部のウインドウガラス1の閉鎖時における異物挟み込み防止の安全制御の解除位置を検知する車両用の窓部開閉装置である点。 4 判断 (1)相違点1について 上記相違点1について検討する。 刊行物1記載の発明において可動体(アームブラケット5)は,リフトアームに溶接により支持されて設けられているが,可動体は,ウインドガラスが検知すべき所定の位置となるときのリフトアームが所定の位置を検知すべくリフトアームとともに回動をすれば良いものであり,リフトアームと溶接しなければならないものではないことは,刊行物1に接した当業者に明らかであり,また,刊行物1記載の発明の可動体(アームブラケット5)の基端がリフトアームと同軸上に配設されるものであるから,可動体をリフトアームに溶接により支持することに代えて回転シャフトに支持するものとすることは,当業者が適宜なし得たことである。 (2)相違点2について 上記相違点2について検討する。 刊行物2には,ウインドガラスによって開閉自在な窓部が設けられている車両用スライドドアにおいて,窓部のウインドガラスが所定の位置になったときに「窓部が開いた状態である」ことを検出手段によって検出するようにした車両用スライドドアの発明が開示されている。 刊行物1記載の発明の車両用の窓部開閉装置も,窓部のウインドガラスの位置を検知するものであり,刊行物1記載の発明において可動体やリミットスイッチの位置を調整すれば窓の任意の位置の開閉状態を検知できることは当業者に明らかであるから,刊行物1記載の発明の窓部開閉装置を,刊行物2の発明のような車両用スライドドアの窓部であって,窓部の開放状態を検知するものの窓部開閉機構として用いるものとし,本願の相違点2に係る発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。 5 本願発明の効果について 本願発明の効果は,全体として,刊行物1,2記載の発明から当業者が予測できる程度のものである。 6 むすび したがって,本願発明は,刊行物1,2に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項 の規定により特許を受けることができないものであり,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-03-09 |
結審通知日 | 2012-03-13 |
審決日 | 2012-03-28 |
出願番号 | 特願2007-17475(P2007-17475) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(E05F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 昌哉 |
特許庁審判長 |
山口 由木 |
特許庁審判官 |
中川 真一 土屋 真理子 |
発明の名称 | 車両用スライドドアの窓部開閉装置 |