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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1256706
審判番号 不服2011-13451  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-23 
確定日 2012-05-10 
事件の表示 特願2008- 35942「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 8月27日出願公開、特開2009-189709〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年2月18日の出願であって、平成23年3月24日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成23年6月23日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされ、当審において、平成23年12月19日付けで、平成23年6月23日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶の理由が通知され、これに対し平成24年2月17日付けで手続補正がされた。

2.本願発明
本願の請求項1?5に記載された発明は、「電源部」が「電源基板」の誤記である点を除き、平成24年2月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された以下のとおりのものと認める(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。

「【請求項1】
遊技動作を統括的に制御する主制御部と、主制御部から受けた制御コマンドに基づいて音声演出を含む演出動作を制御する演出制御部と、演出制御部が出力する演出コマンドに基づいて映像演出動作を実行する画像制御部と、交流入力電圧の電圧レベルを監視して、電圧異常が検出されたことを示す異常信号を、主制御部及び演出制御部のCPUの割込み端子に供給する電源基板とを、有して構成された遊技機であって、
主制御部には、自らの直流電源電圧が遮断されるに先立って前記電源基板から受信する異常信号に基づいて起動され、進行中の制御動作を特定するデータをバックアップ保存する、割込み優先順位が最高位に設定された主制御電断割込み処理が設けられ、
演出制御部は、CPUがリセットされると開始されるメイン処理と、自らの直流電源電圧が遮断されるに先立って前記電源基板から受信する異常信号に基づいて起動され、進行中の演出動作を特定するデータをバックアップ保存する演出制御電断割込み処理と、制御コマンドが主制御部から送信されるときに起動される第一受信割込み処理と、規定時間毎に起動されて演出制御動作を中心的に実行する第一タイマ割込み処理と、画像制御部から受けるデータに基づいて起動される第二受信割込み処理、とを有して構成され、
演出制御部の全ての割込み処理が、マスク可能に構成されると共に、第一受信割込みの優先順位が、前記4つ割込み処理の中で最高位に設定され、これに続いて、演出制御電断割込みが優先されるよう設定されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
演出制御部には、所定時間毎に起動されてランプ演出を進行させる第二タイマ割込み処理が設けられ、
第二受信割込みの優先順位は、演出制御電断割込みと、第一タイマ割込みの間に設定され、第二タイマ割込みの優先順位は、第一タイマ割込みの下位に設定されている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
第二受信割込み処理は、一単位のシリアルデータを受信する毎に起動されるよう構成されている請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
第二受信割込み処理では、一単位のシリアルデータを取得する毎に、画像制御部に対す
るフロー制御信号を許可レベルに変化させ、
画像制御部は、フロー制御信号が変化することを条件に、次の一単位のシリアルデータを送信するよう構成されている請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
演出制御部が画像制御部から受信するデータは、それ以前に演出制御部が出力した演出コマンドである請求項2?4の何れかに記載の遊技機。」

3.引用文献
当審の拒絶の理由で引用例1として引用された特開2003-236053号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

(ア)「【0083】
スロットマシン1に設けられた各種基板のうち、遊技制御基板200によって主に遊技状態が制御され、演出制御基板201によって遊技状態に応じた演出状態が制御され、更に表示制御基板300によって画像表示手段としての液晶表示器135の表示制御が実施される。また、電源基板202にはスロットマシン1の外部から電源が供給される。この電源基板202には、AC100Vの電源の供給を受けるための電源コード84と、メインスイッチ80とが接続されている。」

(イ)「【0100】
また、図7に示すように、遊技制御基板200には停電の発生を検出するための電源監視用IC224が設けられている。この電源監視用IC224は、電源基板202から供給された電圧、特には各部の制御を行うCPU211の駆動電圧の元となる電圧を導入し、この電圧を監視することによって電源断の発生を検出する。具体的には監視電圧が所定の値以下となった場合に、電圧低下信号を出力する。この電圧低下信号は、CPU211のマスク不能割込端子(NMI端子)に入力される。すなわち、CPU211は、電源監視用IC224からの電圧低下信号の入力に基づく割込処理により電源断の発生を確認することができる。
【0101】
遊技制御基板200の遊技制御部210から演出制御基板201へは、バッファ回路220を介して遊技制御部210が制御する遊技状態を特定可能な各種遊技状態コマンド(制御情報)が出力される。バッファ回路220は、遊技制御基板200の内部から外部への信号の出力を許容するが遊技制御基板200の外部から内部へ信号が入力されることを阻止するように機能する。このため、遊技制御基板200と演出制御基板201との間において、遊技制御基板200から演出制御基板201への一方向通信が担保され、コマンドの伝送経路を介して遊技制御基板200に信号を入力させて不正な制御動作を行わせる不正行為を防止できる。」

(ウ)「【0111】
RAM232は、遊技制御基板200における遊技制御部210のRAM212と同様に、ワーク領域と、遊技制御基板200からの遊技状態コマンド受信時においてその時点の演出状態を特定可能なサブバックアップデータが記憶されるバックアップ領域1?3と、これらバックアップ領域に記憶されたデータの正誤を確認するためのパリティデータが記憶されるパリティデータ格納領域と、から構成されており、ワーク領域は非バックアップRAM領域とされ、バックアップ領域1?3並びにパリティデータ格納領域は、サブバックアップ手段としてのバックアップRAM領域とされている。
【0112】
ROM233には、遊技制御基板200から送信される各種遊技状態コマンドに基づいてゲーム状態や内部当選状況等を特定可能なデータが登録されたコマンドテーブルが記憶されているとともに、後述する演出態様決定処理において演出パターン(演出態様)を決定するための演出パターン決定用テーブルや遊技制御基板200から送信された各種遊技状態コマンドにより特定される遊技状態に対応する各演出部品(ランプ、スピーカ、液晶表示器等)の制御内容が各演出パターン別に定められた演出パターンテーブルが記憶されている。
【0113】
この演出パターンテーブルは、各遊技効果ランプ130?134、液晶表示器135、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、小役告知ランプ140a?140c、別に分類されており、例えば所定の遊技状態を示すコマンドを受信した場合、演出制御部230は、その遊技状態に応じた制御内容を後述の演出態様決定処理において決定された演出パターンに該当する演出パターンテーブルから抽出し、この抽出した制御内容に応じて各遊技効果ランプ130?134、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、小役告知ランプ140a?140c、及びリールランプ55等を制御する。また、抽出した制御内容が液晶表示器135による表示制御を含む場合には、該当する表示制御を指示する旨の表示制御コマンドを表示制御基板300に対して送信し、液晶表示器135の表示状態を制御させる。」

(エ)「【0119】
図8に示すように、演出制御基板201の演出制御部230から表示制御基板300へは、バッファ回路261を介して液晶表示器135における表示制御を指示する旨の表示制御コマンド(制御情報)が出力される。バッファ回路261は、演出制御基板201の内部から外部への信号の出力を許容するが演出制御基板201の外部から内部へ信号が入力されることを阻止するように機能する。このため、演出制御基板201と表示制御基板300との間において、演出制御基板201から表示制御基板300への一方向通信が担保され、コマンドの伝送経路を介して演出制御基板201に信号を入力させて不正な制御動作を行わせる不正行為を防止できる。
【0120】
表示制御基板300には、液晶表示器135が接続されているとともに、表示制御部310と、液晶表示器135を表示制御するための表示駆動回路236と、が搭載されている」

(オ)「【0165】
このように本実施例では、遊技制御基板200が制御する遊技状態をバックアップするメイン停電時割込処理が、電源監視用IC224からの電圧低下信号の検出に応じて実行されるようになっている。すなわち、遊技制御基板200では、停電発生時のみ遊技状態のバックアップが行われるようになるため、比較的処理能力を要する遊技状態の制御を行う遊技制御基板200の処理負荷を軽減することができる。」

(カ)「【0174】
次いで、演出制御部230のCPU231が通常時繰返し実行している図20のループ処理に移行する。」

(キ)「【0213】
また、本実施例のスロットマシン1においては、図26(a)に示すように、演出制御基板201が遊技制御基板200から遊技状態コマンドを受信する毎に、その時点の演出状態をバックアップするようになっており、このようにすることで遊技制御基板200から受信した遊技状態コマンドに基づく演出状態を、バックアップされる演出状態に対して確実に反映させることができる。尚、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技制御基板200と同様に電源断の検出を契機として演出状態のバックアップを行うようにしても良いし、遊技状態コマンドの受信と、電源断の検出の双方を契機として演出状態のバックアップを行うようにしても良い。」

(ク)「【0226】
尚、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ランプの点灯制御を特化して行うランプ制御基板や音声出力制御を特化して行う音声制御基板等を演出制御基板201とは別個に設け、これらランプ制御基板や音声制御基板に対して演出制御基板201が制御コマンドを送信し、これに基づきランプの点灯制御や音声出力制御が行われるようにしても良く、これにより遊技機における制御を分散化することができ、これらの制御を円滑に行うことが可能となる。また、遊技手順等が異なる複数の遊技機において特定の制御処理が共通化している場合には、この共通化している制御処理を行うための基板を共通化することが可能となり、製造コストを軽減できるばかりかメンテナンス性も向上させることができる。」

(ケ)「【0239】
また、前記実施例では、図27(a)に示すように、一方の基板から一方の基板への一方向通信のみが可能とされているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図27(b)に示すように、不正な信号が入力され、不具合が生じることで問題が起こる遊技制御基板200と演出制御基板201との間では一方向通信とし、不正な信号が入力された場合にもゲームの流れには影響の少ない演出制御基板201と表示制御基板300との間では双方向通信ができるようにしても良い。この場合には、演出制御基板201は表示制御基板300からもコマンドを受信することとなるため、表示制御基板300からのコマンドの受信状態等を確認できる通信確認用表示器を設ける方が好ましい。」

(コ)「【0241】
また、前記実施例では、遊技制御基板200から演出制御基板201に対して供給されるDC+5V、DC+12V、DC+24Vの全ての電源が監視されるとともに、演出制御基板201から表示制御基板300に対して供給されるDC+5V、DC+12Vの全ての電源が監視されるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら一方の基板から他方の基板に供給される電源のうち少なくともいずれか1つの電源が監視されるようになっていれば良く、本実施例の場合であれば、供給される側の基板に搭載されるIC等の制御デバイスの駆動電源として使用されるDC+5Vが監視されることが好ましい。」

摘記した上記(ア)?(コ)の記載や図面等によれば、引用例1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「主に遊技状態を制御する遊技制御基板200と、演出制御基板201を備え、遊技制御基板200の遊技制御部210から演出制御基板201へは、バッファ回路220を介して遊技制御部210が制御する遊技状態を特定可能な各種遊技状態コマンド(制御情報)が出力され、演出制御基板201が所定の遊技状態を示すコマンドを受信した場合、演出制御基板201の演出制御部230は、その遊技状態に応じた制御内容を演出態様決定処理において決定された演出パターンに該当する演出パターンテーブルから抽出し、この抽出した制御内容に応じて各遊技効果ランプ130?134、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、小役告知ランプ140a?140c、及びリールランプ55等を制御し、抽出した制御内容が液晶表示器135による表示制御を含む場合には、該当する表示制御を指示する旨の表示制御コマンドを表示制御基板300に対して送信し、液晶表示器135の表示状態を制御させるスロットマシン1であって、
遊技制御基板200には停電の発生を検出するための電源監視用IC224が設けられ、この電源監視用IC224は、電源基板202から供給された電圧、特には各部の制御を行うCPU211の駆動電圧の元となる電圧を導入し、この電圧を監視することによって電源断の発生を検出し、監視電圧が所定の値以下となった場合に、電圧低下信号を出力し、この電圧低下信号は、CPU211のマスク不能割込端子(NMI端子)に入力され、CPU211は、電源監視用IC224からの電圧低下信号の入力に基づく割込処理により電源断の発生を確認し、遊技制御基板200が制御する遊技状態をバックアップするメイン停電時割込処理が、電源監視用IC224からの電圧低下信号の検出に応じて実行され、
演出制御部230のCPU231はループ処理を通常時繰返し実行しており、電源断の検出を契機として演出状態のバックアップを行い、
演出制御基板201と表示制御基板300との間では双方向通信を行うスロットマシン1。」

4.引用発明と本願発明との対比
引用発明の「主に遊技状態を制御する遊技制御基板200」の「遊技制御部210」は本願発明の「遊技動作を統括的に制御する主制御部」に相当し、以下同様に、
「スロットマシン1」は「遊技機」に、
「電圧低下信号」は「異常信号」に、
「遊技制御基板200が制御する遊技状態をバックアップする」は「進行中の制御動作を特定するデータをバックアップ保存する」に、
「メイン停電時割込処理」は「主制御電断割込み処理」に、
それぞれ相当する。

また、引用例1の記載及び図面から以下のことがいえる。

引用発明は、演出制御基板201を備え、遊技制御基板200の遊技制御部210から演出制御基板201へは、バッファ回路220を介して遊技制御部210が制御する遊技状態を特定可能な各種遊技状態コマンド(制御情報)が出力され、演出制御基板201が所定の遊技状態を示すコマンドを受信した場合、演出制御基板201の演出制御部230は、その遊技状態に応じた制御内容を演出態様決定処理において決定された演出パターンに該当する演出パターンテーブルから抽出し、この抽出した制御内容に応じて各遊技効果ランプ130?134、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、小役告知ランプ140a?140c、及びリールランプ55等を制御し、抽出した制御内容が液晶表示器135による表示制御を含む場合には、該当する表示制御を指示する旨の表示制御コマンドを表示制御基板300に対して送信し、液晶表示器135の表示状態を制御していることから、引用発明は本願発明の「主制御部から受けた制御コマンドに基づいて音声演出を含む演出動作を制御する演出制御部と、演出制御部が出力する演出コマンドに基づいて映像演出動作を実行する画像制御部」を備えているといえる。

引用発明は、遊技制御基板200には停電の発生を検出するための電源監視用IC224が設けられ、この電源監視用IC224は、電源基板202から供給された電圧、特には各部の制御を行うCPU211の駆動電圧の元となる電圧を導入し、この電圧を監視することによって電源断の発生を検出し、監視電圧が所定の値以下となった場合に、電圧低下信号を出力し、この電圧低下信号は、CPU211のマスク不能割込端子(NMI端子)に入力され、CPU211は、電源監視用IC224からの電圧低下信号の入力に基づく割込処理により電源断の発生を確認し、遊技制御基板200が制御する遊技状態をバックアップするメイン停電時割込処理が、電源監視用IC224からの電圧低下信号の検出に応じて実行されており、電圧低下信号は監視電圧が所定の値以下となった場合に電圧低下信号を出力しており、それが遊技制御基板200の電圧が遮断されるに先立ってCPU211のマスク不能割込端子に入力されていることは明らかであって、その電圧は上記(コ)の記載から直流電源電圧であるから、引用発明のメイン停電時割込処理は、電源基板202から受信した信号に基づくかどうかはさておき、本願発明と「自らの直流電源電圧が遮断されるに先立って受信する異常信号に基づいて起動されている」点で共通しているといえ、また、マスク不能割込端子に入力されていることから「割込み優先順位が最高位に設定されている」といえる。

引用発明は、演出制御部230のCPU231がループ処理を通常時繰返し実行しており、電源断の検出を契機として演出状態のバックアップを行っていることから、演出制御部230のCPU231は、本願発明の「規定時間毎に起動されて演出制御動作を中心的に実行する第一タイマ割込み処理」を行っているといえ、また、演出制御部230のCPU231が電源基板202から受信する電圧低下信号かどうかはさておき、電圧低下信号を演出制御基板201の直流電源電圧が遮断されるに先立って受信することは明らかであり、該電圧低下信号に基づいて起動する停電時割込処理を実行しているといえるため、本願発明と「自らの直流電源電圧が遮断されるに先立って受信する異常信号に基づいて起動され、進行中の演出動作を特定するデータをバックアップ保存する演出制御電断割込み処理」を行っている点で共通しているといえる。また、引用発明の演出制御部230が「CPUがリセットされると開始されるメイン処理」を行っていることは遊技機の技術常識からも明らかである。

引用発明は、演出制御基板201を備え、遊技制御基板200の遊技制御部210から演出制御基板201へは、バッファ回路220を介して遊技制御部210が制御する遊技状態を特定可能な各種遊技状態コマンド(制御情報)が出力され、演出制御基板201が所定の遊技状態を示すコマンドを受信した場合、演出制御基板201の演出制御部230は、その遊技状態に応じた制御内容を演出態様決定処理において決定された演出パターンに該当する演出パターンテーブルから抽出し、この抽出した制御内容に応じて各遊技効果ランプ130?134、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、小役告知ランプ140a?140c、及びリールランプ55等を制御し、抽出した制御内容が液晶表示器135による表示制御を含む場合には、該当する表示制御を指示する旨の表示制御コマンドを表示制御基板300に対して送信し、液晶表示器135の表示状態を制御していることから、引用発明は本願発明の「制御コマンドが主制御部から送信されるときに起動される第一受信割込み処理」を行っているといえる。

引用発明は、演出制御基板201と表示制御基板300(本願発明の「画像制御部」に相当)との間では双方向通信を行っていることから、表示制御基板300からの信号を演出制御基板201が受信することは明らかであり、演出制御部230が本願発明の「画像制御部から受けるデータに基づいて起動される第二受信割込み処理」を行っているといえる。

以上を総合すると、両者は、
「遊技動作を統括的に制御する主制御部と、主制御部から受けた制御コマンドに基づいて音声演出を含む演出動作を制御する演出制御部と、演出制御部が出力する演出コマンドに基づいて映像演出動作を実行する画像制御部と、電源基板とを、有して構成された遊技機であって、
主制御部には、自らの直流電源電圧が遮断されるに先立って受信する異常信号に基づいて起動され、進行中の制御動作を特定するデータをバックアップ保存する、割込み優先順位が最高位に設定された主制御電断割込み処理が設けられ、
演出制御部は、CPUがリセットされると開始されるメイン処理と、自らの直流電源電圧が遮断されるに先立って受信する異常信号に基づいて起動され、進行中の演出動作を特定するデータをバックアップ保存する演出制御電断割込み処理と、制御コマンドが主制御部から送信されるときに起動される第一受信割込み処理と、規定時間毎に起動されて演出制御動作を中心的に実行する第一タイマ割込み処理と、画像制御部から受けるデータに基づいて起動される第二受信割込み処理、とを有して構成される遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願発明では、交流入力電圧の電圧レベルを監視して、電圧異常が検出されたことを示す異常信号を、主制御部及び演出制御部のCPUの割込み端子に供給する電源基板を有し、主制御部及び演出制御部は、それぞれ主制御電断割込み処理及び演出制御電断割込み処理を電源基板から受信する異常信号に基づいて起動しているのに対して、引用発明では、遊技制御基板200には停電の発生を検出するための電源監視用IC224が設けられ、この電源監視用IC224は、電源基板202から供給された電圧を監視することによって電源断の発生を検出し、監視電圧が所定の値以下となった場合に、電圧低下信号を出力し、この電圧低下信号は、CPU211のマスク不能割込端子(NMI端子)に入力され、演出制御部230のCPU231は電源断の検出を契機として演出状態のバックアップを行っているものの監視している電圧が直流電源電圧であり、電源基板202からの電圧低下信号によりメイン停電時割込処理及びバックアップを行っていない点。

<相違点2>
本願発明では、演出制御部の全ての割込み処理が、マスク可能に構成されると共に、第一受信割込みの優先順位が、前記4つ割込み処理の中で最高位に設定され、これに続いて、演出制御電断割込みが優先されるよう設定されているのに対して、引用発明ではそのように構成されていない点。

5.判断
<相違点1>について
遊技機の分野において、交流入力電圧の電圧レベルを監視して、電圧異常が検出されたことを示す異常信号を、主制御部及び副制御部のCPUの割込み端子に供給する電源基板を有し、主制御部及び副制御部は、それぞれ主制御電断割込み処理及び副制御電断割込み処理を電源基板から受信する異常信号に基づいて起動することは、例えば、特開2002-28290号公報(特に、段落【0054】、【0055】を参照)、特開2003-24553号公報(特に、段落【0027】を参照】)、特開2007-295945号公報(特に、段落【0085】?【0090】を参照)にみられるように周知技術である。そして、電力供給経路のどの部分で電圧が低下していることを検出するかは当業者が適宜決定し得る程度の事項に過ぎないから、引用発明の電圧を監視する手段を前記周知技術と置換して、本願発明の相違点1に係る発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

<相違点2>について
当審の拒絶の理由で引用例3として引用された特開2007-209632号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(サ)「【0043】
パチンコ遊技機1には、例えば図3に示すような電源基板10、主基板11、演出制御基板12といった、各種の制御基板が搭載されている。主基板11と演出制御基板12との間には、主基板11から演出制御基板12へと伝送される各種の制御信号を中継するための信号中継基板13なども設けられている。その他にも、パチンコ遊技機1には、払出制御基板や発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種基板が設けられていてもよい。
【0044】
電源基板10は、主基板11や演出制御基板12等の各制御基板と独立して設置され、パチンコ遊技機1内の各制御基板及び機構部品が使用する電圧を生成する。例えば、電源基板10では、AC24V、VLP(直流+24V)、VSL(直流+30V)、VDD(直流+12V)、VCC(直流+5V)及びVBB(直流+5V)を生成する。電源基板10は、例えば変圧回路と、直流電圧生成回路と、電源監視回路とを備えて構成される。また、電源基板10には、押下操作などの所定操作に応じてクリア信号を出力するクリアスイッチや、バックアップ電源となるコンデンサが設けられていてもよい。加えて、電源基板10には、パチンコ遊技機1内の各制御基板及び機構部品への電力供給を実行または遮断するための電源スイッチが設けられていてもよい。あるいは、電源スイッチは、パチンコ遊技機1において、電源基板10の外に設けられていてもよい。
【0045】
図3に示す主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、特別図柄表示装置4を構成する各セグメントの点灯/消灯制御を行うことにより特別図柄表示装置4における特別図柄の変動表示を制御する一方で、普通図柄表示装置20の点灯/点滅/発色制御を行うことにより普通図柄表示装置20における普通図柄の変動表示を制御する。主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送するスイッチ回路101、遊技制御用マイクロコンピュータ100からの指令に従って各ソレノイド81、82に対する駆動信号を出力するソレノイド回路102などが搭載されている。」

(シ)「【0141】
ステップS309における設定では、例えばCTCのレジスタ設定を行うことなどにより、演出制御用マイクロコンピュータ120にて所定時間(例えば2ミリ秒)ごとに演出動作を制御するためのタイマ割込みを発生させるようにする。加えて、ステップS309における設定では、演出制御用マイクロコンピュータ120にて発生する各種の割込み要因に対応して実行する割込み処理の優先順位を設定する。この実施の形態では、例えば図29に示すように、主基板11から送信された演出制御コマンドを受信した場合に発生するコマンド受信割込みに対応した割込み処理(コマンド受信割込み処理)の優先順位が最も高く、続いて演出制御用マイクロコンピュータ120にて電源断の発生を監視するための電断チェック用タイマ割込みに対応した割込み処理(演出側電断チェック割込み処理)、演出動作を制御するための演出制御用タイマ割込みに対応した割込み処理(演出制御割込み処理)の順番となるように、各割込み処理の優先順位を定める。」

(ス)「【0348】
さらに、本発明の遊技機は、メダル並びにクレジットを使用してゲームを実施可能なスロットマシンに限らず、例えばパチンコ球を用いてゲームを行うスロットマシンや、メダルが外部に排出されることなくクレジットを使用して遊技可能な完全クレジット式のスロットマシン、可変表示装置が画像にて表示される画像式のスロットマシンなどにも適用することができる。」

すなわち、引用例3には、遊技制御用マイクロコンピュータ100(本願発明の「主制御部」に相当)を備えた主基板11から演出制御用マイクロコンピュータ120(本願発明の「演出制御部」に相当)を備えた演出制御基板12に各種の制御信号(本願発明の「制御コマンド」に相当)を伝送するスロットマシンにおいて、主基板11から送信された演出制御コマンドを受信した場合に発生するコマンド受信割込みに対応した割込み処理(本願発明の「第一受信割込み処理」に相当)の優先順位を最も高くし、続いて演出制御用マイクロコンピュータ120にて電源断の発生を監視するための電断チェック用タイマ割込みに対応した割込み処理(本願発明の「演出制御電断割込み処理」に相当)、演出動作を制御するための演出制御用タイマ割込みに対応した割込み処理(本願発明の「第一タイマ割込み処理」に相当)の順番となるように、各割込み処理の優先順位を定めることが記載されており、また、遊技機の分野において全ての割込み処理をマスク可能とすることは例示するまでもなく周知技術であるので当業者が適宜なし得ることである。そして、引用発明及び引用例3に記載の発明は、ともに電源電圧が遮断されるに先立ってバックアップ処理を行う遊技機である点で共通しており、引用発明においても各割込み処理がかち合う可能性があることは明らかであるから、その優先順位を定めるに際して、引用例3に記載された優先順位を適用する点に格別の困難性はなく、適用にあたって引用例3には引用発明における表示制御基板300に相当する制御基板を備えていないため、表示制御基板300からの信号を演出制御基板201が受信したことに基づく割込み処理の優先順位を当然に定めなければならないところ、当該処理は引用例1にゲームの流れには影響が少ないことが記載されていることからみて(上記(ケ)を参照)、優先順位を最も低くし、本願発明の相違点2に係る発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の効果は、引用発明、引用例3に記載の技術事項から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明、引用例3に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例3に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり特許法29条2項の規定により特許を受けることができず、本願は拒絶すべきものである。
よって、他の請求項について検討するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-14 
結審通知日 2012-03-21 
審決日 2012-03-27 
出願番号 特願2008-35942(P2008-35942)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 袴田 知弘小林 英司  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 澤田 真治
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 野中 誠一  
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