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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1256804
審判番号 不服2011-5653  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-14 
確定日 2012-05-07 
事件の表示 特願2005-262983「画像処理装置及び情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月29日出願公開、特開2007- 76008〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年9月9日の出願であって、平成20年9月9日及び平成22年11月9日付けで手続補正がなされ、同年12月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成23年3月14日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
なお、請求人は、平成22年11月9日付けで意見書を提出し、当審における平成23年6月1日付けの審尋に対して同年8月1日付けで回答書を提出している。

第2 平成23年3月14日付け手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成23年3月14日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成23年3月14日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲、発明の詳細な説明及び発明の名称についてするもので、特許請求の範囲については、本件補正前の請求項1に、
「ファイルの印刷処理を行った際の印刷履歴を記憶する印刷履歴記憶手段と、
所定の格納場所に格納され、アクセス可能なファイルを表示部に表示させる第1の表示制御手段と、
前記第1の表示制御手段により表示されたファイルのうち、いずれかのファイルを選択する選択手段と、
前記選択手段によりファイルが選択されたことに従って、前記選択手段により選択されたファイルと関連するファイルを、前記印刷履歴に基づいて抽出する抽出手段と、
前記選択手段により選択されたファイル及び前記抽出手段により抽出されたファイルを印刷処理する印刷手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。」とあったものを、

「ファイルの印刷処理を行った際の印刷履歴を記憶する印刷履歴記憶手段と、
所定の格納場所に格納され、アクセス可能なファイルを表示部に表示させる第1の表示制御手段と、
前記第1の表示制御手段により表示されたファイルのうち、いずれかのファイルを選択する選択手段と、
前記選択手段によりファイルが選択されたことに従って、前記選択手段により選択されたファイルと関連するファイルを、前記印刷履歴に基づいて抽出する抽出手段と、
前記選択手段により選択されたファイル及び前記抽出手段により抽出されたファイルを印刷処理する印刷手段と
を備えることを特徴とする印刷装置。」とする補正を含むものである(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「画像処理装置」を「印刷装置」と補正するものであるところ、本件補正前の発明の詳細な説明の「所定の格納場所に格納されたファイルを取得し、該ファイルを印刷処理する画像処理装置」(【0006】)との記載からみて、本件補正前の「画像処理装置」は「ファイルを印刷処理する装置」を含むものであると解され、「印刷処理する装置」は「印刷装置」であるといえるから、上記(1)の「画像処理装置」を「印刷装置」とする補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであるといえる。

2 本件補正の目的
本件補正前の本願明細書の発明の詳細な説明の「本発明によれば、所定の格納場所に格納されたファイルを取得し、該ファイルを印刷処理する画像形成装置において、ユーザによるファイルの選択を容易にすることが可能となる。」との記載からみて、本件補正前の「画像処理装置」は「ファイルを印刷処理する装置」であるものと解され、かつ、「印刷処理する装置」は「印刷装置」であるといえるから、上記(1)の「画像処理装置」を「印刷装置」とする補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであるといえる。
本件補正後の請求項1に係る本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

3 引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-207726号公報(以下「引用例」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【0046】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
【0047】図1は本発明の一実施形態である文書処理管理システムの機能的ブロック構成の一例を説明するためのブロック図である。この文書処理管理システム100は、本発明による文書管理装置110と、この文書管理装置110により管理される文書を操作するための文書操作装置130から構成される。
【0048】文書操作装置130は、ユーザが各種指示やデータを入力するための入力装置131(キーボードやマウスなど)、文書操作等のために利用される表示装置132、文書の印刷出力のための印刷装置133などの周辺機器やハードディスク装置などの補助記憶装置134を備える。同様の文書操作装置を複数台、文書管理装置110に接続することも可能である。
【0049】文書管理装置110は、多数の文書の実体が保存される文書保存部111、この文書保存部111に保存されている文書群を管理する文書管理部112、この文書管理部112による文書管理のための文書管理情報が保存される文書管理情報保存部113、文書保存部111に保存されている文書に関する操作履歴を管理するための操作履歴管理部114、この操作履歴管理部114により生成される操作履歴情報が保存される操作履歴情報保存部115を有する。文書管理装置110はさらに、文書操作装置130の操作対象となっている文書の操作履歴情報と、それ以外の文書の操作履歴情報との照合により関連文書を抽出し、そのリストを生成するなどの処理を行う関連文書処理部116、この関連文書処理部116により生成された関連文書リストを操作者別に保存するための関連文書リスト保存部117、前記各部の動作や文書管理装置110の全体的な動作の制御、文書操作装置130との情報交換の制御などを司る制御部120を有する。関連文書リスト保存部117における関連文書リストの保存や削除は関連文書処理部116によって管理される。
【0050】この文書処理管理システム100は、全体を単一の装置として実現する形態、ネットワークで接続された複数の装置の集合体として実現する形態のいずれも採り得る。これについて図2及び図3を参照して説明する。
【0051】図2は文書処理管理システム100を1つの装置として実現する形態を説明するための図である。図2において、200はワークステーションなどの汎用のコンピュータであり、表示装置201、キーボードやマウスなどの入力装置202、ハードディスク装置203、印刷装置204などの周辺機器を備える。このコンピュータ200のハードウェア資源を利用し、ソフトウェアにより文書処理管理システム100の文書管理装置110及び文書操作装置130を実現することができる。この場合、情報保存部(111,113,115,117)として利用されるハードウェア資源については幾つかの選択肢がある。例えば、文書保存部111、文書管理情報保存部113、操作履歴情報記憶部115及び関連文書リスト保存部117として、共通のハードディスク装置203を利用することができる。また、コンピュータ200とLAN(ローカルエリアネットワーク)210により接続された大容量記憶装置211を文書保存部111として利用し、ハードディスク装置203を文書管理情報保存部113、操作履歴情報記憶部115及び関連文書リスト保存部117として利用することができる。ネットワーク間インターフェース手段212(ルータ、ゲートウェイなど)を介してコンピュータ200と接続された他のネットワーク213(インターネットや他のLANなど)上のコンピュータ214などが所有する大容量記憶装置も文書保存部111もしくはその一部として利用し得る。」

(2)「【0054】以上のように、本発明の文書処理管理システム100は様々な実現形態をとり得るが、以下の説明においては専ら図1を参照する。
【0055】《実施例1》以下、本発明の文書処理管理システム100と、同システムにおける関連文書抽出方法及び文書操作支援方法の第1の実施例について詳細に説明する。
【0056】文書管理装置110の文書管理部112は、文書保存部111内の文書群をリレーショナル型データベースとして管理する。このような文書管理部112は、例えば、リレーショナル型のデータベース・マネージメント・システム(DBMS)と呼ばれる一般的なソフトウェアによって実現し得る。このような文書管理のために文書管理部112により生成されて文書管理情報保存部113に保存される文書管理情報は、例えば図4に示すような構造である。文書管理情報の各レコード(図中の各行)は保存文書と1対1に対応する。各レコードは、文書の属性である「種類」「作成者」「文書名」「操作履歴」「保存場所」の値が記録される5つのフィールド401?405からなる。
【0057】「種類」フィールド401には文書の種類を表す値が記録される。「作成者」フィールド402には文書の作成者名(ユーザ名)を表す値が記録される。「文書名」フィールド403にはユーザが文書に付与した文書名が記録される。「文書保存場所」フィールド405には、文書の実体が保存されいる場所を特定するための情報が記録される。インターネット上のWWWサーバーに保存されている文書の場合、その保存場所を特定するための情報としてURLが用いられる。「操作履歴」フィールド404には、文書の操作履歴情報が記述された操作履歴ファイルを特定するための情報(例えばファイル名)が記録される。
【0058】この操作履歴ファイルは個々の文書毎に作成されるもので、例えば図5に示すような内容である。図5中の各行(1レコード)は1回の文書操作に関する操作履歴情報であり、「操作者」(操作したユーザ名)411、「操作時刻」(操作が終了した年月日時分)412及び「操作内容」413の3項目の情報が記述される。以下、これら3項目の情報を単に「操作者」情報、「操作時刻」情報、「操作内容」情報と呼ぶ。なお、ここに示す例では、後述のように、これら3項目の1つ又は2つ以上の情報を関連文書の抽出のための操作履歴情報の照合に利用することができ、また、利用する項目を文書操作装置130のユーザ(文書の操作者)より指定することができる。ただし、その照合に利用されない項目の情報が操作履歴情報に含まれていてもよい。
【0059】「操作内容」としては例えば「新規保存」「上書き保存」「別名保存」「閲覧」「印刷」の5種類がある。
【0060】「新規保存」とは、例えば文書操作装置130で作成した新規文書を文書保存部111に保存する操作を意味する。「上書き保存」とは、文書操作装置130で保存文書を開いて編集し、編集後の文書で元の保存文書を書き換える操作を意味する。「別名保存」とは、文書操作装置130で保存文書を開いて編集し、編集後の文書を別の文書名で文書保存部111に保存する操作を意味する。「閲覧」とは、文書操作装置130で保存文書を開いて表示装置132に表示させ、そのまま開いた文書を閉じる操作、あるいは、開いた文書を編集したが、編集後の文書を元の文書に上書きすることも別名で保存することもなく終了する操作を意味する。「印刷」とは、文書操作装置130で保存文書を開き印刷装置133で印刷する操作を意味する。なお、これ以外の操作内容を定義することも可能である。
【0061】次に、文書処理管理システム100の全体的な動作について、図6に示すフローチャートに沿って説明する。図7は文書操作装置130が表示装置132に表示する内容を説明するための模式図であり、501から504は表示画面上のウィンドウを示す。ここでは、これらウィンドウに情報が表示されるものとして説明するが、同様の情報を共通のウィンドウに表示させる形態も可能であることは言うまでもない。
【0062】まず、文書操作装置130においてユーザ識別処理を行う(ステップS100)。このユーザ識別処理では、例えば、文書操作装置130は表示装置132にユーザ名とパスワードの入力画面を表示し、入力装置131によりユーザが入力したユーザ名とパスワードから操作が許されたユーザであるか否か判定する。このユーザ識別処理によって、作業の開始から終了までの間、ユーザ(操作者)を特定することができ、また不正な文書操作を禁止することができる。
【0063】ユーザが特定されると、文書操作装置130においてユーザ指示処理(ステップS101)を行う。このユーザ指示処理はユーザから作業指示を受け付ける処理であり、例えば、文書操作装置130は表示装置132の画面上のウィンドウ501(図7)にユーザ指示メニューを表示してユーザに選択させる。ここでは、図7に示すように、文書操作、表示モード選択、作業終了の3つの指示を選択できるものとする。
【0064】ユーザからの指示を受け付けると、文書操作装置130は、その指示が作業終了、文書操作、表示モード選択のいずれの指示であるか判定する(ステップS102、ステップS103)。作業終了の指示ならば(ステップS102,YES)、文書操作装置130はそれまでの作業を全て終了し待機状態に戻る。
【0065】ユーザからの指示が文書操作ならば、文書操作装置130は文書指定処理(ステップS104)に進む。この文書指定処理では、文書操作装置130は、ユーザに「新規作成」と「保存文書」の一方を選択させる。例えば、表示装置132の画面に選択メニューを表示させ、ユーザに入力装置131を介してメニューから「新規作成」か「保存文書」を選択させる。そして、文書操作装置130はユーザの選択を判定し処理フローを切り替える(ステップS105)。
【0066】まず、ユーザによって「保存文書」が指定された場合について説明する。この場合、文書操作装置130は旧文書表示処理(ステップS108)に進み、文書保存部111に保存されている1つの文書を指定させ、指定された保存文書の内容を表示装置132の画面に表示する。具体的には、文書操作装置130は文書管理装置110に対し、例えば図8に示すような保存文書群の階層ツリーを表示するための情報の転送を要求し、またユーザ名(使用者名)を通知する。文書管理装置100においては、この要求が制御部120を介して文書管理部112に与えられ、文書管理部112は文書管理情報保存部113に保存されている文書管理情報に基づき、要求された情報を作成し、それを制御部120を介して文書操作装置130へ送る。文書操作装置130は、その情報に基づいて図8のような保存文書群の階層ツリーを表示装置132に表示する。ユーザは、表示された階層ツリー上で、入力装置131を介して必要な保存文書を指定する。ただし、文書の指定方法はこれに限定されるものではない。このようにして文書が指定されると、文書操作装置130は指定された文書の出力要求を文書管理装置110に送る。その要求は文書管理装置110の制御部120を介して文書管理部112へ渡され、文書管理部112の管理下で要求された文書のデータが文書保存部111より読み出され、制御部120を介し文書操作装置130へ送られ、表示装置132に表示される。この文書は操作対象となるもので、表示装置132の画面上では、例えばウィンドウ502(図7)に文書の内容が表示され、また、その文書の文書名と操作者名(すなわち現在作業中のユーザ名)がウィンドウ503(図7)に表示される。ここまでが旧文書表示処理(ステップS108)である。
【0067】旧文書表示処理(ステップS108)が終わると関連文書リスト取得処理(ステップS109)に進む。この関連文書リスト取得処理においては、文書操作装置130は、関連文書リスト取得要求を文書管理装置110へ送る。文書管理装置110においては、関連文書処理部116で処理対象文書の関連文書を抽出して、そのリストを生成し、それを制御部120を介して文書操作装置130へ送る。すなわち、関連文書処理部116は、関連文書を抽出してそのリストを生成する手段であるとともに、制御部120と協働して関連文書リストを文書操作装置130へ転送する手段でもある。なお、この関連文書の抽出と、そのリストの生成については後に詳細に説明する。
【0068】一方、文書指定処理(ステップS104)で「新規作成」が指定された場合は、文書操作装置130は新規文書表示処理(ステップS106)において、何も入力されていない文書を表示装置132の画面上のウィンドウ502(図7)に表示する。この時点では、ウィンドウ503(図7)には操作者名は表示されるが、文書名は表示されない。次に関連文書リスト取得処理(ステップS107)に進む。この関連文書リスト取得処理においては、文書操作装置130は、操作者名(ユーザ名)とともに同操作者の関連文書リストの出力要求を文書管理装置110へ送る。文書管理装置110において、関連文書処理部116は通知された現在の操作者に対応した関連文書リスト(以前の処理ステップ111で保存されたもの)を関連文書リスト保存部117より探索する。現在の操作者名に対応した関連文書リストが見つかった場合には、関連文書処理部116はその関連文書リストを制御部120を介して文書操作装置130へ送る。すなわち、関連文書処理部116は、保存されていない新規文書の操作時に、その操作者に対応して保存されている関連文書リストを、制御部120と協働して文書操作装置130へ転送する手段でもある。現在の操作者名に対応した関連文書リストが見つからない場合には、関連文書処理部116は空の関連文書リストを作成し、それを制御部120を介して文書操作装置130へ送る。
【0069】文書操作装置130は、ステップS107又はS109で文書管理装置110より受信した関連文書リストを表示装置132の画面に表示する。例えば、図7に示すウィンドウ504に表示モード(後述)とともに関連文書リストを表示する(ステップS110)。ステップS107で空の関連文書リストを取得した場合には、ウィンドウ504には、表示モードのみが表示される。
【0070】文書管理装置110は関連文書リスト保存処理(ステップS111)に進む。文書管理装置110において、関連文書処理部116は、現在表示中の関連文書リストを次回に再利用できるように操作者と対応付けて関連文書リスト保存部117に保存する。すなわち、関連文書処理部116は生成した関連文書リストを操作者に対応付けて関連文書リスト保存部117に保存する手段でもある。このようにして保存された関連文書リストは、新規文書操作に関連した関連文書リスト取得処理(ステップS107)において利用される。なお、関連文書リスト保存部117内に、現在の操作者に対応した古い関連文書リストが存在する場合には、その関連文書リストに現在表示中の関連文書リストが上書きされる。すなわち、関連文書リスト保存部117には、一人の操作者に対応した関連文書リストは最新のものが1つだけ保存されることになる。したがって、ステップS107で、ユーザの最近の操作に関連して生成された関連文書リストが文書操作装置130へ渡されることになる。
【0071】ユーザは、表示装置130の画面に表示された関連文書リストの中から、文書を指定して内容を参照することができる。関連文書の内容を参照したい場合、例えば、ユーザは入力装置131のマウスなどを利用して関連文書リストのウィンドウ504をアクティブにし(ステップS112,Yes)、関連文書リストの中から参照したい文書をマウスでクリックすることにより、関連文書を選択する(ステップS113)。ただし、関連文書リスト上で文書を選択する方法は、これに限られない。文書操作装置130は、選択された関連文書の出力要求を文書管理装置110へ送る。文書管理装置110においては、文書管理部112が要求された文書のデータを制御部120を介して文書操作部130へ送信する。すなわち、文書管理部112は制御部120と協働して、ユーザにより選択された文書のデータを文書操作装置130へ転送する手段として機能する。文書操作装置130は、受信した文書のデータを例えば表示装置132の画面に開いたウィンドウに表示させる。ここまでがステップS114である。ユーザは、必要に応じて別の関連文書を選択し、その内容を表示させることができる。
【0072】ユーザは関連文書の参照を終了すると、例えばマウスを利用して処理対象文書のウィンドウ502をアクティブにする等によって、文書操作処理(ステップS115)に進むことができる。
【0073】文書操作処理(ステップS115)では、ユーザは、操作対象文書の作成、編集のほか、「新規保存」、「上書き保存」、「別名保存」、「閲覧」又は「印刷」の処理を行うことができる。文書操作処理が終わると、操作履歴処理(ステップS116)に進み、これを終了するとユーザ指示処理(ステップS101)に戻る。
【0074】以下、文書操作処理(ステップS115)と操作履歴処理(ステップS116)について説明する。
【0075】まず、「新規保存」の場合について説明する。この場合、ユーザは文書操作装置130で新規文書を作成して、その保存を指示する。あるいは、作成済みであるが文書管理装置110には未登録の文書を補助記憶装置134などから読み込み、その保存を指示する。この際、文書名と文書の種類を指定する。文書操作装置130は、その文書のデータ、文書名、文書の種類、新規保存指示を文書管理装置110に送る。文書管理装置110においては、文書管理部112の管理の下に、新規文書のデータを文書保存部111に保存するとともに、その文書に関する文書管理情報を作成して文書管理情報保存部113に保存する。この時に、新規保存文書のための操作履歴ファイルを生成する(この操作履歴ファイルの生成を操作履歴管理部114で行うようにしてもよい)。ここまでが文書操作処理(ステップS115)である。そして、操作履歴管理部114は、当該新規文書に関する文書操作処理(ステップS115)における新規保存という操作の履歴情報を、当該新規文書の操作履歴ファイルに記述する。これが操作履歴処理(ステップS116)である。
【0076】次に「上書き保存」の場合について説明する。ユーザは、ステップS108で表示された保存文書の編集が必要ならば、その編集作業を文書操作装置130で行う。そして、編集後の文書を元の文書に上書きしたいときには「上書き保存」を指示する。上書き保存を指示された場合、文書操作装置130は、元の保存文書を特定するための情報、編集後の文書データ、上書き保存指示を文書管理装置110に送る。文書管理装置110においては、文書管理部112の管理下で、その編集後の文書データによって元の保存文書データを書き換える。ここまでが文書操作処理(ステップS115)である。続いて、文書管理装置110の操作履歴管理部114において、この上書き保存操作に関する操作履歴情報を生成し、それを当該文書の操作履歴ファイルに追記する(ステップS116)。
【0077】次に「別名保存」の場合について説明する。ユーザは、編集後の文書を別名で保存したいときには、新たな文書名を付与して「別名保存」を指示する。文書操作装置130は、編集後の文書データとその文書名、別名保存指示を文書管理装置110に送る。文書管理装置110においては、文書管理部112の管理下で、その文書データを文書保存部111に保存するとともに、その文書管理情報を生成して文書管理情報保存部113に保存し、また、その文書に関する操作履歴ファイルを生成する。ここまでが文書操作処理(ステップS115)である。次に操作履歴管理部114において、この別名保存操作に関する操作履歴情報を作成し、それを当該文書の操作履歴ファイルに記述する(ステップS116)。
【0078】「印刷」の場合について説明する。ユーザは、表示された文書を印刷したいときには、印刷指示を入力する。文書操作部130は、その文書データを印刷装置133に出力するとともに、その文書を特定するための情報、操作が印刷であることを示す情報を文書管理装置110に送る。ここまでがステップS115である。次に文書管理装置110において、操作履歴管理部114は、この印刷操作に関する操作履歴情報を生成し、それを当該文書の操作履歴ファイルに追記する(ステップS116)。
【0079】最後に「閲覧」の場合について説明する。ユーザは、表示された保存文書の閲覧を終えるか、その保存文書を編集したが編集後の文書を保存することなく廃棄したいときには、文書を閉じる指示を入力する。文書操作装置130は、その保存文書を特定するための情報と、操作が閲覧であることを示す情報を文書管理装置110に送る。ここまでがステップS115である。続いて文書管理装置110において、操作履歴管理部114は、この閲覧操作に関する操作履歴情報を生成し、それを当該文書の操作履歴ファイルに追記する(ステップS116)。
【0080】図9は、以上に述べた操作履歴処理(ステップS116)の処理フローの一例を示すフローチャートである。図9において、ステップS120?S124は操作内容を判定するステップであり、ステップS126は新規保存操作に対する処理ステップ、ステップS127は上書き保存操作に対する処理ステップ、ステップS128は別名保存操作に対する処理ステップ、ステップS129は印刷操作に対する処理ステップ、ステップS130は閲覧操作に対する処理ステップである。
【0081】次に、表示モード選択処理(ステップS117)について説明する。文書操作装置130の表示装置132の画面上のユーザ指示メニューの「表示モード選択」をユーザが指定すると、ステップS103から表示モード選択処理(ステップS117)に分岐する。関連文書処理部116は複数のモードで関連文書リストを作成することが可能であり、この表示モード選択処理(ステップS117)では、そのモードを決定する。ここでは、「操作時刻」、「操作者」、「操作内容」、「複合」の4つのモードが指定できるものとする。例えば、ユーザ指示メニューの「表示モード」のサブメニュー(図7参照)から必要な項目を1つ以上、ユーザが指定することで行う。すなわち、ユーザは、「操作時刻」モードを選択したい場合には「操作時刻」のみを指定し、「操作者」モードを選択したい場合には「操作者」のみを指定し、「操作内容」モードを選択したい場合には「操作内容」だけを指定する。「複合モード」を選択したい場合には、「操作時刻」、「操作者」、「操作内容」の中の2つ以上の項目を指定する。ただし、このような指定方法は一例であり、他の指定方法を用いることも可能である。
【0082】次に、関連文書リスト取得処理(ステップS109)において関連文書を抽出してそのリストを生成する処理の詳細について説明する。図10は、この処理を説明するためのフローチャートである。
【0083】関連文書処理部116は、まず、文書操作装置130で操作対象となっている文書に関する文書管理情報を参照し、その「操作履歴」フィールドの情報に基づいて、その文書の操作履歴ファイルを読み込む。そして、表示モード選択処理(ステップS117)でユーザに指定された項目を指定された順に1つキー項目として選び、操作対象文書の操作履歴ファイルより、そのキー項目に対応した操作履歴情報を抽出する。その文書が複数回操作されている場合には、キー項目に対応した全ての操作履歴情報を抽出する。ここまでが設定処理(ステップS300)の内容である。
【0084】関連文書処理部116は、次に、文書管理情報保存部113に保存されている操作対象文書以外の全ての文書に対して操作履歴情報の検索処理を実施し、各文書の操作履歴ファイルのキー項目に対応した操作履歴情報を抽出し、それと設定処理(ステップS300)で設定された操作履歴情報とを照合して一致判定を行い、一致した場合には、その文書を関連文書として、処理開始段階で用意した空の関連文書リストに追加する処理を行う(ステップS301?S304)。
【0085】このようにして1つのキー項目に関連した処理が終了すると(ステップS301,YES)、ユーザに指定された他の項目があるか調べる(ステップS305)。「複合モード」以外のモードでは、1項目のみ指定されるため、関連文書リスト生成はこの段階で終了するが、「複合モード」が選択された場合には、2項目以上が指定されるため、残りの指定項目についてステップS300?S304の処理が繰り返され、最後の指定項目をキー項目とした処理を終了した段階で関連文書リストの生成が終了する。
【0086】このようにして生成された関連文書リストは、前述した如く、関連文書リスト保存処理(ステップS111)において、現在のユーザ(操作者)のリストとして関連文書リスト保存部117に保存される。つまり、関連文書リスト保存部117上の当該ユーザの旧関連文書リストがあれば、新しい関連文書リストによって上書きされる形になる。
【0087】以下、表示モード別に、関連文書の抽出とそのリスト生成を説明する。
【0088】まず、「操作時刻」モードの場合について説明する。この場合、検索処理(ステップS302)では、検索対象となっている文書の操作履歴ファイルに記述されている操作履歴情報の「操作時刻」情報を抽出する。その文書が複数回操作されている場合には、全ての「操作時刻」情報を抽出する。一致判定処理(ステップS303)では、設定処理(ステップS300)で設定された「操作時刻」情報と、抽出された「操作時刻」情報とを照合し、その一致判定を行う。この判定では、例えば、「操作時刻」の「時分」を無視し、「年月日」が同一であれば一致と判定したり、「年月」が同一であれば一致と判定したり、あるいは、「年月日」の差が所定日数以下であれば一致と判定するような基準を用いることができる。この判定基準は予め固定することも可能であるが、例えば表示モード選択処理(ステップS117)などで、ユーザが指定できるようにすることも可能である。
【0089】なお、操作対象文書が複数回操作されている場合に、その全ての操作時刻を設定処理(ステップS300)において設定するものとして説明したが、これに限らない。例えば、最新の操作時刻のみを設定する方法、最新の所定回数分の操作時刻のみを設定する方法、逆に、最古の1回又は所定回数分の操作時刻だけを設定する方法なども採用し得る。それをユーザが指定できるようにすることも可能である。
【0090】次に、「操作者」モードの場合を説明する。この場合、検索処理(ステップS302)では、検索対象となっている文書の操作履歴ファイルに記述されている操作履歴情報の「操作者」情報を抽出する。その文書が複数回操作されている場合には、全ての「操作者」情報を抽出する。照合判定処理(ステップS303)では、設定処理(ステップS300)で設定した「操作者」情報と、抽出した「操作者」情報とを照合して一致しているか否かを判定する。
【0091】なお、操作対象文書が複数回操作されている場合に、その全ての操作者を設定処理(ステップS300)において設定するものとして説明したが、例えば、最新の操作者のみを設定する方法、最新の所定回数分の操作者のみを設定する方法、逆に、最古の1回又は所定回数分の操作者だけを設定する方法なども採用でき、また、それをユーザが指定できるようにすることも可能である。
【0092】次に、「操作内容」モードの場合を説明する。この場合、検索処理(ステップS302)では、検索対象となっている文書の操作履歴ファイルに記述されている操作履歴情報の「操作内容」情報を抽出する。その文書が複数回操作されている場合には、全ての「操作内容」情報を抽出する。照合判定処理(ステップS303)では、設定処理(ステップS300)で設定した「操作内容」情報と、抽出した「操作内容」情報とを照合し一致判定を行う。なお、操作対象文書が複数回操作されている場合に、設定処理(ステップS300)において、例えば、最新の操作の内容のみを設定する方法、最新の所定回数分の操作の内容のみを設定する方法、逆に、最古の1回又は所定回数分の操作の内容だけを設定する方法なども採用でき、また、それをユーザが指定できるようにすることも可能である。
【0093】「複合」モードの場合は、ユーザによって指定された2以上の項目について処理が行われるが、各項目に関する処理内容は前述した通りであるので説明を繰り返さない。
【0094】以上の説明においては、文書操作を支援するため、関連文書リストを文書操作装置130へ転送し操作者が関連文書を容易に参照できるようにしたが、文書管理装置110において、生成した関連文書リストを関連文書群の管理などに利用することもできることは明らかである。」

(3)上記(1)及び(2)から、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「表示装置201、キーボードやマウスなどの入力装置202、ハードディスク装置203、印刷装置204などの周辺機器を備えるワークステーションなどの汎用のコンピュータ200を利用してソフトウェアにより文書管理装置110及び文書操作装置130を実現した文書処理管理システム100であって、
前記文書操作装置130は、ユーザが各種指示やデータを入力するためのキーボードやマウスなどの入力装置131、文書操作等のために利用される表示装置132、文書の印刷出力のための印刷装置133及びハードディスク装置などの補助記憶装置134を備え、
前記文書管理装置110は、多数の文書の実体である保存文書が保存される文書保存部111、この文書保存部111に保存されている文書群を管理する文書管理部112、この文書管理部112による文書管理のための文書管理情報が保存される文書管理情報保存部113、文書保存部111に保存されている文書に関する操作履歴を管理するための操作履歴管理部114、この操作履歴管理部114により生成される操作履歴情報が保存される操作履歴情報保存部115、文書操作装置130の操作対象となっている文書の操作履歴情報と、それ以外の文書の操作履歴情報との照合により関連文書を抽出し、そのリストを生成するなどの処理を行う関連文書処理部116、この関連文書処理部116により生成された関連文書リストを操作者別に保存するための関連文書リスト保存部117、前記各部の動作や文書管理装置110の全体的な動作の制御、文書操作装置130との情報交換の制御などを司る制御部120を有し、
前記関連文書処理部116は、関連文書リスト保存部117における関連文書リストの保存や削除を管理するものであり、
前記文書管理部112は、前記文書保存部111内の文書群をリレーショナル型データベースとして管理するとともに、そのために文書管理情報を生成するものであり、
前記文書管理情報保存部113は、前記文書管理部112により生成された前記文書管理情報を保存するものであり、
前記文書管理情報の各レコードは、前記保存文書と1対1に対応し、文書の属性の値が記録される、種類フィールド401、作成者フィールド402、文書名フィールド403、操作履歴フィールド404、保存場所フィールド405からなるものであり、
前記種類フィールド401には文書の種類を表す値が記録され、前記作成者フィールド402には文書の作成者名(ユーザ名)を表す値が記録され、前記文書名フィールド403にはユーザが文書に付与した文書名が記録され、前記文書保存場所フィールド405には、文書の実体が保存されいる場所を特定するための情報が記録され、前記操作履歴フィールド404には、文書の操作履歴情報が記述された操作履歴ファイルを特定するための情報が記録されるものであり、
前記操作履歴ファイルは、個々の文書毎に作成され、その各行が1レコードで、1回の文書操作に関する操作履歴情報であり、操作したユーザ名である操作者情報411、操作が終了した年月日時分である操作時刻情報412及び操作内容情報413の3項目の情報が記述され、これら3項目の1つ又は2つ以上の情報を利用する項目として前記文書操作装置130を介して文書の操作者であるユーザが指定して関連文書の抽出のための操作履歴情報の照合に利用することができるものであり、
前記操作内容情報の操作内容の一つは、文書操作装置130で保存文書を開き印刷装置133で印刷する操作を意味する“印刷”であり、
前記文書操作装置130は、前記表示装置132にユーザ名とパスワードの入力画面を表示し、ユーザが前記入力装置131によりユーザ名とパスワードを入力すると、ユーザが入力したユーザ名とパスワードから操作が許されたユーザであるか否か判定するユーザ識別処理を行って、不正な文書操作を禁止するとともに、ユーザ(操作者)を特定し、ユーザが特定されると、前記表示装置132の画面上の第1のウィンドウ501にユーザ指示メニューを表示してユーザに文書操作、表示モード選択、作業終了の3つの指示のいずれかの指示を選択させるユーザ指示処理(ステップS101)を行って、ユーザから作業指示を受け付け、その指示がいずれの指示であるか判定し、ユーザからの指示が表示モード選択ならば、表示モード選択処理(ステップS117)に進み、ユーザが前記ユーザ指示メニューの“表示モード”のサブメニューから“操作時刻”、“操作者”、“操作内容”の中から必要な項目を1つ以上指定することができ、その後ユーザ指示処理(ステップS101)に戻り、前記ユーザ指示処理(ステップS101)におけるユーザからの指示が文書操作ならば、文書指定処理(ステップS104)に進み、前記表示装置132の画面に選択メニューを表示させ、ユーザに前記入力装置131を介して該選択メニューから“新規作成”か“保存文書”を選択させ、ユーザの選択を判定し、ユーザによって“保存文書”が指定されたと判定した場合、旧文書表示処理(ステップS108)に進み、前記文書管理装置110に対し、保存文書群の階層ツリーを表示するための情報の転送を要求するとともにユーザ名(使用者名)を通知し、前記文書管理装置100においては、この要求を前記制御部120を介して前記文書管理部112に与え、該文書管理部112は、前記文書管理情報保存部113に保存されている前記文書管理情報に基づき、要求された情報を作成し、それを前記制御部120を介して前記文書操作装置130へ送り、前記文書操作装置130は、その情報に基づいて保存文書群の階層ツリーを前記表示装置132に表示し、ユーザが表示された階層ツリー上で前記入力装置131を介して必要な保存文書を指定すると、前記文書操作装置130は、指定された保存文書の出力要求を前記文書管理装置110に送り、前記文書管理装置110は、その要求を前記制御部120を介して前記文書管理部112へ渡し、該文書管理部112の管理下で、要求された保存文書のデータを前記文書保存部111より読み出し、前記制御部120を介し前記文書操作装置130へ送り、前記文書操作装置130は、受信した保存文書のデータを前記表示装置132に表示させ、具体的には、該表示装置132の画面上の第2のウィンドウ502にその保存文書の内容を表示させ、第3のウィンドウ503にその保存文書の文書名と操作者名(すなわち現在作業中のユーザ名)を表示させ、この保存文書を操作対象として旧文書表示処理(ステップS108)を終わり、関連文書リスト取得処理(ステップS109)に進んで、ステップS109では、関連文書リスト取得要求を前記文書管理装置110へ送り、該文書管理装置110においては、まず、前記関連文書処理部116が前記文書操作装置130で操作対象となっている保存文書に関する前記文書管理情報を参照し、その保存文書のレコードの前記操作履歴フィールド404の情報に基づいて、その保存文書の操作履歴ファイルを読み込み、前記表示モード選択処理(ステップS117)でユーザに指定された項目を指定された順に1つキー項目として選び、操作対象文書の操作履歴ファイルより、その文書が複数回操作されている場合には、そのキー項目に対応した全ての操作履歴情報を抽出し設定処理(ステップS300)を終わり、次に、ステップS301ないしS304で、前記文書管理情報保存部113に保存されている操作対象文書以外の全ての文書に対して操作履歴情報の検索処理を実施し、各文書の操作履歴ファイルのキー項目に対応した操作履歴情報を抽出し、それと前記設定処理(ステップS300)で設定された操作履歴情報とを照合して一致判定を行い、一致した場合には、その文書を関連文書として、処理開始段階で用意した空の関連文書リストに追加する処理を行い、このようにして1つのキー項目に関連した処理が終了すると(ステップS301,YES)、ステップS305で、ユーザに指定された他の項目があるか調べ、残りの指定項目がある場合には、その指定項目について前記ステップS300ないしS304の処理を繰り返して、処理対象文書の関連文書を抽出してそのリストを生成し、最後の指定項目をキー項目とした処理を終了した段階で関連文書リストの生成を終了し、それを前記制御部120を介して前記文書操作装置130へ送り、ステップS110で、前記文書操作装置130は、第4のウィンドウ504に表示モードとともに受信した関連文書リストを表示し、関連文書リスト保存処理(ステップS111)に進んで、ステップS111で、生成された前記関連文書リストを前記関連文書処理部116が現在表示中の関連文書リストを次回に再利用できるように操作者と対応付けて、現在のユーザ(操作者)のリストとして前記関連文書リスト保存部117に上書き保存し、ユーザは、前記表示装置130の画面に表示された関連文書リストの中から、文書を指定して内容を参照することができ、関連文書の内容を参照したい場合、前記入力装置131のマウスなどを利用して関連文書リストの第4のウィンドウ504をアクティブにし(ステップS112,Yes)、関連文書リストの中から参照したい文書をマウスでクリックすることにより、関連文書を選択する(ステップS113)ことができ、ステップS114で、前記文書操作装置130は、選択された関連文書の出力要求を前記文書管理装置110へ送り、該文書管理装置110においては、前記文書管理部112が要求された文書のデータを前記制御部120を介して前記文書操作部130へ送信し、該文書操作装置130は、受信した文書のデータを前記表示装置132の画面に開いた第5のウィンドウに表示させ、ユーザは、必要に応じて別の関連文書を選択しその内容を表示させることもでき、ユーザは、マウスを利用して処理対象文書の第2のウィンドウ502をアクティブにする等によって関連文書の参照を終了することができ、次に文書操作処理(ステップS115)に進むと、ユーザは、操作対象文書の作成、編集のほか、印刷の処理を行うことができ、ユーザが、表示された文書を印刷するために印刷指示を入力すると、前記文書操作部130は、その文書データを前記印刷装置133に出力するとともに、その文書を特定するための情報、操作が印刷であることを示す情報を前記文書管理装置110に送り、この文書操作処理(ステップS115)が終わると、操作履歴処理(ステップS116)に進み、前記文書管理装置110において、前記操作履歴管理部114が、この印刷操作に関する操作履歴情報を生成し、それを当該文書の操作履歴ファイルに追記し、これを終了するとユーザ指示処理(ステップS101)に戻り、ユーザ指示処理(ステップS101)で作業終了の指示があり、前記文書操作装置130がそれまでの作業を全て終了し待機状態に戻るまで、上記ステップを繰り返す、
文書処理管理システム。」(以下「引用発明」という。)

4 対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「前記文書操作部130は、その文書データを前記印刷装置133に出力するとともに、その文書を特定するための情報、操作が印刷であることを示す情報を前記文書管理装置110に送り、この文書操作処理(ステップS115)が終わると、操作履歴処理(ステップS116)に進み、前記文書管理装置110において、前記操作履歴管理部114が、この印刷操作に関する操作履歴情報を生成し、それを当該文書の操作履歴ファイルに追記する構成」、「ユーザによって“保存文書”が指定されたと判定した場合、旧文書表示処理(ステップS108)に進み、前記文書管理装置110に対し、保存文書群の階層ツリーを表示するための情報の転送を要求するとともにユーザ名(使用者名)を通知し、前記文書管理装置100においては、この要求を前記制御部120を介して前記文書管理部112に与え、該文書管理部112は、前記文書管理情報保存部113に保存されている前記文書管理情報に基づき、要求された情報を作成し、それを前記制御部120を介して前記文書操作装置130へ送り、前記文書操作装置130は、その情報に基づいて保存文書群の階層ツリーを前記表示装置132に表示する構成」、「ユーザが表示された階層ツリー上で前記入力装置131を介して必要な保存文書を指定する構成」、「前記文書操作装置130は、指定された保存文書の出力要求を前記文書管理装置110に送り、前記文書管理装置110は、その要求を前記制御部120を介して前記文書管理部112へ渡し、該文書管理部112の管理下で、要求された保存文書のデータを前記文書保存部111より読み出し、前記制御部120を介し前記文書操作装置130へ送り、前記文書操作装置130は、受信した保存文書のデータを前記表示装置132に表示させ、具体的には、該表示装置132の画面上の第2のウィンドウ502にその保存文書の内容を表示させ、第3のウィンドウ503にその保存文書の文書名と操作者名(すなわち現在作業中のユーザ名)を表示させ、この保存文書を操作対象として旧文書表示処理(ステップS108)を終わり、関連文書リスト取得処理(ステップS109)に進んで、ステップS109では、関連文書リスト取得要求を前記文書管理装置110へ送り、該文書管理装置110においては、まず、前記関連文書処理部116が前記文書操作装置130で操作対象となっている保存文書に関する前記文書管理情報を参照し、その保存文書のレコードの前記操作履歴フィールド404の情報に基づいて、その保存文書の操作履歴ファイルを読み込み、前記表示モード選択処理(ステップS117)でユーザに指定された項目を指定された順に1つキー項目として選び、操作対象文書の操作履歴ファイルより、その文書が複数回操作されている場合には、そのキー項目に対応した全ての操作履歴情報を抽出し設定処理(ステップS300)を終わり、次に、ステップS301ないしS304で、前記文書管理情報保存部113に保存されている操作対象文書以外の全ての文書に対して操作履歴情報の検索処理を実施し、各文書の操作履歴ファイルのキー項目に対応した操作履歴情報を抽出し、それと前記設定処理(ステップS300)で設定された操作履歴情報とを照合して一致判定を行い、一致した場合には、その文書を関連文書として、処理開始段階で用意した空の関連文書リストに追加する処理を行い、このようにして1つのキー項目に関連した処理が終了すると(ステップS301,YES)、ステップS305で、ユーザに指定された他の項目があるか調べ、残りの指定項目がある場合には、その指定項目について前記ステップS300ないしS304の処理を繰り返して、処理対象文書の関連文書を抽出してそのリストを生成し、最後の指定項目をキー項目とした処理を終了した段階で関連文書リストの生成を終了する構成」、「ユーザが、表示された文書を印刷するために印刷指示を入力すると、前記文書操作部130は、その文書データを前記印刷装置133に出力する構成」及び「印刷装置204などの周辺機器を備えるワークステーションなどの汎用のコンピュータ200を利用してソフトウェアにより文書管理装置110及び文書操作装置130を実現した、文書の印刷出力のための印刷装置133を備えた文書処理管理システム100」は、それぞれ、本願補正発明の「ファイルの印刷処理を行った際の印刷履歴を記憶する印刷履歴記憶手段」、「所定の格納場所に格納され、アクセス可能なファイルを表示部に表示させる第1の表示制御手段」、「前記第1の表示制御手段により表示されたファイルのうち、いずれかのファイルを選択する選択手段」、「前記選択手段によりファイルが選択されたことに従って、前記選択手段により選択されたファイルと関連するファイルを、前記印刷履歴に基づいて抽出する抽出手段」、「前記選択手段により選択されたファイル及び前記抽出手段により抽出されたファイルを印刷処理する印刷手段」及び「印刷装置」に相当する。

(2)上記(1)に照らせば、本願補正発明と引用発明とは、
「ファイルの印刷処理を行った際の印刷履歴を記憶する印刷履歴記憶手段と、
所定の格納場所に格納され、アクセス可能なファイルを表示部に表示させる第1の表示制御手段と、
前記第1の表示制御手段により表示されたファイルのうち、いずれかのファイルを選択する選択手段と、
前記選択手段によりファイルが選択されたことに従って、前記選択手段により選択されたファイルと関連するファイルを、前記印刷履歴に基づいて抽出する抽出手段と、
前記選択手段により選択されたファイル及び前記抽出手段により抽出されたファイルを印刷処理する印刷手段と
を備える印刷装置。」である点で一致し、相違するところはない。

(3)以上のとおり、本願補正発明と引用発明とは同一の発明であるから、本願補正発明は、引用例に記載された発明であり、本願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明である。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 小括
本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成22年11月9日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年11月9日付けで補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記「第2〔理由〕1(1)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕2」のとおり、本願発明を特定するために必要な事項を限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕4」に記載したとおり、本願の出願前に頒布された刊行物である引用例に記載された発明であるから、本願発明も同様の理由により、本願の出願前に頒布された刊行物である引用例に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。

なお、原査定の拒絶の理由は、特許法第29条第1項第3号に該当するというものではないが、審判請求人は、意見書及び審判請求書において、本願発明及び本願補正発明と上記引用例とを対比し、容易性のみならず、同一性についても検討していることは明らかである。

4 むすび
本願発明は、以上のとおり、本願の出願前に頒布された刊行物である引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-12 
結審通知日 2012-03-16 
審決日 2012-03-27 
出願番号 特願2005-262983(P2005-262983)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (B41J)
P 1 8・ 575- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 嵯峨根 多美  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 星野 浩一
東 治企
発明の名称 画像処理装置及び情報処理方法  
代理人 高柳 司郎  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  

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