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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G05B
管理番号 1256821
審判番号 不服2011-11782  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-03 
確定日 2012-05-07 
事件の表示 特願2001-134247「金型加工システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年11月15日出願公開、特開2002-328710〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本件発明
本願は平成13年5月1日の出願であって、同21年12月10日付拒絶理由通知に対して同22年2月8日付で意見書と手続補正書、同22年6月21日付拒絶理由通知に対して同22年9月10日付で意見書と手続補正書、がそれぞれ提出されたが、同23年3月2日付で拒絶査定されたものである。本件審判は該査定の取消を求めて平成23年6月3日に請求され、同日付で明細書を補正対象とする手続補正書が提出された。その後、当審の平成23年7月11日付審尋に対して同23年9月9日付で回答書、当審の同23年11月28日付拒絶理由通知に対して同24年1月26日付で意見書、がそれぞれ提出されている。
本願の請求項1に係る発明は、平成23年6月3日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおり、以下のものと認める。
「NCプログラムによりガラス成形用の金型を加工する金型加工機と、
この金型加工機で加工された前記ガラス成形用の金型を測定するための金型測定装置と、
前記ガラス成形用の金型を用いて成形素材から成形品を成形するためのガラスモールドプレス成形機と、
このガラスモールドプレス成形機で成形された成形品の寸法精度を測定するための成形品測定装置と、
集中管理用コンピュータと、
前記NCプログラムを作成するNCプログラム作成用コンピュータと、
を備えたガラス成形用の金型加工システムであって、
前記金型加工機、前記金型測定装置、前記成形品測定装置、前記集中管理用コンピュータ、および前記NCプログラム作成用コンピュータは、それぞれ通信回線を介してデータの入出力を行なうように構成され、さらに、
前記ガラスモールドプレス成形機も、前記通信回線に接続され前記データの送受信を行なうよう構成され、
前記集中管理用コンピュータは、ガラス成形品用の成形素材と前記ガラス成形用の金型の互いの熱膨張率の違いによる熱膨張、熱収縮を見込んで、前記成形品測定装置で測定した成形品の測定データが成形品の測定基準値に対して許容誤差範囲外の場合には、成形品の測定データと成形品の測定基準値とを比較した値と、前記ガラス成形品の測定データと金型の測定データとを比較した値とから、前記NCプログラムを修正するための修正用データを算出するとともに、
前記NCプログラム作成用コンピュータは、前記修正用データから前記NCプログラムを修正し、前記金型加工機に前記通信回線により前記NCプログラムを送出し、
前記金型加工機は、前記修正データに基づき、前記ガラス成形用の金型を再び加工することを繰り返すことにより、
前記金型加工機における前記ガラス成形用の金型の加工量を、前記ガラスモールド成形機によって成形されたガラスの成形品における寸法が許容誤差内に加工されるよう、構成されていることを特徴とするガラス成形用の金型加工システム。」(以下、「本件発明」という。)

2.当審の拒絶理由の概要
当審が平成23年11月28日付で通知した拒絶理由は、概略、本願の請求項1に係る発明が、以下の刊行物に記載された発明または事項及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるため、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
刊行物1: 特開2001-62841号公報
刊行物2: 特開平11-302035号公報

3.刊行物に記載された発明または事項
上記各刊行物には、以下の記載が認められる。

3.1 刊行物1
a.(特許請求の範囲、請求項1)
「【請求項1】 仮型の光学面の形状を測定する工程と、前記仮型を用いて成形した成形品の光学面形状を測定する工程と、仮型と成形品の光学面の形状を用いて材料の成形収縮量を算出し、算出した成形収縮量に基づいて本型の光学面の形状を決定する工程と、決定した光学面の形状に基づいて本型を実際に加工する工程と、実際に作成した本型の光学面の形状を測定する工程と、実際に作成した本型を用いて成形を実施した場合に得られる成形品の光学面の形状を前記成形収縮量に基づいて算出する工程と、算出したデータに基づいて成形品の光学性能を計算する工程とを備えていることを特徴とする光学素子成形用金型加工方法。」
b.(発明の詳細な説明、段落3)
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】(中略)したがって、従来方法では金型製作後に実際に成形を行い、成形品の光学性能を表現するデータを求めなければ、作成した金型が所望の光学性能を満足する光学素子を成形できるか否かを判断できず、金型を修正する毎に成形を実施しなければならないという問題を有していた。」
c.(同、段落7)
「【0007】
【実施の形態】(実施の形態1)図1は本発明の金型の加工方法を実施するための金型加工システムを示し、光学素子の形状を測定する形状測定装置1と、この形状測定装置1とデータ通信可能に接続された計算処理装置2と、この計算処理装置2からのデータに基づいて光学素子の光学性能を計算する光学性能計算装置3とを備えている。この場合、計算処理装置2は、計算処理を行う装置本体4と、オペレータがデータの入出力を行ったり、操作を行うための入力装置5および出力装置6とを備えている。」
d.(同、段落11?14)
「【0011】図2は実施の形態1の加工方法のフローチャート、図3ないし図5は計算を行うための座標系を示す。この加工方法では、まず、仮型の光学面の形状を形状測定装置1で測定し、仮型の光学面の点列データ(y_(i),z_(Ki))を生成する(ステップS1)。
【0012】次に、成形品の中心の樹脂の厚さが設計値と等しくなるように仮型を用いて成形を実施した後、成形品の光学面の形状を形状測定装置1で測定し、成形品の光学面の点列データ(y_(i),z_(Si))を生成する(ステップS2)。そして、これらの仮型の光学面の点列データと成形品の光学面の点列データを用いて図3に示すように各点における成形収縮量α_(i) を計算する(ステップS3)。ここでα_(i)=z_(Ki)-z_(Si)である。これらの成形品の光学面の設計値の点列データ(y_(i),z_(di))と成形収縮量α_(i) を用いて図4に示すように本型の光学面の点列データ(y_(i),z_(hi))を計算する(ステップS4)。ここでz_(hi)=z_(di)+α_(i)により算出する。このようにして求められた本型の点列データを計算処理装置2を用いて数1に示す多項式に変換し、本型の形状を表現する特性値r_(h),P_(h),A_(hm)を求め(ステップS5)、この特性値に基づいて本型を実際に加工する(ステップS6)。その後、加工された本型の光学面の形状を形状測定装置で測定し、本型の光学面の点列データ(y_(i),z_(hi)′)を生成する(ステップS7)。次に本型の点列データ(y_(i),z_(hi)′)と成形収縮量α_(i)から、実際に本型を用いて成形を実施した場合に得られる成形品(以下、予想成形品と記する)の点列データ(y_(i),z_(Si)′)をz_(Si)′=z_(hi)′-α_(i)により計算する(ステップS8)。図5はこの計算の座標系である。さらに予想成形品の点列データ(y_(i),z_(Si)′)を計算処理装置2を用いて多項式に変換し、予想成形品を表現する特性値r_(S)′, P_(S)′,A_(Sm)′を求める(ステップS9)。このようにして求めた予想成形品の特性値r_(S)′, P_(S)′,A_(Sm)′に基づいて予想成形品の光学性能を計算し(ステップS10)、予想成形品において所望の光学性能を達成しているかを判断する(ステップS11)。
【0013】かかる判定により、所望の光学性能を達成していない場合は、本型の光学面の凹凸形状を修正した後(ステップS12)、ステップS7に戻る。ここで、この実施の形態で示した多項式は、任意の軸対称形状を表現できることは言うまでもなく、多項式がP=1,A_(m)=0であれば球面を意味し、rを8000程度の大きな値に設定すれば平面を表現することもできる。
【0014】このような本実施の形態によれば、作成した非球面、球面、平面の本型を用いて実際に成形を実施することなく、作製した本型を用いて成形を実施した場合に,光学素子が所望の光学性能を達成できるかどうかを判断できるので、本型を加工する過程において成形回数を減らすことができる。」

刊行物1に記載された事項について検討すると、
(1)上記において、「仮型」と「本型」がともに樹脂製光学素子を成形するための「金型」であることは明白であり、「形状測定装置」で仮型と本型を測定する工程には「金型測定装置」が、金型を加工する工程には「金型加工機」が、それぞれ用いられることは自明である。同様に、光学素子成形品を成形する工程には「成形機」が、その形状を測定する工程には「成形品測定装置」が、それぞれ使用されることも自明である。
(2)本型と同様に、仮型も仮型の加工用データに基づいて、金型加工機を用いて加工されることは当業者にとって明白であり、加工用データに基づいてNCプログラムを作成して加工することは、本願の出願時点では既に周知かつ一般的に用いられる技術であったから、刊行物1記載のものでも、NCプログラムにより金型を加工する金型加工機を使用していることは、当業者にとって自明である。
(3)上記において、「成形収縮量」が、光学素子成形用の成形素材と成形用の金型の互いの熱膨張率の違いによる熱膨張、熱収縮によって生じることは、当業者が容易に理解し得る。
(4)仮型を用いて成形した光学素子の測定データが測定基準値に対して許容範囲内にあれば、光学素子は所望の光学性能を発生するため、本型を改めて加工する必要性も存在しないから、上記において、仮型の測定データと光学素子の測定データとから本型の加工用データを求めることは、光学素子の測定データが測定基準値に対して許容誤差の範囲外にあることを前提にしていることは、当業者にとって自明である。
そこで、摘記事項を、技術常識を勘案しつつ、本件発明の記載に沿って整理すると、刊行物1には以下の発明が実質的に記載されていると認められる。
「NCプログラムにより樹脂製光学素子成形用の金型を加工する金型加工機と、
この金型加工機で加工された金型を測定するための金型測定装置と、
金型を用いて成形素材から光学素子を成形するための成形機と、
この成形機で成形された光学素子の形状を測定するための成形品測定装置と、
計算処理装置と、
を備えた光学素子成形用の金型加工システムであって、
成形品測定装置で測定した成形品の測定データが成形品の測定基準値に対して許容誤差範囲外の場合に、計算処理装置が、光学素子用の成形素材と樹脂製光学素子成形用の金型の互いの熱膨張率の違いによる熱膨張、熱収縮を見込んで、光学素子の測定データと金型の測定データとを比較した値から、金型を再加工するための加工用データを算出するとともに、
金型加工機が、金型の加工用データに基づき、樹脂製光学素子成形用の金型を再び加工することにより、
成形機によって成形された光学素子が所望の光学性能を達成するよう、構成されている光学素子成形用の金型加工システム。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)
また、摘記事項bからは、従来方法では、金型を修正する毎に成形する工程、成形品を測定する工程、光学性能を計算して判定する工程を繰り返していたこと(以下、「刊行物1記載の事項イ」という。)が理解され、摘記事項dからは、金型の光学面の形状を形状測定装置で測定する工程とは、光学面の点列データを生成する工程であること(以下、「刊行物1記載の事項ロ」という。)、及び、光学素子が所望の光学性能を達成していない場合に、金型の光学面の測定、光学素子の形状予測、金型を再加工するための加工用データの算出と加工を繰り返すこと(以下、「刊行物1記載の事項ハ」という。)、が理解される。

3.2 刊行物2
a.(発明の詳細な説明、段落3)
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】光ピックアップレンズや撮影用レンズの成形には、精密加工を施した金型によって軟化状態のガラス塊を加圧成形し、金型の表面形状をガラスに転写させる、いわゆるモールドプレス成形法が広く用いられている。」

上記より、刊行物2には「ガラス塊を金型によってモールドプレス成形すること。」が記載されていると認める。

4.対比
本件発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、以下のとおりである。
a.後者の樹脂製光学素子成形用の「金型」は、「成形用の金型」である限りにおいて、前者の「ガラス成形用の金型」と共通する。
b.後者の「成形機」は、成形品を成形する「成形機」である限りにおいて、前者の「ガラスモールド成形機」と共通する。
c.後者の「光学素子」は、金型で成形される「成形品」である限りにおいて、前者の「ガラス成形品」と共通する。
d.後者において「本型を加工するための加工用データを算出」することは、「金型を再加工するための加工用データを算出」することである限りにおいて、前者において「NCプログラムを修正するための修正用データを算出」することと共通する。
e.後者の「計算処理装置」がコンピュータであることは自明であり、金型を再び加工するための加工用データを算出するのに使用されるものであるから、前者の「集中管理用コンピュータ」に相当するということができる。
そうしてみると、本件発明と刊行物1記載の発明との間は、以下の一致点及び相違点が認められる。
<一致点>
「NCプログラムにより成形用の金型を加工する金型加工機と、
この金型加工機で加工された金型を測定するための金型測定装置と、
金型を用いて成形素材から成形品を成形するための成形機と、
この成形機で成形された成形品を測定するための成形品測定装置と、
集中管理用コンピュータと、
を備えた成形用の金型加工システムであって、
成形品測定装置で測定した成形品の測定データが成形品の測定基準値に対して許容誤差範囲外の場合に、集中管理用コンピュータが、成形素材と金型の互いの熱膨張率の違いによる熱膨張、熱収縮を見込んで、成形品の測定データと金型の測定データとを比較した値から、金型を再び加工するための加工用データを算出するとともに、
金型加工機が、金型を再加工するための加工用データに基づき、成形用の金型を再加工することにより、
成形機によって成形された成形品における寸法が許容誤差内に加工されるよう、構成されている成形用の金型加工システム。」である点。
<相違点1>
本件発明はガラス成形用の金型を加工するシステムであって、金型はガラス成形用の金型であり、成形機はガラスモールドプレス成形機であり、成形品はガラス成形品であるのに対し、刊行物1記載の発明は樹脂製光学部品成形用の金型を加工するシステムであって、金型、成形機、成形品とも、本件発明のものとは異なる点。
<相違点2>
成形品測定装置が、本件発明では成形品の寸法精度を測定するのに対し、刊行物1記載の発明では成形品の光学面の形状を測定する点。
<相違点3>
本件発明はNCプログラム作成用コンピュータを備え、NCプログラム作成用コンピュータが修正用データからNCプログラムを修正してこれを金型加工機に送り出すのに対し、刊行物1記載の発明ではNCプログラム作成用コンピュータについて特定がない点。
<相違点4>
本件発明では金型加工機、金型測定装置、成形品測定装置、集中管理用コンピュータ、ガラスモールドプレス成形機および前記NCプログラム作成用コンピュータは、それぞれ通信回線を介してデータの入出力または送受信を行なうように構成されるのに対し、刊行物1記載の発明ではそのような特定がない点。
<相違点5>
コンピュータが金型を再加工するための加工用データを算出するとき、本件発明では成形品の測定データと成形品の測定基準値とを比較した値と、前記ガラス成形品の測定データと金型の測定データとを比較した値とから、NCプログラムを修正するための修正用データを算出するのに対し、刊行物1記載の発明では成形品の測定データと金型の測定データとを比較した値から、金型を再加工するための加工用データを算出する点。
<相違点6>
成形品測定装置で測定した成形品の測定データが成形品の測定基準値に対して許容誤差範囲外の場合、本件発明では金型の再加工と測定、成形、成形品の測定及び金型の修正データの算出を繰り返すのに対し、刊行物1記載の発明はこのようなものでない点。

5.当審の判断
上記各相違点について検討する。

5.1 <相違点1>について
ガラスをプレスモールド成形すること自体は、刊行物2に示されるように公知の技術であり、刊行物1記載の発明をガラスのプレスモールド成形に適用することに、当業者にとって困難性はない。これに伴って、金型をガラス成形用の金型とし、成形機をガラスモールドプレス成形機とし、成形品をガラス成形品とすることは、成形対象の素材の変更に伴う当然の形式的な変更に過ぎない。
なお、請求人は平成24年1月26日付意見書において、ガラス成形ではガラス及び金型の加熱及び冷却工程に工夫を必要とするため、樹脂製光学素子の成形に関する刊行物1記載の発明をガラス成形に適用することは困難である旨、主張しているが、本件発明には、加熱及び冷却に関し、ガラス成形に特有な構成を見いだすことはできないため、請求人の上記主張を採用することはできない。

5.2 <相違点2>について
刊行物1記載の発明では、金型の光学面の形状を形状測定装置で測定する工程は、光学面の点列データを生成する工程である(刊行物1記載の事項ロ参照。)ことから、光学面上の多数の点の座標を求めていることは、当業者が容易に理解し得るものであり、このことは成形品の寸法を測定していることにほかならない。
したがって、相違点2は実質的な差異ではない。

5.3 <相違点3>について
NCプログラムを加工用データに基づいて、NCプログラム作成用コンピュータを用いて作成することは、例を挙げるまでもなく、本願の出願時において周知の技術であったため、刊行物1記載の発明においてもNCプログラム作成用コンピュータを備えることに困難性はなく、NCプログラム作成用コンピュータが金型の加工用データからNCプログラムを作成してこれを金型加工機に送り出すようにすることは、NCプログラム作成用コンピュータを備えることに伴う、当然の使用法に過ぎない。

5.4 <相違点4>について
システムを構成する各装置を通信回線をを介して接続し、互いにデータを送受信して制御することは、例を挙げるまでもなく、本願の出願時において既に周知の技術であり、刊行物1記載の発明においても各構成装置の間を通信回線を介して接続することは、当業者が容易に設計し得る。
なお、請求人は平成24年1月26日付意見書において、ガラス成形ではデータ通信に大いに工夫を必要とするため、ガラス成形に採用することは従来周知の技術ではない旨、主張している。しかしながら、本件発明には、データ通信に関して、ガラス成形に特有な構成を見いだすことはできないため、請求人の上記主張を採用することはできない。

5.5 <相違点5>について
刊行物1には、光学素子が所望の光学性能を達成しない場合に金型を再加工するための加工用データを算出することが記載されている。(摘記事項d参照。)光学素子の光学性能が、その形状寸法が所定の範囲内にあるか否かにより決定されることは当業者にとって周知の事項であるから、刊行物1記載の発明も、成形品の形状寸法を測定基準値にに対し許容誤差範囲内に収めるという、本件発明と共通する目的をもつものということができ、この目的に照らしてみると、金型を再び加工するための加工用データの算出にあたって、成形品の測定データと金型の測定データとを比較した値に加えて、成形品の測定データと成形品の測定基準値とを比較した値も考慮することは、当業者であれば容易に想到し得る。
NCプログラムを修正するための修正データを出力することは、5.3で述べたとおり、周知のNCプログラム作成用コンピュータによってNCプログラムを作成するのであるから、刊行物1記載の発明において金型を再び加工するための加工用データを出力することと実質的に違いはない。

5.6 <相違点6>について
刊行物1には、光学素子が所望の光学性能を達成していない場合に、金型の光学面の測定、光学素子の形状予測、金型を再加工するための加工用データの算出と再加工を繰り返すことが記載されている(刊行物1記載の事項ハ参照。)が、金型を再加工する度に成形と成形品の測定を繰り返すことも刊行物1には従来技術として記載されている(刊行物1記載の事項イ参照。)から、光学素子の形状を予測する代わりに成形を行って成形品を測定し、金型の測定データと成形品の測定データに基づいて金型を再び加工するためのデータを算出するようにすることは、当業者であれば容易に想到し得る。
なお、請求人は平成24年1月26日付意見書において、ガラス成形と樹脂製光学素子の成形の違いを挙げて、本件発明は容易に相当することができない旨、主張しているが、本件発明にはガラス成形に特有な構成を見いだすことはできないため、請求人の上記主張を採用することはできない。

5.7 本件発明の作用効果について
本件発明には、刊行物1記載の発明、刊行物1記載の事項及び刊行物2記載の事項、並びに従来周知の技術事項に基づいて普通に予測される範囲を超える格別な作用効果を見いだすことはできない。
したがって、本件発明は刊行物1記載の発明、刊行物1記載の事項及び刊行物2記載の事項、並びに従来周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は刊行物1記載の発明、刊行物1記載の事項及び刊行物2記載の事項、並びに従来周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
.
 
審理終結日 2012-03-05 
結審通知日 2012-03-06 
審決日 2012-03-21 
出願番号 特願2001-134247(P2001-134247)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渋谷 善弘土田 嘉一  
特許庁審判長 豊原 邦雄
特許庁審判官 長屋 陽二郎
藤井 眞吾
発明の名称 金型加工システム  
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