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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1257169
審判番号 不服2009-8243  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-16 
確定日 2012-05-17 
事件の表示 特願2005-347531「皮膚化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成19年6月21日出願公開、特開2007-153752〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、平成17年12月1日の出願であって、以降の手続の経緯は以下のとおりである。

平成20年10月31日付け 拒絶理由通知
平成21年1月9日 意見書
平成21年3月13日付け 拒絶査定
平成21年4月16日 審判請求書
平成21年7月8日 手続補正書(方式)
平成21年8月11日 上申書
平成21年8月12日 手続補足書
平成21年8月27日 上申書
平成21年8月28日 手続補足書


第2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明は、願書に最初に添附された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下「本願発明」という。なお、本願の明細書を、以下「本願明細書」という。)

「L-カルノシン及び2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩(DMAE)を夫々0.1?5.0質量%含有してなる皮膚化粧料。」

第3 原査定の理由の概要
原査定における拒絶の理由の概要は、本願発明は、その出願前に頒布された以下の引用文献1?2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとするものである。

1.特開平02-292215号公報
2.特開平04-187610号公報


第4 刊行物に記載された事項
1 刊行物1に記載された事項
本願の出願前である平成2年12月3日に頒布された刊行物である特開平2-292215号公報(上記「引用文献1」と同じ。以下、「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1a)「1.2-ジメチル-アミノエタノールと通常用いられる構成成分とを含有することを特徴とする外用薬剤。
2.2-ジメチル-アミノエタノールが、その塩もしくはそのエステルであることを特徴とする請求項1記載の外用薬剤。
3.2-ジメチル-アミノエタノールが、その炭酸塩、クエン酸塩、オロチン酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、アセトアミド安息香酸塩、もしくはコハク酸塩であることを特徴とする請求項1または2記載の外用薬剤。
4.外用薬剤の性状が、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、油、他の液体、ヘアローションまたは毛染め薬であることを特徴とする外用薬剤。
5.手入れ用の化粧品として用いることを特徴とする請求項1、2または3記載の外用薬剤の使用方法。
6.皮膚性状、皮膚構造もしくは皮膚伸縮性の改質用、または早期老齢化もしくはしわ形成防止用として用いることを特徴とする請求項5記載の外用薬剤の使用方法。」(特許請求の範囲)

(1b)「本発明は、2-ジメチル-アミノエタノール(以下、デアノールとする。)、特に2-ジメチル-アミノエタノールの塩またはエステルを含む外用薬剤およびその使用方法に関するものである。」(第1頁右欄第16?19行)

(1c)「デアノールの実際の生化学上の作用については、明らかにされていない。従って、これらの内用適用は主に経験に基づくものであるが、一部はコリン作動性の、一部は中枢神経系を興奮させる効果があると推量される。」(第2頁左上欄下から第3行?右上欄第2行)

(1d)「これらデアノールおよびその変性化合物は、外用適用することにより皮膚の性状に対し有利な影響を与えることができる。すなわち、皮膚の伸縮性または構造が改質され、早期老化もしくはしわの発生を防止することができるので、皮膚は全体として極めていきいきして、若く見えるようになる。」(第2頁右上欄下から第4行?左下欄第3行)

(1e)「(実施例1)
ローション100gの含有量


(実施例2)
スポーツまたはマッサージオイル100gの含有量


(実施例3)
ヘアローション100gの含有量


(実施例4)
軟膏100gの含有量


(実施例5)
クリームの100gの含有量

」(第2頁右下欄?第3頁左下欄)


2 刊行物2に記載された事項
本願の出願前である平成4年7月6日に頒布された刊行物である特開平4-187610号公報(上記「引用文献2」と同じ。以下、「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(2a)「カルノシン、アンセリン、バレニン又はこれらの酸付加塩を化粧料基剤に配合してなることを特徴とする化粧料。」(特許請求の範囲)

(2b)「本発明は、酸化防止効果を有するカルノシン、アンセリン、バレニン又はこれらの酸付加物を有効成分としてなる化粧料に関する。」(第1頁左欄第9?11行)

(2c)「一方、化粧品においてコラーゲンのようなタンパク質性の素材やヒアルロン酸のような多糖類にアスコルビン酸塩を配合した場合、酸化防止のために加えられたはずのアスコルビン酸は微量の金属の存在下では過酸化水素を発生し逆に酸化作用を引き起こす。この酸化作用により低分子化がおこり品質を著しく低下させることがある。この防止のために合成の抗酸化剤が用いられるが、安全性の面から問題が多い。そのため、これら物質にかわるものが望まれている。
タンパク質が酸化を受けると、その分子は分解したり、逆に高分子化を引き起こす。また、その構成成分であるアミノ酸にうち、ヒスチジンやトリプトファンが特異的に損傷を受け、タンパク質分子内のアルデヒド基量の増加することも報告されている。このような酸化反応による傷害が細胞や組織における老化を促進もしくは老化の引金となる考えられている。それ故、このようなタンパク質の酸化反応を防止することが出来れば皮膚の老化を防止することが出来、皮膚の弾力、柔軟性を増加せしめ、且つ、肌荒れ、小じわ、サメ肌、シミ、ソバカスの予防にも効果的な化粧料を提供することが可能であり、極めて有意義である。
[発明が解決しようとする課題]
このような実状に鑑み、本発明者らは、安全性が高く、かつ有効性の高い化粧料を提供すべく鋭意研究を行った結果、カルノシン、アンセリン、バレニンがタンパク質の酸化反応に対し優れた酸化防止効果を有することを見いだした。そしてこれら化合物を用いることにより、ここに、皮膚の老化防止及び化粧料中のタンパク質の安定化のために有用な方法を見いだし、本発明を完成するに至った。」(第2頁左上欄第16行?右上欄下から第3行)

(2d)「ところが、発明者らが、カルノシン、アンセリン、バレニンのタンパク質に対する酸化防止効果について実験を行なったところ、予想外にも優れた効果を有することを見いだした。」(第2頁右下欄第5?8行)

(2e)「カルノシン(β-アラニル-L-ヒシチジン)、アンセリン(β-アラニル-L-1-メチルヒスチジン)、バレニン(β-アジニル-L-3-メチルヒスチジン)は、哺乳類、鳥類、は虫類、両生類などの筋肉組織中に存在するジペプチドであり、既に公知の物質である。」(第2頁左下欄第7?12行)

(2f)「本発明でいう化粧料の形態としては、粉末状、半固形、ペースト状あるいは液状等すべての化粧料の形態を含む。
また、化粧料には、化粧水、乳液、クリーム、ローション、パウダー等の基礎化粧品、口紅等のメイクアンプ化粧品、ヘアトニック、ヘアスプレイ、ヘアクリーム、洗顔クリーム、シャンプー等が含まれる。」(第3頁左上欄第13行?最終行)

(2g)「これら化粧料の製造方法としては、化粧料製造における通常の方法を使用することができる。また、その配合量は化粧料の形態性状ににより異なるが、一般には0.01?50%が好ましいが、特に限定されるものではない。」(第3頁右上欄第1?5行)


第5 当審の判断
1 刊行物1に記載された発明
刊行物1の上記摘記事項(1a)には、請求項1として、「2-ジメチル-アミノエタノールと通常用いられる構成成分とを含有することを特徴とする外用薬剤」の発明が記載されているところ、「2-ジメチル-アミノエタノール」について、請求項2として、「その塩もしくはそのエステルである」こと、請求項3として、「その・・・、酒石酸塩、・・・である」ことが記載されている。さらに、請求項5には、「請求項1、2または3記載の外用薬剤」について「手入れ用の化粧品として用いる」こと、請求項5を引用する請求項6には、「皮膚性状、皮膚構造もしくは皮膚伸縮性の改質用、または早期老齢化もしくはしわ形成防止用として用いる」ことが記載されているから、刊行物1には、

「2-ジメチル-アミノエタノールの酒石酸塩と通常用いられる構成成分とを含有する、皮膚性状、皮膚構造もしくは皮膚伸縮性の改質用、または早期老齢化もしくはしわ形成防止用の手入れ用の化粧品として用いる外用薬剤」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。


2 本願発明と引用発明との対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「2-ジメチル-アミノエタノールの酒石酸塩」は、本願発明の「2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩(DMAE)」に相当するといえる。

また、引用発明の「皮膚性状、皮膚構造もしくは皮膚伸縮性の改質用、または早期老齢化もしくはしわ形成防止用の手入れ用の化粧品として用いる外用薬剤」は、本願発明の「皮膚化粧料」に相当するといえる。

したがって、両者は、
「2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩(DMAE)を含有してなる皮膚化粧料。」
という点で一致するが、以下の点で相違する。

相違点1:「2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩(DMAE)」の配合量について、本願発明では、「0.1?5.0質量%」であるのに対し、引用発明では、その配合量が規定されていない点。

相違点2:「皮膚化粧料」に、本願発明では、「L-カルノシン」を「0.1?5.0質量%」配合するのに対し、引用発明では、「L-カルノシン」について規定されていない点。

(2)判断
(ア)相違点1について
刊行物1の上記摘記事項(1d)の実施例1?5には、上記摘記事項(1b)と併せてみると、それぞれローション、スポーツまたはマッサージオイル、ヘアローション、軟膏、クリームの100g中に、「2-ジメチルアミノエタノール」の塩である「デアノール-オロチン酸塩」を0.50?1.00g、すなわち、0.50?1.00質量%配合することが記載されているから、引用発明において、同じく「2-ジメチルアミノエタノール」の塩である「2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩(DMAE)」について、その配合量を最適化し、「0.1?5.0質量%」とすることは、格別なこととはいえず、当業者が適宜に決定し得る範囲のものといえる。

(イ)相違点2について
引用発明の「手入れ用の化粧品として用いる外用薬剤」は「通常用いられる構成成分」を含有するものであり、刊行物1の上記摘記事項(1d)には、実施例1の「ローション」及び実施例2の「スポーツまたはマッサージオイル」は、皮膚に適用されるものであり、「デアノール-オロチン酸塩」とともに「酸化防止剤」を配合するものであるから、上記摘記事項(1b)と併せてみると、引用発明の「手入れ用の化粧品として用いる外用薬剤」は、「2-ジメチルアミノエタノール」の塩とともに、酸化防止剤等を配合できるものといえる。

刊行物2の上記摘記事項(2a)?(2f)には、「カルノシン」を「化粧水、乳液、クリーム、ローション、パウダー等の基礎化粧品、口紅等のメイクアンプ化粧品、ヘアトニック、ヘアスプレイ、ヘアクリーム、洗顔クリーム、シャンプー」等の「化粧料」に配合すること、「カルノシン」は「タンパク質に対する酸化防止効果」を有すること、「タンパク質の酸化反応を防止することが出来れば皮膚の老化を防止することが出来、皮膚の弾力、柔軟性を増加せしめ、且つ、肌荒れ、小じわ、サメ肌、シミ、ソバカスの予防にも効果的」であることが記載されている。上記摘記事項(2e)によれば、「カルノシン」は、「β-アラニル-L-ヒシチジン」(当審注:「ヒシチジン」は「ヒスチジン」の誤記であると認められる。)であり、「カルノシン」のD体、L体の区別はヒスチジンの立体異性によるから、「L体」であるといえる。

そして、引用発明も、刊行物2に記載された発明も、皮膚の老化の防止等を目的とするものであり、化粧品の分野において同様の作用・効果を有する物質を複数併用することがごく普通に行われていることに鑑みれば、引用発明において、「酸化防止効果」を有する「L-カルノシン」を配合することは当業者が容易に想到し得たことといえる。

また、その際の「L-カルノシン」の配合量を「0.1?5.0質量%」の範囲とすることについて、刊行物2の上記摘記事項(2f)には「一般には0.01?50%が好ましい」と記載されており、また、本願明細書をみても「L-カルノシン」の配合量を「0.1?5.0質量%」に限定したことによる技術的意義について実施例・比較例により実証されていないから、「L-カルノシン」の配合量を「0.1?5.0質量%」の範囲とすることは当業者が適宜に設定し得る事項であるといえる。

(ウ)本願発明の効果について
本願発明の効果について、本願明細書の段落【0006】には、「本発明では、L-カルノシン及び2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩(DMAE)の持つ作用の相乗により、皮膚の張りを保ち、皺、たるみを減少できる」と記載されている。
しかしながら、刊行物1の上記摘記事項(1d)には、「2-ジメチル-アミノエタノール」の効果について、「皮膚の伸縮性または構造が改質され、早期老化もしくはしわの発生を防止することができるので、皮膚は全体として極めていきいきして、若く見えるようになる」と記載されており、刊行物2の上記摘記事項(2c)には、「カルノシン、・・・がタンパク質の酸化反応に対し優れた酸化防止効果を有する」こと、「タンパク質の酸化反応を防止することが出来れば皮膚の老化を防止することが出来、皮膚の弾力、柔軟性を増加せしめ、且つ、肌荒れ、小じわ、サメ肌、シミ、ソバカスの予防にも効果的な化粧料を提供することが可能で」あることが記載されているから、本願発明の効果は、刊行物1?2から当業者が予測できる程度のものといえる。

また、本願明細書の段落【0010】には、「本発明皮膚化粧料の作用の根拠は、明確ではない」が、推定できる作用として、「(抗酸化作用)L-カルノシンの持つ抗酸化作用により、フリーラジカルによる皮膚のコラーゲン層の破壊を防ぐ。(糖の代謝の促進作用)体内で代謝されずに蓄積した糖が皮膚のコラーゲンと結合して、コラーゲン線維の持つ伸縮性を阻害し、老人斑や皺ができ易くなる。L-カルノシンは糖の代謝を促進し、コラーゲンとの結合を防ぎ、老人斑や皺をでき難くする。(筋肉収縮機能の向上作用)2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩(DMAE)は、アセチルコリンの前駆体であり、皮膚から吸収された時、アセチルコリン受容体を阻害し、筋肉収縮機能を高める」ことが記載されている。
しかしながら、刊行物2の上記摘記事項(2c)には、「カルノシン」がコラーゲン等の「タンパク質の酸化反応に対し優れた酸化防止効果を有する」こと、「タンパク質の酸化反応を防止することが出来れば皮膚の老化を防止することが出来、・・・、シミ、ソバカスの予防にも効果的な化粧料を提供することが可能で」あることが、刊行物1の上記摘記事項(1c)には、「2-ジメチル-アミノエタノール」の作用について、「これらの内用適用は主に経験に基づくものであるが、一部はコリン作動性の、一部は中枢神経系を興奮させる効果があると推量される」ことが記載されているから、本願明細書の段落【0010】に記載された本願発明の作用についても、刊行物1?2から当業者が予測できる程度のものといえる。

3 請求人の主張
請求人は、平成21年1月9日付け意見書において、「神奈川県環境科学センター 環境情報部のホームページ」を添付して、「本願発明では、2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩にL-カルノシンを加えれば2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩が高濃度でも皮膚への刺激が緩和されるこという新知見に基づいて完成しました。これは2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩が酸性であるのに対し、L-カルノシンはアルカリ性であるため全体的にpHが調整されるからだと思われます」、「いずれの引用文献にも、2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩を化粧品に使用するという記載がないだけでなく、皮膚の張りを保ち、皺、たるみを減少する効果を維持しつつ皮膚への刺激を弱くするという本願発明の目的すら記載されていません」と主張する。
しかしながら、「L-カルノシンを加えれば2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩が高濃度でも皮膚への刺激が緩和される」ことは本願明細書には何ら記載されていないし、「神奈川県環境科学センター 環境情報部のホームページ」に記載されているのは、「2-ジメチルアミノエタノール」自体が皮膚への刺激性があることを示すのみであって、例えば、「2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩」を「0.1?5.0質量%」の範囲の配合量で皮膚に適用した場合に刺激性があることまでの記述はないから、この主張を採用することはできない。

また、請求人は、平成21年4月16日付け審判請求書に対する平成21年7月8日付け手続補正書(方式)において、「本願発明は、試行錯誤の上、酸性の2-ジメチルアミノエタノールの酒石酸塩にアルカリ性のカルノシンを加えてもそれぞれが持つ効能を打ち消しあうことがなく、さらに2-ジメチルアミノエタノールの酒石酸塩のもつ皮膚刺激を緩和できるという新知見に到達し、これに基づき発明したものです」と主張し、さらに、平成21年8月12日付け手続補足書において、資料1として、「Britishh Journal of Dermatology 2007 156」pp433-439、資料2として、「皮膚貼付試験判定表」を提出し、さらに、平成21年8月28日付け手続補足書において、上記資料1の翻訳文を提出している。
しかしながら、上述したように、「L-カルノシンを加えれば2-ジメチルアミノエタノール重酒石酸塩が高濃度でも皮膚への刺激が緩和される」ことは本願明細書には何ら記載されていない。また、資料2は、「酒石酸ジメチルアミノエタノール」と「カルノシン」を含む混合液に皮膚刺激性がないことを示したのみであり、「酒石酸ジメチルアミノエタノール」と「カルノシン」を含む混合液が、「酒石酸ジメチルアミノエタノール」単独のものや「カルノシン」単独のものに比べて、皮膚刺激性の低減やその他の格別な効果が奏せられることを示したものではない。資料1も、「ジメチルエタノールアミン(DMAE)」単独のものの表皮や繊維芽細胞に対する作用・効果を示すのみであり、「ジメチルエタノールアミン(DMAE)」に「カルノシン」を添加することにより「2-ジメチルアミノエタノールの酒石酸塩のもつ皮膚刺激を緩和できる」ことを示すものではなく、さらに、本願発明の効果が、引用発明及び刊行物2から予測されるものを超えて、格別顕著であることを示すものではない。


第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1?2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余のことについて検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-19 
結審通知日 2012-03-21 
審決日 2012-04-05 
出願番号 特願2005-347531(P2005-347531)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福井 美穂  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 杉江 渉
齊藤 真由美
発明の名称 皮膚化粧料  
代理人 牧 哲郎  
代理人 菊谷 公男  
代理人 牧 レイ子  

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