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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1257452 |
審判番号 | 不服2009-19738 |
総通号数 | 151 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-15 |
確定日 | 2012-05-22 |
事件の表示 | 特願2003-288282「適応型文脈依存解析」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月 4日出願公開、特開2004- 70959〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成15年8月6日(パリ条約による優先権主張平成14年8月6日、アメリカ合衆国)を出願日とする出願であって、平成19年12月17日付けで拒絶理由が通知され、平成20年6月19日付けで手続補正がなされたが、平成21年6月8日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年10月15日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年10月15日付けの手続補正書により、当該補正前の請求項2に係る発明の明瞭でない記載の釈明を目的として補正された、特許請求の範囲の請求項2に記載された以下のとおりのものと認める。 「【請求項2】 プロセッサと、 該プロセッサと接続される格納デバイスとを備えるシステムであって、前記プロセッサは、前記格納デバイスに記憶された命令により、 言語の一つ以上のワードを音声表示した入力データに類似する少なくとも1つのドキュメントを見出すことを、前記言語で書かれた前記少なくとも1つのドキュメントの文字列(テキスト)及び前記入力データに基づいて実行し、 前記少なくとも1つのドキュメントにあらわれる文字列(テキスト)の重み付けリストを含むカスタマイズされた辞書を作成し、 前記重み付けリストに基づいて、前記入力データを前記言語の1つ以上の書き文字(written characters)の表示に変換する、 ことを実行する前記システム。」 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-45241号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 あ.「【0007】本発明は上記に鑑みてなされたものであって、作成中の文書および作成中の文書に類似する文書から抽出した名詞句を重要度に応じて並べた名詞句リストを生成し、生成した名詞句リストをかな漢字変換に利用することにより、変換精度のさらなる向上を図ることを目的とする。 【0008】また、本発明は上記に鑑みてなされたものであって、上記名詞句リストを利用することにより、辞書にない新規なことばをかな漢字変換する際の変換精度の向上を図ることを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1のかな漢字変換システムは、キーボード等の入力装置からかな漢字変換対象となる読み文字列を入力し、入力した読み文字列をかな漢字混じり文字列に変換するかな漢字変換システムにおいて、予め複数の文書を記憶した文書記憶手段と、前記変換したかな漢字混じり文字列からなる作成中の文書に類似する類似文書を前記文書記憶手段から検索する類似文書検索手段と、前記作成中の文書および類似文書を一つの文書に統合して統合文書を生成する統合文書生成手段と、前記統合文書生成手段で生成した統合文書から名詞および名詞句を抽出し、重要度の高い順に名詞句リストを生成する名詞句リスト生成手段と、前記入力した読み文字列をかな漢字混じり文字列に変換する際に、前記名詞句リストに基づいて、かな漢字変換の候補の表示順序を決定するかな漢字変換手段と、を備えたものである。」 い.「【0013】図1は、本実施の形態のかな漢字変換システムのハードウエア構成を示すブロック構成図である。図1において、100はCPUを、101はROMを、102はRAMを、103はかな漢字変換処理を行うかな漢字変換ソフト104を格納したハードディスク装置を、105はキーボード,マウス等の入力装置を、106はCRT等のディスプレイを、107は上記各部を接続するバスをそれぞれ示している。 【0014】なお、図示は省略するが、バス107には、さらに、フロッピーディスクドライブ装置や、CD-ROMドライブ装置、ネットワークを介して情報の送受信を行うための通信装置等を接続することができる。 【0015】図2は、かな漢字変換ソフト104の処理を示す概略ブロック図である。かな漢字変換ソフト104は、作成中の文書201を入力し、品詞等の情報を格納した辞書200aおよび文法ルールを格納した文法辞書200bを用いて文書201の解析処理を行い、文書201から名詞または名詞句を抽出し、名詞句リスト203を生成する自然言語処理モジュール200と、自然言語処理モジュール200で生成した名詞句リスト203に基づいて、文書201に類似する類似文書を検索する類似文書検索エンジン206と、文書201および類似文書検索エンジン206で検索した類似文書を一つの文書に統合して統合文書208を生成する統合文書生成モジュール207と、自然言語処理モジュール200で生成した統合文書208の名詞句リスト203に基づいて、統合文書208中の名詞句の重要度を判定し、各名詞句を重要度に応じて配列したランキングリスト205を生成するランキングエンジン204と、ランキングエンジン204で生成したランキングリスト205に基づいて、かな漢字変換処理を行うかな漢字変換部209と、を備えている。」 う.「【0022】かな漢字変換ソフト104の自然言語処理モジュール200は、作成中の文書201に読み文字列からかな漢字変換されたかな漢字混じり文が追加されると(S401)、作成中の文書201を入力し、作成中の文書201の名詞句リスト203を生成する(S402)。すなわち、文書201を入力し、品詞等の情報を格納した辞書200aおよび文法ルールを格納した文法辞書200bを用いて、形態素解析,主要な語または句の識別,意味情報の付与,構文解析,参照表現の解析,同一指示物の判定等の処理を行う。そして、解析処理の結果を用いて、文書201から名詞または名詞句を抽出し、名詞句リスト203を出力する。 【0023】類似文書検索エンジン206は、自然言語処理モジュール200から名詞句リスト203を入力し、上述したようにして作成中の文書201の類似文書を検索し、検索した類似文書のリストを統合文書生成モジュール207に出力する(S403)。 【0024】統合文書生成モジュール207は、類似文書検索エンジン206から入力した類似文書のリストに該当する保存文書300を入力すると共に、作成中の文書201を入力し、入力した保存文書300および作成中の文書201を一つの文書に統合した統合文書208を生成する(S404)。なお、上記類似文書検索エンジン206による検索においては、複数の類似文書が検索結果として得られることがある。このような場合であっても、複数の類似文書、即ち、複数の保存文書300および作成中の文書201からなる統合文書208が生成される。 【0025】統合文書生成モジュール207で統合文書208が生成されると、自然言語処理モジュール200は、生成された統合文書208を入力し、作成中の文書201の名詞句リスト203を生成したようにして、統合文書208の名詞句リスト203を生成する(S405)。 【0026】続いて、ランキングエンジン204は、自然言語処理モジュール200から入力した統合文書208の名詞句リスト203中の各名詞句について、統合文書208中での重要度に応じた重み付け処理、各名詞句に対する重み付けの結果を用いて統合文書208中の各名詞句の重要度を判定する処理、および重要度の高い名詞句が上位となるように各名詞句にランキング付けを行う処理を行い、ランキングに応じてセンテンスを並び替えたランキングリスト205を生成する(S406)。 【0027】かな漢字変換部209は、ランキングエンジン204で生成したランキングリスト205に基づいて、読み文字列の変換候補の決定や優先順位の決定を行う。すなわち、ランキングリスト205を、作成中の文書201の全体的な言葉の出現状況や作成中の文書201を特徴づける語彙空間として利用することにより、かな漢字変換効率の向上を図る。」 え.「【0031】さらに、本実施の形態で説明したかな漢字変換システムは、予め用意されたプログラムをコンピュータやワークステーションで実行することによって実現される。このプログラムは、ハードディスク,フロッピーディスク,CD-ROM,MO,DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、上記記録媒体を介して、またはネットワークを介して配布することができる。」 ここで、上記各記載事項を各種常識に照らせば、以下のことがいえる。 (あ)上記記載事項中の「かな漢字変換システム」は、「類似文書検索エンジン」により、「入力した読み文字列」に基づいて作成している「作成中の文書」に類似する「類似文書」を、予め複数の文書を記憶した「文書記憶手段」から検索するから、該「かな漢字変換システム」は、「言語の1つ以上のワードを入力した読み文字列に類似する少なくとも1つの類似文書を見出すことを、前記少なくとも1つの文書の文字列及び前記入力した読み文字列に基づいて実行」する機能を有している。 (い)上記記載事項中の「かな漢字変換システム」は、「ランキングエンジン」により、上記(あ)のような機能により見出された少なくとも1つの文書(を統合した文書)にあらわれる「名詞または名詞句」に対する重み付けの結果を用いた、語彙空間すなわちカスタマイズされた辞書として利用する「ランキングリスト」を作成するから、該「かな漢字変換システム」は、「前記少なくとも1つの文書にあらわれる文字列の重み付けリストを含むカスタマイズされた辞書を作成」する機能を有している。 (う)上記記載事項中の「かな漢字変換システム」は、「かな漢字変換部」により、上記(い)のような機能により作成された重み付けリストに基づいて、「入力した読み文字列」を「かな漢字混じり文字列」に変換するから、該「かな漢字変換システム」は、「前記重み付けリストに基づいて、前記入力した読み文字列を1つ以上のかな漢字混じり文字列に変換」する機能を有している。 したがって、引用例には 「CPUと、 該CPUと接続される記録媒体とを備えるかな漢字変換システムであって、前記CPUは、前記記録媒体に記録されたプログラムにより、 言語の1つ以上のワードを入力した読み文字列に類似する少なくとも1つの類似文書を見出すことを、前記言語で書かれた前記少なくとも1つの文書の文字列及び前記入力した読み文字列に基づいて実行し、 前記少なくとも1つの文書にあらわれる文字列の重み付けリストを含むカスタマイズされた辞書を作成し、 前記重み付けリストに基づいて、前記入力した読み文字列を前記言語の1つ以上のかな漢字混じり文字列に変換する、 ことを実行するかな漢字変換システム。」 の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 4.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 (1)引用発明の「かな漢字変換システム」、「CPU」、「記録媒体」、「プログラム」、および「文書」はそれぞれ、本願発明の「システム」、「プロセッサ」、「格納デバイス」、「命令」、および「ドキュメント」に相当する。 (2)引用発明の「入力した読み文字列」と本願発明の「入力データ」とは、システムの利用者により入力される、「入力データ」である点で共通する。 (3)引用発明の「かな漢字混じり文字列」は、「入力データ」(入力した読み文字列)に対応する実際の書き文字として表示されるべく変換された文字列であるから、本願発明の「書き文字の表示」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「プロセッサと、 該プロセッサと接続される格納デバイスとを備えるシステムであって、前記プロセッサは、前記格納デバイスに記憶された命令により、 言語の一つ以上のワードを入力した入力データに類似する少なくとも1つのドキュメントを見出すことを、前記言語で書かれた前記少なくとも1つのドキュメントの文字列及び前記入力データに基づいて実行し、 前記少なくとも1つのドキュメントにあらわれる文字列の重み付けリストを含むカスタマイズされた辞書を作成し、 前記重み付けリストに基づいて、前記入力データを前記言語の1つ以上の書き文字の表示に変換する、 ことを実行する前記システム。」 (相違点) 本願発明のシステムが扱う「入力データ」は、「音声表示した入力データ」であるのに対し、引用発明のシステムが扱う「入力データ」(入力した読み文字列)は、「音声表示した入力データ」ではない点。 5.判断 上記相違点について検討する。 情報処理分野において、音声入力可能なシステム(「音声表示した入力データ」を処理可能なシステム)は文献を挙げるまでもなく周知であるし、引用発明においても当該周知の音声入力機能を設けることができない理由もないから、引用発明のシステムが扱う「入力データ」(入力した読み文字列)を、「音声表示した入力データ」とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。 (効果について) 本願発明の奏する効果は、引用発明及び上記周知の事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものということはできない。 6.まとめ したがって、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7.むすび 以上のとおり、本願発明は引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-12-20 |
結審通知日 | 2011-12-26 |
審決日 | 2012-01-06 |
出願番号 | 特願2003-288282(P2003-288282) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 537- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 成瀬 博之 |
特許庁審判長 |
長島 孝志 |
特許庁審判官 |
加内 慎也 石川 正二 |
発明の名称 | 適応型文脈依存解析 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 熊倉 禎男 |