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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01B
管理番号 1257609
審判番号 不服2010-3463  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-17 
確定日 2012-05-30 
事件の表示 特願2003-533291「内蔵受動素子用電極としてのニッケルめっき銅」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 4月10日国際公開、WO03/30186、平成17年 9月29日国内公表、特表2005-529448〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年9月13日(パリ条約による優先権主張 2001年10月4日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成21年11月10日付けの拒絶査定に対して、平成22年2月17日に審判請求がされ、当審において平成23年7月22日付けで拒絶理由を通知したところ、同年10月25日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
そして、その発明は、上記の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されるものと認められるところ、補正後の特許請求の範囲の記載は、次のとおりのものである(一部、省略している。)。

「【請求項1】 両面を有し、当該両面のうちの片面または両面が電気化学研摩処理又は機械研摩処理が施され、粗さ形状の中心線からの全絶対距離の平均値である平均粗さRaが1?10μm、5ヶ所の連続した試料長さの谷部高さに対する平均最大頂点Rzが2?10μmの平滑さとなるまで研摩された銅箔と、前記銅箔の研摩処理が施された面に設けられた厚さ0.1μm?5μmのニッケル層とからなる電子受動素子の電極又は電子受動素子を製造するための導電性基板。
【請求項2】 銅箔の片面または両面に、粗化処理を施された、請求項1に記載の導電性基板。
【請求項3】 銅箔の片面または両面に、銅またはニッケルのコブが設けられた、請求項1に記載の導電性基板。

【請求項6】 銅箔の片面または両面に、大きさが1.02?5.08μm(40?200マイクロインチ)である銅またはニッケルのコブが設けられた、請求項1に記載の導電性基板。
【請求項7】 銅箔の片面または両面に、大きさが1.02?3.81μm(40?150マイクロインチ)である銅またはニッケルのコブが設けられた、請求項1に記載の導電性基板。

【請求項11】 両面を有する銅箔を形成し、この両面のうちの片面または両面を、電気化学研摩処理又は機械研摩処理し、粗さ形状の中心線からの全絶対距離の平均値である平均粗さRaが1?10μm、5ヶ所の連続した試料長さの谷部高さに対する平均最大頂点Rzが2?10μmの平滑さとなるまで研摩し、前記銅箔の研摩処理が施された面に厚さ0.1μm?5μmのニッケル層を析出させる、電子受動素子の電極又は電子受動素子製造用の導電性基板の製造方法。
【請求項12】 銅箔両面のうちの片面または両面に、粗化処理するものである、請求項11に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項13】 銅箔両面のうちの片面または両面に、銅またはニッケルのコブが設けられた、請求項11に記載の導電性基板の製造方法。

【請求項16】 銅箔の片面または両面に、大きさが1.02?5.08μm(40?200マイクロインチ)である銅またはニッケルのコブが設けられた、請求項11に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項17】 銅箔の片面または両面に、大きさが1.02?3.81μm(40?150マイクロインチ)である銅またはニッケルのコブが設けられた、請求項11に記載の導電性基板の製造方法。
…」

第2 当審拒絶理由
当審で通知した拒絶理由は、この出願の特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない、との理由を含む。
そして、その具体的な理由の一つは、拒絶理由通知の「記」に「2」として示す以下のものである。

「請求項1に記載の「平滑さとなるまで研磨された」と、請求項2,3,6,7に記載の「粗化処理」又は「コブ」との関連について、
・所定のRa、Rzに平滑化された面に粗化処理又はコブ形成がされているのか、その際Ra、Rzは保持されるのか否か
・所定のRa、Rzに平滑化された面以外の面に粗化処理又はコブ形成がされているのか
・粗化処理又はコブ形成した面を研磨して所定のRa、Rzとされるのか、その際コブの大きさは所定の大きさに保持されるのか否か
・上記のいずれの場合であってもよいのか
発明の詳細な説明の記載を参酌しても不明である。
したがって、請求項2,3,6,7に係る発明は、明確でない。
請求項12,13,16,17と請求項11との関連においても同様に不明であるから、請求項12,13,16,17に係る発明も、明確でない。
また、上記の請求項に係る発明は、明確でないから、発明の詳細な説明に記載したものであるのか把握することができない…」

第3 当審の判断
1 明確性(特許法第36条第6項第2号)についての判断
ア 請求項1に記載された発明は、片面または両面に、所定のRa及びRzの平滑さとなるまで「電気化学研摩処理又は機械研摩処理」(以下、「研磨処理」という。)を施された銅箔の、研磨処理が施された面にニッケル層を設けた導電性基板に係るものである。
したがって、請求項1に係る発明は、所定のRa及びRzとの平滑さとなるまで研磨処理を施された銅箔の研磨面にニッケル層を設けた導電性基板を特定事項とするものであり、明確である。

イ これに対して、請求項2に記載された発明は、銅箔の片面または両面に、粗化処理を施された請求項1に記載の導電性基板に係る発明であるから、例えば研磨処理と粗化処理とが銅箔の両面にされる場合、銅箔の表面に所定のRa及びRzとなる研磨処理と、粗化処理とが施されたものといえる。
そうすると、請求項2に係る発明は、ニッケル層を設けた銅箔の面が、研磨処理及び粗化処理をされた状態で所定のRa及びRzである(研磨処理による所定のRa及びRzが粗化処理にかかわらず維持される)発明であるのか、粗化処理により、研磨処理により所定のRa及びRzでない(研磨処理による所定のRa及びRzが粗化処理によって変化する)発明であるのか、または、どちらでもよい発明であるのか、明確でない。
なお、どちらでもよい発明は、後記「2」に示すように、発明の詳細な説明に記載された発明でない。

ウ 請求項3,6,7に記載された発明は、銅箔の片面または両面にコブが設けられた(以下、「コブ付け処理」という。)請求項1に記載の導電性基板に係る発明である。
そして、コブ付け処理は、後記「2 ア」に示す発明の詳細な説明の記載(b),(d)によると、粗化処理の一つであって、請求項1に記載の所定のRa及びRzとする研磨処理とは別異の処理であるから、請求項3,6,7に係る発明も、例えば研磨処理とコブ付け処理とが銅箔の両面にされる場合、銅箔の表面に所定のRa及びRzとなる研磨処理と、粗化処理であるコブ付け処理とが施されたものといえる。
そうすると、上記「イ」と同様の理由により、請求項3,6,7に係る発明も、ニッケル層を設けた銅箔の面が所定のRa及びRzである発明であるのか、そうでないのか、どちらでもよい発明であるのか、明確でない。

エ 請求項11に記載された発明は、銅箔の片面または両面に所定のRa及びRzの平滑さとなるまで研磨処理を施し、研磨処理が施された面にニッケル層を析出させる導電性基板の製造方法に係る発明であり、明確である。

オ これに対して、請求項12に記載された発明は、銅箔の片面または両面に、粗化処理する、請求項11に記載の導電性基板の製造方法に係る発明であり、例えば研磨処理と粗化処理とを銅箔の両面にする場合、銅箔の表面に、所定のRa及びRzとなる研磨処理と粗化処理とを、順序を規定することなく施すものである。
ところが、研磨処理と粗化処理とは、その処理の順序によって、ニッケル層を析出させる銅箔の面の表面構造が異なると認められるから、請求項12に係る発明は、どのような表面構造の銅箔の面にニッケル層を析出させる発明であるのか、明確でない。

カ 請求項13,16,17に記載された発明は、銅箔の表面または片面にコブが設けられた、請求項11に記載の導電性基板の製造方法に係る発明であり、例えば研磨処理とコブ付け処理とを銅箔の両面にする場合、銅箔の表面に、所定のRa及びRzとなる研磨処理と粗化処理であるコブ付け処理とを、順序を規定することなく施すものである。
そうすると、上記「オ」と同様の理由により、請求項13,16,17に係る発明も、どのような表面構造の銅箔の面にニッケル層を析出させる発明であるのか、明確でない。

キ 以上のとおりであるから、請求項2,3,6,7,12,13,16,17に係る発明は明確でない。

2 サポート要件(特許法第36条第6項第1号)についての判断
ア 発明の詳細な説明には、請求項1に記載の「Ra」、「Rz」に関して、以下の(c)が記載されており、請求項2,3,6,7,12,13,16,17に記載の「粗化処理」、「コブ付け処理」に関して、以下の(a)、(b)、(d)、(e)が記載されている(下線は、当審で付した。)。

(a)「【0006】
本発明は、両面を有し、当該両面のうちの片面または両面に電気化学研摩処理、機械研摩処理、または粗化処理が任意に施された銅箔と、前記両面の各面に設けられたニッケル層とからなる導電性基板を提供するものである。
【0007】
本発明はまた、両面を有する銅箔を形成し、当該両面のうちの片面または両面に任意に電気化学研摩処理、機械研摩処理、または粗化処理を施し、両面それぞれにニッケル層を析出付着させてなる、導電性基板の製造方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
その片面または両面に任意に電気化学研摩処理、機械研摩処理、または粗化処理が施された、両面を有する銅箔と、当該両面に施されたニッケル層とからなる導電性基板を用意した。」

(b)「【0012】
箔表面に改変を加えて、内蔵受動素子の性能を高めることが可能である。粗い方の表面を用いて、箔への内蔵受動素子の密着性を助長する必要がある場合や、その後の、箔へのプリント基板の密着性を助長する必要がある場合は、箔への密着性促進剤となる、当該分野で知られている接合増強処理で当該箔に前処理を施してもよい。この点、ニッケルまたは銅のコブ付け処理は、箔の片面または両面に対して行なえる。銅またはニッケル等の金属または合金の微小コブを電着させることによる一つの粗化技術を用いれば、箔への密着性が向上する。このことは、特許文献1?3に従って行うことができ、これらを参考文献としてここに記載した。コブの寸法範囲は、1.02?5.08μm(約40マイクロインチから約200マイクロインチ)とすることができ、更に好ましくは、1.02?3.81μm(約40マイクロインチから約150マイクロインチ)とすることができる。」

(c)「【0014】
箔表面の微細構造は、オハイオ州、シンシナチのマー・ファインプリュフ社(Mahr Feinpruef Corporation)から発売されているパーソメータ(Perthometer)のM4PモデルまたはS5Pモデル等の表面計で計測される。波形部表面の粒子構造の形状測定は、イリノイ州 60062、ノースブルック、2115 サンダースロードのインターコネクティング・アンド・パッケージング・サーキッツ協会(Institution for Interconnecting and Packaging Circuits)の工業規格IPC-TM-650 セクション2.2.17に従って行なわれた。この測定に当たっては、試料表面の測定長さImが選択される。Rzは、測定長さIm(ここで、IoはIm/5)内の5ヶ所の連続した試料長さの谷部高さに対する平均最大頂点と定義される。Rtは、測定長さImの最大粗度深さであるとともに、山部の最も高い部分と谷部の最も低い部分との間の最大垂直方向距離でもある。Rpは、測定長さIm内の平らな部分の最大深さであるとともに、山部の最も高い部分の高さでもある。Ra、または平均粗さは、測定長さIm内で粗さ形状の中心線からの全絶対距離を計算した平均値である。本発明の重要なパラメータは、RzとRaである。表面処理を行ない、波形部を有する表面構造を作製するのであるが、これにより粗さのパラメータを、Raが約1?約10μm、Rzが約2?約10μmの範囲となるようにする。」

(d)「【0022】
電極の製造には、以下の諸工程を含む。
a)銅塩溶液から銅を回転式金属ドラムに電着させるか、または銅インゴットを圧延することによって銅箔を製造し、その後焼きなます工程と、
b)箔の片面または両面を、機械研摩処理か、またはコブ付の接合強化層等の粗化処理で任意に処理する工程と、
c)電気化学研摩か機械研摩にて、箔の片面または両面を任意に改変して表面の平滑さを向上させる工程と、
d)銅箔の片面または両面にニッケル層を被覆する工程と、
e)レジスタ、キャパシタ、またはインダクタの形成に適した埋め込み式受動材料を、ニッケルめっき銅箔のいずれかの面に施す工程と、
f)当該埋め込み式受動材料を、必要に応じて乾燥、硬化、または焼きなます工程と、
g)必要に応じて電極を当該素子に施す工程。」

(e)「【0024】
実施例1: 構造的にも化学的にも密着性促進処理を施していない35μmの電解銅箔を、以下の成分、即ちスルファミン酸、塩化ニッケル、及び硼酸を含み、ニッケルが80g/L、塩素が8g/L、硼素が6g/Lであるめっき浴に通した。このめっき槽には、可溶性ニッケル陽極を入れてある。箔に電流を付与して、CD=50ASFとなるようにした。電流の付与時間は約10秒で、0.5μmまでの厚さを有するニッケル層を析出した。その後、ニッケル層を、7μmのポリイミド樹脂層で被覆した。液体ポリイミド樹脂を、N-メチルピロリドンと共にステンレス鋼製の混合バット内で、固体度25%、粘度約20,000センチポーズに調整した。ポリイミド溶液を分配装置に供給し、約50μmの膜を、重力と液体高分子粘度とを分配力として用い、動いている箔の光沢面に施した。

【0029】
実施例5:銅のコブ付け処理が箔の光沢面に施されたこと以外は実施例1と同じ箔を製造した。コブ付け処理の後は、ニッケルめっきを行なう。当該ニッケル層には、燃焼化学気相蒸着をを用いて白金の薄層を施した。厚さは、50?300ナノメータである。こうして、低効率が200?1200オーム/平方であるレジスタを得た。」

イ 発明の詳細な説明には、(a)によると、銅箔の片面又は両面に「電気化学研摩処理、機械研摩処理、または粗化処理」を施すこと、(b)によると、「コブ付け処理」は、箔への密着性を助長するための一つの「粗化技術」であって、好ましいコブの寸法範囲が存在すること、(c)によると、「Ra」と「Rz」とはこの発明の銅箔の表面構造の重要なパラメータであることが記載され、(d)によると、「b)…機械研摩処理か、またはコブ付の接合強化層等の粗化処理で任意に処理する工程」と、「c)電気化学研摩か機械研摩にて、箔の片面または両面を任意に改変して表面の平滑さを向上させる工程」を含む製造方法について、発明の詳細な説明に記載されていると解される。
そして、(e)には、実施例1として、「構造的にも化学的にも密着性促進処理を施していない」電解銅箔にニッケルめっきしたもの(実施例1)、すなわち、研磨処理が施されているか不明であるが、粗化処理を施していない具体例と、実施例5として「銅のコブ付け処理が箔の光沢面に施されたこと以外は実施例1と同じ箔」について記載されている。

ウ そこで、まず、請求項2に係る発明について検討すると、請求項2に記載された「粗化処理」は、(d)の記載のよると、「機械研磨処理」であってもよいものである。
そうすると、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の「電気化学研摩処理又は機械研摩処理」の内の「機械研磨処理」を「粗化処理」と表現したものと解する余地もある。
そうすると、請求項2に係る発明は、上記「1」において検討したとおり、明確ではないものの、上記の解釈を前提とすれば、銅箔の表面構造が、研磨処理及び粗化処理をされた状態で所定のRa及びRzであり得るから、発明の詳細な説明に記載された発明であるといえる。

エ これに対して、請求項3,6,7に係る発明については、「コブ付け処理」は、請求項1に記載の「電気化学研磨処理又は機械研磨処理」である研磨処理とは別異の処理であるから、請求項3,6,7に係る発明は、「コブ付け処理」と「研磨処理」との両方を行うものである。
そして、発明の詳細な説明の(b)の記載によると、銅箔に対するコブ付け処理する技術的意義は、箔への密着性の向上であって、コブの大きさには好ましい所定の寸法範囲が存在する一方、同(c)の記載によると、研磨処理の技術的意義は、銅箔の表面構造を所定のRa及びRzとする点にある。
ところが、発明の詳細な説明には、コブ付け処理と所定のRa及びRzにする研磨処理との技術的関連は何ら記載されていないし、コブの大きさとRa及びRzとの関連も何も記載されていない。また、請求項3,6,7に係る発明についての明確な実施例も記載されていない。
そうすると、「コブ付け処理」と「研磨処理」との両方を行う請求項3,6,7に係る発明は、発明の詳細な説明に実質的に記載されていないといえる。

オ 請求項12に係る発明は、請求項2に係る発明に対する上記「ウ」と同様の理由により、明確ではないものの、請求項11に記載の「機械研磨処理」を「粗化処理」と表現したものと解すると、発明の詳細な説明に記載された発明であるといえる。

カ しかし、請求項13,16,17に係る発明については、「コブ付け処理」と「研磨処理」との両方を行う発明であるから、請求項3,6,7に係る発明に対する上記「エ」と同様の理由により、請求項13,16,17に係る発明は、発明の詳細な説明に実質的に記載されていないといえる。

キ 以上のとおりであるから、少なくとも請求項3,6,7,13,16,17に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

3 意見書における請求人の反論に対する判断
ア 請求人は意見書において、以下の反論を行っている。

「まず、本願請求項1に記載の「平滑になるまで研摩された」と、請求項2、3、6、7に記載の「粗化処理」または「コブ処理」とは、その順序などには特に制限はありません。
つまり、請求項2、3、6、7の「粗化処理」または「コブ処理」は、請求項1の「平滑になるまで研摩された」銅箔に施す場合、或いは、平滑になるまで研摩される前の銅箔に施す場合があります。
そのため、平均粗さRaが1?10μm、平均最大頂点Rzが2?10μmの平滑さとなるまで研摩された銅箔に、「粗化処理」または「コブ処理」がされると、その表面粗度は変化することになります。
一方、平滑になるまで研摩される前の銅箔に対して、「粗化処理」または「コブ処理」を施し、当該銅箔を請求項1の電気化学研摩処理又は機械研摩処理が施され、平均粗さRaが1?10μm、平均最大頂点Rzが2?10μmの平滑さとなるまで研摩された銅箔は、この表面粗度を有するものとなります。
即ち、本願請求項1は、本願請求項2、3、6、7とは関係なく、電気化学研摩処理又は機械研摩処理を施すことによって、平均粗さRaが1?10μm、平均最大頂点Rzが2?10μmの平滑さを有する銅箔を示すものであります。
本願明細書では、例えば段落0012や段落0022(b工程)において、任意に粗化処理やコブ付け処理が行えるという記載によって、明確に記載しています。
そして、当業者であれば、本願明細書の記載に基づいて、上記の内容を当然に認識できるものあり、実施可能なものであります。」

イ 上記の反論によると、請求項2,3,6,7に係る発明は、「研磨処理」と「コブ付け処理」との順序には制限がないものであり、そのために、ニッケル層が設けられる銅箔の表面構造がどのようなものか特定できないものである。
ところが、発明の詳細な説明の特に(b)、(c)の記載によると、この出願の発明は、銅箔の表面構造に技術的特徴を有するものである。
したがって、発明の技術的特徴である銅箔の表面構造が特定できない請求項2,3,6,7に係る発明は明確でなく、また、少なくとも請求項3,6,7に係る発明が発明の詳細な説明に記載したものでないことは、上記「1」、「2」にて検討したとおりである。
したがって、請求人の反論は当を得ていない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願が特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないとする当審における拒絶理由は妥当である。
したがって、本願は、拒絶すべきでものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2011-12-28 
結審通知日 2012-01-05 
審決日 2012-01-19 
出願番号 特願2003-533291(P2003-533291)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (H01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨士 美香  
特許庁審判長 吉水 純子
特許庁審判官 田中 則充
山田 靖
発明の名称 内蔵受動素子用電極としてのニッケルめっき銅  
代理人 田中 大輔  
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