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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M |
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管理番号 | 1259324 |
審判番号 | 不服2010-16139 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-07-16 |
確定日 | 2012-06-26 |
事件の表示 | 特願2005-509581号「カテーテルバルーン」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月28日国際公開、WO2005/037337、平成19年 6月21日国内公表、特表2007-515973号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は、平成15年10月17日を国際出願日とする出願であって、平成22年2月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 II.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、平成21年10月26日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「血管形成に使用されるカテーテルのような医療器具用のバルーンであって、次の一般式(I)によって表わされるポリアミド共重合体材料にて成ることを特徴とする医療器具用のバルーン。 【化1】 H-(O-PF-OOC-PA-COO-PF-OOC-PA-CO)_(n)-OH ・・・(I) (PAはポリアミドセグメントであり、PFは二量体ジオール及び/又は対応するOH基末端ポリエステルジオールを含むジオールセグメントであり、nは5と20の間の数である。)」 III.引用刊行物の記載事項 (刊行物1) 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特表平9-509860号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア)「所定長さのポリマーチューブを加圧下で放射方向に膨張させることにより、そのチューブから形成される医療器具用のバルーンであって、前記ポリマーはブロックコポリマーの熱可塑性エラストマーであり、 前記ブロックコポリマーがポリエステルまたはポリアミドからなる2つまたはそれ以上の硬いセグメントと、ポリエーテルからなる2つまたはそれ以上の柔らかいセグメントとを備え、 前記ポリエステルの硬いセグメントは芳香族ジカルボン酸及びC_(2)-C_(4)ジオールのポリエステルであり、 前記ポリアミドの硬いセグメントはC_(6)またはそれより高級のカルボン酸及びC_(6)またはそれより高級の有機ジアミンのポリアミド、あるいはC_(6)またはそれより高級の脂肪族ω-アミノ-α-酸のポリアミドであり、 前記ポリエーテルの柔らかいセグメントはC_(2)-C_(10)のジオールのポリエーテルであり、 前記ブロックコポリマーは約150,000psi(プシー)未満の弾性率を備え、 前記ブロックコポリマーはショアD硬さのスケールで60以上の硬さを備え、 前記硬いセグメントに寄与するブロックコポリマーの重量パーセンテージは約50%から約95%の間であることを特徴とするバルーン。」(請求項1) (イ)「膨張率に関する特性として、非柔軟性、半柔軟性及び柔軟性の膨張率特性、適度な弾性、及び高い伸張強度を含む物理的な特性をあわせもつ新しいバルーン材料物質が、以下に特徴づけられる特殊なブロックコポリマー熱可塑性エラストマーから生成される。・・・そのようなポリマーから、半柔軟性の膨張特性および15,000psi、しばしば20,000psi以上の壁強度を有するバルーンが形成される。前記ポリマーから形成されるバルーンの高い強度は、形状が複雑でないカテーテルの製作を可能にする。その低い弾性率は、本発明のバルーンで認識されるように、他の高い強度を有するポリマー材料と比較し柔らかい感触を与える。前記の工夫に富むバルーンを備えた形状が複雑でないカテーテルは、初期軸調整(Crossing)、行路調節に非常に優れ、最初の膨張後においての再軸調整(Recrossing)にも優れている。」(9ページ2行?最終行) (ウ)「本発明の好適なバルーンは、ポリアミド/ポリエーテルブロックコポリマーよりなる。ポリアミド/ポリエーテルブロックコポリマーは一般的にアクロニムPEBA(ポリマーブロックアミド)の存在によりそれと同定される。これらのブロックコポリマーにおけるポリアミド及びポリエーテルセグメントは、アミド結合によって結合している場合もあるが、最も好適には、エーテルの結合によって生じたポリマーであり、たとえばポリアミド/ポリエーテルポリエステルである。このようなポリアミド/ポリエーテル/ポリエステルブロックコポリマーは、ジカルボキシルポリアミドとポリエーテルジオールの融解した状態における縮合反応によって生成する。この結果、ポリアミド及びポリエーテルのブロックからなる短い鎖状のポリエステルが生成される。ポリアミドとポリエーテルブロックは混和しない。このようにして、この材料物質は、二相構造によって特徴づけられる。すなわち、主にポリアミドからなる熱可塑性の部分と、ポリエーテルに富むエラストマー部分である。ポリアミドセグメントは、室温で半結晶性である。これらのポリエステルポリマーの一般化学式は、次式で表される。 HO-(OC-PA-COO-PE-O)_(n)-H ここで、PAはポリアミドセグメント、PEはポリエーテルセグメントを示し、反復数nは、5から10である。 ポリアミドセグメントはナイロン12、11、9、6、6/12、6/11、6/9または6/6のような適当な脂肪族ポリアミドからなる。中でもナイロン12セグメントが最も好ましい。ポリアミドセグメントは、芳香族ポリアミドからも構成されうるが、その場合、有意に低い柔軟性特性をもつことが予想される。ポリアミドセグメントは比較的低い分子量をもち、一般的には500-8,000の範囲であるが、2,000-6,000が好ましく、3,000から5,000が最も好ましい。 ポリエーテルセグメントは脂肪族ポリエーテルであり、エーテル結合間に最少2から最大10の直鎖飽和脂肪族炭素を有する。エーテルセグメントがエーテル結合間に4個から6個の炭素をもつのがより好ましく、ポリ(テトラメチレンエーテル)セグメントが最も好ましい。この好適なテトラメチレンエーテルセグメントに代えて使用可能な他のポリエーテルには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(ペンタメチレンエーテル)、及びポリ(ヘキサメチレンエーテル)が挙げられる。ポリエーテル中における炭化水素の部位は、分枝していてもよい。2-エチルヘキサンジオールのポリエーテルが一つの例である。一般的にこのような分枝は2個以上の炭素原子を含まないであろう。ポリエーテルセグメントの分子量は、約400から2,500の範囲が適しており、中でも650から1000が好ましい。 本発明におけるポリアミド/ポリエーテルポリエステル中のポリエーテルに対するポリアミドの重量比は、50/50から95/5の範囲内でなければならず、60/30から92/08の範囲が好ましく、70/30から90/10の範囲であればより好ましい。」(10ページ8行?11ページ20行) (エ)「ブロックコポリマーは、斬新なバルーンであると認識されるために必要とされる強度、膨張率、柔軟性を組み合わせた特性を得るためにショアスケールで少なくとも60以上の硬さを有し、屈曲率が150,000以下であることが重要であると信じられている。ショアDスケールにおいて65から75の範囲の硬さ、50,000から120,000の範囲の屈曲率が好ましい。本発明で有用とされ好まれるポリマーは、約300%あるいはそれ以上の高い最終伸びを示し、また少なくとも6,000psiの最終引っ張り強度を有する。 本発明のバルーンは、カテーテルバルーンを形成するための公知の技術を用いてつくられる。冠状血管形成カテーテルバルーン(バルーンの直径が約1.5から4.0mm)に適するよう、0.001インチ以下、好ましくは0.0007インチ以下の単一壁の厚さが容易に得られる。このようなバルーンにおける壁強度は、15,000psiを越え、典型的には少なくとも18,000psiであり、最大では約20,000から32,000の範囲である。周辺血管形成には直径が10mmまでのバルーンが用いられ、その場合、やや厚い壁を用いることができる。10mmのバルーンにおいてすら、壁の厚みは約0.0015mmあるいはそれ以下のものが用いられ、バルーンの破裂圧力は少なくとも10気圧でなければならない。バルーンは、3から8、好ましくは4から7のフープ比で、チューブ状の材料物質を膨張させることにより形成される。」(13ページ5?22行) 以上の記載事項及び図示内容から、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「血管形成カテーテルバルーンであって、次の一般化学式によって表わされるポリアミド/ポリエーテルブロックコポリマーよりなる医療器具用のバルーン。 HO-(OC-PA-COO-PE-O)_(n)-H ここで、PAはポリアミドセグメント、PEはジオールのポリエーテルセグメントを示し、反復数nは、5から10である。」 (刊行物2) 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-44678号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (オ)「ポリアミド形成モノマー類の重縮合および/または重合によって調製される軟化剤を含まないポリアミドにおいて、400-1000の範囲内の分子量を有する5-50重量%の二量体ジオールおよび/または対応するOH末端ポリエステルを添加することにより得られたことを特徴とする軟化剤を含まないポリアミド。」(【請求項1】) (カ)「請求項1から11のいずれか1項に記載の軟化剤を含まないポリアミドによって形成されることを特徴とする繊維、シートまたは成形品等の製造のためのポリアミド成形組成物。」(【請求項12】) (キ)「従って、根本的な本発明の目的は、ポリアミドを柔軟にさせる非移行性の物質であって、高い有効性を有すると共に、好適な低温挙動と良好な耐加水分解性を基本となるポリアミドに付与する物質を見出すことであった。 請求項1の特徴によるポリアミドに関して、請求項12の特徴による成形組成物に関して、請求項13および14による用途に関して、その目的は達成される。従属請求項は有利な実施の形態を示している。 驚くべきことに、二量体ジオールと二量体ジオール含有ポリエステルジオールは比較的低い濃度においてさえポリアミドの柔軟性を顕著に高め、改質されたポリアミドが低温においてさえ良好な衝撃強度を示すことを発見した。その有効性は、より低分子の軟化剤の有効性にほぼ相当し、達成可能な衝撃強度は、軟化されたポリアミドの衝撃強度に比べて明らかなほど更に良好である。」(段落【0009】?【0011】) (ク)「従って、本発明は、柔軟性であるが軟化剤を含まないポリアミドであって、通常のポリアミド形成モノマー類、5-50重量%の二量体ジオールおよび/または二量体ジオール含有ポリエステルジオールから形成されるポリアミドに関する。 基本的に、通常の全てのラクタム、アミノカルボン酸、ジカルボン酸およびジアミンは、ポリアミド形成モノマー類として用いることができる。但し、ポリアミド成分は、好ましくはPA6、PA66、PA69、PA610、PA612、PA636、PA11、PA12、PA1212、ならびにC_(2)-C_(36)ジカルボン酸、C_(2)-C_(12)ジアミン、ラクタム-6、ラクタム-12、イソフタル酸、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸に基づくコポリアミドおよびマルチポリアミドに基づく。PA成分は、ジアミンとジカルボン酸の対応する塩の重縮合によっても得ることができる。」(段落【0012】?【0013】) (ケ)「用いられる脂肪族二量体ジオールは、400-1000の分子量を有すると共に、水和脂肪酸の両方のカルボキシル基の一級アルコール基への還元により得ること可能である。」(段落【0014】) (コ)「OH末端ポリエステルジオールは、脂肪族および/または芳香族C_(4)-C_(44)ジカルボン酸と上述した二量体ジオールとの縮合によって調製され、好ましくは水和C_(36)二量体脂肪酸が用いられる。本発明により用いられるポリエステルジオールは、28-90mgKOH/g、好ましくは60-80mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。本発明による「柔軟性ポリアミド」は、一段階および二段階の両方で調製することができる。前者の場合、ジオール成分を有するポリアミド形成モノマー類は、共に反応器に投入され、先ず常圧下、その後減圧下で縮合され、高分子のポリエステルアミドを生成する。二段階合成の場合、先ずポリアミドセグメントは通常の条件下でポリアミド形成モノマー類から生成され、次にエステル化条件下でジオール成分と結合される。元素Ge、Sn、Sb、Ti、Zrに基づく公知のエステル化および縮合触媒は触媒として使用可能である。ここで、ジオール成分の濃度は好ましくは全配合物の10-30重量%、特に好ましくは10-20重量%の範囲内である。」(段落【0015】) (サ)「生成物の特性を表3にまとめている。柔軟性ポリアミドは一般に極めて良好な機械的特性を有する。結晶化挙動は基本となるホモポリマーから若干変化しているだけであるため、生成物の後続の処理も問題なく実施することができる。従って、良好な特性を有する吹込フィルムまたは単一管を製造することができる。実施例2-12の柔軟性ポリアミド製の8×1単一管は、追加の衝撃強度改良剤を用いずとも破壊を伴わずに40および-50℃でDIN衝撃試験に耐える。 原料粒状物の追加的な配合またはロール掛けを全く行わずに、吹込フィルムを押出した。しかし、最初の吹込で柔軟性ポリマーを吹込フィルムに容易に加工できた。フィルムは高い引裂抵抗および破壊伸びを有すると共に、80μmの厚みまで透明である。」(段落【0023】?【0024】) (シ)「実施例1-12からの個々の柔軟性ポリアミドの弾性率と比較例1-11からのブロックコポリマーの弾性率との比較が示している通り(図1参照)、ポリアミドを柔軟にするために本発明により用いられる成分は、比較例における脂肪族ポリエステルセグメントよりも明らかに有効である。C_(2)-C_(6)ジオールのポリアジペートもポリアミドを柔軟にする効果においてポリカプロラクトンブロックとほとんど同じである。すなわち、より長鎖の脂肪族ポリエステルセグメントと比較して、所定のポリアミドの特定の柔軟性を与えるために、ずっと低い二量体ジオール成分濃度を要するだけである。」(段落【0029】) IV.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、その意味、構造又は機能からみて、引用発明の「血管形成カテーテルバルーン」は、本願発明の「血管形成に使用されるカテーテルのような医療器具用のバルーン」に相当し、以下同様に、「一般化学式」は「一般式」に、「ポリアミド/ポリエーテルブロックコポリマー」は「ポリアミド共重合体材料」に、「なる」は「成る」に、それぞれ相当する。 引用発明の「ジオールのポリエーテルセグメント(PE)」と、本願発明の「二量体ジオール及び/又は対応するOH基末端ポリエステルジオールを含むジオールセグメント(PF)」とは、「ジオール化合物からなるセグメント」(以下、「DC」という。)である点で共通している。さらに、引用発明の反復数nは5から10であり、本願発明のnは5と20の間の数であるところ、引用発明と本願発明の「ポリアミド共重合体材料」の「一般式」は、「H-(O-DC-OOC-PA-COO-DC-OOC-PA-CO)_(5)-OH」である点で共通している。 そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。 (一致点) 「血管形成に使用されるカテーテルのような医療器具用のバルーンであって、次の一般式によって表わされるポリアミド共重合体材料にて成る医療器具用のバルーン。 H-(O-DC-OOC-PA-COO-DC-OOC-PA-CO)_(5)-OH (PAはポリアミドセグメントであり、DCはジオール化合物からなるセグメントである。)」 そして、両者は次の点で相違する。 (相違点) 「ジオール化合物からなるセグメント(DC)」が、本願発明では「二量体ジオール及び/又は対応するOH基末端ポリエステルジオールを含むジオールセグメント(PF)」であるのに対して、引用発明では「ジオールのポリエーテルセグメント(PE)」である点。 V.相違点の判断 上記相違点について検討する。 刊行物1には、上記記載事項(ア)に「ブロックコポリマーは約150,000psi(プシー)未満の弾性率を備え」と記載され、上記記載事項(イ)に「膨張率に関する特性として、非柔軟性、半柔軟性及び柔軟性の膨張率特性、適度な弾性、及び高い伸張強度を含む物理的な特性をあわせもつ新しいバルーン材料物質が、以下に特徴づけられる特殊なブロックコポリマー熱可塑性エラストマーから生成される。・・・そのようなポリマーから、半柔軟性の膨張特性および15,000psi、しばしば20,000psi以上の壁強度を有するバルーンが形成される。前記ポリマーから形成されるバルーンの高い強度は、形状が複雑でないカテーテルの製作を可能にする。その低い弾性率は、本発明のバルーンで認識されるように、他の高い強度を有するポリマー材料と比較し柔らかい感触を与える。」と記載されているところ、引用発明においては、高い強度と低い弾性率を兼ね備えるバルーンを実現することを解決すべき課題としているものと認められる。 また、刊行物2には、シートやフィルム等のポリアミド成形組成物に関して(上記記載事項(カ)及び(サ)を参照)、高い強度と高い柔軟性(すなわち低い弾性率)を兼ね備えたポリアミドを実現するため(上記記載事項(キ)、(サ)及び(シ)を参照)、ポリアミドセグメントと二量体ジオールおよび/または対応するOH末端ポリエステル(本願発明の「二量体ジオール及び/又は対応するOH基末端ポリエステルジオールを含むジオールセグメント」に相当)とを縮合してポリアミド(本願発明の「ポリアミド共重合体材料」に相当)を生成する(上記記載事項(オ)及び(コ)を参照)点が記載されている。 引用発明と刊行物2に記載された発明とは、ポリアミド共重合体材料にて成る成形組成物である点で共通の技術分野に属するものであり、高い強度と低い弾性率を兼ね備えた成形組成物を実現するという共通の課題を有する。そして、両者は、ナイロン12やナイロン11等のポリアミドセグメントを含む(上記記載事項(ウ)及び(ク)を参照)とともに、同程度の分子量のジオール化合物からなるセグメントを含み(上記記載事項(ウ)及び(ケ)を参照)、ポリアミドセグメントに対するジオール化合物からなるセグメントの重量比を同程度とする(上記記載事項(ウ)、(オ)及び(コ)を参照)点で共通している。 そこで、引用発明において、ジオール化合物からなるセグメントとして、ジオールのポリエーテルセグメントに代えて、刊行物2に記載された発明における二量体ジオール及び/又は対応するOH基末端ポリエステルジオールを含むジオールセグメントを採用し、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 そして、引用発明も、本願で言うコンプライアンスを考慮しており(上記記載事項(イ)を参照。なお、刊行物1における「柔軟性」との用語は「compliance」という英語の日本語訳である。)、本願発明による効果は、引用発明及び刊行物2に記載された発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 VI.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 そして、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものである以上、本願の請求項2ないし25に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-12-12 |
結審通知日 | 2012-01-10 |
審決日 | 2012-01-23 |
出願番号 | 特願2005-509581(P2005-509581) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 智弥 |
特許庁審判長 |
亀丸 広司 |
特許庁審判官 |
関谷 一夫 高田 元樹 |
発明の名称 | カテーテルバルーン |
代理人 | 竹下 和夫 |