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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1259325 |
審判番号 | 不服2010-16993 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-07-29 |
確定日 | 2012-06-26 |
事件の表示 | 特願2006-516949「トーナメント方式で進行されその勝数により賞金が決定される,オンラインゲームトーナメントシステム及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年12月29日国際公開,WO2004/114188,平成19年8月2日国内公表,特表2007-521059〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は,平成16年6月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:平成15年6月26日,大韓民国)を国際出願日とする出願であって,平成22年3月18日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年7月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同時に提出された手続補正書により特許請求の範囲の補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。 その後,平成23年2月23日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年8月8日付けで回答書が提出されたものである。 2.本願発明 本件補正は,補正前の請求項24及び26?28を削除するとともに,補正前の請求項19?23,25及び29の「賞金」との記載を,「クレジット」との改めるものであって,補正前の残りの請求項について補正するものではなく,請求項の削除及び明りょうでない記載の釈明を目的とする適法な補正である。 本願の請求項1?29に係る発明は,上記手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?29に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ,そのうち請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりのものと認める。 ただし,請求項1には,「サーバー装置」との記載と「サーバ装置」との記載が混在しているため,本願の発明の詳細な説明の実施例の記載に倣い,「サーバー装置」との記載を正しいものとし,「サーバ装置」との記載は,「サーバー装置」と記載すべきところの誤記であると認定した(下線付与箇所)。 「【請求項1】 通信ネットワークを通じて複数のクライアントコンピュータとサーバー装置によりオンラインゲームトーナメントを行う方法であって、 前記サーバー装置は、特定ゲームに対する個々の使用者のトーナメント進行に対して参加有効可否とトーナメントの勝ち進みのレベルを表す現在レベルと現在クレジットを記録するトーナメント情報貯蔵手段と、前記特定ゲームに対してトーナメントに参加するために必要な参加費とゲーム勝負により勝者が敗者から受けることになるクレジットの比率を記録するゲーム情報貯蔵手段と、個々の使用者に対して現在ゲームを進行しているか否かを記録する使用者情報貯蔵手段とを有しており、 前記サーバー装置が、 (a)前記クライアントコンピュータの使用者から特定ゲームへの参加希望を受けると、前記トーナメント情報貯蔵手段を参照して、前記ゲームのトーナメント参加に関する有効/非有効記録により前記使用者の前記ゲームのトーナメント参加可否を決定する有効な参加者判断段階と、 (b)前記有効な参加者判断段階でその記録が非有効と記録され有効参加者でない場合、前記使用者が参加費を決済した旨の通知を受けて、前記トーナメント情報貯蔵手段における、当該使用者の前記参加有効可否を有効と記録し、初期レベルと初期クレジットを付与して記録する初期参加費決済によるトーナメント参加段階と、 (c)前記ゲームのトーナメントに有効に参加した参加者について、トーナメント情報貯蔵手段および使用者情報貯蔵手段を参照し、同一レベルであり現在ゲームを進行していない参加者を抽出して、それらの間で対戦者らを決定する対戦者決定段階と、 (d)前記対戦者間のゲームが終了すると、敗者のトーナメント情報貯蔵手段の現在クレジットに対して、前記ゲーム情報貯蔵手段のクレジット比率による部分を勝者のトーナメント情報貯蔵手段の現在クレジットに加算し、勝者である使用者に対する前記トーナメント情報貯蔵手段の現在レベルを一段階アップさせて記録し、敗者である使用者のトーナメント情報貯蔵手段のクレジットから前記勝者に加算した部分を減算して敗者のクレジットを確定して、敗者の参加有効可否記録を非有効と記録する勝敗者処理段階と、 (e)前記勝者のクライアントコンピュータに対して継続的なトーナメント参加確認を送信する勝者継続参加確認段階と、 (f)前記継続的な参加確認に対して、クライアントコンピュータから、継続参加をする旨の返信があると、前記段階(c)(d)(e)を含む段階を実行する継続参加段階と、 (g)前記継続的な参加確認に対して、クライアントコンピュータから、継続参加を放棄する旨の返信があると、当該勝者についてのクレジットを確定し、トーナメント情報貯蔵手段において当該トーナメントに対する参加を非有効と記録する勝者クレジット決定段階と、 を備えたオンラインゲームトーナメント方法。」 ここで,上記請求項1の記載において,ハードウェアである「サーバー装置」が,(a)ないし(g)の「段階」を「備える」と特定している点は,「方法」の発明の特定事項として明確ではないことから,「サーバー装置によりオンラインゲームトーナメントを行う方法」が,(a)ないし(g)の段階を備えることを特定しようとしているものと認定する。 3.引用例 (1)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である 特開平11-253657号公報(以下,「引用例1」という。) には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,開示された発明の認定に特に関連する記載について,当審にて付与)。 (1a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、将棋、囲碁、チェス、オセロ、麻雀、テレビゲームなどの室内ゲームを遂行するためのネットワークゲームシステム、ネットワークゲームサーバ装置、対局者選定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に不特定多数の参加者の中から対局相手を選択するためのネットワークゲームシステム、ネットワークゲームサーバ装置、対局者選定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。」 (1b)「【0030】以下に本発明を具体化した実施の形態を説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るネットワークゲームシステムの全体の概略構成図である。 【0031】本発明のネットワークゲームシステムは、サーバ装置100とクライアント装置200,200a?200fに分けることができる。これらの間は、通常の公衆網あるいは構内網などのネットワーク40で接続されている。ネットワーク40の種類は、特に規定しないが、その普及度と利用のしやすさから考えて、以下の説明では、インターネットをベースとして記述する。」 (1c)「【0042】図3は、サーバ装置内の構成を示す図である。ネットワークOS(Operating System)110は、TCP/IPおよび、表1に示したプロトコルが動作する装置である。これにより、クライアント装置200,200a?200fとの通信が実現できる。ネットワークOS110の機能は、通常ファームウェアあるいはソフトウェアで実装される。もちろん、物理的な信号の送受信を行うネットワークインタフェース(I/F)カードは、サーバ装置にすでに組み込まれているものとする(クライアント装置200,200a?200fにおいても同様) 。 【0043】認証部120は、アクセスしてきた利用者が本システムに登録されている利用者かどうか判定する。これは、クライアント装置200,200a?200fからの要求プロトコルのパラメタとして送られてきた利用者識別子NiおよびパスワードPiを、利用者DB130のデータと比較(CP)することで、実現できる。ただし、この機能は、他の認証サービス、例えばX.500(ITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Sector)が定めたディレクトリに関する国際勧告)を使用した認証サービスを利用してもよい。もし、正当な利用者でなければ、認証部120は、エラーメッセージ(Error) をクライアント装置200,200a?200に送り返す。正当な利用者であれば、送られてきた要求プロトコルによって、適切な処理機能部にその要求が伝達される。」 (1d)「【0046】…<中略>…。強さRは、利用者のそのゲームの強さを示す点数である。利用者登録時の申請がベースになっている。状態Sは、システムで使用する状態変数であり、0あるいは1の値をとる。それぞれ、0は「対局待ちでない」ことを、1は「対局待ちである」ことを意味している。…<中略>…。対局識別子Bは、利用者が対局する、あるいは、現在対局している対局の識別子であり、サーバが対局を中継する場合に用いる。この識別子を使用することで、一人の利用者が同時に複数の相手と対局することも可能であり、かつ他の利用者が所望の対局を観戦することも可能となる。<以下略>…」 (1e)「【0070】図11は、第1の選定処理で呼び出される選定ルーチンaのフローチャートである。 [S51]基準値Rxと変数pを初期化(設定)する。ここで、基準値Rxは、対局者として選択可能な強さの差の基準を示す値であり、両利用者の強さの差がこの範囲内に入れば、対局者として選定することにする。<以下略>…」 (1f)「【0083】…<中略>…。次に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態で示した基本構成に種々の応用技術を付加したものである。 【0084】応用として、入退場、強さ評価、各種情報表示があり、<以下略>…」 (1g)「【0097】強さ評価部370は、対局が終了したとき、対局の結果および対局者同士の強さから、あらかじめ決められたルールにより、各対局者の強さを計算し、利用者DB361の対局した各利用者の強さを書き換える。まず、終了を発行した利用者Niの対局者Miを利用者DB361から求め、利用者と対局者のそれぞれの強さを利用者DB361から読み込んでくる。これらを元に、強さを再計算し、利用者DB361にそれぞれ書き込む。 【0098】強さを計算するルールの一例として、次のような将棋での強さ判定方法として用いられているレーティング方式がある。このレーティング方式では、次の式で得失点を求めそれを勝った方、負けた方の元の点数に加算、減算する。 (1)点数が高い方が勝った場合、得失点=16-(持点差×4%) (2)点数が低い方が勝った場合、得失点=16+(持点差×4%) なお、点数が高い方が勝った場合において、持点差が400点を超えていると得失点が負の数になってしまうが、その場合、強さは変動させない。ただし、対局者の自動選定処理において、強さの差が一定の閾値以上の場合には対局相手として選ばれないため、その閾値を400以下に設定しておけば、持点差が400点を超えることはない。」 (1h)「【0109】…<中略>…。終了要求部450は、ユーザインタフェース420から投了情報(負けの意思表示)が伝達されたら、終了プロトコルでもってサーバ装置300に、それを伝達する。そして、サーバ装置300からの応答を待ち、正常に処理されたら、ユーザインタフェース420に対局終了のメッセージを表示する。 【0110】上記投了情報は、もちろん対局部480にも伝えられるので、対局相手のそれを認識できる。<以下略>…」 (1i)「【0131】次に、第3の実施の形態について説明する。これまで、記述してきた実施の形態はひとつの選定範囲(以下ステージと呼ぶ)から利用者を選定し対局するだけであったが、この実施の形態では、複数のステージをもつことを可能としたものである。これを、トーナメント戦へ応用した場合を例にとり説明する。 【0132】簡単にするために、トーナメント参加者を8人とする。そして、以下のような状況を想定する。 1)トーナメント戦開始の時点では、第1のステージに8人が登録している。ただ、この8人は、同時にサーバに接続しているわけではない。 2)ある時点、8人のうち、5人だけサーバに接続している場合を考える。この5人は第1ステージにおり、そこで選定が行われる。この選定は、本発明で記述しているように自動選定されてもよいし、利用者が第1ステージに入っている利用者リストの中から自ら選択してもよい。 3)こうして、対局が行われ、勝ち負けが決定する。そこで勝った利用者は、第2のステージに進む。負けた利用者は、そのままこのトーナメント戦から登録削除してもよいし、敗者復活戦として、第1のステージの下位ステージである第0のステージに移るようにしてもよい。 4)こうして、4人までの対局が行われ、第1ステージには1人が残り、第2ステージには2人が入る。 5)第1ステージに残った1人は、他のトーナメント参加者がサーバに接続し第1ステージに参加してくるまで待つか、一旦サーバへの接続を切り次の機会を待つ。 6)第2ステージの2人は、そのまま2人がサーバに接続している場合、さらに対局し、勝ったものは第3のステージに進む。 【0133】以上のようにすれば、サーバにトーナメント参加者が全員同時に接続していなくてもトーナメント戦が実施できる。こうすることにより、参加者間での事前の接続時刻などのネゴシエーションが不要となる。」 (1j)「【0134】ステージ管理機能を追加したシステム構成を以下に説明する。図30は、第3の実施の形態のサーバ装置の構成を示す図である。このサーバ装置500は、クライアント装置600とネットワークを介して接続されている。サーバ装置500は、ネットワークOS510、認証部520、利用者DB530、対局者選定部540、選定条件保持部550、対局管理部560、及びステージ管理部570で構成されている。ステージ管理部570以外の各構成要素は、図3に示した第1の実施の形態の同盟[当審注:「同盟」との記載は「同名」と記載すべきところの誤記と認められる]の構成要素と同じ機能に対する追加機能を有している。以下、追加された機能について説明する。 【0135】利用者DB530は、各利用者のステージ状態に関する情報が登録されている。利用者DB530の登録項目を以下の表5に示す。 【0136】 【表5】 」 (1k)「【0137】このように、ステージ情報(ST)が設けられており、その利用者が属しているステージの番号が登録されている。値が「null」の場合は、どのステージにも属していないことを示している。 【0138】対局者選定部540は、対局要求を受けた場合、その要求を発行した利用者を対局待ちに設定(Si=1) するとともに、その利用者のステージ情報(STn)を読み取る。次に、自動選定処理部541が、ステージ情報が同じで(ST=STn)、かつ対局待ちである利用者を読み取り、選定処理を行う。上記の例のトーナメント戦の場合は、通常対局待ちは1人しかおらず、かつ必ず対局する条件のため、対局待ちの利用者がいれば、すぐに割り当てるようにする。」 (1l)「【0140】ステージ管理部570は、対局が終了した場合にクライアント装置600から送られてくる終了の通知を受け取る。その通知に基づいて、対局者のステージ情報(STn)を利用者DB530から読み取り、各対局者のステージ情報を更新する。上記トーナメント戦の例では、勝った対局者のステージ情報に1を加え(STn=STn+1)、負けた方はこのトーナメント戦から削除する(STn=null)。」 (1m)「【0141】図31は、第3の実施の形態のクライアント装置の構成を示す図である。本実施の形態のクライアント装置600は、ユーザインタフェース610、対局要求部620、ネットワークOS640、対局部630、及び終了要求部640で構成される。この各構成要素は、図17に示した第2の実施の形態の同盟[当審注:「同盟」との記載は「同名」と記載すべきところの誤記と認められる]の構成要素と同じ機能を有している。」 (1n)「【0142】以下に、本実施の形態に特徴的な処理を、図32?図34のフローチャート用いて説明する。図32は、サーバ装置受信処理のフローチャートである。 [S401]ネットワークOS510は、なんらかの信号の受信がある否かを絶えず判断している。信号の受信が発生したらステップS402に進み、信号の受信が発生していない場合は、このステップS401の処理を繰り返す。 [S402]認証部520は、信号の発信者が正当な利用者かどうかを認証する。不正な利用者であればステップS403に進み、正当な利用者であればステップS404に進む。 [S403]認証部520は、受信した信号が不正な利用者からのものであれば、Errorである旨をクライアント装置600に通知する。その後、ステップS401に進み、次の受信に備える。 [S404]認証部520は、受信した信号が正当な利用者からのものであれば、受信した要求の種類を判別する。終了要求であればステップS405へ、対局要[当審注:「対局要」との記載は「対局要求」と記載すべきところの誤記と認められる]であればステップS406へ、指し手であればステップS407に進む。 [S405]ステージ管理部570が、終了処理を行う。その後ステップS401に進み、次の受信に備える。この処理の詳細は、図33に示す。 [S406]対局者選定部540が、第4の選定処理を行う。その後ステップS401に進み、次の受信に備える。この処理の詳細は、図34に示す。 [S407]対局管理部560が、対局管理処理を行う。その後ステップS401に進み次の受信に備える。この処理は、図15に示した第1の実施の形態の処理と同様である。」 (1o)「【0143】図33は、終了サブルーチンのフローチャートである。これは、ステージ管理部570が行う処理である。 [S411]利用者Ni,Mi(対局両者)のステージ情報を更新する。具体的には、勝った利用者ステージ情報は、1を加え、負けた方は、空(null)を入れる。 [S412]ステップS411で更新された利用者ステージ情報を、利用者DB530に記録する。」 (1p)「【0144】図34は、第4の選定処理のフローチャートである。これは、対局者選定部540が行う処理である。 [S421]対局要求を発行した利用者のステージと同じステージにいる対局待ちの利用者情報を利用者DB530から読み出す。 [S422]相手が見つかったか否かを判断する。見つかった場合はステップS423に進み、見つからなかった場合はステップS425に進む。 [S423]対局相手が見つかった場合は、それぞれの利用者のクライアント装置に、対局者を紹介する(対局情報の応答と通知)。 [S424]両者の利用者DB530の利用者状態を対局待ちから対局中に更新(S=0)し、この処理を終了する。 [S425]対局相手が見つからなかった場合は、対局要求を発行した利用者のクライアント装置に待機の応答を行う。 [S426]対局要求を出力した利用者DB530の利用者状態を対局待ちに設定(S=1)し、処理を終了する。」 (1q)「【0145】このように、対局が終了するごとに、各利用者のステージを変更することで、ネットワークを介したトーナメント戦を行うことが可能となる。図35は、トーナメント戦のステージの説明図である。8人のトーナメント参加者が第1ステージ51にエントリしており、現在5人がサーバ装置500接続している。そのうち2組4人が対局を行い、2人が勝ち進み第2ステージ52にあがる。第2ステージでもすぐに対局を行い、1人が第3ステージ53に進んでいる。あとは、もうひとりが勝ち上がってくるのを待つことになる。」 (1r)「【0146】従来、トーナメント戦は、「22時から開始する」などのように利用者間の事前のネゴシエーションが必要であったが、上記のようなステージ管理を行うことで、事前の時間合せが必要なくなり、各利用者が好きな時間にサーバに接続してトーナメント戦を実行することができるようになる。」 これらの記載事項及び図示内容を総合すると,引用例1には,第3の実施の形態として,以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「ネットワーク40を通じて複数のクライアント装置600とサーバ装置500によりトーナメント戦を行う方法であって, 前記サーバ装置500は,ネットワークゲームの各利用者ごとにトーナメント進行に対して,トーナメントのステージ情報STと,利用者のそのゲームの強さを示す点数である強さRと,対局待ちか待ちでないかを意味する状態Sとを登録する利用者DB530を有しており, 前記サーバ装置500によりトーナメント戦を行う方法は, (a')クライアント装置600からの要求プロトコルのパラメタとして送られてきた利用者識別子NiおよびパスワードPiを,利用者DB530のデータと比較(CP)することで,アクセスしてきた利用者が本システムに登録されている利用者かどうかを判定する判定段階と, (b')前記判定段階で正当な利用者でなければ,Errorである旨をクライアント装置600に送り返し,正当な利用であれば,受信した要求の種類を判別し,対局要求を受けた場合,その要求を発行した利用者を対局待ちに設定(状態Si=1)し,トーナメント戦開始の時点では第1ステージと設定し,登録時の申請に基づく強さRを設定する段階と, (c')前記対局待ちに設定した利用者のステージ情報(STn)を利用者DB530から読み取り,ステージ情報が同じで(ST=STn),かつ対局待ちである利用者を読み取り,対局者選定処理を行う段階と, (d')利用者Ni,Mi(対局両者)の対局が終了すると,負けた対局者のステージ情報(STn)をどのステージにも属していないことを意味する「null」とし,勝った対局者のステージ情報に1を加える(STn=STn+1)ステージ情報の更新をし,更新されたステージ情報を利用者DB530へ記録する段階と, (e')前記勝った対局者に次のステージに進ませる段階と, (f')前記次のステージに進ませた対局者に対して,前記段階(c')(d')(e')を含む段階を実行する段階と, (g')クライアント装置の終了要求部640から投了情報(負けの意思表示)があると,前記段階(d')を行う段階と, を備えたトーナメント戦を行う方法。」 (2)引用例2 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である 特開2002-119766号公報(以下,「引用例2」という。) には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,開示された発明の認定に特に関連する記載について,当審にて付与し,丸囲み数字は半角括弧書き数字に置き換えて摘記した)。 (2a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】インターネットのゲームサイトとして設けられて、ユーザに対して上限つきの参加フィーを予め付与する参加フィー付与手段と、所定の勝ち抜きゲームをユーザ対ホストコンピュータ間またはユーザ対ユーザ間で競わせて勝ち抜きゲームを管理するゲーム管理手段と、前記勝ち抜きゲームに参加したユーザから所定の参加フィーを取り上げる参加フィー精算手段と、勝ち抜き数に応じたポイントを前記勝ち抜きゲームに勝ったユーザに付与することにより所定の積算期間内の特定のユーザのポイントを計算するポイント計算手段と、前記計算手段により計算されたポイント数に応じた賞品をリスト内からユーザに選択させてそれを授与する賞品授与手段と、を備えることを特徴とする勝ち抜きゲームによる賞品獲得システム。 【請求項2】?【請求項3】 <略> 【請求項4】ユーザのコンピュータからの入力により申し込まれた勝ち抜きゲームへの参加をインターネットを介して受け付ける加入受付ステップと、前記インターネットのゲームサイトにおいて処理され、このインターネットの課金システムを利用して上限付きの所定の参加フィーをユーザに付与する参加フィー付与ステップと、所定の勝ち抜きゲームをユーザ対ホストコンピュータ間またはユーザ対ユーザ間で競わせて勝ち抜きゲームを管理すると共に前記加入受付ステップにより参加が許された特定ユーザからの個別ゲームの申し込みに対して所定の勝ち抜きゲームを提供して前記勝ち抜きゲームを管理するゲーム管理ステップと、前記勝ち抜きゲームに負けたユーザから所定の参加フィーを取り上げることにより所定の積算期間内の特定のユーザの消費された参加フィーを累積計算する参加フィー徴収ステップと、前記特定ユーザが1日に勝ち抜きゲームに参加できる回数を管理してそのユーザが必要以上の参加フィーを消費しないように制限するゲーム回数管理ステップと、所定の積算期間を管理して、その積算期間内の前記特定ユーザの勝ち負けを累算すると共に特定ユーザより取り上げられた参加フィーを集計する参加フィー集計ステップと、前記特定ユーザからの要求に基づいてその特定ユーザの獲得したポイント数を表示すると共に所定の賞品リストを表示して、該特定ユーザに対して賞品の選択を許容する賞品選択許容ステップと、前記賞品選択許容ステップによる前記ユーザの賞品選択を許容したことに対応して特定ユーザの獲得ポイントから選択した賞品に相当するポイントを差し引くポイント計算ステップと、前記計算によるポイント数に応じた賞品をリスト内からユーザに選択させて与える賞品授与ステップと、を備えることを特徴とする勝ち抜きゲームによる賞品獲得方法。 【請求項5】 <略>」 (2b)「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、勝ち抜きゲームによる賞品獲得システムおよび方法並びに勝ち抜きゲームの賞品獲得プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に係り、特に所定の勝ち抜きゲームを所定の積算期間内で実行して獲得ポイントを積算し所定の賞品を獲得するようにした賞品獲得システムおよび方法並びに勝ち抜きゲームの賞品獲得プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。」 (2c)「【0002】 【従来の技術】<略> 【0004】しかしながら、従来のインターネットによるゲーム配信等は、単に完成された特定のゲームソフトの全部または一部を無料または有料で加入者にダウンロードさせるだけであり、そのゲームを通じて加入者等のユーザにゲームにおける勝ち抜き等を許容するものではなく、ゲーム勝ち抜きに対する対価や商品等を提供するようなこともなかった。人間の欲求の中にはささやかな射倖心を満たしたいという欲求も含まれており、余りに賭博性の強いゲームおよびそのゲームの対価を求めることに対しては罪悪感を感じるとしても、多少の射倖心を認めてゲームの対価や勝ち抜き賞品を獲得することに満足感を得るのはパチンコ等の遊技を取り上げるまでもなく人間のささやかな欲求を満たすものであるといえる。近年、インターネットを用いてあらゆる社会的・経済的行為が可能となっている現状においては、このようなささやかな射倖心の追求も一定の制限の下に許容されても特に問題となることはないであろう。」 (2d)「【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザに勝ち抜き予め上限ある参加フィーを販売しておき、簡単な勝ち抜きゲームの勝者に対して勝ち抜きポイントを増加させ、敗者からは参加フィーを差し引くことにより、所定の積算期間内にポイントを集計して賞品を提供することにより、インターネットの加入者に潤いを与えると共にユーザのささやかな射倖心を満足させることを目的としている。」 (2e)「【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る勝ち抜きゲームによる賞品獲得システムおよび方法の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。まず、図1および図2を用いて、本発明の第1実施形態に係る賞品獲得システムについて説明する。この発明は加入会員等のユーザと加入者を募る勝抜きゲーム賞品提供システム側とが一体となって勝ち抜きゲームによる賞品獲得システムとなる。 【0012】図1は、本発明の第1実施形態に係る賞品獲得システムの基本構成を示すブロック構成図である。図1において、第1実施形態に係る賞品提供システム1を含む勝ち抜きゲームによる賞品獲得システム2は、インターネットサービス網3のゲームサイトとして設けられて、このインターネットサービス網3を介して情報交換可能に設定されたユーザ15が加入する個々のプロバイダ等のサーバ10に接続されている。サーバ10とユーザ15との間には、所定の課金システムが構築されており、提供したサービスに応じて徴収手段4を介して料金の徴収が行なわれている。 【0013】図1に示されるような賞品獲得システム2は、図2に示されるインターネットサービス網3において用いられている。このインターネットサービス網3は例えばISDN等の公衆通信回線網に接続されて各種の通信サービスを提供するプロバイダ等の第1ないし第nの複数のサーバ10a,10b…10nと、これら複数のプロバイダ10a?10nとそれぞれサービス提供契約を締結して所望のサービスの提供を受ける複数の加入ユーザ15…と、を含んでいる。各サーバ10a?10nは、図1のサーバ10に示すように、所定の機能を有すると共にユーザ15からの希望に基づいて所定の情報提供サービスやその対価としての料金計算等を行なうホストコンピュータ11と、このホストコンピュータ11に接続されて計算された料金をユーザ指定の金融機関より代理徴収するカード会社等の前記徴収手段4を介してユーザ15の所定期間毎の利用料金を課金する課金手段12と、を少なくとも備えている。 【0014】図1において、勝抜きゲーム提供システム1は、ユーザ15に対して上限つきの参加フィーを予め付与する参加フィー付与手段5と、所定の勝ち抜きゲームをユーザ対ホストコンピュータ間またはユーザ対ユーザ間で競わせて勝ち抜きゲームを管理するゲーム管理手段6と、前記勝ち抜きゲームに参加しユーザから所定の参加フィーを取り上げる参加フィー精算手段7と、勝ち抜き数に応じたポイントを前記勝ち抜きゲームに勝ったユーザに付与することにより所定の積算期間内の特定のユーザのポイントを計算するポイント計算手段8と、前記計算によるポイント数に応じた賞品をリスト内からユーザに選択させて与える賞品授与手段9と、を備えている。 【0015】一方、ユーザ15は、例えばパーソナルコンピュータ16等を操作してサーバ10との間で情報やサービス等の申し込みや提供を行なっており、この勝抜きゲーム提供システム1への加入やゲームを実行するために、それぞれ申込加入手段17と、ゲーム実行手段18とを備えている。これらの申込加入手段17およびゲーム実行手段18は、前記パーソナルコンピュータ16の機能構成として設けられている。 【0016】図1に示された賞品獲得システム1は、特定サービス提供サーバとして特定のサーバ10との間で付加的情報提供サービスを行なうものであり、具体的には図2に示すように特定サーバ10のホストコンピュータ11との間に設けられた専用オンライン回線により接続されていても良いし、個々のユーザ15と同様に公衆通信回線網を介して接続されていても良いが、本第1実施形態においては説明の便宜上特定の専用オンライン13により接続されているものとする。」 (2f)「【0018】図3ないし図7は、第2実施形態に係る賞品提供システムへのユーザの加入画面をそれぞれ示している。…<中略>… 【0019】図4において、ゲームの基本的なシステムとしての参加フィーの購入が説明される。この勝ち抜きゲームシステムは、予め僅かな金額に相当する参加フィーをプリペイド方式により購入する。プリペイドカードに化体される参加料金は、例えば保護者が加入しているサーバを利用している未成年者等が購入しても問題とならないように一律に1000円のものしか購入できない。したがって、図4に示す購入画面においては、「1000円のプリペイドカードを購入する」か否かのみを聞いてくることになる。「YES」か「NO」の画面上のボタンをクリックする。「YES」のボタンをクリックすると図5に示される賞品提供システムの説明画面が表示される。なお、1000円のプリペイドカードを購入すると、実際にシンボル化されたプリペイドカードが表示されるが、カード上の参加フィー数は100フィー(以下、Fとする。)である。したがって、購入時のゲームの参加フィーの換金率は、10円で1フィー(F)である。」 (2g)「【0039】次に、図19ないし図22を参照しながら決勝トーナメントの行ない方について説明する。…<中略>… 【0042】…<中略>…図21の画面で勝利を納めたユーザに対しては、図22のような勝者への情報が提供される。勝者には「WIN」の表示と共に、「次のゲームに参加する」か否かが質問され、「YES」か「NO」のボタンが選択される。「YES」が選択されると「前の画面へ」と移行し、「NO」が選択されると「賞品画面へ」と画面が変化する。画面の右下隅には、現在の参加者数が例えば50人のように表示され、画面の右下隅には現在までの獲得ポイントが、「現在のポイント2400P」のように表示される。 【0043】厳密に決勝戦が繰り広げられていくとすると、参加者数は1つの回戦が消化される毎に、半分ずつになるはずであるが、この勝抜きゲームシステムでは途中で降りるという選択枝もあるために常に半減していくとは限らない。…<中略>… 【0045】ゲームを降りた場合には獲得したポイントは賞品に交換しなければならない。もしも希望する賞品がない場合には、獲得したポイントは所定時間貯めておくことができる。<以下略>…」 (2h)「【0050】以上のような詳細な処理動作に基づいて、ゲームを行なうことができるが、これを図25を用いて第3実施形態に係る勝抜きゲームによる賞品獲得方法として説明する。この方法の基本的な処理ステップは、基本的には上述した課題を解決するための手段の項でも説明したように、ユーザのコンピュータからの入力により申し込まれた勝ち抜きゲームへの参加をインターネットを介して受け付ける加入受付ステップと、前記インターネットのゲームサイトにおいて処理され、このインターネットの課金システムを利用して上限付きの所定の参加フィーをユーザに付与する参加フィー付与ステップと、所定の勝ち抜きゲームをユーザ対ホストコンピュータ間またはユーザ対ユーザ間で競わせて勝ち抜きゲームを管理すると共に前記加入受付ステップにより参加が許された特定ユーザからの個別ゲームの申し込みに対して所定の勝ち抜きゲームを提供して前記勝ち抜きゲームを管理するゲーム管理ステップと、前記勝ち抜きゲームに負けたユーザから所定の参加フィーを取り上げることにより所定の積算期間内の特定のユーザの消費された参加フィーを累積計算する参加フィー徴収ステップと、特定ユーザが1日に勝ち抜きゲームに参加できる回数を管理してそのユーザが必要以上の参加フィーを消費しないように制限するゲーム回数管理ステップと、所定の積算期間を管理して、その積算期間内の前記特定ユーザの勝ち負けを累算すると共に特定ユーザより取上げた参加フィーを集計する参加フィー集計ステップと、前記特定ユーザからの要求に基づいてその特定ユーザの獲得したポイント数を表示すると共に所定の賞品リストを表示して、該特定ユーザに対して賞品の選択を許容する賞品選択許容ステップと、前記賞品選択許容ステップによる前記ユーザの賞品選択を許容したことに対応して特定ユーザの獲得ポイントから選択した賞品に相当するポイントを差し引くポイント計算ステップと、計算によるポイント数に応じた賞品をリスト内からユーザに選択させて与える賞品授与ステップと、を備えている。 【0051】図25にしたがって、さらに詳細に説明する。図25に示すように、ステップST1で図3の画面を用いて契約プロバイダのIDやパスワードを入力する。このIDやパスワードの入力は本発明に係る勝ち抜きゲームによる賞品提供システムの課金体系を基本契約プロバイダの課金体系にのせて徴収するために必要な確認処理である。次に、ステップST2において、図2に示す画面によりゲーム提供システムに入会し、1000円のプリペイドカードを購入する。上述のようにこの課金は契約プロバイダを介して行なう。次に、ステップST3において、システムの説明とゲーム内容の説明が図5および図6の画面を用いて行なわれる。 【0052】次に、ステップST4において、ゲームのルールの説明が例えばキャラを高めるゲームについては図7のような画面により行なわれる。次に、図8に示す画面のように、ステップST5において、参加ゲームが選択される。図8の例によれば、ゲームは(1)勝ち抜きじゃんけんゲーム、(2)じゃんけん連勝ゲーム、(3)キャラを高めるゲームの3つであるので、その何れかを選択することによりステップST6、ステップST15、ステップST18の3つのステップに処理がそれぞれ別れることになる。 【0053】まず、(1)の勝ち抜きじゃんけんゲームを選択すると、ステップST6でキャラクタが選択される。このキャラクタ選択の例としては図9に示される画面を用いて行なわれる。次に、ステップST7で決勝戦の時間を選んで予選に参加する。この決勝戦の時間の選択については図15に示す画面を用いて行なわれる。次にステップST8において、予選ゲームが行なわれる。予選ゲームは図16ないし図18に示される画面を用いて行なわれる。ステップST8で予選を勝ち抜き続けると、ステップST9に進んで決勝戦に進出することができる。決勝戦では、図19に示されるような画面が表示され、図20に示すような決勝戦へのエントリーや図21に示すような対戦相手のデータ等が表示される。次に、ステップST10で実際に対戦ゲームが行なわれる。これに勝ち続けると、ステップST11のように勝ち続けてポイントを得ることになる。 【0054】その後、ステップST12で対戦を続行するか否かが判断され、YESを選択すると、再びステップST5に戻ってゲームを選択することができる。ここで、今度は、(2)じゃんけん連勝ゲームを選択すると、ステップST15に進み、ステップST16において勝ち続けてポイントを獲得することができる。次に、ステップST17においてポイントを貯めて賞品に交換することができる。ここで、ステップST12の判断の際に対戦を続けないように選択すると、ステップST13で図23の画面で賞品を選択して獲得ポイントに応じた賞品に交換することができる。図24で示す発送画面を表示させると、ステップST14において商品発送の処理を行なうことができる。 【0055】ステップST5に戻って、(3)のキャラクタを高めるゲームを選択した場合にはステップST18に進み、キャラクタを選択してからそのキャラクタにより予選を勝ち抜くためにキャラクタのパラメータを高めることができる。ステップST19において、ゲームに勝つことによりレベルアップが繰り返され、ステップST20において、何回でも挑戦してキャラクタのレベルを高めることができる。ステップST21において、決勝戦に進めるくらい、例えばL30のレベルを超えるまでパラメータがアップされると、ステップST8の予選の勝抜きゲームににおいて勝ち抜きに有利となり決勝進出ラインを超えるとステップST9で決勝戦に進むことができる。 【0056】以上のようにして、本発明の第3実施形態に係る勝ち抜きゲームによる賞品獲得方法によっても、一般契約サーバの課金システムを利用して簡易なゲームにより所望の賞品を自由に選択獲得することができ、ささやかな射倖心を満足させると共にユーザに一定の安らぎ等を与えることができる。」 これらの記載事項及び図示内容を総合すると,引用例2には以下の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「インターネットサービス網3を通じて,複数の加入ユーザ15が操作する複数のパーソナルコンピュータ16と勝ち抜きゲーム提供システム1により勝ち抜きゲームを行う方法であって, 前記勝ち抜きゲーム提供システム1により勝ち抜きゲームを行う方法が, (a")前記パーソナルコンピュータ16からの入力により申し込まれた所定の勝ち抜きゲームへの参加をインターネットを介して受け付けると, (b")一律の金額分しか購入できない参加フィーを購入させ,上限付きの所定の参加フィーをユーザに付与する参加フィー付与ステップと, (c")所定の勝ち抜きゲームを提供して前記勝ち抜きゲームを管理するゲーム管理ステップと, (d")前記勝ち抜きゲームが終了すると,勝ち抜きゲームに負けたユーザから所定の参加フィーを取り上げる参加フィー徴収ステップ,及び,勝ったユーザにポイントを付与するステップと, (e")勝者には「WIN」の表示と共に,「次のゲームに参加する」か否かが質問されるステップと, (f")「YES」が選択されると対戦を続けるステップと, (g")「NO」が選択されると,賞品を選択して獲得ポイントに応じた賞品に交換するステップと, を備えた勝ち抜きゲームを行う方法。」 4.対比 本願発明と引用発明1とを対比すると, ・引用発明1の「ネットワーク40」は,本願発明の「通信ネットワーク」に相当し,以下同様に, ・「クライアント装置600」は,「クライアントコンピュータ」に ・「サーバ装置500」は,「サーバー装置」に, ・「トーナメント戦を行う方法」は,「オンラインゲームトーナメントを行う方法」に, ・「利用者」は,「使用者」に, ・「ネットワークゲームの各利用者ごとにトーナメント進行に対して,…登録する」ことは,「特定ゲームに対する個々の使用者のトーナメント進行に対して…記録する」ことに, ・「トーナメントのステージ情報ST」は,「トーナメントの勝ち進みのレベルを表す現在レベル」に, それぞれ相当する。 また,本願発明の「クレジット」は,トーナメント戦に勝つと増加し,負けると減少するものであることからして,使用者のオンラインゲームにおける「強さ」を表すものといえるから, ・引用発明1の「利用者のそのゲームの強さを示す点数である強さR」は,本願発明の「現在クレジット」に相当し,以下同様に, ・「対局待ちか待ちでないかを意味する状態S…を登録する」ことは,「個々の使用者に対して現在ゲームを進行しているか否かを記録する」ことに, ・「利用者DB530」は,「トーナメント情報貯蔵手段」のうちの「トーナメントの勝ち進みのレベルを表す現在レベルと現在クレジット」を記録する部分と「使用者情報貯蔵手段」に, ・「トーナメント戦開始の時点では第1ステージと設定する」ことは,「初期レベル…を付与して記録する」ことに, ・「登録時の申請に基づく強さRを設定する」ことは,「初期クレジットを付与して記録する」ことに, ・「対局待ちに設定した利用者」及び「対局者」は,「参加者」に, ・「対局待ちである利用者」は,「現在ゲームを進行していない参加者」に, ・「対局両者」及び「対局者」は,「対戦者」に, それぞれ相当する。 さらに, ・引用発明1の「(a')クライアント装置600からの要求プロトコルのパラメタとして送られてきた利用者識別子NiおよびパスワードPiを,利用者DB530のデータと比較(CP)することで,アクセスしてきた利用者が本システムに登録されている利用者かどうかを判定する判定段階」と,本願発明の「(a)クライアントコンピュータの使用者から特定ゲームへの参加希望を受けると、トーナメント情報貯蔵手段を参照して、前記ゲームのトーナメント参加に関する有効/非有効記録により前記使用者の前記ゲームのトーナメント参加可否を決定する有効な参加者判断段階」とは,「(a)クライアントコンピュータの使用者から特定ゲームへの参加希望を受けると,トーナメント情報貯蔵手段を参照して,所定の判断を行う段階」において共通し,同様に, ・「(b')判断段階で正当な利用者でなければ,Errorである旨をクライアント装置600に送り返し,正当な利用であれば,受信した要求の種類を判別し,対局要求を受けた場合,その要求を発行した利用者を対局待ちに設定(状態Si=1)し,トーナメント戦開始の時点では第1ステージと設定し,登録時の申請に基づく強さRを設定する段階」と,「(b)有効な参加者判断段階でその記録が非有効と記録され有効参加者でない場合、使用者が参加費を決済した旨の通知を受けて、トーナメント情報貯蔵手段における、当該使用者の参加有効可否を有効と記録し、初期レベルと初期クレジットを付与して記録する初期参加費決済によるトーナメント参加段階」とは,「(b)判定を行う段階の結果を受けて,所定の処理を経て,使用者をトーナメントの有効な参加者とし,初期レベルと初期クレジットを付与して記録する段階」において共通する。 そして,上記対応関係の結果, ・引用発明1の「(c')対局待ちに設定した利用者のステージ情報(STn)を利用者DB530から読み取り,ステージ情報が同じで(ST=STn),かつ対局待ちである利用者を読み取り,対局者選定処理を行う段階」は,本願発明の「(c)ゲームのトーナメントに有効に参加した参加者について、トーナメント情報貯蔵手段および使用者情報貯蔵手段を参照し、同一レベルであり現在ゲームを進行していない参加者を抽出して、それらの間で対戦者らを決定する対戦者決定段階」に相当する。 さらにまた, ・引用発明1の「(d')利用者Ni,Mi(対局両者)の対局が終了すると,負けた対局者のステージ情報(STn)をどのステージにも属していないことを意味する「null」とし,勝った対局者のステージ情報に1を加える(STn=STn+1)ステージ情報の更新をし,更新されたステージ情報を利用者DB530へ記録する段階」と,本願発明の「(d)対戦者間のゲームが終了すると、敗者のトーナメント情報貯蔵手段の現在クレジットに対して、前記ゲーム情報貯蔵手段のクレジット比率による部分を勝者のトーナメント情報貯蔵手段の現在クレジットに加算し、勝者である使用者に対する前記トーナメント情報貯蔵手段の現在レベルを一段階アップさせて記録し、敗者である使用者のトーナメント情報貯蔵手段のクレジットから前記勝者に加算した部分を減算して敗者のクレジットを確定して、敗者の参加有効可否記録を非有効と記録する勝敗者処理段階」とは,「(d)対戦者間のゲームが終了すると、敗者の情報を所定の手順で更新してトーナメントに参加できなくし、勝者である使用者に対するトーナメント情報貯蔵手段の現在レベルを一段階アップさせて記録する勝敗者処理段階」である点で共通し,以下同様に, ・「(e')勝った対局者に次のステージに進ませる段階」と,「(e)勝者のクライアントコンピュータに対して継続的なトーナメント参加確認を送信する勝者継続参加確認段階」とは,「(e)勝者のクライアントコンピュータに対して,次のステージに進ませるための処理を行う段階」において, ・「(f')次のステージに進ませた対局者に対して,段階(c')(d')(e')を含む段階を実行する段階」と,「(f)継続的な参加確認に対して、クライアントコンピュータから、継続参加をする旨の返信があると、段階(c)(d)(e)を含む段階を実行する継続参加段階」とは,「(f)次のステージに進ませた対局者に対して,段階(c)(d)(e)を含む段階を実行する段階」において, それぞれ共通する。 してみると,両発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「通信ネットワークを通じて複数のクライアントコンピュータとサーバー装置によりオンラインゲームトーナメントを行う方法であって, 前記サーバー装置は,特定ゲームに対する個々の使用者のトーナメント進行に対してトーナメントの勝ち進みのレベルを表す現在レベルと現在クレジットを記録するトーナメント情報貯蔵手段と,個々の使用者に対して現在ゲームを進行しているか否かを記録する使用者情報貯蔵手段とを有しており, 前記サーバー装置によりオンラインゲームトーナメントを行う方法が, (a)前記クライアントコンピュータの使用者から特定ゲームへの参加希望を受けると,前記トーナメント情報貯蔵手段を参照して,所定の判断を行う段階と, (b)前記判定を行う段階の結果を受けて,所定の処理を経て,前記使用者をトーナメントの有効な参加者とし,初期レベルと初期クレジットを付与して記録する段階と, (c)前記ゲームのトーナメントに有効に参加した参加者について,トーナメント情報貯蔵手段および使用者情報貯蔵手段を参照し,同一レベルであり現在ゲームを進行していない参加者を抽出して,それらの間で対戦者らを決定する対戦者決定段階と, (d)前記対戦者間のゲームが終了すると,敗者の情報を所定の手順で更新してトーナメントに参加できなくし,勝者である使用者に対する前記トーナメント情報貯蔵手段の現在レベルを一段階アップさせて記録する勝敗者処理段階と, (e)勝者のクライアントコンピュータに対して,次のステージに進ませるための処理を行う段階と, (f)前記次のステージに進ませた対局者に対して,前記段階(c)(d)(e)を含む段階を実行する段階と, を備えたオンラインゲームトーナメント方法。」 [相違点1](クレジット精算) 本願発明では,サーバー装置が有する「トーナメント情報貯蔵手段」が,「トーナメント進行に対して」現在クレジットを記録するのに対して,引用発明1では,現在クレジットを記録しているものの,この値は固定であってトーナメント進行に対して記録するものではなく,また,本願発明では,サーバー装置が「ゲーム情報貯蔵手段」を有して当該手段が「ゲーム勝負により勝者が敗者から受けることになるクレジットの比率を記録する」のに対して,引用発明1はこのような勝敗者間での「クレジット」の精算に係る情報を記録する手段を有さず,その結果, 段階(d)において,本願発明では,「敗者のトーナメント情報貯蔵手段の現在クレジットに対して、ゲーム情報貯蔵手段のクレジット比率による部分を勝者のトーナメント情報貯蔵手段の現在クレジットに加算し、…敗者である使用者のトーナメント情報貯蔵手段のクレジットから前記勝者に加算した部分を減算して敗者のクレジットを確定」するのに対して,引用発明1では,勝敗者間での「クレジット」の精算処理を行わない点。 [相違点2](参加可否/参加費決済) 本願発明では,サーバー装置が有する「トーナメント情報貯蔵手段」が,トーナメント進行に対して,段階(b)に記載されるように参加費の決済と連動する「参加有効可否」を記録するのに対して,引用発明1では,「参加有効可否」を記憶しておらず,また,本願発明では,サーバー装置が有する「ゲーム情報貯蔵手段」が「参加費」を記録するのに対して,引用発明1では,サーバー装置が「参加費」を記録する手段を有しておらず,その結果, 段階(a)において,本願発明では,当該「トーナメント情報貯蔵手段」を参照して,「ゲームのトーナメント参加に関する有効/非有効記録により使用者の前記ゲームのトーナメント参加可否を決定する」のに対して,引用発明では,「トーナメント情報貯蔵手段」を参照するものの,その内容は使用者がシステムに登録された者であるかを判定するためであってトーナメント参加可否を決定するためではなく, 段階(b)において,本願発明では,「有効な参加者判断段階でその記録が非有効と記録され有効参加者でない場合、使用者が参加費を決済した旨の通知を受けて、トーナメント情報貯蔵手段における、使用者の参加有効可否を有効と記録し、初期レベルと初期クレジットを付与して記録する初期参加費決済」の処理を行うのに対して,引用発明1では,使用者を「トーナメントの有効な参加者とする」処理及び「初期レベルと初期クレジットを付与して記録する」処理は行うものの,「参加費を決済」する処理及び「参加費を決済した旨の通知を受けて、トーナメント情報貯蔵手段における、使用者の参加有効可否を有効と記録する」処理を行わなわず,また, 段階(d)において,本願発明では,「敗者の参加有効可否記録を非有効と記録する」のに対して,引用発明1では,敗者に対してトーナメントに参加できなくする処理を行うものの,「参加有効可否記録を非有効と記録する」処理を行わない点。 [相違点3](継続意思確認) 段階(e)及び(f)において,本願発明では,「継続的なトーナメント参加確認を送信」し,「クライアントコンピュータから、継続参加をする旨の返信があると、段階(c)(d)(e)を含む段階を実行する」のに対して,引用発明1では,継続的な参加の意思確認を行うことなく「次のステージに進ませ」,「段階(c)(d)(e)を含む段階を実行する」し,また, 段階(g)を,本願発明は備えるのに対して,引用発明1では,当該段階を備えない点。 5.判断 上記相違点について以下に検討する。 (1)相違点1について 引用例1には,第2の実施形態として,上記摘記事項(1g)に,「対局が終了したときに,対局の結果および対局者同士の強さから、あらかじめ決められたルールにより、各対局者の強さRを計算し,利用者DB361の対局した各利用者の強さを書き換える。」と記載され,当該事項が,本願発明の「トーナメント進行に対して…現在クレジットを記憶する」ことに相当する。 また,引用例1の同摘記事項には,強さを計算するルールの一例として,「次の式で得失点を求めそれを勝った方、負けた方の元の点数に加算、減算する。 (1)点数が高い方が勝った場合、得失点=16-(持点差×4%) (2)点数が低い方が勝った場合、得失点=16+(持点差×4%)」 と記載されており,当該事項と上記相違点1に係る本願発明とは,サーバー装置において,「ゲーム情報貯蔵手段」を有して「ゲーム勝負により勝者が敗者から受けることになるクレジット計算のためのデータを記録する」ことで共通し,また,「敗者のトーナメント情報貯蔵手段の現在クレジットに対して、ゲーム情報貯蔵手段のクレジット計算のためのデータを利用して計算された部分を勝者のトーナメント情報貯蔵手段の現在クレジットに加算し、…敗者である使用者のトーナメント情報貯蔵手段のクレジットから前記勝者に加算した部分を減算して敗者のクレジットを確定」することでも共通する。ここで,引用例1の上記事項と上記相違点1に係る本願発明とは,「計算のためのデータ」が,前者では上記摘記事項中の(1)及び(2)の数式であるのに対して,本願発明では「比率」である点で相違するものの,計算の中身は当業者が適宜選択し得る性質のものである。 引用例1には,引用発明1(第3の実施形態)のサーバ装置500に第2の実施形態を適用することについての直接的記載はないものの,引用発明1と第2の実施形態のサーバ装置は,いずれも第1の実施形態のサーバ装置を基礎としている点で共通しており,また,上記摘記事項(1m)には,引用発明1の「クライアント装置600…の各構成要素は、図17に示した第2の実施の形態の同名の構成要素と同じ機能を有している。」と記載されるように,第2の実施形態を適用することについての示唆があることから,引用発明1に引用例1に第2の実施形態として記載された上記技術的事項を適用し,また,その適用に際して上記「計算のためのデータ」としてクレジットの「比率」を選択することによって,上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。 (2)相違点2について 引用例2には,引用発明2として,勝ち抜きゲームを行う方法(本願発明の「オンラインゲームトーナメントを行う方法」に相当。以下,本欄において括弧内同じ。)において,勝ち抜きゲームへの参加に当たり,参加フィー(「参加費」に相当)の購入を求めることが開示されている。 このように参加フィーが要求される場合において,参加フィーの支払いができるか否か判断し,これができないない場合に,参加できないようにすることは自明であるから,この判断結果をフラグ化して記録する(「参加有効可否…を記録」に相当)ようにすることは,当業者が適宜なし得た事項である。そして,引用発明2では,段階(d")に記載されるように,ゲーム終了に応じて参加フィーが徴収されるから,当該フラグが,本願発明のようにトーナメント進行に対して記録されることになるのは自明である。 また,引用発明2が「参加フィー」を記録するための手段を有することは自明であるから,同発明が本願発明の「参加費…を記録するゲーム情報貯蔵手段」を備えることも自明である。 引用発明1と2とは,オンラインゲームトーナメントを行う方法において共通しているから,引用発明1に引用発明2を適用して,サーバー装置が有する「トーナメント情報貯蔵手段」に「参加有効可否」を記録すること,及び,サーバー装置に「参加費…を記録するゲーム情報貯蔵手段」を備えるようにすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。 そして,上記適用により,引用発明1の 段階(a)において,本願発明のように「トーナメント情報貯蔵手段」を参照して,「ゲームのトーナメント参加に関する有効/非有効記録により使用者の前記ゲームのトーナメント参加可否を決定する」こと, 段階(b)において,本願発明のように「参加費を決済」する処理及び「参加費を決済した旨の通知を受けて、トーナメント情報貯蔵手段における、使用者の参加有効可否を有効と記録する」処理を行うようになること, はぞれぞれ自明であり,また,引用発明1の 段階(d)において,敗者に対してトーナメントに参加できなくする処理を行うに当たり,「参加有効可否」フラグを流用して,これに「非有効と記録する」ことは,当業者が適宜なし得た事項である。 (3)相違点3について 引用発明2の段階(d")及び(e")は,それぞれ,本願発明の段階(d)及び(e)に相当する。 また,引用発明2には,段階(g")として,獲得ポイントに応じた賞品を決定するというゲームの終了に必要な処理を行う段階を設けるという技術思想が開示されている。 上記(2)欄に記載したように,引用発明1と2とは,オンラインゲームトーナメントを行う方法において共通しているから,引用発明1に引用発明2を適用して,引用発明1において引用発明2の段階(d")及び(e")を設けるとともに,段階(g")のようなゲームの終了に必要な処理を行う段階を設けるようにすることは,当業者が容易に想到し得た事項であり,当該終了に必要な処理として,引用発明1の現在クレジットを確定させること,及び,上記(2)欄で検討した「参加有効可否」フラグに「非有効と記録する」ことは,当業者が適宜なし得た事項である。 (4)効果について 本願発明の全体構成により奏される作用・効果は,引用発明1の効果が記載された上記摘記事項(1r)の記載,及び,引用発明2の目的が記載された上記摘記事項(2d)の記載から,当業者が予測し得た事項である。 (5)審判請求人の主張について (イ)本願発明の特徴に係る主張 審判請求人は,審判請求書の4.(1) i)欄(第5頁)において,本願発明の「特徴とするところは、『同一レベルの参加者で対戦を行い、敗者の現在クレジットの所定比率を勝者の現在クレジットに移転し、勝者の現在レベルを一段階アップさせるという処理を繰り返す』という点にある。ここで、本発明における『同一レベル』とは、同じクレジット(金額)を有することを意味している。」と主張している。 しかしながら,「『同一レベル』とは、同じクレジット(金額)を有することを意味」することについては,請求項1の記載からは読み取ることができない。 さらに,本願図面【図2】に記載された「トーナメントデータベース(230)」において,「現在レベル」記録領域と「現在クレジット」記録領域とが別々に設けられていることや,本願明細書の段落【0095】欄に「対戦を経ないで一定費用を支払ってそのレベルを上昇(有償レベルアップ)させ」ることについての言及があることからして,上記主張は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載された事項に基づくものであるとも認められない。 また,審判請求人が主張する本願発明の特徴の残りの部分は,上記のとおり,「同一レベルの参加者で対戦を行い、…勝者の現在レベルを一段階アップさせるという処理を繰り返す」点については引用発明1として,「敗者の現在クレジット」を所定の計算により「勝者の現在クレジットに移転」することは引用例1に第2の実施形態として開示された事項である。 よって,上記主張は採用できるものではない。 (ロ)本願発明と引用例1に開示された発明との対比に係る主張 審判請求書の4.(1) iv)欄(第7頁)において,「引用文献1[当審注:本審決における引用例1に対応]には、同じ初期レベルと初期クレジットが参加者に与えられ、敗者から勝者に所定レベルのクレジットが移転されるという点の記載がなく、上記のように、同一レベルであって同じクレジットを有する参加者で対戦を行うという点の開示がない。」と主張している。 しかしながら,請求項1には,各参加者に「同じ」初期レベルと初期クレジットを与えることについて特定されていない。 また,上記主張の残りの部分については,上記(イ)欄に記載したとおりである。 よって,上記主張も採用できるものではない。 (6)まとめ したがって,本願発明は,引用発明1及び2並びに引用例1に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明1及び2並びに引用例1に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,その余の請求項について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 なお,審判請求人は,回答書において,本願発明に 「継続参加段階では、勝者としてのクレジット加算処理が同一回数行われた使用者が対戦者として決定される」 という発明特定事項を追加する補正の準備がある旨を述べているものの,当初明細書等には,クレジット加算処理の回数を計数したり,データベースに記録したりすることについて記載されておらず,回答書の3.(2)欄に審判請求人が当該補正の根拠として挙げた当初明細書の段落【0085】,【0093】及び【0094】にも,このようなことについて示唆する記載が見当たらない。 よって,このような補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内のものではなく,違法なものであることを付記する。 |
審理終結日 | 2012-01-23 |
結審通知日 | 2012-01-30 |
審決日 | 2012-02-13 |
出願番号 | 特願2006-516949(P2006-516949) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加藤 肇 |
特許庁審判長 |
山口 由木 |
特許庁審判官 |
中川 真一 仁科 雅弘 |
発明の名称 | トーナメント方式で進行されその勝数により賞金が決定される、オンラインゲームトーナメントシステム及びその方法 |
代理人 | 鶴本 祥文 |
代理人 | 松下 正 |
代理人 | 古谷 栄男 |