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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1259410
審判番号 不服2011-16282  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-28 
確定日 2012-07-05 
事件の表示 特願2006- 71712「基板の搬送方法およびICの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月27日出願公開、特開2007-250797〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成18年3月15日の特許出願であって、同22年10月8日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同22年12月14日に意見書とともに特許請求の範囲、発明の名称及び明細書について手続補正書が提出されたが、同23年4月26日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同23年7月28日に本件審判の請求がされるとともに特許請求の範囲及び明細書について手続補正書が提出されたものである。

第2 平成23年7月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年7月28日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容の概要
平成23年7月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするとともにそれに関連して明細書の一部について補正をするものであって、特許請求の範囲の請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。
(1)補正前
「基板が収納された基板収納容器の開口部にキャップが装着されることで側壁内面に形成される一対の奥側位置決め部によって基板が挟みこまれた基板収納容器の開口部からキャップを取り外す工程と、
前記開口部から前記基板収納容器内に収納された基板の下側に、基板載置部と、前記載置部より先端側に配置され前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定された基板引っ掛け部とを備えた基板載置プレートを挿入する工程と、
前記基板の前記基板収納容器内の奥側の周縁部を前記基板引っ掛け部にて引っ掛けるとともに、前記位置決め部から取り外された前記基板を基端側に設けられた一対の突設部と先端側載置部に設けられた一対の突設部から構成される前記載置部に載置し、前記基板載置プレートを前記基板収納容器内から引き出す工程と、
を有する基板の搬送方法。」
(2)補正後
「基板が収納された基板収納容器の開口部にキャップが装着されることで側壁内面に形成される一対の奥側位置決め部によって基板が挟みこまれた基板収納容器の開口部からキャップを取り外す工程と、
前記開口部から前記基板収納容器内に挟みこまれ収納された基板の下側に、基板載置部と、前記載置部より先端側に配置され前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定された基板引っ掛け部とを備えた基板載置プレートを挿入する工程と、
前記基板の前記基板収納容器内の奥側の両奥側位置決め部の近傍に位置し、基板の両奥側位置決め部の近傍の周縁部を前記基板引っ掛け部にて引っ掛けるとともに、前記位置決め部から取り外された前記基板を基端側に設けられた一対の突設部と先端側載置部に設けられた一対の突設部から構成される前記載置部に載置し、前記基板載置プレートを前記基板収納容器内から引き出す工程と、
を有する基板の搬送方法。」
2 補正の適否
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、基板収納容器内に収納された基板について、「基板収納容器内に挟みこまれ収納された基板」と限定するとともに、基板の基板収納容器内の奥側の周縁部について、「基板の前記基板収納容器内の奥側の両奥側位置決め部の近傍に位置し、基板の両奥側位置決め部の近傍の周縁部」と限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とすることが明らかであるので、さらに、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
(1)補正発明
補正発明は、本件補正により補正された明細書(以下「補正明細書」という。)及び願書に添付した図面の記載からみて、上記1(2)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの「基板の搬送方法」であると認める。
(2)刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2005-93868号公報(以下「刊行物1」という。)及び特開平9-172050号公報(以下「刊行物2」という。)の記載内容はそれぞれ以下のとおりである。
ア 刊行物1
(ア)刊行物1記載の事項
刊行物1には以下の事項が記載されている。
(ア)-1 段落【0001】
「本発明は、基板処理装置に関し、特に、ワークである基板の搬送技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に酸化膜や窒化膜や金属膜を成膜するのに利用して有効なものに関する。」
(ア)-2 段落【0014】
「正圧移載室40には正圧下でウエハ1を移載する第二のウエハ移載装置(以下、正圧移載装置という。)50が設置されており、正圧移載装置50は正圧移載室40に設置されたエレベータ51によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ(図示せず)によって左右方向に往復移動されるように構成されている。図2に示されているように、正圧移載装置50はスカラ形ロボットによって二枚のウエハを同時に搬送し得るように構成されている。すなわち、正圧移載装置50は上側に位置する第一のアーム(以下、上側アームという。)53と、下側に位置する第二のアーム(以下、下側アームという。)54とを備えており、上側アーム53および下側アーム54の先端部には基板載置プレートとしての上側エンドエフェクタ55および下側エンドエフェクタ56がそれぞれ取り付けられている。上側エンドエフェクタ55および下側エンドエフェクタ56はいずれも、ウエハ1を掬い取って下から支持し得る二股のフォーク形のプレート(板体)形状に形成されている。上側エンドエフェクタ55および下側エンドエフェクタ56は実質的に同一形状に形成されているので、その構成は図3に示された上側エンドエフェクタ55を代表にして説明する。上側エンドエフェクタ55の上面にはウエハ1の位置ずれ防止のためのザグリ55aが没設されており、ザグリ55aの立ち上がり面が構成する円弧面の直径Daは、ウエハ1の直径Dwよりも若干大きめに設定されている。例えば、ウエハ1の直径Dwが300mmの場合には、ザグリ55aの直径Daは303?305mmに設定されている。正圧移載装置50にはコンピュータ等によって構築されて正圧移載装置50を制御するコントローラ57が接続されており、コントローラ57はポッド2からウエハ1を取り出す際のエンドエフェクタ55、56での第一のウエハ載置位置と、ウエハ1に処理を施した後の処理済みのウエハ1をポッド2へ収納する際のエンドエフェクタ55、56での第二のウエハ載置位置とを異ならせるように構成されている。」
(ア)-3 段落【0016】
「なお、ウエハ1を収納する基板収納容器としてのポッド2は図4に示されているように構成されている。すなわち、ポッド2は一つの側壁に略正方形の開口部であるウエハ出し入れ口4を有する略立方体の箱形状に形成された本体3と、ウエハ出し入れ口4に着脱自在に装着されるキャップ7とを備えている。本体3のウエハ出し入れ口4に隣接した上下左右の側壁のうち左右の側壁の内面には、複数段の保持部片5が等間隔に配置されて側面に直角に突設されており、各段の保持部片5は同一の平面を構成してウエハ1を水平に保持するように設定されている。また、左右の側壁の内面には一対の奥側位置決め部6、6が形成されており、両奥側位置決め部6、6は保持部片5に保持されたウエハ1の外周の二箇所にそれぞれ当接することによってウエハ1の奥側の位置を規制するように設定されている。キャップ7の内面の中央には前側位置決め部8が装備されており、前側位置決め部8は保持部片5に保持されたウエハ1の外周の一箇所に当接してウエハ1の前側の位置を規制することにより、両奥側位置決め部6、6と協働してウエハ1のガタツキを防止するように設定されている。キャップ7には錠前9が装着されており、錠前9は本体3のウエハ出し入れ口4の一部に係合することによりキャップ7を本体3にロックするように構成されている。」
(ア)-4 段落【0018】?【0019】
「これから成膜すべきウエハ1は二十五枚がポッド2に収納された状態で、成膜工程を実施するCVD装置へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。図1に示されているように、搬送されて来たポッド2は載置台43の上に工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッド2のキャップ7がキャップ着脱機構44によって取り外され、ポッド2のウエハ出し入れ口4が開放される。
ポッド2がポッドオープナ42により開放されると、正圧移載室40に設置された正圧移載装置50はウエハ搬入搬出口47を通してポッド2の本体3からウエハ1をピックアップして正圧移載装置50に引き出し、正圧移載室40のアライメント装置45に移載する。ところで、ポッド2での収納状態でのガタツキを防止する必要上、図4に示されているように、ウエハ1はキャップ7によって両奥側位置決め部6、6に押し付けられた状態になっているために、正圧移載装置50がウエハ1をポッド2の本体3からピックアップする際には、ウエハ1は両奥側位置決め部6、6に当接した状態になっている。そこで、ウエハ1をポッド2の本体3からピックアップする際には、図5(a)に示された上側エンドエフェクタ(以下、エンドエフェクタという。)55の場合を例にして説明すると、ウエハ1がエンドエフェクタ55の先端寄りに乗るように、コントローラ57は正圧移載装置50の動きを制御する。すなわち、ウエハ1の中心Owがエンドエフェクタ55のザグリ55aの中心Oaに対して若干だけ先端寄りに位置する状態になるように、ウエハ1はエンドエフェクタ55にピックアップされる。このとき、ザグリ55aの直径Daはウエハ1の直径Dwよりも大きめに設定されているので、ウエハ1がザグリ55aの上に乗ってしまう事故は防止することができる。また、ザグリ55aの底面によって支持されたウエハ1はザグリ55aの立ち上がり面によって位置規制されるので、慣性力や振動等によってザグリ55aから飛び出す事故も防止することができる。ちなみに、ウエハ1をエンドエフェクタ55の先端寄りに乗せるための制御方法は、コントローラ57に予めティーチング(教示)して再生する制御方法(教示再生制御)によって容易に実現することができる。」
(イ)刊行物1記載の発明
刊行物1記載の事項を技術常識を考慮しながら補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認めることができる。
「ウエハ1が収納された基板収納容器としてのポッド2の開口部であるウエハ出し入れ口4にキャップ7が装着されることで左右の側壁内面に形成される一対の奥側位置決め部6、6によってウエハ1の奥側の位置を規制した基板収納容器の開口部からキャップ7を取り外す工程と、
前記開口部から前記基板収納容器内に両奥側位置決め部6、6に当接した状態で収納されたウエハ1の下側に、ウエハ1を支持するザグリ55aの底面と、ウエハ1の直径Dwよりも若干大きめに設定された直径Daを有するザグリ55aの立ち上がり面とを備えた二股のフォーク形のプレート形状に形成されたエンドエフェクタ55を挿入する工程と、
前記ウエハ1の前記基板収納容器内の奥側の両奥側位置決め部6、6の近傍に位置し、ウエハ1の両奥側位置決め部6、6の近傍の周縁部を前記ザグリ55aの立ち上がり面にて位置規制するとともに、前記位置決め部6、6から取り外された前記ウエハ1をザグリ55aの底面に載置し、前記エンドエフェクタ55を前記基板収納容器内から引き出す工程と、
を有する基板の搬送方法。」
イ 刊行物2
(ア)刊行物2記載の事項
刊行物2には以下の事項が記載されている。
(ア)-1 段落【0001】
「【発明の属する技術分野】本発明は、円形薄板状の部品を搬送するロボットハンド(以下、単にハンドと称する)を用いたハンドリング装置及びこのハンドリング装置と各種の装置との連携動作によって、前記円形薄板状の部品の心出し並びに方向出しを行うハンドリング装置に関し、得に、信頼性の高い半導体装置を製造するための半導体ウエハ(以下、単にウエハと称する)のハンドリング装置に適用して有効な技術に関するものである。」
(ア)-2 段落【0035】
「その上で、ハンドをウエハが置かれている位置より少し先に挿入し、ハンドのウエハとのアーム側接触点を急傾斜面が垂直面としハンドがウエハを掬い取る際、ウエハがハンドの挿入方向に滑り、ハンドの先端側接触点の接触面を垂直面またはウエハの中心点上方に鋭い頂角を持つ円錐内面にして、滑り降りるウエハの先端を受けとめ、ハンドを高速に動かしてもウエハ把持を確実に保つことができる。・・・」
(ア)-3 段落【0041】?【0044】
「【発明の実施の形態】
(実施形態1)図1は、本発明の実施形態1によるウエハのハンドリング装置を示すもので、掬い取り式斜面型のウエハのハンドリング装置に適用した例を示しており、(a)は平面図、(b)は(a)のX-X断面図である。
1はウエハ、1Aはウエハ1のオリフラ、2はハンド、3はウエハ1を把持するためのアーム側把持部、4はウエハ1を把持するためのアーム側把持部3と対向して設けられた先端側把持部である。
本実施形態1の半導体ウエハのハンドリング装置は、図1に示すように、ハンド2にアーム側把持部3及び先端側把持部4が互いに対向して設けられている。
ハンド2は、アーム側把持部3に複数個例えば3個の、また先端側把持部4に複数個例えば2個のウエハ1の外周部と接触する接触点を有している。」
(イ)刊行物2記載の事項
これらの事項を整理すると刊行物2には以下の事項が記載されていると認めることができる。
「半導体ウエハのハンドリング装置において、ハンドの先端側ウエハ把持部におけるウエハ外周部との接触点の接触面を垂直面またはウエハの中心点上方に鋭い頂角を持つ円錐内面にすること。」
(3)対比
補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると以下のとおりである。
刊行物1記載の発明の「ウエハ1」は、補正発明の「基板」に相当することが明らかである。
そして、刊行物1記載の発明では、基板が基板収納容器内に両奥側位置決め部6、6に当接した状態で収納されているところ、補正明細書の段落【0030】には「ところで、ポッド2での収納状態でのガタツキを防止する必要上、図6に示されているように、ウエハ1はキャップ7によって両奥側位置決め部6、6に押し付けられた状態になっているために、ウエハ移載装置40のツィーザ50によってウエハ1をポッド2内から取り出す際には、ウエハ1は両奥側位置決め部6、6に押接した状態になっている。このようにウエハ1が両奥側位置決め部6、6に押接した状態になると、ウエハ1は両奥側位置決め部6、6によって両側から挟み込まれた状態になる。」と記載されている。
そうしてみると、刊行物1記載の発明における、位置決め部6、6によって奥側の位置を規制された基板も、前記位置決め部6、6によって両側から挟み込まれた状態で基板収納容器内に収納されているとみるのが相当である。
また、刊行物1記載の発明の「ウエハ1を支持するザグリ55aの底面」は、基板を載置する「基板載置部」であるという限りで、補正発明の「基板載置部」と共通している。そして、刊行物1記載の発明における、基板の周縁部を位置規制する「ザグリ55aの立ち上がり面」のうち、ザグリ55aの底面の先端側に配置された立ち上がり面は、「二股のフォーク形のプレート形状に形成されたエンドエフェクタ55」、すなわち、「基板載置プレート」を、基板の下側に挿入し持ち上げた後、手前に引くことによって基板の周縁部を引っ掛ける機能を奏することが明らかであり、その限りで補正発明の「基板引っ掛け部」と共通している。
したがって、補正発明と刊行物1記載の発明とは、以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「基板が収納された基板収納容器の開口部にキャップが装着されることで側壁内面に形成される一対の奥側位置決め部によって基板が挟みこまれた基板収納容器の開口部からキャップを取り外す工程と、
前記開口部から前記基板収納容器内に挟みこまれ収納された基板の下側に、基板載置部と、前記載置部より先端側に配置された基板引っ掛け部とを備えた基板載置プレートを挿入する工程と、
前記基板の前記基板収納容器内の奥側の両奥側位置決め部の近傍に位置し、基板の両奥側位置決め部の近傍の周縁部を前記基板引っ掛け部にて引っ掛けるとともに、前記位置決め部から取り外された前記基板を前記載置部に載置し、前記基板載置プレートを前記基板収納容器内から引き出す工程と、
を有する基板の搬送方法。」
そして、補正発明と刊行物1記載の発明とは、以下の2点で相違している。
<相違点1>
補正発明では、基板引っ掛け部は、載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定されているのに対して、刊行物1記載の発明では、基板引っ掛け部と載置部の載置面との夾角がどのような角度をなしているのか明らかでない点。
<相違点2>
補正発明では、載置部が、基端側に設けられた一対の突設部と先端側載置部に設けられた一対の突設部から構成されているのに対して、刊行物1記載の発明では、載置部が、どのように構成されているのか明らかでない点。
(4)相違点の検討
ア <相違点1>について
上記(2)のイ(イ)で認定したように、刊行物2には「半導体ウエハのハンドリング装置において、ハンドの先端側ウエハ把持部におけるウエハ外周部との接触点の接触面を垂直面またはウエハの中心点上方に鋭い頂角を持つ円錐内面にすること。」が記載されており、刊行物2記載の事項における「接触面」は、補正発明の「基板引っ掛け部」に相当することが明らかである。
そして、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の事項は、いずれも基板を保持して移送ないし搬送する技術に関するものであることからみて、刊行物2記載の事項を刊行物1記載の発明に適用して、基板引っ掛け部と載置部の載置面との夾角を直角または鋭角となるように設定することに格別の困難性は見当たらない。
イ <相違点2>について
基板を移送ないし搬送するウエハフォークにおいて、ウエハ載置部を、基端側及び先端側にそれぞれ設けられた一対の突設部から構成することは特開平7-335714号公報(段落【0011】及び図6参照。)、特開平10-270522号公報(段落【0010】及び図7参照。)に記載されているように従来周知であり、この従来周知の事項を刊行物1記載の発明に適用して、その載置部を基端側に設けられた一対の突設部と先端側載置部に設けられた一対の突設部から構成することは当業者が格別の創意を要することなく容易に想到するところである。
ウ <補正発明の効果>について
補正発明によってもたらされる効果も、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の事項及び上記従来周知の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって格別のものではない。
エ <まとめ>
したがって、補正発明は、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の事項及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 むすび
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件出願の発明について
1 本件出願の発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項に係る発明は、平成22年12月14日付け手続補正書により補正された明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本件出願の発明」という。)は、上記第2の1(1)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの「基板の搬送方法」である。
2 刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載内容は、上記第2の2(2)に示したとおりである。
3 対比・検討
本件出願の発明は、上記第2の2で検討した補正発明における「基板収納容器内に挟みこまれ収納された基板」について、「挟みこまれ」という限定を削除するとともに、「基板の前記基板収納容器内の奥側の両奥側位置決め部の近傍に位置し、基板の両奥側位置決め部の近傍の周縁部」について、「両奥側位置決め部の近傍に位置し、基板の両奥側位置決め部の近傍の」という限定を削除したものである。
そうすると、本件出願の発明を構成する事項の全てを含み、さらに他の限定を付加する補正発明が上記第2の2(4)エで示したとおり、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の事項及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件出願の発明も同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
したがって、本件出願の発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件出願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきであるから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-07 
結審通知日 2012-05-08 
審決日 2012-05-21 
出願番号 特願2006-71712(P2006-71712)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 刈間 宏信
菅澤 洋二
発明の名称 基板の搬送方法およびICの製造方法  
代理人 梶原 辰也  

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