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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23K |
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管理番号 | 1259486 |
審判番号 | 不服2011-9809 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-05-10 |
確定日 | 2012-07-04 |
事件の表示 | 特願2008-166383「ペットフードの美味性を向上させるための方法と組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月18日出願公開,特開2008-301824〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は,平成11年11月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:平成10年11月24日及び平成11年10月27日,いずれも米国)を国際出願日とする出願である特願2000-583353号の一部を,平成20年6月25日に分割して新たな特許出願としたものであって,平成22年12月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成23年5月10日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1?12に係る発明は,平成22年8月13日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ,そのうち請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりのものと認める。 「押出しペットフードの美味性を向上させるための方法であって、 押出しペットフードに、0.1?1.0重量%のピロリン酸4ナトリウムの寄与となるように、美味性向上組成物を被覆する工程を含み、 当該美味性向上組成物は乾燥しており、15?25重量%のピロリン酸4ナトリウム、35?50重量%の動物副産物、35?50重量%の微生物タンパク質および0.1?3.0重量%のアミノ酸を含む、方法。」 3.引用例 (1)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された本願優先日前に頒布された刊行物である 特表平6-500691号公報(以下,「引用例1」という。) には,次の事項が記載されている(下線は,開示された発明の認定に特に関連する記載について,当審にて付与)。 (1a)「請求の範囲 1.基本フードとピロリン酸塩を含むペットフード。 2.塩が、ピロリン酸ナトリウムである請求の範囲第1項記載のペットフード。 3.美味しさ向上組成物の約1%から約99%の範囲内でピロリン酸ナトリウムを含む請求の範囲第2項記載のペットフード。 4.ペットフードの約0.01重量%から約2.0重量%の範囲内でピロリン酸ナトリウムを含む請求の範囲第2項記載のペットフード。 5.美味しさ向上組成物がフレーバー、有機酸、およびリン酸のうちの少なくとも一つをさらに含む請求の範囲第1項記載のペットフード。 6.?22.<略>」(第2頁左上欄及び右上欄) (1b)「明細書 ペットフード用フレーバー組成物 本発明は、概してドライペットフード用の乾燥または液状フレーバー組成物、あるいはコーティング剤に関する。本フレーバー組成物は、少ない使用量で最大の美味さ付与するものである。」 (第2頁左下欄第1?5行目) (1c)「「好ましい実施態様の記載」 本発明は、ドライペットフード用液状および乾燥美味しさ向上組成物を含む。本発明によれば、これらの美味しさ向上組成物はフレーバーありで、またはフレーバーなしで使用される。本発明によるフレーバー組成物は少なくともひとつの酸バッファーと組み合わせた少なくともひとつのフレーバーを含むものであり、当該フレーバー組成物は少なくともひとつの有機酸を任意に含むこともできる。 本発明による美味しさ向上剤は、基本フード組成物の表面へ適用されるコーティング剤、または層である。これらの向上剤は基本フードに混合することを意図するものではなく、耐酸性剤でもない。すなわち、それらは基本フードを酸性化するのに充分な量で使用されるものでない。 ここで使用されるフレーバーは、代表的には肉、およびチーズフレーバーを言い、digestを含む。」(第3頁左上欄第17行目?最下行) (1d)「ここで使用される酸バッファーは無機酸の塩をいう。…<中略>…好ましい塩はリン酸ナトリウム(SAP)であり、代表的にはフレーバー組成物の約0.1%から約99%を構成する。より好ましいのは、ピロリン酸ナトリウム(SAPP)を含むポリリン酸塩であるが、これに限定されない。SAPPは代表的にはフレーバー組成物の約0.1%から約99%を構成する。ピロリン酸は、リン酸より少ない使用量で、かつ高い表面pHで、同等の美味しさを与えることができる。このことは栄養的な長所でもある。さらに、SAPとSAPPは両方とも液状および乾燥形態で作用するが、pH効果はリン酸に比べると顕著さでははるかに劣る。」(第3頁右上欄第1?11行目) (1e)「ここで使用される有機酸は、クエン酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、酢酸、ギ酸、およびhexamic acidの群から選ばれる少なくともひとつをいう。好ましい有機酸はクエン酸であり、代表的にはフレーバー組成物の約0.05%から約98%、フード全組成の約0.01%から約2.5%を構成する。」(第3頁右上欄第12?15行目) (1f)「ここで使用される基本組成物は、美味しさ向上剤、つまりフレーバー組成物が添加されるドライペットフードをいう。基本組成物は、代表的には次のもの:家禽またはウシ副産物:植物性タンパクミール:動物性タンパク:動物組織またはミール:とうもろこし、マイロ、アルファルファ、小麦、大豆等の穀物:炭水化物:脂質、例えば獣脂:ミネラル:ビタミン:および保存料の少なくとも一つを含む。」(第3頁右上欄第16?21行目) (1g)「本発明はフード成分のいかなる特定の列挙にも、または本発明による美味しさ向上組成物以外のいかなる添加物にも限定されるものではない。好ましい基本組成物は市販され、栄養的にバランスのとれたものである。ペットフードは代表的にはひと口サイズであるかまたはあらゆる形状のペレット形である。」(第3頁右上欄第22?25行目) (1h)「ここで使用されるコーティングとは、噴霧、振りかけ等による、美味しさ向上剤、つまりフレーバー組成物の基本組成物上への局所付着を言う。本発明のフレーバー組成物は、もし使用する場合は、脂質コーティングの前、後、もしくは一部として基本組成物にコーティングされる。本発明のフレーバー組成物が基本組成物に均一にコーティングされること、またはフレーバー組成物の均一な付与か、コーティングされるペットフードを繰り返してころがすことによって行われることか望ましいか、必須ではない。-回、またはそれ以上コートしてもよい。コートの特別な順番は本発明を実施するにあたって重大ではない。」(第3頁右上欄第26行目?同頁左下欄第5行目) (1i)「本発明のもう一つの態様は、ペットフード用のコーティング剤として、フレーバーあり、またはフレーバーなしで、しかし有機酸とは組み合わせて液状または乾燥SAPPを使用することを包含する。本発明の当該態様によれば、SAPPはペットフードの約0.05重量%から約2.0重量%を構成し、有機酸はペットフードの約0.01重量%から約2.0重量%を構成する。実施例は、液状または乾燥SAPPとフレーバーありまたはフレーバーなしの組合せは、リン酸とフレーバー、またはリン酸単独よりも優れていることを示す。」(第3頁左下欄第17?23行目) (1j)「キャットフードのコーティング方法 ペットフード製造業者より得たコートしてない、成形基本キャットフード、例えば、キブルズを混合に適した容器、例えば、小さなセメントミキサー、おけ、またはコーティング用円筒形容器に入れる。脂肪、例えばラード、主要な動物脂、または牛脂を約160°Fに熱し、キブルズのコーティング物を得るために常套の手段にてキャットフードに噴霧する。コーティングは連続的な層にする必要はないが、妥当なサンプルであれば、コーティング均一性を示すのが好ましい。キャットフードは脂質をスプレーする間と、した後二、三分間は、コーティングの均一性を向上させるために混合させるか、均一にコーティングすることは必須ではない。脂質を塗布した後、脂質は急速に冷えて、脂質コーティングに続いてコートされる他の化合物に対して不完全なバリアーとして作用する。この時点で、フレーバーが、乾燥パウダーまたは液体として使用される。液状フレーバーは製品を混合している間に噴霧するのか代表的である。乾燥フレーバーは製品を混合している間に振りかけるのが代表的である。キブルズに、より均一に付着させるためにメツシュスクリーンを通して振りかけるのが好ましい。代替の方法としては、フレーバーを脂質に混合し、同時に使用することもできる。」(第3頁右下欄第4?19行目) (1k)「請求の範囲 1.?22.(削除) 23.(追加)約0.1重量%から約99重量%のピロリン酸ナトリウムを含む美味しさ向上組成物を、該ピロリン酸ナトリウムがフード組成物に対して約0.05重量%から2.0重量%付着させるのに充分な量で、キャットフードに局部的に適用することを含む、成形されたドライキャットフードの美味しさ向上方法。 24.(追加)ピロリン酸ナトリウムが、フード組成物に対して約0.01重量%から約2.5重量%付着させるのに充分な量の有機酸と同時に適用される請求の範囲第23項記載の方法。 25.(追加)フレーバーもまた該ピロリン酸ナトリウムおよび該有機酸と同時に付着させる請求の範囲第24項記載の方法。 26.?32 <略>」(第5頁右下欄及び第6頁左上欄) また,上記摘記事項(1h)の下線部の記載からして,上記摘記事項(1j)における「フレーバー」とは,摘記事項(1h)における「フレーバー組成物」,すなわち「美味しさ向上剤」を意味していると解される。 これらの記載事項を総合すると,引用例1には,以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「成形基本キャットフードの美味しさ向上方法であって, 成形基本キャットフードの約0.01重量%から約2.0重量%の範囲内でピロリン酸ナトリウムを含むように,美味しさ向上組成物をコーティングすることを含み, 当該美味しさ向上組成物は乾燥しており,約0.1重量%から約99重量%のピロリン酸ナトリウム,肉およびチーズからなるフレーバー並びに有機酸を含む,方法。」 (2)引用例2 原査定の拒絶の理由に引用された本願優先日前に頒布された刊行物である 特開昭58-43750号公報(以下,「引用例2」という。) には,次の事項が記載されている(下線は,開示された発明の認定に特に関連する記載について,当審にて付与)。 (2a)「本発明はドッグフード、更に詳しくは、穀粉およびタンパク質材料を含有するドッグフードの味覚(嗜好性)の改良に関するものである。」(第2頁左下欄第9?11行目) (2b)「味覚を向上させる1方法はフレーバーおよびプレーバ改良剤の添加によることである。…<中略>… アミノ酸は香気とフレーバーをそれらのタイプ及び濃度によつて広く変化させることが知られている。…<中略>…ジェ-ブドロー(J. Boudreou)等はL-プロリン、Lシステイン、L-ヒスチジンおよびL-リジンが犬に対して作用する風味であることを開示した<以下略>…」(第2頁右下欄第4?20行目) (2c)「更にアミノ酸のフレーバー効果に対する更に一般的な文献はブック(Buck)等による米国特許第3,653,908号であつて猫用に具体的に配合した中程度水分(半なま)動物食品を開示している。この文献は食品の酸または酵素による分解がフレバーのあるアミノ酸を遊離することを示している<以下略>…」(第3頁左上欄第3?8行目) (2d)「"食料の均衡しているタンパク質補給物"の用語…<中略>…はまた前記協会により定義されたような酵母を包含し、従つて蒸留乾燥酵母、第1次乾燥酵母、照射乾燥酵母、醸造乾燥酵母およびトルーラ(torula)乾燥酵母の如き材料を指す。」(第5頁右下欄第15行目?第6頁左上欄第3行目) 上記摘記事項のうち摘記事項(2a)?(2c)の記載事項を総合すると,引用例2には,以下の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「ドッグフードまたは猫用食品の味覚をアミノ酸によって改良する方法。」 4.対比 本願発明と引用発明1とを対比すると, (α)引用発明1の「成形基本キャットフード」は,引用例1の上記摘記事項(1g)の「ひと口サイズであるかまたはあらゆる形状のペレット形である」との記載からして,本願発明の「押出しペットフード」に相当し, (β)引用発明1の「美味しさ向上方法」は,本願発明の「美味性を向上させるための方法」に相当し,以下同様に, (γ)「ピロリン酸ナトリウム」は,「ピロリン酸4ナトリウム」に, (δ)「含むように」することは,「寄与となるように」することに, (ε)「美味しさ向上組成物」は,「美味性向上組成物」に, (ζ)「コーティングすること」は,「被覆する工程」に, (η)「肉およびチーズからなるフレーバー」は,「動物副産物」に, それぞれ相当する。 してみると,両発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「押出しペットフードの美味性を向上させるための方法であって, 押出しペットフードに,所定重量%のピロリン酸4ナトリウムの寄与となるように,美味性向上組成物を被覆する工程を含み, 当該美味性向上組成物は乾燥しており,所定重量%のピロリン酸4ナトリウム及び動物副産物,を含む,方法。」 [相違点1] 押出しペットフードに寄与するピロリン酸4ナトリウムの所定の重量%が,本願発明では「0.1?1.0重量%」であるのに対して,引用発明1では「約0.01重量%から約2.0重量%の範囲内」である点。 [相違点2] 美味性向上組成物が,本願発明では,「15?25重量%のピロリン酸4ナトリウム、35?50重量%の動物副産物、35?50重量%の微生物タンパク質および0.1?3.0重量%のアミノ酸を含む」のに対して,引用発明1では「ピロリン酸4ナトリウム」及び「動物副産物」を含むものの,「微生物タンパク質」及び「アミノ酸」を含まず,その結果,「美味性向上組成物」における「ピロリン酸4ナトリウム」等の重量%も異なる点。 5.判断 上記各相違点について以下に検討する。 (1)相違点1について 本願発明において,押出しペットフードに寄与するピロリン酸4ナトリウムの重量%を「0.1?1.0重量%」という数値範囲としたことについて,本願明細書の段落【0018】には,以下のように説明されている。 「ある実施態様においてピロリン酸4ナトリウムの量は、最終ペットフードに加えられる美味性向上組成物の相対量に依存して、ピロリン酸4ナトリウムの寄与が最終ペットフードの約0.1重量%?約1.0重量%であるように調整される。一般的に美味性向上組成物の寄与は、最終キャットフード製品の約0.5重量%?約3.0重量%である。しかし美味性向上組成物中のピロリン酸4ナトリウムの正確な割合ならびに最終キャットフード製品に対する美味性向上組成物の相対的割合の両方とも変更可能であり、成分の入手しやすさ、コスト、および動物の健康などの要因により制限される。」 また,本願の発明の詳細な説明において,乾燥被覆物でキャットフードを被覆する実施例として記載された実施例1?4における試験食R2は,ピロリン酸4ナトリウムを「0.5重量%」とするものを開示するにすぎない。なお,実施例5,6は,液体の被覆物であることから,本願発明の実施例とは認められないが,この実施例においても,ピロリン酸4ナトリウムを「0.75重量%」とするものが開示されるのみである。 してみると,上記数値範囲を採用することに臨界的意義は認められない。 そして,引用発明1には,押出しペットフードに寄与するピロリン酸4ナトリウムの重量%を「約0.01重量%から約2.0重量%の範囲内」とすることが開示されており,この範囲内で,動物の嗜好性,健康維持及びコスト等を考慮して,ピロリン酸4ナトリウムの重量%を調整することは当業者にとって当然であり,上記相違点1に係る本願発明のように「0.1?1.0重量%」とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。 (2)相違点2について 本願明細書には,美味性向上組成物において,「15?25重量%のピロリン酸4ナトリウム、35?50重量%の動物副産物、35?50重量%の微生物タンパク質および0.1?3.0重量%のアミノ酸」といった数値割合とすることに,臨界的意義があることを裏付ける記載は存在しない。 一方,引用発明2には,「アミノ酸」によりペットフードの美味性を向上させることが開示され,また,ペットフードの美味性を向上させる成分として,「微生物タンパク質」は,原査定の拒絶の理由に引用された本願優先日前に頒布された刊行物である A.特開平3-206853号公報(以下,「周知例A」という。) B.特開平3-206852号公報(以下,「周知例B」という。) 及び,引用例2の上記摘記事項(2d)に開示されるように周知である。 引用発明1には,「ピロリン酸4ナトリウム」とともに,「動物副産物」及び「有機酸」といったペットフードの美味性を向上させる成分を加えることが開示され,引用例1の上記摘記事項(1g)に「本発明はフード成分のいかなる特定の列挙にも、または本発明による美味しさ向上組成物以外のいかなる添加物にも限定されるものではない。」と記載されるように,他の美味性を向上させる成分を加えることを制限するものではないから,引用発明1に引用発明2及び上記周知技術を適用するとともに,動物の嗜好性,健康維持及びコスト等を考慮して,「ピロリン酸4ナトリウム」,「動物副産物」,「微生物タンパク質」及び「アミノ酸」の割合を適宜調整することによって,上記相違点2に係る本願発明の数値割合とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。 (3)効果の予測性について 本願発明の全体構成により奏される作用・効果は,引用発明1及び2並びに上記周知技術から,当業者が予測し得た事項である。 (4)審判請求人の主張について (イ)引用例1及び周知例Aとの効果の対比に係る主張 審判請求人は,審判請求書第3頁の3.(引用文献1について)欄において,「本願請求項1、7及び9に記載された美味性向上組成物は、引用文献1[当審注:本審決の引用例1に対応]に記載された発明と比較して、ペットフードの消費率の向上の程度が格段に高い。」として,本願発明は「格別顕著な効果を奏する」と主張している。 しかしながら,本願明細書に記載された対照食と引用例1に記載された対照食とが相違することから,各文献に記載された試験食と対照食との消費重量比の数値を比較することには意味がない。 審判請求書第5頁の3.(引用文献2について)欄における主張についても同様である[当審注:引用文献2は本審決の周知例Aに対応]。 よって,上記主張は採用できない。 (ロ)添加物の組み合わせに係る主張 審判請求人は,審判請求書第5頁の3.(引用文献1?5について)欄において,「引用文献1?5[当審注:引用文献1は本審決の引用例1に対応し,以下同様に,引用文献2は周知例A,引用文献3は周知例B,引用文献5は引用例2にそれぞれ対応]のいずれにも、ピロリン酸4ナトリウム、動物副産物、微生物タンパク質及びアミノ酸を同時に含む乾燥美味性向上組成物は記載されていない。」から,「格別顕著な効果を奏することを予測することはできなかったものと思料する。」と主張している。 しかしながら,上記(2)欄に記載したように,本願明細書には,美味性向上組成物において,「15?25重量%のピロリン酸4ナトリウム、35?50重量%の動物副産物、35?50重量%の微生物タンパク質および0.1?3.0重量%のアミノ酸」といった数値割合とすることに,臨界的意義があることを裏付ける記載は存在しない。 また,本願明細書における実施例1?4の記載では,「ピロリン酸4ナトリウム」,「動物副産物」,「微生物タンパク質」及び「アミノ酸」をすべて加えたものを試験食R2とし,これらの添加物をすべて加えないものを対照食R1として比較しているにすぎず,R2とR1との消費重量の差が,添加物をすべて加えたことによる効果であるのか,それとも,いずれかの添加物を加えたことによる効果であるのかも不明である。 よって,上記主張は採用できない。 (5)まとめ したがって,本願発明は,引用発明1及び2並びに周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明1及び2並びに周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,その余の請求項について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-02 |
結審通知日 | 2012-02-07 |
審決日 | 2012-02-20 |
出願番号 | 特願2008-166383(P2008-166383) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A23K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 木村 隆一 |
特許庁審判長 |
山口 由木 |
特許庁審判官 |
鈴野 幹夫 仁科 雅弘 |
発明の名称 | ペットフードの美味性を向上させるための方法と組成物 |
代理人 | 木元 克輔 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 池田 正人 |
代理人 | 池田 成人 |
代理人 | 清水 義憲 |
代理人 | 城戸 博兒 |