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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01B
管理番号 1259611
審判番号 不服2010-20876  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-16 
確定日 2012-07-06 
事件の表示 特願2005- 71634「センサ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月27日出願公開、特開2005-300529〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
特許出願: 平成17年3月14日(優先権主張平成16年3月15日)
手続補正: 平成22年5月7日
拒絶査定: 平成22年6月8日(送達日:同年6月16日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成22年9月16日
手続補正: 平成22年9月16日
審尋: 平成23年7月22日(発送日:同年7月27日)
審尋回答: 平成23年9月26日
拒絶理由通知: 平成24年1月18日(発送日:同年1月25日)
手続補正: 平成24年3月22日(以下、「本件補正」という。)
意見書: 平成24年3月22日


2.本願発明
当審拒絶理由への応答としてなされた本件補正は適法なものである。
してみると、本願の請求項1ないし2に係る発明は、本件補正によって補正された特許請求の範囲、及び明細書、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「 光源からの光をスリット光に整形して計測対象物体表面に所定角度で照射する投光手段と、
前記計測対象物体表面のスリット光照射位置をスリット光の照射角度とは異なる角度から2次元撮像素子により撮影して光切断面の断面輪郭線像を含む画像情報を電気信号に変換して取得し、出力する撮影手段と、
前記撮影手段によって出力された前記画像情報の電気信号を取得し、演算することで、前記撮影手段と前記計測対象物体との距離、前記撮影手段と前記計測対象物体との距離の変位を判定する演算処理手段と、を具備するセンサ装置において、
前記撮像素子から得られた画像情報における同時刻ライン毎の電気信号に対して演算を行う前に、前記電気信号に変換された画像情報におけるそれぞれのラインを構成する画素の順序を対応させながら同時刻における複数のラインの各画素の濃度データの加算処理を行う加算処理手段を具備することを特徴とするセンサ装置。」(以下、「本願発明」という。)


3. 当審拒絶理由
これに対し、当審拒絶理由の理由3の概要は、本願発明は、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平11-271030号公報(発明の名称:3次元計測装置、出願人:ミノルタ株式会社、公開日:平成11年10月5日、以下、「引用例」という。)に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


4.引用例記載の事項・引用発明
(1)記載事項
引用例には、次の事項(a)ないし(g)が図面とともに記載されている。

(a) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体にスリット光又はスポット光などの参照光を照射して物体形状を非接触で計測する3次元計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、スリット光投影法(光切断法ともいう)を適用した3次元計測装置が知られている(特開平9-196632号)。スリット光投影法は、物体を光学的に走査して3次元画像(距離画像)を得る方法であり、特定の参照光を照射して物体を撮影する能動的計測方法の一種である。スリット光投影法では、参照光として断面が直線状のスリット光が用いられる。
【0003】3次元計測を行うに当たり、その計測(測定)の目的には、いろいろな場合がある。例えば、とにかくできるだけ短時間で高速に撮りたい場合、計測速度は遅くてもよいが高い分解能で測定したい場合、奥行きの深い物体を測定したい場合など、目的に応じて様々である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の3次元計測装置によると、3次元計測装置の仕様に応じた目的のみにしか計測が行えなかった。例えば、計測速度、計測可能な奥行き方向の深さ、及び分解能などが、仕様として所定の値に定められており、もっと高速に計測したい場合、分解能をもっと高くして計測したいというように計測条件を大きく変えたい場合に、それに対応できなかった。
【0005】したがって、従来においては、計測の目的に合わせて3次元計測装置自体をそれぞれ購入し用意する必要があった。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、1つの3次元計測装置を用いて種々の計測条件によって様々な目的の計測に対応できる3次元計測装置を提供することを目的とする。」

(b)「【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る計測システム1の構成図である。計測システム1は、スリット光投影法によって立体計測を行う3次元カメラ(レンジファインダ)2と、3次元カメラ2の出力データを処理するホスト3とから構成されている。
【0017】3次元カメラ2は、物体Q上の複数のサンプリング点の3次元位置を特定する計測データ(スリット画像データ)とともに、物体Qのカラー情報を示す2次元画像及びキャリブレーションに必要なデータを出力する。三角測量法を用いてサンプリング点の座標を求める演算処理はホスト3が担う。」

(c)「【0019】図2は3次元カメラ2の外観を示す図である。ハウジング20の前面に投光窓20a及び受光窓20bが設けられている。投光窓20aは受光窓20bに対して上側に位置する。内部の光学ユニットOUが射出するスリット光(所定幅wの帯状のレーザビーム)Uは、投光窓20aを通って計測対象の物体(被写体)に向かう。スリット光Uの長さ方向M1の放射角度φは固定である。物体の表面で反射したスリット光Uの一部が受光窓20bを通って光学ユニットOUに入射する。なお、光学ユニットOUは、投光軸と受光軸との相対関係を適正化するための2軸調整機構を備えている。」

(d)「【0022】図3は3次元カメラ2の機能構成を示すブロック図である。図中の実線矢印は電気信号の流れを示し、破線矢印は光の流れを示している。3次元カメラ2は、上述の光学ユニットOUを構成する投光側及び受光側の2つの光学系40,50を有している。光学系40において、半導体レーザ(LD)41が射出する波長685nmのレーザビームは、投光レンズ系42を通過することによってスリット光Uとなり、ガルバノミラー(走査手段)43によって偏向される。半導体レーザ41のドライバ44、投光レンズ系42の駆動系45、及びガルバノミラー43の駆動系46は、システムコントローラ61によって制御される。
【0023】光学系50において、ズームユニット51によって集光された光はビームスプリッタ52によって分光される。半導体レーザ41の発振波長帯域の光は、計測用のセンサ53に入射する。可視帯域の光は、モニタ用のカラーセンサ54に入射する。センサ53及びカラーセンサ54は、どちらもCCDエリアセンサである。ズームユニット51は内焦型であり、入射光の一部がオートフォーカシング(AF)に利用される。AF機能は、AFセンサ57とレンズコントローラ58とフォーカシング駆動系59によって実現される。ズーミング駆動系60は電動ズーミングのために設けられている。絞り駆動系59aは、絞り開口を制御するための設けられている。
【0024】センサ53による撮像情報は、ドライバ55からのクロックに同期して出力処理回路62へ転送される。出力処理回路62によってセンサ53の各画素毎に対応する計測データが生成され、メモリ63,64に格納される。その後、オペレータがデータ出力を指示すると、計測データは、SCSIコントローラ66又はNTSC変換回路65によって所定形式でオンライン出力され、又は記録メディア4に格納される。計測データのオンライン出力には、アナログ出力端子31又はディジタル出力端子33が用いられる。カラーセンサ54による撮像情報は、ドライバ56からのクロックに同期してカラー処理回路67へ転送される。カラー処理を受けた撮像情報は、NTSC変換回路70及びアナログ出力端子32を経てオンライン出力され、又はディジタル画像生成部68で量子化されてカラー画像メモリ69に格納される。その後、カラー画像データがカラー画像メモリ69からSCSIコントローラ66へ転送され、ディジタル出力端子33からオンライン出力され、又は計測データと対応づけて記録メディア4に格納される。なお、カラー画像は、センサ53による距離画像と同一の画角の像であり、ホスト3側におけるアプリケーション処理に際して参考情報として利用される。カラー情報を利用する処理としては、例えばカメラ視点の異なる複数組の計測データを組み合わせて3次元形状モデルを生成する処理、3次元形状モデルの不要の頂点を間引く処理などがある。システムコントローラ61は、キャラクタジェネレータ71に対して、LCD21の画面上に適切な文字や記号を表示するための指示を与える。」

(e)「 【0028】図5は計測システム1における3次元位置の算出の原理図、図23はスリット光投影法の概要を示す図、図24はスリット光投影法による計測の原理を説明するための図である。図5において、図23及び図24と対応する要素には同一の符号を付してある。
【0029】センサ53の撮像面S2上で複数画素分となる比較的に幅の広いスリット光Uを物体Qに照射する。スリット光Uの幅は、標準モードでは5画素分に設定されるが、動作モードに応じて異なる画素分に切り換えられる。例えば、高速モード又は広Zモードなどにおいてライン間隔を「2」とする場合には、幅wは10画素分に設定される。また、スリット光Uは物体Qの走査のために偏向される。スリット光Uの移動方向は、図5に示す撮像面S2上を上から下に向かう方向である。スリット光Uの移動速度は、標準モードではサンプリング周期毎に撮像面S2上で1画素ピッチpvだけ移動するように設定されるが、動作モードに応じて異なる速度に切り換えられる。例えば、高速モード又は広Zモードなどにおいて後述のシフト数GSを「2」とした場合には、サンプリング周期毎に2画素ピッチ(2pv)だけ移動する。サンプリング周期毎に、センサ53から1フレーム分の光電変換情報が出力される。
【0030】撮像面S2の1つの画素gに注目すると、走査中に行うN回のサンプリングの内の5回のサンプリングにおいて有効な受光データが得られる。これら5回分の受光データに対する補間演算によって注目画素gがにらむ範囲の物体表面agをスリット光Uの光軸が通過するタイミング(時間重心Npeak:注目画素gの受光量が最大となる時刻)を求める。図5(b)の例では、n回目とその1つ前の(n-1)回目の間のタイミングで受光量が最大である。求めたタイミングにおけるスリット光の照射方向と、注目画素に対するスリット光の入射方向との関係に基づいて、物体Qの位置(座標)を算出する。これにより、撮像面の画素ピッチpvで規定される分解能より高い分解能の計測が可能となる。
【0031】注目画素gの受光量は物体Qの反射率に依存する。しかし、5回のサンプリングの各受光量の相対比は受光の絶対量に係わらず一定である。つまり、物体色の濃淡は計測精度に影響しない。
【0032】本実施形態の計測システム1では、3次元カメラ2がセンサ53の画素g毎に5回分の受光データを計測データとしてホスト3に出力し、ホスト3が計測データに基づいて物体Qの座標を算出する。3次元カメラ2の出力処理回路62(図3参照)は、各画素gに対応した計測データの生成を担う。」

(f)「【0057】これらの性能を決定付けるのは、有効受光領域Aeのライン数(読み出しライン数)GL、有効受光領域Aeの全体のライン幅(読み出しライン幅)GW、ライン幅GWをライン数GLで除した値であるライン間隔GT、シフト数GS、及びスリット光幅GP(スリット光Uの幅w)である。ライン間隔GTを「2」とした場合に、1ラインおきに読み出すようにしてもよいし、2ライン分を加算した後に読み出すようにしてもよい。2ライン分を加算した後に読み出すようにすると高感度モードとなる。」

(g)「【0082】
読み出し時間 :2倍
測定レンジ :2倍
分解能 :同じ
次に、高感度モードについて説明する。高感度モードは、センサ53の感度を高くした動作モードである。
【0083】図21は高感度モードにおける有効受光領域Aeを示す図である。図21において、有効受光領域Aeのライン幅GWは「32」であるが、2画素毎に加算するので、ライン数GLつまり受光データの画素数は「16」となる。高感度モードにおけるスリット光幅GPは「10」であるが、2画素分が加算されるので、受光データとしては5画素分となる。スリット光Uの走査速度は標準モードの2倍である。高感度モードでは、標準モードに対して次の特徴がある。
【0084】
読み出し時間 :1/2
測定レンジ :同じ
分解能 :1/2
感度 :2倍
次に、高分解能モードについて説明する。高分解能モードは、分解能を高くした動作モードである。」


(2)引用発明
以上(a)ないし(g)の記載から、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。

「スリット光を測定対象の物体に照射する光学ユニットOUと、測定対象の物体表面で反射した光を撮像して計測データを出力するCCDエリアセンサ及び出力処理回路62と、前記計測データに基づいて物体の座標を算出するホスト3と、を具備する3次元計測装置において、前記CCDエリアセンサの2ライン分を加算した後に読み出すようにした3次元計測装置。」(以下、「引用発明」という。)


5.対比、判断
本願発明と引用発明とを対比する。
まず、引用発明における「スリット光を測定対象の物体に照射する光学ユニットOU」が、本願発明における「光源からの光をスリット光に整形して計測対象物体表面に所定角度で照射する投光手段」に相当することは明らかである。
また、引用発明において、測定対象の物体表面で反射した光が、物体に照射される光と「異なる角度」となることは、引用発明が三角測量法を用いる3次元計測装置であることから明らかであり、引用発明における「測定対象の物体表面で反射した光を撮像して計測データを出力するCCDエリアセンサ及び出力処理回路62」は、本願発明における「前記計測対象物体表面のスリット光照射位置をスリット光の照射角度とは異なる角度から2次元撮像素子により撮影して光切断面の断面輪郭線像を含む画像情報を電気信号に変換して取得し、出力する撮影手段」に相当する。
また、引用発明における「3次元計測装置」が、本願発明における「センサ装置」に相当するものであることも明らかである。
さらに、CCDエリアセンサの2ライン分を加算する際に「画素の順序を対応」させることも、加算処理の目的から見て当然であるから、引用発明における「CCDエリアセンサの2ライン分を加算した後に読み出すように」するための構成が、本願発明における「前記撮像素子から得られた画像情報における同時刻ライン毎の電気信号に対して演算を行う前に、前記電気信号に変換された画像情報におけるそれぞれのラインを構成する画素の順序を対応させながら同時刻における複数のラインの各画素」の「加算処理を行う加算処理手段」に相当するものであることも明らかである。


してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
光源からの光をスリット光に整形して計測対象物体表面に所定角度で照射する投光手段と、
前記計測対象物体表面のスリット光照射位置をスリット光の照射角度とは異なる角度から2次元撮像素子により撮影して光切断面の断面輪郭線像を含む画像情報を電気信号に変換して取得し、出力する撮影手段と、
を具備するセンサ装置において、
前記撮像素子から得られた画像情報における同時刻ライン毎の電気信号に対して演算を行う前に、前記電気信号に変換された画像情報におけるそれぞれのラインを構成する画素の順序を対応させながら同時刻における複数のラインの各画素の加算処理を行う加算処理手段を具備することを特徴とするセンサ装置。

(相違点1)
検出される位置情報に関して、本願発明では「前記撮影手段と前記計測対象物体との距離、前記撮影手段と前記計測対象物体との距離の変位」を判定する演算処理手段を設けるとされているのに対し、引用発明においては「前記計測データに基づいて物体の座標を算出するホスト3」が設けられており、測定対象が異なる点。

(相違点2)
本願発明では、画素の出力を加算する際に「濃度データ」の加算処理を行うとされているのに対し、引用発明ではデータ状態での加算処理を行うことの特定はなされていない点。

上記相違点1について検討する。
本願発明は「【0001】 ・・・物体形状を非接触で計測する3次元計測装置」に関し、「【0094】・・・このようにして求められる測定点座標から計測対象物体の変位量などのユーザの所望する情報が算出され」とあるように、物体形状を表す座標情報を得ることを目的とするものである。 この点は引用発明に関しても同様であり、実質的に相違点1は「物体形状を表す座標情報」を表す際(もしくはその前段階)の表示形式の差異に過ぎない。そして、座標形式での表現と、基準位置からの距離形式による表現のいずれも一般的に用いられているものであることから、引用発明において「前記撮影手段と前記計測対象物体との距離、前記撮影手段と前記計測対象物体との距離の変位」を判定する演算処理手段、を設けることは当業者が容易になし得たものといえる。

次に、上記相違点2について検討する。
撮像素子出力をデータ形式で加算処理することは、例えば当審拒絶理由において示した特開昭62-119440号公報(引用刊行物2)、特開2003-4425号公報(引用刊行物3)にも開示されているように周知技術に過ぎず、引用発明にこれを適用することは当業者が容易になし得たものといえる。

したがって、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものといえる。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測可能なものであって、格別のものではない。

したがって、本願発明は引用発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるといえる。


6.請求人の主張について
審判請求人は、前記意見書において、概略、以下のように主張しているので、検討する。
(1)請求人の主張の概要
「4.2.2 理由2(特許法第29条第1項第3号)及び理由3(特許法第29条第2項に該当)への対応について
本願請求項1に記載された発明と引用文献1に記載された発明とは、スリット光投影法を用いたセンサ装置に関する技術であるいう点で共通点を有するものであります。
しかしながら、本願請求項1に記載された発明と引用文献1に記載された発明とは、その他の点で明確な差異を有するものであります。」

「・・・これに対して、引用刊行物1の[0057]には「2ライン分を加算した後に読み出す」と示されておりますが、同刊行物[0058]の「通常、ライン数GLが少なくなると、その読み出しが高速で行われるので、測
定速度QSが速くなる。」という記載からも明らかなように、引用刊行物1において2ライン分を加算してから読み出すのは読み出し速度の向上が目的であり、本願のように光量不足やノイズの排除等を目的としたものではありません。
また、同刊行物の[0085]?[0086]には高分解能モードに関する記載がありますが、これは読込の画素の幅を半分にすることで分解能をあげるというものであり本願とは異なる技術であることは明らかです。
加えて、[0086]の「読み出し時間:2倍」という記載からもわかるように、分解能を高くするためには通常の処理よりも長い計測時間をかける必要があり、この点でも本願と異なります。
してみると、如何に当業者と雖も、引用文献1に記載された発明に基づいて、本願請求項1に記載された発明を想起することは容易ではなく、本願請求項1に記載された発明は新規性及び進歩性を有するものであると判断されます。」


(2)検討
上記「5.対比、判断」で説示したように、本願発明は引用発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。
これに対し、請求人は、引用発明の目的と本願発明の目的が異なる、との主張を行っているものであるが、単に双方の目的が異なることが、進歩性を有することの理由とならないことは明らかである。
そして、引用発明において、2ライン分を加算して読み出すことにより、出力が増大するとともに、2ライン分の出力が総合されることになるから、読み出し速度が向上することに加えて、光量不足対策やノイズの除去という作用効果がもたらされることは明らかである。

したがって、審判請求人の主張は採用できない。


7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は当審拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-07 
結審通知日 2012-05-09 
審決日 2012-05-24 
出願番号 特願2005-71634(P2005-71634)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清藤 弘晃後藤 昌夫  
特許庁審判長 下中 義之
特許庁審判官 ▲高▼木 真顕
中塚 直樹
発明の名称 センサ装置  
代理人 飯塚 信市  

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