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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08J
管理番号 1260302
審判番号 不服2010-1135  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-19 
確定日 2012-07-18 
事件の表示 特願2004- 36288「軟化剤を含有するフォームラバーおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 8月25日出願公開、特開2005-225984〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成16年2月13日の出願であって,平成21年6月5日付けで拒絶理由が通知されたが,その指定期間内に意見書が提出されず手続補正もされなかったところ,同年10月14日付けで拒絶査定がされた。これに対して,平成22年1月19日に拒絶査定不服の審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,出願時の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「ゴム系ポリマーと軟化剤とを含有するフォームラバー。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,要するに,本願発明は,本願の出願前に頒布された下記引用文献1?5に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができない,というものである。(なお,原査定の拒絶の理由は,上述のほか,本願発明はいわゆる進歩性を欠くという理由,本願の明細書の発明の詳細な記載はいわゆる実施可能要件を満たしていないという理由を含む。)
引用文献1: 特公昭39-18741号公報
引用文献2: 特開2002-20520号公報
引用文献3: 特開2003-276292号公報
引用文献4: 特開2000-226464号公報
引用文献5: 特開昭61-213230号公報

第4 合議体の認定,判断
1 引用文献に記載された発明
(1) 引用文献1について
ア 査定の理由に引用された上記引用文献1には,次の記載がある。(下線は審決で付記。以下同じ。)
「本発明はオイルをエマルジヨンとせず直接ラテツクスに混和して得られた組成物又はその配合物より,泡ゴムを製造することに関するものである」(1頁左欄,発明の詳細な説明の1?3行)
「本発明に使用されるオイルは,通常塊状油展ゴムの製造に使用されるオイルと同種のものでよく,例えば非汚染性の製品に対してはナフテニツク系のオイル,汚染性の製品に対してはアフロマテツク系のオイルを使用することが出来る。」(1頁右欄30?34行)
「オイルの配合によるラテツクス製品の硬度の低下は,ラテツクスのゴム粒子のムーニー粘度を上げることによりある程度改善し得るが,…充填剤をオイル-ラテツクス組成物中に配合することによっても改良し得る。」(1頁右欄下から4行?2頁左欄2行)
「実施例1
次の処方にしたがう2種のラテツクス配合物AとBより常法で泡ゴムを作成し,性質を測定する。
配合処方 重量部(乾)
成分 A B
SBRラテツクス 70 70
オイル 30 -
オイルエマルジヨン - 30
トリメンベース 0.5 0.5
促進剤 2.0 2.0
老化防止剤 1.0 1.0
硫黄 3.0 3.0
亜鉛華 2.0 2.0
けい弗化ソーダ 2.5 2.5
使用したSBRラテツクスは乳化重合によってつくられたもの…である。オイルはナフテニツク系の石油…。先づラテツクスを攪拌しつつオイル…をいずれも油量として30部になるよう加えると,直ちに均一に乳化する。次いで亜鉛華とけい弗化ソーダを除く他の成分を加え,数分攪拌をつづけると均一なラテツクス配合物が得られる。この配合物を泡立機で所望の泡密度に達するまで起泡し,起泡中に亜鉛華とけい弗化ソーダを加えてモールドに注入する。
モールドにフタをし,ゲル化後100℃の熱湯中で45分間加硫し,モールドから取出して水洗,乾燥する。」(2頁左欄11?39行)
「1 ゴムを少くとも60%(重量)含有するラテツクスに,オイルを予め乳化しないで直接混合して得た組成物またはその配合物を用いることを特徴とする泡ゴムの製造法」(特許請求の範囲。3頁右欄下から4行?最下行)
イ 上記アのとおり,特許請求の範囲の記載などを総合すると,引用文献1に記載された発明(以下「引用発明1」という。)は,次のとおりのものと認める。
「ゴムを含有するラテツクスに,オイルを直接混合して得た組成物またはその配合物を用いた泡ゴム」

(2) 引用文献2について
ア 査定の理由に引用された上記引用文献2には,次の記載がある。
「【請求項1】 油脂類を含むことをを特徴とするゴム弾性スポンジ」(【特許請求の範囲】)
「【発明の属する技術分野】本発明は,ゴム弾性を持つスポンジ及びその製造方法についてであり,特にしっとりとした感触のするスポンジとその製造方法に関するものである。」(【0001】)
「【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究検討した結果,油脂類をスポンジに含ませることによりしっとり感が出せることを見い出し,本発明を完成させた。すなわち,本発明のスポンジは,ゴム弾性を持つスポンジに油脂類を含ませたことを特徴とするものである。」(【0005】)
「本発明のスポンジは,スポンジに油脂類を含むことによりしっとり感を出している。本発明の油脂類とは,天然または人工に得られる脂肪酸エステル類,ラノリン,動物性の毛より抽出される油脂,スクワラン,スクワレン(スキュワラン,スキュワレン 深海鮫の肝臓より抽出した油脂で,人工物も知られている),ビサボロール,ロウなどであり,1種または2種以上を混合して使用することができる。…
本発明のスポンジとは,ポリウレタンなどの高分子エラストマーまたはゴムを原料にして発泡成形をした,ゴム弾性を持っているスポンジで,連続気泡または独立気泡のスポンジである。上記高分子エラストマーとしては,ポリウレタン,ポリエチレン系エラストマー,ビニル系エラストマーなどが使用でき,好ましくはポリウレタンである。高分子エラストマーは,樹脂単独で使用することができ,また,エマルジヨンとして使用することもできる。また,ポリウレタンのように樹脂原料であるポリオール類とイソシアネート類を使用することもできる。上記ゴムにはNR,DPNR,NBR,IR,BR,SBR,CR,EPDM,シリコンゴム,アクリルゴムなどであり,1種または2種以上を混合して使用することができる。ゴムはラテツクスとして使用することができ,また,樹脂単独で使用することもできる。
本発明のスポンジは原料樹脂と油脂類と各種助剤の混合物を発泡成形することによって製造することができる。発泡成形の方法としては,各種の発泡成形方法が使用できる。…」(【0007】?【0009】)
イ 上記アのとおり,引用文献2には,請求項1に記載されたゴム弾性スポンジについて,原料樹脂であるゴムと油脂類と各種助剤の混合物を発泡成形して製造されるとの記載があることなどを総合すると,引用文献2に記載された発明(以下「引用発明2」という)は,次のとおりのものと認める。
「ゴムと油脂類と助剤とを含むゴム弾性スポンジ」

(3) 引用文献5について
ア 査定の理由に引用された上記引用文献5には,次の記載がある。
「粉末ゴム粒子中に発泡剤を含有する粉末ゴム100重量部に対して可塑剤及び/又は軟化剤を1?250重量部添加配合してなる発泡性組成物」(特許請求の範囲)
「本発明はゴム発泡体の製造法に適した発泡性組成物に関するものである。詳しくは近年開発された粉末ゴム粒子中に発泡剤を含有する粉末ゴムに,可塑剤及び/又は軟化剤を添加配合してなる発泡性組成物に関する。」(1頁左欄下から7?3行)
「本発明に使用されるゴムは特に制限されるものではなく,ゴムとしては天然ゴム,ポリクロロプレンゴム,アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム,エチレン-プロピレン共重合ゴム,クロルスルフォン化ポリエチレン,イソブチレン-イソプレン共重合ゴム,ポリイソプレンゴム,ポリブタジエンゴム,スチレン-ブタジエン共重合ゴム等のゴムが挙げられる。」(2頁左下欄1?8行)
「本発明で云う可塑剤及び/又は軟化剤とは,一般にゴムの可塑剤もしくは軟化剤として,練りロール,バンバリーミキサ-等でゴムに添加混練りして使用されているものであればよい。…軟化剤も同様に鉱物油系軟化剤,植物油系軟化剤類等であって,例えばパラフィン系オイル,ひまし油,綿実油,あまに油,なたね油,大豆油,やし油,落花生油等が挙げられる。」(2頁右下欄最下行?3頁右上欄9行)
「本発明は前述した発泡性粉末ゴムに可塑剤及び/又は軟化剤,ゴム用配合剤類あるいは特殊な配合剤類を添加攪拌して得た発泡性組成物にある。そして,該組成物を発泡させるための方法は特に制限されるものではなく,発泡方法として例えば,得られた発泡性組成物を金型に入れ加圧下で加熱発泡する方法,押出機で成形,あるいはカレンダーロールでシート出ししそれを加硫釜,電子レンジ,加熱浴槽,加熱空気槽等で加熱発泡する方法,あるいは射出成形機で加熱発泡する方法等が挙げられる。」(3頁右下欄7?17行)
イ 上記アのとおり,特許請求の範囲の記載などを総合すると,引用文献5に記載された発明(以下「引用発明5」という。)は,次のとおりのものと認める。
「発泡剤を含有する粉末ゴムに対して軟化剤を添加配合してなる発泡性組成物を発泡して得られたゴム発泡体」

2 対比
(1) 本願発明と引用発明1との対比
本願発明と引用発明1とを対比すると,引用発明1の「ゴムを含有するラテツクス」は本願発明の「ゴム系ポリマー」に,「泡ゴム」は「フォームラバー」にそれぞれ相当する。また,引用発明1の「オイル」について,引用文献1にはその具体的実施形態としてナフテニツク系の石油が例示されているところ(実施例1),これは本願発明の「軟化剤」の例として本願明細書に記載されているナフテン系プロセスオイル(【0011】)に相当するものであるし,さらに引用文献1には,オイルを配合することによりラテツクス製品の硬度が低下する旨の記載(1頁右欄下から4行)があることからすれば,引用発明1の「オイル」は本願発明の「軟化剤」に相当するものであるといえる。
そうすると,本願発明と引用発明1との間に,差異は見いだせない。

(2) 本願発明と引用発明2との対比
本願発明と引用発明2とを対比すると,引用発明2の「ゴム」は本願発明の「ゴム系ポリマー」に,「ゴム弾性スポンジ」は「フォームラバー」にそれぞれ相当する。また,引用発明2の「油脂類」について,引用文献2にはスポンジに含ませることでしっとり感を出させるとの記載があるし(【0005】),さらに引用文献2には,天然または人工に得られる脂肪酸エステル類,ラノリン,動物性の毛より抽出される油脂,スクワラン,スクワレン,ビサボロール,ロウなどが例示されているところ(【0007】),これらは本願発明の「軟化剤」の例として本願明細書に記載されている動物油や生物起源脂肪酸エステル油(【0011】)に相当するものであることからすれば,引用発明2の「油脂類」は本願発明の「軟化剤」に相当するものであるといえる。
そうすると,本願発明と引用発明2との間に,差異は見いだせない。

(3) 本願発明と引用発明5との対比
本願発明と引用発明5とを対比すると,引用発明5の発泡性組成物を構成する「粉末ゴム」は本願発明の「ゴム系ポリマー」に,「ゴム発泡体」は「フォームラバー」にそれぞれ相当する。また,引用発明5の「軟化剤」について,引用文献5にはその具体的例示として鉱物油系軟化剤,植物油系軟化剤類等であって,例えばパラフィン系オイル,ひまし油,綿実油,あまに油,なたね油,大豆油,やし油,落花生油が挙げられているところ(3頁右上欄6行),これら例示のものは本願発明の「軟化剤」の例として挙げられているもの(【0011】)と何ら異ならない。
そうすると,本願発明と引用発明5との間に,差異は見いだせない。

3 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用文献1,2ならびに5に記載された発明であるから,特許法29条1項3項に該当し,特許を受けることができない。すなわち,原査定の拒絶の理由は妥当なものであり,本願は,原査定の理由により拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-08 
結審通知日 2012-05-15 
審決日 2012-05-29 
出願番号 特願2004-36288(P2004-36288)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C08J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀 洋樹村上 騎見高  
特許庁審判長 田口 昌浩
特許庁審判官 小野寺 務
須藤 康洋
発明の名称 軟化剤を含有するフォームラバーおよびその製造方法  
復代理人 小國 泰弘  
代理人 津国 肇  
代理人 齋藤 房幸  
代理人 津国 肇  
復代理人 小國 泰弘  
代理人 齋藤 房幸  
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