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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1261312 |
審判番号 | 不服2011-691 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-01-12 |
確定日 | 2012-08-08 |
事件の表示 | 特願2006-214874「LEDパッケージ及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月22日出願公開、特開2007- 49152〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成18年8月7日(パリ条約による優先権主張 平成17年8月8日、韓国)の特許出願であって、平成22年1月20日付け及び同年10月6日付けで手続補正がなされたところ、同年11月19日付けで前記平成22年10月6日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年1月12日付けで拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、これと同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成23年1月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成23年1月12日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成23年1月12日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前(平成22年1月20日付け手続補正後のもの)の請求項1を、以下のとおりに補正することを含むものである。 「LEDが収容されるLED収容孔が貫通形成された上部金属板と、 前記上部金属板の下部に結合された下部金属板と、 前記上部及び下部金属板の互いに接合された部分を絶縁させる絶縁体と、 前記LED収容孔へ露出された前記下部金属板に搭載され、前記上部及び下部金属板に電気的に接続されるLEDと、 前記上部及び下部金属板の外部へ露出された所定の部分を取り囲んで保護するための保護カバーと、 を含み、 前記下部金属板は前記LED収容孔に対応する部分で周囲より高く突出形成され、前記絶縁体が設置される空間を提供するLED支持部を含み、 前記絶縁体は前記LED収容孔に対応するホールを備え、 前記LED収容孔と前記ホールは前記下部金属板の前記LED支持部のみを露出させるように形成され、 前記LED収容孔の内周面には銀もしくはニッケルのうち一つの金属物質でコーティング処理されたコーティング層が形成されたことを特徴とするLEDパッケージ。」 本件補正は、補正前の請求項1の「絶縁体」及び「LED収容孔」について、「前記絶縁体は前記LED収容孔に対応するホールを備え、前記LED収容孔と前記ホールは前記下部金属板の前記LED支持部のみを露出させるように形成され、前記LED収容孔の内周面には銀もしくはニッケルのうち一つの金属物質でコーティング処理されたコーティング層が形成された」、との限定を行うものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 2 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)引用刊行物 本願の優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2004/001862号(以下「引用刊行物」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。 ア 「発明を実施するための最良の形態 図1に示す半導体発光装置は、凹部(1a)が形成された金属製の支持板(1)と、支持板(1)に対し電気的に非接続状態にて支持板(1)の凹部(1a)内に固着され且つ上方に向かって拡径する内部空洞(3a)を有する光反射性のリフレクタ(3)と、支持板(1)に対し電気的に接続された一方の電極(下面電極)を有し且つリフレクタ(3)の内部空洞(3a)内で支持板(1)の凹部(1a)上に固着された発光ダイオード(2)と、支持板(1)に電気的に接続された第1の配線導体(4)と、発光ダイオード(2)の他方の電極(上面電極)に電気的に接続された第2の配線導体(5)と、発光ダイオード(2)とリフレクタ(3)とを電気的に接続するリード細線(8)と、リフレクタ(3)の外周部、支持板(1)の上面(1c)及び側面(1d)並びに第1の配線導体(4)及び第2の配線導体(5)の端部を封止する耐熱性の樹脂封止体(6)と、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)を覆って封止樹脂体(6)の上面(6a)を被覆するレンズ部(7)とを備える。 支持板(1)は、熱伝導率190kcal/mh℃以上の銅若しくはアルミニウム又はこれらの合金等の金属により形成され、リフレクタ(3)は、支持板(1)を構成する金属と同一の導電性金属により形成できる。リフレクタ(3)は凹部(1a)内で位置決めされ、例えば熱硬化性エポキシ樹脂等の絶縁性接着剤により支持板(1)に接着され、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)内には、支持板(1)の上面が露出する。リフレクタ(3)の内部空洞(3a)の最小内径は、発光ダイオード(2)の幅(辺長)よりも大きく、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)内に露出する支持板(1)の主面に発光ダイオード(2)を固着したとき、リフレクタ(3)で発光ダイオード(2)を包囲できる。」(第9頁第14行ないし第10頁第6行を参照) イ 「次に、図3に示すように、絶縁性接着剤(11)を介して支持板(1)の凹部(1a)内にリフレクタ(3)を接着する。それと同時に導電性ペースト(銀ペースト)(17)を介して配線導体(5)の端部に固着する。リフレクタ(3)は、図3?図5に示すように、中央部に円錐状の内部空洞(3a)を有し且つ全体的に矩形に形成された本体(3b)と、本体(3b)の一縁から外側に突出する鍔部(3d)とを有する。続いて、図6に示すように、リフレクタ(3)の上部にPET樹脂から成るカバー(12)を貼着してリフレクタ(3)の内部空洞(3a)を密閉し、図7に示すように、リードフレーム組立体(10)を成形型(20)内に取り付ける。」(第10頁第24行ないし第11頁第2行を参照) ウ 「その後、図9に示すように、周知のダイボンダを使用して、半田又は導電性ペースト等の導電性接着剤(2a)によってリフレクタ(3)の内部空洞(3a)内に露出する支持板(1)の一方の主面(1c)に発光ダイオード(2)を固着する。」(第11頁第22行ないし第24行を参照) エ 上記ア、イ、ウに照らして図1、図3、図9をみると、リフレクタ(3)は、支持板(1)の凹部の周辺部に設けられた絶縁性接着剤(11)によって、支持板(1)の凹部に接着されていることが見てとれる。 上記摘記事項の記載を総合すると、引用刊行物には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている、と認められる。 「凹部(1a)が形成された金属製の支持板(1)と、支持板(1)に対し電気的に非接続状態にて支持板(1)の凹部(1a)内に固着され且つ上方に向かって拡径する内部空洞(3a)を有する光反射性のリフレクタ(3)と、支持板(1)に対し電気的に接続された一方の電極(下面電極)を有し且つリフレクタ(3)の内部空洞(3a)内で支持板(1)の凹部(1a)上に固着された発光ダイオード(2)と、支持板(1)に電気的に接続された第1の配線導体(4)と、発光ダイオード(2)の他方の電極(上面電極)に電気的に接続された第2の配線導体(5)と、発光ダイオード(2)とリフレクタ(3)とを電気的に接続するリード細線(8)と、リフレクタ(3)の外周部、支持板(1)の上面及び側面並びに第1の配線導体(4)及び第2の配線導体(5)の端部を封止する耐熱性の樹脂封止体(6)と、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)を覆って封止樹脂体(6)の上面(6a)を被覆するレンズ部(7)とを備え、 支持板(1)は、銅若しくはアルミニウム又はこれらの合金等の金属により形成され、リフレクタ(3)は、支持板(1)を構成する金属と同一の導電性金属により形成することができ、リフレクタ(3)は凹部(1a)内で位置決めされ、絶縁性接着剤により支持板(1)に接着され、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)内には、支持板(1)の上面が露出し、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)の最小内径は、発光ダイオード(2)の幅(辺長)よりも大きく、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)内に露出する支持板(1)の主面に発光ダイオード(2)を固着したとき、リフレクタ(3)で発光ダイオード(2)を包囲し、リフレクタ(3)は、支持板(1)の凹部の周辺部に設けられた絶縁性接着剤(11)により支持板(1)の凹部に接着されている半導体発光装置。」 (2)対比・判断 本願補正発明と引用発明を対比する。 ア 引用発明の「半導体発光装置」は、「内部空洞(3a)を有する光反射性のリフレクタ(3)」及び「リフレクタ(3)の内部空洞(3a)内で支持板(1)の凹部(1a)上に固着された発光ダイオード(2)」を備えるものであって、「リフレクタ(3)は、支持板(1)を構成する金属と同一の導電性金属により形成することができ」るものであるから、引用発明の「半導体発光装置」、「発光ダイオード(2)」、「内部空洞(3a)」及び「リフレクタ(3)」は、それぞれ、本願補正発明の「LEDパッケージ」、「LED」、「LED収容孔」及び「上部金属板」に相当する。 イ 引用発明の「リフレクタ(3)」は、「支持板(1)に対し電気的に非接続状態にて支持板(1)の凹部(1a)内に固着され」ているから、引用発明の「支持板(1)」は、「リフレクタ(3)」の下部に結合されたものであって、本願補正発明の「下部金属板」に相当する。 ウ 引用発明は、「リフレクタ(3)」が「凹部(1a)内で位置決めされ、絶縁性接着剤(11)により支持板(1)に接着され」ているから、引用発明の「絶縁性接着剤(11)」は、「リフレクタ(3)」及び「支持板(1)」の互いに接合された部分を絶縁させるものであって、本願補正発明の「絶縁体」に相当する。 エ 引用発明の「発光ダイオード(2)」は、「リフレクタ(3)の内部空洞(3a)内で支持板(1)の凹部(1a)上に固着された」ものであって、「支持板(1)に対し電気的に接続された一方の電極(下面電極)を有」し、「発光ダイオード(2)とリフレクタ(3)とを電気的に接続するリード細線(8)」を備えるから、引用発明の「発光ダイオード(2)」は、本願補正発明の「(前記LED収容孔へ露出された前記下部金属板に搭載され、前記上部及び下部金属板に電気的に接続される)LED」であるといえる。 オ 引用発明は、「リフレクタ(3)の外周部、支持板(1)の上面及び側面並びに第1の配線導体(4)及び第2の配線導体(5)の端部を封止する耐熱性の樹脂封止体(6)」を有するから、引用発明は、本願補正発明の「上部及び下部金属板の外部へ露出された所定の部分を取り囲んで保護するための保護カバーと、を含み」との事項を備える。 よって、本願補正発明と引用発明とは、 「LEDが収容されるLED収容孔が貫通形成された上部金属板と、 前記上部金属板の下部に結合された下部金属板と、 前記上部及び下部金属板の互いに接合された部分を絶縁させる絶縁体と、 前記LED収容孔へ露出された前記下部金属板に搭載され、前記上部及び下部金属板に電気的に接続されるLEDと、 前記上部及び下部金属板の外部へ露出された所定の部分を取り囲んで保護するための保護カバーと、 を含むLEDパッケージ。」 である点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。 [相違点1] 本願補正発明は、「下部金属板」の「LED支持部」が、「LED収容孔に対応する部分で周囲より高く突出形成され」て、「絶縁体が設置される空間」が提供されているのに対し、引用発明は、「支持板(1)」を「突出形成」したような「LED支持部」を備えていない点。 [相違点2] 本願補正発明は、「絶縁体」が「LED収容孔に対応するホール」を有し、「前記LED収容孔と前記ホールは前記下部金属板の前記LED支持部のみを露出させるように形成され」ているのに対し、引用発明は、「絶縁性接着剤(11)」が「ホール」を有するかが明確でなく、したがって本願補正発明のように「前記LED収容孔と前記ホールは前記下部金属板の前記LED支持部のみを露出させる」とする構成を有するかが不明である点。 [相違点3] 本願補正発明は、「LED収容孔の内周面」が「銀もしくはニッケルのうち一つの金属物質でコーティング処理されたコーティング層が形成され」ているのに対し、引用発明は、「リフレクタ(3)」の「内部空洞(3a)」側の内周面にそのような「コーティング層」を備えていない点。 上記相違点につき検討する。 [相違点1]について 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2005-167086号公報(図6(b)を参照)、特開2004-228240号公報(図1を参照)、特開2004-200207号公報(図2を参照)に示されるように、LEDパッケージにおいて、発光素子を載置する金属基体を凸形状としたものは周知であり、引用発明において前記周知技術を適用することにより、「絶縁性接着剤(11)」の無い「内部空洞(3a)」に対応する部分で「支持板(1)」を周囲より高く突出形成させることにより、「絶縁性接着剤(11)」が設置される空間を提供するようにして、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。 [相違点2]について 引用発明の「リフレクタ(3)」は、「支持板(1)の凹部の周辺部に設けられた絶縁性接着剤(11)により支持板(1)の凹部に接着されて」おり、「絶縁性接着剤(11)」は、「支持板(1)の主面」の「発光ダイオード(2)」が「半田又は導電性ペーストによって」固着されている部分を除いて、「支持板(1)の凹部の周辺部に設けられた」ものであるところ、内部空洞(3a)を具体的にどのような形状とするか、また絶縁性接着剤(11)を具体的にどのような位置に配するかは設計的事項にすぎず、「内部空洞(3a)」及び「絶縁性接着剤(11)」によって囲まれた部分が、「支持板(1)」の「発光ダイオード(2)」固着部分のみを露出するように形成し、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。 [相違点3]について 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2005-210042号公報(【0034】を参照)、特開2005-101375号公報(【0025】を参照)、特開2005-39100号公報(【0045】を参照)に示されるように、LEDパッケージにおいて、発光素子が発光する光を反射する反射面を銀やニッケル等の金属で被着することは、本願の優先日時点で周知であるから、引用発明において、前記周知技術を適用し、「リフレクタ(3)」の「内部空洞(3a)」側の内周面を銀もしくはニッケルのうち一つの金属物質でコーティング処理して、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。 そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明から予測し得る程度のものである。 以上の検討によれば、本願補正発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであって、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成22年1月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項34に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「LEDが収容されるLED収容孔が貫通形成された上部金属板と、 前記上部金属板の下部に結合された下部金属板と、 前記上部及び下部金属板の互いに接合された部分を絶縁させる絶縁体と、 前記LED収容孔へ露出された前記下部金属板に搭載され、前記上部及び下部金属板に電気的に接続されるLEDと、 前記上部及び下部金属板の外部へ露出された所定の部分を取り囲んで保護するための保護カバーと、 を含み、 前記下部金属板は前記LED収容孔に対応する部分で周囲より高く突出形成され、前記絶縁体が設置される空間を提供するLED支持部を含むLEDパッケージ。」 2 引用刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用刊行物の記載及び引用発明は、上記第2の2(1)のとおりである。 3 判断 本願発明は、上記第2の2(2)で検討した本願補正発明において、「前記絶縁体は前記LED収容孔に対応するホールを備え、前記LED収容孔と前記ホールは前記下部金属板の前記LED支持部のみを露出させるように形成され、前記LED収容孔の内周面には銀もしくはニッケルのうち一つの金属物質でコーティング処理されたコーティング層が形成された」、との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2の2(2)で検討したとおり、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-03-07 |
結審通知日 | 2012-03-13 |
審決日 | 2012-03-27 |
出願番号 | 特願2006-214874(P2006-214874) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 杉田 翠 |
特許庁審判長 |
吉野 公夫 |
特許庁審判官 |
服部 秀男 岡▲崎▼ 輝雄 |
発明の名称 | LEDパッケージ及びその製造方法 |
代理人 | 山下 託嗣 |
代理人 | 小野 由己男 |