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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) G06K |
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管理番号 | 1261384 |
判定請求番号 | 判定2012-600006 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2012-03-13 |
確定日 | 2012-07-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3858051号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「ドットパターンを用いた情報入出力方法」は、特許第3858051号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
第1 請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、甲第1号証に示される商品名「Speakun」による情報の読み取り方法、及び、前記「Speakun」で読み取られるイ号図面に示されるドットパターンは、特許第3858051号の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。 第2 本件特許発明 請求人は、「本件特許発明は、請求項1から請求項6を備えているが、本判定の請求では、請求項1を対象とする。」としているので、以下の検討では、請求項1に係る発明(以下、これを「本件特許発明」という。)を対象とする。 そして、本件特許発明を構成要件ごとに分説すると次のとおりである。 A.印刷物等の媒体面の、正方形または長方形の矩形領域をブロックとし、 B.該ブロックの枠を構成する縦方向および横方向の直線を基準格子線として、該基準格子線上の所定間隔毎に仮想基準格子点を設け、 C.仮想基準格子点上に基準格子点ドットを配置し、 D.該仮想基準格子点同士を結びかつ前記基準格子線と並行な直線を格子線とし、格子線同士の交点を仮想格子点とし、 E.前記仮想格子点を基準に距離と方向を有する1または複数の情報ドットをそれぞれ配置したドットパターンを生成し、 F.そのようなドットパターンを画像情報として光学読取り手段で読み込んで、当該ドットパターンを数値化して、該数値化情報に対応する情報を記憶手段から読み出して出力するドットパターンを用いた G.情報入出力方法。 第3 イ号装置による情報の読み取り方法及びイ号ドットパターン 1.イ号装置による情報の読み取り方法 イ号装置は、甲第1号証で示されるようなペン型タイプの情報読取り/再生装置であり、印刷物等の媒体面に予め形成された「ドットパターン」を読み取って、音声情報を出力する装置である。 そして、イ号装置は、ドットパターンを読み取るための光学装置と、多数の音声情報を格納したメモリ(各音声情報は、予め、音声情報毎に数値化されて情報テーブルとしてメモリに格納されている)と、音声情報を出力するスピーカと、これらの構成要素を制御する制御手段(CPU)と、を有している。 ここで、前記制御手段は、光学装置で読み取ったドットパターン(画像情報)をデジタル化して数値化(コード番号情報化)するとともに、数値化された情報を基に、前記情報テーブルを参照し、それに対応する音声情報を抽出して、前記スピーカから出力するように制御するものである。 よって、イ号装置による情報の読み取り方法として、次の方法が示されているといえる。 f.ドットパターンを画像情報として光学装置で読み取って、当該ドットパターンを数値化して、該数値化情報に対応する音声情報をメモリから抽出してスピーカから出力するドットパターンを用いた g.情報入出力方法。 2.イ号ドットパターン イ号ドットパターンは、イ号装置によって読み取られる「印刷物等の媒体面に予め形成された『ドットパターン』」であり、イ号図面の第1図に示されるように形成されるものである。そして、イ号図面の第1図に示される正方形または長方形の矩形領域を「ブロック」とみることができる。 イ号図面の第1図、第2図において、36個のドットが配設されており、そのうちの11個のドットは、X線上、Y線上に所定間隔毎に配設されている。(第2図のS_(44)におけるドットはY線上からずれており、縦方向及び横方向に隣接するドットとの間隔が他の部分のX線上、Y線上のドットの間隔と若干異なるが、その部分も含めて、ほぼ「所定間隔毎」といえる間隔である。) イ号図面の第2図において、X線上、Y線上に配設されるドットは、9つのセグメント(a?i)の内、禁止領域eあるいはdに付されるものであり、情報ドットを構成するものではなく、基準ドットと呼び得るものであり、X線、Y線は、基準線と呼び得るものである。 イ号図面の第2図において、各基準ドット(S_(44)におけるドットを除く)上でX線とY線に平行となる線(これを平行X線、平行Y線と称する)を引いた場合、平行X線と平行Y線の交点は、9つのセグメント(a?i)の内のeの位置になり、その位置には情報ドットは配置されないのであるから、その位置の点は、仮想格子点と呼び得るものである。 そして、イ号図面の第2図において、各情報ドットは、9つのセグメント(a?i)の内のa,c,g,iのいずれかの位置に配置されるものであり、その位置は、仮想格子点と呼び得るeの位置を基準に距離と方向を有する位置であるといえるものである。 以上のことから、イ号ドットパターンとして、実質的に、次のドットパターンを生成する方法が示されているといえる。 a.印刷物等の媒体面の、正方形または長方形の矩形領域をブロックとし、 b.該ブロック上の縦方向および横方向のY線、X線を基準線として、該基準線上の所定間隔毎に基準ドットを配設し、 d.該基準ドット上でX線とY線に平行となる平行X線、平行Y線を引き、それらの交点を仮想格子点とし、 e.前記仮想格子点を基準に距離と方向を有する複数の情報ドットをそれぞれ配置したドットパターンを生成する方法。 第4 対比・判断 1.イ号装置による情報の読み取り方法が本件特許発明の構成要件F.,G.を充足するかについて イ号装置による情報の読み取り方法の構成要件f.における「光学装置」、「読み取」ること、「メモリ」、「抽出」することは、それぞれ、本件特許発明の構成要件F.における「光学読取り手段」、「読み込」むこと、「記憶手段」、「読み出」すことに相当する。 また、イ号装置による情報の読み取り方法の構成要件f.における「音声情報」、「スピーカから出力する」ことは、それぞれ、本件特許発明の構成要件F.における「情報」、「出力する」ことの下位概念に相当する。 そして、イ号装置による情報の読み取り方法の構成要件g.の「情報入出力方法」は、本件特許発明の構成要件G.における「情報入出力方法」と一致する。 よって、イ号装置による情報の読み取り方法は、本件特許発明の構成要件F.,G.を充足する。 2.イ号ドットパターンを生成する方法が本件特許発明の構成要件A.?E.を充足するかについて イ号ドットパターンを生成する方法の構成要件a.は、本件特許発明の構成要件A.と一致する。 次に、イ号ドットパターンを生成する方法の構成要件b.と、本件特許発明の構成要件B.,C.とを対比すると、前記構成要件b.における「ブロック上の縦方向および横方向のY線、X線」は、「ブロックの枠」を構成するものではなく、前記構成要件B.における「ブロックの枠を構成する縦方向および横方向の直線」とは異なるものであり、前記構成要件b.における「基準線」は、前記構成要件B.における「基準格子線」に相当するものではない。 そして、前記「基準線」が前記「基準格子線」に相当するものでないことから、必然的に、前記構成要件b.において「基準線上の所定間隔毎」に配設される「基準ドット」も、前記構成要件B.,C.において「基準格子線上の所定間隔毎」に設けられた「仮想基準格子点」上に配置された「基準格子点ドット」に相当するものではない。 よって、イ号ドットパターンを生成する方法の構成要件b.は、本件特許発明の構成要件B.,C.を充足しない。 次に、イ号ドットパターンを生成する方法の構成要件d.と、本件特許発明の構成要件D.とを対比すると、イ号ドットパターンには、「ブロックの枠」を構成する「基準格子線」が存在せず、該「基準格子線」上に設けられた「仮想基準格子点」も存在しないため、前記構成要件d.には、前記構成要件D.における「仮想基準格子点同士を結」ぶという概念がない。 よって、イ号ドットパターンを生成する方法の構成要件d.は、本件特許発明の構成要件D.を充足しない。 なお、イ号ドットパターンを生成する方法の構成要件e.は、本件特許発明の構成要件E.における「1または複数の情報ドット」を「複数の情報ドット」としたものであり、前記構成要件E.の下位概念に相当する。 以上検討したように、イ号ドットパターンを生成する方法の前記構成要件a.は、本件特許発明の前記構成要件A.と一致し、前記構成要件e.は前記構成要件E.の下位概念に相当するものの、前記構成要件b.は、前記構成要件B.,C.を充足せず、前記構成要件d.は、前記構成要件D.を充足しない。 3.まとめ 上記1.,2.で検討したように、イ号ドットパターンを生成する方法により生成されたイ号ドットパターンをイ号装置により読み取る方法は、本件特許発明の構成要件A.,E.?G.を充足するが、構成要件B.?D.を充足しない。 第4 むすび 以上のとおり、イ号ドットパターンを生成する方法により生成されたイ号ドットパターンをイ号装置により読み取る方法は、本件特許発明の構成要件B.?D.を充足しないから、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
判定日 | 2012-07-19 |
出願番号 | 特願2006-521328(P2006-521328) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZA
(G06K)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 梅沢 俊 |
特許庁審判長 |
長島 孝志 |
特許庁審判官 |
石井 茂和 山崎 達也 |
登録日 | 2006-09-22 |
登録番号 | 特許第3858051号(P3858051) |
発明の名称 | ドットパターンを用いた情報入出力方法 |
代理人 | 松下 亮 |
代理人 | 平川 明 |
代理人 | 水野 浩司 |
代理人 | 細谷 道代 |
代理人 | 湯口 文丸 |