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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A63F
審判 全部無効 2項進歩性  A63F
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
管理番号 1261742
審判番号 無効2010-800214  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-11-17 
確定日 2012-07-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4149759号発明「遊技機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4149759号は、平成14年6月24日に出願され(特願2002-220463号)、平成20年7月4日に特許権の設定登録が行われた。
そして、本件無効審判請求後の手続きの経緯は以下のとおりである。

無効審判請求 :平成22年 11月17日
答弁書 :平成23年 2月 7日
訂正請求書 : 2月 7日
弁駁書 : 3月18日
口頭審理陳述要領書(請求人) : 6月23日
口頭審理陳述要領書(被請求人) : 6月23日
口頭審理 : 7月 7日
上申書(請求人) : 7月22日
上申書(被請求人) : 7月22日


第2 訂正の適否
2-1 訂正の内容
平成23年2月7日付け訂正請求書により被請求人が求める訂正の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項ア
特許請求の範囲の【請求項1】を削除する。

(2)訂正事項イ
特許請求の範囲の【請求項2】を
「扉体基体と、
前記扉体基体の両側部に設けられる一対の側面保持部材と、
前記側面保持部材に上下方向に所定間隔で連続して配置された複数の光源と、
前記側面保持部材に設けられ、前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備えた側面保持部材被覆部材と、
前記光源と前後方向に対向する位置であって、前記溝部に埋設され、前記光源を被覆する前記溝部に沿って連続して設けられる断面矩形状の棒状の透光レンズを備え、電飾演出を実行する電飾表示手段と、
を有した遊技機筐体に開閉自在に設けられる扉体を備え、
前記側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前記前後方向の前端部が前記溝部に埋設された前記透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され、
前記溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され、
前記透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されていることを特徴とする遊技機。」
と訂正する。

(3)訂正事項ウ
特許請求の範囲の【請求項3】を
「少なくとも前記溝部の表面には、鏡面仕上げが施されていることを特徴とする請求項2記載の遊技機。」
と訂正する。

(4)訂正事項エ
特許請求の範囲の【請求項4】を
「前記透光レンズの裏面には、前記光源から照射される光を拡散する光拡散部材が貼付されることを特徴とする請求項2又は3記載の遊技機。」
と訂正する。

(5)訂正事項オ
特許請求の範囲の【請求項5】を
「前記透光レンズは、前記溝部に嵌合した場合、左右両側面全面が前記溝部の両側面と面接触した状態で嵌合されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の遊技機。」
と訂正する。

(6)訂正事項カ
願書に添付した明細書の段落番号【0017】を
「(2)扉体基体と、前記扉体基体の両側部に設けられる一対の側面保持部材と、前記側面保持部材に上下方向に所定間隔で連続して配置された複数の光源と、前記側面保持部材に設けられ、前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備えた側面保持部材被覆部材と、前記光源と前後方向に対向する位置であって、前記溝部に埋設され、前記光源を被覆する前記溝部に沿って連続して設けられる断面矩形状の棒状の透光レンズを備え、電飾演出を実行する電飾表示手段と、を有した遊技機筐体に開閉自在に設けられる扉体を備え、前記側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前記前後方向の前端部が前記溝部に埋設された前記透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され、前記溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され、前記透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されていることを特徴とする遊技機。」
と訂正する。

(7)訂正事項キ
願書に添付した明細書の段落番号【0018】を
「上述した(2)の発明によれば、「前記扉体には、前記側面保持部材に設けられ、前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備えた側面保持部材被覆部材を備え、前記側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前記前後方向の前端部が前記溝部に埋設された前記透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され、前記溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成」されることにより、透光レンズが搬出入時に何らかにぶつけるなどして割れを生じてしまう可能性が低減され、透光レンズの耐久性が向上する。」
と訂正する。

(8)訂正事項ク
願書に添付した明細書の段落番号【0022】を削除する。

(9)訂正事項ケ
願書に添付した明細書の段落番号【0023】を
「上述した(2)の発明によれば、「前記透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されている」ように構成することにより、前記光源が所定間隔を隔てて設けられる場合でも、発光する部位が前記棒状レンズの表面の前面となるから光源と光源との間の発光欠落部位があまり目立たなくなるといった効果が期待できるのである。」
と訂正する。

(10)訂正事項コ
願書に添付した明細書の段落番号【0025】を
「(3)少なくとも前記溝部の表面には、鏡面仕上げが施されていることを特徴とする(2)の遊技機。」
と訂正する。

(11)訂正事項サ
願書に添付した明細書の段落番号【0026】を
「上述した(3)の発明によれば、(2)の遊技機において、「少なくとも前記溝部の表面には、鏡面仕上げが施されている」ように構成することにより、溝部の表面において透光レンズから左右方向に放たれた光を反射させることが可能となるので、当該光源からの光をより前方へ集中して照射することができるとともに、鏡面仕上げが施された溝部の表面が光を発しているかのような視覚効果が生じ、電飾効果が向上することとなるのである。」
と訂正する。

(12)訂正事項シ
願書に添付した明細書の段落番号【0027】を
「(4)前記透光レンズの裏面には、前記光源から照射される光を拡散する光拡散部材が貼付されることを特徴とする(2)又は(3)のいずれかの遊技機。」
と訂正する。

(13)訂正事項ス
願書に添付した明細書の段落番号【0028】を
「上述した(4)の発明によれば、(2)又は(3)のいずれかの遊技機において、「前記透光レンズには、前記光源から照射される光を拡散する光拡散部材が貼付される」ように構成する。」
と訂正する。

(14)訂正事項セ
願書に添付した明細書の段落番号【0029】を
「(5)前記透光レンズは、前記溝部に嵌合した場合、左右両側面全面が前記溝部の両側面と面接触した状態で嵌合されることを特徴とする(2)乃至(4)のいずれかの遊技機。」
と訂正する。

(15)訂正事項ソ
願書に添付した明細書の段落番号【0030】を
「上述した(5)の発明によれば、(2)乃至(4)のいずれかの遊技機において、「前記透光レンズは、前記溝部に嵌合した場合、左右両側面全面が前記溝部の両側面と面接触した状態で嵌合される」ように構成する。」
と訂正する。

(16)訂正事項タ
願書に添付した明細書の段落番号【0041】を削除する。

(17)訂正事項チ
願書に添付した明細書の段落番号【0044】を削除する。

(18)訂正事項ツ
願書に添付した明細書の段落番号【0046】を削除する。

(19)訂正事項テ
願書に添付した明細書の段落番号【0048】を削除する。

(20)訂正事項ト
願書に添付した明細書の段落番号【0052】を削除する。

(21)訂正事項ナ
願書に添付した明細書の段落番号【0054】を削除する。

(22)訂正事項ニ
願書に添付した明細書の段落番号【0078】を削除する。

2-2 訂正に関する請求人の主張の概要
(1)訂正事項イに係る、「前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さい前記複数の光源が嵌合可能な溝状の開口部が形成され」を、「前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され」とする訂正、並びに、「前記透光レンズは、前記棒状の透光レンズの一辺の後端部が前記側面保持部材被覆部材の表面から裏面側に突設延在して前記光源の近傍に配置される一方、前記棒状の透光レンズの前端部が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されている」を、「前記透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されている」とする訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張ないし変更する訂正に該当する。
(2)訂正事項イに係る、「断面矩形状の棒状の透光レンズを備え」、「前記溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され」たものは、明細書に記載されていない。

2-3 訂正の適否の判断
(1)訂正事項アについて
当該訂正は、請求項の削除であり、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認める。
(2)訂正事項イについて
当該訂正は、実質的に、
イ-1 「棒状の透光レンズ」を「断面矩形状の棒状の透光レンズ」に変更する。
イ-2 「透光レンズの前記前後方向の前端部」を「透光レンズの前記前後方向の前面」に変更する。
イ-3 側面保持部材被覆部材に形成された溝状の開口部に嵌合可能な部材について、「複数の光源」を「複数の光源を実装した基板」に変更する。
イ-4 側面保持部材被覆部材における透光レンズの配置関係について、「透光レンズの一辺の後端部が前記側面保持部材被覆部材の表面から裏面側に突設延在して前記光源の近傍に配置され」を「透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され」に変更する。
という訂正に分けることができるから、訂正事項イを、上記イ-1ないしイ-4の訂正に分けて順に検討する。

イ-1の訂正は、透光レンズの形状を「断面矩形状」と特定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認める。
イ-2の訂正は、透光レンズの「前端部」を「前面」したものであり、この訂正により構成が明りょうになったので、明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認める。
イ-3の訂正について、請求人は、「光源」と「光源を実装した基板」とは技術的に同一でなく、後者は前者を減縮する概念でない旨主張している。
しかしながら、そもそも、本願特許明細書の記載(段落【0085】)および図面(図3、図5、図8、図9)からみれば、側面保持部材被覆部材51が側面保持部17を覆うときに溝状の開口部に嵌合されるのは「LED用基盤120およびLED用基盤120に実装されたLEDユニット110」である。
そして、訂正前は、上記「LED用基盤120およびLED用基盤120に実装されたLEDユニット110」全体を「光源」と規定していたことは明らかであって、当該「光源」を、実施例に即して「光源を実装した基板」と訂正したのであるから、この訂正は明りょうでない記載の釈明に該当すると認めることができる。
イ-4の訂正について、訂正前の「透光レンズの一辺の後端部が前記側面保持部材被覆部材の表面から裏面側に突設延在して前記光源の近傍に配置される」という事項は、側面保持部材被覆部材の溝部に嵌合された透光レンズの裏面側の辺が、光源の近傍に配置されること、つまり、透光レンズ(装飾用レンズ100)と側面保持部材被覆部材(サイドレンズカバー51)の配置関係を図5、図8、図9等に示されたとおりに規定したものであることは明らかであり、当該事項を「透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され」と訂正したことによって、透光レンズと側面保持部材被覆部材の配置関係が明確になったのであるから、この訂正は明りょうでない記載の釈明に該当すると認められる。
そして、これらの訂正は、特許明細書に記載した事項の範囲においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正事項イは、特許請求の範囲の減縮ならびに明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認める。
なお、請求人は、「溝部」、「開口部」の意味を独自に解釈して、訂正された請求項に記載された発明は発明の詳細な説明に記載されていない旨の主張をしているが、訂正された請求項における「溝部」、および「開口部」は、本願特許明細書の図8、図9でいえば、透光レンズ(100)が埋設されている部分を「溝部」と、そして光源が実装された基盤(120)が嵌合する幅が狭い溝(55)を「開口部」と規定していることは明らかであるし、本願明細書の段落【0083】にもそれを裏付ける記載があるから、訂正された請求項に記載された発明は発明の詳細な説明に記載されており、請求人の主張は採用できない。

(3)訂正事項ウないしオについて
当該訂正は、請求項1の削除に伴う請求項3ないし請求項5の引用請求項の変更であり、実質的に特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認める。
(4)訂正事項カ、キ、ケないしソについて
当該訂正は、請求項2の訂正、並びに請求項3ないし請求項5の引用請求項の変更に対応した記載事項の変更であり、明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認める。
(5)訂正事項ク、タないしニについて
当該訂正事項は、明細書記載事項の削除であり、明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認める。

(6)訂正のまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項ア?ニは、特許法第134条の2第1項ただし書きの規定および同法同条第5項の規定により準用する同法第126条第3項および第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


第3 本件発明
上記したように、訂正は認められるので、本件特許第4149759号の請求項2ないし請求項5に係る発明(以下、「本件訂正発明2」?「本件訂正発明5」という。)は、平成23年2月7日付け訂正請求書で訂正された特許請求の範囲に記載された事項により特定された以下のとおりのものである。

「【請求項2】
扉体基体と、
前記扉体基体の両側部に設けられる一対の側面保持部材と、
前記側面保持部材に上下方向に所定間隔で連続して配置された複数の光源と、
前記側面保持部材に設けられ、前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備えた側面保持部材被覆部材と、
前記光源と前後方向に対向する位置であって、前記溝部に埋設され、前記光源を被覆する前記溝部に沿って連続して設けられる断面矩形状の棒状の透光レンズを備え、電飾演出を実行する電飾表示手段と、
を有した遊技機筐体に開閉自在に設けられる扉体を備え、
前記側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前記前後方向の前端部が前記溝部に埋設された前記透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され、
前記溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され、
前記透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
少なくとも前記溝部の表面には、鏡面仕上げが施されていることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記透光レンズの裏面には、前記光源から照射される光を拡散する光拡散部材が貼付されることを特徴とする請求項2又は3記載の遊技機。
【請求項5】
前記透光レンズは、前記溝部に嵌合した場合、左右両側面全面が前記溝部の両側面と面接触した状態で嵌合されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の遊技機。」


第4 請求人の主張する無効理由の概要および証拠方法
<無効理由1>
本件明細書には「この「上部ユニット」は請求項中の「機能部材」に相当する。」等の記載があるが、どの請求項にも「機能部材」なる構成が記載されておらず、明細書の記載は理解不能である。したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は特許法第36条第4項第1号の規定に違反する。
<無効理由2>
発明の実施の形態を参酌しても、「裏面側に突出延在」の技術的意義が明確でないから請求項2の記載は特許法第36条第6項第2号の規定に違反する。
<無効理由3>
請求項1乃至請求項5に係る発明は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載されたものから当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項に該当する。

[証拠方法]
甲第1号証 特開平7-594号公報
甲第2号証 特開2000-84143号公報
甲第3号証 特開平7-77942号公報
甲第4号証 特開2000-85462号公報
甲第5号証 特開2001-137422号公報
甲第6号証 実開平5-72572号公報
また、請求人は、弁駁書とともに、
甲第8号証 広辞苑 第四版 第722ページ
を提出し、さらに口頭審理陳述要領書とともに、
甲第9号証 実願昭57-177078号(実開昭59-82286号)
のマイクロフィルム
甲第10号証 実願昭57-110071号(実開昭59-14360号)
のマイクロフィルム
甲第11号証 特開平8-182838号公報
甲第12号証 特開2000-279578号公報
甲第13号証 特開平9-131428号公報
甲第14号証 特開2001-95987号公報
甲第15号証 特開2001-321493号公報
を提出した。

第5 甲第1号証の記載事項
5-1 甲第1号証(特開平7-594号公報)には、以下の事項が記載されている。
記載事項1-1
「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、スロットマシンの前面に開閉自在に設けられたドアを、ドア本体と、これとは別体の縁取り部材とから構成し、縁取り部材をドア本体の端縁部に設けた保持部に着脱自在に取り付けるように構成してある。縁取り部材は複数個に分割してもよく、さらに縁取り部材を光透過性の樹脂成形品とし、その内側から照明光を与えて独特の装飾効果を得ることも可能である。
【0007】
【実施例】本発明を用いたスロットマシンの外観図を図2に示す。本体1には、スロットマシンの点検、調整時に開閉するドア2と、入賞したときにコインの払い出しが行われるコイン受け皿3と、リール4を回転させるときに操作されるレバー5が設けられている。
【0008】ドア2のベース部分となるドア本体6には、リール4の外周に記されたシンボルマークを見るために透明部分が設けられ、入賞したときのクレジット枚数が表示される表示部7を備えるパネル8と、装飾がされたパネル9とが嵌め込まれている。パネル8とパネル9との間には、回転中のリール4を停止させるときに操作される押しボタン10と、クレジットをオン・オフさせるボタン11と、コイン投入口12とが設けられている。
【0009】図1に示したように縁取り部材13,14,15はドア本体6に対し着脱自在に設けられている。本実施例では3分割された縁取り部材を使用するが、形状によって分割個数は増減することもある。このドア本体6は、金属プレートを所定形状に打ち抜いたものであり、いくつかの構成部品について、必要なものについて適宜の個所に凹凸や隆起をつけるためにプレス加工が行われ、上記構成部品を適所に設けることからなる。この縁取り部材13,14と保持部16,17の嵌合状態の断面図を図4(a)に示す。取付部材19,20は「コ」の字または「U」の字の断面をもち、ネジ30を貫通させる穴24があけられている。これを、ドア本体6の製造過程において打ち抜かれた端縁部の開口面より僅かに突出させて、溶接することで保持部16,17が形成される。」
記載事項1-2
「【0012】嵌合構造の一例として縁取り部材13と保持部16を図3に示す。縁取り部材13の内側には、メネジが切られた複数ボス22と、縁取り部材13より突出した複数リブ23が形成されている。またドア本体6の保持部16を形成する取付部材19には、ボス22,リブ23と一致する位置に穴24,穴25が開けてある。
【0013】この縁取り部材13と保持部16の取付部材19とは、リブ23を穴25に嵌め込むことと、取付部材19の裏側からネジ30によって取付部材19の穴24を貫通し、縁取り部材13のボス22に固定することから、着脱自在となる。
【0014】本構成の作用を示す。上述したように両端縁の装飾となる縁取り部材13,14,15はドア本体6とは別体に製造されるので加工が容易となりデザインの自由度が広まった。従って、本発明によれば、複雑な形状の縁取りを低コストで行えるようになり、他のスロットマシンのものとはかなり異なる装飾とすることができる。また、これらはネジ30により着脱自在にされているので大変便利であり、仮に縁取り部材8の一部が破損した場合でも容易に修理を行うことができる。更に、遊戯者に人気となると思われるデザインのスロットマシンに変更するときは、パネル8,パネル9とともに縁取り部材13,14,15を交換するだけでよく、非常に低コストにモデルチェンジを行える。
【0015】その他の実施例を第5図に示す。上記した縁取り部材13?15の何れかを(a),(b)のようにL字型の断面形状をもつものとし、それにボス22を備えたものでもよい。また縁取り部材13?15の何れかをドア本体6の保持部16に固定する場合、ネジ30である必要はなく、(c)のように凹凸を設けた縁取り部材26としそれに対応する保持部27の開口に嵌合して固定したり、(d)のように縁取り部材28の爪部を保持部29の開口29aに挿入する形として、着脱の手間を省くようにすることもある。その他に(e)のように、光透過性樹脂の成形品とした縁取り部材31をドア本体6もしくは縁取り部材31に組み込まれた光源32により、内面側から照明して独特の装飾効果を得てもよい。尚、剛性が必要な場合はアルミニウム,亜鉛ダイキャスト材などの金属性とする。」

以上、記載事項1-1、1-2、および図面を総合すると、甲第1号証には、以下の発明が開示されていると認めることができる。
「1.スロットマシンの前面に開閉自在に設けられたドアであって、ドア本体(6)とは別体にした装飾用の縁取り部材(13?15)を備えたスロットマシンのドア構造である。
2.ドア本体(6)の両縁部に保持部(16?18)が設けられており(図1参照)、当該保持部に縁取り部材(13?15)がネジ等によって着脱自在に取り付けられる。(図3,図4のa,b参照)
3.縁取り部材は、ネジにより着脱自在にされている。仮に縁取り部材の一部が破損した場合でも容易に修理を行うことができる。
4.縁取り部材として、凹凸あるいは爪部を設けた縁取り部材(26,28)を用い、保持部(27,29)に嵌合あるいは挿入して固定してもよい。(図5のc,d参照)
5.縁取り部材として、光透過性樹脂の成形品とした縁取り部材(31)を用い、ドア本体(6)もしくは縁取り部材(31)に組み込まれた光源(32)により、内部から照明して装飾効果を得てもよい。(図5のe参照)
6.剛性が必要な場合はアルミニウム,亜鉛ダイキャスト材などの金属製とする。」
(この発明を、以下「甲1発明」という。)


第6 当審の判断
6-1 無効理由1
訂正により、請求人が指摘した部分、すなわち、「この「機能部材ユニット」は、請求項中の「機能部材」に相当する。」、「この「上部ユニット20」は、請求項中の「機能部材」の一部に相当する。」等の記載は削除された。
そしてこの訂正によって、本件訂正された特許明細書の発明の詳細な説明の記載は明確になったと認められる。
したがって、本件訂正された特許明細書の発明の詳細な説明の記載は特許法第36条第4項第1号の規定に違反しない。

6-2 無効理由2
訂正により、請求人が指摘した部分、すなわち、請求項2中の、
「前記棒状の透光レンズの一辺の後端部が前記側面保持部材被覆部材の表面から裏面側に突出延在して前記光源の近傍に配置される」の部分は、
「前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され」と訂正された。
そしてこの訂正により、請求項の記載は明確になったと認められる。
したがって、請求項1に係る特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確に記載されたものであるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反しない。

6-3 無効理由3
6-3-1 本件訂正発明2について
(1)対比
本件訂正発明2と甲第1号証に記載された発明(甲1発明)とを対比する。
甲1発明の「ドア本体(6)」、「ドア本体(6)の両縁部に設けられた保持部(16?18)」、「スロットマシンの前面に開閉自在に設けられたドア」は、それぞれ本件訂正発明2の「扉体基体」、「扉体基体の両側部に設けられる一対の側面保持部材」、「遊技機筐体に開閉自在に設けられる扉体」に相当する。
そして、甲1発明の「光透過性樹脂の成形品とした縁取り部材(31)」および「ドア本体(6)に組み込まれた光源(32)」は、その構造は別にして、発光装飾手段という点から見れば、それぞれ本件訂正発明2の「側面保持部材被覆部材」および「側面保持部材に配置された光源」に対応しているといえる。
また、甲1発明において、「光透過性樹脂の成形品とした縁取り部材(31)を用い、ドア本体(6)に組み込まれた光源(32)により、内部から照明して装飾効果を得る」構成のものは、電飾演出を実行するかは別にして、「電飾手段」である点で本件訂正発明2と共通する。

以上のことから、甲1発明と本件訂正発明2は、
<一致点>
「扉体基体と、
前記扉体基体の両側部に設けられる一対の側面保持部材と、
前記側面保持部材に配置された光源と、
前記側面保持部材に設けられた側面保持部材被覆部材と、
電飾手段と、
を有した遊技機筐体に開閉自在に設けられる扉体を備えた遊技機。」
である点で一致しており、そして、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件訂正発明2は、「側面保持部材に上下方向に所定間隔で連続して配置された複数の光源」を有したものであるのに対し、
甲1発明は、保持部(本件発明の「側面保持部材」に対応する部分)に光源が設けられているものの、当該「光源」が「上下方向に所定間隔で連続して配置された複数の光源」で構成されているか不明である点。
<相違点2>
本件訂正発明2は、「側面保持部材に設けられた側面保持部材被覆部材」が「前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備え」ているのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。
<相違点3>
本件訂正発明2は、「光源と前後方向に対向する位置であって、溝部に埋設され、前記光源を被覆する前記溝部に沿って連続して設けられる断面矩形状の棒状の透光レンズを備え」たものであるのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。
<相違点4>
本件訂正発明2は、「側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前後方向の前端部が溝部に埋設された透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され」たものであるのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。
<相違点5>
本件訂正発明2は、「溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され」たものであるのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。
<相違点6>
本件訂正発明2は、「透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が側面保持部材被覆部材の表面に配置されている」ものであるのに対し、
甲1発明は、上記構成を有しない点。
<相違点7>
本件訂正発明2は、光源、および透光レンズを備えた側面指示部材被覆部材からなる電飾手段が「電飾演出を実行する電飾表示手段」であるのに対し、
甲1発明は、電飾手段(光源32および光透光性樹脂の成型品からなる縁取り部材31)が電飾演出を実行するものか不明な点。

(2)判断
上記各相違点を個別に判断する前に、各相違点の内容および相互の関連を検討する。
相違点1に係る事項は、側面保持部材に設けられた光源の構成に関する事項である。
また、相違点7に係る事項は、側面保持部材被覆部材、透光レンズ、光源等からなる電飾手段の機能に関する事項である。
しかしながら、相違点2に係る事項は側面保持部材被覆部材本体の構造に関する事項であり、相違点3に係る事項は側面保持部材被覆部材に埋設された透光レンズの構造に関する事項であり、相違点4に係る事項は側面保持部材被覆部材と透光レンズの配置に関する事項であり、相違点5に係る事項は側面保持部材被覆部材本体の構造ならびに光源を実装した基板との配置に関する事項であり、そして、相違点6に係る事項は側面保持部材被覆部材と透光レンズおよび光源の配置に関する事項である。
つまり、当該相違点2ないし相違点6に係る事項は、側面保持部材に設けられた光源が実装された基板を覆う「側面保持部材被覆部材と透光レンズが組み合わされて一体的な構造を有した部材」の各部分の構造を別々に規定したものであって、本件訂正発明2は、前記相違点2ないし6に係る前記「部材」の全体構造をもって所期の目的(透光レンズの破損防止)が達成できると認められるから、相違点2ないし相違点6に係る事項は一体不可分な事項といえる。
したがって、相違点2ないし相違点6は一体的なものであるから、本件訂正発明2と甲1発明との相違は、実質的に、以下の相違点Aとみるべきである。

<相違点A>
本件訂正発明2は、
側面保持部材に設けられる側面保持部材被覆部材が、
「前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備え」ており、
「前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され」たものであって、
前記溝部には、「断面矩形状の棒状の透光レンズ」が埋設されており、「透光レンズの一辺の裏面が光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が側面保持部材被覆部材の表面に配置され」ており、
そして、「前記側面保持部材被覆部材の前後方向の前端部が溝部に埋設された透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され」たものであるのに対して、
甲1発明の縁取り部材(図5(e)の31に相当するもの。)は、上記構成を有していない点。

そこで、相違点1および相違点7は個別に判断し、また相違点2ないし相違点6は上記相違点Aとして判断する。

<相違点1>について
甲1発明の図5(e)からは、保持部(本件訂正発明2の「側面保持部材」に相当するもの)に設けられた光源2がどのようになっているのか(複数あるのか、どのように配置されているのか等)は定かでない。
しかし、図5(e)で示された縁取り部材31(光透過性樹脂の成形品)が、図1?図3に記載されている縁取り部材13?15の他の実施例であることからみれば、縁取り部材31は保持部に沿った長尺の部材であることは明らかであり、また、当該縁取り部材31を光源32により内部から照らして装飾効果を得るためには、縁取り部材31全体が照らされる必要があることは当然のことである。
そして、長尺な光透過性部材の内部に光源(点光源)を設けた発光装置において、当該長尺な光透過性部材全体を発光させるために、当該光透過性部材の長手方向に沿って所定間隔で連続して複数の光源を配置することは、甲第3号証(図6?図8参照)、甲第5号証(図1参照)、甲第10号証(図1,2参照)等にあるように周知な技術であるから、甲1発明において、保持部に設けられる光源を、「上下方向に所定間隔で連続して配置された複数の光源」とすることは、当業者が容易に想到できたと認められる。
<相違点7>について
スロットマシン前面の両側縁部に発光部材を設け、当該発光部材により演出を実行するものは、甲第2号証(図2,図4?図7参照)に記載されている。
そして、甲1発明もスロットマシンの前面の両側縁部に設けられた発光手段であるから、縁取り部材31の内部から照明して装飾効果を得るもの(甲1発明の図5(e)に対応する実施例)を、演出を実行する手段として用いることは、甲第2号証に記載されたものから当業者が容易に想到できたと認められる。
<相違点A>について
本件特許明細書の記載からすると、本件訂正発明2は、遊技機(スロットマシン)の扉体の両側縁部に設けられた電飾部材において、当該電飾部材に透光レンズを用いた場合、遊技機の移動等の際に何らかの部材と衝突することにより透光レンズが破損することがあるので、かかる衝突時に透光レンズの破損を防止したいという課題に基づき、当該課題を解決する手段として、電飾部材を相違点Aに係る構成にしたものと理解できる。
一方、甲第3号証には、本件訂正発明2の「側面保持部材被覆部材」と「棒状の透光レンズ」に対応付けることができる「レンズホルダ12」と「棒状レンズ13」を備えた発光装置(図6参照)が記載されており、「棒状レンズ13」が嵌入している空間を「溝部」、そして「LEDチップ11」が配設される空間を「溝状の開口部」と見なせば、甲第3号証には、相違点Aに係る構成の一部が共通した発光装置が記載されているといえる。
しかしながら、甲第3号証には、透光レンズ(棒状レンズ)の破損を防止するという課題や、透光レンズの破損が防止できるという機能についてなんら記載されていないし、また、透光レンズを破損から保護するために最も重要な構成と認められる「側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前後方向の前端部が溝部に埋設された透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成されている」点が記載されていない。
したがって、仮に甲1発明の縁取り部材31を甲第3号証に記載された発光装置に換えたとしても、透光レンズ(棒状レンズ)の破損を防止することができるものにはならない。
さらにいえば、そもそも甲1発明には、光透過性樹脂の成形品(つまりは縁取り部材31)の破損を防止するという課題はなく、また、請求人が提出した全証拠をみても、この種の遊技機において、扉部の端縁部に設けられた光透過性部材の破損を防止するという課題が知られていたとは認められないから、甲1発明における装飾部材である縁取り部材31を、破損が防止できる構造のものに換える動機がなく、仮に甲第3号証に記載されている発光装置(図6)が透光レンズの破損を防止する機能を有していたとしても、縁取り部材31に換えて甲第3号証に記載された発光装置を用いることが容易に想到できたとはいえない。
なお、請求人は、甲第1号証の段落【0003】、【0014】等の記載からみて、甲1発明は、縁取り部材が遊技機の移動に際して「何らかにぶつけるなどして割れ生じてしまうことがある」ことを課題として認識している旨主張しているが、甲第1号証の記載からは、縁取り部材が破損することがあることは認識されていたと認められるものの、甲1発明は、縁取り部材の取替を容易にすることで破損に対処するものと理解でき、光透過性部材の破損を防止することが課題として認識されているとは認められない。

ところで、請求人は甲第9号証(実開昭59-82286号公報)を提示している。
当該甲第9号証(第2図、第4図等参照)には、「側面保持部材被覆部材」と「棒状の透光レンズ」に対応付けることができる「ハウジング20」と「棒レンズ30」を備えた発光装置が記載されており、「棒状レンズ30」は「断面矩形状」ではないが「多角形状」であり、当該「多角形状の棒状レンズ30」が嵌入している空間を「溝部」、「LEDチップ11」が配設される空間を「溝状の開口部」に対応付けると、甲第9号証に記載された発光装置が、「側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前後方向の前端部が溝部に埋設された透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成されている」構成を備えているようにもみえる。
しかしながら、甲第9号証には、透光レンズ(棒状レンズ)の破損を防止するという課題や、透光レンズの破損が防止できるという機能についてなんら記載はなく、甲第9号証に記載されたものが棒状レンズの破損を防止する機能を有しているとは認められない。
さらに、前記したように、そもそも甲1発明に光透過性部材の破損を防止したいという課題はないのであるから、仮に甲第9号証に記載されている発光装置が透光レンズの破損を防止する機能を有していたとしても、甲1発明における装飾部材である縁取り部材31を甲第9号証に記載されたものに換えることが容易に想到できたとはいえない。

甲第4号証には、板状レンズ1をモール2の凹部に収納し、かつ板状レンズ1の前面よりもモール2の前端部を前側にした車体のサイドランプユニット(図3)が、そして甲第6号証には、凸レンズ11を灯具ボディ10の凹部に収納し、かつ凸レンズ11の前面よりも灯具ボディの前端部を前側にした車両用標識灯(図3)が記載されている。
甲第4号証、甲第6号証の記載からみれば、当該ランプユニットあるいは標識灯は、レンズの破損を防止する機能を有していると認められるので、本件訂正発明2と甲第4号証あるいは甲第6号証に記載された発明は、レンズを保護するという課題において共通している。
しかしながら、甲第4号証、甲第6号証には、相違点Aにおける「側面保持部材被覆部材の溝部には、断面矩形状の棒状の透光レンズが埋設されて」いる点は記載されておらず、そして、レンズモール2あるいは灯具ボディ10を側面保持部材被覆部材に対応させたとしても、板状レンズあるいは凸レンズを断面矩形状の透光レンズに換えることが設計変更の域にあるとは到底いえない。
さらに、前述したように、遊技機の扉端縁部に設けられた発光部材の破損を防止するという課題は、甲1発明に記載されていないし、また従来から知られた課題でもないのであるから、甲1発明に甲第4号証あるいは甲第6号証に記載されたものを組み合わせること自体容易に想到できるものではない。

以上のとおり、相違点Aについては、甲第2号証ないし甲第6号証に記載されておらず、また甲第9号証ないし甲第15号証に記載された周知技術を総合しても、当業者が容易に想到できたと認めることはできない。
したがって、本件訂正発明2は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

6-3-2 本件訂正発明3ないし本件訂正発明5について
本件訂正発明3ないし本件訂正発明5は、本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、かつ個別の発明特定事項が付加されたものである。
そして、本件訂正発明2は、上記「6-3-1 (2)判断」で説示したように、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものではないから、本件訂正発明3ないし本件訂正発明5についても同様の理由で当業者が容易に発明できたものではない。

6-4 全ての無効理由についてのまとめ
無効理由1ないし無効理由3は、本願を無効とする理由にはならない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項2ないし請求項5に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【請求項2】
扉体基体と、
前記扉体基体の両側部に設けられる一対の側面保持部材と、
前記側面保持部材に上下方向に所定間隔で連続して配置された複数の光源と、
前記側面保持部材に設けられ、前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備えた側面保持部材被覆部材と、
前記光源と前後方向に対向する位置であって、前記溝部に埋設され、前記光源を被覆する前記溝部に沿って連続して設けられる断面矩形状の棒状の透光レンズを備え、電飾演出を実行する電飾表示手段と、
を有した遊技機筐体に開閉自在に設けられる扉体を備え、
前記側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前記前後方向の前端部が前記溝部に埋設された前記透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され、
前記溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され、
前記透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
少なくとも前記溝部の表面には、鏡面仕上げが施されていることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記透光レンズの裏面には、前記光源から照射される光を拡散する光拡散部材が貼付されることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記透光レンズは、前記溝部に嵌合した場合、左右両側面全面が前記溝部の両側面と面接触した状態で嵌合されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遊技者がコインを投入し、複数の識別情報画像の描かれた複数の回転リールを回転させ、その後各リールを停止させたときに、当該識別情報画像が所定の配置で停止した場合には遊技者に対して所定の利益還元がなされるという、遊技機が流行している。
【0003】
これらの遊技機は、上述の如き基本的な遊技方法においては差がなく、各遊技機メーカは、遊技機を構成する筐体に描かれる図柄や、回転リールに描かれた識別情報画像のデザイン、当該回転リールの近傍に設けられた画像表示装置に表示される画像等の各種演出に趣向を凝らし、他の遊技機との差別化を図ると共に、魅力ある遊技機として遊技者の興趣を惹かんと常に努力がなされている。
【0004】
また、上述された各種演出の他にも、遊技状態に応じて点滅がなされる装飾ランプによる演出もなされ、当該装飾ランプの外観は遊技機のデザインに応じて設計されている。
【0005】
装飾ランプは、遊技者にとっての有利な状態への移行があった場合等に点滅をすることによって、当該遊技機の遊技者又は周囲の遊技者に対して当該移行を知らしめるためにもちいられる。これにより、当該遊技者は当該移行を認識しやすくなるとともに、当該装飾ランプの点滅が遊技者の喜びを増幅することにもつながるのである。また、周囲の遊技者に対しては、自らも有利な状態へ移行させようという競争心を煽ることにもつながる。
【0006】
ほとんどの遊技機における装飾ランプは、細かな形状では各々相違するが、いずれも遊技機前面の縁辺部に配置され、遊技機本体から大きく突出し、光の色は赤である、といった点で共通する。
【0007】
当該装飾ランプが遊技機本体から大きく突出することにより、遊技機正面方向だけでなく、左右も含めた幅広い方向に対して、当該装飾ランプが放つ光を視認可能とするのである。そしてその大きさ故に、当該装飾ランプの設置箇所は、遊技機前面の縁辺部に沿った位置に制限されることとなるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パチンコホールなどの遊技ホールに設置される遊技機は、数ヶ月の短いサイクルで新機種と取り替えられ、又は、新機種の導入に応じて設置場所の移動がなされることが多い。このような場合には、遊技機の角部に前記電飾表示装置のレンズを設けた場合に、何らかにぶつけるなどして割れを生じてしまうことがある。この対策として、このようなレンズに弾性を有する樹脂などのレンズを設けて割れを防止することも考えられるが、現時点では弾性を有しつつ光源の光を効率よく遊技者に視認可能にさせる樹脂はコストや素材の問題から採用し難いものであった。特に、このようなパチスロなどの遊技機においては、弾性を有する樹脂を用いた場合には、レンズ部分を取り外すなどの悪戯を助長する恐れもあった。
【0009】
一方、近年、遊技機の廃棄によるゴミの問題から各メーカともリサイクル対策を講じるべく試行錯誤が行われており、遊技機でも特にスロットマシンにおいては、近年、液晶や電飾などの様々な機能部材を使用することによって、メーカごとのスロットマシンの差別化を行うために、筐体自体のタイプが同じであっても、照明の色や、スピーカ或いは液晶画面のあるなしなど、多種少量生産を可能とするような生産体制の確立も望まれている。
【0010】
本発明は、上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、装飾ランプに用いられるレンズの耐久性の向上した遊技機、更には、リサイクル性を考慮した遊技機において装飾ランプに用いられるレンズの耐久性の向上した遊技機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明は、遊技機正面に設けられた装飾ランプが遊技機の角部に位置していない遊技機を提供する。
【0012】
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0017】
(2)扉体基体と、前記扉体基体の両側部に設けられる一対の側面保持部材と、前記側面保持部材に上下方向に所定間隔で連続して配置された複数の光源と、前記側面保持部材に設けられ、前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備えた側面保持部材被覆部材と、前記光源と前後方向に対向する位置であって、前記溝部に埋設され、前記光源を被覆する前記溝部に沿って連続して設けられる断面矩形状の棒状の透光レンズを備え、電飾演出を実行する電飾表示手段と、を有した遊技機筐体に開閉自在に設けられる扉体を備え、前記側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前記前後方向の前端部が前記溝部に埋設された前記透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され、前記溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成され、前記透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されていることを特徴とする遊技機。
【0018】
上述した(2)の発明によれば、「前記扉体には、前記側面保持部材に設けられ、前面の角部を除く位置の長手方向に溝部を備えた側面保持部材被覆部材を備え、前記側面保持部材被覆部材は、前記側面保持部材被覆部材の前記前後方向の前端部が前記溝部に埋設された前記透光レンズの前記前後方向の前面よりも前側に構成され、前記溝部には、前記透光レンズが嵌合可能であり、前記溝部の中心底部には、前記溝部に沿って、正面視で見た場合の左右方向の幅が前記溝部の左右方向の幅よりも小さく前記複数の光源を実装した基板が嵌合可能である溝状の開口部が形成」されることにより、透光レンズが搬出入時に何らかにぶつけるなどして割れを生じてしまう可能性が低減され、透光レンズの耐久性が向上する。
【0019】
パチンコホールなどの遊技ホールに設置される遊技機は、数ヶ月の短いサイクルで新機種と取り替えられ、又は、新機種の導入に応じて設置場所の移動がなされることが多い。このような場合には、遊技機の角部に前記電飾表示装置のレンズを設けた場合に、何らかにぶつけるなどして割れを生じてしまうことがある。しかし、このようなレンズに弾性を有する樹脂などのレンズを設けて割れを防止することも考えられるが、現時点では弾性を有しつつ光源の光を効率よく遊技者に視認可能にさせる樹脂はコストや素材の問題から採用し難いものであった。特に、このようなパチスロなどの遊技機においては、弾性を有する樹脂を用いた場合には、レンズ部分を取り外すなどの悪戯を助長する恐れもあった。
【0020】
一方、近年、遊技機の廃棄によるゴミの問題から各メーカともリサイクル対策を講じるべく試行錯誤が行われており、遊技機でも特にスロットマシンにおいては、近年、液晶や電飾などの様々な機能部材を使用することによって、メーカごとのスロットマシンの差別化を行うために、筐体自体のタイプが同じであっても、照明の色や、スピーカ或いは液晶画面のあるなしなど、多種少量生産を可能とするような生産体制の確立も望まれている。
【0021】
そこで、本発明のように、扉体基体の表面に配置される複数の機能部材をその両側部から一対の側面保持部材により組み付け固定することによって構成されるリサイクル可能な遊技機であって、当該扉体の角部に当該側面保持部材が位置する遊技機において、「前記光源の複数は、前記扉体基体の側縁部に上下方向に所定間隔で配置するとともに、前記光源と前後方向に対向する位置であって前記側面保持部材の角部を除く位置に前記レンズを埋設してなる」ように構成することにより、リサイクルの目的で着脱される側面保持部材の角部を除く部位に光源の光を遊技者に導くための前記透光レンズを設けることによって当該レンズの破損の問題を低減しつつ、前記側面保持部材を単なる機能部材の保持機能の他に電飾表示手段の機能をも持たせて、遊技機の表面の電飾配置効率を向上させるようにすることが可能となる。
【0022】
【0023】
上述した(2)の発明によれば、「前記透光レンズは、前記透光レンズの一辺の裏面が前記光源の近傍に延出し前記光源と対向するように配置され、前記透光レンズの前面が前記側面保持部材被覆部材の表面に配置されている」ように構成することにより、前記光源が所定間隔を隔てて設けられる場合でも、発光する部位が前記棒状レンズの表面の前面となるから光源と光源との間の発光欠落部位があまり目立たなくなるといった効果が期待できるのである。
【0024】
また、従来の発光表示手段においては、光源の光を効率良く表面に反射させるために反射カバーを設けることが一般的であるが、この発明では前記棒状レンズを導光板としての機能で特別な反射カバーを設けることなく、前記光源の光を前記発光端部に導くことが可能となる。好ましくは、より効率良く光を発光端部に導くために、前記光源を設ける前記側面保持部材の少なくとも両側縁部の表面を白色を呈するように構成することが好ましい。
【0025】
(3)少なくとも前記溝部の表面には、鏡面仕上げが施されていることを特徴とする(2)の遊技機。
【0026】
上述した(3)の発明によれば、(2)の遊技機において、「少なくとも前記溝部の表面には、鏡面仕上げが施されている」ように構成することにより、溝部の表面において透光レンズから左右方向に放たれた光を反射させることが可能となるので、当該光源からの光をより前方へ集中して照射することができるとともに、鏡面仕上げが施された溝部の表面が光を発しているかのような視覚効果が生じ、電飾効果が向上することとなるのである。
【0027】
(4)前記透光レンズの裏面には、前記光源から照射される光を拡散する光拡散部材が貼付されることを特徴とする(2)又は(3)のいずれかの遊技機。
【0028】
上述した(4)の発明によれば、(2)又は(3)のいずれかの遊技機において、「前記透光レンズには、前記光源から照射される光を拡散する光拡散部材が貼付される」ように構成する。
【0029】
(5)前記透光レンズは、前記溝部に嵌合した場合、左右両側面全面が前記溝部の両側面と面接触した状態で嵌合されることを特徴とする(2)乃至(4)のいずれかの遊技機。
【0030】
上述した(5)の発明によれば、(2)乃至(4)のいずれかの遊技機において、「前記透光レンズは、前記溝部に嵌合した場合、左右両側面全面が前記溝部の両側面と面接触した状態で嵌合される」ように構成する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて説明する。
【0032】
[遊技機の構成]
尚、以下において説明する実施形態においては、本発明に係る遊技機に好適な実施形態として、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
【0033】
尚、後述する実施形態では、スロットマシン10を例にとって説明するが、本発明はこれに限らず、パチンコ遊技機や雀球遊技機等の弾球遊技機、メダル遊技機その他の遊技機にも適用することが可能である。
【0034】
また、後述する実施形態では、扉体基体の表面に配置される複数の機能部材をその両側部から一対の側面保持部材により組み付け固定することによって構成されるリサイクル可能なスロットマシン10を例にとって説明するが、本発明はこれに限らず、リサイクル可能に構成されていない一般の遊技機に適用することが可能である。
【0035】
本発明の一実施形態であるスロットマシン10の概観を示す斜視図を図1に示す。
【0036】
スロットマシン10は、図1に示す如く、本体筐体12と、前面扉体14と、を備えている。尚、この「本体筐体12」は、請求項中の「筐体」に相当する。また、「前面扉体14」は、請求項中の「扉体」に相当する。
【0037】
この本体筐体12は、遊技場の所定の場所に固設され、本体筐体12の内部には、遊技者を臨む位置に回動可能に配置された3個のリール126(126L、126C、126R、図6参照)や、スロットマシン10を電気的に制御するための制御装置や、払い出し用のメダルを貯留するメダル貯留部や、メダルの投入、払出しを制御するためのメダル制御装置が設けられている(いずれも図示せず)。
【0038】
また、前面扉体14は、本体筐体12の前面凹部(図示せず)を開閉可能なように、その右側辺部を開放端側とするとともに、その左側辺部を回動軸端側として、本体筐体12に支持されている。詳しくは図2を用いて説明するが、この前面扉体14は、メインドアフレーム16と、このメインドアフレーム16に取り付けられた各種の機能部材ユニットとを備えてなる。
【0039】
この「メインドアフレーム16」は、請求項中の「扉体基体」に相当する。
【0040】
[前面筐体の構成]
図2は、前面扉体14の構成を示す分解斜視図である。図2に示すように前面扉体14は、本体筐体12(図1参照)の前面凹部を覆う大きさを有するメインドアフレーム16と、上述の機能部材ユニットとして、上部ユニット20、操作部ユニット30、下部ユニット40、左右2つのサイドレンズユニット50(50L及び50R)、リールパネルユニット60(図1参照)、腰部ユニット70(図1参照)の、大きく分けて7個の機能部材ユニットを備えている。
【0041】
【0042】
このメインドアフレーム16は、図2に示す如く、矩形状の枠部17と、この枠部17の左側辺部17Lと右側辺部17Rとを、それぞれ連結する3個の連結部18A?18Cとを備え、上部ユニット取付領域19A、リールパネルユニット取付領域19B、操作部ユニット取付領域19C、腰部ユニット取付領域19D、下部ユニット取付領域19Eの計5個のユニット取付領域に、上下方向に区分されている。
【0043】
上部ユニット20は、上部ユニット基部21、左右一対のスピーカ42(42L及び42R)(図6参照)、スピーカカバー22(22L及び22R)、画像表示装置(図示せず)、表示窓23、装飾用LED、レンズカバー、LED用基板、液晶パネル、コネクタ(いずれも図示せず)等の各種複数個の機能部材をユニット化してなり、メインドアフレーム16の上部ユニット取付領域19Aに、四隅をビス止めされて取り付けられる。
【0044】
【0045】
操作部ユニット30は、操作部ユニット基部31、遊技情報を表示するための画像表示装置(図示せず)、表示窓32、メダル投入口、遊技メダルの投入を条件としてこのリール装置の各リールの回転を開始させるためのスタートレバー(図示せず)、各リールに個別に対応して各リールの回転を停止させるための3個のストップスイッチ35(35L、35C及び35R)、その他の操作スイッチ、コネクタ(図示せず)等の各種複数個の機能部材をユニット化してなり、メインドアフレーム16の操作部ユニット取付領域19Cに四隅をビス止めされて取り付けられる。
【0046】
【0047】
下部ユニット40は、メダルトレイ41を備え、メインドアフレーム16の下部ユニット取付領域19Eに取り付けられる。また、上述した、上部ユニット取付領域19A及び操作部ユニット取付領域19Cは、前後方向が共に開放されているのに対して、下部ユニット取付領域19Eの壁部の略中央にはメダル排出口15が形成されており、このメダル排出口15の後部にはキャンセルシュート(図示せず)が取り付けられている。
【0048】
【0049】
サイドレンズユニット50は、詳しくは図3を用いて説明するが、サイドレンズカバー51、LEDユニット110、LED用基板120(120A?120C)、コネクタ(図示せず)等の各種複数個の機能部材をそれぞれユニット化してなる。これらサイドレンズユニット50は、上述した如く、メインドアフレーム16に取り付けられた、上部ユニット20、操作部ユニット30、下部ユニット40、リールパネルユニット60、腰部ユニット70の各機能部材ユニットを左右両方向から挟むように、メインドアフレーム16の枠部17に取り付けるものである。
【0050】
この「サイドレンズユニット50」は、請求項中の「側面保持部材」の一部に相当する。
【0051】
リールパネルユニット60は、リールパネルを備え、メインドアフレーム16のリールパネルユニット取付領域19Bに取り付けられるものである。
【0052】
【0053】
腰部ユニット70は、化粧用の腰部パネルを備え、メインドアフレーム16の腰部ユニット取付領域19Dに取り付けられるものである。
【0054】
【0055】
[サイドレンズユニットの構成]
図3は、サイドレンズユニット50の構成を示す分解斜視図である。
【0056】
図3は、右サイドレンズユニット50Rのみを図示するものであるが、左サイドレンズユニット50Lについても、同様に構成されるものである。
【0057】
上述した如く、サイドレンズユニット50は、LEDユニット110、LEDユニット110が実装されるLED用基板120(120A?120C)、コネクタ122(図4参照)、サイドレンズカバー51、装飾用レンズ100(100A?100C)等の各種複数個の機能部材をそれぞれユニット化してなるものである。
【0058】
この「サイドレンズユニット50」は、上述した如く、請求項中の「側面保持部材」の一部に相当すると共に、請求項中の「電飾表示手段」の一部に相当する。また、「LEDユニット110」、「LED用基盤120」は、請求項中の「光源」の一部に相当する。更にまた、「装飾用レンズ100」は、請求項中の「透光レンズ」の一部に相当する。
【0059】
LEDユニット110は、複数色の発光が可能なLED素子110a(図4参照)が複数ユニット化されたものである。このLED素子110aには、発光部と、その発光部から突出された端子から構成されており、この端子に発光色を示す信号が供給されることにより、各LED素子110a単独での発光または所定の組合せでの発光に応じて複数色の光が照射されるように構成される。
【0060】
また、図3に示す如く、LEDユニット110は、LED用基板120(120A?120C)に、一定の間隔をもって連続的に実装されている。
【0061】
更にまた、LED用基板120(120A?120C)はメインドアフレーム16の右側辺部17Rに形成された基盤取付用段部131、132及び133に取り付けられる。
【0062】
更にまた、このLED素子110aは、図4に示す如く、その端子を、LED用基板120(120A?120C)に実装されたコネクタ122に挿入することにより、後述する主制御回路160(図6参照)と電気的に接続されることとなる。
【0063】
サイドレンズカバー51は、合成樹脂により成形され、図3に示す如く、サイドレンズカバー51の遊技者側である前面には、長手方向に、湾曲状の溝部53(以下単に溝部53という)が形成されている。
【0064】
また、この溝部53の左右両端部には、突出した形状を有する凸部58(58R、58L)が、この溝部53に沿って形成されている(図5参照)。
【0065】
更にまた、この溝部53の中心底部には、開口部55が、この溝部53に沿って形成されている。この開口部55は、後述する装飾用レンズ100(100A?100C)が嵌合可能な形状で形成されている(図5参照)。
【0066】
更にまた、開口部55から凸部58(58R、58L)にかけての溝部53の表面には、鏡面仕上げを施した金属板や反射シート等により、鏡面加工が施されている。
【0067】
尚、本実施形態では、上述した如く、サイドレンズカバー51は合成樹脂により成形されることとしたが、本発明はこれに限らず、金属性部材等により成形されることとしてもよく、後述する装飾用レンズ100(100A?100C)を成形する素材よりも、硬質性の高い素材から成形されることが好ましい。
【0068】
また、本実施形態では、上述した如く、サイドレンズカバー51の前面には湾曲状の溝部53が形成されることとしたが、本発明はこれに限らず、如何なる形状の溝が形成されることとしてもよい。
【0069】
更に、本実施形態では、上述した如く、サイドレンズカバー51の前面には湾曲状の溝部53が形成されることとしたが、本発明はこれに限らず、サイドレンズカバー51の前面の両端部に突出部を形成し、結果的に溝が形成されることとしてもよい。
【0070】
このサイドレンズカバー51は、メインドアフレームの右側辺部17Rの基板取付用段部131?133各々に設置されたLED用基板120(120A?120C)を挟み込むように覆い被さり、メインドアフレームの右側辺部17Rにビス止め、弱粘着、弾性フック等の所要の手段により着脱自在に取り付けられる。
【0071】
このように、「前記光源の複数は、前記扉体基体の側縁部に上下方向に所定間隔で配置するとともに、前記光源と前後方向に対向する位置であって前記側面保持部材の角部を除く位置に前記レンズを埋設してなる」ように構成することにより、リサイクルの目的で着脱される側面保持部材の角部を除く部位に光源の光を遊技者に導くための前記透光レンズを設けることによって当該レンズの破損の問題を低減しつつ、前記側面保持部材を単なる機能部材の保持機能の他に電飾表示手段の機能をも持たせて、遊技機の表面の電飾配置効率を向上させるようにすることが可能となる。
【0072】
装飾用レンズ100(100A?100C)は、断面矩形状の棒状レンズ(図3参照)であり、硬質樹脂製の透光性部材により成形されたものである。
【0073】
透光性部材の材質としては、例えばABS樹脂、ポリカーボネート、あるいはアクリル樹脂等のプラスチックやガラス等の透光性の材料を採用することができ、これを無色透明、有色透明、あるいは半透明の状態に成形する。
【0074】
透光性部材には、全面にわたって均一に光らせるため、光拡散処理が施されていることが好ましい。本実施形態では、例えば、透光性部材の裏面に光拡散部材を貼付して、光拡散処理が施されている。
【0075】
光拡散部材としては、光拡散フィルム、光拡散シート、光拡散板、およびトレーシングペーパー等の光拡散紙等が挙げられる。あるいは、擦りガラスのように透光性部材の裏面自体を粗面仕上げし、又は、透光性部材の材質内に均一に蛍光性塗料を混合するなどして、光拡散処理を施すことが考えられる。
【0076】
[装飾用レンズの取付位置]
図5は、装飾用レンズ100(100A?100C)が、サイドレンズカバー51に取り付けられた状態を示す断面斜視図である。上述した如く、サイドレンズカバー51の遊技者側である前面には、長手方向に湾曲状の溝部53(以下単に溝部53という)が形成されている(図3参照)。
【0077】
また、図5に示す如く、この溝部53の左右両端部には、突出した形状を有する凸部58(58R、58L)が、この溝部53に沿って形成されている。
【0078】
【0079】
更にまた、この溝部53の中心底部には、開口部55が、この溝部53に沿って形成されている。この開口部55は、装飾用レンズ100(100A?100C)が嵌合可能な形状で形成されている。
【0080】
装飾用レンズ100(100A?100C)は、溝部53の中心底部に位置付けられた開口部55に嵌め合わされ、埋設されるように取り付けられる。
【0081】
図5に示す如く、開口部55に取り付けられた装飾用レンズ100(100A?100C)は、この装飾用レンズ100(100A?100C)の両側面と開口部55の両側面とが面接触するような状態となる。
【0082】
図5に示す如く、開口部55に取り付けられた装飾用レンズ100(100A?100C)は、凸部58(58R、58L)に左右を挟まれるような状態となる。
【0083】
尚、本実施形態では、装飾用レンズ100(100A?100C)は、溝部53の中心底部に位置付けられた開口部55に嵌め合わされ、この装飾用レンズ100(100A?100C)の両側面と開口部55の両側面とが面接触するような状態となることとしたが、本発明はこれに限らず、図8、図9に示す如く、溝部53と嵌め合わされ、この装飾用レンズ100(100A?100C)の両側面と溝部53の両側面とが面接触するような状態となることとしてもよい。
【0084】
このように、「側面保持部材は、レンズとの接合位置よりも筐体前面方向に突出した凸部を有し、前記凸部は、少なくとも前記レンズの長手方向に沿って前記透光レンズを挟むように位置している」ように構成することにより、当該凸部が当該レンズを両側部から防御するように設置されているので、更に当該レンズの耐久性を向上させることができる。
【0085】
また、図5に示す如く、上述の如く開口部55に取り付けられた装飾用レンズ100(100A?100C)の背面と対向する位置には、LED用基盤120(120A?120C)及びLED用基盤120(120A?120C)に実装されたLEDユニット110が設けられている。
【0086】
更に、図5に示す如く、装飾用レンズ100(100A?100C)は、開口部55に嵌め合わされ、埋設されるように取り付けられることにより、LEDユニット110からの照射を受けることとなる背面が、LEDユニット110の近傍まで延出するような状態で取り付けられることとなる。
【0087】
更にまた、図5に示す如く、装飾用レンズ100(100A?100C)は、開口部55に嵌め合わされ、埋設されるように取り付けられることにより、この装飾用レンズ100(100A?100C)の頂点部が、凸部58(58R、58L)の頂点部よりも低い位置となるような状態で取り付けられることとなる。
【0088】
尚、本実施形態では、装飾用レンズ100(100A?100C)の頂点部が、凸部58(58R、58L)の頂点部よりも低い位置となるような状態で取り付けられることとしたが、本発明はこれに限らず、装飾用レンズ100(100A?100C)の頂点部が、凸部58(58R、58L)の頂点部と同じ高さの位置となるような状態で取り付けられることとしてもよい。
【0089】
このように、「前記透光レンズは、前記側面保持部材の上下長手方向に沿って連続して設けられる断面矩形状の棒状レンズであって、前記棒状レンズの一辺の導光端部が前記側面保持部材の表面から裏面側に突設延在して前記光源の近傍に配置される一方、前記棒状レンズの発光端部が前記側面保持部材の表面に配置されている」ように構成することにより、前記光源が所定間隔を隔てて設けられる場合でも、発光する部位が前記棒状レンズの表面の発光端部となるから光源と光源との間の発光欠落部位があまり目立たなくなるといった効果が期待できるのである。
【0090】
また、従来の発光表示手段においては、光源の光を効率良く表面に反射させるために反射カバーを設けることが一般的であるが、この発明では前記棒状レンズを導光板としての機能で特別な反射カバーを設けることなく、前記光源の光を前記発光端部に導くことが可能となる。好ましくは、より効率良く光を発光端部に導くために、前記光源を設ける前記側面保持部材の少なくとも両側縁部の表面を白色を呈するように構成することが好ましい。
【0091】
さらに、「前記光源と前後方向に対向する位置であって前記側面保持部材の角部を除く位置に前記レンズを埋設してなる」ように構成することにより、当該レンズが搬出入時に何らかにぶつけるなどして割れを生じてしまう可能性が低減され、当該レンズの耐久性が向上する。
【0092】
更にまた、「前記凸部の前記接合部からの高さは、前記レンズの前面部の前記接合部からの高さと等しいかそれ以上である」ように構成することにより、当該凸部が当該レンズの両側部に当該レンズと同じ高さかそれ以上の高さで防御するように設置されているので、更に当該レンズの耐久性を向上させることができる
【0093】
[スロットマシン10の制御回路の構成]
本発明の実施形態であるスロットマシン10の制御回路を示すブロック図を図6に示す。
【0094】
主制御回路160は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU166と、記憶手段であるROM168及びRAM170とを含むものである。
【0095】
CPU166には、ROM168に記録されたプログラムに基づいて、スロットマシン10の遊技内容を決定する乱数を発生させる機能を有している。尚、本実施形態におけるスロットマシン10では、ROM168に記憶されたプログラムに基づいて、CPU166が乱数を発生させたが、本発明はこれに限らず、乱数発生部を備えた構成としてもよく、その乱数発生部から発生された乱数をそのままRAM170に記録させてもよい。また、CPU166には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路162及び分周器164と、が接続されている。
【0096】
また、ここでいうCPU166は、請求項中に記載された「抽選手段」、「電飾表示手段」の一部を構成するものに相当する。
【0097】
ROM168は、遊技機の遊技全体の流れを制御する制御プログラムを記録する。また、ROM168は、制御プログラムを実行するための初期データや、各種ランプ204の点滅動作パターンを制御するプログラムや、LED素子110aにおける演出制御をするプログラム等を記憶する。更には、スタートレバーを操作(スタート操作)する毎に行われる乱数サンプリングの判定に用いられる確率抽選テーブル、その乱数の発生に応じてリールの停止態様を決定するための停止制御テーブル、各種周辺機器に対して信号を送信するための各種制御指令(コマンド)等が格納されている。
【0098】
尚、ここでいうROM168は、「抽選手段」、「電飾表示手段」の一部を構成するものに相当する。
【0099】
また、本実施形態でのプログラムは、ROM168に記録されていたが、ハードディスク装置、CD-ROM及びDVD等の記憶媒体に記録されていればよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後に後述するRAM170等に記録されるものでもよい。更にまた、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。
【0100】
RAM170は、上述したプログラムで使用するフラグや変数の値を記憶する。尚、ここでいうRAM170は、「抽選手段」、「電飾表示手段」の一部を構成するものに相当する。
【0101】
また、このCPU166には、所定のインターフェイス回路群(図示せず)を介して、各種の周辺機器が接続されている。
【0102】
CPU166には、モータ駆動回路154が接続されている。モータ駆動回路154には、上述した3つのリール126L、126C、126Rの各々を回転駆動するステッピングモータ152L、152C、152Rが接続されている。ステッピングモータ152L、152C、152Rの各々は、3つのリール126L、126C、126Rの内部に設けられ、ステッピングモータ152L、152C、152Rの回転シャフトがリール126L、126C、126Rの回転中心となるように、リール126L、126C、126Rは、ステッピングモータ152L、152C、152Rに設けられている。
【0103】
CPU166から発せられる駆動制御命令は、モータ駆動回路154により駆動信号に変換され、駆動信号はステッピングモータ152L、152C、152Rに供給される。尚、駆動制御命令には、回転速度の命令も含まれており、ステッピングモータ152L、152C、152Rの回転制御及び停止制御を行うとともに、回転速度の制御も行う。
【0104】
CPU166が、上述した如き、ステッピングモータ152L、152C、152Rに対する制御をすることにより、リール126L、126C、126Rの回転制御及び停止制御を行うとともに、回転速度の制御を行うことができるのである。
【0105】
リール126L、126C、126Rの各々には、各リールの回転角度位置を検出するための回転角度位置センサ(図示せず)が設けられており、回転角度位置センサは、リール位置検出回路156に接続されている。リール126L、126C、126Rの各々の回転角度位置を示す信号が回転角度位置センサから発せられたときには、リール位置検出回路156に供給され、所定の信号に変換された後、CPU166に供給される。
【0106】
CPU166は、供給された回転角度位置から図柄のコード番号を算出し、データ・テーブルを参照することにより、表示窓23の各々に表示される図柄の画像を特定することができるのである。
【0107】
また、メダル投入口34近傍に備えられたメダルセンサ172は、インターフェイス回路群を介してCPU166に接続されている。このメダルセンサ172は、メダル投入口34から遊技メダルが投入されたことを検出する投入メダル算出信号をCPU166に供給する。
【0108】
このメダルセンサ172と同じように、ストップスイッチ175、ベットスイッチ176、最大ベットスイッチ178、スタートスイッチ180、キャッシュアウトスイッチ184等、各種の入力装置がインターフェイス回路群を介してCPU166に接続されており、各種の入力装置から供給される入力信号に基づいて、スロットマシン10の制御を行うこととなる。
【0109】
更に、CPU166には、インターフェイス回路群を介してサウンドCPU192が接続されている。このサウンドCPU192は、CPU166から供給される音声発生指令信号を受け取ることにより、スピーカ142から音声を発生させる。
【0110】
また、サウンドCPU192には、ROM194、RAM196、及びサウンド発生部198が接続されている。更に、サウンド発生部198には、スピーカ142(142L及び142R)が接続されている。
【0111】
このROM194には、音声データが記憶されており、サウンドCPU192は、上述した音声発生指令信号を受け取ることにより、その信号に基づいた音声データをROM194から読み出す。尚、サウンドCPU192は、CPU166から供給されたデータや、ROM194から読み出した音声データをRAM196に一時記憶させる。更に、サウンドCPU192は、読み出した音声データを所定のタイミングでサウンド発生部198に供給し、このサウンド発生部198が音声データを所定の信号に変換し、スピーカ142に供給することにより、音声が発生する。
【0112】
更にまた、CPU166には、ホッパー駆動回路206が接続されており、更には、このホッパー駆動回路206には、ホッパー208が接続されている。内部当選した役の入賞成立を示す停止態様となれば、CPU166は、払い出し指令信号をホッパー駆動回路206に供給してホッパー208から所定個数のメダルの払い出しを行う。その際、メダル排出検出部(図示せず)は、ホッパー208から払い出されるメダルの枚数を計数し、その計数値が指定された数に達したときに、メダル払い出し完了信号がCPU166に入力される。また、上述した如く、キャッシュアウトスイッチ184がキャッシュアウト信号をCPU166に供給した場合にもメダルの払い出しが行われる。
【0113】
更にまた、CPU166には、インターフェイス回路群を介して通信制御部212が接続されている。この通信制御部212は、公衆電話回線網やローカルエリアネットワーク(LAN)等の通信回線を介して、サーバ等との通信を行うためのものである。
【0114】
更にまた、CPU166には、インターフェイス回路群を介して表示制御装置202が接続されている。この表示制御装置202は、CPU166から供給された画像表示指令信号を受け取ることにより、その表示制御装置202に接続された表示装置118、各種ランプ204を制御する。尚、この各種ランプ204には、LED素子110aが含まれている。また、ここでいう表示制御装置202及びLED素子110aを含む各種ランプ204は、「電飾表示手段」の一部を構成するものに相当する。
【0115】
上述した如く、操作部ユニット30には、メダルを投入するためのメダル投入口34、遊技を開始させるスタートスイッチ180が設けられている。
【0116】
[電飾表示制御処理]
遊技者によってメダル投入口34にメダルが投入され、スタートスイッチ180が操作されることに応じて、上述した如く、主制御回路160に位置付けられたCPU166は、内部抽選を行うべく、ROM168に記録されたプログラムに基づいて、スロットマシン10の遊技内容を決定するための乱数を発生させる。また、CPU166は、発生させた乱数が入賞を示すデータであると判断した場合には、ROM170に記憶されているLED素子110aにおける発色、発光パターン等の演出制御をするプログラムを読み出す。更にまた、CPU166は、その読み出したプログラムに基づいて、LED素子110aの表示制御を行うための表示制御装置202に発色、発光パターン等のデータを含む表示指令信号を供給する。
【0117】
表示制御装置202は、CPU166から供給された発色、発光パターン等のデータを含む表示指令信号を受け取り、その受け取った表示指令信号に応じて、上述した如く、LED用基板120(120A?120C)に実装されたコネクタ122を介して、LED素子110aに、単独での発光を行わせる旨の信号、所定の組み合わせでの発光を行わせる旨の信号等を供給する。
【0118】
これにより、複数のLED素子110aから構成されるLEDユニット110に、発光色の変化、点滅等を行わせ、上述した内部抽選の結果に応じた入賞の態様(例えば、ビッグボーナスやレギュラーボーナスや確率変動等)によって様々な演出を行わせることができる。
【0119】
尚、本実施形態では、内部抽選の結果により入賞となった場合に、LED素子110aの表示制御を行い、電飾表示を行うこととしたが、本発明はこれに限らず、例えば内部抽選の結果により入賞とならなかった場合であっても、様々な遊技状況に応じて、LED素子110aの表示制御を行い、複数色の発光、点滅等の、多様な電飾表示を行うことができる。
【0120】
上述した如く制御が行われることにより、各LEDユニット110から発射された発射光は、装飾用レンズ100(100A?100C)を介して遊技者側に照射されるものである。
【0121】
各LEDユニット110から発射された発射光は、上述した装飾用レンズ100(100A?100C)の基体との透過率等の違いにより、その基体との境界面において、屈折が生じ、拡散して基体内に入射される。基体内に入射された発射光は、基体内を通過し、基体内から遊技者側である前方に照出される際に、その境界面において更に屈折が生じ、拡散して、基体内から遊技者側である前方に照出されることとなる。
【0122】
装飾用レンズ100(100A?100C)から照出された発射光は、図7に示す如く、左右方向に拡散されて照出されることとなる。
【0123】
また、上述した如く、装飾用レンズ100(100A?100C)が取り付けられているサイドレンズカバー51の開口部55から凸部58(58R、58L)にかけての溝部53の表面には、鏡面仕上げを施した金属板や反射シート等により、鏡面加工が施されている。
【0124】
更にまた、図7に示す如く、左右方向に拡散されて照出された発射光は、表面に鏡面加工が施された湾曲面に照射されると、その湾曲面で反射され、遊技者側である前方へ向かうように照射されることとなる。
【0125】
更にまた、鏡面加工が施された湾曲面自体も光を放っているかのような視覚効果が生まれることとなる。
【0126】
このように、「前記側面保持部材は、少なくとも前記凸部と前記接合部とに挟まれた領域において表面に鏡面仕上げが施されている」ように構成することにより、当該領域において当該レンズから左右方向に放たれた光を反射させることが可能となるので、当該光源からの光をより前方へ集中して照射することができるとともに、鏡面仕上げが施された当該領域自体が光を発しているかのような視覚効果が生じ、電飾効果が向上することとなるのである。
【0127】
尚、本実施形態では、図5に示す如く、サイドレンズカバー51の遊技者側である前面に、長手方向に湾曲状の溝部53(以下単に溝部53という)が形成されていることとしたが、本発明はこれに限らず、図8に示す如く、サイドレンズカバー51の遊技者側である前面に、長手方向に、コ字形状の溝部が形成されていることとしてもよい。
【0128】
また、この場合には、図8に示す如く、装飾用レンズ100(100A?100C)は、コ字形状を有する溝部に嵌め合わされ、埋設されるように取り付けられることにより、装飾用レンズ100(100A?100C)の側面とコ字形状を有する溝部の内表面とが接触する状態となる。
【0129】
更にまた、この場合には、図9に示す如く、LEDユニット110から発射された発射光は、装飾用レンズ100(100A?100C)の基体との透過率等の違いにより、その基体との境界面において、屈折が生じ、拡散して基体内に入射される。基体内に入射された発射光は、鏡面仕上げが施された溝部の内表面によって反射され、基体内で反射が繰り返されて、基体内から遊技者側である前方に拡散されて照出されることとなる。
【0130】
このように、光源であるLEDユニット110からの光を装飾用レンズ100(100A?100C)の基体内で乱反射させつつ基体外へ拡散させるようにしているので、上述した効果に加えて、装飾用レンズ100(100A?100C)自体が発光しているような視覚効果が生じ、一層、電飾効果が向上することとなるのである。
【0131】
尚、本実施形態では、サイドレンズカバー51の遊技者側である前面に形成されている溝部の内表面に鏡面加工を施すこととしたが、本発明はこれに限らず、溝部の内表面に限らず、サイドレンズカバー51の溝部の内表面を含む表面全体に鏡面加工を施すこととしてもよい。
【0132】
尚、本実施形態では、本発明を、扉体基体の表面に配置される複数の機能部材をその両側部から一対の側面保持部材により組み付け固定することによって構成されるリサイクル可能なスロットマシン10に適用した一例について説明したものであるが、本発明はこれに限らず、リサイクル可能に構成されていない一般のスロットマシンに適用することもでき、電飾表示手段を備えた、パチンコ遊技機や雀球遊技機等の弾球遊技機、メダル遊技機その他の遊技機にも適用することができるものである。
【0133】
このように、電飾表示手段を備えた遊技機に、「前記電飾表示手段は、光源と、前記光源を被覆する脆性又は外部応力によって割れを生じ得る硬質樹脂製の透光レンズとから構成されており、前記レンズは前記扉体の角部を除く位置に配置してなる」ように構成することにより、当該レンズが搬出入時に何らかにぶつけるなどして割れを生じてしまう可能性が低減され、当該レンズの耐久性が向上する。
【0134】
【発明の効果】
本発明によれば、電飾表示手段を備えた遊技機において、「前記電飾表示手段は、光源と、前記光源を被覆する脆性又は外部応力によって割れを生じ得る硬質樹脂製の透光レンズとから構成されており、前記レンズは前記扉体の角部を除く位置に配置してなる」ように構成すること、特に、扉体基体の表面に配置される複数の機能部材をその両側部から一対の側面保持部材により組み付け固定することによって構成されるリサイクル可能な遊技機においては、「前記扉体には、前記筐体内部の抽選手段で抽選された抽選結果に応じた電飾演出を実行する電飾表示手段を備え、前記電飾表示手段は、光源と、前記光源を被覆する脆性又は外部応力によって割れを生じ得る硬質樹脂製の透光レンズとから構成され、前記光源の複数は、前記扉体基体の側縁部に上下方向に所定間隔で配置するとともに、前記光源と前後方向に対向する位置であって前記側面保持部材の角部を除く位置に前記レンズを埋設してなる」ように構成することにより、当該レンズが搬出入時に何らかにぶつけるなどして割れを生じてしまう可能性が低減され、当該レンズの耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による遊技機の概観を示す斜視図である。
【図2】本発明による遊技機の要部を示す斜視図である。
【図3】本発明による遊技機の要部を示す斜視図である。
【図4】本発明によるサイドレンズユニットを示す断面図である。
【図5】本発明によるサイドレンズユニットを示す断面図である。
【図6】本発明による遊技機の主制御回路のブロック図である。
【図7】本発明による遊技機の要部を示す拡大図である。
【図8】本発明によるサイドレンズユニットを示す断面図である。
【図9】本発明による遊技機の要部を示す拡大図である。
【符号の説明】
10 スロットマシン
12 本体筐体
14 前面扉体
16 メインドアフレーム
20 上部ユニット
30 操作部ユニット
40 下部ユニット
50 サイドレンズユニット
51 サイドレンズカバー
53 溝部
55 開口部
58 凸部
60 リールパネルユニット
70 腰部ユニット
100 装飾用レンズ
160 主制御回路
166 CPU
168 ROM
170 RAM
202 表示制御装置
204 各種ランプ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2011-08-04 
結審通知日 2011-08-08 
審決日 2011-08-22 
出願番号 特願2002-220463(P2002-220463)
審決分類 P 1 113・ 537- YA (A63F)
P 1 113・ 536- YA (A63F)
P 1 113・ 121- YA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 秋山 斉昭
吉村 尚
登録日 2008-07-04 
登録番号 特許第4149759号(P4149759)
発明の名称 遊技機  
代理人 鹿股 俊雄  
代理人 黒田 博道  
代理人 鹿股 俊雄  
代理人 北口 智英  

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