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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1262274
審判番号 不服2010-20579  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-13 
確定日 2012-08-22 
事件の表示 特願2007-140429「ダイレクトシーケンス拡散システム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月22日出願公開、特開2007-306582〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は、2001年11月 3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年 11月 3日、(US)米国)を国際出願日とする特願2002-541816号の一部を平成19年 5月28日に新たな出願としたものであって、平成22年 5月 7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年 9月13日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
本願の特許請求の範囲の【請求項1】に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願時の特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、平成19年 6月27日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の【請求項1】に記載された以下のとおりのものと認める。

「第1のデータ信号及び第1の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第1の拡散信号を生成するように、構成され、かつ配置された第1の拡散器と、前記第1の拡散信号の幅は1ビットであり、
第2のデータ信号及び第2の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第2の拡散信号を生成するように、構成され、かつ配置された第2の拡散器と、前記第2の拡散信号の幅は1ビットであり、
前記第1の拡散信号に基づいて、第1のフィルタリングされた信号を生成するように、構成され、かつ配置された第1のフィルタと、
前記第2の拡散信号に基づいて、第2のフィルタリングされた信号を生成するように、構成され、かつ配置された第2のフィルタと、
前記第1のフィルタリングされた信号に基づいて、第1の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第1の利得要素と、
前記第2のフィルタリングされた信号に基づいて、第2の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第2の利得要素と、
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号に基づいて、デジタル加算信号を生成するように、構成され、かつ配置された加算器と、
前記第1のデータ信号及び第2の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第3の拡散信号を生成するように構成され、かつ配置された第3の拡散器と、前記第3の拡散信号の幅は1ビットであり、
第2のデータ信号及び第1の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第4の拡散信号を生成するように構成され、かつ配置された第4の拡散器と、前記第4の拡散信号の幅は1ビットであり、
前記第3の拡散信号に基づいて、第3のフィルタリングされた信号を生成するように、構成され、かつ配置された第3のフィルタと、
前記第4の拡散信号に基づいて、第4のフィルタリングされた信号を生成するように、構成され、かつ配置された第4のフィルタと、
前記第3のフィルタリングされた信号に基づいて、第3の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第3の利得要素と、
前記第4のフィルタリングされた信号に基づいて、第4の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第4の利得要素と、
前記第3及び第4の制御信号に基づいて、デジタル加算信号を生成するように構成され、かつ配置された第2の加算器と
を具備する拡散システム。」

なお、上記_部分に関し、平成19年 6月27日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1では、それぞれ「第2のデータ信号及び前記第1の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第2の拡散信号を・・・」、「第2のデータ信号及び前記第2の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第4の拡散信号を・・・」と記載されているが、出願時の特許請求の範囲、明細書及び図面(平成19年 6月27日付けで提出された翻訳文)を参酌すると、当該記載は誤記であることが明らかであるから、出願時の特許請求の範囲、明細書及び図面に基づいて、本願発明を上記のように認定した。

2.引用発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第5712869号明細書(1998年 1月27日)(以下、「引用例」という。)には、「DATA TRANSMITTER AND RECEIVER OF A SPREAD SPECTRUM COMMUNICATION SYSTEM USING A PILOT CANNEL」(「パイロットチャンネルの用いたスペクトル拡散通信システムのデータ送受信機」)(( )内は当審仮訳。以下も同様。)として、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「The present invention relates to a spread spectrum communication system, and more particularly to data transmitter and receiver of the spread spectrum communication system using a pilot channel.」(第1欄第18行?第21行)
(本発明はスペクトル拡散通信システム、特にパイロットチャンネルを使用するスペクトル拡散通信システムのデータ送信器及び受信器に関する。)

ロ.「As shown in FIG. 2, the data transmitter includes a first pilot Walsh code generator 203 and a first traffic Walsh code generator 206 for generating a first and a second Walsh codes, respectively using Walsh functions represented by a set of orthogonal binary sequences that can be easily generated by means well known in the art. A first multiplier 202 modulates a pilot signal according to the first Walsh code generated from the pilot Walsh code generator 203 in order to generate a Walsh-modulated pilot signal. A second multiplier 205 modulates baseband data to be transmitted according to the second Walsh code generated from the traffic Walsh code generator 206 in order to generate Walsh-modulated data.」(第5欄第21行?第33行)
(図2に示されるように、データ送信器は、第1及び第2のウォルシュコードを発生するために、第1パイロットウォルシュコード発生器203及び第1トラフィックウォルシュコード発生器206を含み、これらのウォルシュコードは、1セットの直交した2進の系列によって表されたウォルシュ関数を使用して、その技術においてよく知られている手段で容易に発生できる。第1の乗算器202は、パイロットウォルシュコード発生器203から発生した第1のウォルシュコードに応じて、パイロットを変調してウォルシュ変調されたパイロットを発生させる。第2の乗算器205は、トラフィックウォルシュコード発生器206から発生した第2のウォルシュコードに応じて、ベースバンドデータを変調してウォルシュ変調されたデータを発生させる。)

ハ.「An in-phase (I) channel PN code generator 207 generates an I channel PN code, and a quadrature-phase (Q) channel PN code generator 208 generates a Q channel PN code. A third multiplier 209 multiplies the Walsh-modulated pilot signal according to the I channel PN code in order to generate an I channel band spreaded pilot signal. A fourth multiplier 210 multiplies the Walsh-modulated pilot signal according to the Q channel PN code in order to generate a Q channel band spreaded pilot signal. A fifth multiplier 211 multiplies the Walsh-modulated data according to the I channel PN code in order to generate I channel band spreaded data. A sixth multiplier 212 multiplies the Q channel PN code by a predetermined value "-1" in order to generate an inverted -Q channel PN code. A seventh multiplier 214 multiplies the Walsh-modulated data according to the -Q channel PN code in order to generate -Q channel band spreaded data.」(第5欄第34行?第50行)
(同相位相(I)チャンネルPNコード発生器207は、IチャンネルPNコードを発生させ、直角位相(Q)チャンネルPNコード発生器208はQチャンネルPNコードを発生させる。第3の乗算器209は、IチャンネルPNコードに従って、ウォルシュ変調されたパイロット信号を乗算してIチャンネルバンド拡散パイロット信号を発生させる。第4の乗算器210は、QチャンネルPNコードに従って、ウォルシュ変調されたパイロット信号を乗算してQチャンネルバンド拡散パイロット信号を発生させる。第5の乗算器211は、IチャンネルPNコードに従って、ウォルシュ変調されたデータを乗算してIチャンネルバンド拡散データを発生させる。第6の乗算器212は、前もって決められた値“-1”にQチャンネルPNコードを乗算して反転された-QチャンネルPNコードを発生させる。 第7の乗算器214は、-QチャンネルPNコードに従って、ウォルシュ変調されたデータを乗算して-Qチャンネルバンド拡散データを発生させる。)

ニ.「A first FIR filter 215 finite impulse response filters the output of the third multiplier 209. A second FIR filter 216 finite impulse response filters the output of the fourth multiplier 210. A third FIR filter 217 finite impulse response filters the output of the seventh multiplier 214. A fourth FIR filter 218 finite impulse response filters the output of the fifth multiplier 211. 」(第5欄第51行?第57行)
(第1のFIRフィルタ215は、第3の乗算器209の出力を有限インパルス応答フィルタにかける。第2のFIRフィルタ216は、第4の乗算器210の出力を有限インパルス応答フィルタにかける。第3のFIRフィルタ217は、第7の乗算器214の出力を有限インパルス応答フィルタにかける。第4のFIRフィルタ218は、第5の乗算器211の出力を有限インパルス応答フィルタにかける。)

ホ.「A first adder 219 combines the output signal of the first FIR filter 215 with the output signal of the third FIR filter 217. A second adder 220 combines the output signal of the second FIR filter 216 with the output signal of the fourth FIR filter 218. A first D/A converter 221 converts the output of the first adder 219 into an analog signal. A second D/A converter 222 converts the output of the second adder 220 into an analog signal.」(第5欄第61行?第66行)
(第1の加算器219は、第1のFIRフィルタ215の出力信号と第3のFIRフィルタ217の出力信号と加算する。第2の加算器220は、第2のFIRフィルタ216の出力信号と第4のFIRフィルタ218の出力信号と加算する。第1のD/A変換器221は第1の加算器219の出力をアナログ信号へ変換する。第2のD/A変換器222は第2の加算器220の出力をアナログ信号へ変換する。)

上記引用例の記載及び関連する図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、引用例に記載の「スペクトル拡散通信システムのデータ送信機」では、上記ロ.及びハ.の記載から、「乗算器209」は「パイロット信号」と「IチャンネルPNコード」とに基づいて「Iチャンネルバンド拡散パイロット信号」を生成し、「乗算器210」は「パイロット信号」と「QチャンネルPNコード」とに基づいて「Qチャンネルバンド拡散データ」を生成し、「乗算器211」は「データ」信号と「IチャンネルPNコード」とに基づいて「Iチャンネルバンド拡散データ」を生成し、「乗算器214」は「データ」信号と「-QチャンネルPNコード」とに基づいて「-Qチャンネルバンド拡散データ」を生成するものである。
また、上記ホ.の記載から、「FIRフィルタ215」は「Iチャンネルバンド拡散パイロット信号」に基づいて「FIRフィルタ215の出力信号」を生成し、「FIRフィルタ216」は「Qチャンネルバンド拡散パイロット信号」に基づいて「FIRフィルタ216の出力信号」を生成し、「FIRフィルタ217」は「-Qチャンネルバンド拡散パイロット信号」に基づいて「FIRフィルタ217の出力信号」を生成し、「FIRフィルタ218」は「Iチャンネルバンド拡散データ」を用いて「FIRフィルタ218の出力信号」を生成するものである。
さらに、上記ニ.の記載から、「第1の加算器219」は、「FIRフィルタ215の出力信号」及び「FIRフィルタ217の出力信号」に基づいて、「加算器」の出力を生成し、「第2の加算器220」は、「FIRフィルタ216の出力信号」及び「FIRフィルタ218の出力信号」に基づいて、「加算器」の出力を生成するものである。
そして、上記ニ.に記載されるように2つの「加算器」の出力それぞれは、「D/A変換器」によってアナログ信号へ変換されることから、「第1の加算器219」と「第2の加算器220」がデジタル出力信号を生成することは明らかである。
したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「パイロット信号及びIチャンネルPNコードに基づいて、Iチャンネルバンド拡散パイロット信号を生成するように、構成され、かつ配置された乗算器209と、
データ信号及び前記-QチャンネルPNコードに基づいて、-Qチャンネルバンド拡散データを生成するように、構成され、かつ配置された乗算器214と、
前記Iチャンネルバンド拡散パイロット信号に基づいて、FIRフィルタ215の出力信号を生成するように、構成され、かつ配置されたFIRフィルタ215と、
前記-Qチャンネルバンド拡散データに基づいて、FIRフィルタ217の出力信号を生成するように、構成され、かつ配置されたFIRフィルタ217と、
前記FIRフィルタ215の出力信号及び前記FIRフィルタ217の出力信号に基づいて、加算器のデジタル出力信号を生成するように、構成され、かつ配置された第1の加算器219と、
前記パイロット信号及びQチャンネルPNコードに基づいて、Qチャンネルバンド拡散パイロット信号を生成するように、構成され、かつ配置された乗算器210と、
前記データ信号及びIチャンネルPNコードに基づいて、Iチャンネルバンド拡散データを生成するように、構成され、かつ配置された乗算器211と、
前記Qチャンネルバンド拡散パイロット信号に基づいて、FIRフィルタ216の出力信号を生成するように、構成され、かつ配置されたFIRフィルタ216と、
前記Iチャンネルバンド拡散データに基づいて、FIRフィルタ218の出力信号を生成するように、構成され、かつ配置されたFIRフィルタ218と、
前記FIRフィルタ216の出力信号及び前記FIRフィルタ218の出力信号に基づいて、加算器のデジタル出力信号を生成するように、構成され、かつ配置された第2の加算器220と
を具備するスペクトル拡散通信システム。」

3.対比
本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「IチャンネルPNコード」、「QチャンネルPNコード」がいずれも擬似ノイズシーケンスであることは明らかであり、それぞれを第1のシーケンス、第2のシーケンスとすることは任意であるから、引用発明の「IチャンネルPNコード」、「QチャンネルPNコード」は、それぞれ本願発明の「第1の擬似ノイズシーケンス」、「第2の擬似ノイズシーケンス」 に相当する。
次に、引用発明の「Iチャンネルバンド拡散パイロット信号」、「-Qチャンネルバンド拡散データ」、「Qチャンネルバンド拡散パイロット信号」、「Iチャネルバンド拡散データ」がいずれも拡散された信号であることは明らかであり、それぞれを区別するために「第1」、「第2」、「第3」、「第4」とすることは任意であるから、引用発明の「Iチャンネルバンド拡散パイロット信号」、「-Qチャンネルバンド拡散データ」、「Qチャンネルバンド拡散パイロット信号」、「Iチャネルバンド拡散データ」は、それぞれ本願発明の「第1の拡散信号」、「第2の拡散信号」、「第3の拡散信号」、「第4の拡散信号」に相当する。 さらに、引用発明の「乗算器209」、「乗算器214」、「乗算器210」、「乗算器211」において「パイロット信号」あるいは「データ」と「IチャンネルPNコード」あるいは「QチャンネルPNコード」が乗算されることで拡散が行われることから「拡散器」といえることは明らかであり、それぞれを区別するために「第1」、「第2」、「第3」、「第4」とすることは任意であるから、引用発明の「乗算器209」、「乗算器214」、「乗算器210」、「乗算器211」は、それぞれ本願発明の「第1の拡散器」、「第2の拡散器」、「第3拡散器」、「第4拡散器」に相当する。
そして、上記引用発明の「乗算器209」、「乗算器214」、「乗算器210」、「乗算器211」と本願発明の「第1の拡散器」、「第2の拡散器」、「第3拡散器」、「第4拡散器」の関係から、引用発明の「FIRフィルタ215の出力信号」及び「FIRフィルタ215」、「FIRフィルタ217の出力信号」及び「FIRフィルタ217」、「FIRフィルタ216の出力信号」及び「FIRフィルタ216」、「FIRフィルタ218の出力信号」及び「FIRフィルタ218」は、それぞれ本願発明の「第1のフィルタリングされた信号」及び「第1のフィルタ」、「第2のフィルタリングされた信号」及び「第2のフィルタ」、「第3のフィルタリングされた信号」及び「第3のフィルタ」、「第4のフィルタリングされた信号」及び「第4のフィルタ」に相当する。
同様に、上記引用発明の「FIRフィルタ215の出力信号」、「FIRフィルタ217の出力信号」、「FIRフィルタ216の出力信号」、「FIRフィルタ218の出力信号」と本願発明の「第1のフィルタリングされた信号」、「第2のフィルタリングされた信号」、「第3のフィルタリングされた信号」、「第4のフィルタリングされた信号」の関係から、引用発明の「第1の加算器」、「第2の加算器」は、それぞれ本願発明の「加算器」、「第2の加算器」に相当する。
引用発明の「加算器のデジタル出力信号」と本願発明の「デジタル加算信号」との間に差違はなく、引用発明の「スペクトル拡散通信システム」と本願発明の「拡散システム」との間にも実質的な差違はない。。
また、本願発明の「第1のデータ信号」及び「第2のデータ信号」と引用発明の「パイロット信号」及び「データ信号」は、いずれも信号であるから、「第1の信号」及び「第2の信号」である点で一致している。
したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。

<一致点>
「第1の信号及び第1の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第1の拡散信号を生成するように、構成され、かつ配置された第1の拡散器と、
第2の信号及び第2の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第2の拡散信号を生成するように、構成され、かつ配置された第2の拡散器と、
前記第1の拡散信号に基づいて、第1のフィルタリングされた信号を生成するように、構成され、かつ配置された第1のフィルタと、
前記第2の拡散信号に基づいて、第2のフィルタリングされた信号を生成するように、構成され、かつ配置された第2のフィルタと、
前記第1のフィルタリングされた信号及び前記第2のフィルタリングされた信号に基づいて、デジタル加算信号を生成するように、構成され、かつ配置された加算器と、
前記第1の信号及び第2の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第3の拡散信号を生成するように、構成され、かつ配置された第3の拡散器と、
第2の信号及び第1の擬似ノイズシーケンスに基づいて、第4の拡散信号を生成するように、構成され、かつ配置された第4の拡散器と、
前記第3の拡散信号に基づいて、第3のフィルタリングされた信号を生成するように、構成され、かつ配置された第3のフィルタと、
前記第4の拡散信号に基づいて、第4のフィルタリングされた信号を生成するように、構成され、かつ配置された第4のフィルタと、
前記第3のフィルタリングされた信号及び前記第4のフィルタリングされた信号に基づいて、デジタル加算信号を生成するように、構成され、かつ配置された第2の加算器と
を具備する拡散システム。」

<相違点1>
上記「第1の信号」及び「第2の信号」に関し、本願発明は「第1のデータ信号」及び「第2のデータ信号」であるのに対し、引用発明は「パイロット信号」及び「データ信号」である点。

<相違点2>
上記「第1の拡散信号」、「第2の拡散信号」、「第3の拡散信号」及び「第4の拡散信号」に関し、本願発明はそれぞれの「拡散信号の幅は1ビット」であるのに対し、引用発明は当該構成について不明である点。

<相違点3>
上記「デジタル加算信号を生成する」ことに関し、本願発明は「第1のフィルタリングされた信号に基づいて、第1の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第1の利得要素」、「第2のフィルタリングされた信号に基づいて、第2の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第2の利得要素」、「第3のフィルタリングされた信号に基づいて、第3の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第3の利得要素」、「第4のフィルタリングされた信号に基づいて、第4の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第4の利得要素」を備え、これらの制御信号に基づいて「デジタル加算信号を生成する」のに対し、引用発明は当該構成について不明である点。

4.検討
まず、上記相違点1について検討すると、拡散システムにおいて、複数のデータ信号をそれぞれ拡散し、加算して伝送することは、特開平11-266168号公報の【0033】及び図1、特開平11-266475号公報の【0003】?【0005】及び図7に記載されるように周知技術であり、引用発明のパイロット信号はデータ信号と同様の拡散が行われているから、引用発明において、「第1の信号」をパイロット信号だけでなくデータもあわせて伝送するようにすることは格別なことではなく、引用発明の「第1の信号」及び「第2の信号」を「第1のデータ信号」及び「第2のデータ信号」とすることは容易になし得ることである。
次に、上記相違点2について検討すると、特開平11-220774号公報の【0029】及び図6、特開平10-79727号公報の【0010】及び図1に記載されるように、データ信号とPNコード等の拡散符号で生成される拡散信号の幅を1ビットの幅とすることは周知技術であるから、引用発明において、第1?第4の拡散信号の幅をそれぞれ1ビットとすることは格別なことではない。
さらに、上記相違点3について検討すると、拡散システムにおいて、フィルタと加算器との間に利得要素を配置することは、国際公開第96/02987号パンフレットのFIG.8、特開平10-322311号公報の図3に記載されるように周知技術であるから、引用発明において、第1?4のフィルタリングされた信号に基づいて、第1?4の制御信号を生成するように、構成され、かつ配置された第1?4の利得要素を備えるように設計することは格別なことではない。
そして、本願発明の作用・効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-22 
結審通知日 2012-03-27 
審決日 2012-04-09 
出願番号 特願2007-140429(P2007-140429)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橘 均憲岡 裕之  
特許庁審判長 田中 庸介
特許庁審判官 小宮 慎司
石井 研一
発明の名称 ダイレクトシーケンス拡散システム  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 野河 信久  
代理人 中村 誠  
代理人 河野 哲  
代理人 峰 隆司  
代理人 市原 卓三  
代理人 勝村 紘  
代理人 村松 貞男  
代理人 堀内 美保子  
代理人 砂川 克  
代理人 山下 元  
代理人 河野 直樹  
代理人 竹内 将訓  
代理人 岡田 貴志  
代理人 佐藤 立志  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 白根 俊郎  

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