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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1262538
審判番号 不服2010-25781  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-16 
確定日 2012-08-29 
事件の表示 特願2007- 50596「サービスコンポーネント発見システム及びサービスコンポーネント発見プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月18日出願公開、特開2008-217159〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は平成19年2月28日の出願であって,平成22年4月15日付けの拒絶理由の通知に対し,平成22年6月18日付けで手続補正がなされたが,平成22年8月9日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成22年11月16日に審判請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成24年4月6日付けで審尋がなされ,これに対して平成24年6月5日付けで回答書が提出されたものである。

2 補正の目的の適否についての判断
(1)平成22年11月16日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。
「ユーザ端末から指定されたサービスシナリオに基づいて,サービスコンポーネント提供装置によってサービスコンポーネントを連携した連携サービスを提供する際に,サービス連携装置によって前記サービスシナリオとのメタデータマッチングを行うことにより,前記サービスコンポーネントを発見するサービスコンポーネント発見システムであって,
前記サービス連携装置は,
前記サービスコンポーネントを検索する際に,前記サービスコンポーネントのプロセスメタデータ(Process Model記述)とインタフェース情報(WSDL)と前記プロセスメタデータと前記インタフェース情報との対応関係を公開するマッピング情報を含むGrounding記述とに基づいて,マッチングした前記サービスコンポーネントに対応するオペレーションが実装されているか否かを前記マッピング情報を含むGrounding記述の参照により検証する検索検証手段を具備することを特徴とするサービスコンポーネント発見システム。」

(2)本件補正は,平成22年6月18日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1に記載された,「プロセスメタデータとインタフェース情報とマッピング情報に基づいて,マッチングした前記サービスコンポーネントに対応するオペレーションが実装されているか否かを検証する検索検証手段」を,「プロセスメタデータ(Process Model記述)とインタフェース情報(WSDL)と前記プロセスメタデータと前記インタフェース情報との対応関係を公開するマッピング情報を含むGrounding記述とに基づいて,マッチングした前記サービスコンポーネントに対応するオペレーションが実装されているか否かを前記マッピング情報を含むGrounding記述の参照により検証する検索検証手段」とする補正を含むものであり,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものに該当し,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項に規定する要件を満たすものであり,適法な補正である。

3 本願発明について
(1)本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,本件補正後の明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,上記2(1)の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用された,山登庸次他「ユビキタス環境で動的にサービス実現するためのサービス合成技術」,情報処理学会論文誌,社団法人情報処理学会,平成19年2月15日(発行日),第48巻第2号,562頁?577頁(以下,「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。なお,同刊行物に記載された丸付き数字は,括弧付き数字で代替表記した。

・記載事項a
「本研究は,サービス合成技術の研究であり,その特徴としてサービスフロー(本稿ではサービステンプレート:STと呼ぶ)を意味的メタデータを用いて抽象記述し,ユーザの利用時に状況・嗜好に応じて適切なサービスコンポーネント(本稿ではサービスエレメント:SEと呼ぶ)を動的に発見し,バインドして実行することで,個人個人に適切なサービス提供することを目指している.なお,意味的メタデータとは,サービスコンポーネントがどのように動作するか,どのような性質を持つかなどを示すメタデータである.」(562頁左欄14行?右欄8行)
・記載事項b
「本研究の目的は,ユーザが,個人端末やサーバに搭載されたサービス合成エンジンを用いて,ユーザ状況に応じてSEを合成し,適切なサービスを利用可能にする技術の確立である.」(563頁左欄4行?7行)
・記載事項c
「2.2意味的メタデータを用いたST,SE記述
BPELの課題を解決するため,著者らはサービスフローであるSTに個々のSEのインタフェース名を記述するのではなく,欲する機能の意味的メタデータを用いて抽象的に記述し,インタフェース名は異なるが機能は同等なSE群を発見し選択可能にすることで,状況に応じたサービスの実現を目指している(図1参照).図1の,丸,四角,六角形は意味的に同等な機能,矢印は制御の順番を示す.BPELでは,1つ1つのWSを厳密に指定した制御フローを記述する必要があるが,STでは同等なSEから選択できる.
・・・
ここで,メタデータを用いてSTを記述して,サービス合成することを考えた場合,欲する機能にマッチするSEを数多く発見し利用できること(多くの候補により選択肢が増え,カスタマイズ性,耐障害性に優れる)が課題であり,以下の3つが必要となる.
●ST記述者が個々のSEの詳細実装を意識せず記述できるよう,統一的形式で記述が可能であること.
●既存コンポーネントをそのまま利用できるように,SEの記述は標準または標準候補の記述を採用すること.
●メタデータの語彙定義を統一的に定めるのは困難であるため,語彙の違いを解決し,同等機能ならば利用可能であること(例:車とcarは両方利用可能).
・・・
上記の3つの条件から,SE記述に近年進んできたSemantic Web Services技術・・・のOWL-S(Web Ontology Language for Services)を用いて設計,実装を行った.OWL-Sは,3つの記述からなり,Profile記述はどのようなサービスを提供するかを記述し,Process記述はどのように動くかの抽象的Processの入出力や条件,効果を記述し,Grounding記述はどのようにアクセスするかの抽象Processと実際のオペレーションのマッピングを記述する.
・・・
このような理由から,SEはOWL-Sをネットワークに公開することとし,それに対応してSTは以下のように記述する.STは利用するSEの機能を,カテゴリ名(同等SE機能をカテゴライズした単位)とオペレーションメタデータで指定し,指定した各カテゴリ間の情報引継ぎをあわせて記述する.ここで,オペレーションメタデータは,OWL-SのProcessとそのパラメータにあたる.カテゴリ間の情報引継ぎには,前のカテゴリのパラメータを,別カテゴリのどのパラメータに入れるかのマッピングが記述される.
ユーザがサービスを利用する際は,サービス合成する合成エンジンにSTを入力すると,合成エンジンが,STに記述されたメタデータを用いて同等なSE群を検索し発見する.次に発見されたSE群のProfileとユーザコンテキストを用いて点数付けをしてユーザ状況に適切なSEを選択する.利用するSEが決定された段階で,合成エンジンは,選択したSEのGrounding記述を用いてSEの実際のインタフェース(WSDLやUPnP)に変換して,SEをバインド・実行する.図2は,メタデータから実際のオペレーションに変換する過程を示した図である.なお,同等機能でも異なる語彙で定義されたメタデータが振られている場合(例:車とcarなど)は,次節で提案するカテゴリツリーのリンクをたどり語彙変換することで同等機能として発見可能である。語彙変換により,代替候補SE数を増やし,発見の柔軟性を確保することができる.」(563頁右欄5行?564頁右欄4行)
・記載事項d
「なお,STによるサービス合成は,実行時までSEが決まらないため以下の3つの不安要素がある.これらについて補足説明する.
(1)選択したSEが故障などで利用できない不安.
(2)選択したSEが必要な機能を持っていない不安.
(3)選択したSEがユーザにとって適切でない不安.
まず,(1)に関しては,WSなどの通常の分散システムでも同様の問題があり,故障の際は例外処理を行うが,基本的にはそのコンポーネントの利用は諦めるしかない.サービス合成も同様の考えで,エラーが返ってきたら,新しいSEを選択する形を想定している.
次に,(2)に関しては,STに記述したAtomic Processと同等機能を実装しているSEを,メタデータ管理DBとSE-DBを用いて検索するため,OWLリンクおよびOWL-S記述が正確であれば,この問題は防げる.問題は不整合がある場合だが,カテゴリどうしのOWL記述の不整合がある際は,マッピング機能などを用いて定期的にアップデートすることで整合をとる.また,SEのOWL-S記述が不正の場合は,SE-DB管理者に不正登録として通知して削除してもらうか,あるいは,SE-DBに登録する際にSOAPレイヤでの到達性をツールで確認してから登録させる方法が考えられる.」(569頁右欄45行?570頁左欄21行)

イ これらの記載から,引用例に記載された技術は,サービスフロー,すなわちサービステンプレートST(以下,「ST」と略す。)を意味的メタデータを用いて抽象記述し,ユーザの利用時に状況・嗜好に応じて適切なサービスコンポーネント,すなわちサービスエレメントSE(以下,「SE」と略す。)を動的に発見し,バインドして実行することで,個人個人に適切なサービス提供するものであり(記載事項a),ユーザが,個人端末やサーバに搭載されたサービス合成エンジンを用いて,ユーザ状況に応じてSEを合成し,適切なサービスを利用可能にするための技術であることから(記載事項b),「サービステンプレートST(サービスフロー)を意味的メタデータを用いて抽象記述し,ユーザの利用時に状況・嗜好に応じて適切なサービスエレメントSE(サービスコンポーネント)を動的に発見し,バインドして実行するシステム」に係る技術ということができる。
OWL-S(Web Ontology Language for Services)は,どのようなサービスを提供するかを記述するProfile記述,どのように動くかの抽象的Processの入出力や条件,効果を記述するProcess記述,及びどのようにアクセスするかの抽象Processと実際のオペレーションのマッピングを記述するGrounding記述からなり,SE記述にOWL-Sを用いた場合,STは,利用するSEの機能を,同等SE機能をカテゴライズした単位であるカテゴリ名と,OWL-SのProcessとそのパラメータにあたるオペレーションメタデータで指定するように記述するものであり,ユーザがサービスを利用するために合成エンジンにSTを入力すると,合成エンジンは,STに記述されたメタデータを用いて同等なSE群を検索して発見し,発見されたSE群のProfileとユーザコンテキストを用いてユーザ状況に適切なSEを選択し,選択したSEのGrounding記述を用いてSEの実際のインタフェースに変換して,SEをバインド・実行する(記載事項c)。

ウ 以上を総合すれば,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「サービステンプレートST(サービスフロー)を意味的メタデータを用いて抽象記述し,ユーザの利用時に状況・嗜好に応じて適切なサービスエレメントSE(サービスコンポーネント)を動的に発見し,バインドして実行するシステムであって,
OWL-S(Web Ontology Language for Services)は,どのようなサービスを提供するかを記述するProfile記述,どのように動くかの抽象的Processの入出力や条件,効果を記述するProcess記述,及びどのようにアクセスするかの抽象Processと実際のオペレーションのマッピングを記述するGrounding記述からなり,
SE記述にOWL-Sを用いた場合,STは,利用するSEの機能を,同等SE機能をカテゴライズした単位であるカテゴリ名と,OWL-SのProcessとそのパラメータにあたるオペレーションメタデータで指定するように記述し,
ユーザがサービスを利用するために合成エンジンにSTを入力すると,合成エンジンは,STに記述されたメタデータを用いて同等なSE群を検索して発見し,発見されたSE群のProfileとユーザコンテキストを用いてユーザ状況に適切なSEを選択し,選択したSEのGrounding記述を用いてSEの実際のインタフェースに変換して,SEをバインド・実行する,
システム。」

(3)対比
本願発明と引用発明とを対比する。(なお,以下,「Profile」,「Process Model」,「Grounding」等は,原則として半角文字で表記する。)
ア 引用発明は,「サービステンプレートST(サービスフロー)を意味的メタデータを用いて抽象記述し,ユーザの利用時に状況・嗜好に応じて適切なサービスエレメントSE(サービスコンポーネント)を動的に発見し,バインドして実行するシステム」に係るものであり,他方,本願発明は,「本発明は,ネットワーク上のサービス機能要素であるサービスコンポーネントを,サービスコンポーネントの機能種別を表すサービスカテゴリの接続関係を記述したサービスシナリオに基づいて,メタデータマッチングにより発見するサービスコンポーネント発見方法,サービスコンポーネント発見システム及びサービスコンポーネント発見プログラムに関する」ものであるから,両者は,いずれも「サービスコンポーネント発見システム」の技術分野に属するものである。

イ 引用発明における「サービステンプレートST(サービスフロー)」,「サービスエレメントSE(サービスコンポーネント)」は,それぞれ本願発明における「サービスシナリオ」,「サービスコンポーネント」に相当する。
また,引用発明のシステムにおける「合成エンジン」は,「STに記述されたメタデータを用いて同等なSE群を検索して発見し,発見されたSE群のProfileとユーザコンテキストを用いてユーザ状況に適切なSEを選択し,選択したSEのGrounding記述を用いてSEの実際のインタフェースに変換して,SEをバインド・実行する」ものであり,その機能からみて,本願発明の「サービス連携装置」に相当する。
これらのことから,本願発明と引用発明とは,「ユーザ端末から指定されたサービスシナリオに基づいて,サービスコンポーネント提供装置によってサービスコンポーネントを連携した連携サービスを提供する際に,サービス連携装置によって前記サービスシナリオとのメタデータマッチングを行うことにより,前記サービスコンポーネントを発見するサービスコンポーネント発見システム」である点で一致する。

ウ 引用発明のシステムは,SE記述に,どのようなサービスを提供するかを記述するProfile記述,どのように動くかの抽象的Processの入出力や条件,効果を記述するProcess記述,及びどのようにアクセスするかの抽象Processと実際のオペレーションのマッピングを記述するGrounding記述からなるOWL-Sを用いるものである。
他方,本願発明における「サービス連携装置」は,「サービスコンポーネントを検索する際に,前記サービスコンポーネントのプロセスメタデータ(Process Model記述)とインタフェース情報(WSDL)と前記プロセスメタデータと前記インタフェース情報との対応関係を公開するマッピング情報を含むGrounding記述」を用いるものであり,明細書の記載を参照すれば,従来技術として,「他のメタデータマッチングによりサービスコンポーネントを発見するサービスコンポーネント発見技術としては,利便性を高める観点からサービスコンポーネントのメタデータの記述に,OWL-S(Web Ontology Language for Services:例えば,非特許文献1参照)を適用しているものがある。OWL-Sは,profile(プロファイル)と,process model(プロセスモデル)と,grounding(グランディング)との3つの記述からなる。」(【0005】),「profile記述には,どのようなサービスを提供するかを記述し,process model記述には,どのように動くかの抽象的なプロセスの入出力,条件,効果等を記述し,grounding記述には,どのようにアクセスするかの,process mode1と実際のオペレーションのインタフェース情報とのマッピング情報を記述する。process model記述は,実際のオペレーションのメタデータ(プロセスメタデータ)として使われ,サービスシナリオ記述者は,サービスコンポーネントの詳細実装を意識せずにサービスシナリオが記述できるようになる。OWL-Sは,ネットワーク上に公開される。」(【0006】)と記載されており,本願発明の実施形態として記載された技術は,いずれもサービスコンポーネントの記述にOWL-Sを用いたものである。
これらのことから,本願発明と引用発明とは,「サービス連携装置は,前記サービスコンポーネントのプロセスメタデータ(Process Model記述)とインタフェース情報(WSDL)と前記プロセスメタデータと前記インタフェース情報との対応関係を公開するマッピング情報を含むGrounding記述とに基づいて,サービスコンポーネントを検索する」ものである点で共通する。

エ 以上のことから,本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。
【一致点】
ユーザ端末から指定されたサービスシナリオに基づいて,サービスコンポーネント提供装置によってサービスコンポーネントを連携した連携サービスを提供する際に,サービス連携装置によって前記サービスシナリオとのメタデータマッチングを行うことにより,前記サービスコンポーネントを発見するサービスコンポーネント発見システムであって,
前記サービス連携装置は,
前記サービスコンポーネントのプロセスメタデータ(Process Model記述)とインタフェース情報(WSDL)と前記プロセスメタデータと前記インタフェース情報との対応関係を公開するマッピング情報を含むGrounding記述とに基づいて,サービスコンポーネントを検索する,
サービスコンポーネント発見システム。
【相違点】
本願発明の「サービス連携装置」は,「サービスコンポーネントを検索する際に,サービスコンポーネントのプロセスメタデータ(Process Model記述)とインタフェース情報(WSDL)とプロセスメタデータとインタフェース情報との対応関係を公開するマッピング情報を含むGrounding記述とに基づいて,マッチングしたサービスコンポーネントに対応するオペレーションが実装されているか否かをマッピング情報を含むGrounding記述の参照により検証する検索検証手段を具備する」のに対し,引用発明の「サービス連携装置」は,サービスコンポーネントのプロセスメタデータ(Process Model記述)とインタフェース情報(WSDL)とプロセスメタデータとインタフェース情報との対応関係を公開するマッピング情報を含むGrounding記述とに基づいてサービスコンポーネントを検索するものの,本願発明の「マッチングしたサービスコンポーネントに対応するオペレーションが実装されているか否かをマッピング情報を含むGrounding記述の参照により検証する検索検証手段」に相当する構成を有しない点。

(4)判断
ア 本願発明は,上記相違点に係る発明特定事項の「検索検証手段」を備えたものであり,明細書の記載を参照すれば,従来技術のサービスコンポーネント発見技術では,サービスシナリオに基づいて,メタデータマッチングによりサービスコンポーネントを発見する際に,メタデータに対応するオペレーションが実際に実装されているかが保証されず,連携サービスの提供に支障をきたす可能性があるという課題があったことから(【0008】【0009】),この課題を解決するために,本願発明の第1実施形態においては,検索検証部が,サービスコンポーネント選択部から供給されるサービスコンポーネントについて,Grounding記述を参照し,オペレーションが実装されているか否かを検証し,実装されていない場合には,実装されていないことをサービスコンポーネント選択部に通知し(【0037】【0041】),オペレーショシが実装されていない場合には,そのサービスコンポーネントを除外してサービスコンポーネントを選択し,サービスコンポーネントの実行・連携を行うように構成し(【0036】【0042】),選択されたサービスコンポーネントがオペレーションを実際に実装していることを保証することができるようにしたものである(【0043】)。
すなわち,本願発明は,サービスコンポーネントを検索する際,オペレーションが実装されているか否かを検証する構成を備えたことにより,選択されたサービスコンポーネントがオペレーションを実際に実装していることを保証することができるというものである(【0043】)。

イ 他方,引用例の記載事項dに,STによるサービス合成は,実行時までSEが決まらないため,選択したSEが故障等で利用できない,あるいは選択したSEが必要な機能を持っていないという不安要素があることから,サービス合成の際,SEが利用できない場合は,新しいSEを選択することを想定していたこと,また,カテゴリ同士のOWL記述に不整合がある際は,マッピング機能を用いて定期的にアップデートすることにより整合をとることが記載されていることからして,引用発明において,SEを検索する際に,SEに対応するオペレーションが実際に実装されているかが保証されないという課題があったことは,当然に認識されていたということができる。

ウ オペレーションが実際に実装されているかが保証されない,という課題を解決するために,オペレーションが実際に実装されているか否かを検証するための構成を設けることは,当業者であれば直ちに考えることであり,そのために,引用発明のOWL-S記述に含まれる,「どのようにアクセスするかの抽象Processと実際のオペレーションのマッピングを記述するGrounding記述」を参照する構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことと認められる。
そして,本願発明の奏する作用効果は,引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-07-05 
結審通知日 2012-07-06 
審決日 2012-07-18 
出願番号 特願2007-50596(P2007-50596)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 波内 みさ  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 田中 秀人
石井 茂和
発明の名称 サービスコンポーネント発見システム及びサービスコンポーネント発見プログラム  
代理人 豊田 義元  
代理人 本山 泰  

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