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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) G06K
管理番号 1262892
判定請求番号 判定2012-600015  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2012-10-26 
種別 判定 
判定請求日 2012-05-24 
確定日 2012-09-24 
事件の表示 上記当事者間の特許第3771252号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「ドットパターン」は、特許第3771252号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 第1 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号製品説明書に示されるドットパターン(以下、「イ号ドットパターン」という。)は、特許第3771252号技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

第2 本件特許発明
本件特許発明に係る「ドットパターン」は、特許請求の範囲の請求項1に記載された構成要件を有するものであり、分説すると次のとおりのものである。

(A)所定の情報ドットを配置するブロックの領域内に複数の基準点を設け、
(B)該基準点から定義される複数の仮想基準点を配置し、前記仮想基準点からの距離と方向とで情報が定義される情報ドットを配置し、
(C)前記少なくとも所定の位置の情報ドットを、前記仮想基準点からの方向で前記ブロックの向きを示すディレクションドットとしたドットパターン。

第3 イ号ドットパターン
イ号ドットパターンを、平成24年8月17日付けの弁駁書において、請求人が構成II-2として提示した内容に基づいて分説すると、次のとおりのものである。

(a)所定の情報ドット(S22、S23、S32、S33、S25、S26、S35、S36、S52、S53、S62、S63、S55、S56、S65、S66)を配置するブロックの領域内に複数の基準ドット(S11、S12、S13、S14、S24、S34、S15、S16、S42、S43、S45、S46、S54、S64)を設け、
(b)該基準ドットから定義される複数の中央eの位置のセグメントを配置し、前記中央eの位置のセグメントからの距離と方向(a,c,g,iの方向)とで情報が定義される情報ドットを配置し、
(c)前記中央eの位置のセグメントからの方向(b,d,f,hの方向)で前記ブロックの向きを示すディレクションドット(S21、S31、S41、S51、S61、S44)を配置したドットパターン。

第4 対比・判断
1.イ号ドットパターンの構成要件(a)が本件特許発明の構成要件(A)を充足するかについて

イ号ドットパターンの構成要件(a)における「情報ドット(S22、S23、S32、S33、S25、S26、S35、S36、S52、S53、S62、S63、S55、S56、S65、S66)」、「基準ドット(S11、S12、S13、S14、S24、S34、S15、S16、S42、S43、S45、S463、S54、S64)」は、それぞれ、本件特許発明の構成要件(A)における「情報ドット」、「基準点」に相当するから、イ号ドットパターンの構成要件(a)の「所定の情報ドット(S22、S23、S32、S33、S25、S26、S35、S36、S52、S53、S62、S63、S55、S56、S65、S66)を配置するブロックの領域内に複数の基準ドット(S11、S12、S13、S14、S24、S34、S15、S16、S42、S43、S45、S463、S54、S64)を設け」ることは、本件特許発明の構成要件(A)の「所定の情報ドットを配置するブロックの領域内に複数の基準点を設け」ることと一致する。
よって、イ号ドットパターンの構成要件(a)は、本件特許発明の構成要件(A)を充足する。

2.イ号ドットパターンの構成要件(b)が本件特許発明の構成要件(B)を充足するかについて

イ号ドットパターンの構成要件(b)における「中央eの位置のセグメント」は、本件特許発明の構成要件(B)における「仮想基準点」に相当するから、イ号ドットパターンの構成要件(b)の「該基準ドットから定義される複数の中央eの位置のセグメントを配置し、前記中央eの位置のセグメントからの距離と方向(a,c,g,iの方向)とで情報が定義される情報ドットを配置」することは、本件特許発明の構成要件(B)の「該基準点から定義される複数の仮想基準点を配置し、前記仮想基準点からの距離と方向とで情報が定義される情報ドットを配置」することと一致する。
よって、イ号ドットパターンの構成要件(b)は、本件特許発明の構成要件(B)を充足する。

3.イ号ドットパターンの構成要件(c)が本件特許発明の構成要件(C)を充足するかについて

本件特許発明における「情報ドット」と「ディレクションドット」について検討する。
本件特許発明の公報(特許第3771252号公報)には、次の記載がなされている。

ア.「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの本発明者による先行技術(特許文献1、2)において、本発明者はキードットを設けてデータの方向(ブロックの方向)とブロックの領域を定義することを提案している。このようにブロックの方向が把握できることにより、ブロックで定義された情報をその方向毎に異なる意味とすることができるため、多様な情報を格納できるという本発明者独自の独創的なドットパターンを提案している。
【0006】
しかし、このキードットによりブロックの方向を定義する技術は、キードットを配置するための箇所には情報ドットが配置できないために、ブロックの情報量が制限されることになり、かつ、キードットを探索するためのアルゴリズムが複雑化して計算時間を要し、かつキードットの周辺領域の着目量が大きいため、フレームバッファの解像度も必要であるという克服すべき課題のあることが本発明者によって新たに指摘された。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、ブロックの方向を定義するために情報ドットを犠牲にすることなく、その探索のアルゴリズムが簡易でかつ低解像度のフレームバッファでも読み取りが可能な、キードットに代わるディレクションドットの技術を実現することを課題とする。」

イ.「【0012】
このように、情報ドットをブロックの向きを示すディレクションドットと兼用することによって、このディレクションドット自体にも情報を意味づけつつ、ブロックの方向を定義することができるため、情報ドットを犠牲にすることなく、ブロックの向きを定義することができる。」

ウ.「【0041】
(ドットパターンの説明:GRID1)
図1?図20は、本発明の前提となるドットパターンの原理を説明するための図である。これらの図1?図20では、GRID1によるドットパターンを説明するためのものであり、キードット2が含まれているが、。
【0042】
このキードット2は本発明のディレクションドットとは異なるものであり、本願発明の特徴的なものではない(注:原文の「ものであはない」との記載は、「ものではない」との記載の明らかな誤記と認められる)。なおこの図1?図20に記載されたキードット2と本発明によるディレクションドットとの違いは図21以下で詳細に説明する。」

エ.「【0049】
キードット2は、図1に示すように、矩形状に配置した基準格子点ドット4の略中心位置にある1個の基準格子点ドット4を一定方向にずらして配置したドットである。・・・」

オ.「【0120】
(GRID1におけるディレクションドットの説明)
以上の図1?図20の説明は主として本発明者が提唱しているドットパターンの一例を説明したものである。以下の説明では、キードット2を用いることなくディレクションドットによってブロックの方向を定義する場合について詳細に説明する。
【0121】
図21(a)および(b)は、図1?図20で説明したGRID1によるドットパターンを前提にしてディレクションドット21を配置した例である。
【0122】
この例では、基準格子点ドット4に囲まれた領域の中心点からのずらし方によって情報を定義している。したがって、全ての格子領域に情報ドット3を配置することができるが、3×3個の中央の格子領域のみはディレクションドット21が配置されている。」

カ.「【0126】
このように、ディレクション領域では縦横方向、それ以外の領域では斜め方向に情報ドット3を配置することによって、キードット2のために基準格子点ドット4のいずれかをずらして基準格子点の等間隔性を犠牲にすることがないため、ドットパターンの読取アルゴリズムを簡易化できる。また、ディレクション領域にはそのまま情報ドット3を配置することができるため、情報ドット3を犠牲にすることなくブロックの方向を定義できる。さらに、ディレクションドット21を配置した場合であっても中心点からのずれ量(中心点からの長さ)で情報を定義することができ、情報ドット3とディレクションドット21とを兼用することが可能である。」

上記ア.の「発明が解決しようとする課題」の記載から明らかなように、本件特許発明は、「キードットによりブロックの方向を定義する技術」が「キードットを配置するための箇所には情報ドットが配置できないために、ブロックの情報量が制限されることにな」ることから、「ブロックの方向を定義するために情報ドットを犠牲にすることなく」するために、「キードットに代わるディレクションドットの技術を実現することを課題とする」ものである。
ここで、上記ウ.の記載に見られるように、本件特許発明の前提となる「キードットによりブロックの方向を定義する技術」における「キードット」は、「本発明のディレクションドットとは異なるもの」であって、その具体的な形態は、上記エ.の記載に見られるように、「矩形状に配置した基準格子点ドット4の略中心位置にある1個の基準格子点ドット4を一定方向にずらして配置したドット」である。
これに対して、本件特許発明に係る「キードットに代わるディレクションドットの技術」は、上記イ.の記載に見られるように、「情報ドットをブロックの向きを示すディレクションドットと兼用することによって、このディレクションドット自体にも情報を意味づけつつ、ブロックの方向を定義することができる」ようにしたものであり、具体的には、上記オ.の記載に見られるように、「基準格子点ドット4に囲まれた領域の中心点からのずらし方によって情報を定義」するものであって、また、上記カ.の記載に見られるように、「ディレクションドット21を配置した場合であっても中心点からのずれ量(中心点からの長さ)で情報を定義することができ、情報ドット3とディレクションドット21とを兼用することが可能である」ようなものである。
そして、このような技術内容を、本件特許発明の構成要件(C)では、「前記少なくとも所定の位置の情報ドットを、前記仮想基準点からの方向で前記ブロックの向きを示すディレクションドットとした」と表現している。すなわち、本件特許発明は、あくまで「所定の位置の『情報ドット』」を「ディレクションドット」とするものであり、そのような「所定の位置の『情報ドット』」は、「ディレクションドット」を兼用するものであるといえる。
しかるに、イ号ドットパターンの構成要件(c)の「ブロックの向きを示すディレクションドット(S21、S31、S41、S51、S61、S44)」は、「前記中央eの位置のセグメントからの方向(b,d,f,hの方向)で前記ブロックの向きを示す」ものであるが、このことは、上記エ.の「キードット2は、図1に示すように、矩形状に配置した基準格子点ドット4の略中心位置にある1個の基準格子点ドット4を一定方向にずらして配置したドットである」ことと符合することから、イ号ドットパターンの構成要件(c)の「ディレクションドット(S21、S31、S41、S51、S61、S44)」は、「情報ドット」を兼用するものではなく、本件特許発明の前提となる「キードットによりブロックの方向を定義する技術」における「キードット」に該当するものであると解される。
してみれば、イ号ドットパターンの構成要件(c)における「前記中央eの位置のセグメントからの方向(b,d,f,hの方向)で前記ブロックの向きを示すディレクションドット(S21、S31、S41、S51、S61、S44)」は、本件特許発明の構成要件(C)における「前記仮想基準点からの方向で前記ブロックの向きを示すディレクションドット」に相当するものの、「情報ドット」を兼用するものではなく、イ号ドットパターンの構成要件(c)において、「前記中央eの位置のセグメントからの方向(b,d,f,hの方向)で前記ブロックの向きを示すディレクションドット(S21、S31、S41、S51、S61、S44)」は、「少なくとも所定の位置の情報ドット」とは無関係な構成である。
よって、イ号ドットパターンの構成要件(c)は、本件特許発明の構成要件(C)を充足しない。

なお、このことは、イ号ドットパターンを、平成24年8月17日付けの弁駁書において、請求人が構成I、II-1、II-3として提示した構成II-2以外のいずれの内容に基づいて分説しても、同様である。
すなわち、構成I、II-1、II-3として提示したいずれの内容に基づいて分説した場合でも、「前記中央eの位置のセグメントからの方向(b,d,f,hの方向)で前記ブロックの向きを示すディレクションドット(S44)」は、「少なくとも所定の位置の情報ドット」とは無関係な構成であり、イ号ドットパターンの構成要件(c)は、本件特許発明の構成要件(C)を充足しない。

(「情報ドット」の解釈についての付言)
平成24年8月17日付けの請求人の弁駁書において、請求人が「本件特許発明における『情報ドット』の本来の意義は、音声等のファイルに関連づけられるような本来の情報が『現実』に担持されたものに限られず、処理対象と認識されるような構成・配置されたドットである。したがって、このような『情報ドット』の形態(形式)を有するドットにブロックの向きの情報を付加してディレクションドットとした、というのが、本件特許請求項1に係る発明の、明細書を通じた解釈である。」(第4頁第9?14行)と主張していることについて検討する。
請求人の上記主張によれば、本件特許発明の構成要件(C)の「・・・情報ドットを・・・ディレクションドットとした・・・」との記載における「情報ドット」の「情報」の中身は「ブロックの向きの情報」ということになるが、そのような「ブロックの向きの情報」は、本件特許発明の公報(特許第3771252号公報)の上記エ.に記載されているような「図1に示すように、矩形状に配置した基準格子点ドット4の略中心位置にある1個の基準格子点ドット4を一定方向にずらして配置したドットである」ところの「キードット2」にも付加されている情報であるといえるから、このことは、公報の上記ウ.の「このキードット2は本発明のディレクションドットとは異なるものであり、本願発明の特徴的なものではない」との記載と矛盾する。
してみれば、本件特許発明の構成要件(C)の「・・・情報ドットを・・・ディレクションドットとした・・・」との記載における「情報ドット」の「情報」の中身は、「音声等のファイルに関連づけられるような本来の情報」と解釈すべきものであり、本件特許発明の前提技術の「キードット」や、イ号ドットパターンの構成要件(c)の「ブロックの向きを示すディレクションドット(S21、S31、S41、S51、S61、S44)」に付加される情報であるところの「ブロックの向きの情報」と解釈すべきではない。

4.まとめ
上記1.?3.で検討したように、イ号ドットパターンの構成要件(a)、(b)は、本件特許発明の構成要件(A)、(B)を充足するものの、イ号ドットパターンの構成要件(c)は、本件特許発明の構成要件(C)を充足しない。

第5 むすび
以上のとおり、イ号ドットパターンは、本件特許発明の構成要件(C)を充足しないから、本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2012-09-13 
出願番号 特願2005-194295(P2005-194295)
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村田 充裕  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 石井 茂和
山崎 達也
登録日 2006-02-17 
登録番号 特許第3771252号(P3771252)
発明の名称 ドットパターン  
代理人 水野 浩司  
代理人 松下 亮  
代理人 湯口 文丸  
代理人 平川 明  
代理人 細谷 道代  
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