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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02C
管理番号 1263209
審判番号 不服2011-11750  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-02 
確定日 2012-09-14 
事件の表示 特願2002-519774「熱エネルギーを機械的作用に変換する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月21日国際公開、WO02/14663、平成16年 3月 4日国内公表、特表2004-506832〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、2001年8月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年8月11日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成15年2月7日付けで特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、同日付けで特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文が提出され、平成15年5月23日付けで手続補正書が提出され、平成20年5月23日付けで手続補正書が提出され、平成22年7月29日付けで拒絶理由が通知され、平成22年11月19日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成23年2月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年6月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであって、その請求項1ないし21に係る発明は、平成22年11月19日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし21に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「 【請求項1】 熱エネルギーを蓄積するための第1(4)および第2の手段(9)がタービン流路(T)に交互に接続されることによって、熱エネルギーを機械的作用に変換する方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)酸素を含有するガス(11)を圧縮して、その温度を室温RTから第1の温度T1に上げ、かつその圧力を第1の圧力P1に上げ、
b)前記圧縮ガス(11)を第2の温度T2に冷却し、
c)前記圧縮ガス(11)を熱エネルギーを蓄積するための第1の手段(4)を通して送り、前記ガス(11)の温度を1回の操作で第3の温度T3に上げ、
d)前記第1の圧力P1を、ガスタービン(3)内でほぼ大気圧まで低下させ、前記ガス(11)を前記第3の温度T3から第4の温度T4に冷却し、
e)前記ガス(11,14)を、下流に接続された燃焼室(6)に供給し、
f)生物燃料(7)を前記ガス(14)とともに燃焼させ、
g)煙道ガス(19)を熱エネルギーを蓄積するための第2の手段(9)を通す、
を含み、
ステップgにおいて前記煙道ガス(19)は、200ミリ秒以内に摂氏150度未満の温度にまで冷却されることを特徴とする方法。」

2.引用発明
(1)引用文献の記載
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された特開昭63-32130号公報(以下、「引用文献」という。)には、例えば、次のような記載がある。

(ア)「〔産業上の利用分野〕
この発明はガスタービンを用いた熱併給動力発生プラントに関し、さらに詳しくは加熱などのための熱エネルギーと一緒に駆動エネルギーの供給を必要とする場合、例えば化学工場でのプロセスの加熱炉、反応器などへの熱供給と、関連補機などの動力負荷への駆動用動力、電力供給とを同時に必要とする場合などに好適なガスタービンを用いだ熱併給動力発生プラントに係るものである。」(第2ページ左上欄第4ないし12行)

(イ)「 この第1図に示す装置プラントの構成において、符号1は空気圧縮機、2はこの空気圧縮機1に同軸結合させた空気圧縮機駆動用ガスタービン、3は動力発生用ガスタービン、4はこの動力発生用ガスタービン3に同軸結合させた動力負荷、ここでは例えば発電機、5は燃焼器、6はこの燃焼器5で発生した熱エネルギーを一時的に蓄熱し得る速度可変型の回転再生式熱交換器であって、制御装置8で制御される電動機7により回転駆動されるようになっている。
また前記空気圧縮機1からの圧縮空気は、管路9により回転再生式熱交換器6に供給され、かつこの回転再生式熱交換器6を経て一定値に調整されたのち、駆動エネルギーとして管路10により加減弁11を介して前記動力発生用ガスタービン3を回転させ、かつ動力負荷4を駆動させる。そして前記管路10には、加減弁11の前流側にあって、前記回転再生式熱交換器6を経た圧縮空気の温度を、前記制御装置8により検出して、その検出データに対応して前記電動機7、ひいては回転再生式熱交換器6の回転数を制御させて、回転速度に依存した蓄熱量を被加熱側に与えるようになつており、また同前流側で前記燃焼器5に分岐接続させた管路12には、制御装置14で開閉制御される空気調整弁13を配すると共に、この空気調整弁13の後流側に前記動力発生用ガスタービン3からの排気管路15を接続させ、かつ同接続点の後流側での排気の圧力を、前記制御装置14により検出して、その検出データに対応して前記空気調整弁13の開閉度合を制御し、動力発生用ガスタービン3への供給圧縮空気を燃焼器5にバイパスし得るようになっている。
さらに前記燃焼器5には、制御装置18で開閉制御される燃料制御弁17を配した燃料供給管路16を接続させてあり、この燃焼器5では、前記管路16、12から供給されるところの、それぞれに制御された燃料、空気を燃焼させる。そして燃焼器5で発生した燃焼熱ガス、つまり熱エネルギーは、管路19により前記回転再生式熱交換器6に供給されて一定値に調整され、一方では、この一定値に調整された熱エネルギーの温度を、前記制御装置18により検出して、その検出データに対応して前記燃料制御弁17の開閉度合の制御、ひいては燃焼制御をなし、他方、回転再生式熱交換器6を経た熱エネルギーは、管路20により前記空気圧縮機駆動用ガスタービン2を回転して、前記空気圧縮機1を駆動させ、かつこの空気圧縮機駆動用ガスタービン3からの排気は、所要量の熱エネルギーとして、管路21により熱負荷22、ここでは例えば加熱炉に供給されるのである。
ここで、前記第1図実施例による装置プラントにあって、動力負荷4と熱負荷22とは、さきにも述べた通りにそれぞれ独立して制御可能にされる。すなわち、まず熱負荷22が一定で動力負荷4が変動する場合には、電力負荷4の増加に伴なって、その駆動機でもある動力発生用ガスタービン3の回転が相対的に低下する。先づ、低下と共に速度検出機構23により信号を加減弁11に伝え動力発生用タービン3への供給空気量を多くするように開く。そしてこの動力発生用ガスタービン3系においては、回転低下と共とタービンの吸込み空気量が少なくなるために、一時的に管路10の空気圧が上昇して、負荷の増加に見合う排気量(燃焼器5の燃焼空気)が不足することになり、燃焼器5の入口空気圧の低下を招き、かつこれに対応して空気調整弁13の開度が暫時に大きくなって、バイパス空気の供給が次第に増える。従つてこの時、燃焼器5には結果的に高温空気が与えられて、回転再生式熱交換器6の出口温度(管路10)が上昇し、かつ回転速度も低下して、このままでは動力負荷4への追従がなされなくなるため、この動力負荷4の増加に追従する必要から、動力発生タービン回転低下と共に燃料制御弁17の開度が大きくされる。ついでこの燃料増量に伴ない系内圧力が上昇し、空気圧縮機1は動力負荷4に見合って次第に負荷を増してゆき、最終的に動力発生用ガスタービン3を負荷変動対応に整定することができる。また次に動力負荷4が低下する場合は、前記作用とは相対的に反対の動作をなして対応することになる。熱負荷変動の場合は熱負荷22に組込まれた制御装置(図示せず)により、図示せる管路全体が圧力変化を伴なう。従つて制御装置14によつて調整弁13の開閉によつて対応することとなる。
なお、ここで前記回転再生式熱交換器6は、さきにも述べたように、燃焼器5からの熱エネルギーを一旦蓄熱する作用を有していて、その蓄熱量は自身の回転速度に依存し、前記の通りに動力発生用ガスタービン3の負荷増加時には回転速度が上昇、負荷減少時には低下して対応するもので、何れにせよ負荷変動に伴う燃焼器5への燃料供給量の制御に見合って、発生熱エネルギーを一旦蓄熱することにより、動力および熱の各負荷4、22の変動に対応して、これらの各負荷4、22に対する個々に独立した制御をなし得るのである。
また第2図は前記同上装置プラントを実質的に化学プラント、ことでは石油精製プラントにおける複数の加熱炉、およびプロセス中の空気圧縮機への熱、および駆動エネルギーの供給に適用した場合の概要構成を示すブロックである。
前記第1図実施例による装置プラントにあっては、個々の動力、熱各負荷に対してこの発明を適用し、その稼動制御をなす場合について述べたが、この第2図実施例に示したように、動力、熱各負荷をそれぞれに有する複数のプラント設備を各別に構成し、かつ個々のプラント設備における同一のエネルギー経路を相互に連繋接続させて、各プラント設備の全部、あるいは少なくとも一部を、相互に有機的に関連させて稼動制御し得るようにすることもでき、さらには単独、または個々のグランド設備に複数の動力、熱台負荷を配し、各プラント毎のそれぞれの動力、熱各負荷の全部、あるいは少なくとも一部を、相互に有機的に関連させて稼動制御し得るようにしても良い。」(第3ページ右上欄第11行ないし第4ページ右下欄第4行)

(ウ)「〔発明の効果〕
以上詳述したようにこの発明装置プラントによるときは、相互に同軸結合させた空気圧縮機、および空気圧縮機駆動用ガスタービンと、動力負荷を同軸結合させた動力発生用ガスタービンとを設けると共に、空気圧縮機駆動用ガスタービンの排気側には熱負荷を接続させて、これらの動力、熱各負荷の稼動制御をなす場合にあって、各負荷対応に相対的に回転制御されて、この制御された回転速度に依存した量だけ、燃焼器で発生させた熱エネルギーを一旦蓄熱し得る回転速度可変型の回転再生式熱交換器を設け、この回転再生式熱交換器、および動力負荷に対応して開閉制御される加減弁を介して空気圧縮機を動力発生用ガスタービンに、かつこの動力発生用ガスタービンの排気側を燃焼器にそれぞれ接続させると共に、回転再生成熱交換器から動力負荷の変動に追従して開閉制御される空気調整弁を介して燃焼器へのバイパスを配し、また回転再生式熱交換器を介して燃焼器を空気圧縮機駆動用ガスタービンに接続させ、この燃焼器には熱負荷の変動に追従して開閉制御される燃料制御弁を配して構成したから、動力発生用ガスタービンに対しては、回転再生式熱交換器を経たのちの、負荷の変動に追従させた所定量の圧縮空気を駆動エネルギーとして供給し、所期の動力負荷の駆動をなし得られ、かつその排気を燃を経てから、空気圧縮機駆動用ガスタービンに対して、ここでも燃料制御弁の開閉による燃焼制御のもとに、負荷の変動に追従させた所定量の熱エネルギーを供給して、さきの圧縮空気を得るための空気圧縮機を駆動させ、ついでその排気を熱負荷に供給し得るのであって、結果的には、これらの動力負荷に対する動力供給と熱負荷に対する熱供給との、それぞれに独立して変動する可能性の高い動力・熱エネルギーの各需要に柔軟に対応して、これらの各需要を適正かつ効果的に調整制御させることができ、併せて装置プラント構成自体も比較的簡単で容易に実施できるなどの特長を有するものである。」(第4ページ右下欄第5行ないし第5ページ右上欄第5行)

(2)引用文献記載の事項
上記(1)(ア)ないし(ウ)並びに図面の記載から、以下の事項がわかる。
(エ)圧縮空気が回転再生式熱交換器6を経て、動力発生用ガスタービン3を回転させ、動力負荷4を駆動させているから、
熱エネルギーを機械的作用に変換していることが分かる。

(オ)空気圧縮機1により空気を圧縮しているから、
圧縮された空気は、その温度が室温RTから第1の温度T1に上がり、かつその圧力が第1の圧力P1に上がることが分かる。

(カ)圧縮空気が熱エネルギーを蓄熱するための回転再生式熱交換器6を通り、回転速度に依存した蓄熱量を被加熱側に与えるようになっているから、
圧縮空気の温度が1回の操作で第3の温度T3に上がることが分かる。

(キ)回転再生式熱交換器6を経た圧縮空気が、動力発生用ガスタービン3を回転させるから、
第1の圧力P1である圧縮空気の圧力は、動力発生用ガスタービン3内で低下され、圧縮空気は第3の温度T3から第4の温度T4に冷却されることが分かる。

(3)引用発明
以上、上記(1)(ア)ないし(ウ)、(2)(エ)ないし(キ)及び図面を参酌すると、引用文献には以下の発明が記載されているといえる。

「 熱エネルギーを蓄積するための回転再生式熱交換器6が管路10に接続されることによって、熱エネルギーを機械的作用に変換する方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)空気を圧縮して、その温度を室温RTから第1の温度T1に上げ、かつその圧力を第1の圧力P1に上げ、
c)圧縮空気を熱エネルギーを蓄熱するための回転再生式熱交換器6を通して送り、圧縮空気の温度を1回の操作で第3の温度T3に上げ、
d)第1の圧力P1を、動力発生用ガスタービン3内で低下させ、圧縮空気を第3の温度T3から第4の温度T4に冷却し、
e)排気を、下流に接続された燃焼器5に供給し、
f)燃料を排気とともに燃焼させ、
g)燃焼熱ガスを熱エネルギーを蓄積するための回転再生式熱交換器6を通す、
を含む方法。」(以下、「引用発明」という。)

3.対比
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明における「熱エネルギー」は、その機能及び構成からみて、本願発明における「熱エネルギー」に相当し、以下同様に、「回転再生式熱交換器6」は「第1の手段」及び「第2の手段」のそれぞれに、「管路10」は「タービン流路」に、「空気」は「酸素を含有するガス」に、「圧縮空気」は「圧縮ガス」に、「蓄熱」は「蓄積」に、「動力発生用ガスタービン3」は「ガスタービン」に、「排気」は「ガス」に、「燃焼器5」は「燃焼室」に、「燃料」は「燃料」に、「燃焼熱ガス」は「煙道ガス」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「 熱エネルギーを蓄積するための第1および第2の手段がタービン流路に接続されることによって、熱エネルギーを機械的作用に変換する方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)酸素を含有するガスを圧縮して、その温度を室温RTから第1の温度T1に上げ、かつその圧力を第1の圧力P1に上げ、
c)前記圧縮ガスを熱エネルギーを蓄積するための第1の手段を通して送り、前記ガスの温度を1回の操作で第3の温度T3に上げ、
d)前記第1の圧力P1を、ガスタービン内で低下させ、前記ガスを前記第3の温度T3から第4の温度T4に冷却し、
e)前記ガスを、下流に接続された燃焼室に供給し、
f)燃料を前記ガスとともに燃焼させ、
g)煙道ガスを熱エネルギーを蓄積するための第2の手段を通す、
を含む方法。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
(1)本願発明においては、熱エネルギーを蓄積するための第1および第2の手段がタービン流路に交互に接続されるのに対し、引用発明においては、そのような構成であるか不明である点(以下、「相違点1」という。)。

(2)本願発明においては、圧縮ガスを第2の温度T2に冷却するとともに、圧縮ガスの圧力をガスタービン内でほぼ大気圧まで低下させるのに対し、引用発明においては、圧縮ガスを冷却するとともに、圧縮ガスの圧力をガスタービン内で大気圧まで低下させるかどうか不明な点(以下、「相違点2」という。)。

(3)本願発明においては、燃焼室で生物燃料をガスとともに燃焼させるのに対し、引用発明においては、燃焼室で燃料をガスとともに燃焼させるものの、生物燃料かどうかは不明な点(以下、「相違点3」という。)。

(4)本願発明においては、煙道ガスを熱エネルギーを蓄積するための第2の手段を通す際に、煙道ガスは、200ミリ秒以内に摂氏150度未満の温度にまで冷却されるのに対し、引用発明においては、煙道ガスを熱エネルギーを蓄積するための第2の手段を通すものの、煙道ガスは、200ミリ秒以内に摂氏150度未満の温度にまで冷却されるかどうかは不明である点(以下、「相違点4」という。)。

4.判断
上記各相違点について検討する。
(1)相違点1について
引用発明においては、熱エネルギーを蓄積するための回転再生式熱交換器6が、空気圧縮機からの圧縮ガスに熱エネルギーを与えて温度を上昇させる第1の手段と、燃料をガスとともに燃焼させた煙道ガスから熱エネルギーを蓄積する第2の手段を有しており、且つ第1の手段と第2の手段との間で熱エネルギーは交換されているので、結局、引用発明は、熱エネルギーを蓄積するための第1および第2の手段がタービン流路に交互に接続されているといえる。したがって、相違点1は実質的な相違点ではない。
なお、仮に、熱エネルギーを蓄積するための第1および第2の手段がタービン流路に交互に接続されることが、本願の発明の詳細な説明の段落【0035】及び図4に記載されているように、熱エネルギーを蓄積するための第1および第2の手段が分離して個別に構成され、分岐された流路及び切り替えバルブによって第1および第2の手段をタービン流路に交互に接続するものであるとしても、複数の蓄熱体を分岐された流路及び切り替えバルブにより、蓄熱体を熱流体により蓄熱することと蓄熱体から被加熱流体へ熱を供給することを交互に行うことは周知技術であり(例えば、特開2000-27658号公報(特に、段落【0021】及び【0022】並びに図2等を参照のこと。)や、特開平11-106202号公報(特に、段落【0026】及び図1等を参照のこと。)を参照のこと。以下、周知技術1という。)、引用発明の熱エネルギーを蓄積するための第1および第2の手段をタービン流路に交互に接続する手段として、周知技術1を採用することに格別の困難性は認められない。

(2)相違点2について
ガスタービン装置の圧縮空気を水等を用いて冷却し、圧縮空気の熱を他の熱源として利用することは周知技術である(例えば、特開平2-45620号公報(特に、第2ページ左下欄第2ないし11行及び第3ページ左上欄第20行ないし右上欄第8行並びに第1図等を参照のこと。)を参照のこと。以下、周知技術2という。)。また、ガスタービン装置において、圧縮ガスの圧力をガスタービン内でほぼ大気圧まで低下させることは、例を挙げるまでもなく慣用技術であるので、引用発明に、上記周知技術2及び上記慣用技術を適用して、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

(3)相違点3について
ガスタービン装置において、燃焼室で生物燃料をガスとともに燃焼させることは周知技術であり(例えば、特開昭63-100235号公報を参照のこと。以下、周知技術3という。)、引用発明に、上記周知技術3を適用して、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

(4)相違点4について
煙道ガスをできるだけ急速に100?200℃程度まで冷却することでダイオキシン等の汚染物質の発生を抑制することは周知技術であり(例えば、特開平7-213849号公報の段落【0016】、特開2000-126550号公報の段落【0018】、特開平11-70320号公報の段落【0015】、特開平10-227434号公報の段落【0016】参照。以下、周知技術4という。)、例えば、上記周知技術4の例として挙げた特開平7-213849号公報の段落【0016】には、「高温排ガス2は、1/10秒以内に200℃以下(実際には100℃)に急冷されて、ダイオキシンを発生することなく、」と記載され、本願発明の時間、温度の数値範囲に含まれる点が記載されているように、急冷の際の時間や温度の数値をどの程度とするかは当業者が適宜設定し得る設計事項に過ぎない。してみると、引用発明に、上記周知技術4を適用して、上記相違点4に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明を全体としてみても、引用発明、周知技術1ないし4及び慣用技術から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。
以上から、本願発明は、引用発明、周知技術1ないし4及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術1ないし4及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-11 
結審通知日 2012-04-12 
審決日 2012-05-07 
出願番号 特願2002-519774(P2002-519774)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石黒 雄一  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 川口 真一
柳田 利夫
発明の名称 熱エネルギーを機械的作用に変換する方法  
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所  

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