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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L |
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管理番号 | 1263687 |
審判番号 | 不服2011-10806 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-05-23 |
確定日 | 2012-09-18 |
事件の表示 | 特願2003-578613「半導体処理装置用の低汚染構成部品及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月 2日国際公開、WO03/80892、平成17年 7月14日国内公表、特表2005-521250〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、2003年2月12日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2002年3月21日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年1月18日付けで拒絶査定がなされ、同年5月23日に拒絶査定を不服とする審判請求がなされ、当審において平成23年12月8日付けで拒絶理由通知がなされ、平成24年4月12日付けで意見書および手続補正書が提出されたものである。 第2.本願発明 本願の請求項1-36に係る発明は、平成24年4月12日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-36に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、以下のとおりである。 「セラミック材料のモノリシック部品、又は基板(アルミニウムを除く)上のセラミック材料の被膜を有する半導体基板処理装置の構成部品であって、 前記セラミック材料のモノリシック部品、又は基板(アルミニウムを除く)上の前記セラミック材料の被膜は、前記装置内のプラズマ環境又は真空環境にさらされる前記構成部品の最表面を含み、 前記セラミック材料は、前記セラミック材料のうち最も大きい成分として、ハフニウム窒化物、ハフニウムホウ化物、ハフニウムカーバイド、及びハフニウムフッ化物で構成されるグループからなる選択される材料を含むことを特徴とする構成部品。」(以下、「本願発明」という。) 第3.引用刊行物の記載事項 当審において通知した拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に頒布された特開2000-119896号公報(以下、「引用刊行物1」という。)、特開平10-4083号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、それぞれ、以下の事項が記載されている。 (1)引用刊行物1(特開2000-119896号公報) (1a)「【請求項1】表面に陽極酸化皮膜およびセラミック皮膜を記載順に形成したアルミニウム合金材であって、前記陽極酸化皮膜が、C、N、P、F、B、Sの内から選択された1種または2種以上の元素を0.1%以上含有するとともに、前記セラミック被膜が、酸化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物、ケイ化物の内から選択された1種または2種以上からなることを特徴とするガス耐食性とプラズマ耐食性に優れたアルミニウム合金材。 …… 【請求項3】前記セラミック皮膜が、Si、Al、B、4A族元素、5A族元素、6A族元素の内から選択された1種または2種以上の元素の内から選択された1種または2種以上の元素の酸化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物、ケイ化物からなる請求項1に記載のガス耐食性とプラズマ耐食性に優れたアルミニウム合金材。 …… 【請求項8】前記アルミニウム合金材が半導体または液晶の製造装置用材料である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のガス耐食性とプラズマ耐食性に優れたアルミニウム合金材」(【特許請求の範囲】) (1b)「【従来の技術】CVDやPVDなどの化学的或いは物理的真空蒸着装置、またはドライエッチング装置などの半導体や液晶の製造装置は、ヒーターブロック、チャンバー、ライナー、真空チャック、…などの主要部材から構成される。これら半導体や液晶の製造装置の内部には、反応ガスとしてClやF、Brなどのハロゲン元素や、O、N、H、B、S、Cなどの元素を含む腐食性のガスが導入されるため、これらの主要部材には、前記腐食性のガスに対する耐食性(ガス耐食性)が要求される。また、これらの主要部材には、前記腐食性のガスに加えて、ハロゲン系のプラズマも発生するので、このプラズマに対する耐食性が要求される。」(第2頁第2欄第12-24行) (1c)「(セラミック皮膜)更に、本発明におけるセラミック皮膜は、各種金属の各々酸化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物、ケイ化物の内から選択された1種または2種以上のセラミックが選択される。このセラミックの中でも、Al、Si、B、4A族(Ti、Zr、Hf等)、……の金属の酸化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物、ケイ化物が、プラズマ耐食性に優れた元素として、皮膜の設けやすさや皮膜の硬度や緻密さの点から好ましい。」(第6頁第9欄第36-44行) (1d)「これらのセラミック皮膜は、特に最近ドライエッチングプロセス で使用されている……NF_(3)、CF_(4)、C_(2)F_(6)、C_(3)F_(8)、SF_(6)などのF系ガス/プラズマおよびClF_(3)ガスに対して、非常に高い耐蝕性能を示すことを本発明者らは確認しており、この様な使用環境での部材へ適用することが極めて有効である。」(第7頁第11欄第12-18行) (2)刊行物2(特開平10-4083号公報) (2a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】フッ素系腐蝕ガスあるいはそのプラズマに曝される部位が、周期律表第3a族元素化合物からなることを特徴とする半導体製造用耐食性部材。 【請求項2】前記周期律表第3a族元素がSc、La、Ce、Eu、Dyの群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の半導体製造用耐食性部材。 【請求項3】前記化合物が、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、及びそれらの複合体からなることを特徴とする請求項1記載の半導体製造用耐食性部材。」(第2頁第1欄第1-11行) (2b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素系腐蝕性ガスまたはそのプラズマに対して高い耐食性が要求される、半導体素子を製造するのに用いられるプラズマ処理装置、成膜装置内の内壁材、Si基板を支持する支持部材などの治具に適した耐食性部材に関するものである。」(第2頁第1欄第13-18行) (2c)「【0010】フッ素ガスまたはそのプラズマに曝される部位では、その表面はフッ化物になって蒸発し、消耗が進んでいく。本発明によれば、フッ素系ガスまたはそのプラズマに曝される部材を周期律表第3a族元素化合物により構成することによって、周期律表第3a族元素がフッ素との反応によって融点が高いフッ化物層を生成し、幅広い温度範囲で過酷なフッ素系ガス雰囲気での耐久性の向上が達成される。」(第2頁第2欄第24-31行) (2d)「【0014】この耐食性部材は、所定の基体表面に前記周期律表第3a族元素化合物を周知の薄膜形成法によって被覆するのが緻密性の点で望ましい。……このような緻密な膜は、例えば、周知のゾルゲル法により液相を塗布し焼成した薄膜や、周知のCVD法やPVD法等の気相法により形成された薄膜であってもよい。」(第3頁第3欄第4-13行) (2e)「【0016】 【実施例】表1に示すような……、基体としてカーボンを用いてPVD法によって周期律表第3a族酸化物や窒化物、炭化物、フッ化物からなる厚み20μmの薄膜を形成した。」(第3頁第4欄第5-9行) (2f)「【0019】 【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の半導体製造用耐食性部材は、フッ素系腐食ガス及びそのプラズマに曝される部材として高い耐食性を有しており、具体的には半導体製造用として使用されるプラズマ処理装置やエッチング装置におけるSiウエハ固定用のクランプリングや上部電極周りのシールドリング、装置内壁材などに使用することによってこれらの部材の長寿命化を図ることができる。」(第4頁第6欄第35-43行) 第4.対比・判断 1.引用刊行物1を主引用例として (1)引用刊行物1記載の発明 上記摘示事項(1a)-(1d)によれば、引用刊行物1には、 「アルミニウム合金材表面に陽極酸化皮膜およびセラミック皮膜を記載順に形成した半導体製造装置の構成部材であって、 アルミニウム合金材表面の前記セラミック皮膜は、前記装置内のプラズマにさらされる前記構成部材の最表面を含み、 前記セラミック皮膜は、Hfの窒化物、あるいはHfのホウ化物からなる構成部材。」の発明(以下、「引用刊行物1発明」という。)が記載されている。 (2)本願発明と引用刊行物1発明との対比・判断 本願発明と引用刊行物1発明を対比すると、本願発明における「基板(アルミニウムを除く)上のセラミック材料の被膜を有する」および「基板(アルミニウムを除く)上の前記セラミック材料の被膜」について、本願明細書の記載(「本発明に係るハフニウム、…を含むセラミック材料で被覆することができる金属材料の例としては、例えば、6061-T6アルミニウム、304、316ステンレス鋼等のアルミニウム、アルミ合金、ステンレス、耐熱金属(refractory metals)を含む。」【0064】)によれば、上記の「基板(アルミニウムを除く)」とは、アルミ合金を除外するものではないと解されるから、引用刊行物1発明における「アルミニウム合金材表面に陽極酸化皮膜およびセラミック被膜を記載順に形成した」、「アルミニウム合金材表面の前記セラミック皮膜」は、本願発明における「基板(アルミニウムを除く)上のセラミック材料の被膜を有する」、「基板(アルミニウムを除く)上の前記セラミック材料の被膜」に相当する。 また、引用刊行物1発明における「半導体製造装置」、「構成部材」、「プラズマ」、「前記セラミック皮膜は、Hfの窒化物、あるいはHfのホウ化物からなる」は、本願発明における「半導体基板処理装置」、「構成部品」、「プラズマ環境」、「前記セラミック材料は、前記セラミック材料のうち最も大きい成分として、ハフニウム窒化物、ハフニウムホウ化物、ハフニウムカーバイド、及びハフニウムフッ化物で構成されるグループからなる選択される材料を含む」に相当する。 したがって、本願発明と引用刊行物1発明との間に相違点はない。 よって、本願発明は引用刊行物1に記載された発明である。 2.引用刊行物2を主引用例として (1)引用刊行物2記載の発明 上記摘記事項(2a)-(2f)によれば、引用刊行物2には、 「カーボン基体上の周期律表第3a族酸化物や窒化物、炭化物、フッ化物からなる薄膜を形成した半導体製造装置の部材であって、 カーボン基体上の前記周期律表第3a族酸化物や窒化物、炭化物、フッ化物からなる薄膜は、前記装置内のプラズマ環境に曝される前記部材の最表面を含む部材。」の発明(以下、「引用刊行物2発明」という。)が記載されている。 (2)本願発明と引用刊行物2発明との対比・判断 本願発明と引用刊行物2発明を対比すると、引用刊行物2発明における「カーボン基体」、「薄膜」、「半導体製造装置」、「部材」、「曝される」は、本願発明における「基板(アルミニウムを除く)」、「被膜」、「半導体基板処理装置」、「構成部品」、「さらされる」に相当する。 また、引用刊行物2発明における 「周期律表第3a族酸化物や窒化物、炭化物、フッ化物からなる薄膜」は、セラミック材料の被膜である。 よって、両者は、 「基板(アルミニウムを除く)上のセラミック材料の被膜を有する半導体基板処理装置の構成部品であって、 基板(アルミニウムを除く)上の前記セラミック材料の被膜は、前記装置内のプラズマ環境にさらされる前記構成部品の最表面を含む構成部品。」である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) 前記セラミック材料が、本願発明では、「最も大きい成分として、ハフニウム窒化物、ハフニウムホウ化物、ハフニウムカーバイド、及びハフニウムフッ化物で構成されるグループからなる選択される材料を含む」のに対して、引用刊行物2発明では、「周期律表第3a族酸化物や窒化物、炭化物、フッ化物からなる」点。 上記相違点について検討する。 上記摘記事項(2a)-(2d)、(2f)によれば、引用刊行物2発明における「周期律表第3a族酸化物や窒化物、炭化物、フッ化物からなる」薄膜(被膜)は、半導体素子製造用装置の部材において、フッ素系ガスあるいはそのプラズマに曝される最表面に形成されることにより、該薄膜の有するフッ素系ガスあるいはそのプラズマに対する耐食性により、前記部材の長寿命化を図るものである。 一方、上記摘記事項(1a)-(1d)によれば、引用刊行物1には、アルミニウム合金材で構成される半導体製造装置の部材において、その最表面に「Hfの窒化物、あるいはHfのホウ化物」からなるセラミック材料の皮膜を形成することにより、ドライエッチングプロセスで使用されているNF_(3)、CF_(4)、C_(2)F_(6)、C_(3)F_(8)、SF_(6)などのF系ガス/プラズマに対して非常に高い耐蝕性能を示し、この様な使用環境での適用が極めて有効である旨記載されている。 したがって、引用刊行物2発明における「周期律表第3a族酸化物や窒化物、炭化物、フッ化物からなる」セラミック材料に替えて、同様に半導体製造装置用部材における最表面を形成する被膜の材料であって、フッ素系ガスあるいはプラズマに対する耐蝕性を有する、引用刊行物1発明の「Hfの窒化物、あるいはHfのホウ化物」からなるものを適用し、上記相違点に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が、引用刊行物1、2に記載された発明からは予想し得ない格別の効果を奏するものとも認められない。 よって、本願発明は、引用刊行物1、2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5.むすび 以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するので、特許を受けることができず、また、同法第29条第2項の規定によっても、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-04-24 |
結審通知日 | 2012-04-27 |
審決日 | 2012-05-08 |
出願番号 | 特願2003-578613(P2003-578613) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H01L)
P 1 8・ 113- WZ (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮崎 園子 |
特許庁審判長 |
鈴木 正紀 |
特許庁審判官 |
松岡 美和 加藤 友也 |
発明の名称 | 半導体処理装置用の低汚染構成部品及びその製造方法 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 西川 恵雄 |
代理人 | 高柳 司郎 |