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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1263693
審判番号 不服2011-13308  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-22 
確定日 2012-09-19 
事件の表示 特願2008- 83064「制御信号部及びその製造方法とこれを含む液晶表示装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月14日出願公開、特開2008-186025〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成13年10月31日(パリ条約による優先権主張 2000年10月31日 大韓民国)に出願した特願2001-334576号(以下「原出願」という。)の一部を、平成20年3月27日に特許法第44条第1項の規定に基づき新たな特許出願としたものであって、平成21年12月17日付けで拒絶理由が通知され、平成22年3月19日付けで手続補正がなされ、同年8月10日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年11月16日付けで手続補正がなされ、平成23年2月16日付けで前記平成22年11月16日付けの手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月22日に拒絶査定不服審判請求がなされ、これと同時に手続補正がなされたものである(以下、平成23年6月22日になされた手続補正を「本件補正」という。)。

第2 本件補正についての却下の決定

1 結論

本件補正を却下する。

2 理由

(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1につき、補正前(平成22年3月19日付けの手続補正後のもの。)の
「基板と、
前記基板上に形成されるゲート電極及びゲート線を含むゲート配線及び複数の信号配線と、
前記ゲート配線及び複数の前記信号配線を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成される薄膜トランジスタ用半導体パターンと、
前記ゲート線に絶縁されて交差するデータ線、前記データ線から延長されて前記半導体パターンに接触するソース電極、前記ソース電極に対応して前記半導体パターンに接触するドレーン電極を含むデータ配線と、
前記データ配線及び前記半導体パターンを覆う保護膜と、
前記ドレーン電極を露出させる第1接触孔と、
前記信号配線各々を露出させ、側辺の長さが幅より大きく形成される複数の第2接触孔と、
前記ドレーン電極に連結される画素電極及び前記信号配線に連結される複数の信号配線補助パッドと、
を含む液晶表示装置。」

「基板と、
前記基板上に形成されるゲート電極及びゲート線を含むゲート配線及び複数の信号配線と、
前記ゲート配線及び複数の前記信号配線を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成される薄膜トランジスタ用半導体パターンと、
前記ゲート線に絶縁されて交差するデータ線、前記データ線から延長されて前記半導体パターンに接触するソース電極、前記ソース電極に対応して前記半導体パターンに接触するドレーン電極を含むデータ配線と、
前記データ配線及び前記半導体パターンを覆う保護膜と、
前記ドレーン電極を露出させる第1接触孔と、
前記信号配線各々を露出させ、側辺の長さが幅より大きく、前記側辺は前記信号線を横切り、前記側辺を除いた残りの辺は前記信号配線を外れた位置に置かれるように形成される複数の第2接触孔と、
前記ドレーン電極に連結される画素電極及び前記信号配線に連結される複数の信号配線補助パッドと、
を含む液晶表示装置。」
に補正する内容を含むものである。

(2)補正の目的
上記(1)の補正の内容は、補正前の請求項1の「複数の第2接触孔」に関して、「前記側辺は前記信号線を横切り、前記側辺を除いた残りの辺は前記信号配線を外れた位置に置かれるように」形成されるとの限定を付加するものであるから、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法第1条による改正前の特許法(以下「平成14年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件について
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、上記(1)において、補正後のものとして記載したとおりのものと認められるところ、同発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成14年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

ア 刊行物の記載事項
(ア)引用刊行物1及び引用発明1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平9-197433号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

a 「【0032】前記目的を達成するために本発明による液晶表示装置の他の製造方法は薄膜トランジスタ部及びパッド部を有する液晶表示装置の製造方法において、基板上に第1金属膜及び第2金属膜を順番に積層した後、1次写真蝕刻して薄膜トランジスタ部及びパッド部の基板の上にゲート電極及びゲートパッドをそれぞれ形成する段階と、ゲート電極及びゲートパッドの形成された基板の全面に絶縁膜及び半導体膜を順番に形成する段階と、前記半導体膜を2次写真蝕刻して前記薄膜トランジスタ部に半導体膜パターンを形成する段階と、半導体膜パターンの形成された基板の全面に第3金属膜を形成する段階と、前記第3金属膜を3次写真蝕刻して薄膜トランジスタ部にソース電極及びドレイン電極を形成する段階と、ソース電極及びドレイン電極の形成された基板の全面に保護膜を形成する段階と、前記保護膜及び絶縁膜を4次写真蝕刻して前記ドレイン電極の表面と、ゲートパッドの表面を露出させるコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールがゲートパッドより大きくオープンされるように形成する段階と、コンタクトホールの形成された基板の全面に透明導電膜を形成した後、前記透明導電膜を5次写真蝕して前記ドレイン電極及びゲートパッドと接続される画素電極を形成する段階とを含むことを特徴とする。・・・
【0037】図6を参照すると、横方向に複数のゲートライン1が形成されており、各ゲートライン1の一端には複数のゲートパッド2が設けられている。前記ゲートライン1に薄膜トランジスタ5と画素電極6とが連結されている。かつ、縦方向には複数のデータライン3が形成されており、各データライン3の一端に複数のデータパッド4が設けられている。前記単位ゲートライン1とデータライン3により取り囲まれる部分が一つの画素電極6になる。
【0038】図7は本発明の第1実施例による液晶表示装置の製造方法を説明するための概略平面図であり、パッド部を示す。参照符号P1はパッド電極を形成するためのマスクパターンを、P2は絶縁膜及び保護膜を蝕刻して画素電極とパッド電極とを連結するコンタクトホールを形成するためのマスクパターンを、P3は画素電極をパターニングするためのマスクパターンをそれぞれ示す。」

b 「【0050】図12は本発明の第3実施例による液晶表示装置の概略レイアウト図であり、パッド部のみを示す。
【0051】保護膜及び絶縁膜がゲートパッドパターンより大きくオープンされるようにレイアウトされており、ITO膜は前記保護膜及び絶縁膜がオープンされる部分より大きく形成されるようにレイアウトされている。従って、ゲートパッドパターン以外の部分の基板は最小限に蝕刻される一方、C部位のみのアルミニウムあるいはアルミニウム合金膜を露出させる。
【0052】図13A乃至図15は本発明の第3実施例による液晶表示装置の製造方法を説明するために工程の手順により示した断面図である。
【0053】図13Aを参照すると、まず透明な基板90上に例えばクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)あるいはチタン(Ti)のような耐火金属を蒸着して第1金属膜92を形成した後、前記第1金属膜92上にアルミニウムあるいはアルミニウム合金を蒸着して第2金属膜94を形成する。次いで、前記第2金属膜及び第1金属膜を1次写真蝕刻してTFT部及びパッド部にゲート電極及びゲートパッドを形成する。
【0054】図13Bを参照すると、ゲート電極が形成された前記基板の全面に、例えば窒化膜を蒸着して絶縁膜96を形成する。次いで、窒化膜が形成された基板の全面に非晶質シリコン膜98と不純物のドーピングされた非晶質シリコン膜100から構成された半導体膜を形成する。次に、前記半導体膜を2次写真蝕刻してTFT部に活性領域として用いられる半導体膜パターンを形成する。
【0055】図14Cを参照すると、半導体膜パターンの形成された基板の全面にクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)などの金属を蒸着して第3金属膜を形成した後、前記第3金属膜を3次写真蝕刻してTFT部にソース電極102aとドレイン電極102bを形成する。この際、ゲート電極の上部の不純物のドーピングされた非晶質シリコン膜100も一緒に蝕刻されてその下部の非晶質シリコン膜98の表面が露出される。
【0056】図14Dを参照すると、前記ソース電極102aとドレイン電極102bの形成された基板の全面に窒化膜を蒸着して保護膜を形成した後、4次写真蝕刻して保護膜パターン104を形成する。この際、TFT部のドレイン電極102b上の保護膜が一部蝕刻されてドレイン電極102bの一部が露出され、パッド部に位置したゲートパッド、即ち第2金属膜94の絶縁膜が蝕刻されてゲートパッドの表面が露出される。
【0057】図15を参照すると、画素電極とゲートパッド間のコンタクト抵抗を減らすためにパッド部に位置する前記保護膜パターン104によりオープンされた第2金属膜94を蝕刻する。次いで、第2金属膜94の一部が蝕刻された結果物の全面に透明導電膜のITO膜を形成した後、前記ITO膜を5次写真蝕刻して画素電極106を形成する。従って、TFT部にはドレイン電極102bと画素電極106が連結され、パッド部には第1金属膜92及び第2金属膜94から構成されたゲートパッドと画素電極106が連結される。
【0058】前述した本発明の第3実施例によると、5枚のマスクのみを以って液晶表示装置を製造することができる。かつ、耐火金属膜とその上部に積層されるアルミニウム膜あるいはアルミニウム合金膜の二重膜構造からゲート電極を形成することにより、アルミニウム膜のヒールロック成長を抑制することができる。なお、パッド部に画素電極を形成する前にゲートパッドを構成するアルミニウム膜を蝕刻することにより後続工程で形成される画素電極とアルミニウム膜間の接触抵抗を減らすことができる。更に、保護膜及び絶縁膜を各ゲートパッドパターンより大きくオープンさせることによりゲートパッドのパターニング時に基板の蝕刻が最少化され、前記保護膜及び絶縁膜がオープンされる部位より大きく画素電極を形成することによりオープン部位のゲートパッドが保護される。」

c 「【0059】図16は本発明の第4実施例による液晶表示装置の製造方法を説明するための概略平面図である。ゲートパッドの一側を図示されたように複数の配線から形成することにより、保護膜及び絶縁膜がオープンされてアルミニウムと画素電極が接触される部分を最少化することができ、その上に冗長配線として活用できる。」

d 上記a及び図7に照らせば、図12において、参照符号P1はパッド電極を形成するためのマスクパターンを、P2は絶縁膜及び保護膜を蝕刻して画素電極とパッド電極とを連結するゲートパッド部のコンタクトホールを形成するためのマスクパターンを、P3は画素電極をパターニングするためのマスクパターンをそれぞれ示すものであると認められる。
そして、上記b(【0050】?【0051】)を踏まえて図12を見ると、液晶表示装置のパッド部において、保護膜及び絶縁膜がオープンされるようにレイアウトされるゲートパッド部のコンタクトホールを形成するためのマスクパターン(P2)は、図面上、左右に長い長方形であって、その上、下、左の3辺は、ゲートパッドパターン(P1)の対応する辺より外側にあって、保護膜及び絶縁膜がゲートパッドパターンより大きくオープンされるようにレイアウトされており、その右辺(「C部位」)において、アルミニウムあるいはアルミニウム合金膜を露出させること、そして、ITO膜(画素電極)は、保護膜及び絶縁膜がオープンされる部分(P2)より大きく形成されるようにレイアウト(P3)されていること、が見てとれる。

以上の摘記事項の記載を総合すると、引用刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「透明な基板上に耐火金属を蒸着して第1金属膜を形成した後、前記第1金属膜上にアルミニウムあるいはアルミニウム合金を蒸着して第2金属膜を形成し、次いで、前記第2金属膜及び第1金属膜を1次写真蝕刻してTFT部及びパッド部にゲート電極及びゲートパッドを形成するものであって、
ゲート電極が形成された前記基板の全面に、例えば窒化膜を蒸着して絶縁膜を形成し、次いで、窒化膜が形成された基板の全面に非晶質シリコン膜と不純物のドーピングされた非晶質シリコン膜から構成された半導体膜を形成し、次に、前記半導体膜を2次写真蝕刻してTFT部に活性領域として用いられる半導体膜パターンを形成する段階と、
半導体膜パターンの形成された基板の全面に金属を蒸着して第3金属膜を形成した後、前記第3金属膜を3次写真蝕刻してTFT部にソース電極とドレイン電極を形成する段階と、
前記ソース電極とドレイン電極の形成された基板の全面に窒化膜を蒸着して保護膜を形成した後、4次写真蝕刻して保護膜パターンを形成し、この際、TFT部のドレイン電極上の保護膜が一部蝕刻されてドレイン電極の一部が露出され、パッド部に位置したゲートパッド、即ち第2金属膜の絶縁膜が蝕刻されてゲートパッドの表面が露出されることにより、前記ドレイン電極の表面と、ゲートパッドの表面を露出させるコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールがゲートパッドより大きくオープンされるように形成する段階と、
画素電極とゲートパッド間のコンタクト抵抗を減らすためにパッド部に位置する前記保護膜パターンによりオープンされた第2金属膜を蝕刻し、次いで、第2金属膜の一部が蝕刻された結果物の全面に透明導電膜のITO膜を形成した後、前記ITO膜を5次写真蝕刻して画素電極を形成し、従って、TFT部にはドレイン電極と画素電極が連結され、パッド部には第1金属膜及び第2金属膜から構成されたゲートパッドと画素電極が連結される段階とからなり、
横方向に複数のゲートラインが形成されており、各ゲートラインの一端には複数のゲートパッドが設けられ、前記ゲートラインに薄膜トランジスタと画素電極とが連結されて、かつ、縦方向には複数のデータラインが形成されている、
液晶表示装置の製造方法により製造された液晶表示装置。」

(イ)引用刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平11-258627号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。

a 「【請求項1】 基板と、
前記基板上に形成された第1の配線と、
前記第1の配線を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された第2の配線と、
前記絶縁膜に形成されて前記第1の配線の端部と前記第2の配線とを電気的に接続するコンタクトホールとを有し、
前記コンタクトホールは、前記第1の配線の先端側が楔形であることを特徴とする薄膜デバイス。・・・
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜デバイス。
【請求項4】 前記第1の配線は金属からなり、前記第2の配線はITO(インジウム酸化スズ)からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜デバイス。」(特許請求の範囲)

b 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示パネル等の薄膜デバイスに関し、特に外部の駆動回路に接続される接続端子を有する薄膜デバイスに関する。」

c 「【0007】
【発明が解決しようとする課題】液晶表示パネルでは、上述の如く、駆動回路接続用端子35,36がITOにより形成されている。これは、ITOの硬度が高いために製造工程及び検査工程等で端子35,36が傷付くことを防止できること、ITOは導電性を有する酸化物であるので、金属のように酸化によって導電率が変動することがないこと、ITOは耐薬品性が優れており、製造工程及び検査工程等における品質の変動が極めて少ない等の利点があるためである。
【0008】しかし、ITOは、ゲートバスライン31及びドレインバスライン32の材料である金属(Cr又はAl等)に比べて抵抗率が高い。このため、液晶表示パネルの製造工程や試験工程で発生する静電気により、ITOからなる端子と金属からなる配線(ゲートバスライン及びドレインバスライン)との間に急激な大電流が流れると、コンタクトホール44b(44c)の縁部の引出配線35a,36a(図8,図9に矢印Dで示す部分)が焼失することがある。
【0009】本発明は、静電気等に起因する大電流によってコンタクトホールの縁部の配線が焼失してしまうことを回避できて、信頼性が高い薄膜デバイスを提供することを目的とする。」

d 「【0010】
【課題を解決するための手段】上記した課題は、基板と、前記基板上に形成された第1の配線と、前記第1の配線を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された第2の配線と、前記絶縁膜に形成されて前記第1の配線の端部と前記第2の配線とを電気的に接続するコンタクトホールとを有し、前記コンタクトホールは、前記第1の配線の先端側が楔形であることを特徴とする本願第1発明の薄膜デバイスにより解決する。・・・
【0012】以下、本発明の作用について説明する。本願第1発明においては、第1の配線の端部と第2の配線とを電気的に接続するコンタクトホールを有し、前記コンタクトホールは、前記第1の配線の先端側が楔形に形成されている。第2の配線がITO等のように比較的抵抗率が高い材料により形成され、第1の配線が金属等の比較的抵抗率が低い材料により形成されている場合、電流パスはコンタクトホールの一方の縁部に集中する。従って、コンタクトホールの縁部の長さが短いと、コンタクトホールの縁部が抵抗発熱して高温になり、第2の配線が焼失する。しかし、本願第1発明において、コンタクトホールは、その第1の配線の先端側の縁が楔状に形成されているので、コンタクトホールの縁部の長さが長くなり、電流パスが分散される。これにより、コンタクトホールの縁部における発熱が抑制され、第2の配線の焼失が回避される。」

e 「【0016】基板10上のゲートバスライン11及びドレインバスライン12により区画された各領域には、TFT13とITOからなる透明の画素電極14とが配置されている。TFT13のゲート電極13aはゲートバスライン11に接続され、ドレイン電極13bはドレインバスライン12に接続され、ソース電極13cはコンタクトホール24aを介して画素電極14に接続されている。これらの画素電極14上には配向膜(図示せず)が形成されている。」

f 上記eを踏まえて図1をみると、TFT13のゲート電極13aはゲートバスライン11から延長された部分に接続され、ドレイン電極13bはドレインバスライン12から延長された部分に接続されていることが見て取れる。

イ 対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「液晶表示装置の製造方法により製造された液晶表示装置」は、「透明な基板上に」「耐火金属を蒸着して第1金属膜を形成した後、前記第1金属膜上にアルミニウムあるいはアルミニウム合金を蒸着して第2金属膜を形成し、次いで、前記第2金属膜及び第1金属膜を1次写真蝕刻してTFT部及びパッド部にゲート電極及びゲートパッドを形成する」ものであって、「横方向に複数のゲートラインが形成されており、各ゲートラインの一端には複数のゲートパッドが設けられ」ていることに照らして、ゲート電極、ゲートライン及びゲートパッドは同時に形成されるものであるということができるから、「透明な基板」及び「透明な基板上に耐火金属を蒸着して第1金属膜を形成した後、前記第1金属膜上にアルミニウムあるいはアルミニウム合金を蒸着して第2金属膜を形成してなるゲート電極、ゲートライン及びゲートラインの一端に複数設けられているゲートパッド」を備える。
そして、引用発明1の「基板」、「ゲート電極」、「ゲートライン」及び「ゲートパッド」は本願補正発明の「基板」、「ゲート電極」、「ゲート線を含むゲート配線」及び「信号配線」にそれぞれ対応するから、引用発明1は、本願補正発明の「基板」及び「前記基板上に形成されるゲート電極及びゲート線を含むゲート配線及び複数の信号配線」の構成を備える。

(イ)引用発明1の「液晶表示装置の製造方法により製造された液晶表示装置」は、「ゲート電極が形成された前記基板の全面に、例えば窒化膜を蒸着して絶縁膜を形成」するものであって「ゲート電極及びゲートパッドを形成」し、「横方向に複数のゲートラインが形成されており、各ゲートラインの一端には複数のゲートパッドが設けられ」ているから、「ゲート電極及びゲートパッドが形成され、複数のゲートパッドを一端に設けた横方向に複数のゲートラインが形成された前記基板の全面に、窒化膜を蒸着して形成した絶縁膜」を備える。
そして、引用発明1の「絶縁膜」は本願補正発明の「ゲート絶縁膜」に対応するから、引用発明1は、本願補正発明の「前記ゲート配線及び複数の前記信号配線を覆うゲート絶縁膜」の構成を備える。

(ウ)引用発明1の「液晶表示装置の製造方法により製造された液晶表示装置」は、「窒化膜が形成された基板の全面に非晶質シリコン膜と不純物のドーピングされた非晶質シリコン膜から構成された半導体膜を形成し、次に、前記半導体膜を2次写真蝕刻してTFT部に活性領域として用いられる半導体膜パターンを形成する」から、「窒化膜が形成された基板の全面に非晶質シリコン膜と不純物のドーピングされた非晶質シリコン膜から構成された、TFT部に活性領域として用いられる半導体膜パターン」を備える。
そして、引用発明1の「TFT部」及び「(TFT部に活性領域として用いられる)半導体膜パターン」は本願補正発明の「薄膜トランジスタ」及び「(薄膜トランジスタ用)半導体パターン」にそれぞれ対応するから、引用発明1は、本願補正発明の「前記ゲート絶縁膜上に形成される薄膜トランジスタ用半導体パターン」の構成を備える。

(エ)引用発明1の「液晶表示装置の製造方法により製造された液晶表示装置」は、「横方向に複数のゲートラインが形成されており、各ゲートラインの一端には複数のゲートパッドが設けられ、前記ゲートラインに薄膜トランジスタと画素電極とが連結されて、かつ、縦方向には複数のデータラインが形成されて」いて、上記(イ)のとおり「横方向に複数のゲートラインが形成された前記基板の全面に、窒化膜を蒸着して形成した絶縁膜」を備えるから、「横方向に複数のゲートラインが形成されており、窒化膜を蒸着して形成した絶縁膜を備え、縦方向には複数のデータラインが形成され」る構成を備える。
したがって、引用発明1は「横方向に複数のゲートラインが形成されており」、「かつ、縦方向には複数のデータラインが形成されている」ものであるところ、「ゲートライン」と「データライン」が互いに絶縁されることは自明であり、また、引用発明1の「データライン」は本願補正発明の「データ線」に対応するから、引用発明1は、本願補正発明の「前記ゲート線に絶縁されて交差するデータ線」の構成を備える。

(オ)引用発明1の「液晶表示装置の製造方法により製造された液晶表示装置」は、「半導体膜パターンの形成された基板の全面に金属を蒸着して第3金属膜を形成した後、前記第3金属膜を3次写真蝕刻してTFT部にソース電極とドレイン電極を形成する」ものであることに照らして、TFT部のソース電極とドレイン電極はTFT部である半導体膜パターンに接触するということができるから、「TFT部に形成したソース電極とドレイン電極は、半導体膜パターンに接触する」構成を備える。
しかるところ、引用発明1の「ソース電極」及び「ドレイン電極」は本願補正発明の「ソース電極」及び「ドレーン電極」にそれぞれ対応するから、引用発明1は、本願補正発明の「前記半導体パターンに接触するソース電極、前記ソース電極に対応して前記半導体パターンに接触するドレーン電極を含むデータ配線」の構成を備える。

(カ)引用発明1の「液晶表示装置の製造方法により製造された液晶表示装置」は、「前記ソース電極とドレイン電極の形成された基板の全面に窒化膜を蒸着して保護膜を形成」した後、「4次写真蝕刻して保護膜パターンを形成し、この際、TFT部のドレイン電極上の保護膜が一部蝕刻されてドレイン電極の一部が露出され、パッド部に位置したゲートパッド、即ち第2金属膜の絶縁膜が蝕刻されてゲートパッドの表面が露出される」ことにより、「前記ドレイン電極の表面と、ゲートパッドの表面を露出させるコンタクトホールを形成」するものであるから、「ソース電極とドレイン電極の形成された基板の全面に窒化膜を蒸着して形成した保護膜」、「TFT部のドレイン電極上の保護膜が一部蝕刻されてドレイン電極の表面を露出させるコンタクトホール」及び「パッド部に位置した第2金属膜の絶縁膜が蝕刻されてゲートパッドの表面を露出させるコンタクトホール」を備える。
しかるところ、引用発明1の「パッド部」に関して、引用刊行物1には、「保護膜及び絶縁膜がオープンされるようにレイアウトされるコンタクトホールを形成するためのマスクパターン(P2)は、左右に長い長方形であって、その上、下、左の3辺は、ゲートパッドパターン(P1)の対応する辺より外側にあって、保護膜及び絶縁膜がゲートパッドパターンより大きくオープンされるようにレイアウトされて」いるものが示されている(上記ア(ア)d)ことに照らして、ゲートパッドの側辺は、少なくとも上下の2辺において露出し、左右の2辺はゲートラインを横切るものであって、引用発明1の「(ゲートパッドの表面を露出させる)コンタクトホール」は、「ゲートパッドを露出させ、左右の2辺はゲートラインを横切り、上下の2辺はゲートパッドを外れた位置に置かれるように形成される」といえる。
そうすると、引用発明1では「ゲートパッド」は複数設けられ、引用発明1の「保護膜」、「(ドレイン電極の表面を露出させる)コンタクトホール」及び「(ゲートパッドの表面を露出させる)コンタクトホール」は、本願補正発明の「保護膜」、「(ドレーン電極を露出させる)第1接触孔」及び「(信号配線各々を露出させる)第2接触孔」にそれぞれ対応するから、引用発明1は、本願補正発明の「前記データ配線及び前記半導体パターンを覆う保護膜と、前記ドレーン電極を露出させる第1接触孔と、前記信号配線各々を露出させ、前記側辺は前記信号線を横切り、前記側辺を除いた残りの辺は前記信号配線を外れた位置に置かれるように形成される複数の第2接触孔」の構成を備える。

(キ)引用発明1の「液晶表示装置の製造方法により製造された液晶表示装置」は、「画素電極とゲートパッド間のコンタクト抵抗を減らすためにパッド部に位置する前記保護膜パターンによりオープンされた第2金属膜を蝕刻し、次いで、第2金属膜の一部が蝕刻された結果物の全面に透明導電膜のITO膜を形成した後、前記ITO膜を5次写真蝕刻して画素電極を形成し、従って、TFT部にはドレイン電極と画素電極が連結され、パッド部には第1金属膜及び第2金属膜から構成されたゲートパッドと画素電極が連結される」から、「TFT部ではドレイン電極と画素電極を連結し、パッド部では第1金属膜及び第2金属膜から構成されたゲートパッドとを連結するITO膜」を備える。
しかるところ、引用発明1の「ITO膜」は、「パッド部では第1金属膜及び第2金属膜から構成されたゲートパッドとを連結」するものであって、「ゲートパッド」は複数設けられるから、引用発明1は「(パッド部では第1金属膜及び第2金属膜から構成されたゲートパッドとを連結する)複数のITO膜」を備える。
そうすると、引用発明1の「ゲートパッド」は本願補正発明の「信号配線」に対応するから、引用発明1は本願補正発明の「前記ドレーン電極に連結される画素電極及び前記信号配線に連結される複数の信号配線補助パッド」の構成を備える。

(ク)以上によれば、両者は、
「基板と、
前記基板上に形成されるゲート電極及びゲート線を含むゲート配線及び複数の信号配線と、
前記ゲート配線及び複数の前記信号配線を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成される薄膜トランジスタ用半導体パターンと、
前記ゲート線に絶縁されて交差するデータ線、前記半導体パターンに接触するソース電極、前記ソース電極に対応して前記半導体パターンに接触するドレーン電極を含むデータ配線と、
前記データ配線及び前記半導体パターンを覆う保護膜と、
前記ドレーン電極を露出させる第1接触孔と、
前記信号配線各々を露出させ、前記側辺は前記信号線を横切り、前記側辺を除いた残りの辺は前記信号配線を外れた位置に置かれるように形成される複数の第2接触孔と、
前記ドレーン電極に連結される画素電極及び前記信号配線に連結される複数の信号配線補助パッドと、
を含む液晶表示装置」
である点で一致し、

a 「半導体パターンに接触するソース電極」が、本願補正発明では、データ線から延長されているのに対して、引用発明1では明らかでない点(以下「相違点1」という)、及び、

b 「第2接触孔」が、本願補正発明では、側辺の長さが幅より大きいとの特定を有するのに対して、引用発明1の「ゲートパッド部のパッド部」では、そのような事項を有しているものか明らかではない点(以下「相違点2」という)、
で相違する。

(ケ)上記相違点1および2について検討する。
a 上記相違点1について検討する。
液晶表示装置において、TFTのソース電極、ドレイン電極のうち一方を画素電極に接続し、他方をデータラインから延長して形成することは慣用技術であるところ、引用発明1は「ドレイン電極と画素電極が連結され」ているものであるから引用発明1において、他方の電極である「ソース電極」をデータラインから延長して形成し、相違点1の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

b 上記相違点2について検討する。
引用刊行物2には、上記ア(イ)に示した事項が記載され、液晶表示パネル等の、基板上に形成された金属からなる第1の配線と、前記第1の配線を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成されたITOからなる第2の配線と、前記絶縁膜に形成されて前記第1の配線の端部と前記第2の配線とを電気的に接続するコンタクトホールとを有した薄膜デバイスにおいて、前記コンタクトホールは、その第1の配線の先端側の縁が楔状に形成されていることにより、コンタクトホールの縁部の長さが長くなり、電流パスが分散され、これにより、コンタクトホールの縁部における発熱が抑制できる技術が開示されている。
引用発明1と、引用刊行物2に記載された技術的事項は、いずれも、液晶表示装置の電極接続部(「ゲートパッド部」、「接続端子」)に関するものである点で共通するものであるから、引用発明1の「パッド部」において、引用刊行物2に記載された、第1の配線(引用発明1における「ゲートパッド」に相当。)の先端側の縁が楔状に形成されたコンタクトホールの形状を採用することは、当業者が容易になし得ることである。そして、上記のコンタクトホール形状を引用発明1に採用したものは、上記相違点に係る本願補正発明の特定事項である「側辺の長さが幅より大き」いものであると認められる。
したがって、引用発明1の「パッド部」において、引用刊行物2に記載の技術的事項を採用し、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(コ)小括
以上の検討によれば、本願補正発明は、引用発明1および引用刊行物2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、平成14年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成22年3月19日付で補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2、2(1)において、補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明

(1)引用刊行物3及び引用発明3
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平11-183924号公報(以下「引用刊行物3」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0014】本発明において、基板上に配線を配設するに際しては、特に限定されることなく、適宜配設することが可能であるが、ガラス基板等を用いてアレイ基板を構成する際に、例えば、ゲート電極や信号線等の各種電極や配線等の形成と同時に、PCB(printed circuit boad)間を接続するための配線を形成し、該配線の両端部を露出するように絶縁層を形成した後、さらに露出した両端部と接続する電極やアレイ基板とTCPとを接続する電極パッド等の各種電極や配線等を形成すれば、配線を配設するための工程を新たに設ける必要がないので、工程数を抑制して経済性を向上させる観点からより好ましい。ここで、上記電極とは、例えば、X-PCBとY-PCBとを電気的に接続するためにアレイ基板上に設けられた電極であり、この電極にTCPを介して各々のPCBを接続する。また、電極パッドとは、アレイ基板に設けられたアレイ電極とTCPとを接合するための電極を示している。」

イ 「【0018】図1および図3(a)に示したように、本実施の形態に係る液晶表示素子は、TCP1a?1cおよびTCP1dを通じてX-PCB2およびY-PCB3を接続するための配線群4をガラス基板5上に形成して絶縁層6にて被覆した後、TCPと接続するための電極7a?7cを設けて配線群4と導通がとれるように構成されている。一方、TCP1a?1cおよびTCP1dとガラス基板(アレイ基板)5とを接続するための電極パッド8は、絶縁層6上に構成されている。ここで、上記液晶表示素子を製造工程について、図1?図3を参照しながら説明する。
【0019】ガラス基板5に、モリブデン等の金属を約0.3μmスパッタリングにより成膜した後、フォトリソ法により所定の形状にパターン形成してゲート線9、ゲート電極10、Cs電極11および配線群4を同時に形成した。その上に、膜厚0.15μmの二酸化珪素あるいは窒化珪素からなるゲート絶縁膜12および絶縁層6を同時に形成した後、半導体層(a-Si)13、半導体層(n+形a-Si)14およびチャネル保護膜15を設け、膜厚0.3μmのAlからなる信号線16、ドレイン電極17、ソース電極18、電極7a?7cおよび電極パッド8を同時に形成した。次に、膜厚0.1μmのITOからなる画素電極19をパタ-ニングにより形成し、これらの上にポリイミドからなる配向膜20aを形成してスイッチング素子および各種配線・電極を備えた基板を得た。」

ウ 上記ア、イを踏まえて、図1を見ると、図1においてX-PCB側のTCP1a?1c及びY-PCB側のTCP1dはガラス基板5を介して直交した位置に配置されていることが見てとれる。また、電極パッド8は、TCP1a?1c及びTCP1d(複数のTCP)とガラス基板(アレイ基板)5とを接続するためのものであるから、X-PCB側のTCP1a?1cの電極パッド8及びY-PCB側のTCP1dの電極パッド8は、ガラス基板(アレイ基板)5上の絶縁層6上に直交した位置に配置されていることが見てとれる。

以上の摘記事項の記載を総合すると、引用刊行物3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「ガラス基板に、ゲート線、ゲート電極、Cs電極及び配線群を同時に形成し、その上に、ゲート絶縁膜及び絶縁層を同時に形成した後、半導体層(a-Si)、半導体層(n+形a-Si)及びチャネル保護膜を設け、信号線、ドレイン電極、ソース電極、電極及び電極パッドを同時に形成し、次に、ITOからなる画素電極をパタ-ニングにより形成し、これらの上にポリイミドからなる配向膜を形成してスイッチング素子及び各種配線・電極を備えた基板を備え、
複数のTCPを通じてX-PCB及びY-PCBを接続するための配線群をガラス基板上に形成して絶縁層にて被覆した後、複数のTCPと接続するための電極を設けて配線群と導通がとれるように構成され、
X-PCB側のTCPの電極パッド及びY-PCB側のTCP側の電極パッドは、ガラス基板(アレイ基板)上の絶縁層上に直交した位置に配置されている液晶表示素子。」

(2)引用刊行物1の記載事項については前記第2、2(3)ア(ア)のとおりである。

3 対比・判断
ア 本願発明と引用発明3とを対比する。
(ア)引用発明3の「ガラス基板」、「ゲート電極」、「ゲート線」、「Cs電極」、「絶縁層」、「半導体層(a-Si)、半導体層(n+形a-Si)」、「信号線」、「チャネル保護膜」、「画素電極」及び「液晶表示装置」は、本願発明の「基板」、「ゲート電極」、「ゲート線を含むゲート配線」、「信号配線」、「ゲート絶縁膜」、「薄膜トランジスタ用半導体パターン」、「データ線」、「保護膜」、「画素電極」及び「液晶表示装置」にそれぞれ相当する。

(イ)引用発明3は「ガラス基板」に、「ゲート線」及び「配線群」を「同時に形成」し、その上に、「ゲート絶縁膜及び絶縁層を同時に形成」した後、「信号線」(データ線)、「電極及び電極パッド」を「同時に形成し」たものであるから、本願発明の「ゲート線に絶縁」される「データ線」の構成を備える。

(ウ)以上によれば、両者は
「基板と、
前記基板上に形成されるゲート電極及びゲート線を含むゲート配線及び複数の信号配線と、
前記ゲート配線及び複数の前記信号配線を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成される薄膜トランジスタ用半導体パターンと、
前記ゲート線に絶縁されるデータ線と、を含む液晶表示装置。」
である点で一致し、

a 本願発明では、「データ線」が「ゲート線」に「交差」し、「ソース電極」が「データ線から延長されて前記半導体パターンに接触」し、「ドレーン電極」が「ソース電極に対応して前記半導体パターンに接触する」ものであって、「データ配線」が「データ線」、「ソース電極」及び「ドレーン電極」を含むのに対して、引用発明3は、「ソース電極」及び「ドレイン電極」がそのように構成されているか明らかでない点(以下「相違点3」という)、

b 本願発明は、「前記データ配線及び前記半導体パターンを覆う保護膜と、前記ドレーン電極を露出させる第1接触孔と、前記信号配線各々を露出させ、側辺の長さが幅より大きく形成される複数の第2接触孔」を有しているのに対して、引用発明3は、そのような事項を有しているものか明らかではない点(以下「相違点4」という)、及び、

c 本願発明では、「画素電極」が「ドレーン電極に連結され」、また、「複数の信号配線補助パッド」が「信号配線に連結される」のに対して、引用発明3は、「信号線、ドレイン電極、ソース電極、電極及び電極パッドを同時に形成し」、「次に、ITOからなる画素電極をパタ-ニングにより形成し」ているものの、「パタ-ニングにより形成し」た「ITOからなる画素電極」が、「信号線、ドレイン電極、ソース電極、電極及び電極パッド」とどのように連結されるのか明らかではない点(以下「相違点5」という)、
で相違する。

イ 上記相違点3ないし5について検討する。
(ア)上記相違点3について検討する。
引用発明3は「ゲート線に絶縁されるデータ線」の構成を備え、「ゲート線」と「データ線」を交差させることは、液晶表示装置において慣用技術である。
また、液晶表示装置において、「ドレイン電極」及び「ソース電極」が対応して設けられ、それぞれ半導体層に接触することは、本願優先日時点で周知技術であることを踏まえると、「信号線」、「ドレイン電極」、「ソース電極」、「電極」及び「電極パッド」を「同時に形成し」たものである引用発明3において、「ドレイン電極」及び「ソース電極」の一方は「信号線」(データ線)と接続され、「信号線」及び「信号線」に接続された「ドレイン電極」ないし「ソース電極」は、「信号線」の配線(データ配線)に含まれるといえるから、引用発明3は本願発明の「半導体パターンに接触するソース電極、前記ソース電極に対応して前記半導体パターンに接触するドレーン電極を含むデータ配線」の構成を備える。
また、液晶表示装置において「半導体層に接触するソース電極」を、データ線から延長して形成することは慣用技術である。
したがって、引用発明3において、相違点3の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

(イ)上記相違点4について検討する。
引用発明3は「信号線、ドレイン電極、ソース電極、電極及び電極パッドを同時に形成し」、「次に、ITOからなる画素電極をパタ-ニングにより形成し」ているところ、「信号線、ドレイン電極、ソース電極、電極及び電極パッド」の上に直接「ITOからなる画素電極をパタ-ニングにより形成」しているか、あるいは、「信号線、ドレイン電極、ソース電極、電極及び電極パッド」の上に絶縁性の膜を形成し、その上に「ITOからなる画素電極をパタ-ニングにより形成」しているか明らかではない。
しかるに、引用発明3は、「TCPを通じてX-PCBおよびY-PCBを接続するための配線群をガラス基板上に形成して絶縁層にて被覆した後、TCPと接続するための電極を設けて配線群と導通がとれるように構成されている」ものであって、「配線群」を「絶縁層」にて被覆した後、「電極」が「配線群」と「導通がとれるように構成され」るものであるところ、「基板の上にゲート電極及びゲートパッドをそれぞれ形成」し、「基板の全面に絶縁膜」を形成し、「ソース電極及びドレイン電極を形成」し、「基板の全面に保護膜を形成」し、「保護膜及び絶縁膜」に「コンタクトホールを形成し」、「透明導電膜」からなる「ドレイン電極及びゲートパッドと接続される画素電極を形成する」構成が引用刊行物1(第2、2(3)ア(ア)a)に記載されており、引用発明3及び引用刊行物1はいずれも、液晶表示装置等の電極接続部(「電極パッド」、「ゲートパッド部」)に関するものである点で共通するものであるから、引用発明3において、引用刊行物1に記載の上記構成を適用することは、当業者が容易になし得ることである。
ここで、引用発明3において、上記のようにコンタクトホールを設ける際、コンタクトホールの側辺の長さと配線の幅をどうするかは設計的事項であるところ、側辺の長さが幅より大きいものが、引用刊行物1に示されている(第2、2(3)ア(ア)d)ことに照らすと、引用発明3において、上記信号線の上に絶縁性の膜を形成し、接触が必要な箇所のみコンタクトホールを設けてからITOをパタ-ニングにより形成する引用刊行物1に記載の上記構成を適用するに際して、「側辺の長さが幅より大きく形成する」構成とすることに格別の困難はない。
したがって、引用発明3において、相違点4の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

(ウ)上記相違点5について検討する。
液晶表示装置において、ITOからなる画素電極をドレイン電極ないしソース電極と連結することは慣用手段であって、引用発明3において「ITOからなる画素電極」をどちらと連結するかは設計的事項である。
また、引用発明3は、「TCPを通じてX-PCBおよびY-PCBを接続するための配線群をガラス基板上に形成して絶縁層にて被覆した後、複数のTCPと接続するための電極を設けて配線群と導通がとれるように構成されている」ものであるから、「複数のTCPと接続するための電極」(複数の信号配線補助パッド)と「TCPを通じてX-PCBおよびY-PCBを接続するための配線群」(信号配線)を「導通」(連結)する構成とすることも当業者が適宜なし得ることである。
したがって、引用発明3において、相違点5の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明3及び引用刊行物1に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-19 
結審通知日 2012-04-24 
審決日 2012-05-08 
出願番号 特願2008-83064(P2008-83064)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
P 1 8・ 575- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥田 雄介前川 慎喜  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 北川 創
松川 直樹
発明の名称 制御信号部及びその製造方法とこれを含む液晶表示装置及びその製造方法  
代理人 小野 由己男  
代理人 山下 託嗣  
代理人 稲積 朋子  
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