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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1263792
審判番号 不服2011-26921  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-13 
確定日 2012-09-27 
事件の表示 特願2005-351240「半導体ウェハの研磨装置及び半導体ウェハの研磨方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月21日出願公開、特開2007-158023〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本件出願の発明
本件出願は、平成17年12月5日の特許出願であって、同23年6月8日付けで拒絶の理由が通知され、同23年8月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同23年9月5日付けで拒絶の査定がなされたものである。
その後、平成23年12月13日に拒絶査定を不服とする審判請求がなされ、その後、同24年3月7日付けで当審より拒絶の理由が通知され、同24年5月11日に意見書及び手続補正書が提出された。
本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし9に係る発明は、平成24年5月11日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲及び明細書、願書に添付した図面の記載からみて、上記特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「 【請求項1】
円盤状のウェハの外周縁側を研磨する研磨部と、
前記ウェハを保持するウェハ保持部と、
前記ウェハの表面に向かってガスを吐出し、前記ウェハ上の空間を前記研磨部により前記ウェハが研磨される研磨領域と、前記ウェハのうち前記研磨領域以外の領域である通常領域とに前記ガスのカーテンで仕切るガス吐出部と、を備え、
前記ウェハ保持部が下記(i)又は(ii)で示す機構を有し、
前記ガス吐出部が、前記通常領域と前記研磨領域との間に前記ガスを吐出することを特徴とする半導体ウェハの研磨装置。
(i)前記ウェハを下面側から固定するウェハチャック機構
(ii)前記ウェハの外周縁を複数のローラで支持するローラ機構」

2 各引用刊行物記載の発明・事項
これに対して、当審での平成24年3月7日付けの拒絶の理由に引用された、本件出願前である平成11年12月21日に頒布された特開平11-347902号公報(以下「引用刊行物」という。)には、以下の発明が記載されている。
ア 段落【0001】
「【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン半導体ウェーハ等の薄板の外縁部を加工する方法および装置に関するものである。」
イ 段落【0018】?【0020】
「【発明の実施の形態】図1には本発明に係る薄板の加工装置としてウェーハの研削機が示されている。この研削機10においては、ウェーハWの下方に該ウェーハWを真空吸着するための吸着盤(保持手段)11が設けられている。この場合、吸着盤11の表面は水平の方が、純水の流速の均等化のために好ましい。・・・
また、この研削機10においては、吸着盤11の隣には砥石20が設けられている。・・・
さらに、この研削機10においては、ウェーハWの表裏面(上下面)を研削作業領域およびウェーハWの保持部を除いて覆うカバー30,31が設けられている。このカバー30,31は、特に限定はされないが、テフロン、PVC等のプラスチックによって構成されている。このカバー30,31のうち上側に位置するカバー30は例えば上下に動作可能に構成され、上方に動作させた状態で、ウェーハWの吸着盤11への装着・離脱ができるようになっている。なお、カバー30,31の間にはウェーハWが設置され、ウェーハWの表裏面との間に所定の隙間を形成しなければならないので、カバー30,31の少なくとも一方に他方に当接するストッパ(図示せず)を設けておくことが好ましい。」
ウ 段落【0021】
「続いて、カバー30,31の構造を図2および図3に基づいて説明すれば、カバー30の形状は、平面的に見た場合に、ほぼ「D」字状に構成されていて、砥石20に対向する部分が直線状に構成されている。これは、ウェーハWの一部をその直線部から露出させるためのものである。また、このカバー30の下側には、平面的に見た場合、ほぼ「D」字状に構成された凹部32が形成されると共に、この凹部32よりも砥石20寄りの位置に他の凹部33が形成されている。そして、この凹部32,33によって2つのポート32a,33aが構成されている。これらポート32a,33aは、吸着盤11によって保持されるウェーハWの内側領域に構成されている。このようにすることで、ウェーハWの外縁部では、ウェーハWとカバー30の隙間が狭くなり流速が大きくなる。また、流速を均等化する効果もあり、研削屑による汚染防止にとって好ましいものとなる。一方、カバー31は、平面的に見た場合、吸着盤11を外周方向で囲繞するように環状に構成されていて、砥石20に対向する部分が直線状に構成されている。これは、ウェーハWの一部をその直線部から露出させるためのものである。また、このカバー31の下側には、平面的に見た場合、吸着盤11を外周方向で取り囲む馬蹄状の凹部34が形成されると共に、この凹部34よりも砥石20寄りの位置に他の凹部35が形成されている。そして、この凹部34,35によって2つのポート34a,35aが構成されている。これらポート34a,35aは、吸着盤11によって保持されるウェーハWの内側領域に構成されている。このようにすることで、ウェーハWの外縁部では、ウェーハWとカバー31の隙間が狭くなり流速が大きくなる。また、流速を均等化する効果もあり、研削屑による汚染防止にとって好ましいものとなる。なお、ポート32a,33a,34a,35aには純水供給装置40の純水供給パイプが連結されている。さらに、カバー31と吸着盤11との間にはパッキン等のシール材36が介装され、これによりカバー31と吸着盤11との隙間を閉塞し、純水が全てウェーハWの外縁部に向けて流れるようにしている。」
エ 段落【0024】
「このように構成された研削機10によれば、ウェーハWの表裏面を研削作業領域およびウェーハWの保持部を除いてカバー30,31で覆っているので、このカバー30,31によって、飛散した研削屑がウェーハWの表裏面に付着するのを効果的に防止できる。また、研削作業領域から離れた位置でウェーハWの表裏面とカバー30,31との間に純水を供給し、図4に示すように、該純水をポート33a,35aから砥石20に向けて集中して噴出させているので、砥石20の回転に伴う研削屑のウェーハWへの付着を極力防止できることになる。また、研削作業領域には、ポート33a,35aから純水が十分に供給されるので、研削屑や研削熱が効果的に除去できる。一方、ポート32a,34aから放射状に噴出させているので、より研削屑のウェーハWへの付着を防止できることになる。」
オ 段落【0035】
「【発明の効果】以上のように本発明では薄板の面取り加工およびサンプリング加工において、いずれも研削屑等でウェーハの表裏面を汚染することなく、ウェーハの外縁部に研削加工を施すことができる。」
カ ここで、ウェーハWが円盤状であることは明らかである。また、図面の図1、図2、図3を参照すると、ウェーハWの表裏面に向かって純水を噴出しているのが見て取れる。
キ 引用刊行物記載の発明
以上アないしオの記載事項、及びカの認定事項から、引用刊行物には、以下の発明が記載されていると認められる。
「円盤状のウェーハWの外縁部に研削加工を施す砥石20と、
前記ウェーハWを下方から吸着する吸着盤11と、
前記ウェーハWの表裏面に向かって純水を噴出し、ウェーハWの表裏面を研削作業領域およびウェーハWの保持部を除いて覆うカバー30、31と、を備え、
ウェーハWの研削作業領域及びウェーハWの保持部を除いてウェーハWの表裏面に純水を噴出して研削屑のウェーハWへの付着を防止するウェーハWの研削機10。」(以下「引用発明」という。)

3 対比
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「ウェーハW」は、本願発明の「半導体ウェハ」に相当する。
引用発明の「研削」及び「砥石20」は、「材料除去加工」及び「材料除去加工部」という限りで、本願発明の「研磨」及び「研磨部」と共通する。
引用発明の「ウェーハWを下方から吸着する吸着盤11」は、吸着することは保持することであるので、本願発明の「ウェハを保持する保持部」に相当し、また、「ウェハを下面側から固定するウェハチャック機構」と言えるものである。
引用発明の「ガス」は、「流体」という限りで、本願発明の「純水」と共通し、また、引用発明の「表裏面」、「噴出」は、本願発明の「表面」、「吐出」に相当し、さらに、引用発明の「ウェーハWの表裏面を研削作業領域およびウェーハWの保持部を除いて覆うカバー30、31」は、「ウェハ上の空間を材料除去加工部によりウェハが材料除去加工される材料除去加工領域とそれ以外の領域に仕切る仕切り部」という限りで、本願発明の「ウェハ上の空間を研磨部により前記ウェハが研磨される研磨領域と、前記ウェハのうち前記研磨領域以外の領域である通常領域とにガスのカーテンで仕切るガス吐出部」と共通する。
引用発明の「ウェーハWの研削作業領域及びウェーハWの保持部を除いてウェーハWの表裏面に純水を噴出して研削屑のウェーハWへの付着を防止する」ことは、「流体を吐出してウェハの材料除去加工される材料除去加工作業領域及びそれ以外の領域に仕切る」という限りで、本願発明の「ガス吐出部が、前記通常領域と前記研磨領域との間に前記ガスを吐出する」ことと共通する。
引用発明の「研削機10」は、「材料除去加工装置」という限りで、本願発明の「研磨装置」と共通する。
以上の点から、両者は以下の点で一致し、また、以下の点で相違している。
<一致点>
「円盤状のウェハの外周縁側を材料除去加工する材料除去加工部と、
前記ウェハを保持するウェハ保持部と、
前記ウェハの表面に向かって流体を吐出し、前記ウェハ上の空間を材料除去加工部によりウェハが材料除去加工される材料除去加工領域とそれ以外の領域に仕切る仕切り部と、を備え、
前記ウェハ保持部が下記(i)で示す機構を有し、
流体を吐出してウェハの材料除去加工される材料除去加工作業領域及びそれ以外の領域に仕切る半導体ウェハの材料除去加工装置。
(i)前記ウェハを下面側から固定するウェハチャック機構」
<相違点1>
材料除去加工に関し、本願発明では、「研磨」する「研磨部」を有する「研磨装置」であるのに対して、引用発明1では、「研削」する「砥石10」を有する研削機10である点。
<相違点2>
ウェハの表面に向かって吐出する流体が、本願発明では、「ガス」であるのに対して、引用発明では、「純水」である点。
<相違点3>
ウェハ上の空間を材料除去加工部によりウェハが材料除去加工される材料除去加工領域とそれ以外の領域に仕切る仕切り部を備え、流体を吐出してウェハの材料除去加工される材料除去加工作業領域及びそれ以外の領域に仕切る構造に関して、本願発明では、「ウェハ上の空間を研磨部により前記ウェハが研磨される研磨領域と、前記ウェハのうち前記研磨領域以外の領域である通常領域とにガスのカーテンで仕切るガス吐出部」を備え、「ガス吐出部が、通常領域と研磨領域との間にガスを吐出する」ものであるのに対して、引用発明では、ウェーハWの表裏面を研削作業領域およびウェーハWの保持部を除いて覆うカバー30、31と、を備え、ウェーハWの研削作業領域及びウェーハWの保持部を除いてウェーハWの表裏面に純水を噴出して研削屑のウェーハWへの付着を防止するものである点。

4 当審の判断
上記相違点について検討する。
(1)<相違点1>について
半導体ウェハの外周縁側を研磨することは例示するまでもなく従来周知の事項であり、また、半導体ウェハの研削加工に引き続いて研磨加工することも通常行われていることからすれば、引用発明においても、研削加工に代えて研磨する研磨部を有する研磨装置とすることに、格別の困難性を有するものではない。
(2)<相違点2>について
異物の侵入を防ぐ流体としてガスという気体も純水という液体もともに例示するまでもなく従来用いられている流体であることからすれば、引用発明において、流体として純水に代えてガスを用いることは、当業者が容易になし得たものである。
(3)<相違点3>について
流体を噴出・吐出する態様として「カーテン状」のものは、当審における平成24年3月7日付け拒絶理由において引用した特開平10-229062号公報(段落【0057】?【0060】参照。)のほか、例えば、特開平11-104957号公報(段落【0017】参照。)、特許第3066823号公報(段落【0008】参照。)に記載されているように従来周知の事項であることからすれば、引用発明においても、噴出する流体である純水をカーテン状のものとすることは、当業者にとって格別の困難性を有するものではない。
そして、本願発明では、通常領域と研磨領域との間にガスを吐出することにより、ウェハが研磨される研磨領域と、前記ウェハのうち前記研磨領域以外の領域である通常領域とにガスのカーテンで仕切るものであると特定しているが、引用発明においても、純水の噴出が研削屑のウェーハWへの付着を防止するものであることからすれば、引用発明において、吐出する流体をカーテン状とした場合には、それを材料除去加工される領域とそれ以外の領域との間に流体を噴出して、材料除去加工される領域とそれ以外の領域とに仕切るものとすることは、当然の設計変更に過ぎない。
<作用ないし効果>について
本願発明によってもたらされる作用ないし効果についても、引用発明及び従来周知の事項から予測可能なものでしかない。

5 むすび
したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、請求項2ないし9について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-07-24 
結審通知日 2012-07-31 
審決日 2012-08-15 
出願番号 特願2005-351240(P2005-351240)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西中村 健一山本 健晴  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 菅澤 洋二
長屋 陽二郎
発明の名称 半導体ウェハの研磨装置及び半導体ウェハの研磨方法  
代理人 速水 進治  
代理人 天城 聡  
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