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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B65D
管理番号 1263913
審判番号 無効2011-800033  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-02-25 
確定日 2011-10-11 
事件の表示 上記当事者間の特許第4113638号発明「貯水タンク及び浄水機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由
第1 手続の経緯
平成11年 6月24日 本件出願
平成20年 4月18日 設定登録
平成23年 2月25日 本件無効審判請求
平成23年 5月23日 答弁書
平成23年 5月27日 上申書(請求人)
平成23年 7月27日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成23年 8月31日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成23年 8月31日 口頭審理

第2 特許請求の範囲
本件特許における特許請求の範囲の請求項1ないし2の記載は、次のとおりである(以下、請求項1ないし2記載の発明を、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明2」という。)
「【請求項1】
透明樹脂によって形成されたタンク本体と、該タンク本体に環状の弾性部材から構成されたスペーサーを介して取付けられ、透明な紫外線カット樹脂から形成された水位表示板とを備えていることを特徴とする貯水タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の貯水タンクを備えていることを特徴とする浄水機。」

第3 請求人の主張
請求人は「特許第4113638号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」ことを請求の趣旨とし、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出し、次の無効理由を主張する。
(1)無効理由1
本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明、周知技術1(甲第10号証ないし甲第15号証:本件特許発明の「環状の弾性部材から構成されたスペーサー」に係るもの)、および、周知技術2(甲第17号証ないし甲第21号証:本件特許発明の「水位表示板」に係るもの)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(2)無効理由2
本件特許発明2は、甲第16号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、および、上記周知技術1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

<証拠方法>
甲第1号証:特許第4113638号公報(本件特許公報)
甲第2号証:特開昭58-112954号公報
甲第3号証:本件出願に係る平成19年12月17日付け拒絶理由通知書
甲第4号証-1:本件出願に係る平成20年2月25日付け手続補正書
甲第4号証-2:本件出願に係る平成20年2月25日付け意見書
甲第5号証:特開昭59-138683号公報
甲第6号証:特開昭62-156492号公報
甲第7号証:実願平4-62435号(実開平6-25332号)のCD- ROM
甲第8号証:特開平6-229172号公報
甲第9号証:特開平11-71141号公報
甲第10号証:日刊工業新聞社発行「図解機械用語辞典第3版(工業教育研 究会編)」、第102?103頁、第452?453頁、第 490?493頁
甲第11号証:社団法人日本機械学会発行「機械工学便覧(日本機械学会 編)」、i?ix頁、B5-214?B5-215頁
甲第12号証:特開平1-310785号公報
甲第13号証:特開平8-110070号公報
甲第14号証:特開平8-275872号公報
甲第15号証:特開平10-248742号公報
甲第16号証:意匠登録第851555号公報
甲第17号証:実願平4-79161号(実開平6-41632号)のCD -ROM
甲第18号証:特開昭64-75011号公報
甲第19号証:特開平8-131345号公報
甲第20号証:特開平11-50997号公報
甲第21号証:特開平11-77027号公報
甲第22号証:平成23年3月30日付けの(財)プラスチック技術振興セ ンター作成による試験結果報告書

第4 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は審判請求人の負担とする」との審決を求め、無効理由1、無効理由2がいずれも成り立たないと主張する。

第5 当審の判断
1.無効理由1について
(1)甲第2号証の記載
甲第2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.「2.特許請求の範囲
1.内容液体の液位が視認しうるに足るほど透明であるが、日光中の紫外線に照射されると劣化しがちであるプラスチツク材で製造された液体用タンクに設けられ、タンク内容の液位を観察しうる選定域を除いてタンクの全露出面を覆い、日光を透さない防護手段と、紫外線照射によつて劣化を起こさず、紫外線を遮断する透明な材料で形成した該選定域用保護カバーからなるタンクゲージ。」(1頁左下欄4行?13行)

イ.「本発明は液体用タンクのゲージに関し、特に内容液体の液位が視認可能で、日光中の紫外線によるポリエチレン材の劣化を防止したポリエチレンタンク用のゲージに関する。」(1頁右下欄2行?5行)

ウ.「半透明ポリエチレン材製の液体用タンクでは、内容液体の液位を見ることができる。しかし、ポリエチレンは日光中の紫外線に曝されると劣化しがちであり、ついには脆くなつてひびが入る。このため、半透明ポリエチレン製タンクは日光に曝される芝刈り機の燃料タンク又は農業での撒布用の薬剤タンクの如きには使用されなかつた。」(1頁右下欄18行?2頁左上欄4行)

エ.「ポリエチレンタンクには芝刈り機動力用型の小型エンジンの燃料タンクとして特に価値があり、日光中の紫外線の照射により起るポリエチレン材劣化を防止する手段を含む、燃料液位視認ゲージが設けてある。この防止手段は、タンク内容液位が覗ける選定域以外はタンク全露出面を覆う防護手段と、選定域用の透明材料で出来た保護カバーを含む。防護手段は塗料の被覆によつても、日光を透さないフード部材からなるものでもよい。また、保護カバーは日光中の紫外線を遮断するようにされたアクリル材製であればよい。アクリル材自体は紫外線の照射によつて劣化することはない。」(2頁右上欄2行?13行)

オ.「以下図面とともに説明するに、第1図は本発明の好適な実施例のタンクゲージを示す。図示の如く、ゲージは芝刈り機、ポンプ又は発電機の動力として使用される型の単気筒エンジン1に組み込まれている。・・・(中略)・・・又、本タンクゲージは農業での撒布用の薬剤タンク等にも適用できる。」(2頁右上欄18行?同左下欄10行)

カ.「選定域つまり非塗装域を保護するカバーは、紫外線によつて劣化を起さず、又紫外線を遮断する透明な材料で形成される。第2図に示す如く、非塗装選定域は紫外線を遮断するよう調整した透明アクリル片13で覆われている。アクリル片13があるため操作者が非塗装選定域を通して内容燃料量を正確に測ることが可能となり、非塗装選定域のポリエチレン材の保護もできる。従って、アクリル片13及び非塗装選定域により、タンク3内の燃料液位を視認する簡便かつ安価な手段が得られる。」(3頁左上欄10行?20行)

キ.「第2図の保護カバーつまりアクリル片13は側壁5に接着剤、機械的取付具、スナップばめ、帯その他の通常の固定手段等各種の方法で固定されている。第2図はアクリル片13をポリエチレンタンク3の壁5に、片13端部付近の粘着バンド14により固定する一方法を示している。第3図はタンク3の外部側壁5に形成された盲穴16中へ片13を貫通して延在するねじ15によりアクリル片13をポリエチレンタンク3に固定する他の方法を示す。盲穴16はタンク3を成型する際、側壁に一体的に形成するのが好ましい。第4図は片13をポリエチレンタンク3に固定する別の方法を示している。第4図の実施例では、片13はタンク3に側壁5から突出し製造の際一体的に形成されただぼピン17で固定されている。アクリル片13にはだぼピン17が貫通する孔18が設けられている。だぼピン17の端部は加熱されてアクリル片13の外面上に拡げられ片13は側壁5にしつかりと固定される。」(3頁右上欄1行?19行)

ク.第1図?第4図の記載は次のとおりである。



これらの記載によれば、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「透明なプラスチック材であるポリエチレンからなる燃料タンク3と、該燃料タンク3に粘着バンド14により取付けられ、紫外線を遮断する透明アクリル片13とを備えている燃料タンク。」

(2)本件特許発明1と甲2発明との対比
甲2発明の「透明なプラスチック材であるポリエチレン」は、本件特許発明1の「透明樹脂」に相当する。甲2発明の「燃料タンク」は、本件特許発明1の「タンク本体」に相当し、また、「タンク」であるとの限度で本件特許発明1の「貯水タンク」と一致する。甲2発明の「紫外線を遮断する透明アクリル片13」と、本件特許発明1の「透明な紫外線カット樹脂から形成された水位表示板」は、「透明な紫外線カット樹脂から形成された板」であるとの限度で一致する。
よって、本件特許発明1と甲2発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「透明樹脂によって形成されたタンク本体と、該タンク本体に取付けられ、透明な紫外線カット樹脂から形成された板とを備えているタンク。」

[相違点1]
タンク本体への板の取付け態様について、本件特許発明1は、「環状の弾性部材から構成されたスペーサーを介して」取付けられているのに対し、甲2発明は、「粘着バンド14により」取付けられている点。

[相違点2]
本件特許発明1のタンクが「貯水タンク」であるのに対し、甲2発明のタンクが「燃料タンク」である点。

[相違点3]
タンク本体に取付けられている板が、本件特許発明1は「水位表示板」であるのに対し、甲2発明は「アクリル片」である点。

(3)判断
ア.相違点1について
請求人は、相違点1に係る本件特許発明1の構成は、甲2発明に、甲第10号証ないし甲第15号証から認定できる周知技術を適用して当業者が容易に想到し得たものであり、その効果も、甲第5号証ないし甲第9号証から認定できる周知技術に基いて当業者が予測できたものである旨主張する。

そこで、まず、甲第10号証ないし甲第15号証から認定できる周知技術につき検討する。
甲第10号証ないし甲第15号証には、「Oリング」あるいは「パッキン」が記載されている。特に、甲第10号証に、「Oリング」の説明として「ニトリルゴムその他用途に応じた材質で作られた断面が円形であるシール用リングのこと」(102頁)と記載され、「パッキン」の説明として「密封装置のうちで、往復運動、回転運動、らせん運動などの運動個所の漏れ止めを行うものをいう」(491頁)と記載され、甲第12号証には「リング状のパッキン」(3頁左下欄17行)との記載がある。
よって、甲第10号証ないし甲第15号証より、「環状の弾性部材であるOリングやパッキンを用いてシールする技術」が周知技術(以下、「周知技術A」という。)であると認められる。

ここで、甲第2号証の第2図によれば、粘着バンド14が介在することにより、側壁5とアクリル片13との間に隙間が形成されていることが見て取れるから、甲2発明の粘着バンド14は、本件特許発明1の「スペーサー」に相当すると見ることができる。
そうすると、甲2発明の粘着バンド14に、周知技術Aを適用して「環状の弾性部材」とすれば、相違点1に係る本件特許発明1の構成となるので、以下、上記適用を当業者が容易に想到し得たかにつき検討する。

甲第2号証には、アクリル片13は側壁5に接着剤、機械的取付具、スナップばめ、帯その他の通常の固定手段等各種の方法で固定されていることが記載され、具体的な固定手段の例示として、粘着バンド14(第2図)、ねじ15(第3図)、だぼピン17(第4図)が示されている(上記(1)キ、ク)。そして、第2図では、側壁5とアクリル片13との間に隙間が見て取れるが、第3図、第4図では、側壁5とアクリル片13が接するように図示されている。その他、甲第2号証には、側壁5とアクリル片13との間に隙間を設けることの技術的意義について記載するところは無い。また、甲第2号証には、アクリル片13とタンク3の側壁5との間をシールすることも記載されていない。
よって、甲2発明の粘着バンド14は、隙間を設けたり、シールする点に技術的意義を有するものではなく、アクリル片13をタンク3の側壁5に固定する点に技術的意義を有する固定手段であると理解されるのであって、シールする技術である周知技術Aとは、技術的意義が異なるものである。
してみれば、甲2発明の粘着バンド14について、技術的意義の異なる周知技術Aを適用する動機付けは無いから、効果の予測性について検討するまでもなく、相違点1に係る本件特許発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできない。

したがって、相違点1に係る本件特許発明1の構成は、甲2発明、および、甲第10号証ないし甲第15号証から認定できる周知技術に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。

なお、念のため、甲第5号証ないし甲第9号証から認定できる周知技術について検討する。
甲第5号証ないし甲第9号証には、「複層ガラス」についての発明が記載されており、例えば、甲第5号証に「複数枚のガラス板を中空層ができる様にその周辺部にスペーサーを配して隔置し、その周辺部にシーラント層を形成して上記中空層を密封した複層ガラスは、断熱性能、防音性能、結露防止性能が優れ、建築用、車輌用、各種装置用、ショーケース用等の窓用ガラス、あるいはドアー用ガラスとして広く使用されている。」(1頁右欄9行?15行)と記載されている
よって、甲第5号証ないし甲第9号証より、「2枚のガラス板間に閉鎖空間を形成し、断熱効果を得て結露を防止する技術」が周知技術(以下、「周知技術B」という。)であると認められる。
しかしながら、甲第2号証には、側壁5とアクリル片13との間に閉鎖空間を形成することや、アクリル片13の断熱や結露防止が必要であることを示唆する記載も無いから、甲2発明に周知技術Bを適用しようとする動機付けは無い。よって、周知技術Bを考慮しても、相違点1に係る本件特許発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできない。

イ.相違点2について
請求人は、甲第2号証に「液体用タンク」との記載があり、液体である水を排除することは記載されていないから、甲2発明の「燃料タンク」を「貯水タンク」とすることは、当業者が容易に想到しえた旨主張するので、以下検討する。
甲第2号証には、日光中の紫外線によるポリエチレン材の劣化を防止したポリエチレンタンク用のゲージに関する発明であることが記載され、日光に曝されるタンクとして、芝刈り機の燃料タンクと、農業での撒布用の薬剤タンクが記載されている(上記(1)イ、ウ)。そして、甲第2号証には、実施例を含め、主として、小型エンジンの燃料タンクについて記載されており、燃料タンク以外の具体的な例としては、農業での撒布用の薬剤タンクが記載されているのみである。そうすると、甲第2号証における「液体用タンク」は、日光に曝されることを前提とするものであって、例示された燃料タンクと薬剤タンクの両方を含む上位概念として理解することはできるものの、「貯水タンク」を含むものと理解することはできない。また、その他に甲第2号証に「貯水タンク」を示唆するような記載は無い。
よって、甲2発明の「燃料タンク」を「貯水タンク」とすること、すなわち、相違点2に係る本件特許発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできない。

(4)小括
以上のとおり、相違点1および相違点2に係る本件特許発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできないから、請求人の主張する無効理由1によっては、本件特許発明1についての特許を無効とすることはできない。

2.無効理由2について
(1)甲第16号証の記載
甲第16号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.「意匠に係る物品」の欄に「浄水器」

イ.「説明」の欄に「本物品は、正面図の右下方の突出部にホースを接続し、内部のフィルターによつて浄化するものである。図面中、薄墨で表わした部分は透明である。背面図は正面図と対称にあらわれる。」

ウ.「透明部分を表わす参考左側面図」および「内部機構を省略したA-A線断面図」として、それぞれ、次の図。



これらの記載によれば、甲第16号証には、次の発明(以下、「甲16発明」という。)が記載されていると認められる。

「略四角形の透明な部分が外観される浄水器。」

なお、請求人は、甲第17号証ないし甲第21号証に記載された周知技術を踏まえれば、甲第16号証には「水位表示可能な透明な表示窓が形成された浄水器本体を備えた浄水器。」との発明が記載されていると主張するが、以下のとおり、採用できない。
上記「イ」、「ウ」に示した甲第16号証の記載によれば、浄水器の内部にはフィルターや内部機構が存在するものと解され、一方、甲第16号証に、浄水器の内部に貯水することを示す記載は見当たらないから、甲第16号証の浄水器は、内部に貯水するものとまでは認められない。
そして、例えば、甲第21号証には、「【0036】一方、図5に示すこの浄水器10の外側ケース12の前面側の左寄りの位置には、図6に示すような貯水槽22内の水量を表示する水位計66が設置されており、また、外側ケース12の前面側の右寄りの位置には、図7に示すような表示パネル68が貼り付けられている。」と記載され、【図5】、【図6】には、外側ケース12の前面に水位計66が設置される様子が示されているから、内部に貯水する浄水器に水位表示部を設けることが開示されているといえる。
しかし、内部に貯水しない浄水器に水位表示部を設けることは、甲第17号証ないし甲第21号証のいずれにも開示されていない。
したがって、甲第17号証ないし甲第21号証を参酌しても、甲第16号証に記載された略四角形の透明な部分を「水位表示可能な透明な表示窓」と認めることはできず、甲第16号証に、請求人が主張する発明が記載されていると認めることはできない。

(2)本件特許発明2と甲16発明との対比
甲16発明の「浄水器」は、本件特許発明2の「浄水機」に相当するが、その余に共通するところは無い。
よって、本件特許発明2と甲16発明とは、以下の点で相違する。

[相違点4]
本件特許発明2が「透明樹脂によって形成されたタンク本体と、該タンク本体に環状の弾性部材から構成されたスペーサーを介して取付けられ、透明な紫外線カット樹脂から形成された水位表示板とを備えていることを特徴とする貯水タンク」を備えるのに対し、甲16発明は、そのような貯水タンクを備えていない点。

(3)判断
相違点4に係る本件特許発明2の構成に含まれる、タンク本体への水位表示板の取付け態様である「環状の弾性部材から構成されたスペーサーを介して」取付ける点は、「1.無効理由1について」で検討した、相違点1に係る本件特許発明1の構成と同じである。
相違点4に係る本件特許発明2の構成に含まれる、「貯水タンク」を備える点は、「1.無効理由1について」で検討した、相違点2に係る本件特許発明1の構成と同じである。
そして、「1.無効理由1について」で検討したとおり、相違点1、相違点2に係る本件特許発明1の構成は、甲2発明、および、甲第10号証ないし甲第15号証から認定できる周知技術に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、相違点4に係る本件特許発明2の構成も、甲2発明、および、甲第10号証ないし甲第15号証から認定できる周知技術に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。
また、甲第16号証にも、相違点4に係る本件特許発明2の構成を示唆するような記載は無いから、甲第16号証を考慮しても、上記判断は変わらない。
したがって、相違点4に係る本件特許発明2の構成は、甲16発明、甲2発明、および、甲第10号証ないし甲第15号証から認定できる周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。

(4)小括
以上のとおり、相違点4に係る本件特許発明2の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできないから、請求人の主張する無効理由2によっては、本件特許発明2についての特許を無効とすることはできない。

第6 結び
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件特許発明1ないし2に係る特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-09-12 
出願番号 特願平11-178463
審決分類 P 1 113・ 121- Y (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 宏之  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 亀田 貴志
紀本 孝
登録日 2008-04-18 
登録番号 特許第4113638号(P4113638)
発明の名称 貯水タンク及び浄水機  
代理人 的場 照久  
代理人 高橋 幸平  
代理人 梁瀬 右司  
代理人 振角 正一  
代理人 川下 清  
代理人 宮崎 伊章  
代理人 今田 晋一  

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