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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B25B
管理番号 1264037
審判番号 不服2011-15624  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-19 
確定日 2012-10-04 
事件の表示 特願2005-302608「スクリュードライバ」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月10日出願公開、特開2007-111778〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成17年10月18日の特許出願であって、平成22年12月9日付けで拒絶の理由が通知され、平成23年2月14日に手続補正がなされ、同年4月12日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、同年7月19日に本件審判の請求とともに手続補正がなされ、当審において同年11月28日付けで審尋がされたが、指定期間内に何ら応答がなく、平成24年4月24日付けで拒絶理由が通知され、同年7月9日に手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年7月9日に補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりと認められる。

「外部電源として交流電源を供給され、直流電源を供給する電源部と、
前記電源部から駆動電源を供給されて駆動する駆動部と、
前記駆動部により回転操作されるネジ締め用工具取付部と、
前記電源部から直流電源を供給されて励磁する電磁石部と
を備え、
前記電磁石部は、前記駆動部を収納する外筐体の一側部又は両側部に設置されており、前記電源部から電源を供給されて励磁しているときに、前記ネジ締め用工具取付部に取付けられるネジ締め用工具に装着されるネジを吸着し、
前記電源部に外部電源が供給されている状態においては、常に、前記電磁石部の励磁コイルに給電がされ、前記電磁石部が励磁され、前記電磁石部にネジが吸着されるかどうかによって、前記外部電源の供給の有無を判断することができる
ことを特徴とするスクリュードライバ。」

3.刊行物記載の発明
(1)刊行物1
これに対し、本願出願前に頒布された刊行物であって、当審で通知した拒絶理由に引用された実願昭61-172351号(実開昭63-76475号)のマイクロフイルム(以下「刊行物1」という。)には、次のように記載されている。

ア.第4ページ第12行?第5ページ第1行
「この電動工具(1)は、電動機を内蔵した本体と、本体の先端に取り付けられる回転軸(2)とからなる。言うまでもなく、この回転軸(2)は電動機により回転させられ、回転軸(2)の先端に取り付けられたネジ(図示せず)を回転させるものである。
そして電動工具(1)本体の上部には、永久磁石(3)が締付ネジ(4)により取り付けられている。この磁石の形状は自由であるが、この実施例では矩形の平板状とした。」

イ.第5ページ第18行?第6ページ第12行
「本考案は種々変更して実施可能であり、磁石の形状、大きさ、個数は自由であり、又取付箇所も、本体の側面等適宜位置に変更し得る。又、実施例では本体より磁石を突出させたが、本体に埋め込み、本体表面と面一或は本体表面より深くなるように配してもよい。磁石は永久磁石の他、電磁石を用いてもよい。・・・。
〈考案の効果〉
叙上の通り本考案においては、電動工具に設けられた磁石に、複数のネジ・クギ類を磁着させることができる。従って、作業者は、数本のネジ・クギ類を袋から取り出し、電動工具に磁着させて溜めておき、・・・。」

ウ.第1図
電動工具(1)が、外部電源に接続するためのケーブルを有すること。

日本において、外部電源が交流であることは技術常識である。
また、電動工具(1)に内蔵された電動機が回転軸(2)を回転させるものであるから、電動工具(1)が、外部電源を供給される電源部を有することは明らかである。
磁石として「電磁石」を採用した場合、かかる電磁石は、当然「電源部から電源を供給されて励磁」し「励磁しているときに、回転軸(2)に取付けられるネジ締め用工具に装着されるネジを吸着」するものとなる。

これらを、図面を参照しつつ、技術常識を踏まえ、本願発明に照らして整理する。
上記刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

「外部電源として交流電源を供給される電源部と、
前記電源部から駆動電源を供給されて駆動する電動機と、
前記電動機により回転される、先端に取り付けられたネジを回転させる回転軸(2)と、
前記電源部から電源を供給されて励磁する電磁石と
を備え、
前記電磁石は、前記電動機を収納する本体の側面に設置されており、前記電源部から電源を供給されて励磁しているときに、前記回転軸(2)に取付けられる電動工具(1)に装着されるネジを吸着する、
電動工具(1)。」

(2)刊行物2
同じく実願昭54-124264号(実開昭56-42873号)のマイクロフイルム(以下「刊行物2」という。)には、次のように記載されている。

ア.第2ページ第6?8行
「本案は磁石を内蔵した電動ドライバーに係り、ビスの吸着を良好にして締付作業の能率向上を図る・・・。」

イ.第4ページ第4?5行
「電源コード10を直接電磁石の両端に接続する。」

これらを、技術常識を踏まえ整理すると、刊行物2には、次の事項(以下「刊行物2事項」という。)が記載されていると認められる。
「ビスの吸着を良好にして締付作業の能率向上を図るため、電磁石を内蔵し、電源コード10を直接電磁石の両端に接続した電動ドライバー。」

4.対比・判断
(1)対比
刊行物1発明の「電動機」は本願発明の「駆動部」に相当し、同様に、「回転」は「回転操作」に、「先端に取り付けられたネジを回転させる回転軸(2)」は「ネジ締め用工具取付部」に、「電磁石」は「電磁石部」に、「本体の側面」は「外筐体の一側部又は両側部」に、「電動工具(1)」は「ネジ締め用工具」又は「スクリュードライバ」に、相当する。

そうすると、本願発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致する。
「外部電源として交流電源を供給される電源部と、
前記電源部から駆動電源を供給されて駆動する駆動部と、
前記駆動部により回転操作されるネジ締め用工具取付部と、
前記電源部から電源を供給されて励磁する電磁石部と
を備え、
前記電磁石部は、前記駆動部を収納する外筐体の一側部又は両側部に設置されており、前記電源部から電源を供給されて励磁しているときに、前記ネジ締め用工具取付部に取付けられるネジ締め用工具に装着されるネジを吸着する
スクリュードライバ。」

そして、以下の点で相違する。
相違点1:電源部について、本願発明では「直流電源を供給」するが、刊行物1発明では明らかでない点。
相違点2:本願発明では「電源部に外部電源が供給されている状態においては、常に、電磁石部の励磁コイルに給電がされ、前記電磁石部が励磁され、前記電磁石部にネジが吸着されるかどうかによって、前記外部電源の供給の有無を判断することができる」が、刊行物1発明では明らかでない点。

(2)判断
ア.相違点1
相違点1について検討する。
刊行物1発明においては、電源部が供給する電源が、直流か交流か明らかではない。
スクリュードライバ等の電動工具において、外部から供給される交流電源を直流電源に変換し、直流電源を供給するものは、特開2004-255569号公報の段落0016、特開2003-200362号公報の要約、特開2003-123050号公報の段落0012、特開2003-18884号公報の要約、特開平1-127281号公報の第4図の従来例にみられるごとく周知である。
また、電磁石部からの電源は「電磁石部」に供給されるが、電磁石は、「直流電磁石」、「交流電磁石」いずれも周知であるから、直流電源の採用に伴い、電磁石部を「直流電磁石」とすることで、対応可能である。
したがって、刊行物1発明に、かかる周知技術を適用し、電源部が直流電源を供給し、直流電源を電磁石部に供給することに格別の困難性は認められない。

請求人は、意見書において、直流電磁石による効果を主張するが、明細書の記載にもとづくものではなく、しかも、直流電磁石の採用により予想される効果にすぎないから(例えば、山信金属工業株式会社のホームページ「サービス情報-電磁石について」)、格別のものではない。

イ.相違点2
相違点2について検討する。
(ア)検討1
刊行物1発明における磁石は、常に磁力を発生させるものである永久磁石に代えて、電磁石としたものである。
また、刊行物1発明は、作業の利便性の観点から、「作業者は、数本のネジ・クギ類を袋から取り出し、電動工具に磁着させて溜めて」おく(上記3.(1)イ.)。
すなわち、外部電源供給状態においては、ネジ締め回転の有無にかかわらず、常に磁石を励磁しているものと解される。
よって、刊行物1発明において、作業の利便性の観点から、「常に、電磁石部の励磁コイルに給電がされ、前記電磁石部が励磁され、前記電磁石部にネジが吸着される」ものとすることに困難性は認められない。
結果として、「電磁石部にネジが吸着されるかどうかによって、外部電源の供給の有無を判断することができる」ようになり、相違点2に係るものとなる。

(イ)検討2
刊行物2事項は、上記のとおり「ビスの吸着を良好にして締付作業の能率向上を図るため、電磁石を内蔵し、電源コード10を直接電磁石の両端に接続した電動ドライバー」であって、「電源コード10を直接電磁石の両端に接続」するものである以上、電源供給状態においては、常に電磁石を励磁しているものである。
作業の利便性の観点からは、「常に、電磁石部が励磁」されることが望ましいことは明らかである。
よって、刊行物1発明において、刊行物2事項を踏まえ、「常に、電磁石部の励磁コイルに給電がされ、前記電磁石部が励磁され、前記電磁石部にネジが吸着される」ものとすることに困難性は認められない。
結果として、「電磁石部にネジが吸着されるかどうかによって、外部電源の供給の有無を判断することができる」ようになり、相違点2に係るものとなる。

請求人は、刊行物2事項の電磁石には「交流電源」が供給されると主張する。
確かに、刊行物2事項においても、外部電源は「交流」と解される。しかし、「直接」接続するという点においては、電磁石に供給される電源が交流か直流かは問題とならない。
さらに、上記周知技術を踏まえれば、刊行物2事項において、電磁石に「直流」が供給されることを排除するものではない。
よって、請求人の主張は根拠がない。

また、これら両相違点を総合勘案しても、格別の技術的意義が生じるとは認められない。

5.むすび
本願発明は、刊行物1発明及び周知技術に基づいて、又は刊行物1発明、刊行物2事項、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものであるから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-03 
結審通知日 2012-08-07 
審決日 2012-08-20 
出願番号 特願2005-302608(P2005-302608)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木 誠  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 野村 亨
菅澤 洋二
発明の名称 スクリュードライバ  
代理人 山崎 高明  
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