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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1264588
審判番号 不服2011-26254  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-05 
確定日 2012-10-11 
事件の表示 特願2006-321655「基板搬送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月12日出願公開、特開2008-135630〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成18年11月29日の特許出願であって、平成23年1月24日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月22日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月31日付けで拒絶の査定がなされた。
そして、上記拒絶査定を不服として平成23年12月5日に審判の請求がなされ、同日付けで手続補正書が提出され、その後、当審の平成24年4月26日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年6月30日付けで、特許請求の範囲及び明細書を補正対象書類とする手続補正書及び意見書が提出されたものである。
本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明は、平成24年6月30日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲及び明細書、出願当初の図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は、次のとおりである。(以下「本願発明」という。)
「 【請求項1】
装置本体が大気中に位置し、該装置本体の蓋部を介して区画された真空環境内のトランスファーチャンバー内に、
前記装置本体から、上端が第1アームの根元部を支持して回転させる第1の中空回転駆動軸と、該第1の中空回転駆動軸に内側に同軸的に位置し、前記第1アーム内の伝達手段を介して第2アームを第1の従動軸回りに回転させる第2の中空回転駆動軸と、該第2の中空回転駆動軸の内側に同軸的に位置し、前記第2のアーム先端の第2の従動軸に回動可能に支持されたツインハンドの下側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる第3の中空回転駆動軸と、該第3の中空回転駆動軸の内側に同軸的に位置し、前記ツインハンドの上側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる、前記3本の中空回転駆動軸を貫通する中実回転駆動軸とからなる、4本の回転駆動軸の上端を突出させ、
前記第1アームを、前記第1の中空回転駆動軸回りに旋回させるとともに、前記第1の従動回転軸を介して前記第1アームに連結された前記第2アームを、第1アームからの回転駆動力により、前記第1アームに対して所定角度で回動させ、
前記第2の従動回転軸に同軸的に支持され、それぞれ独立して回動可能に連結されたツインハンドの上側ハンド、下側ハンドの先端で基板を把持するようにした基板搬送装置であって、
前記第1アーム、第2アーム、ツインハンドの上側ハンド、下側ハンドをそれぞれ駆動する4台の駆動手段が、前記装置本体内に昇降可能に収容された支持フレームの前記各回転駆動軸と離れた部位に支持され、該支持フレームが昇降手段の駆動により昇降し、前記各回転駆動軸の前記真空環境内への突出量が調整されるとともに、
前記各駆動手段と、前記第1アーム、第2アーム、及びツインハンドの上側ハンド、下側ハンドを支持する同軸配置された4本の回転駆動軸との間にベルト伝達手段が設けられ、
前記第1アーム、第2アーム、及びツインハンドの上側ハンド、下側ハンドは、前記装置本体内で、各回転駆動軸から前記ベルト伝達手段を介して入力された回転駆動力により、
前記第1アームが、前記第1の中空回転駆動軸位置を旋回中心点として旋回し、
前記第2アームが、前記第1の従動回転軸を介する前記第1アームとの間のアーム屈伸により所定位置に移動し、
前記ツインハンドの上側ハンドと下側ハンドとが、前記第2の従動回転軸回りに独立して制御されて回動し、前記トランスファーチャンバーに連設されたチャンバー間で、前記基板の受け渡しを行うことを特徴とする基板搬送装置。」

2 引用刊行物記載の発明・事項
これに対して、当審での平成24年4月26日付けの拒絶の理由に引用された、本件出願前である平成16年11月18日に頒布された特表2004-535072号公報(以下「刊行物」という。)には、以下の記載がある。
ア 段落【0001】
「本発明は基板加工装置に関し、特に、独立した多エンドエフェクタを備えた移送装置を有する基板加工装置に関する。」
イ 段落【0008】
「基板加工装置10はフロントすなわち大気圧セクション12と、隣接後部すなわち真空セクション14とから構成し得る。図1に示す加工装置10の配置は、例示であり、他の実施例においては、基板加工装置はいかなる好適な配置や形状を有していても良い。図1に示す本実施例においては、フロントセクション12は、大概、フレーム16と、基板保持カセット22と、基板移送装置24とを備えている。後部セクション14は、通常、メインセクション18と、加工モジュール36と、真空基板移送装置34とを備えている。フロントセクション12のフレーム16は、基板加工装置10の後部セクション14に隣接して良い。フロントセクションのフレーム16は、通常、多くの基板保持カセット22を支持している(図1では例示のため、2つのみが示されている)。基板保持カセット22は、その中に多くの基板を保持している。基板は、例えば、半導体ウエハ、フラット・パネル・ディスプレイ基板、その他のいかなる好適な基板形式であっても良い。フロントセクション12のフレーム16は、大気に開放している。大気圧基板移送装置24はフレーム16に取付けられており、装置10の保持カセット22と真空後部セクション14との間で基板を移送する。後部セクション14のメインセクション18はセントラルチャンバ26と、中間チャンバ28、 30とを含んでいる。加工モジュール36は、通常、メインセクション18の周囲に配置されており、メインセクションの外側にある開口部を介してセントラルチャンバ26と通じている。中間チャンバ28は、メインセクションの内側開口部を介してセントラルチャンバ26と通じている。メインセクション18は、また、外側開口部を有しており、これにより中間チャンバ28、30が隣接した大気圧フロントセクション12と通じることが可能となる。真空基板移送装置34はメインセクションに取付けられており、セントラルチャンバ26を介して中間チャンバ28と加工モジュール36との間で基板を移送する。加工モジュール36は特有のシステムを有した1つまたは複数のチャンバを有しており、これにより例えば、スパッタリング、コーティング、エッチング、ソーキング等の種々の加工処理をチャンバに設置された基板に対して行なう。後部セクション14のセントラルチャンバ26は十分な真空状態が保たれており、中間チャンバ28、 30と加工モジュール36との間での移送の際における基板の汚染を防止する。後部セクションの外側開口部32は閉じることが可能で、これにより、セントラルチャンバ26を加工モジュール36から隔離する。内側開口部38は閉じることが可能で、これにより、セントラルチャンバ26を中間チャンバ28、30から隔離する。メインセクション18の外側開口部40は閉じることが可能で、これにより、中間チャンバをチャンバ外の外部環境から隔離する。基板加工装置10は更にコントローラ400を含んでおり、該コントローラは装置10の操作をコントロールする。コントローラ400からの指令に従い、大気圧移送装置24は新たな基板をカセット22から中間チャンバ28、30へ移送し、加工された基板を中間チャンバからカセット22へ戻す。大気圧移送装置24は独立した多エンドエフェクタを含み得るものであり、これにより、以下に詳細に記述するように基板のカセット22への出し入れにおいて、基板が迅速に交換される。中間チャンバ28、30の片方または両方はロードロックであっても良い。コントローラ400はロードロックをサイクルさせ、真空基板移送装置34を操作してセントラルチャンバを介して中間チャンバ28、30から加工モジュール36へ基板を移送する。真空移送装置34は独立した多エンドエフェクタを含み得るものであり、これにより、以下に詳細に説明するように、基板のロードロックまたは加工モジュールへの出し入れにおいて基板が迅速に交換される。基板はその後加工され、中間チャンバを介してカセット22に戻される。」
ウ 段落【0010】?【0011】
「引き続き図1を参照すると、真空セクション14は例示的な構成で示されており、他の実施例の真空セクションはいかなる好適な構成であっても良い。図1に示す実施例では、メインセクション18は一般的な長方形形状を有している。加工モジュール36はメインセクション18の3側面に沿って配置されていることが示されているが、他の実施例においては、加工モジュールは1側面または2側面に配置されても良い。本実施例では、2つの加工モジュール36がメインセクション18の各側面に配置される。図1に示されるように、メインセクションの各側面の加工モジュール36は真空基板移送装置34からラジアル状に並置されている。前述したように大気圧モジュール12に隣接したメインセクション18の側面に配置された中間チャンバ28、30は、基板移送装置34からラジアル方向に配置されている。基板移送装置34は、メインセクション18のセントラルチャンバ26のほぼ中央に配置されている。真空基板移送装置34は大気圧移送装置24とほぼ同様であって良く、駆動部42A及び多関節アームアセンブリ44Aを有している。前述したように、真空移送装置34は、アームアセンブリに独立した多エンドエフェクタを有している。
本実施例の大気圧移送装置24と真空移送装置34とは、ほぼ同様である。従って、大気圧装置24を特に参照しながら大気圧装置24及び真空装置を、以下に詳細に説明する。図2に示されるように、可動アーム44は4つのセクションを有しており、それらは、上部アーム60、前部アーム62、及び2つのエンドエフェクタ64、66である。上部アーム60及び前部アーム62は連続して接続している。前部アーム62は2つのエンドエフェクタ64、66を支持しており、それらのエンドエフェクタは前部アームの末端において、一方が他方に積み重なっている。上部アームは、以下に詳細に説明するように駆動部42に接続している。本実施例においては、移送装置24の駆動部42は、フレーム16に固着されており、移送装置の中心は並設したカセット22の間に位置している(図1参照)。他の実施例の駆動部は、装置のフレームに対して水平な面上を移動自在な車に取付けられても良い。駆動部42は3軸方向に駆動するものであり、可動アーム44を3軸に沿って動かすことが可能である。駆動部42は好適な駆動装置(図示せず)を含んでおり、これにより可動アーム44を垂直に上げ下げする(すなわち、Z軸に沿った運動)。例えば、駆動部はハウジング46(図2参照)を含んで良く、該ハウジングによって可動アーム44が支持されている。垂直駆動装置はモータとボールスクリュからなる構成(図示せず)を含み得るものであり、該構成はハウジングに接続され、該構成が操作されることによりボールスクリュに沿ってハウジングを上げ下げする(図2の矢印Zで示される方向)。他の実施例においては、垂直駆動装置はいかなる好適なリニア駆動形式であっても良い。真空移送装置(図1参照)は垂直駆動装置を含まなくても良い。図2及び図3を参照すると、ハウジングは好適には同軸駆動装置48を含んでおり、これにより可動アーム44を回転軸θ周りに作動させ(すなわち、θ運動)、かつ、可動アームを半径軸Tに沿って伸び縮みさせる(すなわち、T運動)。本実施例に示す駆動部42の同軸駆動装置48は、例えば米国特許第5,899,658号に示されているような同軸駆動装置であり、全て本願の開示に組み入れられる。他の実施例においては、同軸駆動装置は、可動アームを作動させてθ運動とT運動とを共に生じさせることが可能な他のいかなる好適な駆動装置であっても良い。」
エ 段落【0012】
「図3に示されるように、ハウジング46は中央に開口部のあるフランジを有しており、該開口部を介して2つの同軸アウトプットシャフトが延在している。外部シャフトは4と示されており、内部シャフトは5と示されている。両アウトプットシャフトの末端部において、パイロットベアリング6が両シャフトを分離し、かつ、互いに支持している。2つのシャフトは回転軸θ周りを独立して回転することができる。両シャフトの動きは、互いに一緒に動く場合と、互いに反対方向に動く場合とがある。前者の動きによりアーム44が回転し、後者の動きによりアームが伸び縮みする。内部シャフトは外部シャフトより長く、ハウジング46の外側に存在している内部シャフトの末端部は対応する外部シャフトの末端部から更に伸長している。内部シャフト5の末端部は伝動システム70のドライブプーリ71に接続している。外部シャフトの末端部は上部アーム60に直接固着している。これにより、外部シャフト4が回転すると、上部アームは、θ軸周りを該シャフトと共に回転する。ロータ7が外部シャフト4の外表面上に支持されており、対応するステータ8がロータ7の外側に支持されている。同様に、ロータ9が内部シャフト5の外表面上に支持されており、対応するステータ11がロータ9の外側に支持されている。各ステータは駆動装置の一部であって、対応するシャフトを回転させる。・・・」
オ 段落【0013】?【0015】
「図4及び図5を参照すると、アームアセンブリ44の略正面の断面図及び、略平面図がそれぞれ示されている(図5には、明瞭化のためエンドエフェクタ64、66が図示されていない)。前述したように、アームアセンブリ44は上部アーム60、前部アーム62、及び本実施例においては2つのエンドエフェクタ64、66を含んでいる。他の実施例のアームはいかなる所望の数量のエンドエフェクタを含んでいても良い。例えば、該アームは前部アームにただ1つだけのエンドエフェクタが取付けらられていても良い。アームアセンブリ44は、更に、前部アーム62を回転させる伝動システム70と、独立してエンドエフェクタ64、66を回転させる2つのエンドエフェクタ駆動システム78、80とを有している。上部アーム60は、図4及び図5に概略図で示されるような、外部ケーシング61または他の好適な枠構造を有している。前述したように、上部アーム60の外部ケーシング61(いかなる好適な材料により製造されるものであって良い)は同軸駆動装置の外部シャフト4に直接固着されている。上部アームのケーシング61と外部駆動シャフト4との間の接合部がアームアセンブリ44のショルダ72を画定する。また、外部ケーシング61は図4に示すように、前部アーム62を枢支している。これにより、アームアセンブリのエルボ結合部74を画定している。図2及び図4から理解されるように、外部シャフト4の回転が上部アームケーシング61、ひいてはショルダ72を介して延在する全アーム、をθ軸周りに回転させる。図4及び図5に示されるように、上部アームの外部ケーシング61は伝動システム70及びエンドエフェクタ駆動システム78、80の一部を備えている。伝動システム70は、通常、駆動プーリ71、遊びプーリ73及びベルト70からなる。前述したように、駆動プーリ71は、アームのショルダ72において、同軸駆動装置の内部シャフト5に取付けられている。遊びプーリ73は、アームアセンブリ44のエルボ74において、同軸シャフトアセンブリ90の外部シャフト92に取付けられている。ベルト70は駆動プーリ71と遊びプーリ73とを係合し、よって駆動プーリ71の回転(内部シャフト5の回転により生じる)を73の回転に、そしてシャフト92の回転に伝える。
エルボ24における同軸シャフトアセンブリ90は、3つの同軸シャフト92、94、96から構成されるのが好ましい。外部シャフト92、中間シャフト94及び内部シャフト96は、外部ケーシング61にスラストと、ローラまたはボールベアリング(図示せず)との好適な組合せによって軸支され、これによりシャフトはアームのエルボ74においてY1軸周りを独立して回転することができる。外部シャフト92が最も短く、中間シャフト94と内部シャフト96とが、順次、外部シャフトの上側及び下側両方に伸長している(図4に示されている)。外部シャフト92は、その一端が前部アーム62に固定されており、遊びプーリ73が外部シャフト92上に固着している。これにより、伝動システム70が遊びプーリ73を回転させると、前部アーム62が関節部においてY1軸周りを回転する。
上部アームの外部ケーシング61内に収納されているエンドエフェクタ駆動システムの一部に、モータ82、84及び伝動セグメント79、81が含まれる。外部ケーシング61は、ケーシングの内側部分61Iから延在した延在部63を有している(図4参照)。内側部分61Iはショルダ72とエルボ74との間に延在している。図4に示されるように、延在部63はショルダの面の反対側に位置しており(すなわち、回転軸θ)、外部ケーシングの内側部分61Iから延在している。延在部63は外部ケーシング61の他の部分に比べて広げられていても良い。延在部は、ショルダから十分に退行した位置に内側壁63Wを有しており、よって前部アームは、上部アーム60の延在部63に干渉することなく、エルボにおいてY1軸周りを360°回転自在になり得る。図4Aに示されるように、延在部63及び内側部分61Iが、前部アーム62が位置する上部アームの1段(step)すなわち凹部(recess)61Rを画定する。従って、上部アーム60の凹部63R内に前部アーム62が位置する本構成により、アームアセンブリの全体的な積み重ね高さ(すなわち、最上表面66Tと最低表面66Bとの間の高さであって、図4AにおいてHで示されている)を通常のアームアセンブリに比べてより低くすることができる。更に、上部アーム60の延在部63がショルダからオフセットしていることにより、延在部63の高さを所望のサイズにすることができ、これによりアームアセンブリの積み重ね高さを増加させたり前部アームの動きに干渉されることなく、エンドエフェクタ駆動システムのモータ82、84を収納することができる。本実施例においては、延在部63は、エンドエフェクタ駆動システムの2つのモータ82、84を収納している。本実施例においては、モータ82、84は、以下に詳細に説明するように並んで収納されている(図6参照)。従って、図2に示すように、外部ケーシング61は概ね先細り形状をしており、エルボ74が狭くて延在部63に向って広くなっている。他の実施例においては、上部アームの外部ケーシングは、前部アームを動かす伝動システムに加えてエンドエフェクタ駆動システムのモータや伝動部を収納するようないかなる好適な形状であっても良い。」
カ 段落【0016】?【0017】
「図6を参照すると、図2の上部アーム外部ケーシング61の延在部63を6-6線から見た略断面図が示されている。図6に示されるように、本実施例においては、2つのモータ82、84が並んで配置されている。他の実施例においては、前述したように、アームアセンブリは独立してエンドエフェクタを回転させるいかなる好適な数量のモータを有して良く、該モータは上部アーム内においていかなる所望の構成で配置されても良い。例えば、アームアセンブリが1つのエンドエフェクタを有する他の実施例においては、エンドエフェクタを動かすただ1つのモータが上部アームの延在部に配置されるであろう。他の実施例においては、上部アーム内のモータは他のいかなる好適な態様で配置されていても良い。例えば、非対称の配置、またはアームのショルダにおいて回転軸と合わせて1列に並んだ配置でも良い。モータ82、84はブラシレス直流モータであって良く、例えば、コールモルガン(Kollmorgan)から入手できるが、他のいかなる好適なモータを使用しても良い。これにより特に真空移送装置34(図1参照)において有利となる。なぜならば、ブラシレスモータは可動部同士の接触を最小化するからである。よって、装置の真空セクションにおける汚染の発生が回避される。モータ82、84は、特記した点以外はほぼ同様のものなので、モータ82を参照しながら以下に説明する。モータ82はハウジング82Hを有し、該ハウジングはシャフト82Sを支持している。ハウジング82Hは、延在部63の頂部63Tに支持され得る。シャフト82Sは好適な半径方向及び軸方向ベアリングによってハウジングに軸支されている。シャフト82Sには直流モータのロータ82Rが取付けられている。ステータ82Tがハウジング82Hに取付けられている。シャフト82Rは、更に好適なエンコーダ(図示せず)を備えている。該エンコーダはコントローラ400(図1参照)に接続しており、シャフト82Sの回転/位置信号をコントローラに送る。モータ82が起動すると、モータはエンドエフェクタ駆動システム78を駆動させ、該エンドエフェクタ駆動システム78はエンドエフェクタ64を回転させる(図4参照)。すなわち、シャフト82Sの一端が伝動セグメント79の駆動プーリ101に接続している。モータ84は駆動システム80を作動させるために使用され、該駆動システム80はエンドエフェクタ66を回転させる。シャフト84Sが伝動セグメント81の駆動プーリ103に接続している。シャフト84Sの端部は、プーリ103がシャフト82Sのプーリ101の下側に位置するように配置される。シャフト82Sの端部は、プーリ 101がプーリ71の下側となるように配置される(図4参照)。駆動システム78の伝動セグメント79(上部アーム60内に配置されている)は、遊びプーリ104及びベルト102に加えて駆動プーリ101を含んでいる。遊びプーリ104及び駆動プーリ101は、例えばプーリ減速比が4:1となるような大きさが用いられ得るが、他のいかなる所望のプーリ減速比を用いても良い。他の実施例においては、上部アーム内の伝動セグメントの駆動プーリ対遊びプーリの比は他のいかなる所望のもので良い。遊びプーリ104は、エルボ74において同軸シャフトアセンブリ90の中間シャフト94に取付けられている(図4参照)。ベルト102が駆動プーリ101と遊びプーリ104とを接続している。第2エンドエフェクタ駆動システム80の伝動セグメント81(上部アーム60内)は、遊びプーリ106及びベルト105に加えて駆動プーリ103を有している。遊びプーリ106は、エルボ74において同軸シャフトアセンブリ90の内部シャフト96に取付けられている。ベルト105が駆動プーリ103と遊びプーリ106とを結合している。図4に示されるように、上部アーム内において、セグメント81がセグメント79の下側となるように、伝動セグメント79、81の一方が他方に積み重なっている。伝動セグメント79、81はどちらも前部アームを操作する伝動システム70の下側にある。図5はアームアセンブリ44内の伝動システム70及びエンドエフェクタ駆動システム78、80の配置を表わした略底面図を示している。図5から判るように、ばね押しベアリング等のテンション部材70T、79T、81Tがアームアセンブリ内に備わっており、これによりベルト70、102、105のたるみが防がれ、かつ、ベルトの接している駆動システムのプーリからの離脱が抑制される。
図4、5、及び6に示されているように、エンドエフェクタ駆動システム78、80は、各々、第2伝動セグメント83、85を有しており、該第2伝動セグメント83、85は前部アーム62内に収納されている。 伝動セグメント85は内部シャフト96(セグメント81によって動かされる)からのトルクを伝えてエンドエフェクタ66を回転させる。伝動セグメント83は中間シャフト94(セグメント 79によって動かされる)からのトルクを伝えてエンドエフェクタ64を回転させる。伝動セグメント85はプーリ110、遊びプーリ114及びベルト112を含んでいる。プーリ110は内部シャフト96の上端に取付けられており、これによりエルボ74においてプーリとシャフトとが、共にY1軸周りを回転する。遊びプーリ114が、前部アームのリスト(wrist)末端62Wに位置する同軸シャフトアセンブリ118のシャフト120に固着している。同軸シャフトアセンブリ118は、好適には外部シャフト120及び内部シャフト122を有している。外部及び内部シャフト120、122は適切な半径方向及び軸方向ベアリングによって支持されており、これにより、リスト76においてシャフトが独立して回転軸Y2周りを回転することが可能となる。外部シャフト120は、エンドエフェクタ64に固着している。従って、トルクがベルト112によって遊びプーリ114に伝えられると、外部シャフト120はエンドエフェクタ64を軸Y2周りに回転させる。伝動セグメント83はプーリ116、遊びプーリ119、及びベルト118を含んでいる。プーリ116は中間シャフト94の上端に取付けられている。遊びプーリ119は内部シャフト122に固着されており、これにより、遊びプーリ及びシャフトが一体となってY2軸周りを回転する。内部シャフト122は更に他端がエンドエフェクタ66に固着している。従って、トルクがベルト118によってプーリ116(シャフト94上)から遊びプーリ119に伝えられると、内部シャフト122は、リストにおいてエンドエフェクタ66をY2軸周りに回転させる。このようにして、エンドエフェクタを、リストにおいて独立してY2軸周りに回転させることができる。これにより、所与のチャンバの出し入れの際に基板を迅速に交換することにより基板の移送を効果的に行なうことができる。例えば、1つのエンドエフェクタ64をチャンバまで伸ばしてその中の基板をつかみ、一方で他のエンドエフェクタ66(置き換え用基板を保持している)が若干違う向き(例えば約90°未満)に差し向けられている。これにより該チャンバとの干渉が避けられる。その後、アーム44を作動させてチャンバから基板を抜き取り、他のエンドエフェクタ66を該チャンバに差し向ける。その後、第1エンドエフェクタ64は、違う向きに差し向けられ、アームを作動させて第2エンドエフェクタ66をチャンバ内に入れる。このように、エンドエフェクタ駆動システム78、80は、各エンドエフェクタ64、66が、他のエンドエフェクタ 64、66に対して、そして、アーム自身に対して、リストにおいて、連続かつ独立してY2軸周りを回転することを可能にする。」
キ ここで、上記摘記事項ウの「基板移送装置34は、メインセクション18のセントラルチャンバ26のほぼ中央に配置されている。真空基板移送装置34は大気圧移送装置24とほぼ同様であって良く、駆動部42A及び多関節アームアセンブリ44Aを有している。」の記載から、大気圧移送装置24と真空圧移送装置34とは同様の構造であることが理解でき、真空基板移送装置34は真空セクション14内に存在していることから、真空基板移送装置34におけるエンドエフェクタ64、66は真空環境内に存在していることが理解できる。
図面の図2、図3を参照すると、ハウジング46内には、外部シャフト4及び内部シャフト5が設けられているのが見て取れる。そして、外部シャフト4は、中空状で、その上端がハウジング46から上に突出し、上部アーム60の根元部に直接固定され、また、内部シャフト5は、中空状で、外部シャフト4の内側に同軸的に位置し、その上端が外部シャフト4の上端よりも上に突出し、伝動システム70のドライブプーリ71に直接固定されているのが見て取れる。
図面の図4を参照すると、エンドエフェクタ66はエンドエフェクタ64の上部に設けられているのが見て取れる。そして、図4と図6とを対比することにより、シャフト82Sは下端に駆動プーリ101が取り付けられ、該駆動プーリ101の回転が、ベルト102、遊びプーリ104、中間シャフト94、プーリ116、ベルト118、遊びプーリ119、内部シャフト122を介してエンドエフェクタ66に伝えられ、当該エンドエフェクタ66を軸Y2回りに回動させるものであり、また、シャフト84Sの下端に駆動プーリ103が取り付けられ、該駆動プーリ103の回転が、ベルト105、遊びプーリ106、内部シャフト96、プーリ110、ベルト112、遊びプーリ114、外部シャフト120を介してエンドエフェクタ64に伝えられ、当該エンドエフェクタ64を軸Y2回りに回動させるものであることが理解できる。そして、軸Y2が、前部アーム62の先端に位置するものであることは明らかである。
図面の図2及び図4を参照することにより、前部アーム62は、同軸アセンブリ90における軸Y1回りに回動自在に上部アーム60に連結されているものであり、前部アーム62の回動駆動力は、伝動システム70のドライブプーリ71の回転駆動力によるもの、すなわち、上部アーム60からの回転駆動力によるものであることが理解できる。
摘記事項ウの「駆動部42は好適な駆動装置(図示せず)を含んでおり、これにより可動アーム44を垂直に上げ下げする(すなわち、Z軸に沿った運動)。例えば、駆動部はハウジング46(図2参照)を含んで良く、該ハウジングによって可動アーム44が支持されている。垂直駆動装置はモータとボールスクリュからなる構成(図示せず)を含み得るものであり、該構成はハウジングに接続され、該構成が操作されることによりボールスクリュに沿ってハウジングを上げ下げする(図2の矢印Zで示される方向)。」の記載から、ハウジング46は、昇降可能に構成され、これにより、アームアセンブリ44の真空セクション14内の突出量が調整されるものであることは明らかである。
また、図面の図2、4を参照することにより、前部アーム62は、同軸シャフトアセンブリ90を介する上部アーム60との間のアーム屈伸により所定位置に移動するものであることは明らかである。
以上アないしカの記載事項、及びキの認定事項から、刊行物には、以下の発明が記載されていると認められる。
「真空セクション14内のセントラルチャンバ26内に、
真空基板移送装置34のハウジング46から、上端が上部アーム60の根元部に直接固着されて回転する中空状の外部シャフト4と、該外部シャフト4に内側に同軸的に位置し、前記上部アーム60内のドライブプーリ71、伝動システム70、遊びプーリ73を介して前部アーム62を同軸シャフトアセンブリ90の軸心である軸Y1回りに回転させる中空状の内部シャフト5の上端を突出させるとともに、上部アーム60の外部ケーシング61の内部に位置し、前部アーム62先端の軸Y2に回りに回動可能に支持された下側に位置するエンドエフェクタ64を軸Y2回りに回動させるシャフト84Sと、上部アーム60の外部ケーシング61の内部に位置し、前部アーム62先端の軸Y2に回りに回動可能に支持された上側に位置するエンドエフェクタ66を軸Y2回りに回動させるシャフト82Sとを有し、
前記上部アーム60を、前記中空状の外部シャフト4回りに旋回させるとともに、前記同軸シャフトアセンブリ90を介して上部アーム60に連結された前記前部アーム62を、上部アーム60からの回転駆動力により、上部アーム60に対して所定角度で回動させ、
前記軸Y2に同軸的に支持され、それぞれ独立して回動可能に連結された上側のエンドエフェクタ66、下側のエンドエフェクタ64の先端で基板をつかむようにした基板加工装置であって、
前記上部アーム60、前部アーム62をそれぞれ駆動するロータ7、9及びステータ8、11が、ハウジング46内に設けられ、該ハウジング46が昇降手段の駆動により昇降し、アームアセンブリ44の突出量が調整されるとともに、エンドエフェクタ66、64を駆動するモータ82、84が上部アーム60の外部ケーシング61の延在部63内に設けられ、
前記上部アーム60が、前記外部シャフト4の中心を旋回中心点として旋回し、
前記前部アーム62が、前記同軸シャフトアセンブリ90を介する上部アーム60との間のアーム屈伸により所定位置に移動し、
前記エンドエフェクタ66とエンドエフェクタ64とが、前記軸Y2回りに独立して制御されて回動し、セントラルチャンバ26を介して中間チャンバ28と加工モジュール36との間で、基板の受け渡しを行う基板加工装置。」(以下、「引用発明」という。)

3 対比
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「真空セクション14」は、本願発明の「真空環境」に相当する。
引用発明の「セントラルチャンバ26」は、エンドエフェクタ等の基板移送装置を有するもので、本願発明の「トランスファーチャンバー」に相当する。
引用発明の「ハウジング46」は、本願発明の「支持フレーム」に相当するとともに、本願発明の「装置本体」の一部を構成するものである。
引用発明の「上部アーム60」、「中空状の外部シャフト4」、「前部アーム62」、「中空状の内部シャフト5」は、ぞれぞれ、本願発明の「第1アーム」、「第1の中空回転駆動軸」、「第2アーム」、「第2の中空回転駆動軸」に相当する。そうすると、引用発明の「上部アーム60の根元部に直接固定されて回転する」ことは、本願発明の「第1アームの根元部を支持して回転させる」ことに相当し、引用発明の「ドライブプーリ71、伝動システム70、遊びプーリ73」が「伝達手段」と言えるものであることは明らかであり、引用発明の「同軸シャフトアセンブリ90(の軸心である軸Y1)」は、本願発明の「第1の従動軸」に相当する。
引用発明の「下側に位置する(下側の)エンドエフェクタ64」、「上側に位置する(上側の)エンドエフェクタ66」は、それぞれ、本願発明の「ツインハンドの下側に位置する(下側)ハンド」、「ツインハンドの上側に位置する(上側)ハンド」に相当する。また、引用発明の「前部アーム62先端のY2軸」は、本願発明の「第2の従動(回転)軸」に相当する。したがって、引用発明の「上部アーム60の外部ケーシング61の内部に位置し、前部アーム62先端の軸Y2に回りに回動可能に支持された下側に位置するエンドエフェクタ64を軸Y2回りに回動させるシャフト84Sと、上部アーム60の外部ケーシング61の内部に位置し、前部アーム62先端の軸Y2に回りに回動可能に支持された上側に位置するエンドエフェクタ66を軸Y2回りに回動させるシャフト82S」は、「第2のアーム先端の第2の従動軸に回動可能に支持されたツインハンドの下側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる回転駆動軸と、前記ツインハンドの上側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる回転駆動軸」である限りで、本願発明の「第2の中空回転駆動軸の内側に同軸的に位置し、第2のアーム先端の第2の従動軸に回動可能に支持されたツインハンドの下側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる第3の中空回転駆動軸と、該第3の中空回転駆動軸の内側に同軸的に位置し、前記ツインハンドの上側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる、前記3本の中空回転駆動軸を貫通する中実回転駆動軸」と共通する。
引用発明の「基板をつかむ」ことは、本願発明の「基板を把持する」ことに相当する。
引用発明の「アームアセンブリ44の突出量」は、本願発明の「各回転駆動軸の突出量」に相当する。また、アームアセンブリ44が真空環境内に存在することは明らかである。
引用発明の「基板加工装置」は、基板の受け渡しを行うものであるので、「基板搬送装置」と言えるものである。
引用発明の「ロータ7、9及びステータ8、11」が「駆動手段」と言えるものであることは明らかであるとともに、「モータ82、84」も「駆動手段」と言えるものであることも明らかである。
引用発明の「外部シャフト4の中心を旋回中心点として旋回」することは、本願発明の「第1の中空回転駆動軸位置を旋回中心点として旋回」することに相当する。
引用発明の「セントラルチャンバ26を介して中間チャンバ28と加工モジュール36との間で、基板の受け渡しを行う」ことは、本願発明の「トランスファーチャンバーに連設されたチャンバー間で、基板の受け渡しを行う」ことに相当する。
以上の点から、両者は以下の点で一致し、また、以下の点で相違している。
<一致点>
「真空環境内のトランスファチャンバー内に、
装置本体から、上端が第1アームの根元部を支持して回転させる第1の中空回転駆動軸と、該第1の中空回転駆動軸に内側に同軸的に位置し、前記第1アーム内の伝達手段を介して第2アームを第1の従動軸回りに回転させる第2の中空回転駆動軸とからなる、回転駆動軸の上端を突出させ、第2のアーム先端の第2の従動軸に回動可能に支持されたツインハンドの下側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる回転駆動軸と、前記ツインハンドの上側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる回転駆動軸とを有し、
前記第1アームを、前記第1の中空回転駆動軸回りに旋回させるとともに、前記第1の従動回転軸を介して第1アームに連結された前記第2アームを、第1アームからの回転駆動力により、第1アームに対して所定角度で回動させ、
前記第2の従動回転軸に同軸的に支持され、それぞれ独立して回動可能に連結されたツインハンドの上側ハンド、下側ハンドの先端で基板を把持するようにした基板搬送装置であって、
前記第1アーム、第2アームをそれぞれ駆動する駆動手段が、支持フレームに支持され、該支持フレームが昇降手段の駆動により昇降し、前記各回転駆動軸の前記真空環境内への突出量が調整されるとともに、
前記第1アームが、前記第1の中空回転駆動軸位置を旋回中心点として旋回し、
前記第2アームが、前記第1の従動回転軸を介する前記第1アームとの間のアーム屈伸により所定位置に移動し、
前記ツインハンドの上側ハンドと下側ハンドとが、前記第2の従動回転軸回りに独立して制御されて回動し、前記トランスファーチャンバーに連接されたチャンバー間で、前記基板の受け渡しを行う基板搬送装置。」
<相違点1>
基板搬送装置本体の配置につき、本願発明では、「装置本体が大気中に位置し、該装置本体の蓋部を介して区画された真空環境内のトランスファーチャンバー内に回転駆動軸の上端が突出している」のに対して、引用発明では、外部シャフト4や内部シャフト5の上端は真空環境内に突出しているものの、装置本体であるハウジング46が大気中に位置していない点。
<相違点2>
第2のアーム先端の第2の従動軸に回動可能に支持されたツインハンドの下側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる回転駆動軸と、前記ツインハンドの上側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる回転駆動軸とを有し、回転駆動軸の上端を突出させることに関して、本願発明では、「第2の中空回転駆動軸の内側に同軸的に位置し、第2のアーム先端の第2の従動軸に回動可能に支持されたツインハンドの下側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる第3の中空回転駆動軸と、該第3の中空回転駆動軸の内側に同軸的に位置し、前記ツインハンドの上側に位置するハンドを前記第2の従動軸回りに回動させる、3本の中空回転駆動軸を貫通する中実回転駆動軸とからなる、4本の回転駆動軸の上端を装置本体から突出させ」ているのに対して、引用発明では、中空状の外部シャフト4と中空状の内部シャフト5の上端をハンジング46から突出させているものの、ツインハンドの上側ハンド、下側ハンドを駆動する回転駆動軸に関しては、上部アーム60の外部ケーシング61の内部に位置し、前部アーム62先端の軸Y2に回りに回動可能に支持された下側に位置するエンドエフェクタ64を軸Y2回りに回動させるシャフト84Sと、上部アーム60の外部ケーシング61の内部に位置し、前部アーム62先端の軸Y2に回りに回動可能に支持された上側に位置するエンドエフェクタ66を軸Y2回りに回動させるシャフト82Sであるとしている点。
<相違点3>
第1アーム、第2アーム、ツインハンドの上側ハンド、下側ハンドの駆動手段、及び各駆動手段と回転駆動軸との関係に関して、本願発明では、「第1アーム、第2アーム、ツインハンドの上側ハンド、下側ハンドをそれぞれ駆動する4台の駆動手段が、装置本体内に昇降可能に収容された支持フレームの各回転駆動軸と離れた部位に支持され、該支持フレームが昇降手段の駆動により昇降し、前記各回転駆動軸の真空環境内への突出量が調整されるとともに、
前記各駆動手段と、前記第1アーム、第2アーム、及びツインハンドの上側ハンド、下側ハンドを支持する同軸配置された4本の回転駆動軸との間にベルト伝達手段が設けられ、前記第1アーム、第2アーム、及びツインハンドの上側ハンド、下側ハンドは、前記装置本体内で、各回転駆動軸から前記ベルト伝達手段を介して入力された回転駆動力により、」第1アーム、第2アームが旋回移動し、ツインハンドの上側ハンド、下側ハンドが基板の受け渡しを行うのに対して、引用発明では、上部アーム60、前部アーム62をそれぞれ駆動するロータ7、9及びステータ8、11が、ハウジング46内に設けられ、該ハウジング46が昇降手段の駆動により昇降し、アームアセンブリ44の真空セクション14内の突出量が調整されるとともに、エンドエフェクタ66、64を駆動するモータ82、84が上部アーム60の外部ケーシング61の延在部63内に設けられているものである点。

4 当審の判断
上記相違点について検討する。
(1) <相違点1>について
上記2.カに摘記するように、引用刊行物には、装置により真空セクションを汚染しないように考慮することが示されている。そして、基板搬送装置において、装置本体を大気中に位置させ、アーム部を真空環境内に設けることは、拒絶理由において引用した特開2001-157974号公報(段落【0034】及び図面の図4参照。)に示されるように従来周知の事項であって、装置本体を大気中に位置させ、真空部と大気部とを仕切れば、真空セクションの汚染をより確実に回避できることは明らかである。また、当該周知の事項を引用発明に適用できないとする阻害要因も格別見当たらないことからすれば、引用発明において、アーム部が真空セクション14内に存在した状態において、ハウジング46を大気中に位置させるようにすることに、格別の困難性を有するものではない。

(2) <相違点2>について
ハンドを駆動する駆動軸をアームの駆動軸と同軸に設けることは、拒絶理由に引用した特開2004-299808号公報(段落【0015】及び図面の図1参照。ここで、第1駆動モータ30に直結された中空回転軸、第3駆動モータ40に直結された中空状のシャフト15と同軸に第3アーム13を駆動する第3駆動モータ50に直結された中空状のシャフト16が設けられている点を参照。そして、この第3アーム13が「ハンド」に相当する。)や、同じく拒絶理由に引用された特開平10-223721号公報(段落【0047】及び図面の図4参照。ここで、駆動軸56及び回転軸57と同軸に設けられている移動軸58を回転させると、ハンド51のみが上下に駆動される。)に記載されているように従来周知の事項であることから、引用発明においても、当該ハンドであるエンドエフェクタ66、64を駆動する回転駆動軸についても、当該回転駆動軸であるシャフト82S、84Sを、引用発明において用いられている上部アーム60の外部ケーシング61の内部に設けることに代え、アームの回転駆動軸である外部シャフト4と内部シャフト5に対して同軸的に設けることは、当業者にとって格別の困難性を有するものではない。
そして、引用発明においては、ハンドに相当するエンドエフェクタ66、64は2つ設けられているものであるので、これを外部シャフト4と内部シャフト5に対して同軸的に設けた場合には、外部シャフト4、内部シャフト5に加え、さらに2つの回転駆動軸が同軸に設けられ、結果として4本の同軸状の回転駆動軸とすべきことは、当然の設計変更である。
ここで、本願発明では、さらに、下側のハンドを駆動する第3の回転駆動軸は「中空状」で「第2の中空回転駆動軸の内側」に位置するものであると特定し、上側のハンドを駆動する回転駆動軸は「中実状」で「第3の中空回転駆動軸の内側」に位置するものであると特定している。
しかしながら、全部で4本の回転駆動軸のどれを一番外側にするか、どれを内側にするかは、その違いによる作用ないし効果に格別なものが認められず、回転駆動軸を中空状とするか中実状とするかについても、もっとも内側の軸は中実状・中空状のいずれも考えられるところ、その違いによる作用ないし効果も格別見当たらないことからすれば、以上2つの点については、単なる設計的事項に過ぎないものであるといわざるを得ない。
(3) <相違点3>について
回転駆動軸を回転する駆動手段を各回転駆動軸と離れた部位に支持させ、当該駆動手段と回転駆動軸との間にベルト伝達手段を設け、当該回転駆動軸をベルト伝達手段を介して回転駆動力を入力することは、拒絶理由に引用した特開2001-157974号公報(段落【0016】?【0019】及び図面の図1参照。)に記載されているように従来周知の事項であり、この周知の事項を引用発明に適用できないとする阻害要因も格別見当たらないことからすれば、引用発明において、回転駆動軸である外部シャフト4及び内部シャフト5にベルト伝達手段を介して駆動力を加えるようにすることは、当業者にとって格別の困難性を有するものではない。また、当該ベルト伝達手段を介在させることは、ハンドに相当するエンドエフェクタ66、64を駆動する回転駆動軸を外部シャフト4と内部シャフト5に対して同軸的に設ける場合にも同様である。
(4) 作用・効果について
作用ないし効果についても、引用発明及び従来周知の事項から予想し得る範囲のものでしかない。

5 むすび
したがって、本願発明は、刊行物に記載された発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、請求項2ないし3に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-13 
結審通知日 2012-08-14 
審決日 2012-08-28 
出願番号 特願2006-321655(P2006-321655)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 菅澤 洋二
刈間 宏信
発明の名称 基板搬送装置  
代理人 砂場 哲郎  
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