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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B26B
管理番号 1265074
審判番号 不服2011-12727  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-15 
確定日 2012-10-25 
事件の表示 特願2003-520539「電気かみそり用の内刃」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月27日国際公開、WO03/16000〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成14年8月2日(優先権主張平成13年8月10日、日本国)を国際出願日とする特許出願であって、同22年9月16日付けで拒絶の理由が通知され、同22年11月22日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同23年3月8日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し、同23年6月15日に本件審判の請求がされ、同時に明細書を補正対象書類とする手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。
その後、平成24年1月20日付けで当審から拒絶の理由が通知され、同年3月26日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに同年4月17日付けで当審から拒絶の理由が通知され、それに対して同年6月25日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、当審で提出された平成24年6月25日付けの手続補正書によって補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は、次のとおりである。(以下「本願発明」という。)
「電気かみそり用の往復駆動される内刃であり、この内刃はベースに支持された複数のブレードを備え、外刃に対してこれとの間でせん断係合して駆動されて髭を切断するものであり、
上記ブレードは互いに平行に配列され、一対の切断エッジが各ブレード上部の両側に設けられ、
上記切断エッジはブレードの上記外刃側の面である上面と外刃と反対側の下面の両側端部に形成されたすくい面との間で規定され、このすくい面は上記上面に対して20°以上40°以下の角度α(°)で傾斜し、上記切断エッジの尖端は曲率半径0μm<R≦3.36μmで丸められ、この曲率半径は、R≦-0.067・α+4.7の関係を満足しており、
各ブレードの外刃と反対側の上記下面の中央にリブが突出して、このリブの上端から側方に上記切断エッジが少なくとも0.05mm突出することを特徴とする電気かみそり用の内刃。」

第3 引用刊行物記載の発明
これに対して、当審での平成24年4月17日付けで通知した拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前である平成10年12月8日に頒布された特開平10-323461号公報(以下「引用刊行物」という。)には、以下の発明が記載されている。
ア 段落【0001】
「【発明の属する技術分野】本発明は、多数の刃孔を有して湾曲された板状の外刃の内面を摺動して前記刃孔に通されるひげや毛玉等を切断する往復動式電気かみそりや毛玉取り等の往復動式切断手工具が備える内刃とその製造方法に関する。」
イ 段落【0017】
「又、従来の製造方法では、鋭角な刃先17を得る前提としてV字状の凹み18を内刃板15に形成するが、板厚が0.3mm程度の内刃板15の両面に形成される凹み18の深さは当然に浅くならざるを得ないから、それに従い刃先17の角度α(図23(A)参照)も大きく、現状では略60度より小さな鋭角の刃先17を設けることはできなかった。」
ウ 段落【0050】
「これら一対の内刃台支え43上には夫々内刃51が個々に支持されている。各内刃51は合成樹脂や軽金属からなる内刃台52と、刃物用ステンレス等の焼き入れができる金属薄板を後述のように加工して形成されて内刃台52に連結された一枚構造の内刃板53とから形成されている。」
エ 段落【0052】?【0054】
「内刃板53は、外刃34の内面を摺動する方向、言い換えれば、本体ケース21の幅方向と直交する方向に湾曲されて上に凸となるアーチ状をなす一枚の金属製平板で形成されている。詳しくは、図3等に示されるように外刃板35の内面に倣う湾曲部54と、この湾曲部54の両側に夫々設けられた一対の刃板ベース部55とを具備している。
湾曲部54は、互いに平行な多数の刃部56と、これら刃部56間に設けられた隙間57とを有している。隙間57は湾曲部54の内側と外側とを連通して、刃部56と平行に設けられている。多数の刃部56は、前記摺動の方向と例えば直角に交差する方向に延びており、その両端は刃板ベース部55に一体につなげられている。なお、本発明において刃部56は前記摺動の方向に対して交差する関係にあれば良く、必ずしも直角には制約されない。そして、各刃部56の外周縁両側には夫々刃先58が形成されており、この第1の実施の形態では隣接した隙間54方向に突出する刃先58としてある。
この刃先58は、刃部56の外周端面56a(図3参照)と、これに連なる刃部56の側面(この第1の実施の形態では外周端面56aと挟む角度、言い換えれば、図7(A)に示すように刃先角度θが鋭角をなして連なる斜状面56b)とで形取られている。刃先角度θは直角以下に設定すればよいが、この第1の実施の形態においては60度未満の鋭い角度、例えば30度に設定されている。前記外周端面56aと斜状面56bとはいずれも研磨仕上げされた面で形成されている。」
オ 段落【0056】
「前記のように内刃支えベース42上に支持された内刃51は、その下方からばね44で押し上げられるので、その内刃板53の外周端面56aは外刃板35の内面に押付けられている。したがって、この往復動式電気かみそりにおいて、モータ22を運転して内刃駆動子25を左右方向に往復移動させると、内刃板53が外刃板35の内面を摺動するから、外刃板35の刃孔を通るひげを、内刃51の内刃板53の刃部56と外刃板35の刃孔との間で切断して、ひげそりをすることができる。」
カ 段落【0059】
「すなわち、内刃51の各刃部56がその外周縁両側に有する刃先58は、外刃板35の内面に摺接する外周端面56aとこれに連なった斜状面56bとで形成されて30度の鋭角をなしている。そのため、ひげを切る際の切断抵抗が小さく、切れ味を向上できる。このように切断抵抗が少ないことにより、ひげの切断面が斜めになることが少なく、ひげをその軸方向に対して略直角な方向から切断できるので、深剃りができる。」
キ 段落【0078】
「又、切り込み工程において刃部56となる凸条64に連なる斜状面56bを切り込み溝63に設けて、この斜状面56bを刃部56の幅方向外側に位置させるから、切り込み溝63を設けるにあたり刃部56の幅に制約されることなく斜状面56bの角度を自由に設定できる。そのため、刃先58を刃部56の外周縁両側から突出させて設けることができ、その刃先角度θを従来より鋭い鋭角にすることができる。したがって、切れ味を向上させることができる。」
ク ここで、図面の図3を参照すると、複数の刃部56が互いに平行に配列されていること、そして、一対の刃先58が各刃部56上部の両側に設けられていることが見て取れる。図3を参照する限り、刃先58が、刃部56の外刃板35側の面である外周端面56aと外刃板35と反対側の下面の両側端部に形成された斜状面56bとの間で規定されていることは明らかである。
また、各刃部56の外刃板35と反対側の下面の中央に突出部があり、該突出部の上端から側方に刃先58が突出していることが理解できる。
ケ 引用刊行物に記載の発明
以上アないしキの記載事項、及びクの認定事項から、引用刊行物には、「往復動式電気かみそりの内刃51であり、この内刃51は内刃台52に連結された一枚構造の内刃板53を備え、外刃板35の刃孔を通るひげを、内刃51の内刃板53の刃部56と外刃板35の刃孔との間で切断して、ひげそりをすることができるものであり、
上記刃部56は互いに平行に配列され、一対の刃先58が各刃部56上部の両側に設けられ、
上記刃先58は刃部56の上記外刃板35側の面である外周端面56aと外刃板56bと反対側の下面の両側端部に形成された斜状面56bとの間で規定され、この斜状面56bは上記外周端面56aに対して30度の角度で傾斜し、
各刃部56の外刃板35と反対側の下面の中央に突出部が設けられ、この突出部の上端から側方に上記刃先58が突出する往復動式電気かみそりの内刃51。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

第4 対比
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「往復動式電気かみそりの内刃51」、「内刃台52」、「刃部56」、「外刃板35」、「刃先58」、「外周端面56a」、「斜状面56b」、「突出部」は、それぞれ、本願発明の「電気かみそり用の(往復駆動される)内刃」、「ベース」、「ブレード」、「外刃」、「切断エッジ」、「上面」、「すくい面」、「リブ」に相当する。
引用発明の「この内刃51は内刃台52に連結された一枚構造の内刃板53を備え、外刃板35の刃孔を通るひげを、内刃51の内刃板53の刃部56と外刃板35の刃孔との間で切断して、ひげそりをすることができる」ことは、本願発明の「この内刃はベースに支持された複数のブレードを備え、外刃に対してこれとの間でせん断係合して駆動されて髭を切断する」ことに相当する。
引用発明の「この斜状面56bは外周端面56aに対して30度の角度で傾斜」することは、「すくい面は上面に対して所定角度で傾斜」するという限りで、本願発明の「すくい面は上記上面に対して20°以上40°以下の角度α(°)で傾斜」することと共通する。
引用発明の「突出部が設けられ」ることは、本願発明の「リブが突出して」いることに相当する。
以上の点から、両者は「電気かみそり用の往復駆動される内刃であり、この内刃はベースに支持された複数のブレードを備え、外刃に対してこれとの間でせん断係合して駆動されて髭を切断するものであり、
上記ブレードは互いに平行に配列され、一対の切断エッジが各ブレード上部の両側に設けられ、
上記切断エッジはブレードの上記外刃側の面である上面と外刃と反対側の下面の両側端部に形成されたすくい面との間で規定され、このすくい面は上記上面に対して所定角度で傾斜し、
各ブレードの外刃と反対側の上記下面の中央にリブが突出し、このリブの上端から側方に上記切断エッジが突出する電気かみそり用の内刃。」で一致し、以下の点で相違している。
<相違点1>
すくい面の上面に対する傾斜角度に関して、本願発明では、「20°以上40°以下」と特定しているのに対して、引用発明では斜状面56bは外周端面56aに対して30度の角度である点。
<相違点2>
切断エッジの尖端に関して、本願発明では、「曲率半径0μm<R≦3.36μmで丸められ、この曲率半径は、R≦-0.067・α+4.7の関係を満足して」いるものとしているのに対して、引用発明では、刃先58の尖端について不明な点。
<相違点3>
切断エッジの突出量に関して、本願発明では、「少なくとも0.05mm」と特定しているのに対して、引用発明では、刃先58がどのくらい突出しているのか不明な点。

第5 当審の判断
(1)<相違点1>について
引用発明のすくい面の上面に対する傾斜角度は30°であって、本願発明の20°以上40°以下に含まれる。したがって、この点は、実質的な相違点ではない。
(2)<相違点2>について
一般に、かみそり用の刃において、刃先端の切断エッジの尖端の曲率半径を2μm以下とすることは、拒絶理由で引用した特開平8-196752号公報(段落【0001】、【0015】?【0016】を参照すると、かみそり用の刃において、エッジEの曲率半径Rを0.5?1.5μmにすることが記載されている。)に記載されており、また、セラミック刃物ではあるものの、刃先先端の曲率半径を1μm以下とすることも、拒絶理由で引用した特開平11-57237号公報(段落【0018】及び段落【0019】の表1参照。)に記載されているように周知の事項であり、かみそり用の刃の先端の曲率半径は小さいものと考えられていることから、引用発明の刃先端の切断エッジの尖端においても、その曲率半径を2μm以下とすることは当業者が容易になし得たものと認められる。そして、引用発明において、曲率半径を2μm以下とした場合には、α=30°であるから、-0.067×30+4.7=2.69と計算され、「R≦-0.067・α+4.7」の関係を満足するものになることは明らかである。
(3)<相違点3>について
引用刊行物には、刃先58を中央の突出部に対してどのくらい突出させるかについての記載はない。
しかしながら、(1)引用刊行物において、摘記事項キに「そのため、刃先58を刃部56の外周縁両側から突出させて設けることができ、その刃先角度θを従来より鋭い鋭角にすることができる。」とあるように、刃先58を突出させることの積極的な記載がある上に、摘記事項イにおける従来の内刃の板厚が0.3mm程度と記載されているところ、引用刊行物の図7を参照すると、内刃である刃部56の刃先58が板厚に対して相当程度突出しているところが見て取れる(図7を参照すると、刃部56に対して刃先58が板厚の半分程度突出しているように見える。)こと、(2)拒絶理由に引用した特開昭52-46965号公報には、かみそりの内刃に対して0.015?0.1mm程度刃先を突出させることが示されている(公報第2ページ左上欄第1行?第5行及び図面の第2図を参照すると、ツブシ平坦部4に対して刃先となる部分のスクイ角α°を有する斜面3の斜面部の長さが0.03?0.2mmであることが記載されている。ここで、斜面3のスクイ角αがどのくらいの角度であるか明記されていないものの、仮にスクイ角αを60°とすると、刃先の突出量は0.015?0.1mmと計算できる。)こと、(3)本願発明において、切断エッジの突出量を「少なくとも0.05mm」と特定したのは、本願明細書の段落【0005】に「一般的な髭Hの直径は略0.1mmであることを考慮して、切断エッジの長さをこの直径の1/2以上とすることができ、切断エッジ32で髭Hを直径方向に1/2以上切断するまでは切断エッジ以外の部分が髭Hに当たって髭Hを倒すことがなくなり、これにより髭Hを倒すことなく、切断エッジにて髭を確実に切断することができる。」と記載しているところ、一般的な髭Hの直径は0.1mmに限らずかなり個人差があり、また、突出する寸法を髭の太さに対して1/2以上とすることに対しても、そのことによる髭の切断効果が0.05mmの突出量を境に格段に向上するとする根拠も特に存在しない上に、突出量が大きければ、その分だけ、太い髭でも確実に切断できることは自明であること、以上の点に鑑みれば、引用発明において、刃先58の突出量を0.05mm以上とすることは、当業者が容易になし得たものと判断せざるを得ない。
(4)作用ないし効果について
作用ないし効果についても、引用発明及び従来周知の事項から予測し得る範囲を超える作用ないし効果を本願発明が奏するものではない。
(5)まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、および従来周知の事項を採用することにより、当業者が容易になし得たものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2ないし7に係る発明について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-14 
結審通知日 2012-08-15 
審決日 2012-09-06 
出願番号 特願2003-520539(P2003-520539)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B26B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金本 誠夫  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 藤井 眞吾
刈間 宏信
発明の名称 電気かみそり用の内刃  
代理人 坂口 武  
代理人 水尻 勝久  
代理人 北出 英敏  
代理人 西川 惠清  
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