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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F24F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24F
管理番号 1265795
審判番号 不服2011-19252  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-07 
確定日 2012-11-07 
事件の表示 特願2008-507174号「適応的環境管理のための知能ファン支援型タイル」拒絶査定不服審判事件〔平成18年10月26日国際公開、WO2006/111789号、平成20年10月23日国内公表、特表2008-538406号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、2005年4月22日を国際出願日とする出願であって、平成23年5月10日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年5月17日)、これに対し、同年9月7日に拒絶査定不服の審判の請求がなされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成23年9月7日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年9月7日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前に「熱発生或いは気流に影響を受けやすい構成要素を有する部屋のための環境管理システムであって、ファン支援型タイルの群と、それぞれのファン支援型タイルに接続されたファンコントローラと、ワイヤレスデータネットワークを介してそれぞれのファンコントローラに接続され、前記部屋内の環境特性に基づいて感知されたデータを受け取り、それぞれのファンコントローラへと制御信号を出力することで、それぞれのファン支援型タイルのファンが、前記部屋内の動的な気流バランスをとれるようにする、熱サーバとを含む、ことを特徴とする環境管理システム。」とあったものを
「熱発生或いは気流に影響を受けやすい構成要素を有する部屋のための環境管理システムであって、前記部屋の天井及び床の各々に配置されるファン支援型タイルの群と、それぞれの前記ファン支援型タイルに関連して設けられワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備えた複数のセンサと、それぞれのファン支援型タイルに接続されたファンコントローラと、前記部屋の内部に配置され、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備え前記部屋の温度マップを供給する温度センサのネットワークと、ワイヤレスデータネットワークを介してそれぞれのファンコントローラ及び前記センサ及び前記温度センサのネットワークに接続され,前記温度マップを監視し、個々の前記センサから前記部屋内へ流入する気流及び前記部屋内から流出する空気の温度から成る前記部屋内の環境特性のデータを受け取り、それぞれのファンコントローラへと制御信号を出力することで、それぞれのファン支援型タイルのファンが、前記部屋内へ流入する及び前記部屋内から流出する空気の動的な気流バランスをとれるようにすることで前記部屋の温度を管理する、熱サーバと、を含む、ことを特徴とする環境管理システム。」と補正することを含むものである。
そこで、上記補正について検討する。
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、ファン支援型タイルの群について、「部屋の天井及び床の各々に配置される」ことを限定するとともに、環境管理システムについて、「それぞれの前記ファン支援型タイルに関連して設けられワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備えた複数のセンサ」と「部屋の内部に配置され、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備え前記部屋の温度マップを供給する温度センサのネットワーク」を含むことを限定するとともに、熱サーバについて、「ワイヤレスデータネットワークを介して・・・前記センサ及び前記温度センサのネットワークに接続され」ること、「温度マップを監視し、個々の前記センサから前記部屋内へ流入する気流及び前記部屋内から流出する空気の温度から成る前記部屋内の環境特性のデータを受け取」ること、及び、「部屋内へ流入する及び前記部屋内から流出する空気の動的な気流バランスをとれるようにすることで前記部屋の温度を管理する」ことを限定することを含むものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 刊行物に記載された発明
(1)原査定の拒絶理由において提示された、本願の国際出願日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2005/0075065号明細書(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates generally to thermal management of thermally sensitive rooms, and more particularly to thermal management of a computer data center.(仮訳:本発明は、広く熱に敏感な部屋の熱管理に関し、特に、コンピュータデータセンターの熱管理に関する。)」(段落【0001】。仮訳は当審による。以下同様。)
イ 「The present subject matter provides a technique for providing a well-balanced airflow in a room. The technique further provides a dynamic airflow balancing and thermal management for a computer data center. (仮訳:本主題は、部屋内でバランスの取れた気流を供給する技術を提供する。本技術は、さらに、コンピュータデータセンターのための動的な気流バランスと熱管理を提供する。)」(段落【0009】)
ウ 「Referring now to FIG. 1 , there is illustrated an example embodiment of a thermal management system 100 according to the present subject matter. The thermal management system 100 includes a first array 110 of fan assisted tiles 130 , disposed in the raised floor 140 of a room 105 , and a second array 120 of fan assisted tiles 130 , disposed in the ceiling 150 of the room 105 . The room 105 can be a computer data center including heat generating components 195 .
As shown in FIG. 1 , each fan assisted tile 130 includes a plurality of passageways 162 for the air to enter and exhaust from the room 105 . Further as shown in FIG. 1 , each fan assisted tile 130 can be attached to a fan tile 135 that is adaptable to be disposed on the ceiling 150 and/or the raised floor 140 of the room 105 . In some embodiments, the fan tile 135 is made of sheet metal tile. In these embodiments, the sheet metal tile has a front side 165 and a back side 178 . One or more fans 172 are attached to the back side 178 of the sheet metal tile. The front side 165 of the sheet metal tile is adapted to be disposed on the raised floor 140 and/or ceiling 150 in the room 105 .
Also shown in FIG. 1 , the thermal management system 100 includes a power source 175 , a data network 180 , and a remote thermal server 190 . The thermal server 190 can be a host computer, a remote server, a remote computer, a remote server, a processor, and other such processors that can facilitate in the thermal management of the room 105 . The thermal server 190 can be a remote program capable of communicating over a data network 180 . As shown in FIG. 1 , each of the fan assisted tiles 130 includes the one or more fans 172 , a power controller 186 , and an interface 170 . In the example embodiment shown in FIG. 1 , each of the power controllers 186 is connected to the power source 175 through the interface 170 . In addition, as shown in FIG. 1 , each of the fan assisted tiles 130 is connected to the thermal server 190 through the interface 170 and via the data network 180 . The interface 170 can be a network interface, such as a serial communication interface.・・・Also shown in FIG. 1 , an airflow sensor 184 is coupled to each of the power controllers 186 in the first array 110 of fan assisted tiles 130 . Further, FIG. 1 shows a temperature sensor 182 coupled to each of the power controllers 186 in the second array 120 of fan assisted tiles 130 .
FIG. I illustrates an example centralized control system for the adaptive control of the environment, such as the room 105 . The centralized control in this example embodiment is achieved through the thermal server 190 , which communicates with the fan assisted tiles 130 via the network 180 . In this example embodiment, the thermal server 190 receives the sensor information, such as airflow and temperature and computes necessary operating parameters, such as fan speed and other commands necessary to operate the fan assisted tiles 130 . The computed operating parameters are then sent over the network 180 to each of the fan assisted tiles 130 to provide an adaptive control in the room 105 .(仮訳: 図1において、本主題による熱管理システム100の実施例が図示されている。熱管理システム100は、部屋105の上げ床140に配列されたファンにより補助されたタイル130の第一配列110と部屋105の天井150に配列されたファンにより補助されたタイル130の第二配列120とを含んでいる。部屋105は、熱発生構成要素195を含むコンピュータデータセンターであり得る。
図1に示されるように、各ファンにより補助されたタイル130は、部屋105へ流入及び排気される空気のための多数の通路162を含んでいる。さらに図1に示されるように、各ファンにより補助されたタイル130は、部屋105の天井150及び/あるいは上げ床140に配列されるように改造されたファンタイル135に取付けできる。ある実施例においては、ファンタイル135は、薄板状金属タイルでできている。これらの実施例において、薄板状金属タイルは、正面165及び背面178を有する。一つ以上のファン172が、薄板状金属タイルの背面178へ取り付けられる。薄板状金属タイルの正面165は、部屋105の上げ床140及び/あるいは天井150に配列されるように改造されている。
また、図1に示されるように、熱管理システム100は電源175、データネットワーク180、及び、遠隔熱サーバ190を含んでいる。熱サーバ190は、ホストコンピュータ、遠隔サーバ、遠隔コンピュータ、遠隔サーバ、プロセッサ、及び、部屋105の熱管理を容易にするような他のプロセッサであり得る。熱サーバ190は、データネットワーク180によって通信可能な遠隔プログラムであってもよい。図1に示されるように、各タイルにより補助されたファン130は、一つ以上のファン172、電力コントローラ186、及びインターフェイス170を含んでいる。図1に示された実施例において、各電力コントローラ186は、インターフェイス170を介して電源175に接続されている。加えて、図1に示されるように、各ファンにより補助されたタイル130は、インターフェイス170を介してデータネットワーク180によって熱サーバ190に接続されている。インターフェイス170は、シリアル通信インターフェイスのようなネットワークインターフェイスであり得る。・・・また、図1に示されるように、気流センサ184がファンにより補助されたタイル130からなる第一配列110の各電力コントローラ186に接続される。さらに、図1には、各ファンにより補助されたタイル130からなる第二配列120の各電力コントローラ186に接続された温度センサ182が示されている。
図1には、部屋105のような環境の適応制御のための、中央制御システムの一例が図示されている。この実施例における中央制御は、ネットワーク180によってファンにより補助されたタイル130と通信する、熱サーバ190を介して達成される。この実施例においては、熱サーバ190は、気流及び温度といったセンサ情報を受信し、ファンの速度や各ファンにより補助されたタイル130を作動するために必要な他の命令といった必要な作動パラメータを計算する。計算された作動パラメータは、続いて、部屋105における適応制御を行うため、ネットワーク180によって、各ファンにより補助されたタイル130へ送られる。)」(段落【0011】?【0016】)
エ 「The DIP switch 230 facilitates in setting a Network address, such as an IP address that is unique to each of the fan assisted tiles 130 . The DIP switch 230 can be an 8 bit or higher DIP switch. The DIP switch 230 can also be a programmable switch or the like that is suitable for setting a Network address or a unique identifier. As shown in FIG.2 , the fan assisted tile 130 is coupled with other fan assisted tiles by daisy chaining the power and network connections using the interfaces 270 and 280 . For example, in FIG. 2 , power line 250 and network line 260 are shown isolated. The network line 260 can be an RS485 8 bit addressable connection or a serial communication interface.
In operation, in one example embodiment, each of the temperature sensors 182 and the airflow sensors 184 sense the outgoing air temperature and the incoming airflow, respectively, and the processor 220 outputs a first control signal along with an associated Network address based on the sensed temperature and airflow. The first control signal can be temperature data, airflow data, and/or any other data that facilitates in adaptive airflow balancing or thermal management of the room 105 .
In some embodiments, each of the temperature sensors 182 senses the outgoing temperature in the room 105 and the processor 220 outputs a first control signal, and each of the airflow sensors 184 senses the incoming airflow and outputs a second control signal. In these embodiments, the thermal server 190 outputs third and fourth control signals based on the outputted first and second control signals, respectively. Also in these embodiments, each of the fan controllers 210 varies the fan speed of one or more fans 172 , in each of the associated fan assisted tiles 130 in the first and second arrays 110 and 120 , based on the third and fourth control signals received from the thermal server 190 through the data network 180 .
The thermal server 190 receives the outputted first control signal along with the associated Network address from each of the temperature and airflow sensors 182 and 184 through the data network 180 , and outputs a second control signal along with the associated Network address based on the received first control signal and the associated Network address from each of the temperature and airflow sensors 182 and 184 .
The thermal server 190 sends each of the outputted second control signals along with associated Network addresses through the data network 180 to an associated fan controller 210 of a fan assisted tile 130 based on the received Network address. The fan controller 210 of each fan assisted tile 130 controls the one or more fans 172 based on the received control signal from the thermal server 190 through the data network 180 .(仮訳:DIPスイッチ230は、各ファンにより補助されたタイル130に独自のIPアドレスのような、ネットワークアドレスの設定を容易にする。DIPスイッチ230は、8ビットあるいはそれ以上のビットのDIPスイッチであり得る。DIPスイッチ230は、プログラマブルスイッチあるいはネットワークアドレスあるいは独自の識別子を設定するのに適切なものでもあり得る。図2は、示されるように、各ファンにより補助されたタイル130は、インターフェイス270及び280を利用して電力とネットワークとを順々に接続する、デイジーチェーンにより他のファンにより補助されたタイルに接続される。例えば、図2には、電力線250とネットワーク線260とが分離されていることが示されている。ネットワーク線260は、RS485の8ビットでアドレス可能な結線あるいはシリアル通信インターフェイスであり得る。
一実施例において、作動時に、各温度センサ182及び気流センサ184は、流出する空気の温度及び流入する気流をそれぞれ検知し、プロセッサ220は検知した温度及び気流に関連するネットワークアドレスを加えた第一制御信号を出力する。第一制御信号は、温度データ、気流データ、及び/あるいは、部屋105の気流バランスあるいは温度管理に適用することが容易な他のどんなデータでもあり得る。
ある実施例において、各温度センサ182は、部屋105から流出する空気の温度を検知し、プロセッサ220は、第一制御信号を出力する。そして、各気流センサ184は、部屋105へ流入する気流を検知し、第二制御信号を出力する。これらの実施例において、熱サーバ190は、出力された第一及び第二制御信号に基づいて、第三及び第四制御信号を出力する。これらの実施例においても、データネットワーク180を介して熱サーバ190から受信した第三及び第四制御信号に基づいて、各ファンコントローラ210は、第一配列110と第二配列120の関連する各ファンにより補助されたタイル130の、一つ以上のファン172のファン速度を変化させる。
熱サーバ190は、データネットワーク180を通して、それぞれの温度及び気流センサ182、184から、関連するネットワークアドレスが加えられた第一制御信号を受信し、各温度センサ182及び気流センサ184からの第一制御信号及び関連するネットワークアドレスに基づいて、関連するネットワークアドレスの加えられた第二制御信号を出力する。
熱サーバ190は、受け取ったネットワークアドレスに基づいて、ネットワークアドレスの加えられた第2制御信号をデータネットワーク180を通して各ファンにより補助されたタイル130の関連するファンコントローラ210へと送信する。各ファンにより補助されたタイル130のファンコントローラ210は、データネットワーク180を通して熱サーバ190から受信した制御信号に基づいて一つ以上のファン172を制御する。)」(段落【0019】?【0023】)
オ 「The various embodiments of the fan assemblies, systems, and methods described herein are applicable generically to achieve adaptive airflow balancing and thermal management in a computer data center. In addition, the above-described technique provides uniform airflow in every location in a computer data center, thus helping to improve operating efficiency and cooling performance of the computer data center. Further, the above-described technique provides adaptive air flow balancing in a computer data center under varying thermal load distributions. (仮訳:ここに述べられているファン組立部、システム及び方法の種々の実施形態は、一般的にコンピュータデータセンターに順応した気流バランスや熱管理を達成するために用いることができる。加えて、上述された技術は、コンピュータデータセンター内のあらゆる位置において均一な気流を供給し、その結果、コンピュータデータセンターの動作効率及び冷却性能を改善するのに役立つ。また、上述された技術によって、熱負荷分布が変化するコンピュータデータセンターに順応した気流バランスを提供することができる。)」(段落【0033】)
カ 「1 . A thermal management system for a room having heat generating components, the system comprising: an array of fan assisted tiles; a fan controller coupled to each fan assisted tile; and a thermal server coupled to each fan controller through a data network to receive sensed data based on environmental characteristics in the room and to output a control signal to each fan controller so that fans of each fan assisted tile can be controlled to provide an adaptive airflow balancing in the room.
2 . The thermal management system of claim 1 , further comprises: sensors associated with each fan assisted tile, wherein the sensors are coupled to the thermal server, and wherein the sensors sense environmental characteristics in the room and output sensed data.
3 . The thermal management system of claim 2 , wherein in the sensed data comprises data based on environmental characteristics selected from the group consisting of airflow, temperature, humidity, and particle density.
4 . (Original ) The thermal management system of claim 3 , wherein the sensed data comprises environmental characteristics of air coming into and out of the room.
・・・
48 . The thermal management system of claim 47 , further comprises: sensors associated with each fan assisted tile, wherein the sensors are coupled to the fan controller, and wherein the sensors sense environmental characteristics in the room and output sensed data.
49 . The thermal management system of claim 48 , wherein in the sensed data comprises data based on environmental characteristics selected from the group consisting of airflow, temperature, humidity, and particle density.
50 . A distributed thermal management control system for a room having heat generating components, the system comprising: an array of fan assisted tiles; a fan controller coupled to each fan assisted tile; sensors associated with each fan assisted tile, wherein the sensors are coupled to the fan controller, wherein the sensors sense environmental characteristics in the room and output sensed data; and a thermal server coupled to each fan controller through a data network to monitor each fan controller, wherein each fan controller controls each associated fan assisted tile based on sensed data received from associated sensors and other sensors coupled through the data network to achieve an adaptive airflow balancing in the room, wherein the thermal server outputs status conditions of each fan assisted tile. (仮訳:【請求項1】熱発生構成要素を有する部屋のための熱管理システムであって、ファンにより補助されたタイルの配列と、各ファンにより補助されたタイルに接続されたファンコントローラと、前記部屋内の環境特性に基づいて検知されたデータを受け取り、各ファンコントローラへ制御信号を出力することで、各ファンにより補助されたタイルの複数のファンが、前記部屋に順応した気流バランスをとれるようにするために、データネットワークを介して各ファンコントローラに接続された熱サーバとを含む熱管理システム。
【請求項2】各ファンにより補助されたタイルに関連付けられた複数のセンサを更に含み、前記複数のセンサは前記熱サーバに接続され、前記複数のセンサは前記部屋の環境特性を検知し、検知したデータを出力する請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】前記検知されたデータは、気流、温度、湿度及び粒子密度から成る群から選択された環境特性に基づいたデータを含んでいる請求項2に記載の環境管理システム。
【請求項4】前記検知されたデータは、前記部屋内へ流入し、排気される空気の環境特性を含んでいる請求項3に記載の環境管理システム。
・・・
【請求項48】各ファンにより補助されたタイルに関連する複数のセンサを更に含み、前記複数のセンサは、前記ファンコントローラに接続され、また、前記複数のセンサは前記部屋内の環境特性を検知し、検知されたデータを出力する請求項47記載の熱管理システム。
【請求項49】前記検知されたデータは、気流、温度、湿度及び粒子密度から成る群から選択された環境特性に基づいたデータを含む請求項48記載の熱管理システム。
【請求項50】熱発生構成要素を有する部屋のための分散型熱管理制御システムであって、ファンにより補助されたタイルの配列と、各ファンにより補助されたタイルに接続されたファンコントローラと、各ファンにより補助されたタイルに関連し、前記ファンコントローラに接続され、前記部屋内の環境特性を検知し、検知したデータを出力する複数のセンサと、各ファンコントローラを監視するために、データネットワークを介して各ファンコントローラに接続された熱サーバとを含み、ここで、各ファンコントローラは、前記部屋内に順応した気流バランスを達成するために前記データネットワークを通して接続された関連する複数のセンサ及び他の複数のセンサから受け取る検知されたデータに基づいて各関連するファンにより補助されたタイルを制御し、また、前記熱サーバは各ファンにより補助されたタイルの状況を出力する熱管理制御システム。)」(請求項)

上記ア?カの記載事項及び図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる。
「熱発生構成要素を有する部屋のための熱管理システムであって、
部屋105の天井150及び上げ床140に配置されたファンにより補助されたタイル130の配列と、
各ファンにより補助されたタイル130に結合された複数のセンサ182、184と、
各ファンにより補助されたタイル130に接続されたファンコントローラ210と、
IPアドレスを用いるデータネットワークを介して各ファンコントローラ210及び複数のセンサ182、184に接続され、各ファンにより補助されたタイル130に形成された多数の通路162を通り部屋105へ流入する気流、部屋105から流出する空気の温度からなる部屋内の環境特性に基づいてセンサ182、184によりそれぞれ検知されたデータを受信し、各ファンコントローラ210へ制御信号を出力することで、各ファンにより補助されたタイル130の複数のファン172が、部屋105に順応した気流バランスを提供し、熱負荷分布が変化する部屋105の温度管理を行う熱サーバ190と、
を含む熱管理システム。」

(2)前置報告時において提示された、本願の国際出願日前に頒布された刊行物である国際公開第2004/107142号(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア「Through operation of the vents 116, the above-described devices, and the air conditioning unit 114, global and zonal control of the cooling fluid flow and temperature may be achieved. For instance, the vents 116 and the above-described devices generally provide localized or zonal control of the cooling fluid flow to the racks 102-108. In addition, the air conditioning unit 114 generally provides global control of the cooling fluid flow and temperature throughout various portions of the data center 100. By virtue of the zonal and global control of the cooling fluid, the amount of energy consumed by the air conditioning unit 114 in maintaining the components of the racks 102-108 within predetermined operating temperature ranges may substantially be reduced in comparison with conventional data center cooling systems.
A plurality of temperature sensors 136-144, e.g., thermistors, thermocouples, etc., may be positioned at various locations throughout the data center 100. By way of example, temperature sensors 136 may be provided at the inlets of the racks 102-108 to detect the temperature of the cooling fluid delivered into the racks 102- 108. Temperature sensors 138 may be provided at the outlets of the racks 102- 108 to detect the temperature of the heated air exhausted from the racks 102-108. Temperature sensors 140 may further be located at the vents 116 to detect the temperature of the cooling fluid supplied from the space 112. In addition, temperature sensors 142, 144 may respectively be positioned near the inlet and outlet of the air conditioning unit 114 to respectively detect the temperatures of the heated air entering the air conditioning unit 114 and the cooling fluid delivered to the space 112.
The temperature sensors 136-144 may communicate with one another and/or a computer configured to control operations of the data center cooling system (e.g., air conditioning unit 114, vents 116, etc.). The communication may be effectuated via a wired protocol, such as IEEE 802.3, etc., wireless protocols, such as IEEE 801.11b, 801.1 lg, wireless serial connection, Bluetooth, etc., or combinations thereof. In addition, or alternatively, one or more of the temperature sensors 136-144 may comprise location aware devices as described in co-pending and commonly assigned U.S. Patent Application Serial No. TBD, filed on TBD (Attorney Docket No. 200208028-1), entitled LOCATION AWARE DEVICES, the disclosure of which is hereby incorporated by reference in its entirety. As described in that application, these devices are termed location aware because they are operable to determine their general locations with respect to other sensors and/or devices and to communicate with one another through wireless communications.(仮訳:給気口116、上記のデバイス及び空調ユニット114の動作を通して、冷却用流体の流量及び温度を全体として、且つ場所に応じて制御することができる。たとえば、給気口116及び上記のデバイスは、一般的に、ラック102?108への冷却用流体の流れを局所的に、又は場所に応じて制御することができる。さらに、空調ユニット114は、一般的に、データセンタ100の種々の部分にわたる冷却用流体の流量及び温度を全体として制御する。冷却用流体の場所に応じた制御及び全体的な制御によって、ラック102?108のコンポーネントを所定の動作温度範囲内に維持する際に空調ユニット114によって消費されるエネルギーの量を、従来のデータセンタ冷却システムに比べて大幅に削減することができる。
複数の温度センサ136?144、たとえばサーミスタ、熱電対等を、データセンタ100全体にわたって種々の場所に配置することができる。一例として、温度センサ136をラック102?108の入口に配設して、ラック102?108内に供給される冷却用流体の温度を検出することができる。温度センサ138をラック102?108の出口に配設して、ラック102?108から排気される熱風の温度を検出することができる。さらに、温度センサ140を給気口116に配置して、空間112から供給される冷却用流体の温度を検出することができる。さらに、温度センサ142、144をそれぞれ、空調ユニット114の入口及び出口付近に配置して、空調ユニット114に入る熱風の温度及び空間112に供給される冷却用流体の温度をそれぞれ検出することができる。
温度センサ136?144は、互いに、及び/又はデータセンタ冷却システム(たとえば、空調ユニット114、給気口116等)の動作を制御するように構成されるコンピュータと通信することができる。その通信は、IEEE802.3等の有線プロトコル、IEEE801.11b、IEEE801.11g、無線シリアル接続、ブルートゥース等の無線プロトコル、又はその組み合わせを介して達成することができる。それに加えて、又はその代わりに、温度センサ136?144のうちの1つ又は複数は、「LOCATION AWARE DEVICES」と題する同時係属で同じ譲受人に譲渡された米国特許出願(番号未定)(代理人整理番号200208028-1)に記載されるような位置認識デバイスを備えることができ、その特許出願の開示は、全体を参照して本明細書に援用される。その特許出願に記載されるように、これらのデバイスは、他のセンサ及び/又はデバイスに対する自らの大体の位置を判定し、無線通信を通して互いに通信するように動作することができるので、「位置認識」と呼ばれる。)」(第13ページ第12行?第14ページ第14行。仮訳は特表2007-505285号公報による。以下同様。)

上記アの記載事項及び図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物2には、次の発明が記載されていると認められる。
「コンピュータが無線プロトコルによる無線通信を介して複数の温度センサ136?144に接続され、
複数の温度センサ136?144をデータセンタ100全体にわたって種々の場所に配置し、
複数の温度センサ136?144は、他のセンサに対する自らの大体の位置を判定し、無線通信を通して互いに通信することができる、
ラック102?108のコンポーネントを所定の動作温度範囲内に維持する空調ユニット114。」

3 対比
本件補正発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。
刊行物1に記載された発明の「熱発生構成要素を有する部屋のための熱管理システム」は、その構成及び機能からみて本件補正発明の「熱発生」「構成要素を有する部屋のための環境管理システム」に相当し、以下同様に、
「部屋105の天井150及び上げ床140に配置されたファンにより補助されたタイル130の配列」は、「前記部屋の天井及び床の各々に配置されるファン支援型タイルの群」に、
「各ファンにより補助されたタイル130に結合された複数のセンサ182、184」は、「それぞれの前記ファン支援型タイルに関連して設けられ」「た複数のセンサ」に、
「各ファンにより補助されたタイル130に接続されたファンコントローラ210」は、「それぞれのファン支援型タイルに接続されたファンコントローラ」に、
それぞれ相当する。
そして、刊行物1に記載された発明の「IPアドレスを用いるデータネットワークを介して各ファンコントローラ210及び複数のセンサ182、184に接続され、各ファンにより補助されたタイル130に形成された多数の通路162を通り部屋105へ流入する気流、部屋105から流出する空気の温度からなる部屋内の環境特性に基づいてセンサ182、184によりそれぞれ検知されたデータを受信し、各ファンコントローラ210へ制御信号を出力することで、各ファンにより補助されたタイル130の複数のファン172が、部屋105に順応した気流バランスを提供し、熱付加分布が変化する部屋105の温度管理を行う熱サーバ190」と本件補正発明の「ワイヤレスデータネットワークを介してそれぞれのファンコントローラ及びセンサ及び温度センサのネットワークに接続され、温度マップを監視し、個々のセンサから部屋内へ流入する気流及び部屋内から流出する空気の温度から成る部屋内の環境特性のデータを受け取り、それぞれのファンコントローラへと制御信号を出力することで、それぞれのファン支援型タイルのファンが、部屋内へ流入する及び部屋内から流出する空気の動的な気流バランスをとれるようにすることで部屋の温度を管理する、熱サーバ」とは、前者において、「部屋105に順応した気流バランスを提供する」ことは、「空気」がファンにより補助されたタイル130に形成された多数の通路162を通り、部屋105へ流入し、部屋105から流出することから、両者は、「データネットワークを介してそれぞれのファンコントローラ及びセンサに接続され、個々のセンサから部屋内へ流入する気流及び部屋内から流出する空気の温度から成る部屋内の環境特性のデータを受け取り、それぞれのファンコントローラへと制御信号を出力することで、それぞれのファン支援型タイルのファンが、部屋内へ流入する及び部屋内から流出する空気の動的な気流バランスをとれるようにすることで部屋の温度を管理する、熱サーバ」である点で共通する。
したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「熱発生構成要素を有する部屋のための環境管理システムであって、前記部屋の天井及び床の各々に配置されるファン支援型タイルの群と、それぞれの前記ファン支援型タイルに関連して設けられ、それぞれのファン支援型タイルに接続されたファンコントローラと、前記部屋の内部に配置され、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備え前記部屋の温度マップを供給する温度センサのネットワークと、データネットワークを介してそれぞれのファンコントローラ及び前記センサに接続され、個々の前記センサから前記部屋内へ流入する気流及び前記部屋内から流出する空気の温度から成る前記部屋内の環境特性のデータを受け取り、それぞれのファンコントローラへと制御信号を出力することで、それぞれのファン支援型タイルのファンが、前記部屋内へ流入する及び前記部屋内から流出する空気の動的な気流バランスをとれるようにすることで前記部屋の温度を管理する、熱サーバと、を含む環境管理システム。」

[相違点1]
複数のセンサが、本件補正発明では、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備えるのに対して、刊行物1に記載された発明では、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを具備しているか否か不明である点。

[相違点2]
熱サーバが、本件補正発明では、ワイヤレスデータネットワークを介してそれぞれのファンコントローラ及びセンサ及び温度センサのネットワークに接続されるのに対して、刊行物1に記載された発明では、データネットワークを介して各ファンコントローラ310及び複数のセンサ182、184に接続されるが、データネットワークがワイヤレスであるか否か不明であり、かつ、温度センサのネットワークに接続されていない点。

[相違点3]
熱サーバが、本件補正発明では、温度マップを監視するのに対して、刊行物1に記載された発明では、温度マップを監視するか否か明らかでない点。

4 当審の判断
(1)上記相違点1及び2について
本件補正発明と刊行物2に記載された発明とを対比する。
刊行物2に記載された発明の「温度センサ136?144」は、コンピュータと無線プロトコルを介して無線通信できるとともに、他のセンサと互いに無線通信できるものであり、無線通信を行うための無線プロトコルを実行する送受信手段を有するといえることから、本件補正発明の「ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバ」の機能を有しているといえる。
そして、刊行物2に記載された発明の「温度センサ136?144」は、他のセンサに対する自らの大体の位置を判定し、互いにワイヤレス通信することができるものであるから、温度センサ136?144による通信ネットワークを構成しているといえる。したがって、刊行物2に記載された発明の「温度センサ136?144」は、本件補正発明の「温度センサのネットワーク」を構成するといえる。
そして、刊行物2に記載された発明の「コンピュータ」は、その構成及び機能からみて、本件補正発明の「熱サーバ」に相当し、以下同様に、「空調ユニット114」は、「環境管理システム」に、
それぞれ相当する。
したがって、刊行物2に記載された発明は、「複数の温度センサが、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備え、熱サーバが、ワイヤレスプロトコルによる無線通信を介して温度センサのネットワークに接続され、複数の温度センサは、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを有した熱管理システム。」と言い換えることができる。
また、刊行物1に記載された発明における「複数のセンサ182、184」は、データネットワークのプロトコルとしてIPを用いるものである。
さらに、刊行物1に記載された発明の熱管理システムは、部屋105の温度管理を容易にするものであり、刊行物2に記載された発明の空調ユニット114は、ラック102?108のコンポーネントを所定の動作温度範囲内に維持するものであることから、両者は、部屋内の温度を管理する点で共通する。
してみると、刊行物1に記載された発明において、刊行物2に記載された発明に倣って、「IP」プロトコルを用いる「複数のセンサ182、184」に、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを具備させるとともに、熱サーバ190に、各各ファンコントローラ210、複数のセンサ182、184、及び温度センサのネットワークをワイヤレスデータネットワークを介して接続させることは当業者が容易になし得たものである。

(2)上記相違点2について
熱管理システムの技術分野において、熱サーバに複数の温度センサの検出値に基づいて温度マップを監視させることは、本願の国際出願日前に周知の技術事項である(例えば、国際公開第03/089845号の第7ページ第23行?第8ページ第19行や、特開平4-205570号公報の第1ページ左下欄下第1行?右下欄第15行を参照。)。
してみると、刊行物1に記載された発明に、上記周知の技術事項を適用して、熱サーバ190に「複数のセンサ182、184」により検出される部屋105の熱負荷分布の変化に基づいて温度マップを監視させることは当業者が容易になし得たものである。

(3)小括
本件補正発明の奏する効果は、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項から当業者が予測できた効果の範囲内のものである。
したがって、本件補正発明は、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年1月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「熱発生或いは気流に影響を受けやすい構成要素を有する部屋のための環境管理システムであって、ファン支援型タイルの群と、それぞれのファン支援型タイルに接続されたファンコントローラと、ワイヤレスデータネットワークを介してそれぞれのファンコントローラに接続され、前記部屋内の環境特性に基づいて感知されたデータを受け取り、それぞれのファンコントローラへと制御信号を出力することで、それぞれのファン支援型タイルのファンが、前記部屋内の動的な気流バランスをとれるようにする、熱サーバとを含む、ことを特徴とする環境管理システム。」

2 刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1?2、刊行物1?2の記載事項、刊行物1?2に記載された発明は、前記「第2 [理由]2 刊行物に記載された発明」に記載したとおりである。

3 対比および判断
本願発明は、前記「第2 [理由]」において検討した本件補正発明において、ファン支援型タイルの群について、「部屋の天井及び床の各々に配置される」ことの限定を省き、環境管理システムについて、「それぞれの前記ファン支援型タイルに関連して設けられワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備えた複数のセンサ」と「前記部屋の内部に配置され、ワイヤレスプロトコルを実行するトランシーバを備え前記部屋の温度マップを供給する温度センサのネットワーク」との限定を省き、熱サーバについて、「ワイヤレスデータネットワークを介して・・・前記センサ及び前記温度センサのネットワークに接続され」ること、「前記温度マップを監視し、個々の前記センサから前記部屋内へ流入する気流及び前記部屋内から流出する空気の温度から成る前記部屋内の環境特性のデータを受け取」ること、及び、「前記部屋内へ流入する及び前記部屋内から流出する空気の動的な気流バランスをとれるようにすることで前記部屋の温度を管理する」ことの限定を省くものである。

そうすると、本願発明と刊行物1に記載された発明の一致点及び相違点は、前記「第2 [理由]3 対比」の記載事項を上記本願発明と本件補正発明との関係を考慮して読み替えるとともに、刊行物1に記載された発明の「部屋内の環境特性に基づいてセンサ182、184によりそれぞれ検知されたデータを受信」することが、その構成及び機能からみて、本願発明の「部屋内の環境特性に基づいて感知されたデータを受け取」ることに相当することを勘案すると、次のとおりである。

[一致点]
「熱発生構成要素を有する部屋のための環境管理システムであって、ファン支援型タイルの群と、それぞれのファン支援型タイルに接続されたファンコントローラと、データネットワークを介してそれぞれのファンコントローラに接続され、前記部屋内の環境特性に基づいて感知されたデータを受け取り、それぞれのファンコントローラへと制御信号を出力することで、それぞれのファン支援型タイルのファンが、前記部屋内の動的な気流バランスをとれるようにする、熱サーバとを含む、環境管理システム。」

[相違点4]
ファンコントローラと熱サーバとを接続するデータネットワークが、本願発明では、ワイヤレスデータネットワークであるのに対して、刊行物1に記載された発明では、ワイヤレスであるか否か不明である点。

そこで上記相違点4について検討する。
環境管理システムの技術分野において、ファンコントローラとサーバとを結ぶネットワークをワイヤレスとする点は本願の国際出願日前に周知の技術(例えば、特開2000-297954号公報の段落【0035】?【0038】,【図1】,【図3】や、特開平7-243682号公報の段落【0007】や、国際公開第2004/107142号の第13ページ第12行?第14ページ第14行を参照。)である。
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明のデータネットワークに上記周知の技術事項を適用することにより当業者が容易になし得たものである。

ゆえに、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-18 
結審通知日 2012-06-19 
審決日 2012-06-26 
出願番号 特願2008-507174(P2008-507174)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F24F)
P 1 8・ 575- Z (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松井 裕典礒部 賢  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 長崎 洋一
長浜 義憲
発明の名称 適応的環境管理のための知能ファン支援型タイル  
代理人 大菅 義之  

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