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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A61K 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1266369 |
審判番号 | 不服2010-5857 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-17 |
確定日 | 2012-11-14 |
事件の表示 | 特願2003-535796「ホスホロジエステラーゼIV阻害剤の使用」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 4月24日国際公開、WO03/32993、平成17年 2月24日国内公表、特表2005-505604〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2002年9月19日(パリ条約による優先権主張2001年10月12日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成21年11月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成22年3月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願請求項1?5に係る発明は、平成22年3月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されたものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。なお、付されていた下線は省略した。 「【請求項1】 a)2-(4-エトキシカルボニルアミノベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 2-(4-エトキシカルボニルアミノベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 2-(4-メトキシカルボニルアミノベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オンからなる群から選択された欧州特許EP0738715A2号に開示の化合物、 b)3-(4-トリフルオロアセトアミドベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-エチル-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-アセトアミドベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オンからなる群から選択された欧州特許EP0723962B1号に開示の化合物、 c)欧州特許EP0763534A1号に開示の化合物である、3-(4-ニコチノイルアミノベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン、または生理学的に許容されるその塩を含む、腫瘍、腫瘍転移を治療するための薬剤。」 第3 原査定の理由 原査定の理由は、平成21年5月28付け拒絶理由通知書に記載した理由によって拒絶をすべきものであるとするもので、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない、及び、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないというものであり、以下の点を指摘している。 「出願人が本願明細書で挙げた文献のうち、本願出願前の文献にはPDE IV阻害剤が炎症性疾患等の広範な疾患の治療への適用の可能性が記載されるのみであり、実際にそれらの治療効果があったことを確認する記載はない。したがって、明細書が開示する上記文献を含む本願明細書の内容および出願時の技術常識に基づいて当業者が本願請求項に係る発明を実施することができる程度に、発明の詳細な説明は明確かつ十分に記載されたものであるとはいえないし、本願発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるともいえない。」 第4 当審の判断 1 本願発明は上記第2で示したとおりであって、薬剤には、a)で挙げられた3化合物、b)で挙げられた2化合物、及び、c)で挙げられた1化合物からなる化合物群、並びにそれらの「生理学的に許容される」塩のうち少なくともいずれか1種(以下、これらを「有効成分」という。)が含まれているものといえ、そのような薬剤が「腫瘍、腫瘍転移を治療するための」ものであるといえる。 ここで、有効成分による腫瘍及び腫瘍転移の治療に関し、本願の発明の詳細な説明には、次の事項が記載されている。 なお、下線は当審で付した。 2 本願明細書の記載 (a)「【0001】 本発明は、ホスホロジエステラーゼIV阻害剤の使用に関する。 【0002】 a)欧州特許EP0738715A2号に開示の式Iの化合物であって、 ……(略)……である化合物、 【0005】 b)欧州特許EP0723962B1号に開示の式Iの化合物であって、 ……(略)……である化合物、 【0008】 c)欧州特許EP0763534A1号に開示の式Iの化合物であって、 ……(略)……である化合物、 【0011】 d)欧州特許EP0539806B1号に開示の式Iの化合物であって、 ……(略)……である化合物、 【0014】 e)欧州特許EP0618201A1号に開示の式Iの化合物であって、 ……(略)……である化合物、 【0019】 f)ドイツ特許DE19604388A1号に開示の式Iの化合物であって、 ……(略)……である化合物、 【0022】 および/または生理学的に許容されるそれらの塩の、骨粗鬆症、腫瘍、腫瘍転移、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病、潰瘍性大腸炎、ならびにAIDSを治療する薬剤を調製するための使用に関する。」 (b)「【0024】 式Iの化合物およびそれらの塩が、非常に価値のある薬理学的特性を有し、充分に許容されることが見出された。 【0025】 特に、それらはcAMPの細胞内増加と併せて、ホスホジエステラーゼIVの選択的阻害を示す(N.Sommer他、Nature Medicine、1、244?248(1995))。」 (c)「【0027】 本発明による化合物は、喘息性疾患の治療に用いることができる。PDE IV阻害剤の抗喘息作用は、たとえば……(略)……方法によって判定することができる。 【0028】 cAMPは、骨破壊細胞を阻害し、骨形成細胞を刺激するので……(略)……、本発明による化合物は骨粗鬆症の治療に用いることができる。 【0029】 さらに、これらの化合物はTNF(腫瘍壊死因子)の形成に阻害作用を示し、したがって、アレルギー性および炎症性疾患、自己免疫疾患、および移植拒絶反応の治療に適している。これらは、記憶障害、腫瘍、腫瘍転移、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、アトピー性皮膚炎、糖尿病、潰瘍性大腸炎、およびAIDSの治療に用いることができる。 ……(略)…… 【0032】 腫瘍の治療におけるPDE IV阻害剤の作用は、たとえばWO95/35281、WO95/17399、およびWO96/00215に記載されている。 【0033】 驚いたことに、式Iの化合物が、癌の治療に適していることが見出された。【0034】 本発明はさらに、新生物細胞の増殖を阻害する薬剤を調製するための、式Iの化合物、ならびに生理学的に許容されるそれらの塩および/または溶媒和物の使用に関する。 【0035】 新生物細胞という用語は、癌細胞を意味する。 【0036】 本発明は特に、癌疾患を治療および/または予防する薬剤を調製するための、式Iの化合物、ならびに生理学的に許容されるそれらの塩および/または溶媒和物の使用に関する。」 (d)「【0049】 本発明による化合物は、特に骨粗鬆症、腫瘍、腫瘍転移、喘息、慢性気管支炎、アトピー性皮膚炎、乾癬および皮膚疾患、ならびに自己免疫疾患の治療に用いることができる。」 (e)「【0132】 本発明は、特に、下記の使用に関し 【0133】 a) EP 0 738 715 A2に開示された下記群から選ばれた化合物、 2-(4-エトキシカルボニルアミノベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 2-(3-メチルスルフォンアミドベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 2-(3-アセトアミドベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 2-(4-トリフロロアセトアミドベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 2-(4-エトキシカルボニルアミノベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 2-(4-メトキシカルボニルアミノベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 2-(4-ブチリルアミノベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; 【0134】 b) EP 0 723 962 B1に開示された下記群から選ばれた化合物 3-(4-ニトロベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-エチル-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-アミノベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-エチル-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-トリフロロアセトアミドベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-エチル-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-アセトアミドベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-メトキシベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-エチル-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(2,6-ジクロロベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-エチル-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 【0135】 c) EP 0 763 534 A1, に開示された下記群から選ばれた化合物 3-(4-ピコリノイルアミノベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-エチル-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-ピコリノイルアミノベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-ニコチノイルアミノベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-イソニコチノイルアミノベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-3,6-ジヒドロ-1,3,4-チアジアジン-2-オン; 3-(4-ニコチノイルアミノベンジル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-エチル-3,6-ジヒドロ-1,3,4-オキサジアジン-2-オン; 2-(4-ニコチノイルアミノベンジル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-エチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリダジン-3-オン; ……(略)…… 【0139】 および/または生理学的に許容されるそれらの塩の、骨粗鬆症、腫瘍、腫瘍転移、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病、潰瘍性大腸炎、ならびにAIDSを治療する薬剤を調製するための使用に関する。」 3 特許法第36条第6項第1号について (1) 特許法第36条第6項第1号の判断は、請求項に係る発明が、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであるか否かを調べることにより行われる。そして、請求項に係る発明が、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えていると判断された場合には、請求項に係る発明は、発明の詳細な説明に実質的に記載されているとはいえず、特許法第36条第6項第1号の規定に反するものとなる。 これを本願についてみると、本願発明は、上で挙げた有効成分を含む、「腫瘍、腫瘍転移を治療するための薬剤」に関するものであり、上記有効成分を「腫瘍、腫瘍転移を治療するための薬剤」とすることを課題とするものである。そして、本願において発明の課題が解決できることとは、上記有効成分により腫瘍や腫瘍転移が治療できることと認められる。 (2) 有効成分にあたる各化合物はいずれも公知のものであるが、発明の詳細な説明には、これらの化合物により実際に腫瘍や腫瘍転移が治療されたことは記載されていない。また、上記2の摘示事項(a)、(c)?(e)に腫瘍や腫瘍転移の治療に関する記載はあるものの、有効成分により腫瘍や腫瘍転移が治療されたことの客観的な根拠を伴った記載ではない。 (3) 上記2の摘示事項(b)には、有効成分がホスホジエステラーゼIV(以下、「PDE IV」という。)阻害活性を有することが記載されるとともに、摘示事項(c)には、腫瘍の治療におけるPDE IV阻害剤の作用が、具体的文献を挙げつつ記載されており、これらの記載は、有効成分が有するPDE IV阻害活性によって腫瘍が治療されることを意図したものと認められる。 しかし、有効成分がPDE IV阻害活性を有することについて、本願の発明の詳細な説明には有効成分が実際にPDE IV阻害活性を示したことは記載されておらず、有効成分が実際にPDE IV阻害活性を有することを示す先行技術も見当たらない。 また、腫瘍の治療におけるPDE IV阻害剤の作用についても、挙げられた文献をみると、いずれも本願発明の有効成分とは異なる構造を有する化合物がPDE IV阻害活性を有することが記載されているものの、PDE IV阻害活性を有する化合物全般やこれらの文献で具体的に言及された化合物において、腫瘍や腫瘍転移が治療されたことは記載されていない。そうすると、発明の詳細な説明の記載をみても、当業者の間で、PDE IV阻害活性を有する化合物により腫瘍や腫瘍転移が治療されるとの技術常識があったと解することができない。 したがって、発明の詳細な説明の記載によって、有効成分がPDE IV阻害活性を有し、これによって腫瘍が治療できることが示されたものとはいえない。 (4) 上記2の摘示事項(c)には、有効成分がTNF(腫瘍壊死因子)の形成に阻害作用を示し、したがって腫瘍や腫瘍転移の治療に用いることができる旨の記載がある。 しかし、本願の発明の詳細な説明には、有効成分が実際にTNFの形成に阻害作用を示すことが記載されているわけではない。また、そのような活性が当業者にとり明らかな場合、有効成分によりTNFの形成が阻害され、本来TNFにより体内でなされる作用が低減すると解されるが、そのような成分によって腫瘍や腫瘍転移が治療されることは、TNFががん細胞にアポトーシスを誘導する等、腫瘍細胞に直接傷害を及ぼしてその壊死を引き起こす成分であるという、当業者における技術常識(例えば、今堀和友ら監修,生化学辞典(第3版),株式会社東京化学同人,1998年,687頁、日経バイオ最新用語辞典 第四版,日経BP社,1995年,318?319頁参照。)に反するものであるにもかかわらず、この点について何らの説明もなされていない。そうすると、TNF形成の阻害によって腫瘍や腫瘍転移が治療されることが当業者にとり自明であるとはいえない。 したがって、発明の詳細な説明の記載によって、有効成分がTNFの形成に阻害作用を示し、これにより腫瘍や腫瘍転移が治療できることが示されたものとはいえない。 (5) よって、発明の詳細な説明の記載によって、有効成分により腫瘍や腫瘍転移が治療できることを当業者が認識できるように記載されたとはいえないから、本願発明は、発明の詳細な説明に記載されたとはいえない。 4 特許法第36条第4項について (1) 本願発明は、上で挙げた有効成分を含む、「腫瘍、腫瘍転移を治療するための薬剤」に関するものであり、薬剤によって腫瘍や腫瘍転移が治療されると解される。したがって、このような本願発明を当業者が実施することができる程度に発明の詳細な説明が記載されたといえるためには、発明の詳細な説明において、有効成分によって腫瘍や腫瘍転移が治療できることが記載される必要がある。 (2) この点について、発明の詳細な説明をみると、上記3の(2)でも指摘したように、有効成分により実際に腫瘍や腫瘍転移が治療できることは記載されておらず、上記2の摘示事項(a)、(c)?(e)に腫瘍や腫瘍転移の治療に関する記載はあるものの、有効成分により腫瘍や腫瘍転移が治療されたことを記載したものでもない。 また、上記3の(3)及び(4)でも指摘したように、発明の詳細な説明には、有効成分が有するPDE IV阻害活性で腫瘍が治療されることを意図した記載や、有効成分がTNF(腫瘍壊死因子)の形成に阻害作用を示すことから腫瘍や腫瘍転移の治療に用いることができる旨の記載があるものの、これらの点が実際に確認されたわけではなく、そのような技術常識や当業者にとって自明な事項があったわけでもない。 (3) よって、このような発明の詳細な説明の記載によっては、当業者といえども有効成分によって腫瘍や腫瘍転移が治療できると解することができず、本願発明を当業者が実施することができる程度に発明の詳細な説明が記載されたとはいえない。 5 請求人の主張について (1) 請求人は、原審審査官が平成21年5月28日付けで示した拒絶理由通知に対応して提出された平成21年9月28日付け意見書、及び、審判請求の理由(平成22年5月13日付け手続補正書(方式)参照。)において、本願発明に関連して、本願明細書の段落【0030】、【0032】、【0035】等には、PDE IV阻害剤やTNFαのメディエーターとしての作用に基づき、有効成分が腫瘍及び腫瘍転移において薬理効果を有することを示す文献が開示されていることから、明細書が開示する上記文献を含む本願明細書の内容および出願時の技術常識に基づいて、当業者が本願発明を実施することができ、また、本願請求項に記載される発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、したがって、本願は上記第3で挙げた拒絶理由を有さない旨を主張する。 (2) しかし、PDE IV阻害作用と腫瘍、腫瘍転移の治療との関係については、上記3(3)及び4(2)に記載のとおりであり、また、TNFαのメディエーターとしての作用の点については、上記2の摘示事項(c)に有効成分がTNFの形成に阻害作用を示すことが記載され、また、上記3(4)にて指摘したように、TNF形成の阻害によって腫瘍や腫瘍転移が治療されることが当業者にとり自明であるとはいえないから、このような請求人の主張はいずれも採用することができない。 6 小括 したがって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、特許法第36条第4項に規定される要件を満足するものではないとともに、本願発明が発明の詳細な説明に記載されたものではないから、同法第36条第6項第1号に規定される要件を満足するものでもない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第4項及び同条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、同法第49条第4号の規定により拒絶すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-06-15 |
結審通知日 | 2012-06-19 |
審決日 | 2012-07-02 |
出願番号 | 特願2003-535796(P2003-535796) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
Z
(A61K)
P 1 8・ 537- Z (A61K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 瀬下 浩一 |
特許庁審判長 |
内田 淳子 |
特許庁審判官 |
前田 佳与子 荒木 英則 |
発明の名称 | ホスホロジエステラーゼIV阻害剤の使用 |
代理人 | 石橋 政幸 |
代理人 | 宮崎 昭夫 |
復代理人 | 太田 顕学 |
代理人 | 緒方 雅昭 |