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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない A63F
管理番号 1266477
審判番号 訂正2012-390072  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-06-04 
確定日 2012-11-19 
事件の表示 特許第4208368号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件特許の経緯概要は以下のとおりである。

平成11年12月22日 本件特許出願(特願平11-364262号)
平成20年10月31日 設定登録(特許第4208368号)

平成23年 5月25日差出 無効審判請求(書面には5月24日の日付)
(無効2011-800081号)
平成23年 8月11日 訂正請求
平成24年 2月 3日 審決(訂正を認める。特許第4208368号
請求項1に係る発明についての特許を無効とする
。)
平成24年 3月13日 審決取消訴訟の提起(被請求人による)(平成2
4年(行ケ)10091号)
平成24年 6月 4日 本件訂正審判の請求(訂正2012-39007
2号)
平成24年 7月24日 訂正拒絶理由通知(発送日は7月26日)
平成24年 8月24日 意見書


2.審判請求の要旨
本件審判請求の要旨は、本件特許第4208368号の明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を、本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。
その訂正内容は、次のとおりである。

<訂正事項a>
特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】
複数の図柄が外周面に描かれた複数のリールをステッピングモータで回転駆動させることにより前記図柄を可変表示する機器前面から観察される可変表示装置と、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段およびこの入賞態様決定手段によって決定された入賞態様に基づいて前記図柄の可変表示を制御する可変表示制御手段が構成された主制御回路と、前面扉の表面側に設けられた種々の情報を表示する表示装置と、この表示装置の表示を制御する表示制御回路と、効果音を出音するスピーカとを備えて構成されるスロットマシンにおいて、
前記スピーカの出音を制御すると共に前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に基づいて前記表示装置に表示する画像演出パターンの種類の選択処理を行う、前記主制御回路に接続された副制御回路を備え、
前記主制御回路および前記副制御回路は機器を収容する筐体の背面内側に取り付けられた基板に構成され、
前記表示制御回路は、前記副制御回路に接続され、前記前面扉の背面側に取り付けられた基板に構成されていることを特徴とするスロットマシン。」から、
「【請求項1】
複数の図柄が外周面に描かれた複数のリールをステッピングモータで回転駆動させることにより前記図柄を可変表示する機器前面から観察される可変表示装置と、
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段およびこの入賞態様決定手段によって決定された入賞態様に基づいて前記図柄の可変表示を制御する可変表示制御手段が構成された主制御回路と、
前面扉の表面側に設けられた種々の情報を表示する表示装置と、この表示装置の表示を制御する表示制御回路と、効果音を出音するスピーカとを備え、小規模な新装の際に前記前面扉のみが交換されるスロットマシンにおいて、
前記スピーカの出音を制御すると共に前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に基づいて前記表示装置に表示する画像演出パターンの種類の選択処理を行う、前記主制御回路に接続された副制御回路を備え、
前記主制御回路および前記副制御回路は機器を収容する筐体の背面内側に取り付けられた基板に構成され、
前記表示制御回路は、前記副制御回路に接続され、前記前面扉の背面側であって前記表示装置とは異なる位置に取り付けられた基板に構成されていることを特徴とするスロットマシン。」に訂正する。
(下線は当審で付加。以下同じ。)

<訂正事項b>
明細書の段落【0010】を、
「【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、複数の図柄が外周面に描かれた複数のリールをステッピングモータで回転駆動させることにより図柄を可変表示する機器前面から観察される可変表示装置と、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段およびこの入賞態様決定手段によって決定された入賞態様に基づいて図柄の可変表示を制御する可変表示制御手段が構成された主制御回路と、前面扉の表面側に設けられた種々の情報を表示する表示装置と、この表示装置の表示を制御する表示制御回路と、効果音を出音するスピーカとを備えて構成されるスロットマシンにおいて、スピーカの出音を制御すると共に入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に基づいて表示装置に表示する画像演出パターンの種類の選択処理を行う、主制御回路に接続された副制御回路を備え、主制御回路および副制御回路を、機器を収容する筐体の背面内側に取り付けられた基板に構成し、表示制御回路を、副制御回路に接続し、前面扉の背面側に取り付けられた基板に構成したことを特徴とする。」から、
「【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、複数の図柄が外周面に描かれた複数のリールをステッピングモータで回転駆動させることにより前記図柄を可変表示する機器前面から観察される可変表示装置と、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段およびこの入賞態様決定手段によって決定された入賞態様に基づいて前記図柄の可変表示を制御する可変表示制御手段が構成された主制御回路と、前面扉の表面側に設けられた種々の情報を表示する表示装置と、この表示装置の表示を制御する表示制御回路と、効果音を出音するスピーカとを備え、小規模な新装の際に前記前面扉のみが交換されるスロットマシンにおいて、前記スピーカの出音を制御すると共に前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に基づいて前記表示装置に表示する画像演出パターンの種類の選択処理を行う、前記主制御回路に接続された副制御回路を備え、前記主制御回路および前記副制御回路は機器を収容する筐体の背面内側に取り付けられた基板に構成され、前記表示制御回路は、前記副制御回路に接続され、前記前面扉の背面側であって前記表示装置とは異なる位置に取り付けられた基板に構成されていることを特徴とする。」に訂正する。


3.訂正目的の検討
<訂正事項aについて>
訂正事項aは、「スロットマシン」について、「小規模な新装の際に前記前面扉のみが交換される」点を限定するとともに、
「表示制御回路」が構成されている「基板」の配設箇所について、「前記前面扉の背面側であって前記表示装置とは異なる位置に取り付けられた」ことを限定するものである。

<訂正事項bについて>
訂正事項aにおける訂正した特許請求の範囲の記載と、発明の詳細な説明の記載との整合を取るものであって、明りようでない記載の釈明を目的とするものである。

したがって、
訂正事項aは、特許法126条1項ただし書1号に掲げる事項を、
訂正事項bは、特許法126条1項ただし書3号に掲げる事項を、
それぞれ目的としたものである。


4.独立特許要件についての検討
(1) 本件訂正発明の認定
訂正請求項1に記載された次のとおりのものを「本件訂正発明」と認める。
「【請求項1】
複数の図柄が外周面に描かれた複数のリールをステッピングモータで回転駆動させることにより前記図柄を可変表示する機器前面から観察される可変表示装置と、
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段およびこの入賞態様決定手段によって決定された入賞態様に基づいて前記図柄の可変表示を制御する可変表示制御手段が構成された主制御回路と、
前面扉の表面側に設けられた種々の情報を表示する表示装置と、この表示装置の表示を制御する表示制御回路と、効果音を出音するスピーカとを備え、小規模な新装の際に前記前面扉のみが交換されるスロットマシンにおいて、
前記スピーカの出音を制御すると共に前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に基づいて前記表示装置に表示する画像演出パターンの種類の選択処理を行う、前記主制御回路に接続された副制御回路を備え、
前記主制御回路および前記副制御回路は機器を収容する筐体の背面内側に取り付けられた基板に構成され、
前記表示制御回路は、前記副制御回路に接続され、前記前面扉の背面側であって前記表示装置とは異なる位置に取り付けられた基板に構成されていることを特徴とするスロットマシン。」
ここで、本件審判請求書及び平成24年8月24日付け意見書の記載、並びに発明の詳細な説明及び図面の記載を参酌した上で、本件訂正発明における「前面扉のみ」とは、「前面扉」だけではなく、「前面扉」に設けられた構成(請求項1の記載上は「表示装置」及び「表示制御回路」。図面の記載からすると、更に「スピーカ」等が設けられている場合もある。)も含むと認める。

(2) 進歩性についての検討
(2-1) 引用文献1の記載事項
特開平5-123444号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
記載事項1-1
「【0006】
【実施例】
(第1実施例)図1はこの発明の実施例に係る遊技装置1の前面側全体斜視図、図2はその正面図、図3はその前面枠100の背面側斜視図、図4はその背面図、図5は本体ケース200の前面側斜視図、図6はその正面図である。この遊技装置1は、その後側外形を構成する本体ケース200と、該本体ケース(基枠)200の前側開口部にヒンジ190,190(図3)を介して開閉可能に取り付けられた前面枠100とを備えている。そして、その前面枠100は、その裏側が、矩形に組まれた金属製の補強枠130によって補強されている。その補強枠130は、強度を考慮してコ字形断面形状に作られている。
【0007】前記本体ケース200は天板205、底板206、左右の側板207,208および背面板209により、上下左右および背面部が囲まれた箱型ケースとして構成されている。前記前面枠100の前面側上部にはパネル表示部10が設けられている。このパネル表示部10の中央には可変表示部としての3つの可変表示窓10b,10c,10dが設けられ、各可変表示窓10b,10c,10dには上、中、下段に1つずつ、合計3つずつ表示が現出されるようになっている。」

記載事項1-2
「【0009】パネル表示部10の上部中央にはゲーム等に関する各種情報を表示する情報表示部10aが設けられている。そして、その斜め左上側にはビッグチャンス時に点灯するビッグチャンス表示部10eが、右端には役に応じた賞球数を表示したスコア表示部10fが設けられている。パネル表示部10の右側下部には、クレジット数を表示するクレジット数表示部10sが設けられている。【0010】・・・同操作部115前面側の中央には各可変表示窓10b,10c,10d中の可変表示ドラム(後述)をストップさせるためのストップボタン22a,22b,22cが押圧操作自在に設けられている。そして、その左側には、可変表示ゲームの開始(内部の可変表示ドラム(後述)の回転開始)操作を行うためのスタート装置90、賭け数をセットするための取込ボタン24a、および精算/完了ボタン29aがそれぞれ外部操作自在に設けられている。・・・」

記載事項1-3
「【0014】前面枠100裏側の上段側には液晶パネル制御基盤750が、また、その下段右側下部には中継基盤930が、それぞれ、設置されている。また、同下段左側には中継基盤910、および取込とスイッチ類の制御装置920が設置されている。


記載事項1-4
「【0018】先ず、電源装置370の電源が投入された遊技前の状態においては、可変表示窓10b,10c,10d中の可変表示(可変表示ドラム(後述)の回転に基づく可変表示)は停止していて、賭け数表示部11中のランプ、操作用把手94中のスタートランプ、ストップ表示部10g,10h,10j中のランプ、ボーナスゲーム表示部10r中のランプ、ビッグチャンス表示部10e中のランプ、大役物発生表示部20中のランプは全て消灯している。そして、液晶テレビ制御基盤750の制御により情報表示部10aへのメッセージ表示が開始され、可変表示窓10b,10c,10d中のランプ、スコア表示部10f中のランプが点灯した状態となる。
【0019】そして、遊技は次のようにして行なわれる。先ず、上皿71中に遊技球(図示省略)を入れると、その遊技球が取込口26を介して球取込装置300の導入樋(後述)中に流入する。そして、取込ボタン24a中のランプが点滅するとともに、情報表示部10aには、“取込みボタンとイッチを押して下さい。”の表示と“オートを希望するときにはオート/マニュアル切換ボタンを押して下さい。”の表示がなされる。この状態で、球の取込みをマニュアル或いはオートのいずれにするかを遊技者が決め、マニュアルを希望する場合はオート/マニュアル切換ボタン28aを押さなくて良いが、オートを希望する場合にはそのオート/マニュアル切換ボタン28aを押す。その結果、マニュアルを選択したときには、取込ボタン24aを押すごとに、取込音が発せられて、上皿71から実球が取込口26を介して一定個数(例えば、5個)ずつ取り込まれ得る状態となる。が、オートを選択したときには、上皿71から、予め実球が取込口26を介して所定個数(例えば、250個)の範囲内でクレジットとして取り込まれる。その取り込まれた球数がメイン制御装置250の記憶部に記憶され(クレジットに入れられ)その記憶数(クレジット数)がクレジット数表示部10Sに数字表示される。そして、取込ボタン24aが押されるごとに、その記憶数の中から5個ずつ取り込まれ得る状態となる。
【0020】この状態で、遊技者が希望する賭け数(例えば、5個単位で、5個、10個、15個)分に対応した回数(賭け数5個につき1回)だけ取込ボタン24aを押すと、その押した回数に対応した賭け数(例えば、5個単位)の球が、マニュアルのときには実球で上皿71の中から、オートのときには記憶(クレジット)の中から、それぞれ取り込まれる。そして、その取込みの終了後に、スタート操作用把手94中のランプが点灯する。クレジットの中から取り込まれたときには、メイン制御装置250のクレジットの記憶数がその取り込まれた分だけ減算され、その減算後のクレジット数がクレジット表示部10Sに数字表示される。そして、そのいずれの場合にも、その賭け数に対応した賭け数表示部11(11a?11e)が点灯され、情報表示部10aに“スタート操作をしてください”の表示がなされる。
【0021】この状態で、遊技者がスタート操作用把手94を握ってスタート装置90を操作すると、スピーカからスタート音が発せられてスタート操作用把手94中のスタートランプ(後述)が消灯する。そして、内部の3つの可変表示ドラム(後述)がそれぞれ異なった速度での回転を開始して回転音が発せられ、それに伴って可変表示窓10b,10c,10d中の表示の変化が開始される。その開始のときから所定時間経過すると、ストップ表示部15a,15b,15c中のランプが点灯し、さらに所定時間が経過すると、左、中、右の順に可変表示ドラム(後述)が停止されて可変表示窓10b,10c,10d中の表示が確定される。ただし、その所定時間の経過前であっても、一定時間が経過して情報表示部10aに“ストップスイッチを押して下さい。”の表示が現われ、かつ、ストップ表示部15a,15b,15c中のランプが点灯してストップボタン22a,22b,22cの操作が可能となってから、遊技者によってストップボタン(22a,22b,22c)が押圧操作されると、スピーカ260からストップ音が発せられてその押圧操作されたストップボタン(22a,22b,22c)上の可変表示窓(10b,10c,10d)中の可変表示ドラムの回転が停止され、その結果、その可変表示窓(10b,10c,10d)中の表示の変化が停止されて確定する。そのストップボタン(22a,22b,22c)の押す順序はいずれの順に行なってもよい。いずれの場合も、可変表示窓(10b,10c,10d)中の表示の変化が停止されると、その停止ごとに対応するストップ表示部(15a,15b,15c)中のランプが消灯される。」

記載事項1-5
「【0024】そのゲームの結果、特に、可変表示窓10b,10c,10d中の表示の組合せが“ビッグチャンス”を発生させる表示の組合せ(この実施例では、「7,7,7」の組合せ)となったときには、“ビッグチャンス”が発生してビッグチャンス表示部10e中のランプが点灯される。と同時に、“ビッグチャンス”の発生を知らせる効果音が発せられて所定数(例えば、90個)の賞球排出が行なわれ、しかる後、次のような“ビッグチャンスゲーム”に移行される。このビッグチャンスの発生時には情報表示部10aに、“ビッグチャンスおめでとうございます。”の表示と、ボーナスゲームの発生し得る回数(ボーナスゲームの残りの回数)、例えば「ボーナスゲームの残り3」の表示がなされる。」

記載事項1-6
「【0026】このボーナスゲームの具体例としては、取込ボタン24aの操作により1単位(この実施例では、5個)の掛け球を取り込ませてから、スタート装置90を操作すると、可変表示窓10b,10c,10d中の3つの可変表示ドラムが回転して各可変表示ドラム(後述)ごとの個別的可変表示ゲームが開始される。そして、最初の個別的可変表示ゲームは、左の可変表示窓10b中の可変表示ドラムによって行われ、該可変表示ドラムはその回転開始時から所定時間が経過するか、又は、ストップボタン22aが押された時点で停止される。その停止結果として、中央の組合せ表示ラインa?a上の停止表示が特定の表示、例えば、“寿”の文字表示であれば当りで“75個”の賞球が与えられるが、それ以外の表示のときには外れとなる。続いて行なわれる2番目の個別的可変表示ゲームは中央の可変表示窓11B内の回転中の可変表示ドラムによって行われる。即ち、取込ボタン24aを操作して1単位(この実施例では、5個)の掛け球を取り込ませると、中央の可変表示窓10c中の可変表示ドラムがその取込時から所定時間経過するか、又は、ストップボタン22bが押された時点で停止される。その停止結果としての当りの態様と賞球数は左の可変表示ドラムでのゲームのときと同様である。続いて行なわれる3番目の個別的可変表示ゲームは右の可変表示窓10d内の回転中の可変表示ドラムによって、前記2番目の個別的可変表示ゲームのときと同様にして行われる。そして、そのゲーム結果としての当りの態様および賞球数は前記1番目と2番目の個別的可変表示ゲームのときと同様である。4番目?6番目、7番目?9番目、および10番目?12番目の個別的可変表示ゲームは前記1番目?3番目の可変表示ゲームのときと同様である。
【0027】このビッグチャンスのゲーム中、上記ボーナスゲーム以外のゲームにおいても小役(個別ゲームの当り)の発生確率がアップされて賞球獲得のチャンスが増加される。このビッグチャンスのゲームは“ビッグチャンス”発生のときから3回のボーナスゲームが行われるか、或いは30回のゲーム(個別的ゲームは回数に入れない。)が行われるまで継続され、3回のボーナスゲームが行われるか、或いは30回のゲーム(個別的ゲームは回数に入れない。)が行われるまで継続され、3回のボーナスゲーム又は30回のゲームが行われた時点で終了されてゲームが完了され、その完了時点でゲーム不能な状態となる。」

記載事項1-7
「【0031】また、可変表示ゲーム中、2つの可変表示が停止した時点で、例えば、可変表示窓10b,10c,10dの有効ライン上に「7」が2つ揃ってビッグチャンスを発生させ得るリーチ状態が生じたときには、そのリーチを知らせる表示が情報表示部10aになされるとともに、効果音が発せられる。」

記載事項1-8
「【0036】前記情報表示部10aの表示としては、例えば、普通表示(ゲーム説明)、オート/マニュアル表示、取込数表示、操作手順表示、クレジット数表示、賞球表示(賞球数含む。)、ビッグチャンス・レギュラーボーナス表示、精算・完了時球数表示等がなされる。そして、前記普通表示(ゲーム説明)としては、例えば、情報表示部10aの画面全体に“いらっしゃいませ。当パーラーへようこそいらっしゃいました。”“私は?です。上皿へ球を入れてオート/マニュアル切換スイッチを選択し、スタートスイッチを押してください。”、“次の操作説明をします。”等の表示の他、各ボーナスゲーム時の操作説明等の表示がなされる。」

記載事項1-9
「【0038】前記ビッグチャンス・レギュラーボーナス表示としては、ビッグチャンス時に、情報表示部10aの画面全体にビッグチャンスのゲームがスタートしたことを示す表示がされ、次に“?個投入して「寿、寿、寿、」で止めて下さい。”というようなゲームの進行手順の説明表示や賞球数の表示等が行なわれたりする。」

記載事項1-10
記載事項1-10のうち、下記【0044】の「また、リード線176の接続端子17bを外すことにより、クレジット数表示装置770の交換が容易となる。」については、図3?4の記載に基づき、「また、リード線171の接続端子171bを外すことにより、クレジット数表示装置770の交換が容易となる。」の誤記と認める。
「【0042】この遊技装置1は、前面枠100裏側の配線処理の簡素化と特定部所への必要コネクタの数を減らすため、各種装置(例えば、賭数表示ユニット760)や基盤(例えば、液晶パネル制御基盤750)を一定の順序で配線接続を行う中継基盤として利用したり、補強枠130裏側の凹錠溝131a,133aを配線通し用溝として利用したりしている。
【0043】クレジット数表示装置770、液晶パネル制御基盤750および賭数表示ユニット760からのリード線をそれぞれ別個に取込とスイッチ類の制御基盤920に導くと、リード線171,172,173等が長くなるとともに取込とスイッチ類の制御基盤920への接続コネクタの数が増えて配線処理が複雑になるので、クレジット数表示装置770、液晶テレビ装置700の液晶パネル制御基盤750、賭数表示ユニット760、中継基盤910の順にリード線171,172,173を介して中継接続している。即ち、クレジット数表示装置770をリード線171を介して液晶パネル制御基盤750に、液晶パネル制御基盤750からリード線172を介して賭数表示ユニット760に、さらに、該賭数表示ユニット760をリード線173を介して中継基盤910に、それぞれ順に接続する。そして、この該中継基盤910をリード線174を介して取込とスイッチ類の制御装置920に接続している。従って、それら各リード線171,172,173の長さは短くなり、また、取込とスイッチ類の制御基盤920への接続コネクタの数も少なくなって、配線処理が簡素化される。そして、取込みとスイッチ類の制御装置920からのリード線175を補強枠130の凹状溝133a中を介して下のヒンジ190側に導き、そこから本体ケース200中に導いている。一方、液晶テレビ装置700からのリード線176は補強枠130の凹状溝131a中を介して下のヒンジ190側に導き、そこから本体ケース200中に導いている。リード線176は軟性合成樹脂シート177で包んである。
【0044】このように、液晶パネル制御基盤750および賭数表示ユニット760を中継基盤として利用したり、補強枠130裏側の凹状溝131a,133aを配線処理用凹状溝として使用することによって、前面枠100裏側の配線処理の簡素化が図られている。この配線処理の簡素化により、可変表示窓10b,10c,10dの外からその内部配線処理を見えなくすることができる。また、リード線171の接続端子171bを外すことにより、クレジット数表示装置770の交換が容易となる。また、前面枠100を開いたときに、リード線171等の配線が目だたなくなる。
【0045】図7には前面枠100の分解斜視図を示す。この前面枠100は前面枠本体110と該前面枠本体110の裏側に取り付けられる補強枠130とによって構成されている。そして、図3及び図4においては図示は省略したが、補強枠130の基部側の凹状溝131a中に無理嵌めされる、前記リード線176の保護カバー177が着脱可能に取り付けられている。」

記載事項1-11
「【0065】図14には本体ケース200に対して前面枠100を回動自在に支持する上側軸承部の部分斜視図を示し、図15にはその下側軸承部の部分斜視図を示す。本体ケース200の前側開口部内の左側壁上端部と本体ケース200の前面下部に前方に張り出して設けられた段部209上に、それぞれ軸受金具191,192が取り付けられている。これら軸受金具191,192の一部が本体ケース200の前側開口部の手前側に水平に突出して、その各突出部191a,192aに上向きに支軸191b,192bが同軸線上に設けられている。
【0066】そして、上側の軸受金具191の先端部191aが前面枠100裏画の包囲枠110B内のヒンジ収納空間138(前面枠100の背面側空間)中に至ってその先端の支軸191bが軸受金具136の軸通し孔136a中に、また、下側軸受金具192の支軸192bが前面枠100の包囲枠110下側の切欠き部110b中の軸受金具137の軸通し孔137a中に、それぞれ下側から挿通されることにより、本体ケース200に対して前面枠100が開閉自在(回動自在)に支持されている。前面枠100が開放されているときには、軸受金具191の先端側が包囲枠110Bの逃げ用切欠き部110a中に逃げて包囲枠110Bに当たらないようになっている。このように、前面枠100が、補強枠130に取り付けられた軸受金具136,137を介して本体ケース200に支持されているので、前面枠100はその回動操作に対する強度を十分保てる。また、軸受金具191,192が本体ケース200内に納められるとともに、それらの突出部191a,192aが前面枠100の背面側空間138内および前面枠100の下側に納められているので、ヒンジ190,190が外部に現れず、邪魔にならない。
【0067】図16には本体ケース200の正面図を示す。本体ケース200は可変表示ドラム装置600、メインタンク410、サブタンク420、排出樋430、賞球排出ユニット450、賞球排出制御装置470、球抜き樋550、メイン制御装置250および電源装置370等を収容するもので、前側が開口した箱体状に形成されている。」

記載事項1-12
「【0106】図28には、可変表示ドラム装置600の斜視図を示す。可変表示ドラム装置600は、ドラムボックス610と、該ドラムボックス610中に設置された複数(例えば、3つ)のドラムユニット660,670,680と、これらドラムユニット660,670,680をメイン制御装置250(図6)に電気的に接続するための接続コネクタ640等を備えている。」

記載事項1-13
「【0111】図29には前記ドラムユニット680の分解斜視図を示す。ドラムユニット660,670,680は3つ共略同じ構成になっているので、その中の1つのドラムユニット680についてのみ説明する。ドラムユニット680は、同図に示すように、仕切板681、該仕切板681に取付枠682を介して取り付けられたパルスモータ(ステッピングモータ等も含む。)683、該パルスモータ683の駆動軸(図に現れていない。)に取り付けられた可変表示ドラム687、および前記仕切板681の内側でかつ前記可変表示ドラム687の内側に取り付けられた照明装置685等を具ている。
【0112】前記仕切板681は前記パルスモータ683、可変表示ドラム687および照明装置685等を支持するものである。が、右側のドラムユニット680の仕切板681はドラムボックス610の側壁板を兼ねている。前記パルスモータ683は、前記可変表示ドラム687をその回転の停止角度位置を制御し得る状態で回転させるもので、前記仕切板681の内側側面中央部に、前記取付枠682を介して取り付けられている。このパルスモータ683の駆動軸に取り付けられたプーリ(図に現れていない)に、前記可変表示ドラム687が取り付けられている。」

記載事項1-14
「【0120】即ち、図31に示す可変表示パネル10Aは可変表示部10(図1)を構成するもので、前記パネル取付部111に取り付けられている。この可変表示パネル10Aは例えば非透光性の薄板材により作られている。そして、その上部中央には透明な情報表示部10aが、下部には透明な可変表示用窓10b,10c,10dが設けられている。」

記載事項1-15
「【0144】図44に示す液晶テレビ装置700は、取付基枠710と、該取付基枠710の前面側に取り付けれた半透光性のレンズパネル720と、前記取付基枠710の背面側に取り付けられて液晶表示とその制御を行うマイクロコンピュータ等が設置された液晶パネル制御基盤750とから構成されている。前記レンズパネル720は前記液晶パネル制御基盤750前面側の液晶表示を拡大して表示するもので、半透明なレンズ板によって構成されている。
【0145】前記取付基枠710は液晶テレビ装置700を前面枠本体110に固定する枠で、その中央には液晶パネル取付用開口部711が形成されている。そして、その開口部711に前記液晶パネル720が取り付けられている。取付基枠710の上部には大役物表示用開口部712,713,1714が、また、その左側と右側には、それぞれビッグチャンス表示用開口部715およびスコア表示用開口部716が設けられている。この取付基枠710の裏側に、前記液晶パネル制御基盤750が取り付けられている。この液晶パネル制御基盤750の前面部には液晶表示部(図に現れていない)が設けられている。一方、この液晶パネル制御基盤750の裏側にはその液晶表示部の情報表示を制御する各種電子部品や回路等が配設される他、前記大役物表示用開口部712,713,714、ビッグチャンス表示用開口部715およびスコア表示用開口部716中に至る表示用ランプ753等が配設されている。」

記載事項1-16
「【0153】この取込とスイッチ類の制御装置920には前記中継基盤910からの配線のコネクタ921、およびメイン制御装置250への配線のコネクタ922,923がそれぞれ接続されている。同図に示す中継基盤930は前面枠100裏側配線のメイン制御装置250への中継を行うもので、前面枠100の裏側下部の右端に取り付けられている。この中継基盤930にはオーバーフロースイッチや球抜スイッチ等からの配線のコネクタ931やメイン制御装置250への配線用コネクタ932が接続されている。」

記載事項1-17
「【0162】この小役の集中中においてはビッグチャンスの発生は保留される。即ち、この小役の集中中にビッグチャンス発生の乱数を拾ったときには、そのビッグチャンス発生の時期はそのまま保留されて、その小役の集中の終了後に発生されることとなる。・・・
【0163】図57?図62には前記可変表示ドラム装置600の各可変表示ドラム667,677,687のリール部667a,677,687aの外周面に表示された、可変表示ゲーム用の各種表示図柄の例を示す。それらのうち、図57はリール部667aの第1番目から第10番目までの表示図柄、図58はリール部667aの第11番目から第21番目までの表示図柄、図59はリール部677aの第1番目から第10番目までの表示図柄、図60はリール部677aの第11番目から第21番目までの表示図柄、図61はリール部687aの第1番目から第10番目までの表示図柄、図62はリール部687aの第11番目から第21番目までの表示図柄をそれぞれ示す図である。」

記載事項1-18
「【0165】前記ビッグチャンス、レギュラーボーナスおよび小役を発生させる各種表示の組合せは例えば次のようになっている。即ち、ビッグチャンスは“7”、“7”、“7”の3つの数字が揃ったとき(1)に発生し、レギュラーボーナスは“かぶとの絵”が3つ揃う(2)か又は“富士山の絵”が3つ揃った(3)ときに発生する。そして、ビッグチャンスのときの賞球数の総計は、例えば、最高1800個で、該ビッグチャンスのボーナスゲーム時における個別ゲームの1回“当り”ごとの賞球数は75個である。レギュラーボーナスのときの賞球数の総計は、例えば、最高450個で、該ビッグチャンスのボーナスゲーム時における個別ゲームの1回“当り”ごとの賞球数は75個である。
【0166】小役は“俵の絵”が3つ揃ったとき(4)、“亀の絵”が3つ揃ったとき(5)、左と中の表示が“亀の絵”で右の表示が“かぶとの絵”のとき(6)、“鶴の絵”が3つ揃ったとき(7)、左と中の表示が“鶴の絵”で右の表示が“かぶとの絵”のとき(8)、“鼓の絵”が3つ揃ったとき(9)、左と中の表示が“鼓の絵”の表示であるとき(10)、左と中の表示が“かぶとの絵”の表示であるとき(11)、左の表示が“鼓の絵”の表示であるとき(12)等に発生する。そして、(4)?(6)の小役のときの賞球数は、例えば75個、(7)又は(8)の小役のときの賞球数は、例えば50個、(9)又は(8)の小役のときの賞球数は、例えば、40個、(11)の小役のときの賞球数は、例えば25個、(12)の小役のときの賞球数は、例えば10個である。」

記載事項1-19
「【0179】また、設定値に対するビッグチャンス、レギュラーボーナスおよび小役集中の発生確率は、例えば、表1のようになっている。」

記載事項1-20
「【0189】図69には、上記遊技装置1の制御を行なう制御システムの制御ブロック図を示す。メイン制御装置250は遊技装置1の制御システム全体を支配し、ゲームの制御を行なうようになっている。このメイン制御装置250には、球の取込みとスイッチ類の信号に基づく制御を行なう取込とスイッチ類の制御装置920、球の取込みや排出の制御を単独で行なう賞球排出制御装置470、前面枠100に取り付けられた液晶テレビ装置700の図柄表示パターン等を管理する液晶パネル制御基盤750および外部電源(例えば、AC24V)等が接続されている。そして、前記取込とスイッチ類の制御装置920および賞球排出制御装置470は前記メイン制御装置250の支配下に置かれ、前記液晶テレビ制御装置700は前記メイン制御装置250の制御を受けるようになっている。」

記載事項1-21
「【0212】図77には、液晶パネル制御基盤750、賞球排出制御装置470および可変表示ドラム装置600等の制御支配を行うメイン制御装置250の制御ブロック図を示す。メイン制御装置250は例えばコンピュータシステム250Aによって構成されている。
【0213】このコンピュータシステム250Aを構成するマイクロコンピュータ251は読出し専用メモリたる外部ROM251b、読出しと書込みが可能なメモリたる内部RAM251a、カレンダー251c等を有している。これらメモリのうちのROM251bには、可変表示ドラム667,677,687を動かすパルスモータ663,673,683、取込とスイッチ類の制御装置920、賞球排出制御装置470、液晶パネル制御基盤750およびスピーカ260等の制御するための固定制御データプログラムが書き込まれている。一方、RAM251aにはマイクロコンピュータ251に入力される各種信号等を一時的に記憶する記憶領域等が設けられている。
【0214】このマイクロコンピュータ251はバックアップ電源251dを介して電源251eが接続されている。このマイクロコンピュータ251の入力側にはローパスフィルタ252aおよび入力バッファ252bを介して可変表示ドラム667,677,687の回転角度位置検出器668(SW30)、678(SW31)、688(SW32)が接続されている。
【0215】一方、その出力側にはサウンドジェネレータ252cと音声合成回路252dおよびアンプ252eを介してスピーカ260が接続されるとともに、ドライバ252fを介してパルスモータ663(M10)、673(M11)、683(M12)が接続されている。また、このマイクロコンピュータ251には、多重回路252gおよび光変換器252hを介して取込とスイッチ類の制御装置920が、また、インターフェイス252iを介して賞球排出制御装置470がそれぞれ接続されている。また、このマイクロコンピュータ251には、液晶パネル制御基盤750、およびブレーカーを有する外部接続端子基盤406が接続されている。
【0216】メイン制御装置250の制御システムは上記のように構成されていて、マイクロコンピュータ251により、可変表示ドラム667,677,687の回転角度位置を検出する回転角度位置検出器668(SW30)、678(SW31)、688(SW32)からの検出信号を基に、パルスモータ663(M10)、673(M11)、683(M12)の回転制御を行ったり、スピーカ260から音声を発生させたりする。また、このマイクロコンピュータ251は取込とスイッチ類の制御装置920、賞球排出制御装置470および液晶パネル制御基盤750と通信しながらその制御を支配したり、外部接続端子406を介して球補給スイッチSW41,SW42からの信号を受けて球補給を行ったりする。
【0217】図78には、液晶テレビ装置700の制御を行う液晶パネル制御基盤750の制御ブロック図を示す。液晶パネル制御基盤750は例えばコンピュータシステム750Aによって構成されている。このコンピュータシステム750Aを構成するマイクロコンピュータ755はフォントROM755aおよびV-RAM775b等を有している。これらメモリのうちのフォントROM755aには実際に液晶テレビに映し出される各種図柄データや文字データなどが格納されている。
【0218】一方、V-RAM755bはマイクロコンピュータ755の制御の下で前記フォントROM755a中のデータを液晶テレビに映し出す作業等を行なう。そして、前記V-RAM755bにCRTコントローラ755cおよびドライバー755dを介して液晶パネル制御基盤750の前面の液晶表示部755eが接続されている。液晶パネル制御基盤750は上記のように構成されていて、マイクロコンピュータ755により、フォントROM755a中のデータを基に、V-RAM755b、CRTコントローラ755cおよびドライバー755dを介して液晶表示部755eに各種表示がなされる。このマイクロコンピュータ751はメイン制御装置250と通信を行っていて、メイン制御装置250の支配を受ける。」

記載事項1-22
「【0220】図80には、メイン制御装置250によって行われるメイン制御処理の前半部分手順を、図81にはその後半部分の手順を示す。このメイン制御処理としては、賭け球取込処理、可変表示ドラムの回転制御処理、ボーナスゲームへの移行処理、小役集中への移行処理、可変表示ドラムの停止制御処理、役確定分の払出し処理等が行われる。このメイン制御処理が開始されると、まずステップS100でイニシャル処理を行ってから、ステップS102,S104で順に賭け球取込処理、分岐処理を行う。そして、その分岐処理のとき、ステップS100Aでスタートスイッチ23がオン(ON)されると、ステップS106で可変表示ドラム667,677,687の回転制御を行ってから次のステップS108に移行する。ステップS108ではボーナスゲーム中であるか否かを判定する。その結果、ボーナスゲーム中でないと判定したときには、ステップS110でボーナス判定処理をしてからステップS114に移行する。が、ボーナスゲーム中であると判定したときには、ステップS112で設定値内(ボーナス)の小役確率利用の処理を行って、ステップS130(図81)に移行する。
【0221】ステップS114ではステップS110におけるボーナス判定処理の結果として合格(ボーナスゲームが発生)したか否かを判定し、合格(ボーナスゲームが発生)しなかったと判定したときにはステップS116(図81)に移行し、合格(ボーナスゲームが発生)したと判定したときにはステップS118でボーナスフラグ成立の処理を行ってからステップS136(図81)に移行する。ステップS116(図81)では小役の集中役のゲーム中であるか否かを判定し、小役の集中役のゲーム中でないと判定したときにはステップS122に移行する。
【0222】ステップS120では小役の集中役のゲームが終了したか否かを判定し、終了したと判定したときにはステップS124に移行し、終了していないと判定したときにはステップS128で設定値内(小役集中)の小役確率利用の処理を行ってからステップS130に移行する。ステップS122では小役集中役の設定値を消化したか否かを判定し、消化していないと判定したときにはステップS126で設定値内(通常)の小役確率利用の処理をしてからステップS130に移行し、消化したと判定したときにはステップS124に移行する。ステップS124では小役集中役の判定の結果が合格であったか否かを判定し、合格でなかったと判定したときにはステップS126で設定値内(通常)の小役確率の利用処理を行なってステップS130に移行するが、合格したと判定したときにはステップS128で設定値内(小役集中)の小役確率利用の処理を行ってからステップS130に移行する。
【0223】ステップS130では小役判定の結果が合格であるか(小役が発生したか)否かを判定し、合格しなかったと判定したときにはステップS132でボーナスフラグ、小役フラグの不成立処理を行ってからステップS136に移行し、合格したと判定したときにはステップS134で小役フラグの成立処理を行ってからステップS136に移行する。ステップS136では可変表示ドラム667,677,687の可変表示タイマがタイムアップしたか否かを判定し、タイムアップしていないと判定したときにはステップS138に移行し、タイムアップしたと判定したときにはステップS140で可変表示ドラム667,677,687の停止制御を行ってステップS142に移行する。ステップS138ではストップスイッチ(42),(43),(44)がオンしたか否かを判定し、オンしないと判定したときにはステップS136に戻り、オンしたと判定したときにはステップS140で可変表示ドラム667,677,687の停止処理を行ってステップS142に移行する。ステップS142では役が確定したか否かを判定し、役が確定していないと判定したときにはそのままステップS102(図81)に戻るが、役が確定したときにはステップS144でその役の確定分に対して球の払い出し処理を行ってからステップS102(図81)に戻る。」

以上、記載事項1-1ないし1-22、及び図面を総合すると、引用文献1には、以下の構成(A)?(J)を有する発明が開示されている。(この発明を、以下「引用発明」という。)

「(A) 前面枠100の前面側上部にはパネル表示部10が設けられている。このパネル表示部10の中央には可変表示部としての3つの可変表示窓10b,10c,10dが設けられ、各可変表示窓10b,10c,10dには上、中、下段に1つずつ、合計3つずつ表示が現出されるようになっている。
各可変表示窓10b,10c,10d中には可変表示ドラムがある。
可変表示ドラム装置600は、ドラムボックス610と、該ドラムボックス610中に設置された複数(例えば、3つ)のドラムユニット660,670,680を備えている。
前記ドラムユニット680は、パルスモータ(ステッピングモータ等も含む。)683、該パルスモータ683の駆動軸に取り付けられた可変表示ドラム687を具えている。
前記パルスモータ683は、可変表示ドラム687をその回転の停止角度位置を制御し得る状態で回転させる。
前記可変表示ドラム装置600の各可変表示ドラム667,677,687のリール部667a,677,687aの外周面には、可変表示ゲーム用の各種表示図柄が表示されている。

(B) 以下の手順を含んだメイン制御処理を行うメイン制御装置250を有する。
・スタートスイッチ23がオン(ON)されると、可変表示ドラム667,677,687の回転制御を行う。
・ボーナス判定処理の結果として合格(ボーナスゲームが発生)したときにはボーナスフラグ成立の処理を行う。
・小役判定の結果が合格であるか(小役が発生したか)否かを判定し、判定の結果に応じて小役フラグの成立処理又は不成立処理を行う。
・可変表示ドラム667,677,687の可変表示タイマがタイムアップしたか否かを判定する。タイムアップしたと判定したときには可変表示ドラム667,677,687の停止制御を行う。タイムアップしていないと判定したときには、ストップスイッチ(42),(43),(44)がオンしたか否かを判定し、オンしたと判定したときには可変表示ドラム667,677,687の停止処理を行う。

(C) 前面枠100の前面側上部にはパネル表示部10が設けられている。パネル表示部10の上部中央にはゲーム等に関する各種情報を表示する情報表示部10aが設けられている。

(D) 液晶テレビ制御基盤750の制御により情報表示部10aへのメッセージ表示が開始される。

(E) スタート音、ストップ音及び賞球排出音を発するスピーカ260を有する。
“ビッグチャンス”が発生したときに“ビッグチャンス”の発生を知らせる効果音が発せられる。
ビッグチャンスを発生させ得るリーチ状態が生じたときには効果音が発せられる。

(F) メイン制御装置250上のマイクロコンピュータ251は液晶パネル制御基盤750およびスピーカ260を制御又は支配する。

(G) 液晶パネル制御基盤750は、前面枠100に取り付けられた液晶テレビ装置700の図柄表示パターン等を管理する。
情報表示部10aは、ビッグチャンス時に所定の表示がなされ、他の時に他の表示がなされる。

(H) メイン制御装置250は、マイクロコンピュータ251及び音声合成回路252d等の複数の回路から構成されるとともに、本体ケース200に収容されている。

(I) メイン制御装置250には、前面枠100に取り付けられた液晶テレビ装置700の図柄表示パターン等を管理する液晶パネル制御基盤750が接続されている。
前面枠100裏側の上段側には液晶パネル制御基盤750が設置されている。

(J) スロットマシンである。」

(2-3) 対比
引用発明の構成(A)?(J)ごとに、本件訂正発明と対比する。
(A) 引用発明の、「各種表示図柄」が外周面に表示されている「各可変表示ドラム667,677,687のリール部667a,677,687a」と、「パルスモータ(ステッピングモータ等も含む。)683」は、
本件訂正発明における「複数の図柄が外周面に描かれた複数のリール」と、「ステッピングモータ」に相当する。
引用発明の「可変表示部としての3つの可変表示窓10b,10c,10d」は、「前面枠100の前面側上部」に設けられた「パネル表示部10」に設けられているので、「可変表示部としての3つの可変表示窓10b,10c,10d」及び「各可変表示窓10b,10c,10d中の可変表示ドラム」は、“機器前面から観察される”といえる。
よって、引用発明の前記「各可変表示ドラム667,677,687のリール部667a,677,687a」、「パルスモータ(ステッピングモータ等も含む。)683」、及び「可変表示部としての3つの可変表示窓10b,10c,10d」からなるものは、
本件訂正発明における「複数の図柄が外周面に描かれた複数のリールをステッピングモータで回転駆動させることにより前記図柄を可変表示する機器前面から観察される可変表示装置」に相当する。

(B) 引用発明における「メイン制御装置250」は、「小役判定」の処理及び「可変表示ドラム667,677,687の停止処理」を実行するが、
引用文献1の全体的な記載から、前記処理を具体的に実行するのは、「メイン制御装置250」上の「マイクロコンピュータ251」と解される。
そして、前記「マイクロコンピュータ251」は、前記「小役判定」を行う手段及び「停止処理」を行う手段を有すると認められる。
引用発明の前記「小役判定」及び「停止処理」は、本件訂正発明における「遊技の入賞態様を決定する」点及び「図柄の可変表示を制御する」点に相当する。
よって、引用発明における「マイクロコンピュータ251」は、“遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段”及び“図柄の可変表示を制御する可変表示制御手段”が構成された点で、本件訂正発明における「主制御回路」と共通する。

(C) 引用発明における「前面枠100」は、本件訂正発明における「前面扉」に相当する。
引用発明における、「前面枠100の前面側上部」に設けられた「パネル表示部10」の上部中央に設けられた「ゲーム等に関する各種情報を表示する情報表示部10a」は、本件訂正発明における「前面扉の表面側に設けられた種々の情報を表示する表示装置」に相当する。

(D) 引用発明における「液晶テレビ制御基盤750」は「情報表示部10a」を制御するので、「情報表示部10a」を制御するための回路が構成されていることは、自明である。
よって、引用発明の「液晶テレビ制御基盤750」は、本件訂正発明における「表示装置の表示を制御する表示制御回路」に相当する回路を有する。

(E) 引用発明は、「スタート音、ストップ音及び賞球排出音を発するスピーカ260」を備えるものであり、当該「スタート音、ストップ音及び賞球排出音」は本件訂正発明における「効果音」に相当する。
引用発明は「“ビッグチャンス”が発生したときに“ビッグチャンス”の発生を知らせる効果音」及び「ビッグチャンスを発生させ得るリーチ状態が生じたとき」の「効果音」を発するものであるが、引用文献1の図77等の記載を参酌すれば、各「効果音」は前記「スピーカ260」が発すると解される。
よって、引用発明における前記「スピーカ260」は、本件訂正発明における「効果音を出音するスピーカ」に相当する。

(F) 引用発明において、「マイクロコンピュータ251」が「スピーカ260」を制御する点は、本件訂正発明における「前記スピーカの出音を制御する」点に相当する。
よって、引用発明における「マイクロコンピュータ251」は、「前記スピーカの出音を制御する」点で、本件訂正発明における「副制御回路」と共通する。

(G) 引用発明における「情報表示部10a」は、「ビッグチャンス時」や「ボーナスゲーム時」等の状態に応じて所定の表示がなされるものである。
引用文献1の全体的な記載から、前記「情報表示部10a」が「液晶テレビ装置700」で構成されることは自明であり、
前記「液晶テレビ装置700」は、「液晶テレビ装置700の図柄表示パターン」が「液晶パネル制御基盤750」によって管理されるので、
引用発明においては、前記「ビッグチャンス時」や「ボーナスゲーム時」であることに基づいて、「情報表示部10a」に表示するための「図柄表示パターン」を選択する処理がなされていると認められる。
そして、引用発明における前記「ビッグチャンス時」及び「ボーナスゲーム時」、並びに「図柄表示パターン」は、本件訂正発明における「その時の遊技状態」並びに「画像演出パターン」に相当する。
よって、引用発明は、“その時の遊技状態に基づいて前記表示装置に表示する画像演出パターンの種類の選択処理を行う”点で、本件訂正発明と共通する。

ただし、引用発明において前記「図柄表示パターン」を選択する処理を行うのが、前記「液晶パネル制御基盤750」であるのか、前記「液晶パネル制御基盤750」を制御又は支配している「マイクロコンピュータ251」であるのかは、不明である。
すなわち、引用文献1には、前記「マイクロコンピュータ251」が前記「液晶パネル制御基盤750」を「制御」又は「支配」する点の他、前記「液晶パネル制御基板750」が「図柄表示パターン等を管理する」点(【0189】)も記載されているが、
当該「制御」、「支配」及び「管理」が、具体的にどのような処理であるか、不明であるので、
前記「図柄表示パターン」を選択する処理を、前記「マイクロコンピュータ251」又は「液晶パネル制御基盤750」のどちらが実行しているのかは、特定できない。

ところで、本件審判請求書の「6.(5)(エ-2)相違点2の検討」には、発明の詳細な説明【0046】、【0048】の記載に基づき、本件訂正発明の「画像演出パターン」が「人物キャラクタ等の喜怒哀楽を表示するような画像演出パターンを意味する」旨が主張されている。
確かに、前記【0046】には、「例えば?悔しがる演出パターンが選択され」と記載されているが(なお、【0048】には「人物キャラクタ等の喜怒哀楽」については何ら記載されていない。また、【0046】には「喜ばしい演出パターン」と記載されているが、「喜ばしい」とは人物等が喜んでいることを表現したものではないので、これも「人物キャラクタ等の喜怒哀楽」について記載したものではない。)、
これは、訂正請求項1には何ら記載されていない事項であるし、「例えば」と記載されているように、本件訂正発明における「画像演出パターン」の一例に過ぎないので、
本件訂正発明については、「画像演出パターン」中に「人物キャラクタ等の喜怒哀楽を表示するような画像演出パターンを意味する」ものが含まれている発明を包含する、とは認められるものの、「画像演出パターン」中に「人物キャラクタ等の喜怒哀楽を表示するような画像演出パターンを意味する」ものが必ず含まれている発明に限定される、とまでは認められない。
よって、前記主張は、本件訂正発明についての主張としては採用できない。
なお、仮に、前記主張が採用できるとしても、「人物キャラクタ等の喜怒哀楽を表示する」ような図柄は周知であるから、「これらメモリのうちのフォントROM755aには実際に液晶テレビに映し出される各種図柄データや文字データなどが格納されている。」(引用文献1の記載事項1-21の【0217】参照)における「各種図柄データ」として、当該周知な図柄のデータを用いることは、当業者が適宜なしうる事項であるし、その場合の効果も予測しうる程度のものである。

(H) 引用発明における「本体ケース200」は、本件訂正発明における「筐体」に相当する。
引用発明における「メイン制御装置250」は、「マイクロコンピュータ251」、「読出し専用メモリたる外部ROM251b」等からなる「コンピュータシステム250A」により構成されており、このようなコンピュータシステムは通常基板に構成されるものであるから、前記「メイン制御装置250」が基板で構成されていることは自明である。
よって、引用発明における「マイクロコンピュータ251」が「本体ケース200」に収容された「メイン制御装置250」上に構成されている点は、本件訂正発明における「主制御回路」が「筐体」内の「基板」に構成されている点と共通する。

(I) 引用発明において「液晶パネル制御基盤750」が設けられている「前面枠100裏側」は、本件訂正発明における「前面扉の背面側」に相当する。
構成(D) について述べたとおり、引用発明における「液晶パネル制御基盤750」上には、本件訂正発明における「表示制御回路」に相当する回路が構成されている。
よって、引用発明と本件訂正発明は、「表示制御回路」が“前面扉の背面側に取り付けられた基板に構成されている”点で、共通する。

(J) 引用発明と本件訂正発明は、「スロットマシン」である点で共通する。
記載事項1-11【0065】?【0066】及び図14?15の記載から、引用発明の「前面枠100」は、「本体ケース200」に対して着脱が可能であると認められる。
引用発明における、「前面枠100」に設けられた「液晶パネル制御基盤750」等は、「前面枠100」に設けられた「制御装置920」又は「中継基板930」を介して、「本体ケース200」に設けられた「メイン制御装置250」と接続している。また前記「制御装置920」及び「中継基板930」は、各種配線及びコネクタにより、前記「メイン制御装置250」と接続している(記載事項1-10、1-16参照)。例えば記載事項1-10【0044】にも記載されているように、通常、接続端子やコネクタは着脱が可能なものであるから、前記「制御装置920」及び「中継基板930」と、前記「メイン制御装置250」とを接続する前記各種配線のコネクタも、着脱が可能と認められる。
記載事項1-10【0043】には「液晶テレビ装置700からのリード線176は補強枠130の凹状溝131a中を介して下のヒンジ190側に導き、そこから本体ケース200中に導いている。」と記載されている。そして、記載事項1-10【0045】に記載された「前記リード線176の保護カバー177が着脱可能に取り付けられている」点と、図3?4の記載から「液晶テレビ装置700」と「リード線176」の間にコネクタが認められる点とを考慮すると、前記「リード線176」は、「液晶テレビ装置700」及び「前面枠100」に対して着脱が可能と認められる。
そうしてみると、引用発明の「前面枠100」は、「液晶テレビ装置700」等を設けたまま、「本体ケース200」に対して着脱が可能に構成されているので、「前面扉のみが交換」できるといえる。
よって、引用発明と本件訂正発明とは、「前面扉のみが交換」できる「スロットマシン」である点で共通する。

よって、本件訂正発明と引用発明とは、
<一致点>
「複数の図柄が外周面に描かれた複数のリールをステッピングモータで回転駆動させることにより前記図柄を可変表示する機器前面から観察される可変表示装置と、
遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段および前記図柄の可変表示を制御する可変表示制御手段が構成された主制御回路と、
前面扉の表面側に設けられた種々の情報を表示する表示装置と、この表示装置の表示を制御する表示制御回路と、
効果音を出音するスピーカとを備え、前面扉のみが交換できるスロットマシンにおいて、
前記スピーカの出音を制御し、
その時の遊技状態に基づいて前記表示装置に表示する画像演出パターンの種類の選択処理を行い、
前記主制御回路は機器を収容する筐体内の基板に構成され、
前記表示制御回路は、前記前面扉の背面側に取り付けられた基板に構成されている、スロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件訂正発明が「乱数抽選によって」遊技の入賞態様を決定するのに対し、
引用発明は、遊技の入賞態様をどのように決定するのか不明である点。

<相違点2>
本件訂正発明が「入賞態様決定手段によって決定された入賞態様に基づいて」図柄の可変表示を制御するのに対し、
引用発明は、図柄の可変表示をどのように制御するのか不明である点。

<相違点3>
本件訂正発明の「前面扉」が、「小規模な新装の際に」「交換される」ものであるに対し、
引用発明の「前面枠100」は、「小規模な新装の際に」「交換される」ものであるか不明である点。

<相違点4>
本件訂正発明において「スピーカの出音を制御する」のが「主制御回路に接続された副制御回路」であるのに対し、
引用発明において「スピーカ260」の出音を制御するのは、本件訂正発明における「主制御回路」に相当する「マイクロコンピュータ251」であって、「副制御回路」ではない点。

<相違点5>
本件訂正発明における「前記表示装置に表示する画像演出パターンの種類の選択処理」が、「入賞態様決定手段によって決定された入賞態様」及び「その時の遊技状態」に基づくのに対し、
引用発明における「図柄表示パターン」を選択する処理は、「その時の遊技状態」には基づくものの、「入賞態様決定手段によって決定された入賞態様」に基づくか否かは不明である点。

<相違点6>
本件訂正発明においては、「画像演出パターンの種類の選択処理」を「主制御回路に接続された副制御回路」が行うのに対し、
引用発明においては、「図柄表示パターン」を選択する処理を何が行うのか不明である点。

<相違点7>
本件訂正発明においては、「主制御回路」及び「副制御回路」が「基板に構成される」のに対し、
引用発明においては、「マイクロコンピュータ251」及び「音声合成回路252d」等の複数の回路が「メイン制御装置250」に構成されているものの、本件訂正発明における「副制御回路」に相当する回路は構成されていない点。

<相違点8>
本件訂正発明における「基板」が「筐体の背面内側に取り付けられ」ているのに対し、
引用発明における「メイン制御装置250」は、「本体ケース200」内にはあるものの、「本体ケース200」の「背面内側」に取り付けられたものではない点。

<相違点9>
本件訂正発明における「表示制御回路」が「副制御回路」に接続されているのに対し、
引用発明における「液晶パネル制御基盤750」はそのような構成ではない点。

<相違点10>
本件訂正発明における「表示制御回路」を構成する「基板」が「表示装置とは異なる位置に取り付けられた」のに対し、
引用発明における「液晶パネル制御基盤750」は「情報表示部10a」と同じ位置に取り付けられた点。


(2-4) 判断
前記各相違点について判断する。

<相違点1>及び<相違点2>について
<相違点1>及び<相違点2>は密接に関連するので、合わせて判断する。
引用文献1(記載事項1-6【0027】、記載事項1-19、表1、記載事項1-22)には、小役等が所定の確率で発生する点が記載されている。
特開平11-244452号公報(【0031】、【0035】?【0038】等)(以下「引用文献2」という。)、
特開平11-47351号公報(【0039】?【0040】等)、
特開平11-9761号公報(【0002】?【0003】、【0064】等)
に開示されているように、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定し、決定された入賞態様に基づいて図柄の可変表示を制御することは、一般的なスロットマシンが通常有する技術である。(以下「周知技術A」という。)
そうすると、引用文献1には明記されていないものの、引用発明においても、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定し、決定された入賞態様に基づいて図柄の可変制御を行っていることは、明らかである。
したがって、<相違点1>及び<相違点2>は実質的に相違点ではない。
仮に、引用発明が周知技術Aを有しないとしても、引用発明に周知技術Aを適用して<相違点1>及び<相違点2>に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者が適宜なしうるものである。

<相違点3>について
本件の発明の詳細な説明(【0006】?【0007】、【0011】等)の記載から、本件訂正発明における「小規模な新装」とは、“一部の装置についてだけ取り替えることによってスロットマシンの外観に変化をもたらす”ことを、少なくとも含むものと認める。よって、本件訂正発明における「小規模な新装の際に前記前面扉のみが交換される」とは、“スロットマシンの外観に変化をもたらす”ように「前面扉のみが交換される」ことを、少なくとも含むと認める。
ところで、前記“スロットマシンの外観に変化をもたらす”ように「前面扉のみが交換される」ことは、スロットマシンにおける交換方法であって、スロットマシン自体の物の構成ではない。また、発明の詳細な説明の記載や技術常識を参酌しても、“スロットマシンの外観に変化をもたらす”ように「前面扉のみが交換される」ようなスロットマシンであるか否かによって、「前面扉のみが交換」できるように構成されたスロットマシン自体の物の構成が相違するとは認められない。そうしてみると、前記「小規模な新装の際に前記前面扉のみが交換される」とは、(交換方法の発明ではなく)スロットマシン自体の発明においては、実質的に、「前面扉のみが交換」できるように構成されている、ということを特定するものである。
そして、(2-3)(J)で示したとおり、引用発明も「前面扉のみが交換」できるように構成されているといえる。
したがって、相違点3は、スロットマシン自体の発明における前面扉のみを交換するための構成として、実質的に相違点ではない。

なお、引用発明において「小規模な新装の際に前記前面扉のみが交換される」の事項を付加することの容易想到性について検討しておくと、
パチンコ業界用語辞典、株式会社プレイグラフ社、平成7年9月20日発行、p.104
の「面替え」欄に開示されているように、「パチスロを入れ替える場合、筐体部分を残し、中のソフトと表の盤面だけを入れ換えること。同一メーカーなら筐体部分は同一サイズのため、こうした入替ができる。」ことは、周知慣用技術である。(以下「周知技術G」という。)
周知技術Gにおける「パチスロ」及び「表の盤面」は、本件訂正発明における「スロットマシン」及び「前面扉」に相当する。また、周知技術Gにおいて、「中のソフトと表の盤面だけを入れ替える」ことは“一部の装置についてだけ取り替える”ことであるし、「表の盤面」を「入れ替える」ことにより“外観に変化をもたらす”ことは自明である。
したがって、周知技術Gは“一部の装置についてだけ取り替えることによってスロットマシンの外観に変化をもたらすこと”といえるので、本件訂正発明における「小規模な新装」に相当する。
そうすると、「前面扉のみが交換」できるように構成された引用発明において、どのタイミングで前面扉を交換するかは、交換の必要性に応じて行うところ、周知技術Gに倣って「前面扉のみ」が「小規模な新装の際に」交換されるものとすることは、当業者が適宜なしうるものである。

<相違点4>、<相違点6>及び<相違点9>について
<相違点4>、<相違点6>及び<相違点9>は密接に関連するので、合わせて判断する。
特開平7-328201号公報(【0015】、【0018】、【0024】?【0025】、図1等)、
特開平11-434号公報(【0044】、【0057】、図8?9等)、
特開平11-276677号公報(【0031】?【0032】、【0034】、【0038】?【0039】、【0042】、図7?8等)
に開示されているように、スピーカの出音を制御すると共に主制御回路からのデータに応じて表示制御回路を制御する副制御回路を、前記主制御回路及び表示制御回路とは別に設けることは、周知である(以下「周知技術B」という。)から、
引用発明に周知技術Bを適用して、「マイクロコンピュータ251」が実行している「スピーカ260」の出音の制御並びに「液晶パネル制御基盤750」の制御若しくは支配を、「マイクロコンピュータ251」及び「液晶パネル制御基盤750」とは別の副制御回路に担当させることは、当業者が適宜なしうるものである。
ところで、引用発明においては、「図柄表示パターン」を選択する処理を何が行うのか不明であるが、
「図柄表示パターン」を選択する処理を何に行わせるかは、「図柄表示パターン」を選択する上で、当業者が適宜決定しうるものであり、
引用文献2(【0033】?【0034】、【0038】、【0067】等)には、入賞態様を決定する「内部当選判定部41」(主制御回路に相当)及び所定の演出パターンで「演出用ランプ36」を制御する「演出動作制御部43」(表示制御回路に相当)とは別に設けられた「演出動作決定部42」(副制御回路に相当)により、前記入賞態様に基づいて前記演出パターンの種類の選択処理を行う点が開示されているので、
引用発明に周知技術Bを適用して副制御回路を設けた場合において、当該副制御回路に「図柄表示パターン」を選択する処理を行わせることは、当業者が容易に想到しうるものである。
したがって、引用発明に周知技術B及び引用文献2に開示された発明を適用して、<相違点4>、<相違点6>及び<相違点9>に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

<相違点5>について
引用文献2(【0038】?【0044】等)、
特開平11-9761号公報(【0002】?【0003】、【0010】、【0063】、【0103】、図3等)、
特開平11-216222号公報(【0091】、【0094】等)、
パチスロ完全攻略辞典VOL.10、日本文芸社、平成10年12月20日発行、p.32,77,116-117(第33、77、116?117頁に開示された、ボーナスが決定された場合のフラッシュ及びリール消灯)、
に開示されているように、決定された入賞態様に基づく表示を行うことは周知である。(以下「周知技術C」という。)
引用発明における「情報表示部10a」は、その時の遊技状態に基づいた表示以外にも、様々な表示を行っているので、引用発明に周知技術Cを適用して、<相違点5>に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

<相違点7>について(ア)又は(イ)
(ア)訂正明細書【0049】?【0052】の記載を参酌した上で、本件訂正発明における「前記主制御回路および前記副制御回路は機器を収容する筐体の背面内側に取り付けられた基板に構成され」を、「主制御回路」及び「副制御回路」が同一の「基板」に構成されていることと解する。
引用発明は、「マイクロコンピュータ251」及び「音声合成回路252d」等の複数の回路を一の「メイン制御装置250」に構成しているので、
引用発明に周知技術Bを適用して「マイクロコンピュータ251」が実行している処理の一部を副制御回路に担当させる場合において、当該副制御回路も「メイン制御装置250」上に構成することは、当業者が適宜なしうるものである。

(イ)訂正明細書及び図面に直接記載された事項ではないが、平成20年5月27日付け回答書(4)の記載を参酌した上で、本件訂正発明における「前記主制御回路および前記副制御回路は機器を収容する筐体の背面内側に取り付けられた基板に構成され」を、「主制御回路」及び「副制御回路」がそれぞれ別個の「基板」に構成され、「各回路ごとに回路交換が出来」る(前記回答書に記載された効果)ことと解する。
異なる回路を異なる基板に構成することは周知であり(以下「周知技術D」という。)、これにより各回路ごとに回路交換ができることも自明な効果に過ぎないので、
引用発明に周知技術B、Dを適用して、「本体ケース200」内に取り付けられた「メイン制御装置250」上の「マイクロコンピュータ251」が実行している処理の一部を、「本体ケース200」内に取り付けられた別個の基板に構成された副制御回路に担当させることは、当業者が適宜なしうるものであり、その場合の効果も予測しうる程度のものである。

<相違点8>について
引用文献1の【0006】に記載された、「本体ケース200」を構成する「背面板209」の内側の面は、本件訂正発明における「筐体の背面内側」に相当する。
スロットマシンにおいて、各種機器を筐体内のどこに取り付けるかは、当業者が適宜決定しうるものであり、筐体の背面内側に各種機器を取り付けることも周知である(以下「周知技術E」という。)から、
引用発明の「メイン制御装置250」を、「背面板209」の内側の面に取り付けることにより、<相違点8>に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者が適宜なしうるものである。

<相違点10>について
例えば、引用文献1の記載事項1-21(【0212】「図77には?可変表示ドラム装置600等の制御支配を行うメイン制御装置250の制御ブロック図を示す。」)及び図面には、「可変表示ドラム装置600」を制御する「メイン制御装置250」を、「可変表示ドラム装置600」とは異なる位置に取り付ける点が、開示されている。
また、引用文献1の
記載事項1-10(【0043】他の装置を介して「クレジット数表示装置770」を「取込とスイッチ類の制御装置920」に接続する旨記載されている、【0044】「また、リード線171の接続端子171bを外すことにより、クレジット数表示装置770の交換が容易となる。」)、
【0207】?【0208】(「賞球排出制御装置470は例えばコンピュータシステムによって構成されている。このコンピュータシステムを構成するマイクロコンピュータ(MPU)471は・・・」)、【0211】(「そして、前記マイクロコンピュータ471は・・・前記クレジットカウンタ3400に記憶されたクレジット数をクレジット表示装置770に表示させる駆動制御手段3440を備えている。・・・また、このマイクロコンピュータ471はインタフェース473を介してメイン制御装置200との間で通信のやり取りを行なうようになっている。」)、
記載事項1-21(【0212】「賞球排出制御装置470・・・の制御支配を行うメイン制御装置250の制御ブロック図を示す。メイン制御装置250は例えばコンピュータシステム250Aによって構成されている。」、【0213】「このコンピュータシステム250Aを構成するマイクロコンピュータ251は・・・」、【0215】「また、このマイクロコンピュータ251には・・・取込とスイッチ類の制御装置920が・・・接続されている。」)、
及び図面には、「クレジット数表示装置770」を制御する「マイクロコンピュータ471」及び「マイクロコンピュータ251」を、「クレジット数表示装置770」とは異なる位置に取り付ける点が、開示されている。
このように、異なる手段を異なる位置に取り付けることは周知であり(以下「周知技術F」という。)、異なる手段を異なる位置に取り付けることより各手段ごとに交換ができることも自明な効果に過ぎないので、
引用発明における「液晶パネル制御基盤750」及び「情報表示部10a」をそれぞれ異なる位置に取り付けることは、当業者が適宜なしうるものであり、その場合の効果も予測しうる程度のものである。

(2-5) 進歩性についての検討のまとめ
よって、本件訂正発明は、引用発明、引用文献1及び引用文献2に開示された技術、並びに周知技術A?Fに基づいて、当業者が容易に想到できたものであるから、
本件訂正発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(3) 独立特許要件についての検討のまとめ
したがって、本件訂正は、特許法126条7項の規定に適合しない。

5.むすび
以上のとおりであるから,訂正後における特許請求の範囲請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなく,本件訂正は,特許法126条7項の規定に適合しないので,本件訂正は認められない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-24 
結審通知日 2012-09-26 
審決日 2012-10-10 
出願番号 特願平11-364262
審決分類 P 1 41・ 856- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 秋山 斉昭
吉村 尚
長崎 洋一
伊藤 陽
登録日 2008-10-31 
登録番号 特許第4208368号(P4208368)
発明の名称 スロットマシン  
代理人 瀧本 十良三  
代理人 鹿股 俊雄  

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