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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1266550 |
審判番号 | 不服2011-22664 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-10-20 |
確定日 | 2012-11-22 |
事件の表示 | 特願2006- 58122「情報処理装置、電源管理システム、電源管理プログラム、および電源管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月13日出願公開、特開2007-233954〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件出願は、平成18年3月3日の特許出願であって、平成22年9月30日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月6日に手続補正がなされ、平成23年7月20日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同年10月20日に本件審判の請求とともに手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、平成24年5月8日付けで審尋がなされ、同年7月6日に回答書が提出されたものである。 第2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について補正をするものであって、請求項1について、補正前後の記載は、以下のとおりである。 (1)補正前 「汎用映像信号ケーブルを介して表示装置が接続され、OS及びプログラムを起動することにより動作する情報処理装置であって、 前記プログラムは、 前記OSの起動に伴って起動し、前記表示装置に前記汎用映像信号ケーブルを介して電源をオンする制御情報を送信し、 前記情報処理装置の電源オフ処理の開始を検出し、 電源オフ処理の開始を検出したとき、前記表示装置に前記汎用映像信号ケーブルを介して電源オフを指示する制御情報を送信する ことを特徴とする情報処理装置。」 (2)補正後 「汎用映像信号ケーブルを介して表示装置が接続され、OS及びサービスプログラムを起動することにより動作する情報処理装置であって、 前記サービスプログラムは、 前記OSの起動に伴って起動し、前記表示装置に前記汎用映像信号ケーブルを介して電源をオンする制御情報を送信し、 前記情報処理装置の電源オフ処理の開始を検出し、 電源オフ処理の開始を検出したとき、前記表示装置に前記汎用映像信号ケーブルを介して電源オフを指示する制御情報を送信する ことを特徴とする情報処理装置。」 2.補正の適否 本件補正の特許請求の範囲の補正後の請求項1についての補正は、「プログラム」を「サービスプログラム」とするものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か(いわゆる独立特許要件)について検討する。 (1)補正発明 補正発明は、本件補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、上記1.(2)のとおりのものと認める。 (2)刊行物に記載された発明 これに対し、原査定の拒絶理由で引用された刊行物である特開平11-212682号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)請求項3 「【請求項3】前記情報処理装置本体の電源のオン・オフに連動して前記情報処理装置に接続する他の周辺装置の全て、もしくは予め指定された他の周辺装置の電源をオン・オフするように制御することを特徴とする請求項2記載の電源制御方式。」 (イ)段落0002?0004 「【0002】 【従来の技術】パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置には、ディスプレイ装置や、ハードディスク装置(HDD)、スキャナ、光磁気ディスク装置(MO)等のSCSI(small computer system interface)周辺装置が接続されており、装置使用時/非使用時には、通常個々の周辺装置の電源を個別にオン・オフ制御している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記したように、情報処理装置は、実使用時のシステム構成として、本体以外の付属機器としては、最低でもディスプレイ装置があり、・・・。 【0004】・・・、個々の周辺装置毎に電源オン・オフを行う従来方式においては、電源投入の手間が繁雑であり、さらに、消し忘れや、使用中の電源断によるHDDのデータの破損などの問題がある。」 (ウ)段落0022 「【0022】本発明の一実施例の動作について説明する。連動電源投入の最初の装置に、MO105を設定していた場合には、MO104の電源オンで、MO104が立ち上がり、その電源オンデータが、SCSIバス110のデータ線、制御線を介して、本体100の電源連動用モジュール101に通知され、電源連動用モジュール101より、連動指定された周辺装置に、SCSIバス110を介して電源オンのデータ(コマンド)を送り、これを受け取った各周辺装置では、電源スイッチをオンに切り替え自装置の電源投入を行う。・・・。」 (エ)段落0025?0026 「【0025】・・・、電源連動モジュール101は、メモリに記憶されている電源投入順序に従って、電源オンデータ(コマンド)を周辺装置に送出し、電源連動モジュール101は、周辺装置の電源オンを確認後(例えば電源オン完了通知通信後)、電源投入順序を遵守する必要のある他の周辺装置に対して電源オンデータを送出する。 【0026】また、一つの周辺装置の電源切断通知を受けた際に、電源連動モジュール101に予めメモリに保持されている連動電源モードが選択されている周辺装置に対して、電源切断コマンドを送出する。・・・。」 これらを、請求項3の「情報処理装置本体の電源のオン・オフに連動」する実施形態を採用し、補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認める。 「SCSIバス110を介してディスプレイ装置が接続され、情報処理装置本体の電源のオンにより動作する情報処理装置であって、 情報処理装置本体内の電源連動モジュール101は、前記ディスプレイ装置に前記SCSIバス110を介して電源オンコマンドを送信し、 前記情報処理装置の電源切断通知を受けた際、前記ディスプレイ装置に前記SCSIバス110を介して電源切断コマンドを送出する 情報処理装置。」 (3)対比 補正発明と刊行物発明とを、技術常識を踏まえ、対比する。 刊行物発明の「ディスプレイ装置」は補正発明の「表示装置」に相当し、同様に「電源オンコマンド」は「電源をオンする制御情報」に、「電源切断通知を受けた際」は「電源オフ処理の開始を検出し、電源オフ処理の開始を検出したとき」に、「電源切断コマンドを送出」は「電源オフを指示する制御情報を送信」に、相当する。 刊行物発明の「SCSIバス110」と、補正発明の「汎用映像信号ケーブル」とは、「通信線」である限りにおいて一致する。 刊行物発明の「電源のオン」、「情報処理装置本体内の電源連動モジュール101は」と、補正発明の「OS及びサービスプログラムを起動すること」、「前記サービスプログラムは、前記OSの起動に伴って起動し」とは、「起動すること」、「情報処理装置は」である限りにおいて一致する。 したがって、補正発明と刊行物発明とは、次の点で一致している。 「通信線を介して表示装置が接続され、起動することにより動作する情報処理装置であって、 情報処理装置は、前記表示装置に前記通信線を介して電源をオンする制御情報を送信し、 前記情報処理装置の電源オフ処理の開始を検出し、 電源オフ処理の開始を検出したとき、前記表示装置に前記通信線を介して電源オフを指示する制御情報を送信する 情報処理装置。」 そして、補正発明と刊行物発明とは、以下の点で相違している。 相違点1:「通信線」に関し、補正発明は「汎用映像信号ケーブル」であるが、刊行物発明は「SCSIバス」である点。 相違点2:情報処理装置について、補正発明は「OS及びサービスプログラムを起動することにより動作する」もので、「前記OSの起動に伴って起動」する「サービスプログラム」が制御情報を送信するが、刊行物発明は「情報処理装置本体の電源のオンにより動作する」もので「情報処理装置本体内の電源連動モジュール」が制御情報を送信する点。 (4)相違点の検討 相違点1について検討する。 汎用映像信号ケーブルそれ自体は、本願明細書の段落0011に「汎用映像信号ケーブルを介して送信される場合、VESA(・・・)で定められた規格であるDDC/CI(・・・)によりコントロールコマンドとして送信すればよい。」と記載されているごとく、周知である。 刊行物発明は、表示装置のほか、多くの周辺装置を接続するため、「通信線」として「SCSIバス」を用いている。そこで、表示装置との関係を重視した場合に、「通信線」として画像情報の伝達に適した汎用品である「汎用映像信号ケーブル」の利用を試みることに困難性は認められない。 そして、原審の拒絶理由で引用した特開平6-112960号公報の段落0006、当審の審尋で引用した特開平5-127638号公報の段落0014にみられるごとく、データと制御信号をともに送信することが可能であることは周知の事実であるから、刊行物発明において、通信線として「汎用映像信号ケーブル」を利用することは、設計的事項にすぎない。 相違点2について検討する。 補正発明の「サービスプログラム」は「OSの起動に伴って起動」されるものであり、具体的には、本願明細書の段落0044に「ユーザがPC1の電源をオンする(OSを起動する)と、上記サービスプログラムが実行され、PC1からディスプレイ2に電源オンの制御信号が送信される」と記載され、審判請求書に「「サービスプログラム」は、ログオン/オフに関係なくPCの起動時に必ず実行されるプログラムであり、PCの電源をオンすれば、ログオンしなくても、必ず表示装置に対して制御信号を送信し、周辺装置(表示装置)の電源をオンにすることができる」と記載されている。 刊行物発明は、「情報処理装置本体の電源のオンにより動作する」ための詳細が明らかでないところ、「電源投入の手間が繁雑」(上記(2)(イ))という課題を踏まえると、情報処理装置本体の「電源のオン」のみにより、「表示装置に対して制御信号を送信」することが望ましい。 しかも、ログオン/オフに関係なくPCの起動時にOSの起動に伴って必ず実行されるプログラムは、「システム構成(設定)ユーティリティ」として周知のものである(例えば、「デジタル用語辞典」http://yougo.ascii.jp/caltar の「サービスプログラム」、「はてなキーワード」http://d.hatena.ne.jp/keyword の「システム構成ユーティリティ」)。 してみると、刊行物発明の課題をより適切に達成するために、周知のサービスプログラムを利用することに困難性は認められない。 請求人は、回答書で補正案を示しているが、補正案は補正発明を明確化したもので実質的に差違はないから、特許性判断に変わりはない。 また、これら相違点を総合勘案しても、格別の技術的意義が生じるとは認められない。 以上のことから、補正発明は、刊行物発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし6に係る発明は、平成22年12月6日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2.1.(1)に示す請求項1に記載されたとおりである。 2.刊行物等 これに対して、原査定の際にあげられた刊行物及びその記載内容は、上記第2.2.(2)に示したとおりである。 3.対比・検討 本願発明は、補正発明において付加された事項を削除するものである。 そうすると、本願発明も、上記第2.2.(4)と同様の理由により、刊行物発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないことから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-09-24 |
結審通知日 | 2012-09-25 |
審決日 | 2012-10-09 |
出願番号 | 特願2006-58122(P2006-58122) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 三浦 みちる、内田 正和 |
特許庁審判長 |
野村 亨 |
特許庁審判官 |
菅澤 洋二 千葉 成就 |
発明の名称 | 情報処理装置、電源管理システム、電源管理プログラム、および電源管理方法 |
代理人 | 特許業務法人 楓国際特許事務所 |