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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1266650
審判番号 不服2011-13561  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-27 
確定日 2012-11-21 
事件の表示 特願2006-553479「ブック型セキュリティ文書の製造方法およびブック型セキュリティ文書」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月29日国際公開、WO2005/090091、平成19年 8月16日国内公表、特表2007-523415〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、2005年2月4日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2004年2月20日 独)を国際出願日とする出願であって、平成18年8月21日付けで特許法第184条の5第1項に規定する国内書面、及び特許法第184条の4第1項に規定する国際出願日における明細書、請求の範囲、要約の日本語による翻訳文が提出されるとともに、同日付けで特許法第184条の8第1項に規定する特許協力条約第34条補正の日本語による翻訳文が提出され、平成22年10月8日付けの拒絶理由通知に対して平成23年1月13日付けで手続補正がなされたが、同年2月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月27日付けで拒絶査定不服審判が請求され、同日付けで手続補正がなされた。
その後、平成23年12月15日付けの審尋に対し、平成24年3月14日付けで回答書が提出されたものである。


第2 平成23年6月27日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成23年6月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正

本件補正前に、
「【請求項1】
少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)を備えたセキュリティ文書の製造方法であって、
- 少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)の1つの面上と、前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)の少なくとも1つの面上に少なくとも張り付けられ、
- 前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が前記ラミネート層(22、23)によって完全に包み込まれ、周縁の閉じた端(24)が前記ラミネート層(22、23)によって形成され、
- ラミネート層鞘状被覆(25)が形成され、
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造の後に個人化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ラミネート層鞘状被覆(25)がブックブロック(20)に差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ラミネート層(22、23)の前記端(24)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)の完全な包み込みの後に、最終判型まで圧断される、カットされる、または、他の分離方法、例えばレーザ・カッティングによって、適切な大きさにカットされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が1つの層に統合され、または、複合体(26)が、いくつかの層によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)上に張り付けられ、かつ前記ラミネート層(22、23)によって包み込まれた複合体(26)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
突出部(27)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の少なくとも1つの縦の側に形成され、前記ラミネート層鞘状被覆(25)が前記突出部(27)のエリアでブックブロック(20)に綴じられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ブックブロック(20)のための見開きページが、前記ラミネート層鞘状被覆(25)によって形成され、そして、前記見開きページの片側に、少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)が差し込まれ、前記見開きページの前記隣の側に、少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記見開きページの前記折りエリアに、ステー、溝、または綴じ穴が形成され、前記見開きページが、前記ステー、前記溝、または前記綴じ穴の前記エリアにおいてブックブロック(20)に綴じられることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ラミネート層(22、23)が、少なくとも加圧下または加温化において接着されるか、プレスされるか、融着されるか、または、互いに溶け合わされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記ICAOライン、および/または、個人化データに基づいてハッシュ値を形成するアルゴリズムを用いて個人化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造後に、少なくとも1つのセキュリティ特性が、例えば、レーザ加工を行って、または、孔打ち抜きして、前記ラミネート層鞘状被覆(25)中に設けられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
セキュリティ文書の前記製造中に、または、製造後に、前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)に永久的に置かれる値がセキュリティ特性として導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ラミネート層(22、23)が、プラスチック・フィルム、特に、PVC、ABS、PET-G、PET、PE、PP、PA、テスリン、PC、または、特に前記前述の材料のサンドイッチ・タイプのフィルムの組み合わせで製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、テープ自動ボンディング・プロセス(TAB)を用いて、少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)、または、1つのラミネート層(22、23)の上に張り付けられた一体化されたアンテナ(38)を備えたチップ・モジュール(39)を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)は、ICが、フリップチップ法、または、通常のボンディング法を用いてコンタクト要素に固定されているチップ・モジュール(39)を有し、前記コンタクト要素は前記アンテナ(38)のコンタクト端と導電的に接続することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
パッケージされていないIC(39)が、少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)を形成するために、フリップチップ・ボンディングを用いて、ラミネート層(22、23)内に設計されたアンテナ(38)のアンテナ・コネクションに直接コンタクトすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、外部のコイルまたはアンテナ(38)とコンタクトするためのチップ・モジュール(39)を有し、前記コイルまたはアンテナ(38)が、高分子と導電ペーストを用いたスクリーン印刷によって、エナメルで絶縁された金属ワイヤによって、空芯型コイルの対応する凹所への挿入即ち薄板化によって、サブトラクティブ法におけるフレキシブルプリント回路板によって、金属表面のエッチング法によって、または、導電媒質を用いたインクジェット法によって、製造されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記チップ・モジュール(39)が、キャスティング・コンパウンドを用いて、前記少なくとも2つのラミネート層(22、23)間に固定されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
一体化されたアンテナ(38)を備えたチップ・モジュール(39)が、セキュリティ・キャンブリック(15)上に直接張り付けられ、前記少なくとも1つのラミネート層(22、23)の前記厚さが、前記チップ・モジュール(39)の前記エリアで、局所的に薄いか、または、打ち抜かれていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の製造のための透明なフィルムとして処理されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)を備えたブック型セキュリティ文書であって、
少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)の1つの面上と、少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)の少なくとも1つの面上に少なくとも張り付けられ、
少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、少なくとも1つのラミネート層(22、23)によって完全に包み込まれ、かつ、ラミネート層鞘状被覆(25)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)を完全に包み込むように形成され、
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造の後に個人化されることを特徴とするブック型セキュリティ文書。
【請求項22】
前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、各々、ブックブロック(20)のページの最終判型以下の大きさに設計されていることを特徴とする請求項21に記載のセキュリティ文書。
【請求項23】
前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)が、ブックブロック(20)のための内側のページまたは個人化ページとして、または、端のページ(14)として形成されていることを特徴とする請求項21に記載のセキュリティ文書。
【請求項24】
前記少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、カバー・フィルム、または、オーバーレイ・フィルムとして設計されていることを特徴とする請求項21に記載のブック型セキュリティ文書。」
とあったところを、

「【請求項1】
少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)を備えたセキュリティ文書の製造方法であって、
- 少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)の1つの面上と、前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)の少なくとも1つの面上に少なくとも張り付けられ、
- 前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が前記ラミネート層(22、23)によって完全に包み込まれ、周縁の閉じた端(24)が前記ラミネート層(22、23)によって形成され、
- ラミネート層鞘状被覆(25)が形成され、
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造の後に個人化され、
前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造後に、少なくとも1つのセキュリティ特性が、レーザ加工を行って、または、孔打ち抜きして、前記ラミネート層鞘状被覆(25)中に設けられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ラミネート層鞘状被覆(25)がブックブロック(20)に差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ラミネート層(22、23)の前記端(24)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)の完全な包み込みの後に、最終判型まで圧断される、カットされる、または、他の分離方法、例えばレーザ・カッティングによって、適切な大きさにカットされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が1つの層に統合され、または、複合体(26)が、いくつかの層によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)上に張り付けられ、かつ前記ラミネート層(22、23)によって包み込まれた複合体(26)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
突出部(27)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の少なくとも1つの縦の側に形成され、前記ラミネート層鞘状被覆(25)が前記突出部(27)のエリアでブックブロック(20)に綴じられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ブックブロック(20)のための見開きページが、前記ラミネート層鞘状被覆(25)によって形成され、そして、前記見開きページの片側に、少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)が差し込まれ、前記見開きページの前記隣の側に、少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記見開きページの前記折りエリアに、ステー、溝、または綴じ穴が形成され、前記見開きページが、前記ステー、前記溝、または前記綴じ穴の前記エリアにおいてブックブロック(20)に綴じられることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ラミネート層(22、23)が、少なくとも加圧下または加温化において接着されるか、プレスされるか、融着されるか、または、互いに溶け合わされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記ICAOライン、および/または、個人化データに基づいてハッシュ値を形成するアルゴリズムを用いて個人化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
セキュリティ文書の前記製造中に、または、製造後に、前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)に永久的に置かれる値がセキュリティ特性として導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ラミネート層(22、23)が、プラスチック・フィルム、特に、PVC、ABS、PET-G、PET、PE、PP、PA、テスリン、PC、または、特に前記前述の材料のサンドイッチ・タイプのフィルムの組み合わせで製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、テープ自動ボンディング・プロセス(TAB)を用いて、少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)、または、1つのラミネート層(22、23)の上に張り付けられた一体化されたアンテナ(38)を備えたチップ・モジュール(39)を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)は、ICが、フリップチップ法、または、通常のボンディング法を用いてコンタクト要素に固定されているチップ・モジュール(39)を有し、前記コンタクト要素は前記アンテナ(38)のコンタクト端と導電的に接続することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
パッケージされていないIC(39)が、少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)を形成するために、フリップチップ・ボンディングを用いて、ラミネート層(22、23)内に設計されたアンテナ(38)のアンテナ・コネクションに直接コンタクトすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、外部のコイルまたはアンテナ(38)とコンタクトするためのチップ・モジュール(39)を有し、前記コイルまたはアンテナ(38)が、高分子と導電ペーストを用いたスクリーン印刷によって、エナメルで絶縁された金属ワイヤによって、空芯型コイルの対応する凹所への挿入即ち薄板化によって、サブトラクティブ法におけるフレキシブルプリント回路板によって、金属表面のエッチング法によって、または、導電媒質を用いたインクジェット法によって、製造されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記チップ・モジュール(39)が、キャスティング・コンパウンドを用いて、前記少なくとも2つのラミネート層(22、23)間に固定されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
一体化されたアンテナ(38)を備えたチップ・モジュール(39)が、セキュリティ・キャンブリック(15)上に直接張り付けられ、前記少なくとも1つのラミネート層(22、23)の前記厚さが、前記チップ・モジュール(39)の前記エリアで、局所的に薄いか、または、打ち抜かれていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の製造のための透明なフィルムとして処理されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)を備えたブック型セキュリティ文書であって、
少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)の1つの面上と、少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)の少なくとも1つの面上に少なくとも張り付けられ、
少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、少なくとも1つのラミネート層(22、23)によって完全に包み込まれ、かつ、ラミネート層鞘状被覆(25)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)を完全に包み込むように形成され、
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造の後に個人化され、
前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造後に、少なくとも1つのセキュリティ特性が、レーザ加工を行って、または、孔打ち抜きして、前記ラミネート層鞘状被覆(25)中に設けられることを特徴とするブック型セキュリティ文書。
【請求項21】
前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、各々、ブックブロック(20)のページの最終判型以下の大きさに設計されていることを特徴とする請求項20に記載のセキュリティ文書。
【請求項22】
前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)が、ブックブロック(20)のための内側のページまたは個人化ページとして、または、端のページ(14)として形成されていることを特徴とする請求項20に記載のセキュリティ文書。
【請求項23】
前記少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、カバー・フィルム、または、オーバーレイ・フィルムとして設計されていることを特徴とする請求項20に記載のブック型セキュリティ文書。」
とするものである。


2 本件補正の適否

本件補正は、補正前の請求項1の発明特定事項に、「前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造後に、少なくとも1つのセキュリティ特性が、レーザ加工を行って、または、孔打ち抜きして、前記ラミネート層鞘状被覆(25)中に設けられる」との事項を追加する補正事項を含むものである。

本件補正は、「製造後に、少なくとも1つのセキュリティ特性が、レーザ加工を行って、または、孔打ち抜き」するという事項を追加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明の特定事項をさらに限定するものではなく、本件補正前の請求項1に係る発明の課題解決手段を変更するものといえるから、本件補正は、「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。」とするものではない。

そして、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれの目的にも該当しない。

よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものに該当しない。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明

平成23年6月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成23年1月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1」の本件補正前の「請求項1」として記載した次のとおりのものである。

「少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)を備えたセキュリティ文書の製造方法であって、
- 少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)の1つの面上と、前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)の少なくとも1つの面上に少なくとも張り付けられ、
- 前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)と前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が前記ラミネート層(22、23)によって完全に包み込まれ、周縁の閉じた端(24)が前記ラミネート層(22、23)によって形成され、
- ラミネート層鞘状被覆(25)が形成され、
前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造の後に個人化されることを特徴とする方法。」


2 引用例及びその記載事項


(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である米国特許第3601913号明細書(1971年8月31日 以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a 「Referring now to FIG1, an identification card 20 is shown in position relative to two rolls 21, 22 of plastic material and moving in the direction indicated by arrow A. The identification card 20,in the preferred embodiment, is a developed picture from a camera(not shown).」(第2欄6ないし10行)
(訳)「図1をみると、IDカード20が、プラスチック材のロール21、22に対応した位置にあることが示されており、矢印Aで示された方向に移動している。IDカード20は、好ましい実施例では、カメラ(図示しない)から現像された画像である。」

b 「Such a camera takes not only a picture of a student, but of other pertinent data that is printed or other wise marked on a card ‥‥‥ Note, for example, in FIG. 2 that the photograph of the individual is shown as at B, and other identifying data is shown as at C, which might include the name of the college, the name and address of the individual, school year, and the like. 」(第2欄17ないし25行)
(訳)「そのようなカメラは、学生の写真のみならず、カードに印刷されるか若しくは刻印される、ほかの関連するデータを撮るものであって、‥‥‥例えば、図2においては、人物写真がBとして示され、大学名、個人の氏名や住所、学年等を含むことができる識別データがCとして示されることに注意されたい。」

c 「Still referring to FIG. 1, the identification card 20 is moved between two pressure rollers 23, 24 so that plastic material 21a and 22a covers the upper -anti lower faces of card 20 as shown at D.」(第2欄34ないし37行)
(訳)「さらに、図1をみると、IDカード20は、2つの圧力ローラ23、24の間を移動し、その結果、Dに示すように、プラスチック材21a、22aがカード20の上面及び下面を覆う。」

d 「In order to laminate the plastic material 21a and 22a, ‥‥‥When the card 20 interposed between layers of plastic material advances a predetermined distance beyond rollers 23, 24 heat sealing elements 26, 27 are positioned relative to the direction of travel of the card 20 adjacent to the plastic material to heat seal first the leading end of the card and then heat seal the trailing end of the plastic material in juxtaposition with the card as shown at E in FIG. 1. Continued movement of the card 20 encased in plastic material 21a, 22a brings the card encased in plastic material to a cutting station K where a knife 28 severs the plastic material at first at the leading end thereof and then at the trailing end thereof to form a magnetic transaction card 25. 」(第2欄61行ないし第3欄6行)
(訳)「プラスチック材21a、22aをかぶせるために、‥‥‥プラスチック材層の間に挟まれたカード20が、ローラ23、24を過ぎて、予め決められた距離を前進すると、プラスチック材に隣接するカード20の移動方向に対応して設けられた熱融着部材26、27は、まずカードの前端を熱融着し、次に、図1のEに示されているようにカードに並置されたプラスチック材の後端を熱融着する。プラスチック材21a、22aに包まれたカード20は更に移動し、プラスチック材に包まれたカードは切断部署Kに到達し、ここで、プラスチック材には、最初にその前端において、その後、その後端において、ナイフ28がプラスチック材に用いられて、磁気カード25が形成される。」

e 「 FIG. 2 discloses an area where magnetic powder Ml, such as iron oxide or high purity chromium dioxide powder has been impregnated. An enlarged cross-sectional view of the magnetic transaction card 25 is shown in FIG. 3, which reveals that the back of the magnetic transaction card 25 also has an area of magnetic powder Ml. The area of magnetic powder M2 on the back of the magnetic transaction card 25 may cover the entire rear surface of the magnetic transaction card 25 as is shown in FIG. 6.」(第3欄19ないし27行)
(訳)「図2には、酸化鉄または高純度二酸化クロム粉のような磁性粉M1がしみこまれている領域が開示される。磁気カード25の拡大断面図が図3に示され、ここで、磁気カード25の背面にも磁性粉M1の領域があることが示されている。磁気カード25の背面上の磁性粉M2の領域は、図6に示されているように磁気カード25の裏面全体を覆ってもよい。」

f 図2には、人物写真(B)、大学名、個人の氏名や住所、学年等を含むことができる識別データ(C)、及び磁性粉M1を有する、磁気カード25が示されている(上記b参照)。

g 図3には、IDカード20の端はプラスチック材21a、22aによって閉じられて、IDカード20及びIDカード20上の磁性粉M1、M2を、プラスチック材21a、22aにより層状に密着して覆っている点が示されている(上記e参照)。


ア 上記a、bの記載から、引用例1のIDカード20は、人物写真や大学名、個人の氏名や住所、学年等のデータが表示されているということができるから、引用例1には、「人物写真や大学名、個人の氏名や住所、学年等のデータが表示されるIDカード」が記載されているということができる。

イ 上記cの記載から、引用例1には「IDカード20は、2つの圧力ローラ23、24の間を移動し、その結果、プラスチック材21a、22aがカード20の上面及び下面を覆う」ことが記載されているということができる。
そして、上記dの「プラスチック材21a、22aをかぶせるために、‥‥‥プラスチック材層の間に挟まれたカード20が、ローラ23、24を過ぎて、予め決められた距離を前進すると、プラスチック材料に隣接するカード20の移動方向に対応して設けられた熱融着部材26、27は、カードの前端を熱融着し、次に、図1のEに示されているようにカードに並置されたプラスチック材の後端を熱融着する。」との記載、及び図1において、カード20は、IDカード20のことと解されるから、引用例1には、「プラスチック材21a、22aをかぶせるために、IDカードの前端においてプラスチック部材21a、22aを熱融着し、次に後端を熱融着」ことが記載されているということができる。
加えて、上記dの「プラスチック材に包まれたカードは切断部署Kに到達し、ここで、プラスチック材には、最初にその前端において、その後、その後端において、ナイフ28がプラスチック材に用いられて、磁気カード25が形成される。」との記載から、プラスチック材21a、22aに包まれたIDカード20をナイフ28により切り離すことは明らかである。
そうすると、引用例1には、「IDカードは、2つの圧力ローラの間を移動し、その結果、プラスチック材がIDカードの上面及び下面を覆い、プラスチック材をかぶせるために、カードの前端においてプラスチック部材を熱融着し、次に後端を熱融着し、プラスチック材に包まれたIDカードは更に移動して、プラスチック材に包まれたIDカードをナイフにより切り離す」ことが記載されているということができる。

ウ 上記gにおいて、「IDカード上の磁性粉」と示されていることから、引用例1には「IDカードには、磁性粉が設けられている」ことが記載されているということができる。

エ 上記gの「IDカード20及びIDカード20上の磁性粉M1、M2を、プラスチック材21a、22aにより層状に密着して覆っている」ことにおいて、IDカードには「磁性粉がしみこまれている」ということができ(上記e、上記f参照)、IDカードと磁性粉とは一体となっていると捉えられるから、引用例1には「IDカードは、その端がプラスチック材によって閉じられて、プラスチック部材により層状に密着して覆われている」ことが記載されているということができる。

オ 上記c、dの記載から、引用例1には、IDカードから「磁気カード25が形成される」方法が記載されているといえ、また、磁気カードはIDカードからなるものであって、IDカードには、人物写真や大学名、個人の氏名や住所、学年等のデータが表示され、磁性粉が設けられるものであるから(上記ア、上記ウ)、引用例1には「人物写真や大学名、個人の氏名や住所、学年等のデータが表示され、磁性粉が設けられたIDカードを備えた、磁気カードの製造方法」が記載されているということができる。


上記引用例1に記載された事項、図面の記載、及び上記アないしオを総合すると、引用例1には、次の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。

「人物写真や大学名、個人の氏名や住所、学年等のデータが表示され、磁性粉が設けられたIDカードを備えた、磁気カードの製造方法であって、
IDカードは、2つの圧力ローラの間を移動し、その結果、プラスチック材がIDカードの上面及び下面を覆い、プラスチック材をかぶせるために、カードの前端においてプラスチック部材を熱融着し、次に後端を熱融着し、プラスチック材に包まれたIDカードは更に移動して、プラスチック材に包まれたIDカードをナイフにより切り離し、
IDカードは、その端がプラスチック材によって閉じられて、プラスチック材により層状に密着して覆われている、
方法。」


(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平11-334265号公報(平成11年12月7日公開、以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

h 「【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明の一実施の形態を説明するに先立ち、作成された個人識別材であるIDカード1について、IDカード1の平面図及び断面図である図1に基づいて説明する。なお、図1(a)においては、一部であるがIDカード1の内部を示している。また、この例においては、IDカード1として会社の従業員カードを示している。
【0012】IDカード1には、表面から可視の文字画像15及び顔写真画像16が記録されている。文字画像15は、IDカード1の携帯者個人を識別するための個人情報であり、例えば、個人コード、氏名、会社名、職場、発行日等が画像として、IDカード1に記録されている。なお、図1(a)の例においては、個人識別コードである個人コードと氏名、会社名とが記録されている。(後略)
【0013】ここで、ICメモリ13を内蔵したIDカード1の構成について、図1(b)に基づいて説明する。IDカード1は、ICメモリ13を有した基材11と、光透過性の光透過シートであるラミネートシート12とから構成されている。基材11は、合成樹脂性の第1基材シート111と第2基材シート112とが接着層113を介して接着されている。そして、第1基材シート111と第2基材シート112との間に、ICメモリ13とアンテナ14とが、第1基材シート111上に設けられており、接着層113に埋め込まれた形となっており、接着層113によって固定されている。このICメモリ13は、デジタルデータを記憶することが可能なICチップであり、また、アンテナ14は、ICメモリ13に記憶されている情報の読み出しやICメモリ13に情報を書き込むための信号授受部である。」

i 「【0036】また、本実施の形態では、個人コードを含む画像が形成されたラミネートシート12と基材11とを貼り合わせた後に、個人コードを取得し、該個人コードに基づいた個人データをICメモリ13に記録するように構成したので、形成された画像と記録された個人データとの不一致を防ぐことができる。(後略)」

カ 上記hの記載、及び上記iの記載から、引用例2には、個人コード、氏名、会社名等の文字画像及び顔写真画像が記録されたシートと、ICメモリと情報の読み出し及び書き込むを行うためのアンテナが設けられた基材を備えたIDカードであって、個人コードを含む画像が形成されたシートと基材とを貼り合わせた後に、個人コードを取得し、該個人コードに基づいた個人データをICメモリに記録する技術が記載されている。


3 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「人物写真や大学名、個人の氏名や住所、学年等のデータが表示され、磁性粉が設けられたIDカード」は、個人の本人性を示すものであってプライバシーに関する事項が記載されるものであるから、セキュリティで保護すべき対象となるものであり、また、プラスチック材で覆われたIDカードは、写真及びデータ等を表示した薄いシート等を用いることが常套手段である。よって、引用発明の「IDカード」は「セキュリティ・キャンブリック」に相当する。そして、引用発明の「磁気カード」は、人物写真や大学名、個人の氏名や住所、学年等のデータが表示されたIDカードからなるから、同様にセキュリティで保護すべき対象となる文書となるものであって、引用発明の「人物写真や大学名、個人の氏名や住所、学年等のデータが表示され、磁性粉が設けられたIDカードを備えた、磁気カードの製造方法」は、本願発明の「少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)を備えたセキュリティ文書の製造方法」である点で共通する。

(2)引用発明は「プラスチック材がIDカードの上面及び下面を覆」い、「IDカードの前端においてプラスチック部材を熱融着し、次に後端を熱融着し、プラスチック材に包まれたIDカード」となることにより、「IDカードは、プラスチック材により層状に密着して覆われ」ることから、「プラスチック材」は、本願発明の「ラミネート層」に相当する。ここで、プラスチック材が、IDカードの上面及び下面を密着して覆っており、IDカードに張り付けられているともいえるから、引用発明と本願発明とは「少なくとも1つのラミネート層が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリックの1つの面上に少なくとも張り付けられ」る点で共通する。
また、引用発明の「IDカード」は、プラスチック材に「上面及び下面を覆」われて「包まれ」ていることから、プラスチック材に完全に包み込まれて、鞘状被覆が形成されているということができ、引用発明と本願発明とは、「少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリックがラミネート層によって完全に包み込まれ」る点、及び「ラミネート層鞘状被覆が形成される」点で共通する。

(3)引用発明の「IDカード」は、「その端がプラスチック材によって閉じられて」いることから、引用発明と本願発明とは、「閉じた端(24)が前記ラミネート層(22、23)によって形成され」る点で共通する。

すると、本願発明と引用発明とは、次の<一致点>及び<相違点>を有する。

<一致点>

「少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)を備えたセキュリティ文書の製造方法であって、
- 少なくとも1つのラミネート層(22、23)が、前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)の1つの面上に少なくとも張り付けられ、
- 前記少なくとも1つのセキュリティ・キャンブリック(15)が前記ラミネート層(22、23)によって完全に包み込まれ、閉じた端(24)が前記ラミネート層(22、23)によって形成され、
- ラミネート層鞘状被覆(25)が形成される
方法。」


<相違点>

(ア)本願発明は、セキュリティ文書において、「少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)」も備え、「ラミネート層(22、23)」が「前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)の少なくとも1つの面上」にも少なくとも張り付けられて、「前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)」が前記ラミネート層(22、23)によって完全に包み込まれているのに対し、引用発明は「トランスポンダ・ユニット」を備えていない点。

(イ)本願発明は、「周縁の」閉じた端(24)が前記ラミネート層(22、23)によって形成されているのに対し、引用発明は、閉じた端が、周縁に渡っているのか否か不明な点。

(ウ)本願発明は、「前記少なくとも1つのトランスポンダ・ユニット(21)が、前記ラミネート層鞘状被覆(25)の前記製造の後に個人化される」のに対し、引用発明はこのような特定がない点。


4 判断

<相違点>(ア)、(ウ)について
引用例2には、「個人コード、氏名、会社名等の文字画像及び顔写真画像が記録されたシートと、ICメモリと情報の読み出し及び書き込むを行うためのアンテナが設けられた基材を備えたIDカードであって、個人コードを含む画像が形成されたシートと基材とを貼り合わせた後に、個人コードを取得し、該個人コードに基づいた個人データをICメモリに記録する」技術が記載されており(上記2(2)カ参照)、ここで、「ICメモリと情報の読み出し及び書き込むを行うためのアンテナが設けられた基材」は、外部との情報の授受を行う「トランスポンダ・ユニット」ということができ、また、個人コードのICメモリへの記録は、IDカードが完成した後になされるものであって、IDカードの製造後にICメモリを個人化するということができる。そして、引用例2に記載のものも引用発明も共にIDカードの範疇に属するものであるから、引用発明の「IDカード」に前記技術を用いて、トランスポンダ・ユニットをも備えたIDカードとし、このIDカードを覆うプラスチック部材を熱融着して、プラスチック部材でIDカードを包み、層状に密着して覆われているように製造した後、トランスポンダ・ユニットを個人化することに格別の困難性を有しない。
よって、本願発明の上記相違点(ア)及び(ウ)に係る構成のようにすることは当業者が容易になし得る事項である。

(イ)一般に、ラミネート層を有するIDカード等において、カードの周囲に渡ってラミネート層を熱融着することは周知慣用手段であるから、引用発明においても、「周縁の」閉じた端をラミネート層によって形成することは当業者が適宜なし得る事項である。

そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は引用例1、引用例2に記載された発明及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって、格別なものとはいえない。

よって、本願発明は、引用例1、引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-13 
結審通知日 2012-06-19 
審決日 2012-07-03 
出願番号 特願2006-553479(P2006-553479)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高瀬 勤  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 西山 昇
殿川 雅也
発明の名称 ブック型セキュリティ文書の製造方法およびブック型セキュリティ文書  
代理人 西山 修  
代理人 黒川 弘朗  
代理人 山川 政樹  
代理人 山川 茂樹  

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