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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C12N |
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管理番号 | 1267438 |
審判番号 | 不服2010-5837 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-17 |
確定日 | 2012-12-05 |
事件の表示 | 特願2000-551008「ポリヒドロキシアルカノエートバイオポリマー組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成11年12月 2日国際公開、WO99/61624、平成14年 6月 4日国内公表、特表2002-516384〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、1999年5月21日(パリ条約による優先権主張1998年5月22日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成21年11月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年3月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたため、特許法162条の規定により前置審査に付され、同年6月16日付け拒絶理由が通知され、同年10月22日付けで意見書および手続補正書が提出され、同法第164条第3項の規定により前置報告がなされ、平成23年4月25日付けで審尋がなされ、同年10月26日付けで回答書が提出されたものである。 本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成22年10月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載されたとおりのものである。 そして本願の請求項6に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項6】 アシルCoAトランスフェラーゼ、ヒドロキシアシルCoAトランスフェラーゼ、およびヒドロキシアシルCoAシンテターゼからなる群より選択される1以上の酵素を発現するように遺伝子操作されたE.coli系。」 2.新規性違反 (1)前置審査の拒絶理由 前置審査の拒絶理由では、本願の請求項1ないし13に係る発明の新規性・進歩性違反に関して、以下の点が指摘された。 「引用文献7には、4-ヒドロキシ酪酸CoAトランスフェラーゼをコードする遺伝子とポリヒドロキシアルカノエートシンターゼをコードする遺伝子とを大腸菌に導入し、ポリ-4-ヒドロキシ酪酸を合成することが記載されている。」 (2)検討 引用文献7(Silke Heina, Brigitte Sohlingb, Gerhard Gottschalkc and Alexander Steinbuchela,Biosynthesis of poly(4-hydroxybutyric acid) by recombinant strains of Escherichia coli,FEMS Microbiology Letters,1997年 8月15日,Vol.153, No.2,411-418)のアブストラクトの項には、 「この研究の目的は、大腸菌の組換え株を使用した、ホモポリエステル、poly(4-ヒドロキシ酪酸)(poly(4-hydroxybutyric acid)、ポリ (4HB))の生産だった。大腸菌の野生型株や、そのほかの広く使用されている非組換え株は、貯蔵化合物としてポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を生産することや、単独炭素源として4-ヒドロキシ酪酸を使うことができない。それゆえ、アルカリゲネス・ユートロフス(Alcaligenes eutrophus)由来PHA合成酵素遺伝子(phaC)と、4-ヒドロキシ酪酸-CoAトランスフェラーゼをコードしているらしいクロストリジウム・クルイベリ(Clostridium kluyveri)由来orfZとを含む、pBluescriptベクターの複合プラスミドが構築された。A. eutrophus由来のphaCを含む3.3kb長SmaI/ApaIゲノム断片、および、C. kluyveri 由来のorfZを含む1.8kb長ApaI/EcoRIゲノム断片が、pKS-ベクターとpSK-ベクター各々のSmaI/EcoRIサイトに挿入された。phaCとorfZを、各々、lacZに対して順方向あるいは逆方向の直列に含んでいる、生じた2つのプラスミドpSKSE5.3とpKSSE5.3で、大腸菌株XL1-Blueが形質転換された。細胞をLuria-Beritani増殖培地中で培養した場合、そしてグルコースと4-ヒドロキシ酪酸が炭素源として与えられた場合、組換え株は、ホモポリエステルのポリ(4HB)を合成した。もしグルコースが制限されると、3-ヒドロキシ酪酸と4-ヒドロキシ酪酸との共ポリエステルが蓄積した。ホモポリエステルのポリ(4HB)は、炭素源としてグルコースと4-ヒドロキシ酪酸を含むM9最小塩培地中で、これらの株を培養する間にもまた、蓄積した。pKSSE5.3を含む大腸菌XL1-Blue株をM9最小塩培地中で培養した場合、そしてその培養が十分な酸素を調達できない場合、該ポリ(4HB)は、乾燥物の総量のおよそ80%にまで達した。炭素源としてγブチロラクトンが使用された場合、4HBはPHAへと取り込まれた。炭素源として、レブリン酸、4-ヒドロキシレブリン酸、あるいはγバレルラクトンが使用された場合、構成要素として4-ヒドロキシアルカン酸を含まない、ごく少量のPHAのみが蓄積した。」 と記載されており、複合プラスミドをベクターとして用い、4-ヒドロキシ酪酸CoAトランスフェラーゼをコードする遺伝子をE.coli(大腸菌)に導入することが記載されており、4-ヒドロキシ酪酸CoAトランスフェラーゼは、本願発明のヒドロキシアシルCoAトランスフェラーゼに該当するものであると認められる。 したがって、引用文献7には、「ヒドロキシアシルCoAトランスフェラーゼ酵素を発現するように遺伝子操作されたE.coli」の発明が記載されているといえる。 本願発明は「E.coli系」と特定されているが、この“系”が何を示しているか明らかでなく、この“系”の有無によって、本願発明と引用文献7に記載される「E.coli」の発明とが相違するとは認められない。 よって、本願発明は引用文献7に記載された発明である。 (3)請求人の主張について 請求人は、回答書において、引用文献7には、本願の請求項1に特定されるような、基質や作製されるポリマーについて示されていない旨を主張している。 しかし、本願発明(請求項6)には、基質や作製されるポリマーについて特定されていないから、請求人の主張は、本願発明については採用することができない。 なお、請求人が回答書において示した補正案における請求項6は、本願発明として検討した請求項6と同じものである。 3.むすび 以上のとおり、本願発明は特許法第29条第1項第3号に該当するから特許を受けることできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-06-27 |
結審通知日 | 2012-07-03 |
審決日 | 2012-07-20 |
出願番号 | 特願2000-551008(P2000-551008) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C12N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 村上 騎見高、藤本 保 |
特許庁審判長 |
鵜飼 健 |
特許庁審判官 |
新留 豊 中島 庸子 |
発明の名称 | ポリヒドロキシアルカノエートバイオポリマー組成物 |
代理人 | 川口 義雄 |
代理人 | 渡邉 千尋 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 大崎 勝真 |