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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1267629 |
審判番号 | 不服2011-12416 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-06-09 |
確定日 | 2012-12-20 |
事件の表示 | 特願2008- 92059「ポインタ表示装置、ポインタ表示検出方法、ポインタ表示検出プログラム及び情報機器」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月22日出願公開、特開2009-245239〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 ・本願発明 本願は,平成20年3月31日の出願であって,平成22年2月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月14日に手続補正書が提出され、平成23年3月9日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年6月9日に、審判請求がなされるとともに、手続補正書が提出されたものである。 そして、その請求項1に係る発明は,平成23年6月9日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。) 「表示手段の表示画面上に設けられたタッチパネルと、 上記タッチパネルに対するタッチ操作の接触点を検出し、当該接触点に対する指先を囲む所定径の円形状領域を設定し、その円形状領域に対して尖鋭形状の先端部が一体的に融合されたポインタを生成して表示するポインタ表示手段と、 上記ポインタの上記先端部に対応する位置を指示位置として検出する指示位置検出手段と、 上記ポインタが上記表示画面上の端部に位置していることを認識したとき、上記表示画面に対する表示内容を上記ポインタの位置に応じて移動表示する画面制御手段と を具えるポインタ表示装置。」 2 引用刊行物記載の発明 これに対して,原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願の日前である平成10年10月23日に頒布された「特開平10-283115号公報 」(以下「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。 (1) 「【0002】 【従来の技術】近年、情報の入出力操作を誰でも簡易に行なうための手段として、タッチパネルを用い表示面と入力面とを同一軸上に重ねた表示入力装置が盛んに開発されている。」(下線は、当審で付与。以下同様。) (2) 「0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7のように選択したいボタンが小さく、しかも隣接して他のボタンが存在する場合には、利用者の指が図8のように指示部のボタンを覆い隠し、希望のボタンを指示できたかどうか判別し難く、指示間違いを起こしやすいという問題点を有していた。 【0007】本発明は上記問題点に鑑み、微細な個所での精密な入力を可能とし、作業効率を向上させる表示入力装置を提供するものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために本発明の表示入力装置は、入力指示表示部を入力対象座標を指示する指示部と指示部の移動操作を行なう保持部とを離れた場所に設けたカーソルによって表示するようにしたものである。これによって、指示部を移動させる保持部が指示部とは離れて設けてあるので、保持部に置いた指やペンなどによって、指示部が覆い隠されて指示部の位置が不確かになることがない。したがって、正確に希望の座標を指示できる。」 (3) 「【0014】図1は本発明の一実施形態を示すものである。図1において、1は表示面、2は入力面、3は制御部、4は保持部である。図2は保持部近辺を拡大したものである。図2において、5は指示部、6は操舵部、7は右入力選択部、8は左入力選択部である。 【0015】以上のように構成された表示入力装置について、その入力操作について説明する。入力面2を指やペンで指示すると、制御部3がその接触点の座標を求め、表示面1の同一座標に保持部4を表示する。同時にその周囲に指示部5、操舵部6、右入力選択部7、左入力選択部8を表示する。 【0016】図3は複数のボタンから選択したいボタンのみを指示している様子である。指示部が保持部と独立しているために指で隠れることがなく、利用者は選択すべき位置に指示部があるかどうか確認することができる。」 (4) 「【0018】保持部4と操舵部6を操作することによって指示部5を希望するボタンに位置させた後、右入力選択部7または左入力選択部8を指示すると指示部5に対応した命令がコンピューターに入力され、処理結果が制御部3によって処理され、表示面1に処理結果が表示される」 (5) 図2、図3には、保持部4は、指先を囲む円形状の形状であり、指示部5は、保持部4から突出した矢印状の形状であるカーソルが示されている。 この記載事項によると,引用例には,タッチパネルを用い表示面と入力面とを同一軸上に重ねた表示入力装置において、選択したいボタンが小さく、しかも隣接して他のボタンが存在する場合には、利用者の指が指示部のボタンを覆い隠し、希望のボタンを指示できたかどうか判別し難く、指示間違いを起こしやすいという問題点を解決するための、 「タッチパネルを用い表示面と入力面とを同一軸上に重ねた表示入力装置において、 入力指示表示部を入力対象座標を指示する指示部と指示部の移動操作を行なう保持部とを離れた場所に設けたカーソルによって表示するようにしたもので、 入力面2を指やペンで指示すると、制御部3がその接触点の座標を求め、表示面1の同一座標に保持部4を表示し、同時にその周囲に指示部5、操舵部6、右入力選択部7、左入力選択部8を表示し、 指示部5を希望するボタンに位置させた後、右入力選択部7または左入力選択部8を指示すると指示部5に対応した命令がコンピューターに入力されるもので、 保持部4は、指先を囲む円形状の形状であり、指示部5は、保持部4から突出した矢印状の形状であるカーソルである、 表示入力装置」 の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 3 対比 本願発明と引用発明を対比すると, (1) 引用発明の「タッチパネル」は、「表示面と入力面とを同一軸上に重ねた表示入力装置」を構成しており、本願発明の「表示手段の表示画面上に設けられたタッチパネル」に相当する。 (2) 引用発明の「カーソル」は、本願発明の「ポインタ」に相当し、 また、引用発明は、「入力面2を指やペンで指示すると、制御部3がその接触点の座標を求め、表示面1の同一座標に保持部4を表示し」、「保持部4」の「周囲に指示部5」が表示され、保持部4は、指先を囲む円形状の形状であり、指示部5は、保持部4から突出した矢印状の形状であることから、本願発明の「上記タッチパネルに対するタッチ操作の接触点を検出し、当該接触点に対する指先を囲む所定径の円形状領域を設定し、その円形状領域に対して尖鋭形状の先端部が一体的に融合されたポインタを生成して表示するポインタ表示手段」と引用発明の構成は、タッチパネルに対するタッチ操作の接触点を検出し、当該接触点に対する指先を囲む所定径の円形状領域を設定し、その円形状領域に対して尖鋭形状の先端部が接続されたポインタを生成して表示するポインタ表示手段を備える点で、共通している。 (3) 引用発明の「指示部5を希望するボタンに位置させた後、右入力選択部7または左入力選択部8を指示すると指示部5に対応した命令がコンピューターに入力される」ことから、引用発明は、本願発明の「ポインタの上記先端部に対応する位置を指示位置として検出する指示位置検出手段」を備えるものである。 したがって、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 (一致点) 表示手段の表示画面上に設けられたタッチパネルと、 上記タッチパネルに対するタッチ操作の接触点を検出し、当該接触点に対する指先を囲む所定径の円形状領域を設定し、その円形状領域に対して尖鋭形状の先端部が接続されたポインタを生成して表示するポインタ表示手段と、 上記ポインタの上記先端部に対応する位置を指示位置として検出する指示位置検出手段と、 を具えるポインタ表示装置。 (相違点1) 本願発明の「ポインタ」は、「円形状領域に対して尖鋭形状の先端部が一体的に融合されたポインタ」であるのに対し、引用発明は、そうではない点。 (相違点2) 本願発明は、「上記ポインタが上記表示画面上の端部に位置していることを認識したとき、上記表示画面に対する表示内容を上記ポインタの位置に応じて移動表示する画面制御手段」を備えるのに対し、引用発明は、このような手段は備えていない点。 4 当審の判断 上記相違点について検討すると, (相違点1についての検討) 引用発明のポインタも、本願発明と同様に、指示位置である尖鋭形状の先端部と、指先を囲む所定径の円形状領域から構成されており、機能的には、引用発明のポインタと本願発明のポインタは同じ機能を有するものであり、 また、引用例にも記載(「【0020】なお、本実施形態では保持部4、入力選択部7、8の形状と位置関係についての一例を示したが、それらが指示部5と独立していれば、形状と位置関係は任意であって良い。」)されているように、ポインタの形状は、適宜定める設計的事項と認められるので、引用発明において、ポインタの形状を相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。 (相違点2についての検討) ポインタが表示画面上の端部に位置しているときに、表示画面に対する表示内容をポインタの位置に応じて移動表示させることは、本願出願日前に周知技術(特開2000-207094号公報の【0008】及び図16、特開2003-114750号公報の【0012】等の記載。)であり、引用発明において、ポインタが端部にある場合に、ポインタによる指示をし易くするため、当該周知技術を採用し、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。 そして、本願発明が奏する作用、効果についてみても、引用発明及び周知の技術から当業者が予想できる程度のものである。 5 むすび したがって,本願発明は,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-10-17 |
結審通知日 | 2012-10-23 |
審決日 | 2012-11-05 |
出願番号 | 特願2008-92059(P2008-92059) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 円子 英紀 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
大野 克人 和田 志郎 |
発明の名称 | ポインタ表示装置、ポインタ表示検出方法、ポインタ表示検出プログラム及び情報機器 |
代理人 | 田辺 恵基 |