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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1267639
審判番号 不服2011-18028  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-19 
確定日 2012-12-20 
事件の表示 特願2005- 25205「詰め替え用パウチ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月17日出願公開、特開2006-213334〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成17年2月1日の出願であって、平成23年5月13日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成23年8月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲及び明細書を対象とする手続補正がなされたものである。

第2.平成23年8月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年8月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正
本件補正は、本件補正前の請求項1に
「両側部と底部とをそれぞれヒートシールしてなる自立袋形式のパウチであって、
該パウチの上部の一方のコーナー部に、中心線が斜め外側上方に向く先細り形状の注出口部が、両側の切り欠き部により突出する形状に設けられ、
前記注出口部の開封位置には、易開封性手段として少なくともハーフカット線とその端部にノッチが設けられ、
前記注出口部の両側にヒートシール部を備え、
前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部は、前記注出口部の先端部近傍から前記注出口部の設けられていない側のパウチの側部に至るように形成され、
内容物の充填前の段階では、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部は未シールの開口部であり、前記内容物の充填後にヒートシールにて密封されることを特徴とする、詰め替え用パウチ。」
とあるのを、
「両側部と底部とをそれぞれヒートシールしてなる自立袋形式のパウチであって、
該パウチの上部の一方のコーナー部に、中心線が斜め外側上方に向く先細り形状の注出口部が、両側の切り欠き部により突出する形状に設けられ、
前記注出口部の開封位置には、易開封性手段として少なくともハーフカット線と、該ハーフカット線の端部にノッチとが設けられ、
前記注出口部の両側にヒートシール部を備え、
前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部は、前記注出口部の先端部から前記注出口部の設けられていない側のパウチの側部に至るように形成され、
内容物の充填前の段階では、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、前記注出口部の先端部以外は未シールの開口部であり、該未シールの開口部より前記内容物の充填が行われた後に前記未シールの開口部がヒートシールにて密封される詰め替え用パウチであって、
前記ノッチは、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、前記内容物の充填前に前記未シールの開口部となる部分であって、かつ、前記注出口部の先端と基部との間に形成されることを特徴とする、詰め替え用パウチ。」
とする補正を含むものである。

2.目的要件等
特許請求の範囲の請求項1に関する本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ノッチ」を「ハーフカット線」の端部に設けられるもので「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、内容物の充填前に未シールの開口部となる部分であって、かつ、前記注出口部の先端と基部との間に形成される」ものに、「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部」を「内容物の充填前の段階では、注出口部の先端部以外は未シールの開口部であり、該未シールの開口部より前記内容物の充填が行われた後に前記未シールの開口部がヒートシールにて密封される」ものに、それぞれ限定するものであり、本件補正後の請求項1に記載された発明は、本件補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、当該補正は平成18年法律第55号改正附則第3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正付則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

本願補正発明は、本件補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「1.本件補正」の補正後の請求項1参照)により特定されるとおりのものと認める。

(1)引用文献及び引用発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-349012号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
(a)「図1において、詰め替え用パウチ100は、その本体部分がスタンディングパウチ形式に製袋されており、底部1が常法に従ってフィルムを内側に折り返してなるガセット形式で形成され、内側に折り込まれたフィルムの両側下端近傍に、半円形状などの切り欠き部が設けられ、船底形の底部ヒートシール部2でヒートシールして形成されている。パウチ100の胴部は、前後2面の壁面フィルム5の両側端縁部を胴部ヒートシール部3でヒートシールして形成されている。
そして、パウチ100の上部のコーナー部には、狭い幅の注出口部6が、両側のヒートシール部により形成されると共に、その両側が切り欠き部7a 、7b で切り欠かれ、首状に突出した形状に形成されている。また、注出口部6の先端部近傍には、切り欠き部7b のトリミングの際、摘み部8と、易開封性手段としてV字形のノッチ9とが同時に設けられ、更に、ノッチ9につながる切り取り線の位置には、切り取りを容易にし、且つ、その方向性を安定化させるため、レーザー光照射などによるハーフカット線11(図では3本)が設けられている。」(段落【0042】?【0043】参照)
(b)「尚、パウチ100の上部ヒートシール部4は、内容物の充填前は未シールの開口部とし、ここから内容物を充填した後、ヒートシールして密封するものである。この点は、以下の図4、図5、および図7?図12の各図に示した詰め替え用パウチにおいても同様である。
以上のような構成を採ることにより、例えば、液状の内容物を充填し、上部ヒートシール部4を脱気シールして密封した詰め替え用パウチ100は、自立性があり、取り扱い易く、外観に優れている。そして、充填された内容物を他の容器に移し替える際には、注出口部6の先端部を、摘み部8を指で摘んでハーフカット線11の方向に引き裂くことにより、ノッチ9を始点としてハーフカット線11に沿って容易に引き裂かれ、注出口部6を開封することができる。」(段落【0049】?【0050】)
(c)「図7において、(イ)は詰め替え用パウチ130の正面図であり、パウチ130は、その本体部分がスタンディングパウチ形式に製袋されると共に、パウチ130の上部のコーナー部には、斜め上方に向く注出口部6が、やや突出する形状に、両側の切り欠き部7a 、7b のトリミングにより設けられ、その外周が、左側胴部ヒートシール部3の上部と、上部ヒートシール部4の左側部とでヒートシールされて形成されている。また、注出口部6の先端部近傍の右側部には、切り欠き部7bのトリミングの際、摘み部8と、易開封性手段としてV字形のノッチ9とが同時に設けられている。このような摘み部8とノッチ9とは、注出口部6の両側に設けることもできる。尚、ノッチ9につながる切り取り線10の位置には、更に、レーザー光照射などによるハーフカット線を設けることにより、引き裂きの方向性を一層安定化させることができる。」(段落【0059】参照)
(d)「以上のような構成を採ることにより、液状の内容物を充填し、上部ヒートシール部4を脱気シールして密封した詰め替え用パウチ130は、自立性があり、取り扱い易く、外観に優れると共に、内容物を他の容器に移し替える際には、注出口部6の先端部を、摘み部8を指で摘んで切り取り線10の方向に引き裂くことにより、ノッチ9を始点として切り取り線10に沿って容易に引き裂かれ、注出口部6を開封することができる。」(段落【0062】参照)
(e)図1から、注出口6は中心線が斜め外側上方に向く先細り形状であって、注出口の中心線よりも上側にあるヒートシール部は、注出口部の先端部から切り欠き部を経て、前記注出口部の設けられていない側の胴部ヒートシール部3に至るように形成され、内容物の充填前の段階で未シールの開口部となる上部シール部4が、切り欠き部7bで切り欠かれたヒートシール部の注出口6側でない端部から注出口6の設けられていない側の胴部ヒートシール部3に至るように形成されている点が見て取れる。
(f)図7から、パウチ130の上部には、ハッチングの施されていない未シールの開口部が、注出口部6の先端から切り欠き部7bを経て、注出口部の設けられていない側の胴部ヒートシール部3に至るように形成されている点が見て取れる。

上記(a)より、パウチ100は、両側部と底部とを、それぞれ胴部ヒートシール部3と底部ヒートシール部2とでヒートシールして形成されるスタンディングパウチであると認められる。
よって、上記(a)?(b)、(e)の記載事項によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。
「両側部と底部とをそれぞれ胴部ヒートシール部と底部ヒートシール部とでヒートシールしてなるヒートシールしてなるスタンデングパウチであって、
該パウチの上部の一方のコーナー部に、中心線が斜め外側上方に向く先細り形状の注出口部が、両側の切り欠き部により突出する形状に設けられ、
前記注出口部の開封位置には、易開封性手段としてハーフカット線と、該ハーフカット線の始点にノッチとが設けられ、
前記注出口部の両側にヒートシール部を備え、
前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部が、注出口部の先端部から切り欠き部を経て、前記注出口部の設けられていない側の胴部ヒートシール部に至るように形成され、
内容物の充填前の段階では、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、切り欠き部で切り欠かれたヒートシール部の注出口側でない端部から注出口の設けられていない側の胴部ヒートシール部に至るように形成されている上部ヒートシール部は未シールの開口部であり、該未シールの開口部より前記内容物の充填が行われた後に前記未シールの開口部がヒートシールにて密封される詰め替え用パウチであって、
前記ノッチは、前記注出口の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、前記注出口部の先端近傍に形成される詰め替え用パウチ。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「スタンデングパウチ」、「斜め外側上方」、「注出口の先端部近傍」は、それぞれ本願補正発明の「自立形式のパウチ」、「斜め外側上方」、「注出口部の先端と基部との間」に相当し、引用発明の「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部が、注出口部の先端部から切り欠き部を経て、前記注出口部の設けられていない側の胴部ヒートシール部に至るように形成され」は、本願補正発明の「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部は、前記注出口部の先端部から前記注出口部の設けられていない側のパウチの側部に至るように形成され」に相当する。
また、引用発明の「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部」と本願補正発明の「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部」とは「内容物の充填前の段階では、未シールの開口部を含み、該未シールの開口部より前記内容物の充填が行われた後に前記未シールの開口部がヒートシールにて密封される」ヒートシール部である限りにおいて一致する。
以上より、本願補正発明と引用発明を対比すると、両者は、
「両側部と底部とをそれぞれヒートシールしてなる自立袋形式のパウチであって、
該パウチの上部の一方のコーナー部に、中心線が斜め外側上方に向く先細り形状の注出口部が、両側の切り欠き部により突出する形状に設けられ、
前記注出口部の開封位置には、易開封性手段として少なくともハーフカット線と、該ハーフカット線の端部にノッチとが設けられ、
前記注出口部の両側にヒートシール部を備え、
前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部は、前記注出口部の先端部から前記注出口部の設けられていない側のパウチの側部に至るように形成され、
内容物の充填前の段階では、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部は未シールの開口部を含み、該未シールの開口部より前記内容物の充填が行われた後に前記未シールの開口部がヒートシールにて密封される詰め替え用パウチであって、
前記ノッチは、前記注出口部の先端と基部との間に形成される詰め替え用パウチ。」
である点で一致し、以下の各点で相違している。

[相違点]
本願補正発明では、内容物の充填前の段階では、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、前記注出口部の先端部以外は未シールの開口部であり、また、ノッチは、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、前記内容物の充填前に前記未シールの開口部となる部分に形成されるのに対して、引用発明では、内容物の充填前の段階では、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、切り欠き部で切り欠かれたヒートシール部の注出口側でない端部から注出口の設けられていない側の胴部ヒートシール部に至るように形成されている上部ヒートシール部は未シールの開口部であり、ノッチは、前記注出口の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、前記注出口部の先端近傍に形成される点。

(3)当審の判断
上記相違点について検討すると、注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部に未シールの開口部が設けられ、該未シールの開口部より前記内容物の充填が行われた後に前記未シールの開口部がヒートシールにて密封される詰め替え用パウチにおいて、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部を、前記注出口部の先端部から前記注出口部の設けられていない側の胴部ヒートシール部に至るように形成し、内容物の充填前の段階では、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、前記注出口部の先端部以外は未シールの開口部とし、ノッチを、前記注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、前記内容物の充填前に前記未シールの開口部となる部分に形成して(図7参照)、該開口部より内容物を充填することは引用文献1に記載された事項である(上記(1)(b)?(d)、(f)参照)。
そして、この場合、開口部が広く取れ、充填作業がしやすいことは当業者に自明なことであって、引用発明において、上部ヒートシール部を、より注出口部の先端部に近い位置から前記注出口部の設けていない側の胴部ヒートシール部に至るように形成することで、より充填作業がしやすいパウチとすることは当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、本願補正発明の上記相違点に係る構成は、引用発明と引用文献1に記載された事項から当業者が容易になし得たものと認める。
また、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び引用文献1に記載された事項から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものと認められない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、請求人は平成24年9月27日付けでFAXにて補正案を提出して次の3点を主張しているので(応対記録参照)、以下前記補正案について検討する。
(i)「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部は、前記注出口の下側にある前記切り欠き部の鉛直上方まで形成され」ることで、大口径の注入口を有する充填シール装置を使用できるため充填時の泡立ちも起こらず、充填適性を大幅に向上させることができると主張している点。
この点について検討すると、この構成及び効果に関する説明が本願当初明細書に記載されておらず、新規事項であると認められるが、袋体の上部開口部の左右のシール部の近辺をチャッキングすることは技術常識(例えば、特開平9-104413号公報の段落【0016】、図2参照)であることから、上記(3)での判断の、より充填作業しやすいパウチとすることに加えて、ヒートシール部を切り欠き部の鉛直上方まで形成してそこを把持部として用いることも考慮する(平成24年7月13日付け回答書の「2.前置報告の審尋に対する回答」の主張参照)ことにより、ヒートシールの範囲を試行錯誤して決めることは当業者が適宜なす程度の設計事項にすぎないと認める。
(ii)「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部は、前記注出口部の先端部中心線から注出口部を設けていない側の側部まで下がる形状に形成され、かつ、ノッチから注出口部を設けていない側の側部までは、緩やかに下がる形状に形成され」ることで、途中に内容物の液溜まりを発生させることがなく、比較的粘度の高い内容物でも最後まで無駄なく詰め替えることができると主張している点。
この点について検討すると、特開平11-43160号公報の図5は、注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のノッチから注出口部を設けていない側の側部までを緩やかに下がる形状としたものであるから、この点が補正されたとしても格別なものとは認められない(なお、斜辺により形成する点は、例えば、実願昭58-82958号(実開昭59-188849号)のマイクロフィルム参照)。
(iii)「パウチの上部において、前記注出口部を含む上部全体の幅が前記注出口部の上端から下方に向けた領域で、前記パウチの胴部及び底部の幅よりも狭くなるように形成された」ことで、内容物充填後のパウチの外観をスマートにできると共に、輸送用の段ボールケースなどに多数のパウチを整列して詰め合わせた場合でも、注出口部などパウチ上部の変形や傷つきなどを防止することができると主張している点。
この点について検討すると、上記引用文献1の図1も、略長方形のフィルムからなるパウチ100の上部コーナー部に注出口部6が、両側に切り欠き部7a、7bを設けるようにして、形成されており、当該構成が記載されているといわざるをえないが、他にも、例えば、特開2002-104446号公報、実願平5-56954号(実開平7-26348号)のCD-ROMの【図18】に記載されたように、パウチにおいて、注出口部を含む上部全体の幅を前記注出口部の上端から下方に向けた領域で、前記パウチの胴部及び底部の幅よりも狭くなるように形成することは当業者が適宜なす程度のことにすぎないと認められる。

以上、検討の結果、前記補正案は採用しない。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正付則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成23年8月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年10月29日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲、明細書及び図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記「第2」「1.」補正前の請求項1参照)。

第4.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献、引用発明は、前記「第2.」の「3.」「(1)」に記載したとおりである。

第5.対比・判断
本願発明は、本願補正発明(前記「第2.」「1.」の補正前の請求項1参照。)から、「ノッチ」を「ハーフカット線」の端部に設けられるもので「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部のうち、内容物の充填前に未シールの開口部となる部分であって、かつ、前記注出口部の先端と基部との間に形成される」ものであり、「注出口部の中心線よりも上側にあるヒートシール部」を「内容物の充填前の段階では、注出口部の先端部以外は未シールの開口部であり、該未シールの開口部より前記内容物の充填が行われた後に前記未シールの開口部がヒートシールにて密封される」ものであるとの限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.」の「3.」に記載したとおり、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、原査定は妥当であり、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-28 
結審通知日 2012-10-02 
審決日 2012-11-07 
出願番号 特願2005-25205(P2005-25205)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸田 耕太郎  
特許庁審判長 仁木 浩
特許庁審判官 熊倉 強
一ノ瀬 薫
発明の名称 詰め替え用パウチ  
代理人 渡邊 敏  
代理人 渡邊 敏  

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