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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1267655
審判番号 不服2011-26979  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-13 
確定日 2012-12-20 
事件の表示 特願2006-327911「半導体製造用搬送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月19日出願公開、特開2008-141095〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年12月5日の出願であって、その主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成23年 1月24日 拒絶理由通知
平成23年 3月31日 意見書及び手続補正書提出
平成23年 9月 6日 拒絶査定
平成23年12月13日 審判請求書及び手続補正書提出
平成24年 7月 3日 拒絶理由通知
平成24年 9月 6日 面接
平成24年 9月10日 意見書及び手続補正書提出
平成24年 9月18日 手続補正指令
平成24年10月 1日 手続補正書提出


2.本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成24年10月1日付け手続補正書によって補正対象項目の欄が補正された、平成24年9月10日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「 【請求項1】
本体部と、
一端部が前記本体部に水平面内で回転自在に支持された第1アームと、
一端部が前記第1アームの他端部に水平面内で回転自在に支持された第2アームと、
前記第2アームの他端部に水平面内で回転自在に支持された第3アームと、
ワークを積載または懸垂保持して搬送するハンド部であって、前記第3アームに直線的に往復移動自在に支持されたハンド部と、
前記第1?第3アームのそれぞれを個別に回転させる第1?第3の駆動部と、
前記ハンド部を往復直線移動させる第4の駆動部と、を備え、
前記第1アームの一端部、前記第2アームの一端部及び前記第3アームが、それぞれ前記本体部、前記第1アームの他端部及び前記第2アームの他端部に対して互いに独立して回転し、
前記ハンド部が、前記第3アームに対して前記第1?第3アームの回転とは独立して往復移動し、
前記ハンド部は、平面視において、前記往復移動における後退した状態では全体が前記第3アーム内に位置し、前進した状態では少なくとも前記ワークに接する部分が前記第3アームから露出し、
前記ワークの搬送時に、前記ハンド部を後退させた状態で前記第1?第3アームを回転させた後に前記ハンド部を往復移動させるように前記第1?4の駆動部を動作させる半導体製造用搬送装置。」


3.刊行物の記載事項及び刊行物記載の発明

(1)刊行物1の記載事項及び刊行物1記載の発明
当審で通知した平成24年7月3日付け拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-300663号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の事項及び発明が記載されている。

ア.段落【0001】
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ウェハやガラス基板等の薄型基板を搬送する搬送装置に関し、さらに、旋回半径を小さくするように構成された多関節ロボットを有する搬送装置に関する。」

イ.段落【0012】
「【0012】本形態の薄型基板搬送装置(以下装置という)Mは、図1の斜視図及び図2の平面図に示すように、処理前の基板Wが収納されているカセット1、処理後の基板Wが収納されるカセット2と、基板Wを搬送する多関節ロボット(以下、ロボットという)3と、ロボット3を挟んで対向するように設置される複数の処理装置(4A・4B・4C・4D)と、を有している。カセット1・2及び処理装置4A・4B・4C・4Dはロボット3に対して略平行に設置されているとともに、ロボット3がカセット1内の基板Wをいずれかの処理装置4に搬送する用に作動される。」

ウ.段落【0015】
「【0015】水平旋回アーム体14は、第1の形態においては図3?4に示すように、2組のアーム組30(第1アーム組30Aと第2アーム組30B)を有し、それぞれ第1リンク31と第2リンク32とハンド33とを有して構成され、それぞれのアーム組30が、ハンド33の先端部を直線的に移動させる駆動機構を備えて構成される。・・・・・(後略)」

エ.段落【0030】ないし【0033】
「【0030】図10に示す第2の形態のロボットは、一次旋回を水平旋回によって行なっているものである。ロボット50は、一次旋回手段としての下部水平旋回アーム体51が機台52に水平方向に回動可能に支持され、二次旋回手段としての上部水平旋回アーム体54が移動機台55に水平方向に回動可能に支持されている。そして、上部水平旋回アーム体54は、第1の形態と同様に2組のアーム組30A・30Bが採用されている。
【0031】下部水平旋回アーム体51は、図11に示すように、第1アーム61と第2アーム62とを有して、それぞれの端部で回動可能に支持され、第1アーム61の一端は機台52に軸支され、第2アームの一端は移動機台55に軸支される。さらに下部水平旋回アーム体51は機台52内に装着された図示しない駆動装置により上下移動(Z軸移動)を行なうとともに、第1アーム61は機台52内に支持されたモータ63によって水平旋回され、第2アーム62は第1アーム61の一端に支持されたモータ64によって水平旋回を行なう。移動機台55には内部に第2アーム62と連結するモータ65が支持され、モータ65を作動することによって第2アーム62に対して移動機台55を回転することになる。この移動機台55による回転は、下部水平旋回アーム体51の旋回時にそれぞれのハンド33を一定方向に向けさせるとともに、下部水平旋回アーム体51の停止時に上部水平旋回アーム体54全体を回転させる(θ回転)。さらに、移動機台55内の上部にはそれぞれのアーム組30A・30Bを旋回するためのモータ66A・66Bが取り付けられている。
【0032】この形態のロボット50は、図12?14に示すように作動される。第1の形態に比べて、上部水平旋回アーム体54の動きは同様に作動され、下部水平旋回アーム体51の動きが異なる。
【0033】第1の形態と同様に、ロボット50は加工前の基板Wを取り出すために、下部水平旋回アーム体51の第1アーム61・第2アーム62をそれぞれのモータの作動で旋回させることによって、ハンド33Aをカセット1の正面に対向し、基板Wの有無を確認した後、図12に示すように、一方のアーム組30Aのハンド33Aをカセット1内に侵入して基板Wを吸着保持する。基板Wを吸着保持した後、一旦、アーム組30Aを屈曲してハンド33Aを戻し、下部水平旋回アーム体51の第1アーム61・第2アーム62をそれぞれ旋回させ、また、移動機台55をθ回転させて、図13に示すように例えば処理装置4Dに搬入する。」

オ.刊行物1記載の発明
上記エ.に摘示する段落【0031】には、第1アーム61がモータ63によって水平旋回され、第2アーム62がモータ64によって水平旋回され、移動機台55がモータ65によって回転されることの開示があるところ、それらのモータが、他のモータの回転に依存せずに回転できること、すなわち各モータが個別ないしは独立して回転できることは自明であるから、当該開示は、第1アーム61、第2アーム62及び旋回機台55が、モータ63、モータ64及びモータ65によって、それぞれ個別ないしは独立して回転されることを意味している。
また、上記エ,に摘示する段落【0033】の「ロボット50は加工前の基板Wを取り出すために、下部水平旋回アーム体51の第1アーム61・第2アーム62をそれぞれのモータの作動で旋回させることによって、ハンド33Aをカセット1の正面に対向し、基板Wの有無を確認した後、図12に示すように、一方のアーム組30Aのハンド33Aをカセット1内に侵入して基板Wを吸着保持する。」という記載は、基板Wの搬送時に、ハンド33Aを後退させた状態で第1アーム61及び第2アーム62を回転させた後にハンド33Aを前進移動させることを意味するといえるし、「基板Wを吸着保持した後、一旦、アーム組30Aを屈曲してハンド33Aを戻し」という記載は、ハンド33Aを後退移動させることを意味している。そして、そのような回転や前進及び後退移動を行うために、モータ63、モータ64及びモータ66Aを駆動させることは、明らかである。さらに「ハンド33Aをカセット1の正面に対向」させるためには、必要に応じて「モータ65」を駆動して「移動機台55」を回転させることは、当然である。

以上の記載事項を、技術常識をふまえて本願発明の記載に沿って整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が開示されていると認める。

「機台52と、
一端部が前記機台52に水平面内で回転自在に支持された第1アーム61と、
一端部が前記第1アーム61の他端部に水平面内で回転自在に支持された第2アーム62と、
前記第2アーム62の他端部に水平面内で回転自在に支持された移動機台55と、
基板Wを吸着保持して搬送するハンド33Aであって、前記移動機台55に支持されたアーム組30Aにより直線的に移動自在に回転支持されたハンド33Aと、
前記第1アーム61、第2アーム62及び移動機台55のそれぞれを個別に回転させるモータ63、モータ64及びモータ65と、
前記ハンド33Aを直線的に移動自在に回転支持するアーム組30Aを駆動するモータ66Aと、を備え、
前記第1アーム61の一端部、前記第2アーム62の一端部及び前記移動機台55が、それぞれ前記機台52、前記第1アーム61の他端部及び前記第2アーム62の他端部に対して互いに独立して回転し、
前記ハンド33Aが、前記移動機台55に対して前記第1アーム61、第2アーム62及び移動機台55の回転とは独立して前進及び後退移動し、
前記基板Wの搬送時に、前記ハンド33Aを後退させた状態で前記第1アーム61、前記第2アーム62及び前記移動機台55を回転させた後に前記ハンド33Aを前進及び後退移動させるように前記モータ63、前記モータ64、前記モータ65及び前記モータ66Aを駆動させる基板Wの搬送装置。」

(2)刊行物2の記載事項
当審で通知した平成24年7月3日付け拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開2006-123135号公報(以下、「刊行物2」という。)の段落【0002】には、以下の記載がある。
「【0002】
搬送ロボットのうち、直線状の移動行程に沿ってハンドを移動させる機構(直線移動機構)をもつものは、いわゆる多関節型ロボットに比較して構成が簡単で安価であり、たとえば、半導体装置の製造工程、あるいは、液晶表示パネルの製造工程において、各処理室へのウエハ、あるいはガラス基板等の薄板状ワークの搬入あるいは搬出用のロボットとして多用されている。」

(3)刊行物3の記載事項
当審で通知した平成24年7月3日付け拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平10-22364号公報(以下、「刊行物3」という。)の段落【0013】には、以下の記載がある。
「【0013】このように構成されるハンド1は、周知の搬送装置、例えば、図3に示されるように、機枠13上に配設される第1アーム14、第2アーム15を備える搬送装置Mであったり、図4に示されるように、搬送アーム19が機枠20に対して直線的に移動可能に配設される搬送装置M1等に取り付けられる。」


4.対比
本願発明と、刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「機台52」が本願発明の「本体部」に相当することは明らかであって、以下同様に、「第1アーム61」が「第1アーム」に相当し、「第2アーム62」が「第2アーム」に相当し、「移動機台55」が「第3アーム」に相当し、「基板W」が「ワーク」に相当し、「吸着保持して搬送する」ことが「積載または懸垂保持して搬送する」ことに相当し、「ハンド33A」が「ハンド部」に相当し、「モータ63、モータ64及びモータ65」が「第1?第3の駆動部」に相当し、「前進及び後退移動」することが「往復移動」することに相当することも明らかである。
また、刊行物1記載の発明の「基板Wの搬送装置」は、上記3.(1)イ.に摘示するように、基板Wを処理する装置に対して基板Wを搬送しているから、本願発明の「半導体製造用搬送装置」に相当する。
また、刊行物1記載の発明の「移動機台55に支持されたアーム組30Aにより直線的に移動自在に回転支持されたハンド33A」は、「第3アームに直線的に移動するハンド部」という点で、本願発明の「第3アームに直線的に往復移動自在に支持されたハンド部」と共通し、「ハンド33Aを直線的に移動自在に回転支持するアーム組30Aを駆動する」ことは、「ハンド部を直線的に移動させる」という点で、「ハンド部を往復直線移動させる」ことと共通し、刊行物1記載の発明の「モータ66A」は、本願発明の「第4の駆動部」に相当する。

以上から、本願請求項1に係る発明と刊行物1記載の発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
「 本体部と、
一端部が前記本体部に水平面内で回転自在に支持された第1アームと、
一端部が前記第1アームの他端部に水平面内で回転自在に支持された第2アームと、
前記第2アームの他端部に水平面内で回転自在に支持された第3アームと、
ワークを積載または懸垂保持して搬送するハンド部であって、前記第3アームに直線的に移動するハンド部と、
前記第1?第3アームのそれぞれを個別に回転させる第1?第3の駆動部と、
前記ハンド部を直線的に移動させるハンド駆動部と、を備え、
前記第1アームの一端部、前記第2アームの一端部及び前記第3アームが、それぞれ前記本体部、前記第1アームの他端部及び前記第2アームの他端部に対して互いに独立して回転し、
前記ハンド部が、前記第3アームに対して前記第1?第3アームの回転とは独立して往復移動し、
前記ワークの搬送時に、前記ハンド部を後退させた状態で前記第1?第3アームを回転させた後に前記ハンド部を往復移動させるように前記第1?4の駆動部を動作させる半導体製造用搬送装置。」である点。

<相違点>
本願発明のハンド部は、「第3アームに直線的に往復移動自在に支持され」ており、「平面視において、往復移動における後退した状態では全体が第3アーム内に位置し、前進した状態では少なくともワークに接する部分が前記第3アームから露出し」ているうえに、当該ハンド部を移動させる駆動部が、「ハンド部を往復直線移動させる第4の駆動部」であるのに対して、刊行物1記載の発明のハンド部は、「移動機台55に支持されたアーム組30Aにより直線的に移動自在に回転支持された」ものであって、当該ハンド部を移動させる駆動部が、「ハンド33Aを直線的に移動自在に回転支持するアーム組30Aを駆動するモータ66A」である点。


5.相違点についての検討及び判断
上記相違点について検討すると、基板を搬送する装置のハンド部において、ハンド部を直線的に移動させるための具体的手段として、2つのアームによってハンドを回転支持する手段と、ハンドを直線的に往復移動自在に支持する手段とが存在することは、上記3.(3)に摘示するほかに、例えば、特開2000-252347号公報の段落【0054】ないし【0055】に示すように、周知の技術的事項である。
そして、上記3.(2)に摘示する刊行物2に示すように、2つのアームによってハンドを回転支持する手段、すなわち多関節型ロボットのアームに比べて、ハンドを直線的に往復移動自在に支持する手段、すなわち直線移動機構のアームが安価であることは、公知である。
さらに、直線的に往復移動自在にハンド部を支持するにあたり、平面視において、往復移動における後退した状態では全体がアーム内に位置し、前進した状態では少なくともワークに接する部分が前記アームから露出するようにハンド部を設けることは、例えば特開2003-203963号公報の図2に示すように周知の技術的事項である。
上記3.(2)に摘示する刊行物2に接した当業者であれば、刊行物1記載の発明において、ハンド部を直線的に移動させるための具体的手段である「アーム組30Aにより直線的に移動自在に回転支持されたハンド33A」に代えて、より安価な手段である、直線的に往復移動自在に支持されたハンド部の適用を試みることは、当然であるし、その際に、周知の技術的事項である、平面視において、往復移動における後退した状態では全体がアーム内に位置し、前進した状態では少なくともワークに接する部分が前記アームから露出するようにハンド部を設けることは、格別の困難性を有するものではない。
以上から、刊行物1記載の発明において、「アーム組30Aにより直線的に移動自在に回転支持されたハンド33A」及び「ハンド33Aを直線的に移動自在に回転支持するアーム組30Aを駆動する」手段に代えて、第3アームに直線的に往復移動自在に支持されたハンド部及びハンド部を往復直線移動させる手段を適用し、平面視において、往復移動における後退した状態では全体が第3アーム内に位置し、前進した状態では少なくともワークに接する部分が前記第3アームから露出するようにハンド部を設けることは、刊行物2の記載事項及び上記の各周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。


6.むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、上記刊行物1記載の発明、及び刊行物2ないし3の記載事項、並びに上記の各周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項2ないし4に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-22 
結審通知日 2012-10-23 
審決日 2012-11-05 
出願番号 特願2006-327911(P2006-327911)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 刈間 宏信
長屋 陽二郎
発明の名称 半導体製造用搬送装置  
代理人 特許業務法人 楓国際特許事務所  
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