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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01G
管理番号 1268147
審判番号 不服2010-24643  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-02 
確定日 2013-01-04 
事件の表示 特願2004-203757「キノコ廃菌床を原料としたエタノール変換方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月26日出願公開、特開2006- 20603〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年7月9日の出願であって、平成22年4月27日付けで拒絶理由通知書が出され、同年7月12日付けで手続補正がなされたが、同年7月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成22年11月2日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年11月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
平成22年11月2日付けの手続補正は特許請求の範囲を補正するものであって、平成22年7月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に
「キノコ廃菌床を、その乾重量に対して重量体積比で2.5倍以上、好ましくは5倍以上の容量のアルカリ溶液を用いて前処理後、アルカリを除き、次いでセルラーゼ糖化によるグルコースを生成させた後グルコースの微生物によるエタノール発酵を行うか、又はセルラーゼ糖化と微生物によるエタノール発酵の併用による併行複発酵を行うかの何れかによる、キノコ廃菌床のエタノールへの変換方法。」とあったのを、
「キノコ廃菌床を、その乾重量に対して重量体積比で5倍以上の容量、及び重量体積比で1?10%の濃度のアルカリ溶液を用いて90?125℃で前処理後、アルカリを除き、次いでセルラーゼ糖化によるグルコースを生成させた後グルコースの微生物によるエタノール発酵を行うか、又はセルラーゼ糖化と微生物によるエタノール発酵の併用による併行複発酵を行うかの何れかによる、キノコ廃菌床のエタノールへの変換方法。」(以下、「本願補正発明」という。下線は補正箇所を示す。)と補正することを含むものである。
上記補正は、補正前の請求項1に記載された、アルカリ溶液の容量を、キノコ廃菌床の乾重量に対して「重量体積比で2.5倍以上、好ましくは5倍以上」から「重量体積比で5倍以上」へ減縮するものであり、また「本発明は、キノコ廃菌床を利用してエタノールを容易にかつ収率よく得る方法の開発を課題とする。」(明細書【0010】)ものであるから、アルカリ溶液の濃度を「重量体積比で1?10%の濃度」に、前処理温度を「90?125℃」へそれぞれ特定することは課題解決手段の限定であるといえるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項
原査定で引用され、本願出願日前に頒布された刊行物である刊行物1?3並びに、本願出願前に頒布された刊行物である刊行物4?7には、以下の事項が記載されている。
刊行物1:朝日新聞(東京朝刊)、2001年1月31日、第9頁(原査定の引用文献1)
刊行物2:特開昭57-198095号公報(原査定で周知文献として引用された文献)
刊行物3:国際公開第2004/043980号(拒絶理由通知で周知文献として引用された文献)
刊行物4:今中忠行監修、”微生物利用の大展開”、株式会社エヌ・ティー・エス、2002年7月25日、初版第一刷、第1100?1101及び1104頁
刊行物5:特開昭63-87994号公報
刊行物6:特開昭59-91893号公報
刊行物7:松村義人ら、”木材の酵素による加水分解(第2報) Trichoderma virideセルラーゼによる木材加水分解に及ぼす摩砕およびアルカリ処理の効果”、木材学会誌、Vol.23, No.11, pp.562-570 (1977)

(1)刊行物1に記載された事項
[1a]「農水省と雪国まいたけ(本社・新潟県六日町)は、まいたけ栽培で使った後のおがくずからアルコール燃料を作る研究を共同で始める。約十億円をかけて技術開発を進め、五年後の実用化を目指す。農水省が農業廃棄物などの生物資源(バイオマス)の実用化に乗り出すのは初めて。バイオマスによる燃料や物質の生産は二酸化炭素(CO2)の排出削減につながるため、欧米では実用化が進んでいる。
まいたけ栽培後のおがくず(廃菌床)を微生物などを使って糖に変える。さらに酵母によって発酵させて「エタノール」に変える技術を開発する。
雪国まいたけでは一日に約二百トンの廃菌床が出ており、現在は焼却したり、肥料にしたりしている。農水省は来年にもミニプラントをつくって技術開発を進め、五年後をめどに廃菌床からエタノールを作り出す。
バイオマスはほかに、稲わらやサトウキビの搾りかす、廃材などの植物系廃棄物や家畜のふん尿などの畜産廃棄物があり、これらを微生物などを使って分解し、アルコール燃料などに結びつける。
米国では次世代のエネルギーやプラスチックの原料として開発を進めている。
日本でも今年から農水省のほか、経済産業省や民間企業での研究が本格的に始まる。」(記事全文)

(2)刊行物2に記載された事項
[2a]「近時いわゆるバイオマス中のセルロースを酵素的に分解して、その単量体であるグルコースとし、このグルコースについて発酵工程を経てエタノールを取得し、このエタノールを液体燃料もしくは化学原料とすることが検討されている。
上記プロセスの最大の難点は、原料セルロース系資源がおしなべてリグニン-ヘミセルロース-セルロース複合体を形成しており、そのままではセルラーゼ酵素の作用を受け難い点にある。従来バイオマスの酵素分解のための前処理法としてはアルカリ処理方法が知られている・・・」(第1頁右欄第9?最終行)

(3)刊行物3に記載された事項
[3a]「Ethanol can be produced via saccharification and fermentation processes from cellulosic biomass such as trees, herbaceous plants, municipal solid waste and agricultural and forestry residues.
・・・
In another embodiment the cellulosic feedstock may be pretreated. Pretreatment may be by elevated temperature and the addition of either of dilute acid, concentrated acid or dilute alkali solution. The pretreatment solution is added for a time sufficient to at least partially hydrolyze the hemicellulose components and then neutralized.」(第31頁第32行?第32頁第12行)
(訳文)「エタノールは糖化及び発酵プロセスにより木、葉状植物、都市固体ゴミ及び農業及び林業残留物などのセルロース系バイオマスから生成できる。
・・・
他の実施態様において、セルロース系供給原料を前処理することができる。前処理は高温及び希酸、濃酸または希アルカリ溶液を添加することによる。前処理溶液はヘミセルロース成分を少なくとも部分的に加水分解するのに十分な時間で加え、それから中和する。」(対応する国内公報である特表2006-505282号公報の段落【0167】?【0169】参照)

(4)刊行物4に記載された事項
[4a]「2. バイオマスからのアルコールの生産
・・・
生物学的なプロセスにより得られるエネルギーとして最も一般的なものはアルコール(エタノール)である。植物性のバイオマスからの糖およびアルコールの生産のスキームを図2に示す。まず、基質となるバイオマスはデンプン系、糖質系およびリグノセルロース系に分けられる。・・・
一方、農産廃棄物や木質系の原料の細胞壁は40?55%のセルロースを含む。デンプンがグルコースがα-1,4-グルコシドあるいはα-1,6-グルコシド結合を介して重合した構造を有するのに対し、セルロースではβ-1,4-結合により重合して直鎖状に延びる構造を持つ。セルロースはセルラーゼ群酵素により加水分解され、セロオリゴ糖を経てグルコースを与える。」(第1100頁左欄第15行?第1101頁左欄第7行)

[4b]「

」(第1101頁)

[4c]「3. 原料の前処理とリグニンの分解
バイオマスから生物的にエネルギー物質を生産する場合、まず、原料の前処理が不可欠である。機械的な処理による切断、粉砕、摩砕などは最も基本的な前処理である。エネルギー物質はセルロースやヘミセルロースのような多糖から得られる。植物の細胞壁はこれらのほかにリグニンを含む。リグニンは炭素数3の側鎖とメトキシル基を持つフェノールがランダムに重合した構造を持つ(図3)安定した強固なポリマーである。これらの3主要成分は複雑なマトリックスを形成し、リグニンはセルロースなどの多糖成分が分解される際の物理的な障壁となると考えられている。したがって、多糖成分を利用するためにはリグニンを除去することが必要となる。リグニンは化学的にはオゾンなどの酸化剤、アルカリ、有機溶媒などにより分解される。」(第1101頁左欄下から第5行?右欄第11行)

[4d]「4.2 糖およびエネルギー物質生産への利用
先述したように、リグニン分解菌により植物系のバイオマスからリグニンを除去することができる。このように前処理した原料中のセルロースは障壁となっていたリグニンが除去されたため、セルラーゼなどの酵素的反応や化学的な分解反応(例えば硫酸や塩酸などの酸による加水分解)が受けやすくなる。C.subvermisporaやDichomitus squalensなどの選択的リグニン分解菌により木粉を処理した後にセルラーゼを作用させると、無処理に比べてはるかに高い糖化率が得られる。このようにして得られたグルコースなどの発酵性糖は容易にアルコールに変換することができる。」(第1104頁左欄下から第15?3行)

(5)刊行物5に記載された事項
[5a]「本発明においてセルロースを酵素で糖化させる糖化工程は従来法と同様に行われる。この場合のセルロースを含有する原料としては、稲わら、バガス等のバイオマス原料が挙げられる。このような原料のセルロースにそのまま酵素を作用させて糖化液を得てもよいが、糖化反応を容易にするため、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液へ浸漬してリグニン等の不純物を除去し、アルカリを除去するための水洗、脱水等の前処理を行うのが好ましい。
こうして前処理を施した原料に酵素を作用させて糖化を行うが、酵素としてはセルロースを糖化する酵素すなわちセルラーゼが使用される。
・・・
好ましい糖化方法は次の通りである。まず稲わらやバガスなどの原料を細断したのち、80?100℃に加熱した3?10%水酸化ナトリウム水溶液で処理して、原料中のリグニンを主成分とする不純物を除去するアルカリ処理を行う。」(第2頁右上欄第5行?左下欄第9行)

(6)刊行物6に記載された事項
[6a]「セルロース系原料を糖化するに際しては、原料の前処理が必要であり、従来は、粉砕機を用いた機械的粉砕処理、蒸煮処理またはアルカリ処理が糖化用セルロース系原料の前処理法として採用されている。
・・・アルカリ処理法は多量のアルカリを消費するとともに高温度下(120℃前後の前処理において高糖化性を有する。)で処理される・・・」(第1頁右欄第7?16行)

(7)刊行物7に記載された事項
[7a]「木材中の多糖類を市販のTrichoderma virideセルラーゼで、効率良く加水分解するために、木粉を摩砕およびアルカリ処理にふし、それらの及ぼす効果について検索した。・・・
アルカリ処理では、木粉を5°?100℃、1?24%NaOH溶液で処理した。」(要約の第1?6行)

3 対比・判断
(1)刊行物1記載の発明
上記の記載[1a]から鑑みるに、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。
「まいたけ栽培後の廃菌床を、微生物などを使って糖に変え、さらに酵母によって発酵させることによる、まいたけ栽培後の廃菌床のエタノールへの変換方法。」

(2)本願補正発明と刊行物1発明との対比
ア 刊行物1発明の「まいたけ栽培後の廃菌床」は、本願補正発明の「キノコ廃菌床」に相当する。

イ 刊行物1発明のまいたけ栽培後の廃菌床を「微生物などを使って糖に変え、さらに酵母によって発酵させる」工程は、廃菌床を糖に変える(糖化)ことによって得られた糖を、微生物である酵母によって発酵させてエタノールを得る(エタノール発酵)工程であって、糖化の後に発酵させる態様と、糖化と発酵を同時に行う態様の何れかによるものであることは明らかである。
したがって、刊行物1発明の上記工程と、本願補正発明の「セルラーゼ糖化によるグルコースを生成させた後グルコースの微生物によるエタノール発酵を行うか、又はセルラーゼ糖化と微生物によるエタノール発酵の併用による併行複発酵を行うかの何れかによる」工程とは、「糖化による糖を生成させた後に糖の微生物によるエタノール発酵を行うか、又は糖化と微生物によるエタノール発酵の併用による併行複発酵を行うかの何れかによる」工程である点で共通する。

したがって、両発明は、
「キノコ廃菌床を、糖化による糖を生成させた後に糖の微生物によるエタノール発酵を行うか、又は糖化と微生物によるエタノール発酵の併用による併行複発酵を行うかの何れかによる、キノコ廃菌床のエタノールへの変換方法。」という点で一致し、次の相違点を有する。

(相違点1)
糖化工程について、本願補正発明では、糖化が「セルラーゼ糖化」であり、生成される糖が「グルコース」であることを特定しているのに対し、刊行物1発明では、糖化が「微生物などを」使うもので、生成される糖が特定されていない点
(相違点2)
糖化・発酵工程に先立ち、本願補正発明では、「キノコ廃菌床を、その乾重量に対して重量体積比で5倍以上の容量、及び重量体積比で1?10%の濃度のアルカリ溶液を用いて90?125℃で前処理後、アルカリを除き」との前処理工程を行うのに対し、刊行物1発明では、前処理工程について明記されていない点

(3)相違点についての検討
(相違点1について)
刊行物1発明では、糖化が「微生物などを」使う一方、本願補正発明では、「発酵に用いるセルラーゼ若しくはセルラーゼを主体とする酵素は市販品であっても、糸状菌を培養した培養液やそれから精製したものであっても、セルロースをグルコースへ分解できるものであれば良い。」(本願明細書の段落【0023】)と記載されているように、「セルラーゼ糖化」は微生物の培養液も用い得るものであるから、両発明の糖化工程は実質的に相違するものでない。
また仮に相違するとしても、刊行物1発明の原料となる「まいたけ栽培後の廃菌床」は「農業廃棄物などの生物資源(バイオマス)」([1a]参照)であって、ここにおいて、バイオマス中のセルロースをセルラーゼで酵素的分解してグルコースとする糖化及びこのグルコースについての発酵を経てエタノールを生産する方法は周知である(刊行物2?4参照)ことを鑑みると、刊行物1発明の糖化工程として周知技術を適用することは、当業者であれば容易になし得たことである。

(相違点2について)
バイオマスからのエタノール生産にあたって、セルラーゼ糖化の障壁となる原料中のリグニンを除去するためのアルカリによる前処理が周知である(刊行物2?4参照)ことを鑑みると、刊行物1発明に対してアルカリ溶液による前処理を適用することは、当業者であれば容易になし得ることである。
さらに、バイオマス原料の糖化に先立つアルカリ処理において、10%以下程度の濃度のアルカリ溶液を原料に対して多量に用いて、80℃から120℃程度の高温で加熱処理することは周知技術である(刊行物5?7参照)といえるから、上記の周知技術を参考にしながら、バイオマス原料の種類に応じた最適な前処理条件を具体的に決定することに、当業者が格別の創意を要するものではない。
また、前処理後に反応系からアルカリを除去することも周知である(刊行物3、5参照)。

本願補正発明が奏するエタノールの収率向上効果について検討するに、アルカリによる前処理によって、セルラーゼ糖化の障壁となるリグニンが除去されて、その後の糖化発酵処理が効率よく進行して、生産されるエタノールの収率が向上することは、[4d]の記載をはじめとして周知技術から十分予測し得るものでしかない。

なお、請求人は、平成22年11月2日付けの審判請求書にて、参考文献(Lee et al., 1997, Applied Biochemistry and Biotechnology, 66:1-23)及び比較実験結果(図1)を提示して、参考文献に開示の、原料として木質バイオマスを用いた場合に好適と認められるところの酸による前処理条件を、原料がキノコ廃菌床である場合に適用して実験したところ、参考文献とは異なり好適な結果が得られなかったことから、従来技術に比して本願補正発明は進歩性を有するものである旨を主張する。
しかしながら、参考文献はアルカリによる前処理について何ら開示するものでなく、且つ酸による前処理の結果がアルカリによる前処理にも直接的に適用されるはずであるとの技術常識も存在しないことから、上記請求人の主張を妥当なものとして採用することはできない。

4 むすび
したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成22年11月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1?6に係る発明は、平成22年7月12日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、下記の事項により特定される発明である。
「キノコ廃菌床を、その乾重量に対して重量体積比で2.5倍以上、好ましくは5倍以上の容量のアルカリ溶液を用いて前処理後、アルカリを除き、次いでセルラーゼ糖化によるグルコースを生成させた後グルコースの微生物によるエタノール発酵を行うか、又はセルラーゼ糖化と微生物によるエタノール発酵の併用による併行複発酵を行うかの何れかによる、キノコ廃菌床のエタノールへの変換方法。」

2 引用刊行物およびその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、および、その記載事項は上記「第2 2」に記載のとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から、アルカリ溶液の容量について、「重量体積比で5倍以上の容量」から「重量体積比で2.5倍以上、好ましくは5倍以上の容量」に拡張し、アルカリ溶液の濃度及び前処理温度についてのそれぞれの特定を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3」に記載したとおり、刊行物1に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-31 
結審通知日 2012-11-06 
審決日 2012-11-19 
出願番号 特願2004-203757(P2004-203757)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 佑一  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 鵜飼 健
▲高▼岡 裕美
発明の名称 キノコ廃菌床を原料としたエタノール変換方法  
代理人 安田 徹夫  
代理人 平木 祐輔  
代理人 藤田 節  
代理人 安田 徹夫  
代理人 藤田 節  
代理人 平木 祐輔  

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