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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B |
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管理番号 | 1268196 |
審判番号 | 不服2011-20358 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-09-21 |
確定日 | 2013-01-04 |
事件の表示 | 特願2006-544908「バックライトの反射板用白色フイルムおよびそれを用いたバックライト」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月18日国際公開、WO2006/051804〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、2005年11月9日(優先権主張2004年11月12日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成22年9月2日及び平成23年3月4日付けで手続補正がなされ、平成23年3月4日付け手続補正が同年6月8日付けで却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年9月21日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、当審において、平成24年8月21日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年10月11日付けで手続補正がなされたものである。 なお、請求人は、平成24年10月11日付けで意見書を提出している。 2 本願発明 本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成24年10月11日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項によりそれぞれ特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、平成24年10月11日付けで補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの次のものと認める。 「【請求項1】 90℃のフイルム長手方向、および幅方向の熱収縮率がいずれも-0.05%以上0.15%以下である厚さが188?250μmの内部に気泡を含有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムからなることを特徴とするバックライトの反射板用白色フイルム。 」(以下、「本願発明」という。) 3 刊行物の記載事項 (1)当審拒絶理由で引用した特開2004-294611号公報(以下「引用例」という。)には以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。 ア 「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、例えば液晶ディスプレイパネルなどの情報表示機器を始めとする各種電子機器などの面光源反射板に利用されるポリエステルフィルムに関するものである。」 イ 「【0020】 【発明の実施の形態】 本発明者等は、面光源反射板用ポリエステルフィルムの耐光性(特に紫外線に対する耐性)を高めるべく、該フィルムを構成する空洞含有ポリエステルフィルムに含有させる耐光性向上成分として、特定の酸化チタンに着目した。そして、この酸化チタンを用いることにより、面光源反射板用ポリエステルフィルムの紫外線吸収性能を高めて耐光性を向上させつつ、可視光の吸収を抑えて高い輝度を確保し得ることを見出し、本発明を完成させたのである。 ・・・(中略)・・・ 【0027】 本発明のフィルムの構成主体は、空洞含有ポリエステルフィルムである。この空洞によって、白色の反射光を確保している。この空洞含有ポリエステルフィルムは、例えば、ポリエステル系樹脂に、該樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂を分散させ、これを延伸することで得ることができる。」 ウ 「【0059】 次に、本発明のフィルムの製造方法について説明する。本発明のフィルムの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、目的とするフィルムの組成からなる混合物(例えば、ポリエステル系樹脂、非相溶性熱可塑性樹脂、および酸化チタン粒子を含む混合物)を溶融し、フィルム状に押出成形して未延伸フィルムとした後、該未延伸フィルムを延伸するといった一般的な方法を採用することができる。 ・・・(中略)・・・ 【0068】 上記の溶融押出工程で得られる未延伸フィルムに延伸・配向処理を施し、本発明のフィルムとする。その際の各処理条件は、フィルムの物性と密接に関係する。以下に、特に好ましい延伸法である逐次二軸延伸によって、未延伸フィルムの長手方向、幅方向の順に延伸する場合を例に取り、延伸・配向処理の各好適条件を説明する。 【0069】 フィルムの長手方向の延伸(縦延伸工程)では、未延伸フィルムを、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間を通過させることで延伸し、一軸延伸フィルムとする。このときの加熱は、加熱ロールによってもよく、非接触の加熱手段を採用してもよく、これらを併用しても構わない。フィルムの温度は、85?100℃とすることが一般的である。また、延伸倍率は3.0?3.6倍とすることが好ましい。次いで、例えばテンターによって、上記一軸延伸フィルムの幅方向を、Tm-10℃以下の温度で、2.0?5倍に延伸し(幅延伸工程)、二軸延伸フィルムとする。 【0070】 なお、上記の二軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施してもよい。熱処理は、例えば、幅延伸工程で用いるテンター内で施すことが好ましく、その温度はTm-60℃?Tm-20℃の範囲内とすることが推奨される。この熱処理温度は、一般に仕上がりフィルムの熱収縮率を鑑みて設定されるが、本発明のフィルムでは、紫外線吸収剤などの添加剤のフィルム表面へのブリードアウトを低減する観点から、上記の温度範囲内で、できるだけ低温側とすることが望ましい。 【0071】 上記の製造方法によって得られるポリエステルフィルムは、内部に存在する微細空洞によって高い反射能を有すると共に、ルチル型を主体とする酸化チタン粒子によって、青色光の反射率を維持しつつ良好な紫外線吸収能を有しており、面光源反射板材料として優れたものである。 【0072】 また、本発明の面光源反射板は、上記本発明のフィルムを用いたものであり、液晶ディスプレイなどの情報表示機器を始めとして、各種電子機器などに用いられるものである。この面光源反射板においては、本発明のフィルムを、使用する機器の形状やサイズに合わせて適切な形状に裁断し、バックライトなどの照明装置を背面に配置して使用する。これによって導光板などから導入される照明光を表示装置前面側に反射して、表示画面の輝度を向上させる。 【0073】 本発明の面光源反射板では、本発明のフィルムの表面および/または背面に、反射光の指向性や色特性を調整するための表面加工を施して使用することも好ましい。このような表面加工を施す手段としては、各種の粒子や色素などをバインダー樹脂に分散させて塗工し、塗布層を形成させる方法;金属やその酸化物を蒸着またはスパッタリングして造膜する方法;など、公知の各手法が採用可能である。これらの手法によって表面形状や屈折率、波長選択性を制御した反射板は、フィルム単体を用いた場合に比べ、視認性や表現性がより好ましいものとなる。」 エ 「【0074】 【実施例】 以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、本実施例において採用する測定方法・評価方法は、以下の通りである。 ・・・(中略)・・・ 【0084】 <ポリエチレンテレフタレート樹脂の合成> まず、二次凝集粒子径が1.5μmの凝集シリカ粒子をエチレングリコール中に混合してスラリーを準備した。このスラリーを高圧式均質分散機により50MPaで5パス相当時間循環処理した。これを95%カット径が30μmのビスコースレーヨン製フィルターで濾過処理して、平均粒径が1.0μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを得た。このスラリー濃度は140g/Lであった。 【0085】 次に、エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸:86.4質量部およびエチレングリコール:64.4質量部からなるスラリーを注入した。これを攪拌しながら触媒として三酸化アンチモン:0.03質量部、および酢酸マグネシウム四水和物:0.09質量部、トリエチルアミン:0.16質量部を添加した。続いて加圧昇温を行い、ゲージ圧:0.34MPa、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。 【0086】 その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、リン酸トリメチル:0.040質量部を添加した。さらに260℃に昇温し、リン酸トリメチルの添加から15分経過後、上記シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、生成ポリエステルに対して500ppmとなるように添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下、280℃で重縮合反応を行った。 【0087】 重縮合反応終了後、95%カット径が28μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、固有粘度が0.64dl/gのシリカ粒子含有ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を得た。この樹脂をペレット状に成形してPET樹脂ペレットを得た。 【0088】 <マスターバッチペレットの調製> (a)マスターバッチペレットMAの調製 真空オーブンを用い、平均粒径:0.2μmのアナターゼ型酸化チタン粒子(ルチル型混入率3%)を170℃、10Paの条件で乾燥した。また、上記のPET樹脂ペレットを140℃、10Paの条件で6時間乾燥した。乾燥後の上記酸化チタン粒子50質量%と上記PET樹脂ペレット50質量%を、ベント式二軸押出機に供給して270℃で予備混練した。この際、偏析による原料の組成変動を防ぐため、上記酸化チタン粒子は、押出機の原料投入口へ連続的に直接供給した。予備混練後の溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練機に供給し、275℃で混練して押出し、得られたストランドを冷却、切断してアナターゼ型酸化チタン粒子含有マスターバッチペレットMAを得た。 【0089】 (b)マスターバッチペレットMRの調製 アナターゼ型酸化チタン粒子に代えて、平均粒径:0.3μmのルチル型酸化チタン粒子(アナターゼ型混入率5%)を用い、上記(a)と同様にして、ルチル型酸化チタン粒子含有マスターバッチペレットMRを得た。 【0090】 (c)マスターバッチペレットMPの作成 ポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製「DX845」)70質量%とポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン社製「G797」)30質量%を上記の二軸押出機に投入し、260℃で溶融混合して非相溶性熱可塑性樹脂マスターバッチペレットMPを得た。 【0091】 (d)マスターバッチペレットMU1の作成 上記(a)と同様に乾燥処理したPET樹脂ペレット:98質量%を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量:448):2質量%と共に上記二軸押出機に投入し、紫外線吸収剤含有マスターバッチペレットMU1を得た。 【0092】 (e)マスターバッチペレットMU2の作成 上記(a)と同様に乾燥処理したPET樹脂ペレット:99.5質量%を、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(分子量:1060):0.5質量%と共に上記二軸押出機に投入し、紫外線吸収剤含有マスターバッチペレットMU2を得た。 【0093】 (f)マスターバッチペレットMBの作成 上記(a)と同様に乾燥処理したPET樹脂ペレット:90質量%を、ビスベンゾオキサゾール系蛍光増白剤(分子量:414):10質量%と共に上記二軸押出機に投入し、蛍光増白剤含有マスターバッチペレットMBを調整した。 【0094】 <原料樹脂の乾燥> 上記のPET樹脂ペレットおよび各マスターバッチペレットMA、MR、MU1、MU2、並びにMBを、140℃、10Paの条件で8時間乾燥させた。また、マスターバッチペレットMPは70℃の熱風で4時間乾燥させた。これらを、以下の各実施例・比較例でのフィルム原料として用いた。 【0095】 実施例1 上記PET樹脂ペレット、マスターバッチペレットMP、およびマスターバッチペレットMRを、夫々91.6/8.0/0.4(質量%)の比率になるよう連続計量しながら、270℃に温調した二軸押出機Aに供給して溶融、混練りした。この樹脂を溶融路中で240℃まで冷却しながらダイスに導き、25℃に調温した冷却ロール上にTダイより押出して未延伸フィルムを作製した。 【0096】 得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速異なる二対のロール間で3.4倍に縦延伸した。この際、補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒーター(定格出力:20W/cm)を、フィルムの両面に対向してフィルム面から2cmの位置に設置し、フィルムを加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、120℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定しながら230℃で5秒間の熱処理を施し、さらに180℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚み:約190μmのポリエステル系フィルムを得た。得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示す。」 オ 【0103】の表1から、実施例1のフィルムの厚みが192μmであることが見て取れる。 (2)上記アないしオの記載からみて、引用例には、 「使用する機器の形状やサイズに合わせて適切な形状に裁断して、液晶ディスプレイパネルの面光源反射板に利用される面光源反射板用ポリエステルフィルムにおいて、 紫外線に対する耐性を含む耐光性を高めるべく、面光源反射板用ポリエステルフィルムを構成する空洞含有ポリエステルフィルムに含有させる耐光性向上成分として特定の酸化チタンを用いることにより、紫外線吸収性能を高めて耐光性を向上させつつ、可視光の吸収を抑えて高い輝度を確保した面光源反射板用ポリエステルフィルムであって、 前記空洞含有ポリエステルフィルムは、この空洞によって白色の反射光を確保しており、PET樹脂ペレット、酸化チタン粒子含有ペレット及び非相溶性熱可塑性樹脂ペレットを二軸押出機に供給して溶融、混練りし未延伸フィルムを得て、逐次二軸延伸によって二軸延伸フィルムとし、仕上がりフィルムの熱収縮率を鑑みて熱処理温度を設定して熱処理を施し、192μmの厚さのものを得た、 面光源反射板用ポリエステルフィルム。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の面光源反射板用ポリエステルフィルムは、空洞によって白色の反射光を確保している空洞含有ポリエステルフィルムで構成されているから白色フィルムであり、引用発明の空洞含有ポリエステルフィルムは、PET樹脂製であるからポリエチレンテレフタレートフイルムである。よって、引用発明の「空洞」、「空洞含有」、「逐次二軸延伸」、「空洞含有ポリエステルフィルム」、「バックライト」、「面光源反射板」及び「面光源反射板用ポリエステルフィルム」は、それぞれ、本願発明の「気泡」、「内部に気泡を含有する」、「二軸延伸」、「ポリエチレンテレフタレートフイルム」、「バックライト」、「反射板」及び「反射板用白色フイルム」に相当する。 (2)引用発明の「ポリエチレンテレフタレートフイルム(空洞含有ポリエステルフィルム)」の厚さ「192μm」と本願発明の「ポリエチレンテレフタレートフイルム」の厚さ「188?250μm」とは「192μm」の点で一致する。 (3)上記(1)及び(2)からみて、本願発明と引用発明とは、 「厚さが192μmの内部に気泡を含有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムからなるバックライトの反射板用白色フイルム。」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点: 90℃の前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの長手方向及び幅方向の熱収縮率が、本願発明では、「いずれも-0.05%以上0.15%以下である」のに対して、引用発明では明らかでない点。 5 判断 上記相違点について検討する。 (1)液晶表示用バックライトなどに用いられ、光源に隣接して配置される反射フィルムには、低い熱収縮率が求められることが、本願の優先日前に周知である(以下「周知事項」という。例.特開平10-45930号公報(【0047】の「面状光源やバックライト部材、照明用部材においては、反射フィルムは光源に隣接して配置されるため、高温下での熱収縮率は小さいほど好ましい」旨の記載参照。)、特開2004-271541号公報(【0040】の「熱収縮率を低下させる目的で、縦方向および/または横方向に、弛緩率0.5?15%の範囲で熱弛緩処理を行ってもよい」旨の記載参照。))。 (2)上記(1)からみて、引用発明において、仕上がりフィルムの熱収縮率を鑑みて熱処理温度を設定して熱処理を施し、192μmの厚さの前記空洞含有ポリエステルフィルムを得る際に、例えば90℃の前記空洞含有ポリエステルフィルムの長手方向及び幅方向の熱収縮率が低い値になるように熱処理温度などを設定することは、当業者が周知事項に基づいて容易に想到することができたことである。 (3)本願発明の「90℃の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの長手方向及び幅方向の熱収縮率」について、本願明細書の発明の詳細な説明には次の記載がある。 ア 「【0015】 本発明の白色フイルムにおける90℃のフイルム長手方向、および幅方向の熱収縮率は-0.1?0.3%以下であり、さらに好ましくは-0.05?0.25%、最も好ましくは-0.05?0.15である。90℃のフイルム長手方向、または幅方向の熱収縮率が-0.1%以上0.3%以下の範囲を外れると、バックライト用反射フイルムとして使用している際に変形の発生が認められる。」 イ 「【0026】 (3)白色フイルムの形状 ディスプレイサイズ60.96cm(24インチ)および132.08cm(52インチ)の液晶テレビのバックライトユニットの背面シャーシーに白色フイルムを両面粘着テープで貼り反射板を形成、バックライトユニットとして液晶テレビに組み込み、3ヶ月間連続で電源をいれ、連続使用後、液晶テレビからバックライトユニットをはずし、反射板の白色フイルムの状態を目視にて観察する。観察結果を下記のA,B,Cにより判定し、Aであれば合格である。 A:変形なし。 B:かすかに波打ちが有る。 C:波打ちや端部の剥がれが有る。」 ウ 「【0037】 評価結果を表1に示す。参考例1?2、実施例3?4の白色フイルムは評価前後での形状に大きな変化はなかったが、比較例1の白色フイルムは全体に波うち、かつ端部の一部が粘着テープから剥離している部分が見られ、比較例2,3の白色フイルムは全体に波うちがあった。また、比較例1の白色フイルムは、紫外線吸収層を設けていないため、紫外線により表面がかすかに黄味を帯びていた。」 エ 「【0038】 【表1】 」 (4)上記(3)アないしエの記載からみて、本願発明の「90℃の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの長手方向及び幅方向の熱収縮率」は「低い方が望ましい」との技術事項が把握されるところ、本願発明で、この長手方向の熱収縮率値の範囲の下限を-0.05%、上限を0.15%とし、かつ、幅方向の熱収縮率の範囲の下限を-0.05%、上限を0.15%としたことに、上記「低い方が望ましい」ことを超える技術上の意義は見出せない。 したがって、引用発明において、90℃の前記空洞含有ポリエステルフィルムの長手方向及び幅方向の熱収縮率を低い値になるようにすることは、上記(2)からみて、当業者が周知事項に基づいて容易に想到することができたことであり、具体的にその値をどうするかは、当業者が引用発明を実施する際に適宜決定すべき事項である。そして、本願発明で、90℃の前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムの長手方向及び幅方向の熱収縮率を、いずれも「-0.05%以上0.15%以下」の範囲内の値にした点は当業者が適宜なし得た設計上の事項である(特開平11-254576号公報の【0051】、【0058】?【0062】に記載の、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート白色フィルムの150℃に加熱されたオーブンに30分間放置後のあらゆる方向での熱収縮率が0.15%である実施例1、特開2001-158054号公報の【0029】、【0035】?【0040】に記載の、厚さ100μmの弛緩熱処理後の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの150℃の温度に調整されたオーブンに自由端で30分放置後の縦方向熱収縮率が0.06%、横方向熱収縮率が0.04%である実施例1、及び、実施例1と弛緩熱処理条件以外は同様で、縦方向熱収縮率が0.07%、横方向熱収縮率が0.04%である実施例2参照。)。 (5)本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知事項から当業者が予測することができた程度のものである。 (6)したがって、本願発明は、当業者が引用発明及び周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 本願発明は、以上のとおり、当業者が引用例に記載された発明及び周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-10-31 |
結審通知日 | 2012-11-06 |
審決日 | 2012-11-19 |
出願番号 | 特願2006-544908(P2006-544908) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G02B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 荒井 良子 |
特許庁審判長 |
西村 仁志 |
特許庁審判官 |
小牧 修 住田 秀弘 |
発明の名称 | バックライトの反射板用白色フイルムおよびそれを用いたバックライト |