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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G05D
管理番号 1269378
審判番号 不服2010-22738  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-08 
確定日 2013-01-29 
事件の表示 特願2004-536586「冷却システム及び加熱システムの温度制御のためのシステムと方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月25日国際公開、WO2004/025388、平成17年12月22日国内公表、特表2005-539313〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成15年9月15日(優先権主張2002年9月16日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成20年8月29日付けで拒絶の理由が通知され、平成21年3月9日に手続補正がなされ、同年5月8日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月19日に手続補正がなされ、同年9月18日付けで拒絶の理由が通知され、平成22年3月29日に手続補正がなされ、同年6月1日付けで拒絶をすべき旨の査定がされた。
これに対し、同年10月8日に本件審判の請求とともに手続補正がなされ、当審において平成23年8月8日付けで拒絶理由が通知され、同年12月1日に手続補正がなされ、同年12月22日付けで拒絶の理由が通知され、平成24年7月5日に手続補正がなされ、同年8月10日に当審からの通知がなされたものである。

第2.拒絶理由
当審において、平成23年12月22日付けで通知した拒絶理由は、特許法第29条第2項第36条第4項及び第6項を根拠とするものであり、第36条については、以下のとおりである。

「(36条)
1.請求項1の「利用パターン」とは、いかなる技術的事項を意味しているのか不明確である。
段落0018に「毎日のパターンを学習」とあり、図3の「学習」で示される実績データのことか。そうであるなら、請求項1の「利用パターン」を「決定」という用語は適切でない。「決定」なる語は、一般に既知のものから選択することであり、段落0019にある「記録」なる語が適切ではないか。
それとも、段落0019の「小売店は開いている」、「閉じている」のことか。

(略)

6.請求項1の「スケジュール応答を変更する」とは、いかなる技術的事項を意味しているのか不明確である。「スケジュールを変更する」でなく、「応答」なる語に意義はあるのか。「変更」の時期、タイミング、頻度はどうか。
上記2.の「スケジュール作成単位」と関連するが、例えば、月曜日の15時に利用がなかったとすると、「エネルギー節減モード」とするのは、15時30分のブロック、火曜日の15時のブロック、翌週月曜日の15時のブロック、それ以外のいずれか。

(略)

15.実施例において、「学習」、「検証」、「実施」の期間、タイミングが不明確である。図3のとおり、「検証」期間が1週間とすると、月曜日の12時から15時まで利用がなかったとしても、「検証」期間内には反映されないということか。
また、「検証」、「実施」の差違が不明確である。「実施」の期間中に、異なる信号が検出され「利用パターン」更新の必要が生じた場合、次の「実施」期間に反映されるのか。であるなら、「検証」と「実施」とは差違がないのではないか。

(略)

なお、2.の指摘は先の拒絶理由の1.を、3.ないし6.の指摘は先の拒絶理由の2.をより詳細に繰り返したものであり、今回の通知によっても、不明確である場合は、不成立(拒絶)審決となる。」

また、拒絶理由の末尾において、「審判官は、応答期間内に、面接による技術説明を希望するので、その可否につき、すみやかに連絡願いたい。」と記したが、何ら連絡はなく、面接は行われなかった(詳細は平成24年8月10日付け通知参照)。

第3.当審の判断
1.拒絶理由で1.として指摘した点
拒絶理由で1.として指摘した、請求項1の「利用パターン」について、平成24年7月5日の手続補正(以下、単に「補正」という。)により「活動の毎日のパターンを含む構造物の利用パターン」とされた。
また、意見書により、以下の主張がなされた。
「用語「利用パターン」は、本願明細書の【0018】に記載される「活動の毎日のパターン」を含むものと解釈できる。従って、今回の本願の特許請求の範囲の請求項1の補正において、「活動の毎日のパターンである構造物の利用パターン」と補正された。更に、制御ユニット12は、例えば本願明細書の【0019】に記載されるように、小売店が閉じていることを示す或る活動を除いて、利用パターンを計数することにより決めることができる。【0019】における用語「記録」は、例えば扉の開放によって生じられる信号と、決められた期間内の不使用の期間を決めるよう一定期間の冷却システム近傍の人体の存在の検出を、「使用センサから受けた複数の信号を貯める」ように制御ユニット12の能力に対応するように見える。
本願の特許請求の範囲の請求項1の「利用パターンを決定し」の記載が、「利用パターンを学習し」と補正された。この補正は明細書の【0018】の「本発明の実施例に基づく制御ユニット12は最初にある期間・・活動の毎日のパターンを学習する。」の記載に基づくものであり、同記載によってサポートされている。」
「利用パターン」が、「活動の毎日のパターン」であるとすれば、請求人の主張に加え、明細書の段落0007の「時間単位ではなく、1日単位の監視を必要とする」なる記載からも、妥当と解される。
しかし、補正された請求項1は「活動の毎日のパターンを含む構造物の利用パターン」であって、「活動の毎日のパターン」以外の「構造物の利用パターン」を含む。
そして、「活動の毎日のパターン」以外のものについては、明細書に何ら記載がなく、意見書における釈明もないから、「活動の毎日のパターン」以外の「利用パターン」の発明について、発明の詳細な説明に、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとは言えない。
よって、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

2.拒絶理由で6.として指摘した点
拒絶理由で6.として指摘した、スケジュール変更の時期、タイミング、頻度について、補正により「利用パターンの変化に対応してスケジュールを変更し」とされた。
この点について、明細書には、以下の記載がある。

「【0018】
・・・。本発明の実施例に基づく制御ユニット12は最初にある期間(例えば一週間)に亘って冷却システム10内及び(又は)その近くでの活動の毎日のパターンを学習する。次ぎに、その期間に亘ってそれぞれの適当な時間に(例えば、一週間のそれぞれの日に)エネルギー節減モードで冷却システムを運転するためにエネルギー節減モードのスケジュールを検証し、実施する。」

「【0027】
図3を参照して、本発明の学習、検証及び実施のステップを一般的に示す。示されているように、それぞれの日を、30分の時間ブロック48個に分割しているが、希望する場合、他の時間的間隔を本発明で使用できることに留意されたい。第一週で、冷却システム10に対する利用パターンを決定するのに用いるために、制御ユニットがデータ(例えば、ドア開きと人体の存在検出)を収集する。図3に示すように、冷却システムを月曜日に設置し、通電する。そして、制御ユニットがデータ収集を開始する。1日に相当する情報を収集するために、冷却システムを最初の24時間連続運転する。・・・。第一週に対する図3の情報は利用の記録であるが、第二週と第三週に対する情報は実用モードであることに留意されたい。
【0028】
最初の24時間運転で学習した利用パターンは冷却装置に対する通常運転モードで第二日に実施を始める。・・・。第二日の終わりに、データが最後の活動発生(例えば、4回未満のドア開き及び6回未満の人体の存在検出を示した最初の時間ブロック)を示す次の時点で制御ユニットが、エネルギー節減モードに変える。・・・。小売店の営業時間であると思われる期間の間で、ある時間ブロックが通常運転モードを満たしていない場合(例えば、問題のブロックの前と後で、通常運転モードを示しているブロック)、読取ったデータを無視して、そのブロックを通常運転としてマークするように制御ユニットを設定できる。以下に示す検証ステップがその無視を確認し、学習されたスケジュールに必要な変更を行なう。もし、第二日に利用パターンを変更する場合、第三日に実施するパターンにその変更を含める。第一週の残りについて、その後のそれぞれの日に前日から学習したパターンが実施される。
【0029】
第二週では、第一週から学習した7日のパターンが検証される。図3は(第一週に示した収集データとは異なり)、冷却システムの実用モードを示している。最初と最後の活動時間を変更する場合、孤立的事象は一日ごとに再学習される。・・・。
【0030】
第三週とその後の各週では、制御ユニットが第二週からの検証したパターンを実施する。制御ユニットは第二週以後の活動の監視を続ける。もし、冷却システムの利用パターンに変化があれば、制御ユニットは自動的に新しいパターンを学習し、新しいパターンを検証し、そして、その新しいパターンを実施する。実用モードは実際の時間ではなく、利用度により定義されるので、本発明は全ての時間帯で機能でき、運転モード変更でスケジュール再設定を必要とするような時間帯変更等を行える。新しい利用パターンは単に学習し、検証し、実施するだけであり、実績データのみを含むものである。・・・。」

図3からは、以下が読み取れる。
第一週「学習」においては、30分ごとに、「4回超のドア開き及び6回の人体検出」の有無が「1」「0」として表示されている。第二週「検証」、第三週「実施」においては、30分ごとに、「エネルギー節減モードでの制御」か「通常運転モード」かが「1」「0」として表示されている。
利用パターンは、曜日により異なり、月火木金が同一であり、水、土、日が異なる4種類である。

段落0018の「制御ユニット12は最初にある期間(例えば一週間)に亘って・・・活動の毎日のパターンを学習する」、段落0027の「第一週で、冷却システム10に対する利用パターンを決定するのに用いるために、制御ユニットがデータ(・・・)を収集する。」なる記載、段落0029の「第二週では、第一週から学習した7日のパターンが検証される」、段落0030の「第三週とその後の各週では、制御ユニットが第二週からの検証したパターンを実施する」、図3中の「第一週」「学習」なる記載によれば、本発明は、第一週においては、データ収集のみであると解される。
他方、段落0028の「最初の24時間運転で学習した利用パターンは冷却装置に対する通常運転モードで第二日に実施を始める」、「もし、第二日に利用パターンを変更する場合、第三日に実施するパターンにその変更を含める。第一週の残りについて、その後のそれぞれの日に前日から学習したパターンが実施される」なる記載によれば、本発明は、第一週の途中であっても、制御内容が変更されうると解される。

意見書においては、以下の主張がなされた。
「本願の特許請求の範囲の補正において、請求項1の「スケジュール応答を変更」が、「スケジュールを変更する」と補正された。これは不明瞭な記載が明確になるように補正されるものである。本願明細書の【0028】、【0029】、【0030】には、「制御ユニットが、利用パターンの変化に対応してスケジュールを変更する」ことの記載をサポートする実施例が記載されている。各実施例において、スケジュールの変更は、学習した利用パターンの変更に従ってなされる。【0028】の第1の実施例において、第1の24時間(最初の第1日)に学習した利用パターンが、次の24時間のスケジュールにて実施できる。もし、学習した利用パターンに対する変化が、第2日に決定されれば、スケジュールは変更できて、第3日に実施される。【0029】、【0030】の第2の実施例においては、利用パターンが第1週に学習されて、次の第2週の間に変更される。もし、学習した利用パターンに対する変化が決定されれば、例えば、第1及び最終の活動時間が変化されて、スケジュールが変更できて第3週の、次の週が実施される。」
すなわち、「第一週においては、データ収集のみ」行うものは「第2の実施例」であり、「第一週の途中であっても、制御内容が変更されうる」ものは「第1の実施例」であると主張している。

しかし、明細書には、両者が別の実施例であることは何ら記載されていないから、請求人の主張は根拠を欠く。
さらに、図3によれば、利用パターンは曜日ごとに異なるから、曜日を考慮してスケジュールを定めることが合理的と解されるが、明細書には、曜日についての説明がない。
そのため、曜日を考慮しているのか否か。しているのであれば、いかに考慮しているのか。していないのであれば、全く利用のない日曜日に他の曜日のパターンで制御されることとなるから「エネルギー節減」の課題と整合するのか。これらの点が不明確である。

よって、本願発明は、スケジュール変更の時期、タイミング、頻度についてどのように実施されることになるのか、依然として不明確であるから、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

3.拒絶理由で15.として指摘した点
拒絶理由で15.として指摘した、実施例において、「学習」、「検証」、「実施」の期間、タイミングについては、上記2.「拒絶理由で6.として指摘した点」における検討と同様、依然として不明確である。
よって、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4.むすび
本願は、上記第3で指摘したとおり、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-14 
結審通知日 2012-08-21 
審決日 2012-09-06 
出願番号 特願2004-536586(P2004-536586)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (G05D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川東 孝至  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 刈間 宏信
野村 亨
発明の名称 冷却システム及び加熱システムの温度制御のためのシステムと方法  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  
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